説明

メシル酸イマチニブの酵素測定

本発明は、生体試料におけるタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤の酵素測定方法を提供する。本発明は、また、生体試料においてメシル酸イマチニブや他のbcr-ablタンパク質キナーゼ阻害剤の酵素測定を行うために有効な分析試薬及び包装されたキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学療法の間に最適薬剤濃度を迅速に決定するためにヒト生体液においてイマチニブ又はその薬理的に活性な代謝産物の存在を決定する及び/又は量を定量化するための酵素アッセイの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、身体の一部の細胞が制御できないほど成長し始める場合に生じる一般的な特徴を全て共有する悪性腫瘍のグループを記載するために用いられる用語である。ほとんどの癌は、腫瘍として形成するが、血液で明らかにすることもでき、成長する他の組織を通って循環することもできる。癌の悪性腫瘍は、最も一般的には手術、化学療法、及び/又は放射線療法の組合わせで治療される。個々の癌を治療するために用いられる治療の種類は、癌の悪性腫瘍の種類及び診断された段階を含むいくつかの因子に左右される。
イマチニブは、下記式:
【0003】

【0004】
を有し、その塩、特にメシル酸イマチニブは、爆発期、加速期又は慢性期におけるフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病の治療に用いられるより一般的に用いられる化学療法剤の1つである。この化合物は、副作用、例えば、肝毒性や血液毒性、水腫、嘔気、嘔吐、下痢、筋痙攣、筋骨格の痛み、発疹を弱めることと関連があった。身体におけるイマチニブ、その塩又は薬理的に活性な代謝産物のレベルをモニタすると共に服用量を調整することによって、これらの副作用は患者においてより十分に制御され制限され得る(Gleevec package insert, Novartis Pharmaceuticals Corporation, East Hanover, New Jersey, July 2004)。イマチニブの好ましい塩は、下記式:
【0005】

【0006】
を有するメシル酸イマチニブである。
身体におけるこの化学療法剤のレベルをモニタすると共に服用量を調整することによって、イマチニブが副作用を弱めることと関連があったので、これらの副作用は患者においてより十分に制御され制限され得る。患者にイマチニブ又はその塩を投与する場合、イマチニブ又はその塩の服用量と、これらの化学療法剤又はそれらの化学療法的に活性な代謝産物の得られた血清薬剤濃度との間の可変関係がしばしば高く、これは、臨床的有効性と毒性の程度に影響する。イマチニブ又はその塩の個体内及び個体間の薬物動態学的変動の程度は、4倍になることが報告され(Gleevec package insert, Novartis Pharmaceuticals Corporation, East Hanover, New Jersey, July 2004, Pindolia et.al. Pharmacotherapy, 22:1249-1265, 2002を参照のこと)、以下を含む多くの因子によって影響される。
o 臓器機能
o 遺伝的調節
o 病態
o 年齢
o 薬剤-薬剤相互作用
o 薬剤摂取の時間
o 服薬遵守
この変動の結果として、種々の個体において同一の薬剤の同一の服用量によって臨床的成果が劇的に異なることがある。同一のイマチニブ又はその塩の投薬の有効性は、個体の薬剤クリアランス及び患者における最終的な血清薬剤濃度に対してかなり変動する。治療的薬剤管理によって、薬剤投与における患者の変化に対する洞察が臨床医に示される。治療的薬剤管理によって、薬剤投薬量を患者に対して個別化することができ、不必要な副作用がなく癌を効果的に治療する可能性が非常に高い。
【0007】
更に、イマチニブ又はその塩の治療的薬剤管理は、実際の処方された投薬による化学療法を投与する際の服薬遵守及び有効血清濃度レベルの達成を確実にする優れたツールとして役に立つ。
イマチニブ又はその塩の通常の治療的薬剤管理は、一般的な実験装置に適応できる簡単な自動化された試験を利用できることが必要である。
ヒト血及び血漿におけるイマチニブ、イマチニブ塩又はそれらの化学療法の代謝産物の濃度を決定するための液体クロマトグラフィ(LC)-タンデム型質量分析の使用が記載されている(Guetens, J Pharm Biomed Anal., 33(5): 879-89 2003; Bakhtiar, J Chromatrography B, 768(2): 325-340, 2002; Titier, Ther. Drug. Monit., (27)5:634-640, 2005)。イマチニブ、イマチニブ塩又はそれらの化学療法の代謝産物の純度を決定するLC法(Vivekanand, J Pharm Biomed Anal., 28(6): 1183-94, 2002)も開発されたが、生物流体のレベルを決定するために用いられなかった。これらの方法は、労働集約的であり、費用のかかる装置を用い、且つ通常の臨床検査使用を受け入れられない。
アッセイ条件は、ATPを用いてタンパク質チロシンキナーゼの活性をモニタするために記載されており、リンがシンチレーション近接アッセイ、固相分析、ろ過分析、ラジオオートグラフアッセイを含む種々の形式のP32放射性同位元素によって標識される( Evans et.al., J Biochem Biophys Methods, 50:151-161, 2002; Park et.al., Anal Biochem., 269:94-104, 1999; Witt et.al., Anal Biochem., 66:253-258, 1975; Braunwalder et. al., Anal Biochem., 234:23-26, 1996; Schaefer et. al., Anal Biochem., 261:100-112, 1998)。非ラジオアイソトープアッセイもまた、酵素結合イムノソルベント(ELISA)、蛍光定量、蛍光極性の形式を用いて開発された(Yamato et. al., Anal Biochem., 315:256-261, 2003; Angles et. al., Anal Biochem., 236: 49-55, 1996; Braunwalder et. al., Anal Biochem., 238:159-164, 1996; Seethala et. al. Anal Biochem., 255:257-262, 1998; Barker, Biochem., 34(45): 14843-51, 1995)。
これらの方法は、生物学的抽出物におけるタンパク質チロシンキナーゼ活性をスクリーニングするか又はチロシンキナーゼの新規な潜在的阻害剤をスクリーニングするために開発された。更に、これらの方法は、通常の臨床的アナライザによる使用を受け入れられない。更にまた、治療的薬剤モニタリングのために患者血漿又は血清においてイマチニブ、その塩又はそれらの治療的に活性な代謝産物を直接定量化する方法を提供しない。
【発明の開示】
【0008】
ablチロシンキナーゼ酵素、好ましくはbcr-ablタンパク質チロシンキナーゼやv-ablタンパク質チロシンキナーゼの活性が、ある種の検体、特にイマチニブ、その塩及びそれらの薬理的に活性な代謝産物によって阻害されることがわかった。それ故、本発明によれば、ablチロシンキナーゼ酵素、好ましくはbcr-ablタンパク質キナーゼやv-ablタンパク質又はその混合物を基質に使用し、ヒト患者試料、特に、液体ヒト患者試料、例えば、血清又は血漿において、これらのablタンパク質チロシンキナーゼ酵素、特にイマチニブ、その塩又は薬理的に活性な代謝産物を失活させる検体の存在を決定する及び/又は量を定量化するのに効率的で有効な酵素アッセイを行い得ることを発見した。
更に、この酵素アッセイは、ablタンパク質-チロシンキナーゼ酵素を阻害するあらゆる薬理的に活性な化合物、特に化学療法剤の存在を検出し定量化するために使うことができる。酵素アッセイの使用によって、治療的薬剤モニタリングのための通常の実験を利用する、ヒト患者試料においてこれらの検体、特にイマチニブ、その塩又はそれらの代謝産物を検出し定量化する分析での使用を受け入れられる簡単で経済的な方法が提供される。
また本発明によれば、治療的薬剤モニタリングのための患者試料においてこれらの検体、例えば、イマチニブ、その塩又は薬理的に活性な代謝産物を検出し定量化するためのキットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明によれば、ablタンパク質チロシンキナーゼ酵素、好ましくはbcr-ablタンパク質チロシンキナーゼ又はv-ablタンパク質-チロシンキナーゼの特性を用いることによる患者試料中の、ablタンパク質チロシンキナーゼ酵素を失活させる検体、特にイマチニブ、イマチニブ塩又はその薬理的に活性な代謝産物のような検体の存在を検出するための酵素アッセイであって、該酵素は、検体、特にイマチニブ、イマチニブ塩又はそれらの薬理的に活性な代謝産物によって失活する。治療的薬剤モニタリングのための血流においてこれらの検体、特に化学療法剤の存在を検出するための酵素アッセイが達成されることはこの特性による。
本発明によれば、これらのablタンパク質チロシンキナーゼ酵素を失活させる検体、特に上記の化学療法剤の存在を決定する又は量を定量化するための酵素アッセイは、最初に検体、特に上述の化学療法剤、ablタンパク質チロシンキナーゼ酵素、好ましくはv-ablタンパク質-チロシンキナーゼ又はbcr-ablタンパク質チロシンキナーゼ又はその混合物及びNADHを含有するポリペプチド基質を決定するためのヒト試料を含有する混合物を水性媒体において形成することによって達成される。本発明によれば、ポリペプチド基質は、ablタンパク質チロシンキナーゼの使用によってNADHをNADに変換することができなければならない。本発明の好ましい実施態様によれば、ポリペプチド基質はablタンパク質チロシンキナーゼ酵素の使用によってNADHをNADに変換することができるタンパク質基質である。上述の混合物は、試料において検体、特に化学療法剤を酵素と反応させることができる条件下でインキューベートされる。インキュベーション後、NADに変換される、基質中のNADHの量が測定される。この酵素アッセイを用いて、体液試料、好ましくは血液又は血漿試料中のこれらの検体の存在と量を検出及び/又は定量化することができる。このように、ablタンパク質チロシンキナーゼ酵素を失活させる薬学的に活性な物質、例えば、イマチニブ又はその塩で治療されている患者を薬剤療法の間、モニタすることができ、前記モニタの結果に従ってそれらの治療を調整することができる。本発明によって、化学療法剤としてイマチニブ又はその塩で治療されている癌患者においてこのような薬学的に活性な物質、特にイマチニブ及びその塩の治療的薬剤管理を達成する。
【0010】
検体、特にイマチニブ、イマチニブ塩及びイマチニブ又はその塩の薬理的に活性な代謝産物の存在は、NADHのNADへの変換で検出することができ、変換は患者試料におけるこれらの検体の存在によって阻止される。NADHの存在は、好ましくは340nmの波長、即ち、NADHの特徴的吸収領域で吸収の変化をモニタすることによって光学的に測定することができ、吸収のこの変化はNADHをNADに変換させる酵素反応を阻止する患者試料において上述の化学療法剤の存在及び量と相関し得る。それ故、インキュベーション後に存在するNADHの量は試料における上述の化学療法剤の量に正比例する。一般的に、試料におけるこれらの化学療法剤の量は、試料におけるこれらの化学療法剤の存在下でNADHの測定量を既知の量が試験すべき試料に予想される範囲にある物質の既知の量を含有する標準試料又は検定曲線試料から求められるNADHの値と相関することによって決定される。検定曲線を作成するこれらの実験は、試料に使用されたものと同様の酵素アッセイ手順を用いて求められる。
本発明によれば、好ましいポリペプチド基質は、ablタンパク質-チロシンキナーゼ、好ましくはv-ablタンパク質-チロシンキナーゼ、bcr-ablタンパク質-チロシンキナーゼ又はその混合物によってNADHをNADに変換することができるNADHを含有するタンパク質基質であり、アデノシン三リン酸[ATP]、チロシン含有ポリペプチド、好ましくはチロシンキナーゼ、ホスホエノールピルビン酸[PYK]及び乳酸デヒドロゲナーゼ[LD]によってリン酸化することができるタンパク質を含有する。この好ましい基質によれば、ATPは、以下の反応系列によってNADに変換される。
TK
ATP +チロシンタンパク質 ――→ ADP + ホスホ-チロシン
PYK
ホスホエノールピルビン酸塩+ ADP ――→ ピルビン酸塩+ ATP
LD
ピルビン酸塩+ NAD + H+ ――→ 乳酸塩+ NAD+
【0011】
この反応スキームにおいて、TKは、ablタンパク質-チロシンキナーゼ酵素を示し、これは、活性がイマチニブ、その塩又はそれらの活性代謝産物によって阻害される、好ましくはv-ablタンパク質-チロシンキナーゼ又はbcr-ablタンパク質-チロシンキナーゼであり得る。酵素TKのATP結合部位は、検体の試料における存在によって阻害されるのでこの反応順序はADPを生成せず、NADHはNAD+に順に変換されない。
本発明によれば、NADHを含有するポリペプチド基質は、これらの酵素によってNADHをNADに変換することができ、ablタンパク質-チロシンキナーゼ酵素を失活させることができるあらゆる化学療法剤のヒト試料の存在を決定するために使用し得る。更に、これらの酵素は、患者試料に存在することがあり得るイマチニブ又はイマチニブ塩によって生成される薬理的に活性な代謝産物によって失活する。これらの代謝産物と反応性であることによって、この酵素アッセイは、患者の血流において検体、特にイマチニブ、イマチニブ塩又はそれらの薬理的に活性な代謝産物の存在によって薬剤療法をモニタするための正確で効果的な手段になる。薬理的に活性という用語は、イマチニブ又はイマチニブ塩として化学療法剤と同様の方法で作用するイマチニブ、又はイマチニブ塩の代謝産物を示す。
bcr-ablタンパク質チロシンキナーゼとv-ablタンパク質チロシンキナーゼを含むablタンパク質チロシンキナーゼ酵素は、慢性骨髄性白血病細胞、例えば、ATCC CCL243から得られる既知の酵素である。酵素のbcr-ablタンパク質チロシンキナーゼは、2003年9月11日に公開された、国際出願公開第03/031608号及び米国特許公開第2003/070851 A1号に記載されている。慢性骨髄性白血病細胞からの精製と確認は、O'Hare et al., Blood, 108(8): 2532-2539, 2004、Corbin et al., J. Biol. Chem., 277(35): 32214-33219, 2004で更に設定されている。酵素v-ablタンパク質チロシンキナーゼは、CalbiochemやNew England Biolabsの市販の酵素である。
本発明の酵素アッセイは、イマチニブ、イマチニブ塩及び/又はその薬理的に活性な代謝産物を含有することが疑われる患者試料によって行われる。この化学療法剤を含有することがかなり疑われるあらゆる試料を本発明の方法によって分析することができる。試料は、典型的には、ヒト患者からの体液のような水溶液、例えば、尿、全血血漿、血清、唾液、精液、糞便、痰、脳脊髄液、粘液等であるが、好ましくは血漿又は血清である。試料は、所望により前処理することができ、アッセイを妨害しないあらゆる都合のよい媒体において調製することができる。このアッセイは水性媒体において行うことが好ましいので、試料が水性媒体に供給されることが好ましい。
【0012】
酵素アッセイは、水性媒体において、上述の化学療法剤を含有することが疑われる試料と、ablタンパク質チロシンキナーゼ酵素、好ましくはv-ablタンパク質チロシンキナーゼ、bcr-ablタンパク質チロシンキナーゼ又はそれらの混合物及びNADHを含有するポリペプチド基質とを含有する混合物を形成することによって行われる。本発明に用いられるポリペプチド基質は、上記のablタンパク質チロシンキナーゼ酵素によってNADHをNADに変換することができるものである。これらの酵素によってNADHをNADに変換することができるあらゆるポリペプチド基質をこの分析に従って用いることができる。
好ましい基質は、以下の補酵素:
a) 乳酸デヒドロゲナーゼ; 及び
b) ピルビン酸キナーゼ; 並びに
ablタンパク質チロシンキナーゼ酵素、特にbcr-ablタンパク質チロシンキナーゼ及び/又はv-ablタンパク質チロシンキナーゼと共にATPと反応してNADHをNADに変換させる補酵素のためのポリペプチド基質を含む。この基質は、一般的には、チロシンキナーゼ、ホスホエノールピルビン酸及びアデノシン三リン酸(ATP)によるリン酸化が可能なポリペプチドを含有するチロシンを含む。本発明によれば、いかなるチロシン含有ポリペプチドとして、チロシンキナーゼによるリン酸化が可能なタンパク質、例えば、オボアルブミン、New England BioLabs製の“Ablペプチド基質”、Upstate Biotechnology製のアブルチド(Abltide)、カゼイン、グルタミン酸とチロシンのポリペプチド、ウシ血清アルブミンが挙げられ、これは、ポリペプチド基質においてチロシン含有ポリペプチドとして用いることができる。この基質において好ましいチロシン含有ポリペプチドは、ウシ血清アルブミン、カゼインのようなリン酸化が可能なチロシン含有タンパク質である。
アッセイを行う次の工程においては、NADH、試料、基質及びablタンパク質チロシンキナーゼ酵素の水性混合物を補酵素と共に水性媒体中でインキューベートして、試料における検体のいずれか、特に試料に存在することができるイマチニブ、イマチニブ塩及び/又はそれらの薬理的に活性な代謝産物をablタンパク質チロシンキナーゼ酵素と反応させる。インキュベーションは、試薬と試料を水性媒体中で簡単に混合することによって行うことができる。いずれにしても、温度と圧力は、試料における化学療法剤の存在を試薬の使用によって検出することを可能にするインキュベーション工程を行うのに重要でない。この反応を行う際に、一般的には10℃〜40℃の温度が用いられる。
【0013】
本発明の方法が行われるpHは重要でなく、4〜11の範囲、更に通常は5〜10の範囲、最も好ましくは約6〜8の範囲であり得る。アッセイ手順の間、pHを達成し維持するために種々の緩衝液が使用し得る。代表的な緩衝液としては、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、トリス、バルビタール等が挙げられる。用いられる具体的な緩衝液は、本発明に重要でないが、トリスやリン酸緩衝液が好ましい。
患者試料におけるイマチニブ有効成分の量は、NADに変換される試料におけるNADHの変換速度を測定することによって測定することができる。NADHのNADへの変換を測定するあらゆる従来の手段をアッセイを行うために用いることができる。本発明の一実施態様によれば、ADPの形成速度はNADHの消失を分光測光法で上述の波長において、好ましくはNADHの特徴的吸収領域である340nmの波長においてモニタすることによって測定する(Roon et. al. Meth Enzymol., 174:317, 1970; Roon et. al., J Biol. Chem., 247:4107, 1972; Roon et. al., J Biol. Chem., 247:7539, 1972)。上述のアッセイを受けるこの試料における化学療法剤の濃度は、NADHの吸収に正比例する。同様に、本発明のアッセイは、他の化学療法剤を含む他のablタンパク質キナーゼ阻害剤のレベルを決定するために用いることができる。
本発明に従ってアッセイを行う際に、酵素であるablタンパク質チロシンキナーゼを阻害する検体を含有することが疑われる測定量の試料は、酵素、補酵素、ペプチド基質及びNADの既知の濃度と共に用いられる。このようにして、混合物が既知の量又は所定の量の各成分で形成されるので、試料における検体の量を決定する検定及び定量化が達成され得る。このようにして、試料における検体の量の正確な測定が決定され得る。
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明のアッセイによるイマチニブ、イマチニブ塩及びそれらの化学療法的に活性な代謝産物の決定は、単位時間当たりのNADHの吸光度の変化が測定されるレイトアッセイ法によって又は或る時間が経過した後に反応が急冷される終点法によって行うことができる。本方法は、実験又は臨床分析のための自動化されたアナライザに容易に適用することができる。
【0014】
検定物質(calibration material)は、測定される既知の量の検体、即ち、イマチニブ、イマチニブ塩又はそれらの薬理的に活性な代謝産物を含有するあらゆる標準物質又は基準物質を意味する。この検体を含有することが疑わしい試料及び検定物質は、同様の条件下でアッセイされる。その後、不明な試料に対して得られる結果を標準に対して得られる結果と比較することによって検体濃度が算出される。このことは、一般に、薬剤の濃度と340nmの吸光度をプロットする検定曲線を構成することによって行われる。
種々の補助材料は、本発明によるアッセイにおいてしばしば使われる。例えば、緩衝液、並びに分析媒体及び分析成分のための安定剤は、通常はアッセイ媒体に存在する。しばしば、これらの添加剤に加えて、追加のタンパク質、例えば、アルブミン、又は界面活性剤、特に非イオン界面活性剤等を含めてもよい。
検体、即ち、イマチニブ塩又はその活性代謝産物又はablタンパク質-チロシンキナーゼ酵素、好ましくはbcr-ablタンパク質-チロシンキナーゼ又はv-ablタンパク質-チロシンキナーゼの他の阻害剤を含有することがかなり疑われるいかなる試料も、本発明の方法によって分析することができる。試料は、典型的にはホストからの体液のような水溶液、例えば、尿、全血、血漿、血清、唾液、精液、便、痰、脳脊髄液、涙液、粘液等であるが、好ましくは血漿又は血清である。試料は、所望により前処理することができ、アッセイを妨害しないあらゆる都合のよい媒体において調製することができる。水性媒体が好ましい。
検体の量を測定することは定量的、半定量的及び定性的な方法によることができ、他の全ての測定法も検体の量を測定する方法であるとみなされる。例えば、イマチニブ、塩及びそれらの活性代謝産物を含有することが疑われる試料において検体の有無を単に検出する方法は、本発明の範囲内に含まれるとみなされる。用語「検出する」及び「決定する」、並びに他の測定する他の一般的な同義語は、本発明の範囲内で企図される。
本発明の他の態様は、便利にこの検体の決定のための本発明のアッセイ方法を行うために有効なキットに関する。本発明の汎用性を高めるために、本発明の方法に有効な試薬は包装された組合わせ、同一又は別個の容器、液体又は凍結乾燥形で提供することができ、試薬は方法及び分析の実質的な最適化を与える所定の量で存在する。この試薬は、各々別個の容器であってもよく、種々の試薬を、試薬の交差反応性及び安定性によって2つ以上の容器に組合わせることができる。本発明のキットは、ablタンパク質チロシンキナーゼ、PYK酵素及びLH酵素、ポリペプチド(リン酸受容体) ATP、NADH、ホスホエノールピルビン酸(PEP)基質及び反応を最適化する種々の補因子である試薬を含有する。酵素とポリペプチド基質は、一般に、適切な緩衝液及び補助材料と組合わせられ、次に、包装され、その他の基質は、第2試薬を製造するために組合わせられる。この試薬は、液状のままであってもよく、凍結乾燥されてもよい。キットは、更に他の包装された検定材料を含むことができる。
【0015】
本発明のキットは、以下の試薬
a) ablタンパク質キナーゼ酵素;
b) NADH; 及び
c) ablタンパク質キナーゼによってNADHをNADに変換することができるポリペプチド基質、
から構成される。
このキットにおいて、ablタンパク質キナーゼ酵素は、この場合にはATPである基質に必要な活性化合物とは別個の容器で包装しなければならない。しかしながら、NADH及び基質及び補酵素は、1つ又は別個の容器で包装することができる。実際に、基質の試薬の各々は、基質の活性成分、ATPが活性化合物と別個に包装されるとすれば、別個の容器において又はablタンパク質キナーゼ酵素と共に包装されてもよい。
本発明の好ましい実施態様によれば、キットは以下の試薬を含む。
a) ablタンパク質キナーゼを含有する酵素成分;
b) チロシンキナーゼによるリン酸化が可能なチロシン含有ポリペプチド;
c) ピルビン酸キナーゼ;
d) 乳酸デヒドロゲナーゼ;
e) ホスホエノールピルビン酸;
f) NADH; 及び
g) ATP。
本実施態様においては、基質における活性化合物はATPである。それ故、ATP試薬は、ablタンパク質キナーゼ酵素試薬を含有する1つ以上の容器とは別個の容器に保存されなければならない。このように、キットは、少なくとも2つの別個の容器を含有しなければならない。
キットが2つの別個の容器を含有する場合、キットは、ATPを含有する一方の容器と試薬a)、b)、c)、d)、e)、f)を含有するもう一方の容器を含有する。他の実施態様によれば、キットは、3つの容器を含有し、一方はATPを含有し、もう一方の容器は試薬b)、c)、d)、e)、f)、g)を含有し、第3の容器はablタンパク質キナーゼ酵素試薬を含有する。
【0016】
容器が水性液体媒体中に試薬を含有する場合には、キットは、容器の各々に試薬の各々の濃度を示さなければならない。酵素、補酵素、タンパク質基質及びNADHを含む試薬の濃度は、試料における検体、即ち、好ましくはイマチニブ、イマチニブ塩及び/又はそれらの活性代謝産物の量を定量化するのに重要である。容器内の成分が粉末形態にある場合には、容器に含有する各々の試薬の質量は、包装、容器又は包装挿入物上に示さなければならない。このように、本発明の酵素アッセイを行うのに必要な所定量及び/又は濃度の試薬はキットによって供給される。本発明の酵素アッセイを行うのに必要な試薬は、また、従来の緩衝液と安定剤と包装することにより分析手順の間、適当なpHを達成し維持することができる。代表的な緩衝液としては、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、トリス、バルビタール等が挙げられる。用いられる具体的な緩衝液は本発明に重要でないが、トリスやリン酸緩衝液が好ましい。本発明によれば、酵素アッセイを行うのに必要な試薬は液体又は凍結乾燥した形で容器内に存在することができる。
キットは、更に他の包装された検定材料及び/又は対照材料を含むことができる。これらの検定材料及び/又は対照材料は、既知の量の検体を含有するあらゆる標準物質又は基準物質である。本発明の好ましい実施態様によれば、既知量の測定すべき検体を有する試料を含有する1つ以上の別個の容器が供給される。既知量の測定すべき検体を有する1つの試料を使用し得るが、一般的には、既知量又は所定量の検体を各々異なる濃度で含有する3〜5の別個の対照物質又は試料を有することが好ましい。このようにして、曲線を得ることができる。検体の濃度は、未知試料からの結果を標準から得られる結果と比較することによって算出される。測定された量の検体において標準の調整を行う際に、アッセイは不明な量の検体を含有する試料を分析する際に用いられる同一の条件と量を用いて行われる。
【実施例】
【0017】
以下の限定されない実施例によって本発明の更に完全な理解が得られる。
実験略号
ATP アデノシン三リン酸
BSA ウシ血清アルブミン
DTT ジチオトレイトール
EDTA エチレンジアミン四酢酸
LH 乳酸デヒドロゲナーゼ
MgSO4 硫酸マグネシウム
NADH 還元したニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
PEP ホスホエノールピルビン酸
PYK ピルビン酸キナーゼ
KCl 塩化カリウム
TK ablチロシンキナーゼ
TRIS 2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール
下記の実施例において、3つの試薬を調製し、第1試薬は2つの酵素PYK及びLHとウシ血清アルブミン(BSA)、PEP、NADを含み、第2試薬はTKを含み、第3試薬はATP、PEP、PYK、LH、NADHを含む。実施例において、酵素に対するBSAの既知の安定化作用により、BSAと、PYK及びLHを含有する第1試薬とを合わせたが、代わりにBSAを基質試薬ビンに取込むこともできる。他の組合わせや変動もまた、当業者に示すことができる。
【0018】
実施例1
GST-ablキナーゼの発現と精製
菌株、BL21(DE3) LysS発現GST-ablキナーゼの細胞を3L LB、100ug/mlアンピシリン中で28℃においてOD600 = 0.5まで増殖し、0.5mM IPTGで20時間誘導した。(Foulkes et. al. J. Biol Chem 260(13), pp 8070-8077, 1985 al. Oncogene 15, pp 2249-2254, 1997)。
細胞を遠心分離によって集め、D-PBS w/o Ca2+/Mg2+含有0.4%のTriton-X-100(緩衝液A)に再懸濁させた。その後、細胞を完全なEDTA不含プロテアーゼインヒビター反応混液(Roche)の存在下で音波処理によって溶解した。溶解物を、35,000×gで30分間遠心分離し、続いて0.22μmの酢酸セルロース膜(コーニング)でろ過することにより透明にした。
GST-ablキナーゼを、1mLのGSTRAP HPカラムを用いたFPLC (Amersham Biosciences)によって精製した。緩衝液Aでカラムを平衡にした後、溶解物(〜300ml)を0.22mL/分の流速で一晩装填した。カラムを、各々10容積の緩衝液Aと緩衝液B (D-PBS w/o Ca2+/Mg2+)で連続して洗浄した。タンパク質を、1容積の80%グリセロールで補充した緩衝液C(100mMトリスpH 8.0、150mM NaCl、30mM還元グルタチオン)で溶離し、-20℃で保存した。
【0019】
実施例2
結合酵素反応を用いることによるチロシンキナーゼのメシル酸イマチニブ阻害の検出
試料中のメシル酸イマチニブによるTKの阻害を検出するために、以下の3つの試薬をマイクロキュベット(試料複製につき1つ)で混合し、試料と37℃でインキューベートした。試薬の添加、キュベットのインキュベーション及び340nmにおける吸光度表示による反応のモニタリングを自動ベンチトップ型臨床アナライザ(COBAS MIRA, Roche Diagnostics Corp.、インディアナポリス)で達成した。このアナライザを自動化の便利さのために用いた。また、いかなるキュベットにも手動添加することによってこのアッセイを達成することができ、混合、37℃におけるインキュベーション及び分光光度計において340nmで測定することができることを可能にした。
緩衝液中に酵素PK(141単位、0.024mg/mL)、LH(74.6単位、2.98単位/mL)及び基質PEP(0.78mg/mL)を含有する第1試薬は、50mMトリス、20.8mg/mL BSA、200mM DTT、144uM EDTA、52mM KCl、9mM MgSO4、pH 8から構成した。150uLの第1試薬をマイクロキュベットに添加した。この試薬を37℃で25秒間インキューベートした後、メシル酸イマチニブ(50mM TRIS緩衝液pH 8に溶解した)を含有する試料を添加した。試料を添加するために20uLの希釈剤(50mM TRIS、pH 8)をアナライザの試料針に吸引し、続いて10uLの試料を吸引した。試料と希釈剤をマイクロキュベットに共に分配し、その後、混合した。反応混合物にTKが存在しないので、反応はこの時点で起こらない。37℃で更に25秒間インキュベートした後、25uLのTK試薬(50mM TRIS緩衝液、1.05mg/mL BSA、100uM DTT、54uM KCl、8.3uM MgSO4、0.14uM EDTA、pH 8中0.5mg/mL TK)に25uLの希釈剤(50mM トリス、pH 8)と添加し、添加後、マイクロキュベットの内容物を混合した。混合物を、37℃で更に25秒間インキューベートした。混合物中にATPがないので反応はまだ起こらない。インキュベーション後、試薬3を添加した: 上記試薬1中3.4mgのATPを添加する。25uLの試薬3に25uLの希釈剤を添加し、続いて混合した。TKによるATPのADPへの変換は、反応キュベットにおいて起こる。ADPの存在下でホスホエノールピルビン酸はPKによってピルビン酸塩に変換する。PKによって生成したピルビン酸塩がある場合には、酵素反応LDは、NADHをNADに還元する。NADHは、340nmで吸収し、25秒毎に1,175秒間読取ることによってその消失をこの波長でモニタした。単位時間につき吸光度-340nmの変化として毎分の反応の速度を吸光度と時間の勾配から算出した。
【0020】
実施例3
メシル酸イマチニブによる標準曲線
メシル酸イマチニブを含有する標準を以下の通りに調製した。4.5mlのリン酸緩衝液(50mM、pH 5.4)に1.8mgのメシル酸イマチニブ(Sequoia Research Products Ltd、英国)を添加した。この溶液を、1:100(20μL/1.88ml)にトリス緩衝液(50mM、pH 8.0)へ希釈して、4000ng/mL溶液を得た。この溶液を続いて希釈して、4000、1000、500、250及び125ng/mLの標準を得た。これらの標準を、実施例2の試料として測定した。各標準のための吸光度(速度)の変化を薬剤の濃度に対してプロットした。薬剤量は、NAD+濃度に反比例し、NADHの濃度に正比例する。未知試料におけるNADHの還元率を既知量のメシル酸イマチニブを含有する標準によるNADHの還元率と比較することによってメシル酸イマチニブの濃度を算出する。
標準曲線の典型的な結果を表1に示す。
【0021】

表1メシル酸イマチニブの標準曲線
【0022】
更に、具体的な状況、材料、組成物、プロセス、1つ又は複数のプロセス工程を本発明の目的、真意及び範囲に適合させるために他の変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NADHのNADへの変換によってイマチニブ、イマチニブ塩及びその化学療法的に活性な代謝産物からなる群より選ばれる化学療法剤の存在を決定するための酵素アッセイであって、以下の工程、
a)前記化学療法剤を含有することが疑われる試料とablタンパク質チロシンキナーゼ及びNADHを含有するポリペプチド基質とを含有する混合物を水性媒体中で形成する工程であって、該基質は、前記酵素によってNADHをNADに変換することができ、前記酵素が基質におけるNADHをNADに変換するのに有効な量で存在することを特徴とする工程;
b)試料中の前記化学療法剤を前記酵素と反応させる条件下で前記混合物をインキューベートする工程; 及び
c)その後、NADに変換されている基質中のNADHの量を測定し、それによって、化学療法剤の存在が決定され得る工程、
を含むことを特徴とするアッセイ。
【請求項2】
前記試料がヒト試料である、請求項1記載の酵素アッセイ。
【請求項3】
前記ablキナーゼ酵素が、v-ablタンパク質チロシンキナーゼ、bcr-ablタンパク質チロシンキナーゼ又はそれらの混合物である、請求項2記載の酵素アッセイ。
【請求項4】
前記化学療法剤がメシル酸イマチニブである、請求項3記載の酵素アッセイ。
【請求項5】
NADHに加えて前記タンパク質基質が、
a) アデノシン三リン酸;
b) チロシンキナーゼによるリン酸化が可能なチロシン含有ポリペプチド;
c) ホスホエノールピルビン酸;
d) 乳酸デヒドロゲナーゼ; 及び
e) ピルビン酸キナーゼ
を含有する、請求項1記載の酵素アッセイ。
【請求項6】
前記ablキナーゼ酵素が、v-ablタンパク質チロシンキナーゼ、bcr-ablタンパク質チロシンキナーゼ又はそれらの混合物である、請求項5記載の酵素アッセイ。
【請求項7】
リン酸化が可能な前記チロシン含有ポリペプチドが、ウシ血清アルブミンである、請求項6記載の酵素アッセイ。
【請求項8】
前記試料中の化学療法剤の量が、該試料においてNADに変換されるNADHの量を同様の分析を用いて既知量の前記化学療法剤を含有する1以上の試料においてNADに変換されるNADHのその量と比較することによって測定される、請求項1記載の酵素アッセイ。
【請求項9】
前記ablキナーゼ酵素が、v-ablタンパク質チロシンキナーゼ、bcr-ablタンパク質チロシンキナーゼ又はそれらの混合物である、請求項8記載の酵素アッセイ。
【請求項10】
NADHに加えて前記基質が、
a) アデノシン三リン酸;
b) チロシンキナーゼによるリン酸化が可能なチロシン含有ポリペプチド;
c) ホスホエノールピルビン酸;
d) 乳酸デヒドロゲナーゼ; 及び
e) ピルビン酸キナーゼ
を含有する、請求項9記載の酵素アッセイ。
【請求項11】
リン酸化が可能な前記チロシン含有ポリペプチドが、ウシ血清アルブミンである、請求項10記載の酵素アッセイ。
【請求項12】
所定の量の以下の試薬:
a) ablタンパク質チロシンキナーゼを含有する第1酵素成分;
b) ピルビン酸キナーゼ;
c) チロシンキナーゼによるリン酸化が可能なチロシン含有ポリペプチド;
d) 乳酸デヒドロゲナーゼ;
e) ホスホエノールピルビン酸;
f) NADH; 及び
g) ATP
を含む酵素アッセイを行うためのキットであって、前記試薬がキットの中に少なくとも2つの別個の容器に包装され、前記ATPが第1酵素成分を含有する1以上の容器と別個の容器内にあることを特徴とするキット。
【請求項13】
前記ablタンパク質が、v-ablタンパク質チロシンキナーゼ、bcr-ablタンパク質チロシンキナーゼ又はその混合物である、請求項12記載のキット。
【請求項14】
前記試薬が、前記容器内に緩衝液と安定剤を含有する水性媒体中に存在する、請求項13記載のキット。
【請求項15】
前記試薬が、2つの別個の容器内に存在し、前記容器の一方がATPを含有し、もう一方の容器が試薬b)、c)、d)、e)、f)及び試薬a)の第1酵素成分を含有する、請求項14記載のキット。
【請求項16】
前記試薬が、3つの別個の容器内に存在し、第1容器がATPを含有し、第2容器が第1酵素成分を含有し及び第3容器がb)、c)、d)、e)及びf)の試薬を含有する、請求項14記載のキット。
【請求項17】
リン酸化が可能な前記チロシン含有ポリペプチドが、ウシ血清アルブミンである、請求項12記載のキット。
【請求項18】
前記キットが、ablタンパク質チロシンキナーゼを阻害する化学療法剤の存在を決定するためにある、請求項12記載のキット。
【請求項19】
前記ablタンパク質が、v-ablタンパク質チロシンキナーゼ、bcr-ablタンパク質チロシンキナーゼ又はそれらの混合物である、請求項18記載のキット。
【請求項20】
前記キットが、所定量の検出すべき化学療法剤を有する試料を含有する追加の別個の容器を含有する、請求項19記載のキット。
【請求項21】
前記試薬が、緩衝液と安定剤を含有する水性媒体中に容器内に存在する、請求項19記載のキット。
【請求項22】
前記試薬が2つの別個の容器内に存在し、前記容器の一方がATPを含有し、もう一方の容器が試薬b)、c)、d)、e)、f)、g)及び試薬a)の第1酵素成分を含有する、請求項19記載のキット。
【請求項23】
前記キットが、所定量の化学療法剤を有する試料を含有する追加の別個の容器を含有する、請求項22記載のキット。
【請求項24】
前記試薬が3つの別個の容器内に存在し、第1容器がATPを含有し、第2容器が第1酵素成分を含有し及び第3容器がb)、c)、d)、e)及びf)の試薬を含有する、請求項19記載のキット。
【請求項25】
前記化学療法剤が、イマチニブ、イマチニブ塩及びそれらの化学療法的に活性な代謝産物である、請求項24記載のキット。
【請求項26】
リン酸化が可能な前記チロシン含有ポリペプチドが、ウシ血清アルブミンである、請求項25記載のキット。
【請求項27】
前記キットが、所定量の化学療法剤を有する試料を含有する別個の容器を含有する、請求項25記載のキット。

【公表番号】特表2008−520239(P2008−520239A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543141(P2007−543141)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/041059
【国際公開番号】WO2006/055453
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507028181)サラダックス バイオメディカル インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】