説明

メタクリル酸エステル系樹脂組成物

【課題】分散不良が生じず、複屈折が小さいメタクリル酸エステル系樹脂組成物およびその製造方法ならびに前記透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物からなる樹脂フイルムを提供すること。
【解決手段】メタクリル酸エステル系重合体およびジアセタール化合物を含有する透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物、メタクリル酸エステル系重合体とジアセタール化合物とを混合し、メタクリル酸エステル系重合体の軟化温度以上の温度でかつメタクリル酸エステル系重合体の分解温度以下の温度に加熱することを特徴とする透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物の製造方法、前記透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物からなる樹脂フイルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタクリル酸エステル系樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、例えば、液晶ディスプレイに用いられる偏光板保護フイルムなどの光学フイルムなどの原料として好適に使用することができるメタクリル酸エステル系樹脂組成物およびその製造方法ならびに該メタクリル酸エステル系樹脂組成物からなる樹脂フイルムに関する。
【背景技術】
【0002】
複屈折とは、光線がある物質を透過したときに、その偏波方向によって屈折率、すなわち光の伝播速度が異なる現象である。ポリメチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル系樹脂に代表される光学樹脂は、その屈折率を制御することにより、液晶ディスプレイをはじめとする用途に使用することができる。
【0003】
メタクリル酸エステル系樹脂の複屈折を制御するために、従来、メタクリル酸エステル系樹脂に脂肪族ポリエステル系樹脂などの異種化合物を添加し、その複屈折を制御することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、脂肪族ポリエステル系樹脂の多くはメタクリル酸エステル系樹脂と非相溶であることから、両者を混合すると相分離構造を形成し、屈折率差によって光が散乱するという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−227090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、分散不良が生じず、複屈折が小さいメタクリル酸エステル系樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)メタクリル酸エステル系重合体および式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示し、R5は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基または炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基を示す)
で表されるジアセタール化合物を含有してなる透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物、
【0010】
(2)メタクリル酸エステル系重合体がメタクリル酸エステルを主成分とする重合体である前記(1)に記載のメタクリル酸エステル系樹脂組成物、
【0011】
(3)メタクリル酸エステル系重合体100質量部あたりのジアセタール化合物の量が0.1〜30質量部である前記(1)または(2)に記載のメタクリル酸エステル系樹脂組成物、
【0012】
(4)前記(1)〜(3)のいずれか記載のメタクリル酸エステル系樹脂組成物からなる樹脂フイルム、
【0013】
(5)メタクリル酸エステル系重合体および式(I):
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示し、R5は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基または炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基を示す)
で表されるジアセタール化合物を混合し、メタクリル酸エステル系重合体の軟化温度以上の温度でかつメタクリル酸エステル系重合体の分解温度以下の温度に加熱することを特徴とする透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物の製造方法、および
【0016】
(6)メタクリル酸エステル系重合体100質量部あたりのジアセタール化合物の量が0.1〜30質量部である前記(5)に記載のメタクリル酸エステル系樹脂組成物の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物は、分散不良が生じず、複屈折が小さいという優れた効果を奏する。また、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物の製造方法によれば、分散不良が生じず、複屈折が小さい透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物を製造することができる。したがって、本発明の透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物は、例えば、液晶ディスプレイに用いられる偏光板保護フイルムなどの光学フイルムに好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物は、メタクリル酸エステル系樹脂および式(I):
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示し、R5は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基または炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基を示す)
で表されるジアセタール化合物(以下、単に「ジアセタール化合物」ともいう)を含有する。
【0021】
好適なメタクリル酸エステル系樹脂としては、メタクリル酸エステルを主成分とする重合体が挙げられる。ここで、本明細書にいう「メタクリル酸エステルを主成分とする」とは、メタクリル酸エステル系重合体の原料モノマーにおけるメタクリル酸エステルの含有量が50質量%以上であることを意味する。メタクリル酸エステル系重合体の原料モノマーにおけるメタクリル酸エステルの含有率は、メタクリル酸エステル系重合体の耐熱性および透明性を高める観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0022】
メタクリル酸エステルを主成分とする重合体の代表例としては、メタクリル酸エステル単独重合体、およびメタクリル酸エステルと他の単量体を含有し、メタクリル酸エステルを主成分とする原料モノマーを重合させることによって得られるメタクリル酸エステル系共重合体が挙げられる。
【0023】
好適なメタクリル酸エステルとしては、加熱溶融時における流動性および耐熱分解性を高める観点から、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリルなどのエステル部分におけるアルキル基の炭素数が1〜18であるメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニルなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらのメタクリル酸エステルは、加熱溶融時における流動性、耐熱分解性に優れている。
【0024】
前記メタクリル酸エステルのなかでは、入手が容易なことから、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸トリデシルおよびメタクリル酸ステアリルが好ましい。また、耐熱性の観点から、エステル部分におけるアルキル基の炭素数が1〜4であるメタクリル酸アルキルエステルがより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。
【0025】
なお、メタクリル酸エステル単独重合体において、その原料モノマーとして、前記メタクリル酸エステルのうちの1種類が用いられる。原料モノマーとして、2種類以上のメタクリル酸エステルが用いられている場合には、メタクリル酸エステル系重合体は、メタクリル酸エステル共重合体となる。
【0026】
メタクリル酸エステルと他の単量体を含有し、メタクリル酸エステルを主成分とする原料モノマーを重合させることによって得られるメタクリル酸エステル系共重合体としては、前記メタクリル酸エステルのうちの1種類以上と他の単量体とを含有し、メタクリル酸エステルを主成分とする原料モノマーを重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。メタクリル酸エステル系共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、あるいはブロック共重合体であってもよい。メタクリル酸エステルを主成分とする原料モノマーを重合させることによって得られるメタクリル酸エステル系共重合体は、通常、ランダム共重合体であり、このランダム共重合体は、商業的に容易に入手することができる。
【0027】
前記他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸ペンタフルオロエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トールイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸3−ジメチルアミノエチルなどの他のアクリル酸エステル;メタクリル酸、アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステルなどの不飽和ジカルボン酸化合物またはその誘導体;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロプレンなどのハロゲン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのケイ素含有不飽和化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他のモノマーは、それぞれ単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0028】
前記他のモノマーの中では、耐熱性の観点から、アクリル酸アルキルエステルおよびシアン化ビニル化合物が好ましく、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜4であるアクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルがより好ましい。
【0029】
メタクリル酸エステル系重合体の原料モノマーにおける前記他のモノマーの含有率は、メタクリル酸エステル系共重合体の耐熱性および透明性を高める観点から、50質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0030】
本発明においては、原料モノマーとしてメタクリル酸メチルを主成分とするメタクリル酸エステル系重合体が耐熱性および透明性の観点から好ましい。
【0031】
メタクリル酸エステル系重合体の原料モノマーの重合方法は、特に限定されないが、その方法の例として、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法などが挙げられる。
【0032】
メタクリル酸エステル系重合体のメルトフローレート(230℃、37.3N)は、特に限定されないが、メタクリル酸エステル系重合体の加熱溶融時における流動性を高める観点から、好ましくは0.5g/10min以上、より好ましくは1.5g/10min以上であり、メタクリル酸エステル系重合体の機械的強度を高める観点から、好ましくは30g/10min以下、より好ましくは25g/10min以下である。なお、メタクリル酸エステル系重合体のメルトフローレートは、重合温度、重合開始剤および連鎖移動剤の種類や量を調整することによって容易に調節することができる。
【0033】
なお、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、メタクリル酸エステル系重合体以外の他の重合体が含まれていてもよい。
【0034】
本発明においては、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物がジアセタール化合物を含有している点に、1つの大きな特徴がある。本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物は、ジアセタール化合物を含有しているので、従来の異種化合物を用いたときのような分散不良を生じずに、その複屈折が小さいという優れた効果を奏する。なお、複屈折には、分子の巨視的な配向によって生じる配向複屈折、およびガラス状態における応力下で側鎖のひずみなどの局所的な変形によって生じる光弾性複屈折が挙げられるが、本発明によれば、それらをいずれも低減することができる。
【0035】
式(I)で表されるジアセタール化合物において、R1、R2、R3およびR4は、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示す。
【0036】
1、R2、R3およびR4は、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物におけるジアセタール化合物の分散性を高め、複屈折を小さくする観点から、R1、R2、R3およびR4は、同一又は異なり、それぞれ、水素原子であるかまたは炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、R1およびR2の一方が水素原子であり、他方が水素原子であるかまたは炭素数1〜4のアルキル基であり、R3およびR4の一方が水素原子であり、他方が水素原子であるかまたは炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、R1、R2、R3およびR4がいずれも水素原子であることがさらに好ましい。
【0037】
また、R5は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基または炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基を示す。
【0038】
5は、メタクリル酸エステル系樹脂組成物におけるジアセタール化合物の分散性を高め、複屈折を小さくする観点から、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルケニル基であることが好ましく、水素原子であるかまたは炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。
【0039】
式(I)で表されるジアセタール化合物としては、例えば、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−tert−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−tert−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−tert−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、
【0040】
1,3:2,4−ビス−O−(o−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−エチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−イソプロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、
【0041】
1,3:2,4−ビス−O−(o−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−モノクロロメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−モノクロロメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−モノクロロメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−モノブロモメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−モノブロモメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−モノブロモメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−トリクロロメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−トリクロロメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−トリクロロメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−トリブロモメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−トリブロモメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−トリブロモメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、
【0042】
1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−エチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−クロロベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−メチルベンジリデン−2,4−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−エチルベンジリデン)−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−クロロベンジリデン)−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、
【0043】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、
【0044】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、
【0045】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、
【0046】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、
【0047】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−(2’−クロロプロピル)ソルビトール、
【0048】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−(2’−ブロモプロピル)ソルビトール、
【0049】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−(3’−クロロプロピル)ソルビトール、
【0050】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−(3’−ブロモプロピル)ソルビトール、
【0051】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジクロロプロピル)ソルビトール、
【0052】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−(2’3’−ジブロモプロピル)ソルビトールなどが挙げられる。これらのジセタール化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0053】
前記例示のなかでは、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物におけるジアセタール化合物の分散性を高め、複屈折を小さくする観点から、1,3:2,4−O−ジベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、
【0054】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−アリルソルビトールおよび1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトールが好ましく、
【0055】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトールおよび1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−アリルソルビトールがより好ましく、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトールおよび1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトールがさらに好ましい。
【0056】
ジアセタール化合物は、例えば、新日本理化(株)製、商品名:ゲルオールDなどとして商業的に容易に入手することができるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0057】
メタクリル酸エステル系重合体100質量部あたりのジアセタール化合物の量は、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物におけるジアセタール化合物の分散性を高め、複屈折を小さくする観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、耐熱性を高める観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
【0058】
本発明の透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物は、メタクリル酸エステル系重合体およびジアセタール化合物を混合し、メタクリル酸エステル系重合体の軟化温度以上の温度でかつメタクリル酸エステル系重合体の分解温度以下の温度に加熱することによって調製することができる。このとき、メタクリル酸エステル系重合体およびジアセタール化合物を混合した後に、メタクリル酸エステル系重合体の軟化温度以上の温度でかつメタクリル酸エステル系重合体の分解温度以下の温度に加熱してもよく、あるいはメタクリル酸エステル系重合体を該メタクリル酸エステル系重合体の軟化温度以上の温度でかつメタクリル酸エステル系重合体の分解温度以下の温度に加熱した後、これにジアセタール化合物を添加して混合してもよい。
【0059】
メタクリル酸エステル系重合体とジアセタール化合物との混合物は、溶融しているメタクリル酸エステル系重合体にジアセタール化合物を溶解させるために、メタクリル酸エステル系重合体の軟化温度以上の温度に加熱される。前記混合物をメタクリル酸エステル系重合体の軟化温度以上の温度に加熱すると、メタクリル酸エステル系重合体が軟化するが、この軟化したメタクリル酸エステル系重合体は、ジアセタール化合物に対して溶媒として機能することから、ジアセタール化合物は、軟化したメタクリル酸エステル系重合体に溶解する。なお、メタクリル酸エステル系重合体の軟化温度は、該メタクリル酸エステル系重合体の種類によって異なるので、該メタクリル酸エステル系重合体の軟化温度に応じた加熱温度を選択することが好ましい。
【0060】
また、メタクリル酸エステル系重合体とジアセタール化合物との混合物の加熱温度の上限値は、メタクリル酸エステル系重合体の分解を防止する観点から、該メタクリル酸エステル系重合体の分解温度以下の温度である。なお、ジアセタール化合物の分解温度(300℃以上)は、通常、メタクリル酸エステル系重合体の分解温度よりも高いことから、前記混合物の加熱温度の上限値は、メタクリル酸エステル系重合体の分解温度によって決まる。
【0061】
メタクリル酸エステル系重合体およびジアセタール化合物を混合し、メタクリル酸エステル系重合体の軟化温度以上の温度でかつメタクリル酸エステル系重合体の分解温度以下の温度に加熱した後は、例えば、攪拌、混練などの手段により、軟化したメタクリル酸エステル系重合体中にジアセタール化合物を溶解させて均一に分散させることが好ましい。
【0062】
次に、得られた混合物を冷却することにより、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物が得られる。このように前記混合物を冷却するとき、メタクリル酸エステル系重合体に溶解していたジアセタール化合物が自己組織化し、繊維状となって析出すると考えられる。このことから、メタクリル酸エステル系樹脂中にジアセタール化合物が均一に分散し、複屈折が小さく、透明性を有するメタクリル酸エステル系樹脂組成物が得られる。前記混合物の冷却温度は、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物の透明性を高める観点から、好ましくは60℃以下、より好ましくは室温程度の温度である。
【0063】
本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物は、一般的な熱可塑性樹脂からなる複合材料の製造方法によって製造することができ、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物の製造方法には特に限定がない。本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物を製造する際には、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール混練機、溶媒混合などを用いることができる。
【0064】
本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物の成形方法は、任意である。本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物を、例えば、液晶ディスプレイの保護フイルムの原料として用いる場合には、フイルム形状に成形することが好ましい。フイルム形状に成形する方法としては、例えば、溶液キャスト法、Tダイ成形法、インフレーション成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示にのみ限定されるものではない。これらの成形方法のなかでは、Tダイ成形法および圧縮成形法は、溶媒を使用しないことから環境に優しく、フイルムの厚さを精度よく制御することができるので、好ましい。
【0065】
本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物をTダイ成形法やインフレーション成形法などの溶融押出成形法によって製造する場合、メタクリル酸エステル系重合体およびジアセタール化合物を混合し、得られた混合物をメタクリル酸エステル系重合体の軟化温度以上の温度でかつメタクリル酸エステル系重合体の分解温度以下の温度に加熱して溶融混練し、得られた混練物を押出成形機で所定形状に成形した後、冷却することにより、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物が形成された成形体を製造することができる。
【0066】
前記樹脂フイルムの厚さは、その用途などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、好ましくは10〜500μm程度、より好ましくは50〜200μm程度である。
【0067】
前記樹脂フイルムは、Tダイ成形法やインフレーション成形法などの溶融押出成形法によって製造した場合であっても、複屈折が小さいという利点を有する。なお、溶融押出成形法によって与えられる複屈折の程度は、圧縮成形によって成形された樹脂フイルムを加熱延伸することによって得られる樹脂フイルムの複屈折で評価することができる。特に、樹脂フイルムの貯蔵弾性率(E’)が10MPa(10Hz)となる温度で一軸延伸することによって得られる樹脂フイルムの複屈折は、溶融押出によって成形される樹脂フィルムの複屈折と対応しているので、好んで評価に用いられている〔参考文献:Acta Materialia,57(3),823−829(2009)〕。
【0068】
なお、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物には、必要により、例えば、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、発泡剤、滑剤、充填剤、着色剤、可塑剤などの添加剤を本発明の目的が阻害されない範囲内で含まれていてもよい。
【0069】
以上のようにして得られる本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物は、ジアセタール化合物の分散不良が生じず、複屈折が小さいので、例えば、液晶ディスプレイに用いられる偏光板保護フイルムや位相差フイルムなどの光学フイルムに好適に使用することができる。
【0070】
なお、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物の透明性は、該メタクリル酸エステル系樹脂組成物を樹脂フイルムに成形し、ヘイズメーターによって調べることができる。厚さが300μmの樹脂フイルムのヘイズ値が10%以下であるとき、メタクリル酸エステル系樹脂組成物は透明であると評価することができる。
【実施例】
【0071】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0072】
実施例1および2
クロロホルム50mLに、ポリメチルメタクリレート〔三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペットV〕6gを溶解させ、得られた溶液に1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール〔新日本理化(株)製、商品名:ゲルオールD〕を表1に示す量で分散させた後、薄く塗布し、室温で1日中溶媒を飛ばして乾燥させることにより、ブレンドフイルムを作製した。得られたブレンドフイルムには、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトールは、ポリメチルメタクリレートに溶解せずに粉末の状態で分散している。
【0073】
圧縮成形機〔テスター産業(株)製、圧縮試験機〕を用いて前記で得られたブレンドフイルムを無加圧の状態で240℃の温度で2.5分間加熱し、10MPaの圧力で2.5分間加圧した後、25℃に冷却することにより、メタクリル酸エステル系樹脂組成物を樹脂フイルム(フイルムの厚さ:約300μm)として得た。
【0074】
ヘイズメーター〔(株)東洋精機製作所製、品番:直読式ヘイズメーター〕を用いて樹脂フイルムのヘイズ値を測定したところ、実施例1で得られた樹脂フイルムでは5%、実施例2で得られた樹脂フイルムでは6%であることから、各実施例で得られた樹脂フイルムは、いずれも透明であることが確認された。このことから、各実施例で得られた樹脂フイルムでは、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトールがポリメチルメタクリレートに均一に分散していることがわかる。
【0075】
次に、樹脂フイルムを長さ10mm、幅5mmに裁断し、サンプルを作製した。前記サンプルを引張型冶具に取り付けて固体粘弾性測定装置〔(株)ユービーエム社製、商品名:Rheogel−E4000〕に装着し、貯蔵弾性率(E’)が10MPa(10Hz)となる温度、具体的には表1に示す延伸温度で引張速度0.5mm/sにて、延伸倍率が1.0倍、1.5倍または2.0倍となるように一軸延伸を行なった。
【0076】
一軸延伸されたサンプルの物性として、配向複屈折および光弾性複屈折を以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0077】
〔配向複屈折〕
Bコンペンセーターを備えた偏光顕微鏡〔ライカ(Leica)社製、品番:DMPL〕を用いてサンプルの複屈折を測定した。
【0078】
〔光弾性複屈折〕
複屈折を測定するときに応力を測定した。応力の測定時の温度は、室温(約25℃)とし、延伸速度0.01mm/sで1%だけ延伸し、そのときの複屈折を測定した。光弾性係数は、式:Δn=C×σ(式中、Δnは複屈折、Cは光弾性係数、σは応力を示す)に基づいて求めた。
【0079】
比較例1
実施例1において、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール(以下、BDSという)を使用しなかったことを除き、実施例1と同様にして一軸延伸されたサンプルを得た。得られた一軸延伸されたサンプルの物性として、配向複屈折および光弾性複屈折を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
表1に示された結果から、延伸倍率が増加するにしたがって、複屈折の絶対値が大きくなることがわかる。また、実施例1および2と比較例1との対比から、メタクリル酸エステル系樹脂にBDSを添加することにより、配向複屈折および光弾性係数の絶対値が小さいことがわかる。配向複屈折の絶対値が小さいことは溶融押出成形によって得られる樹脂フイルムの光学異方性が小さくなることを示唆しており、また、光弾性係数の絶対値が小さいことは使用環境において応力や変形が加わっても複屈折が生じないことを示している。これらの特性は、いずれも液晶ディスプレイに用いられる偏光板保護フイルムなどの光学フイルムに適している。
【0082】
また、表1に示された結果から、メタクリル酸エステル系樹脂に添加されるBDSの量が増加するにしたがって、光弾性係数が小さくなることがわかる。このことから、メタクリル酸エステル系樹脂にBDSを添加することにより、光弾性複屈折を抑制することができることがわかる。
【0083】
実施例3
ポリメチルメタクリレート〔三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペットV〕6gと1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール〔新日本理化(株)製、商品名:ゲルオールD〕0.48gを混合し、230℃に設定したインターナルミキサー〔(株)東洋精機製作所製、商品名:ラボプラストミル〕で3分間溶融混練した。得られた溶融混練物を実施例1と同様の方法で圧縮成形により、約300μmである樹脂フイルムを製造した。
【0084】
ヘイズメーター〔(株)東洋精機製作所製、品番:直読式ヘイズメーター〕を用いて樹脂フイルムのヘイズ値を測定したところ、ヘイズ値が7%であることから、この樹脂フイルムは、透明であることが確認された。このことから、この樹脂フイルムでは、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトールがポリメチルメタクリレートに均一に分散していることがわかる。
【0085】
次に、この樹脂フイルムを用い、実施例1と同様にして配向複屈折および光弾性複屈折を測定したところ、各延伸倍率における配向複屈折および光弾性係数は、いずれも、実施例1と同様であることが確認された。
【0086】
以上の結果から、本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物は、分散不良が生じず、複屈折が小さいので、例えば、液晶ディスプレイに用いられる偏光板保護フイルムなどの光学フイルムに好適に使用することができることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明のメタクリル酸エステル系樹脂組成物は、例えば、液晶ディスプレイに用いられる偏光板保護フイルムなどの光学フイルム、反射防止フイルム、位相差フイルム、視野角補償フイルム、透明電極フイルム、ディスプレイ表面保護フイルム、プラスチック基板用フイルムなどに好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル酸エステル系重合体および式(I):
【化1】

(式中、R1、R2、R3およびR4は、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示し、R5は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基または炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基を示す)
で表されるジアセタール化合物を含有してなる透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物。
【請求項2】
メタクリル酸エステル系重合体がメタクリル酸エステルを主成分とする重合体である請求項1に記載のメタクリル酸エステル系樹脂組成物。
【請求項3】
メタクリル酸エステル系重合体100質量部あたりのジアセタール化合物の量が0.1〜30質量部である請求項1または2に記載のメタクリル酸エステル系樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載のメタクリル酸エステル系樹脂組成物からなる樹脂フイルム。
【請求項5】
メタクリル酸エステル系重合体および式(I):
【化2】

(式中、R1、R2、R3およびR4は、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示し、R5は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基または炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基を示す)
で表されるジアセタール化合物を混合し、メタクリル酸エステル系重合体の軟化温度以上の温度でかつメタクリル酸エステル系重合体の分解温度以下の温度に加熱することを特徴とする透明性メタクリル酸エステル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
メタクリル酸エステル系重合体100質量部あたりのジアセタール化合物の量が0.1〜30質量部である請求項5に記載のメタクリル酸エステル系樹脂組成物の製造方法。

【公開番号】特開2010−254730(P2010−254730A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102703(P2009−102703)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(304024430)国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 (169)
【出願人】(000191250)新日本理化株式会社 (90)
【Fターム(参考)】