説明

ミラーベース

【課題】ガスケットを車体側部に掛止させることで仮止め時における車体側部からの脱落が防止されるミラーベースであって、材料費の増加や作業手間の増加を抑えつつも、仮止め時におけるガスケットからのベース本体の脱落を防止することが可能なミラーベースを提供することを課題とする。
【解決手段】ミラーアッセンブリを支持するベース本体10と、ベース本体10の裏面に覆設されたガスケット20とを備え、ガスケット20を車体側部に掛止させることで仮止め時における車体側部からの脱落が防止されるミラーベースBであって、ガスケット20に、ベース本体10と掛止可能な掛止片21eを一体的に形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部に組み付けられるミラーベースに関し、より詳細には、車体への組付作業時に、車体側部に仮止めすることができるミラーベースに関する。
【背景技術】
【0002】
車体側部に付設されるアウターミラーは、車体側部に組み付けられるミラーベースと、このミラーベースに支持されるミラーアッセンブリとを具備するものが一般的である。なお、ミラーアッセンブリは、後方視認用のミラー、このミラーを傾動自在に保持するアクチュエータ、ミラーやアクチュエータを収容するミラーハウジングなどを備えて構成されている。
【0003】
ミラーベースは、特許文献1にも開示されているように、ミラーアッセンブリを支持するベース本体と、このベース本体の裏面(車体側の面)に覆設されたガスケットとを備えて構成されている。このようなミラーベースを車体側部に組み付ける場合には、車体側部にミラーベースを仮止め(仮置き)することが多い。例えば、特許文献1においては、車体側部にミラーベースを仮止めしたうえで、仮止めされたミラーベースに対して車体側からビスやボルト等を螺入することで、ミラーベースを車体側部に固着している。なお、特許文献1においては、ガスケットに設けた突片を車体側部に設けた透孔の開口縁部に掛止させることで、車体側部からのミラーベースの脱落を防止している。
【特許文献1】特開2003−267131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスケットを車体側部に掛止させることで、車体側部からのミラーベースの脱落を防止する場合には、ベース本体を車体側部に固着するまでの間にベース本体がガスケットから脱落しないように、ベース本体とガスケットとをビス止めや接着等の手段により固着しておく必要がある。
【0005】
ところが、ガスケットは、車体側部とベース本体とによって挟持されるものであることから、実用上は、ベース本体に強固に固着しておく必要はない。したがって、仮止めのためだけにベース本体とガスケットとを固着するのは、材料費の増加や作業手間の増加を招くことになる。
【0006】
このような観点から、本発明は、ガスケットを車体側部に掛止させることで仮止め時における車体側部からの脱落が防止されるミラーベースであって、材料費の増加や作業手間の増加を抑えつつも、仮止め時におけるガスケットからのベース本体の脱落を防止することが可能なミラーベースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために創案された本発明は、ミラーアッセンブリを支持するベース本体と、前記ベース本体の裏面に覆設されたガスケットとを備え、前記ガスケットを車体側部に掛止させることで仮止め時における前記車体側部からの脱落が防止されるミラーベースであって、前記ガスケットに、前記ベース本体と掛止可能な掛止片を一体的に形成したことを特徴とする。
【0008】
このミラーベースによると、車体側部に仮止めしている間に、ベース本体をガスケットから引き離そうとする力がベース本体に作用したとしても、ガスケットに形成された掛止片にベース本体が掛止されるので、ガスケットからのベース本体の脱落を防止することが可能になる。しかも、このミラーベースにおいては、掛止片がガスケットに一体的に形成されているので、ベース本体とガスケットとをビス止めや接着等の手段により固着する必要がなく、したがって、材料費の増加や作業手間の増加を抑制することが可能になる。
【0009】
なお、前記ガスケットの裏面に、前記車体側部に形成された掛止孔と掛止可能な仮止め片が突設されている場合には、前記仮止め片を、前記支持部の上面よりも上方に位置させるとよい。ミラーアッセンブリを支持部に載置すると、ミラーアッセンブリの重量によってミラーベースに大きなモーメントが発生し、その結果、支持部よりも上側にある部位に車体側部から引き離そうとする力が作用することになるので、支持部よりも上方に仮止め片を形成しておけば、車体側部からのミラーベースの脱落をより効果的に防止することが可能になる。
【0010】
なお、前記掛止片の位置は特に制限されるものではないが、前記ベース本体が前記ミラーアッセンブリを載置するための支持部を具備している場合には、前記支持部よりも上方に前記掛止片を形成するとよい。ミラーアッセンブリを支持部に載置すると、ミラーアッセンブリの重量によってベース本体に大きなモーメントが発生し、その結果、支持部よりも上側にある部位にガスケットから引き離そうとする力が作用することになるので、支持部よりも上方に掛止片を形成しておけば、ガスケットからのベース本体の脱落をより効果的に防止することが可能になる。
【0011】
本発明において、前記ベース本体が、前記ミラーアッセンブリを支持する支持部と、前記車体側部に固定される固定部とを備えており、前記ガスケットが、前記固定部を覆う囲繞部を備えている場合には、前記囲繞部の前記ベース本体側の面に前記掛止片を突設し、前記掛止片を前記固定部に形成された被掛止部に掛止可能であるように構成するとよい。
【0012】
また、前記ベース本体の前記固定部に、前記ガスケット側に突出する位置決め片が形成されており、前記ガスケットの前記囲繞部に、前記位置決め片が嵌合される嵌合孔が形成されている場合には、前記嵌合孔の周囲に前記掛止片を突設し、前記位置決め片の基端側の端面に前記被掛止部を形成するとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るミラーベースによると、材料費の増加や作業手間の増加を抑えつつも、仮止め時におけるガスケットからのベース本体の脱落を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における「前後」,「上下」は、アウターミラーを車体に取り付けた状態を基準とする。
【0015】
本実施形態に係るミラーベースBは、図1に示すように、車体側部に形成されたミラー取付部SとミラーアッセンブリMとの間に介設されるものであって、ミラーアッセンブリMとともに後方視認用のアウターミラーを構成している。
【0016】
なお、ミラーアッセンブリMの構成は、特に限定されるものではないが、後面に開口部を有するミラーハウジングM1や後方視認用のミラー(図示略)のほか、例えば、図示は省略するが、ミラーを傾倒可能に保持するアクチュエータ、ミラーベースBに立設されるシャフト、ミラーハウジングM1をシャフト回りに回転させるための駆動手段などを備えて構成されている。
【0017】
ミラーベースBは、ミラーアッセンブリMを支持するベース本体10と、このベース本体10の裏面に覆設されたガスケット20とを備えて構成されている。
【0018】
ベース本体10は、板状のカバー部11と、ミラーアッセンブリMが載置される支持部12と、ミラー取付部Sに固定される固定部13と、を備えて構成されている。ベース本体10は、硬質の合成樹脂(ガラス繊維入りのポリブチレンテレフタレート(PBTGF)やガラス繊維入りのポリアミド(PAGF)など)からなり、カバー部11、支持部12および固定部13は、射出成形などによって一体に成形される。
【0019】
カバー部11の表面は、図2に示すように、車外に露出する意匠面であり、滑らかに成形されている。カバー部11の裏面には、図3および図4の(a)に示すように、外リブ11aと、内リブ11bと、複数の柱状突起11c,11c,…とが突設されている。外リブ11aは、カバー部11の外周縁に沿って形成されており、内リブ11bは、外リブ11aの内周側において固定部13の後記する補強壁13eを取り囲むように形成されている。また、柱状突起11cは、外リブ11aと内リブ11bとに挟まれた領域に形成されている。
【0020】
図2に示すように、支持部12は、カバー部11の表面に突設されている。支持部12は、上面が開口した箱状を呈していて、その底部には、複数の挿通孔12a,12a,…が形成されている。挿通孔12aには、前記したシャフト(図示略)を固定するためのボルトが挿通される。また、支持部12の側部には、ミラーアッセンブリM(図1参照)から延出したハーネスをカバー部11の裏面側に導出するための開口部12bが形成されている。
【0021】
図3および図4の(a)に示すように、固定部13は、カバー部11の裏面の中央部に突設されている。固定部13は、その上部に形成された上ボス13aと、下部に形成された二つの下ボス13b,13bと、上下一対の位置決め片13c,13dと、上ボス13a、下ボス13b,13bおよび位置決め片13c,13dを取り囲むように形成された補強壁13eと、上側の位置決め片13cの周囲に形成された板部13fと、上ボス13aの周囲および下ボス13bの周囲に形成された補強リブ13g,13g,…と、上側の位置決め片13cの基端面に形成された被掛止部13h(図6参照)とを備えて構成されている。
【0022】
上ボス13aおよび下ボス13bには、ベース本体10をミラー取付部S(図2参照)に固定するためのビスがミラー取付部S側から螺入される。
【0023】
位置決め片13c,13dは、ベース本体10に対するガスケット20の回転を防止するものであるが、ガスケット20をベース本体10に組み付ける際には、ガスケット20を案内するガイドとして機能する。また、位置決め片13c,13dは、ミラーベースBをミラー取付部S(図3参照)に組み付ける際には、位置決め孔S3,S4に挿入され、ミラーベースBを所定の組付位置に案内するガイドとして機能する。
【0024】
図3に示すように、上ボス13a、下ボス13bおよび位置決め片13c,13dは、筒状を呈していて、その先端(ガスケット20側の端部)が補強壁13eのガスケット20側の縁端131よりもガスケット20側に突出している。なお、下ボス13bおよび下側の位置決め片13dは、カバー部11の裏面に立設されている。
【0025】
図5に示すように、上ボス13aは、カバー部11から浮いた状態で配置されていて、上ボス13aの端面とカバー部11との間に隙間V1が形成されている。同様に、上側の位置決め片13cも、カバー部11から浮いた状態で配置されていて、位置決め片13cの基端側(カバー部11側)の端面132(以下、「基端面132」という。)とカバー部11との間に隙間V2が形成されている。このようにすると、射出成形時にカバー部11の表面に発生する「引け」を防止することが可能となるので、カバー部11の表面を平滑に仕上ることが可能となる。なお、隙間V1,V2は、アンダーカットになっているので、スライドコアを用いて成形する。
【0026】
補強壁13eは、図3に示すように、カバー部11の裏面に立設されている。補強壁13eは、U字状の欠損部133を備えている。欠損部133は、ミラーアッセンブリM(図1参照)から延出したハーネスであって開口部12b(図2参照)を介してベース本体10の裏側に導かれたハーネスを補強壁13eの内側に導出するためのものであり、図4の(a)にも示すように、本実施形態では、一方の下ボス13bと下側の位置決め片13dとの間に形成されている。
【0027】
板部13fは、カバー部11から浮いた状態で配置される上側の位置決め片13cの基端部を支持し、位置決め片13cの傾倒を防止するものであり、補強壁13eと上ボス13aとに一体的に接続されている。板部13fは、切欠き部134を備えている。切欠き部134は、上側の位置決め片13cの下側に位置する部位に形成されている。切欠き部134により、位置決め片13cの基端部の下面が露出する。
【0028】
被掛止部13hは、図6の(c)に示すように、上側の位置決め片13cの基端面132に形成されている。本実施形態では、基端面132のうち、ガスケット20の掛止片21eの爪部216に対向する部位を被掛止部13hとしている。被掛止部13hは、ガスケット20の掛止片21eと掛止可能であり、図7の(b)に示すように、ベース本体10をガスケット20から引き離そうとすると、ガスケット20の掛止片21eに掛止される。
【0029】
図2に示すように、ガスケット20は、ベース本体10の固定部13を覆う囲繞部21と、この囲繞部21の周囲に形成された被着部22とを備えて構成されている。ガスケット20は、ベース本体10よりも軟らかい半硬質の合成樹脂(ポリエチレン(PE)やポリ塩化ビニル(PVC)など)からなり、囲繞部21および被着部22は、射出成形などによって一体に成形される。
【0030】
囲繞部21は、図3に示すように、固定部13の補強壁13eを環囲する周壁21aと、この周壁21aに覆設された蓋部21bと、この蓋部21bの裏面に突設された仮止め片21cおよび筒状片21dとを備えており、さらに、蓋部21bの表面(すなわち、囲繞部21のベース本体10側の面)に突設された掛止片21eおよび撓み防止リブ21f(図2参照)を備えている。
【0031】
周壁21aは、蓋部21bとともに、ベース本体10側に開口する有底の箱状空間を形成する。蓋部21bには、図4の(b)にも示すように、上孔211と、下孔212,212と、嵌合孔213,214とが形成されている。上孔211は、固定部13の上ボス13a(図4の(a)参照)に対応する位置に形成されている。上孔211には、上ボス13aの先端部分が挿入される。同様に、下孔212は、固定部13の下ボス13b(図4の(a)参照)に対応する位置に形成されている。下孔212には、下ボス13bの先端部分が挿入される。また、嵌合孔213,214は、位置決め片13c,13d(図4の(a)参照)に対応する位置に形成されている。嵌合孔213,214には、位置決め片13c,13dが嵌挿される。
【0032】
仮止め片21cは、図1に示すように、ベース本体10の固定部13がミラー取付部Sに固着されるまでの仮止め期間中に、ミラー取付部SからのミラーベースB(ガスケット20)の脱落を防止するためのものであり、本実施形態では、支持部12の上面よりも上方に形成されている。仮止め片21cは、ミラー取付部Sに形成された掛止孔S5に挿入可能な形状に形成されており、かつ、仮止め片21cの先端部の上側には、掛止孔S5の開口縁部に掛止可能な爪部が形成されている。なお、掛止孔S5は、仮止め片21cに対応する位置に形成されていれば、ミラー取付部Sに形成される他の孔と独立している必要はなく、透孔S6などと一体になっているものであっても差し支えない。
【0033】
筒状片21dは、ミラーアッセンブリMから延出し、固定部13の内側に引き出されたハーネス(図示略)を車体内部に導出するためのものであり、ミラー取付部Sの透孔S6(図2参照)に挿入される。
【0034】
図3に示すように、掛止片21eは、支持部12(図2参照)よりも上方に形成された仮止め片21cよりもさらに上方に形成されており、かつ、ベース本体10の固定部13に掛止可能に構成されている。掛止片21eは、嵌合孔213の周囲に突設されている。図6の(a)を参照してより詳細に説明すると、掛止片21eは、嵌合孔213の下側の開口縁部からベース本体10に向かって張り出す基部215と、この基部215の上端面に突設された爪部216とを備えていて、位置決め片13cの基端面132に形成された被掛止部13hと掛止可能に構成されている。なお、本実施形態では、基部215の上端面が嵌合孔213の孔壁と面一になっていて、かつ、爪部216が基部215の上端面に突設されているので、ガスケット20を裏面側から見ると、嵌合孔213を通して爪部216を視認することができる(図4の(b)参照)。このようにすると、掛止片21eがアンダーカットにならないので、スライドコアを使用せずに掛止片21eを成形することができる。
【0035】
図2に示す撓み防止リブ21fは、蓋部21bの撓みや歪みを抑制するものであり、蓋部21bを挟んで仮止め片21c(図3参照)の反対側に形成されている。なお、撓み防止リブ21fの傾倒を抑制するために、撓み防止リブ21fの先端を、ベース本体10の裏面に当接させるか、あるいは、ベース本体10の裏面に若干の隙間をあけて対峙させるとよい。
【0036】
被着部22は、ベース本体10のカバー部11のうち、固定部13の周囲にある部位に覆設されるものであり、カバー部11と略同一の外形を具備している(図4の(a)および(b)参照)。
【0037】
被着部22の表面(ベース本体10側の面)には、当接部22aと、複数の嵌合ボス22b,22b,…とが形成されている。当接部22aは、ベース本体10の内リブ11b(図3参照)に対応する位置に形成された帯状の突条からなり、ガスケット20をベース本体10に組み付けたときに、内リブ11bに当接する(図5参照)。また、嵌合ボス22bは、ベース本体10の柱状突起11c(図3参照)に対応する位置に形成されている。
【0038】
被着部22の裏面(ミラー取付部S側の面)には、図3に示すように、囲繞部21を取り囲むように押圧リブ22cが形成されている。なお、図示は省略するが、被着部22の裏面には、押圧リブ22cに沿ってシール材が貼着される。押圧リブ22cは、図示せぬシール材のミラー取付部S(図2参照)への密着度を高めるものであり、図5に示すように、当接部22aに対応する位置に形成された突条からなる。
【0039】
ガスケット20をベース本体10に組み付けるには、図3に示すように、ガスケット20の嵌合孔213,214にベース本体10の位置決め片13c,13dを嵌挿させつつ、ガスケット20の囲繞部21にベース本体10の補強壁13eを嵌め入れ、さらに、ガスケット20の嵌合ボス22b,22b,…(図2参照)に柱状突起11c,11c,…を嵌挿すればよい。このようにすると、図5に示すように、ベース本体10の裏面にガスケット20が覆設されることになる。
【0040】
なお、図6の(b)および(c)に示すように、ガスケット20の掛止片21eは、位置決め片13cの下面を摺動しつつベース本体10側に移動し、最終的には、爪部216が位置決め片13cよりもベース本体10側に廻り込み、位置決め片13cの基端面132に形成された被掛止部13hと若干の隙間をあけて対峙する。なお、掛止片21eは、図4の(a)に示す板部13fの切欠き部134を通って、ベース本体10側に移動する。
【0041】
以上のように構成されたミラーベースBをミラー取付部Sに固定するには、図1に示すように、ミラーベースBをミラー取付部Sに仮止めした後に、ミラー取付部Sの裏面側から図3に示す上ボス13aおよび下ボスに13b,13bに図示せぬビスを螺入すればよい。なお、ミラーベースBをミラー取付部Sに固定した後にミラーアッセンブリMを支持部12に固定してもよいし、ミラーアッセンブリMを支持部12に組み付けた後にミラーベースBをミラー取付部Sに仮止め・固定してもよい。
【0042】
ミラーベースBをミラー取付部Sに仮止めするには、位置決め片13c,13dをミラー取付部Sの位置決め孔S3,S4に挿入しつつ、仮止め片21cをミラー取付部Sの掛止孔S5に挿入すればよい。なお、ミラーアッセンブリMを支持部12に載置すると、ミラーアッセンブリMの重量によってミラーベースBに大きなモーメントが作用し、その結果、支持部12よりも上側にある部位にミラー取付部Sから引き離そうとする力が作用することになるので、場合によっては、ミラーベースBが支持部12の基端部付近を中心として回転することがあるが、この場合には、図7の(a)に示すように、仮止め片21cの爪部が掛止孔S5の開口縁部に掛止され、それ以上の回転が防止されるとともにミラー取付部SからのミラーベースBの脱落が防止される。
【0043】
また、仮止め片21cが掛止孔S5の開口縁部に掛止されると、前記したモーメントによってベース本体10の支持部12よりも上側にある部位にガスケット20から引き離そうとする力が作用することになるが、図7の(b)に示すように、ベース本体10の被掛止部13hが掛止片21eの爪部216に掛止され、その結果、ガスケット20からのベース本体10の脱落が防止される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係るミラーベースBによると、ミラー取付部Sに仮止めしている間に、ベース本体10をガスケット20から引き離そうとする力が作用したとしても、ガスケット20に形成された掛止片21eにベース本体10が掛止されるので、ガスケット20からのベース本体10の脱落を防止することが可能になる。しかも、このミラーベースBにおいては、掛止片21eがガスケット20に一体的に形成されているので、ベース本体10とガスケット20とをビス止めや接着等の手段により固着する必要がなく、したがって、材料費の増加や作業手間の増加を抑制することが可能になる。
【0045】
また、ミラーアッセンブリMを支持部12に載置すると、ミラーアッセンブリMの重量によってベース本体10にモーメントが発生し、支持部12よりも上側にある部位にガスケット20から引き離そうとする力が作用することになるが、本実施形態では、支持部12よりも上方に掛止片21eを形成しているので、ガスケット20からのベース本体10の脱落をより効果的に防止することが可能になる。
【0046】
さらに、本実施形態においては、掛止片21eを設けたことで、ガスケット20をベース本体10に組み付ける際に節度感(掛止片21eの爪部216が位置決め片13cの基端面132よりもベース本体10側に廻り込む際の感触)を得ることが可能となるので、組付け状態を容易に確認することが可能となる。
【0047】
また、仮止め片21cがミラー取付部Sに掛止されると、仮止め片21cに大きな引張力(引抜力)が作用することになるので、仮止め片21を支持する蓋部21b(図3参照)の剛性が小さいと、蓋部21bに発生する撓みや歪みに起因して仮止め片21cが傾倒し、仮止め片21cが掛止孔S5から抜け落ちる虞もあるが、撓み防止リブ21f(図2参照)を配置して蓋部21bを補強し、蓋部21bに発生する撓みや歪みを抑制しているので、仮止め片21cが容易に抜け落ちることはない。
【0048】
なお、本実施形態においては、ガスケット20をベース本体10に組み付けたときに、掛止片21eの爪部216と被掛止部13hとの間に若干の隙間が形成されるように掛止片21eの寸法・形状を設定した場合を例示したが(図6の(c)参照)、これに限定されることはなく、ガスケット20をベース本体10に組み付けた時点で掛止片21eの爪部216が被掛止部13hに当接するように掛止片21eの寸法・形状を設定しても勿論差し支えない。
【0049】
また、本実施形態においては、位置決め片13cの基端面132を被掛止部13hとし、上側の位置決め片13cが嵌挿される囲繞部21の嵌合孔213の周囲に、前記した被掛止部13hに掛止可能な掛止片21eを形成した場合を例示したが(図6参照)、掛止片21の位置を限定する趣旨ではない。図示は省略するが、例えば、板部13fを被掛止部とし、この板部13fに掛止可能な掛止片を形成してもよいし、あるいは、上ボス13aや補強壁13eの適所に設けた突起や凹部などを被掛止部とし、当該被係止部に掛止可能な掛止片を形成してもよい。
【0050】
また、本実施形態では、掛止片21eを囲繞部21に形成した場合を例示したが(図3参照)、これに限定されることはない。例えば、図示は省略するが、カバー部11に被掛止部が形成されている場合には、当該被掛止部に掛止可能な掛止片を被着部22に形成しても差し支えない。
【0051】
また、本実施形態では、爪部216を有する掛止片21eを例示したが(図6の(c)参照)、掛止片21eの形態を限定する趣旨ではない。例えば、図示は省略するが、位置決め片13cに設けた突起を被掛止部とする場合には、当該突起に掛止可能な凹部を有する掛止片を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係るミラーベースの前面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るミラーベースを表側から見た分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るミラーベースを裏側から見た分解斜視図である。
【図4】(a)はベース本体の裏面図、(b)はガスケットの裏面図である。
【図5】図4の(a)および(b)のX−X線断面図である。
【図6】(a)〜(c)は図4の(a)および(b)のY−Y線断面図である。
【図7】(a)は仮止め片の作用を説明するための模式的な、前面図、(b)は掛止片の作用を説明するための模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0053】
B ミラーベース
10 ベース本体
12 支持部
13 固定部
13c 位置決め片
13h 被掛止部
20 ガスケット
21 囲繞部
21c 仮止め片
21e 掛止片
213 嵌合孔
S ミラー取付部
S5 掛止孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーアッセンブリを支持するベース本体と、
前記ベース本体の裏面に覆設されたガスケットとを備え、前記ガスケットを車体側部に掛止させることで仮止め時における前記車体側部からの脱落が防止されるミラーベースであって、
前記ガスケットに、前記ベース本体と掛止可能な掛止片を一体的に形成したことを特徴とするミラーベース。
【請求項2】
前記ベース本体は、前記ミラーアッセンブリが載置される支持部を備えており、
前記掛止片は、前記支持部よりも上方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のミラーベース。
【請求項3】
前記ガスケットの裏面には、前記車体側部に形成された掛止孔と掛止可能な仮止め片が突設されており、
前記仮止め片は、前記支持部の上面よりも上方に位置していることを特徴とする請求項2に記載のミラーベース。
【請求項4】
前記ベース本体は、前記ミラーアッセンブリを支持する支持部と、前記車体側部に固定される固定部とを備えており、
前記ガスケットは、前記固定部を覆う囲繞部を備えており、
前記掛止片は、前記囲繞部の前記ベース本体側の面に突設されており、前記固定部に形成された被掛止部と掛止可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のミラーベース。
【請求項5】
前記ベース本体の前記固定部には、前記ガスケット側に突出する位置決め片が形成されており、
前記ガスケットの前記囲繞部には、前記位置決め片が嵌合される嵌合孔が形成されており、
前記掛止片は、前記嵌合孔の周囲に突設されており、
前記被掛止部は、前記位置決め片の基端側の端面に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のミラーベース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−331601(P2007−331601A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166397(P2006−166397)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】