説明

ミラーインキおよび鏡面印刷方法

【目的】
低温度で焼結が行われ良好な鏡面光沢性を有する金属薄膜が得られ、各種印刷の高品質、高機能化に貢献することができるミラーインキ、および鏡面印刷方法を提供することを目的とする。
【構成】
平均粒径が1〜100nmの金属微粒子を用いる事を特徴とするミラーインキ。および、当該ミラーインキを印刷する工程、ミラーインキを印刷した被印刷体にエネルギー線を照射する工程、および150℃以下の加熱を行なう工程を有する鏡面印刷方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミラー光沢性あるいは鏡面反射性を有する文字、図形、模様の画像を形成する印刷インキ並びに印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明フィルム等に鏡面反射性を有する文字、図形、模様の画像を形成する場合には、アルミニウム等の金属を被印刷対全面に蒸着し、その後不必要部分を薬品等により削除することにより、ミラー光沢を有する所定の画像を形成する方法がある。または、透明フィルムに、予め形成する画像に対応するマスキングを施し、次に金属蒸着工程により、マスキングが施された透明フィルムの一面側の全面にシルバー微粉を蒸着させ、しかる後に、マスキングを除去することにより、残存した部分からなるミラー光沢を有する所定の画像を形成する方法がある。
【0003】
一方、印刷による方式としては特開平9−268269、特開2003−315511にあるように鱗片状メタリック粉やアルミニウム箔片を用いたミラーインキをグラビア印刷やフレキソ印刷並びにシルクスクリーン印刷にて印刷し鏡面性を付与する方法が行われている。
【0004】
前記従来の技術の蒸着法によるものは蒸着工程を必要とする事から大型の設備を必要とし、工数が多い事から生産性が悪く製品を作成するのに多大な費用を有し、また、薬品を用いたパターン形成は強酸等の劇薬を用いる事が多く、排水処理が必要となり環境保全の観点からも好ましくない。更に、鱗片状メタリック粉やアルミニウム箔を用いた印刷により鏡面反射性を有するパターン形成法では鏡面性および隠蔽性を得るために3μm程度の厚さにする必要があり鱗片状メタリック粉やアルミニウム箔片が高価であることから蒸着法程ではないが費用を要し、また、乾燥手段として溶剤離脱による樹脂固着あるいは酸化重合による方法が用いられ時間を要する事から生産性について欠点を有する。
【特許文献1】特開平9−268269号公報
【特許文献2】特開2003−315511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者は鋭意研究を重ねた結果、常温では分散剤に被覆されて流動性を有する1〜100nmの粒径の金属微粒子はエネルギー線照射により酸成分を発生させる成分を添加し、エネルギー線を照射する事により瞬間的に分散剤を金属微粒子から離脱でき、更に粒子径が1〜100nmの金属微粒子は1μm程度の金属粒子の挙動とは異なり、粒子径が小さくなるほど低温で溶融し焼結する性質があることから、25〜150℃の低温で金属微粒子同士が溶融焼結する事で非常に良好な鏡面反射性を有する薄膜が得られる事を見いだし本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、平均粒径が1〜100nmの金属微粒子を用いる事を特徴とするミラーインキに関する。
また、本発明は、金属微粒子の金属種が金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ニッケル、アルミニウムから選ばれる一種またはこれらの二種以上の混合物、合金であることを特徴とする上記ミラーインキに関する。
さらに、本発明は、上記金属微粒子がアミン類、アルコール類、フェノール類、チオール類およびそれらの混合物である分散剤で被覆されていることを特徴とする上記ミラーインキに関する。
【0007】
さらに、本発明は、エネルギー線照射により酸成分を発生する化合物を含有することを特徴とする上記ミラーインキに関する。
さらに、本発明は、エネルギー線照射により酸成分を発生する化合物がオニウム化合物、スルホン化合物、ハロゲン化物、鉄アレン錯体から選ばれる一種またはこれらのニ種以上の混合物であることを特徴とする上記ミラーインキに関する。
【0008】
さらに、本発明は、エネルギー線が電子線または紫外線であることを特徴とする上記ミラーインキに関する。さらに、本発明は、被印刷体に上記ミラーインキを印刷する工程、ミラーインキを印刷した被印刷体にエネルギー線を照射する工程、および150℃以下の加熱を行なう工程を有する鏡面印刷方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は金、銀、銅などの金属または合金の微粒子が液体中に安定に分散した組成物がエネルギー線を利用する事で瞬間的に25℃〜150℃の温度で焼結が行われ良好な鏡面光沢性を有する金属薄膜が得られ、各種印刷の高品質、高機能化に貢献できる。この金属微粒子からなるミラーインキは従来の鱗片状メタリック粉やアルミニウム箔片を用いたミラーインキと比べて転移性並びに隠蔽性に優れることから被印刷体に印刷する方法として、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷に加えオフセット印刷、凸版印刷、インクジェットなどの手法を用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
エネルギー線照射および加熱処理による焼結前の状態では、金属微粒子の表面は、金属元素と配位可能な有機化合物、例えば2-メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、ブトキシプロピルアミン、ジエチルメチルアミン、2-ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミンなどのアミン化合物や、アルキルアミン類、エチレンジアミン、アルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、アルキルチオール類、シクロヘキシルチオール等の脂環式チオール類、エタンジチオールなどの分散剤で被覆されている。この被覆作用により、金属粒子のそれぞれは有機溶媒中に安定した形状で分散している。
【0012】
本発明で用いる金属微粒子の金属種は金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ニッケル、アルミニウムが挙げられる。この内本発明の効果を最も発現させるには金属種として銀を用いる事が好ましい。また2種以上の金属種を混合して使用することもできる。
【0013】
本発明で用いる金属微粒子はインキ中に10〜95%の範囲で添加でき、各種印刷方式により適宜選択する事ができる。具体的にはグラビア印刷用途としては40〜60%、フレキソ印刷用途としては60〜80%、シルクスクリーン印刷用途としては70〜90%、オフセット印刷用途としては80〜95%が好ましいが、各種溶剤等により印刷に適した粘性を付与する事ができるので、これに限定するものではない。
【0014】
本発明で用いられるエネルギー線照射により酸を発生する化合物としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192頁参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4、PF6、AsF6、SbF6、CF3SO3塩を挙げることが出来る。対アニオンとしてボレート化合物を持つものが酸発生能力が高く好ましい。オニウム化合物としてはビス(アルキル(C=10〜14)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイト、4−メチルフェニル[4−(1メチルエチル)フェニル]ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの他、化1に一例を例示する。
【0015】
【化1】

【0016】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることが出来る。具体的な化合物の一例を以下に例示する。
【0017】
【化2】

【0018】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることが出来る。以下に具体的な化合物の一例を例示する。
【0019】
【化3】

【0020】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることが出来る。
【0021】
【化4】

【0022】
本発明において、エネルギー線照射により酸を発生する化合物は、金属微粒子100重量部に対して好ましくは0.1から100重量部、より好ましくは1から10重量部の範囲で配合される。配合量が0.1重量部未満では十分な感度が得にくく、また、100重量部を超えると、エネルギー線照射および加熱による金属焼結時に欠格が生じ、良好な鏡面反射性を損なう恐れがある。したがって、エネルギー線照射により酸を発生する化合物酸発生剤の添加量は必要最小限であることが好ましい。
【0023】
本発明において使用するエネルギー線は加速電圧100kV以下の超低加速電圧電子線照射装置、加速電圧100〜300kVの低加速電圧電子線照射装置、300〜800kVの中加速電圧電子線照射装置、および1000kV以上の高加速電圧電子線照射装置により発生する電子線および/または180〜500nmの波長の紫外線または可視光を用いることができる。
【0024】
電子線の加速電圧は金属微粒子の厚さ方向に寄与され、加速電圧が高い程深い位置まで電子線を透過することができる。しかしながら、過剰の加速電圧は金属微粒子を印刷する被印刷対にダメージを与える可能性があり、好ましくは300kV以下の低加速電圧電子線照射装置を使用することが望ましい。
【0025】
波長180〜500nmの紫外線または可視光の光発生源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルはライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマランプ、ショートアーク灯、ヘリウム−カドニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマレーザー、UV無電極ランプ、太陽光等が挙げられる。
【0026】
本発明において必要に応じて金属微粒子にエネルギー線で酸を発生する化合物と共に、増感作用のある光ラジカル発生剤、増感剤を使用することができる。
ここで、光ラジカル発生剤は、光開裂型と水素引き抜き型に大別して例示することができる。前者の例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α-アクリルべンゾイン等のベンゾイン系、ベンジル、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン(イルガキュア907:チバスペシャルティケミカルズ社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン(イルガキュア369:チバスペシャルティケミカルズ社製)、ベンジルメチルケタール(イルガキュア651:チバスペシャルティケミカルズ社製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184:チバスペシャルティケミカルズ社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(ダロキュア1173:メルク社製)、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン(ダロキュア1116:メルク社製)、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、4-(2-アクリロイル-オキシエトキシ)フェニル-2-ヒドロキシ-2-プロピルケトン、ジエトキシアセトフェノン(ZLI3331:チバスペシャルティケミカルズ社製)、エサキュアーKIP100(ラムベルティ社製)、ルシリンTPO( BASF社製)、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド(BAPO1:チバスペシャルティケミカルズ社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BAPO2:チバスペシャルティケミカルズ社製)、BTTB(日本油脂(株)製)、CGI1700(チバスペシャルティケミカルズ社製等が例示される。
【0027】
後者の例として、ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、p-クロルベンゾフェノン、テトラクロロベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4' -メチル-ジフェニルサルファイド、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、2,4ジクロロチオキサントン、アセトフェノン等のアリールケトン系開始剤、4,4' -ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4' -ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p-ジメチルアミノアセトフェノン等のジアルキルアミノアリールケトン系開始剤、チオキサントン、キサントン系のおよびそのハロゲン置換系の多環カルボニル系開始剤等が例示される。これらの単独または適宣組み合わせにより用いる事も出来るがこれに限定される物ではない。
【0028】
また、増感剤としてはアントラセン等の化合物が挙げられるがこれに限定される物ではない。
【0029】
本発明において、増感剤として使用する化合物は、金属微粒子100重量部に対して好ましくは0.1から100重量部、より好ましくは1から10重量部の範囲で配合される。配合量が0.1重量部未満では十分な感度が得にくく、また、100重量部を超えると、エネルギー線照射および加熱による金属焼結時に欠格が生じ、良好な鏡面反射性を損なう恐れがある。
【0030】
更に、本発明において必要に応じて金属微粒子に皮膜を形成させる成分として活性エネルギー線バインダー並びに公知の光カチオン重合を発現させる化合物を添加することもできる。
【0031】
活性エネルギー線硬化性バインダーとはジアリルフタレート樹脂に代表される軟化点50〜180℃の非反応性樹脂(インナート樹脂)、もしくは反応性(ラジカル重合性)オリゴマー、ラジカル重合性モノマー、必要に応じラジカル重合開始剤や光増感剤、必要に応じ顔料、さらに諸種の添加剤からなる。非反応性樹脂(インナート樹脂)としては、オルソないしイソタイプのジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。反応性(ラジカル重合性)オリゴマーとしてアルキッドアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン変性アクリレート等が挙げられる。
【0032】
ラジカル重合性モノマーとしてエチレン性不飽和二重結合を持つ(メタ)アクリルモノマーまたはアクリルオリゴマーについて説明する。エチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリルモノマーモノマーとしては、1官能モノマーとしてアルキル(カーボン数が1〜18)(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートがあり、さらにベンジル(メタ)アクリレート、ブチルフェノール、オクチルフェノールまたはノニルフェノールまたはドデシルフェノールのようなアルキルフェノールエチレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート等が例示される。
【0033】
さらに2官能モノマーとしてエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、 ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート(通称マンダ)、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレートジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートトリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノーAジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0034】
3官能モノマーとしてグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0035】
4官能以上のモノマーとしてペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネート、テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘプタ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0036】
さらに脂肪族アルコール化合物のアルキレンオキサイド付加体(メタ)アクリレートモノマー、特にC3〜C20以上のアルキレンオキサイドを持つ脂肪族アルコール化合物のアルキレンオキサイド付加体(メタ)アクリレートモノマー等が例示されるがこれらの化合物を単独若しくは2種以上組み合わせることができるがこれに限定される物ではない。
【0037】
光カチオン重合を発現させる化合物としては光カチオン重合性モノマーが挙げられ、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用出来る。例えば、特開平6-9714号、特開2001-31892、同2001-40068、同2001-55507、同2001-310938、同2001-310937、同2001-220526に例示されているエポキシ化合物(芳香族系、脂環式系、脂肪族系等)、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0038】
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0039】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することにより得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。
【0040】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6-ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0041】
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0042】
ビニルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル-o-プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0043】
本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0044】
オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001-220526、同2001-310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用出来る。
【0045】
本発明では上記バインダー成分を1種若しくは2種以上組み合わせても良い。尚、添加量は金属微粒子100重量部に対して1〜1000重量部好ましくは5〜500重量部が添加できる。5重量部以下ではバインダーとしての効果が乏しく、500重量部以上では金属同士の接合が妨げられ良好な鏡面反射性が得られない。
【0046】
本発明の組成物は溶媒を含むことができる。本発明に用いられる溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、アルコール類、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられ、これらを単独、または混合して使用することで各種印刷方式に対応したミラーインキの粘弾性、流動性を調整することができる。
【0047】
本発明の組成物は、シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、およびリンシリケートガラス基板との接着性をさらに高めるために、アミノ基、およびアミノ残基を有しないシランカップリング剤、チタンキレート剤などを添加することもできる。
【0048】
(実施例)以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【0049】
(金属微粒子分散液1)
市販されている銀の超微粒子分散液(商品名:独立分散超微粒子パーフェクトシルバー、真空冶金(株))、具体的には、銀微粒子100質量部、アルキルアミンとして、ドデシルアミン15質量部、有機溶剤として、トルエン75質量部を含む平均粒径8nmの銀微粒子の分散液を金属微粒子分散液1とした。
(金属微粒子分散液2)
市販されている銀の超微粒子分散液(商品名:独立分散超微粒子パーフェクトシルバー、真空冶金(株))、具体的には、銀微粒子100質量部、アルキルアミンとして、ドデシルアミン15質量部、有機溶剤として、トルエン75質量部を含む平均粒径8nmの銀微粒子の分散液を利用してペースト状の銀微粒子の分散液を調製した。銀の超微粒子分散液500重量部に対してブトキシプロピルアミン、87.5重量部(対Ag固形分50wt%:広栄化学製)、を混合し、80℃で1時間加熱攪拌した。攪拌終了後、減圧濃縮によりトルエンを脱溶剤した。
脱溶剤後の混合物を2Lのビーカーに移し、メタノール、1,000gを添加して、常温で3分間攪拌後、静置した。Ag粒子は極性の溶剤であるメタノールを添加することで凝集を起こし沈降した。上澄みには不要な有機成分を含む茶褐色のメタノール溶液が得られた。上澄み層を除去した後、再度、メタノール、800gを添加、攪拌、静置し、上澄み層を除去した。洗浄終了後、沈降したAg粒子を乾燥させ、残存するメタノールを揮発させたところ青色の微粉末が得られた。得られたAg微粉末にトルエン、330gを添加し、70℃で30分間加熱攪拌することで凝集したAg粒子を再分散させた。攪拌終了後、0.2μmメンブランフィルターで濾過することにより均一な濃紺色のブトキシプロピルアミン分散液が得られ、これを金墨微粒子分散液2とした。
【0050】
(ミラーインキ1の調整)
金属微粒子分散液1を57重量部、和光製薬株式会社性光カチオン開始剤WPI−113(ビス(アルキル(C=10〜14)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイト)3重量部、東亜合成株式会社製アロニックスM−220(TPGDAトリプロピレングリコールジアクリレート)10重量部、トルエン30重量部を配合しハイスピードミキサー400rpmで1分間攪拌することにより粘度50mPa・sのグラビア印刷用ミラーインキ1を調整した。
【0051】
(ミラーインキ2の調整)
金属微粒子分散液2を67重量部、和光製薬株式会社性光カチオン開始剤WPI−113(ビス(アルキル(C=10〜14)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイト)3重量部、東亜合成株式会社製アロニックスM−220(TPGDAトリプロピレングリコールジアクリレート)10重量部、トルエン20重量部を配合しハイスピードミキサー400rpmで1分間攪拌することにより粘度500mPa・sのフレキソ印刷用ミラーインキ2を調整した。
【0052】
(ミラーインキ3の調整)
金属微粒子分散液1を77重量部、和光製薬株式会社性光カチオン開始剤WPI−113(ビス(アルキル(C=10〜14)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイト)3重量部、東亜合成株式会社製アロニックスM−220(TPGDAトリプロピレングリコールジアクリレート)10重量部、トルエン10重量部を配合しハイスピードミキサー400rpmで1分間攪拌することにより粘度30Pa・sのシルクスクリーン印刷用ミラーインキ3を調整した。
【0053】
(ミラーインキ4の調整)
金属微粒子分散液2を87重量部、和光製薬株式会社性光カチオン開始剤WPI−113(ビス(アルキル(C=10〜14)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイト)3重量部、東亜合成株式会社製アロニックスM−220(TPGDAトリプロピレングリコールジアクリレート)10重量部、を配合しハイスピードミキサー400rpmで1分間攪拌することにより粘度50Pa・sのオフセット印刷および凸版印刷用ミラーインキ4を調整した。
【0054】
(実施例1〜4)
ミラーインキ1〜3はバーコーター#3を用い厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、ミラーインキ4はRIテスター全面ロールインキ盛量0.4ccの条件で同じPETフィルムに展色し、続いてアイグラフィック株式会社製紫外線照射装置にて160w/cm空冷高圧水銀ランプ1灯下コンベアスピード10m/分にて5回紫外線を照射した。
得られた印刷物を村上色彩技研製光沢計の入射角60゜反射角60゜で、光量を減衰させるNフィルターを通して測定した値を鏡面光沢値を定義し、測定結果を表1に示した。
【0055】
(実施例5〜8)
インキの硬化方法として紫外線の代わりに、東洋インキ製造株式会社製電子線照射装置「MinEB」を用いて加速電圧50kVで1000kGyの電子線を照射した以外は実施例1〜4と同じ方法で作成した印刷物の鏡面光沢値についても表1に記した。
【0056】
(比較例1)PETフィルムに帝国インキ製造株式会社製ミラーインキMIR−9100(蒸着アルミ箔分散タイプ)をPETフィルムにバーコーターを用いて膜厚3μmを塗布し、50℃オーブン中で30分乾燥させ鏡面印刷物を作成した印刷物の鏡面光沢値を表1に示した。
【0057】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が1〜100nmの金属微粒子を用いる事を特徴とするミラーインキ。
【請求項2】
金属微粒子の金属種が金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ニッケル、アルミニウムから選ばれる一種またはこれらの二種以上の混合物、合金であることを特徴とする請求項1記載のミラーインキ。
【請求項3】
上記金属微粒子がアミン類、アルコール類、フェノール類、チオール類から選ばれる一種またはこれらの二種以上の混合物である分散剤で被覆されていることを特徴とする請求項1または2記載のミラーインキ。
【請求項4】
エネルギー線照射により酸成分を発生する化合物を含有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のミラーインキ。
【請求項5】
エネルギー線照射により酸成分を発生する化合物がオニウム化合物、スルホン化合物、ハロゲン化物、鉄アレン錯体から選ばれる一種またはこれらの二種以上の混合物であることを特徴とする請求項4記載のミラーインキ。
【請求項6】
エネルギー線が電子線または紫外線であることを特徴とする請求項5記載のミラーインキ。
【請求項7】
被印刷体に請求項1ないし6いずれか記載のミラーインキを印刷する工程、ミラーインキを印刷した被印刷体にエネルギー線を照射する工程、および150℃以下の加熱を行なう工程を有する鏡面印刷方法。

【公開番号】特開2006−233034(P2006−233034A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50182(P2005−50182)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】