説明

ミルクを送出するための装置

【課題】単純に形成されていて、かつ家庭分野でも使用され得るような装置を提供する。
【解決手段】ミルクを送出するための装置であって、管路を介してノズル13に接続されているミルク容器6と、熱い蒸気を発生させるための装置5とが設けられており、熱い蒸気を発生させるための装置5を用いて、前記ノズル13に熱いミルクフォームが製造可能であり、さらにミルク流出部12が設けられている形式のものにおいて、ミルク容器6とミルク流出部12との間に、冷たいミルクを送出するためのポンプ8が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動コーヒマシンに用いられる、ミルクを送出するための装置であって、管路を介してノズルに接続されているミルク容器と、熱い蒸気を発生させるための装置とが設けられており、熱い蒸気を発生させるための装置を用いて、ノズルに熱いミルクフォームが製造可能であり、さらにミルク流出部が設けられている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
公知の、ミルクを送出するためのシステムでは、ベンチュリノズルを介してミルクがミルク容器から吸い込まれ、熱い蒸気により作動されるベンチュリノズルを通って送出される。これによって、熱いミルクフォーム(Milchschaum)を製造し、かつミルクを加熱することができる。このシステムはホット飲料の製造のためには有利であることが判っているが、しかし冷たいミルクを送出することは不可能である。
【0003】
スイス国特許第684627号明細書に基づき、ミルクフォームを発生させるための装置が公知である。この装置では、加熱されたミルクが、高い圧力で泡立てエレメントに押し通される。これによって、熱いミルクフォームが製造される。しかし、このようなノズルでは洗浄の問題が生じる。それというのは、他ならぬミルクを案内する管路が容易に汚れてしまうからである。
【0004】
飲食業分野のためには、自動飲料マシンも知られている。この自動飲料マシンでは、ミルク容器が冷蔵室内に配置されており、ミルクがポンプを介して送出され得る。飲食業分野のために設計されたこのような器具は比較的に高価であり、家庭分野のためには使用不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】スイス国特許第684627号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のミルクを送出するための装置を改良して、単純に形成されていて、かつ家庭分野でも使用され得るような装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために本発明の構成では、ミルク容器とミルク流出部との間に、冷たいミルクを送出するためのポンプが配置されているようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ミルクを送出するための装置が、ミルク容器を有している。このミルク容器は、熱い蒸気を発生させるための装置を介して連結されており、これによって、熱いミルクフォームもしくは熱いミルクが製造可能となる。さらにミルク容器は、冷たいミルクを送出するためのポンプを介してミルク流出部に接続されているので、このミルクを送出するための装置によって、熱いミルクをも冷たいミルクをも送出することができる。このことは、他ならぬ冷たいコーヒ含有飲料を製造する場合に利点となる。それというのは、暑い季節にはコーヒ含有のコールド飲料の消費量も増大するからである。この装置は単純に形成されている。なぜならば、ミルク容器を介して選択的に熱いミルクまたは冷たいミルクが送出され、かつ洗浄しようとする構成部分もしくは管路の個数が最小限に制限されているからである。特に、ミルク容器と管路とは互いに着脱可能に保持されていてよいので、当該装置は簡単に分解されかつ洗浄され得る。ミルク容器を冷却するための別個の冷却装置は必要とされない。なぜならばミルク容器は使用後に空にされて洗浄され得るからである。
【0009】
本発明の有利な実施形態によれば、選択的に、冷たいミルクまたは熱いミルク、またはミルクフォームをミルク流出部から送出するために、マニュアル式または自動式の制御部が設けられている。これによって、高度の自在性が得られるので、ミルクを送出するための装置を、特に自動飲料マシン、特に家庭用の自動コーヒマシンと組み合わせることができる。
【0010】
ポンプが、ミルク容器とノズルとの間に配置されていると有利である。これによって、冷たいミルクをポンプを用いてノズルを通じて圧送することができる。この場合、このポンプはペリスタリックポンプ、つまり蠕動型ホースポンプ(Schlauchquetschpumpe)として形成されていてよく、このペリスタリックポンプを用いてミルクはホース内での押しのけにより送出可能となる。これにより、管路だけがミルクによって濡らされるようになり、相応して使用後には管路の内壁だけが洗浄されればよい。このことは取扱いを簡易にする。なぜならば、管路の洗浄を、すすぎ込みによって簡単に行うことができるからである。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、ノズルがベンチュリノズルとして形成されているので、ミルクを熱い蒸気の形成時にもベンチュリノズルで吸い込むことができる。
【0012】
熱い蒸気を発生させるための装置を介してノズルに接続されている水タンクが設けられていると有利である。この場合、付加的に、水タンクから水を送出するため水ポンプが設けられていてもよいので、供給された水量の調量は、熱湯の形または水の形で、もしくは熱い蒸気として簡単に調量され得る。
【0013】
ミルクフォームの粘稠度(コンシステンシ)を、使用されたミルクに応じて良好に調節することができるようにするために、ノズルに、周辺空気のための調節可能な供給開口が設けられていると有利である。これによって、高い品質を有するミルクフォームをノズルにおいて製造することができる。
【0014】
以下に本発明の実施例を添付の図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ミルクを送出するための本発明による装置のフローチャートである。
【図2】ミルクを送出するための装置の斜視図である。
【図3】ミルクを送出するための装置の個別の部分の分解図である。
【0016】
図1には、ミルクを送出するための本発明による装置のフローチャートが図示されている。冷たい水は、水タンクからポンプを介してサーモブロックに送出される。このサーモブロック内で水は、特に熱い蒸気を形成するために選択的に加熱され得る。熱い蒸気は次いで、ノズル、特にベンチュリノズルに送出される。
【0017】
第2のラインでは、冷たいミルクがミルク容器に注入される。このミルク容器は、管路を介してペリスタリックポンプ(蠕動型ホースポンプ)に連結されている。ペリスタリックポンプを介して、冷たいミルクをノズルに送出することができる。
【0018】
ノズルは、ベンチュリシステムの構成要素である。このベンチュリシステムには、水とミルクとの他に周辺空気も吸い込まれて、ミルクもしくは水と混合され得る。
【0019】
したがって、ベンチュリシステムに後置されたミルク流出部では、冷たい水または熱い水(熱湯)、熱い蒸気、冷たいミルクまたは熱いミルク、または熱いミルクフォームを送出することができる。このことは、ミルクの混加下に多数のホット飲料またはコールド飲料を調整することを可能にする。このミルクを送出するための装置は、特に家庭用の自動コーヒマシンと組み合わせられる。
【0020】
図2には、ミルクを送出するための装置が図示されている。この装置は、水タンク1を有している。水タンク1は管路2を介して水ポンプ3に接続されている。この水ポンプ3は冷たい水を水タンク1からサーモブロック5に送出する。サーモブロック5は管路4を介して水ポンプ3に接続されている。このサーモブロック5内では、選択的に、送出された水を加熱するか、または熱い蒸気を形成するように処理することができる。
【0021】
ミルクを送出するためには、ミルク容器6が設けられている。このミルク容器6の底部領域には、管路7の端部が配置されている。管路7は、ミルク容器6の外側で、冷たいミルクを送出するためのポンプ8に接続されている。ポンプ8は、ペリスタリックポンプとして形成されていて、したがって管路以外の別の構成部分がミルクで濡らされることなく、ミルクをミルク容器6から送出することができる。ポンプ8は、管路9を介してベンチュリシステム10に接続されている。このベンチュリシステム10は、1つのノズル13、特にベンチュリノズルを有している。このベンチュリシステム10からは、送出されたミルクもしくはミルクフォームが、管路11を介してミルク流出部12にまで送出される。ノズル13は、さらにカップリング部材14を介してサーモブロック5に接続されている。
【0022】
ミルクを送出するための装置が自動コーヒマシンにおいて使用される場合、水タンク1と、冷たいミルクを送出するためのポンプ8と、水ポンプ3と、ベンチュリシステム10とが、自動コーヒマシンに配置されている。ミルク容器6は、自動コーヒマシンに並んで、管路7にルーズに組み付けられる。これによってミルク容器6を簡単に洗浄することができる。管路7,9,11を洗浄するためには、管路7,9,11を通じて洗浄液がポンプ圧送される。
【0023】
したがって、ミルクを送出するための本発明による装置を用いると、選択的に冷たいミルクまたは熱いミルクをミルク流出部12に送出することができる。さらに、ベンチュリノズル13においてミルクフォームも製造され得る。この場合、供給された周辺空気の調量のために、調節可能な供給開口がベンチュリノズル13に設けられていてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルクを送出するための装置であって、管路を介してノズル(13)に接続されているミルク容器(6)と、熱い蒸気を発生させるための装置(5)とが設けられており、熱い蒸気を発生させるための装置(5)を用いて、前記ノズル(13)に熱いミルクフォームが製造可能であり、さらにミルク流出部(12)が設けられている形式のものにおいて、ミルク容器(6)とミルク流出部(12)との間に、冷たいミルクを送出するためのポンプ(8)が配置されていることを特徴とする、ミルクを送出するための装置。
【請求項2】
選択的に、冷たいミルクまたは熱いミルク、またはミルクフォームをミルク流出部(12)から送出するために、マニュアル式または自動式の制御部が設けられている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ポンプ(8)が、ミルク容器(6)とノズル(13)との間に配置されている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記ポンプ(8)が、ペリスタリックポンプとして形成されていて、該ポンプ(8)を用いてミルクが、ホース内での押しのけによって送出可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
ノズル(13)が、ベンチュリノズルとして形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
水タンク(1)が設けられており、該水タンク(1)が、熱い蒸気を発生させるための装置(5)を介してノズル(13)に接続されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
水タンク(1)から水を送出するための水ポンプ(3)が設けられている、請求項6記載の装置。
【請求項8】
ノズル(13)に、周辺空気のための調節可能な供給開口が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−178738(P2010−178738A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25071(P2010−25071)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(390014155)メリタ ハウスハルツプロドウクテ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシヤフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Melitta Haushaltsprodukte GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Ringstrasse99,D−32427 Minden,Germany
【Fターム(参考)】