メタルOリング及びその製造方法
【課題】割れの発生を抑制し、耐久性に優れたメタルOリングを提供する。
【解決手段】横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面2の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されている。
【解決手段】横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面2の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルOリング及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高温・高圧等の過酷な条件下で、流体を密封する部材として、金属製のチューブを引抜加工して所定の線径に縮径したチューブを、横断面が閉円環状に形成したメタルOリングが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−190675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載のようなメタルOリングは、次のような問題があった。即ち、圧力変動が大きい高サイクル環境下でメタルOリングを使用した場合、図9及び図12と図14に示すような割れWが発生した。当然ながら割れWが発生すると、メタルOリングのシール能力は著しく劣化し、本来必要な機能を失う。従来のメタルOリングを、車載用のエンジンに使用した場合、十分に流体を密封できず、エンジン性能を低下させる虞れがあった。
【0004】
そこで、本発明は、上述のような過酷な条件下における割れの発生を抑制し、耐久性に優れたメタルOリングの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のメタルOリングは、横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されているものである。
【0006】
また、圧力変動が大きく高サイクル環境下の内燃機関で使用され、横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されているものである。
【0007】
また、内燃機関が、車載用エンジンである。
また、外面に金属めっき層を有する。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明のメタルOリングの製造方法は、金属製チューブを段階的に縮径するように複数引抜工程をもって引抜加工を行い、その後、全体形状閉環状に接続するメタルOリングの製造方法に於て、上記複数引抜工程の内の最終段引抜工程、及び/又は、最終一歩手前引抜工程が、上記チューブの内面の加工皺抑制のためのフローティングプラグを上記チューブに内挿して引抜加工を行う方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のメタルOリングによれば、高温・高圧、かつ、圧力変動が大きく、しかも、高サイクル環境下に於て、疲労による割れを発生させることなく長期に安定した高いシール性能を発揮することができる。
【0010】
また、本発明のメタルOリングの製造方法によれば、内面に加工皺を発生させず、内面の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成できる。つまり、高温・高圧、かつ、圧力変動が大きくて高サイクルである環境下に於て、疲労による割れを発生させることなく長期に安定した高いシール性能を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1は、本発明のメタルOリングの実施の一形態を示す全体図であり、図2は、図1のA−A拡大断面図である。
図1に示すように、メタルOリングは、全体の外径寸法Dが5〜500 mmの閉円環状に形成されている。メタルOリングの材質は、耐食性に優れたステンレス鋼(SUS316等、特に溶接安定性にも優れたオーステナイト系ステンレス鋼)や、耐熱性に優れたニッケル基合金等を使用する。
図2に示すように、メタルOリングの横断面は、円形であり、このメタルOリングの内面2は、(後述の)加工皺を極微小に抑えて、その表面粗さをRmax を5.0 μm以下として、平滑に形成されている。なお、本発明に於て、表面粗さRmax とは、断面曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から最も高い山頂までの高さと最も低い谷底までの深さとの和を表した最大高さである。
メタルOリングの外面3は、シール性能を向上させる為の金属めっき層4を表面被覆している。金属めっき層4は、軟質金属(例えば、銀等)をメッキ処理あるいは蒸着し、被接触部材とのなじみ性を向上させるものである。
【0012】
上述した本発明のメタルOリングの使用方法(作用)について説明する。
図5は、メタルOリングの使用の一つの形態を示す拡大要部断面図である。図5に示すように、メタルOリングは、平行に対向する平坦面12,13に挟まれるように装着される。自由状態下では、図2のように横断面円形であったものが、相互に接近した組付けられる2部材の平坦面12,13によって、図5に示すように長円形に弾性的に変形し、平坦面12,13に密接(圧接)するが、このとき、矢印Pにて示す圧力分布をもって、密接する。車載用エンジン等の内燃機関に好適であって、図5中の矢印Pe は、圧力を示し、内燃機関である場合には、激しく変動する圧力として作用し、しかも、短い使用期間にあっても高サイクルの圧力変動を経ることとなる。
なお、メタルOリングの外面3は、金属めっき層4を被覆形成しているので、平坦面12,13に対して、なじみ性に優れ、密封性能を一層高めることができる。
【0013】
そして、本発明に係るメタルOリングは、図5に示すように、平坦面12,13からの圧力Pを受け、かつ、激しく高サイクルで変動する圧力Pe を受けるが、上述のように、内面2は、その表面粗さRmax を、 5.0μmの平滑状態としたことにより、従来の図12に示したような割れ(亀裂)Wを防止可能である。即ち、内面2が平滑であることによって、高サイクル疲労(金属疲労)を確実に防ぐことができる。このように、耐久性に優れ、長期の使用に耐えることができるメタルOリングを実現できる。図12は従来のメタルOリングの横断面の顕微鏡写真であり、また、図13(A)は従来のメタルOリングの内面の顕微鏡写真であり、(後述の)引抜加工時の加工皺が発生していることが明らかである。これに対し、図13(B)は本発明の実施品のメタルOリングの内面の顕微鏡写真であって、加工皺がほとんど無く、平滑状態であることが判る。
【0014】
ここで、本発明に係るメタルOリングの製造方法について説明する。図4(A),(B)又は(C)に於て、金属製チューブ1を段階的に順次縮径するように、複数引抜工程(i)(ii)(iii)(iv)をもって引抜加工し、その後、所定長さに切断して、切断端部を相互に突合わせし、全体形状閉環状に(溶接又はろう付け等にて)接続する。図4に於て、第1工程(i) 用の素材チューブ1Aは、表面研磨した帯板材を縦添状に丸めて長手方向合わせ目を溶接した管材、又は、中実棒の軸心にドリル孔を形成した管材を使用する。前者は一般にセミシームレスチューブと呼ばれ、後者はシームレスチューブと呼ばれる。
【0015】
ところで、メタルOリングの横断面外径寸法do が1mm〜3mmと極めて小さい場合には、本発明の製造方法では、図4(A)に斜線をもって示すように、及び、図3に示すように、フローティングプラグ11をチューブ1に内挿して、最終段引抜工程(iv)の引抜加工を行う。又は、図4(B)に示すように、最終一歩手前引抜工程(iii) の引抜加工を、フローティングプラグ11をチューブ1に内挿して行う。あるいは、図4(C)に示すように、最終一歩手前引抜工程(iii) 及び最終段引抜工程(iv)の両方に、フローティングプラグ11を使用する。
【0016】
このフローティングプラグ11は、従来の図13(A)に示した加工皺の発生を抑制するための作用をなす。図3に示すように、引抜方向Fに縮径するダイス孔14を有するダイス10と、浮遊状態で被加工用チューブ1に内挿されるフローティングプラグ11を備えた引抜治具にて、引抜加工を行うが、ダイス孔14はその出口14b近傍に内径寸法が同一のストレート部15を有し、入口14aから、ストレート部前端までは、次第に縮径するテーパ部16を有している。他方、フローティングプラグ11は、大径ストレート部21とテーパ部22と小径ストレート部23を順に有する弾丸形であり、図3の左から右へ送られてくる(引抜きされる)チューブ1は、両テーパ部16,22により、外径寸法do が減少すると共に、肉厚寸法tも減少するように塑性変形し、両ストレート部15,23によって引抜加工後のチューブ1の内径・外径寸法を高精度に仕上げることが可能であり、同時に、図12及び図13(A)に示したような従来のチューブ(メタルOリング)の内面に生じていた加工皺の発生を有効に抑制できる。機械研磨や電解研磨等によってチューブ内面を平滑とするには、内径寸法di が所定値以上であることを要する。メタルOリングの横断面内径寸法di が、 0.5mm〜 2.5mm程度の極めて小さいものを製造する場合、フローティングプラグ11を、図4にて述べたように、最終段引抜工程(iv)、又は、最終一歩手前引抜工程(iii) に用い、又は、両工程(iii)(iv) に用いることは、従って、極めて望ましい方法と言える。なお、最終製品としてのメタルOリングの横断面内径寸法が余りにも小さく、最終段引抜工程(iv)における内径寸法di を特に小さくする必要がある場合に、図4(B)に示す製造方法が好適となる。言い換えると、メタルOリングの横断面外径寸法do が同一の場合に、肉厚寸法tが厚い場合には、図4(B)の製造方法となり、肉厚寸法tが薄い場合には、図4(A)又は(C)の製造方法となる。
【0017】
図4に於て、素材チューブ1Aとしてセミシームレスチューブを用いると内面が予め表面研磨されているので素材チューブ1Aとして好適である。なお、工程(i)(ii) を一つ減じたり、逆に、増やすことも可能である(図示省略)。また、シームレスチューブの場合には、図4中の工程(i)(ii) を増やすのが望ましく、トータルで6〜7工程にて引抜加工を行う。なお、図4の(i)(ii) 工程にもフローティングプラグを使用する場合もある。
【0018】
上述した(図4の)引抜加工工程(i) 〜(iv)の後に、チューブ1を所定長さに切断し、両切断端面同士を突き合わせ溶接(バット溶接,TIG溶接,レーザー溶接)又は冷間圧接を行って、閉円環状に形成し、溶接部(圧接部)のバリ取りを行い、外面3を研磨等の表面仕上げしてメタルOリングが得られる。次に、(所望により)外面3にメッキ処理を行って、図2と図5に示すように、金属めっき層4を有するOリングとする。
【0019】
ところで、メタルOリングの全体の形状は、図1に示した円形の他に、図6(A)に示した角部17をアール状とした略矩形としたり、図6(B)のような長円形状(トラック形状)とし、又は、図7のような平行四辺形状や、図8の三角形状とするも、自由である。
【0020】
上述した図4(C)の方法によって製造した実施例1のメタルOリングと、従来の方法で製造した従来例1,2のメタルOリングと、の内面の表面粗さRmax を測定した結果を図10に示す。
なお、実施例1及び従来例1,2の外径寸法do は1.57mmであり、内径寸法di は1.07mmであり、肉厚寸法tは0.25mmである。
図10(A)は、上述した方法にて製造した実施例1のメタルOリングの内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。つまり、図4(C)に示すように、製造過程で引抜加工を全部で4回行い、最終と最終一歩手前の引抜加工にフローティングプラグ11を使用したものである。
図10(B)は、セミシームレスのチューブで製作したメタルOリング(従来例1)の内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。なお、製造過程で引抜加工を全部で4回行い、そのいずれにもフローティングプラグ11を使用していないものである。
図10(C)は、シームレスのチューブで製作したメタルOリング(従来例2)の内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。なお、製造過程で引抜加工を全部で7回行い、そのいずれにもフローティングプラグ11を使用していないものである。
図10に示すように、実施例1は、表面粗さRmax が1.59μmであり、従来例1の9.93μmと比べ約1/6 倍となっている。また、従来例2の13.16 μmと比べれば約1/8 倍となっている。このように、最終工程(iv)までフローティングプラグ11を使用して引抜加工を行った実施例1のメタルOリングの内面は、平滑に形成されていることが判る。
【0021】
次に、上述した図4(B)の方法によって製造した実施例2のメタルOリングと、従来の方法で製造した従来例3,4のメタルOリングと、の内面の表面粗さRmax を測定した結果を図11に示す。なお、実施例2及び従来例3,4の外径寸法do は図10と同じく1.57mmであり、内径寸法di は0.87mmであり、肉厚寸法tは0.35mmである。
図11(A)は、上述した方法にて製造した実施例2のチューブ1の内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。なお、製造過程で引抜加工を全部で4回行い、図4(B)に示す如く、最終一歩手前工程(iii) でのみフローティングプラグ11を使用したものである。
図11(B)は、セミシームレスのチューブで製作したメタルOリング(従来例3)の内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。なお、製造過程で引抜加工を全部で4回行い、そのいずれにもフローティングプラグ11を使用していないものである。
図11(C)は、シームレスのチューブで製作したメタルOリング(従来例4)の内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。なお、製造過程で引抜加工を全部で7回行い、そのいずれにもフローティングプラグ11を使用していないものである。
図11に示すように、実施例2は、表面粗さRmax が4.58μmであり、従来例3の11.45 μmと比べ約1/2 倍となっている。また、従来例4の15.72 μmと比べれば約1/3 倍となっている。このように、最終の一歩手前の段階までフローティングプラグ11を使用して引抜加工を行った実施例2のメタルOリングの内面は、平滑に形成されていることが判る。 図11(A)の実施例2では、内径di が0.87mmであって、図10(A)の実施例1の内径di =1.07mmよりも、かなり小さいため、フローティングプラグ11の最終引抜工程(iv)における内挿使用が困難であるので、図4(B)に示す如く最終一歩手前工程(iii) での内挿使用としたが、それでも、十分に平滑な内面粗さとすることができた(Rmax =4.58)。図13(B)はこの実施例2の内面に拡大写真であり、図13(A)は従来例3の内面の拡大写真であるが、実施例2では、十分に平滑状態であることが判る。(従来例3の内面には、加工皺が生じている。)
【0022】
以上の結果、最終及び/又は最終前の段階においてフローティングプラグ11を用いて引抜加工した場合、従来のメタルOリングと比較して、内面2が明らかに平滑である。
なお、実施例1及び実施例2をシームレスチューブで製作したメタルOリングとした場合にも、同様の結果が得られた。
【0023】
次に、実施例1と従来例1のメタルOリングを用いて、実際に比較検証を行った。高温・高サイクルのエンジンに、実施例1のメタルOリングと、従来例1のメタルOリングを介装して、エンジンを始動させた。従来例1のメタルOリングは、試験開始1.5 時間で、図14及び図12に示すような割れWを発生した。
【0024】
図12は、実施例1のメタルOリングの割れWを断面方向から拡大撮影した顕微鏡写真である。
図12の写真を観察したところ、割れWは、内面2側に生じた加工皺が起点W′となって発生している。圧力変動により、メタルOリングの内面2の加工皺の谷部の一部に応力集中が生じて、この応力集中部を起点W′として割れ(亀裂)Wが発生したものと考えられる。その後、割れWは、圧力や振動等による疲労により、外面3に向けて進展したものである。
【0025】
一方、実施例1のメタルOリングは、試験開始10時間経過しても割れは発生しなかった。つまり、本発明に係る実施例1は、従来例1に比べ約6倍以上の耐久性があると言える。なお、実施例1のメタルOリングは、車載用のエンジンに装着し、1000km以上の実走行テストを行ったが、割れを発生させることはなかった。よって、実施例1のメタルOリングは、車載用のエンジンの圧力や振動に対してもシール性能を失わない耐久性を持つ。
【0026】
以上のように、本発明は、横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面2の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されているので、高温・高圧の過酷な条件下に於て、疲労による割れWを発生させることがなく、長期に安定した高いシール性能を発揮することができる。
【0027】
また、圧力変動が大きく高サイクル環境下の内燃機関で使用され、横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面2の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されているので、高温・高圧・高サイクルといった過酷な条件下に於て、疲労による割れWを発生させることなく長期に安定した高いシール性能を発揮することができる。
【0028】
また、内燃機関は、車載用エンジンであるので、耐久性に優れたメタルOリングを使用することにより、エンジン性能を低下させることなく連続走行することができる。
また、外面3に金属めっき層4を有するので、確実に流体を密封し、高いシール性能を発揮することができる。
【0029】
また、金属製チューブ1を段階的に縮径するように複数引抜工程をもって引抜加工を行い、その後、全体形状閉環状に接続するメタルOリングの製造方法に於て、複数引抜工程の内の最終段引抜工程、及び/又は、最終一歩手前引抜工程が、チューブ1の内面2の加工皺抑制のためのフローティングプラグ11をチューブ1に内挿して引抜加工を行うメタルOリングの製造方法によって、内面2に加工皺を発生させず、内面2の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成できる。つまり、圧力変動が大きく、かつ、高温・高圧・高サイクルといった過酷な条件下に於て、疲労による割れWを発生させることなく長期に安定した高いシール性能を発揮するメタルOリングを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のメタルOリングの実施の一形態を示す全体図である。
【図2】図1のA−A拡大断面図である。
【図3】フローティングプラグによる引抜加工の説明用断面図である。
【図4】本発明に係る製造方法を工程順に説明する図である。
【図5】メタルOリングの使用例を示す図である。
【図6】本発明のメタルOリングの全体形状を示した一例である。
【図7】メタルOリングの他の具体例を示す全体図である。
【図8】メタルOリングの別の具体例を示す全体図である。
【図9】従来の問題点を説明する要部拡大断面図である。
【図10】実施例及び従来例のメタルOリングの内面の表面粗さを示す図である。
【図11】他の実施例及び従来例のメタルOリングの内面の表面粗さを示す図である。
【図12】従来の問題点を示す要部の顕微鏡写真である。
【図13】従来例と本発明実施例とを比較するためのメタルOリングの内面の顕微鏡写真である。
【図14】従来の問題点を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 チューブ
2 内面
3 外面
4 金属めっき層
10 ダイス
11 フローティングプラグ
di メタルOリングの内径寸法
do メタルOリングの外径寸法
t メタルOリングの肉厚寸法
Rmax 内面2の表面粗さ
W 割れ
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルOリング及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高温・高圧等の過酷な条件下で、流体を密封する部材として、金属製のチューブを引抜加工して所定の線径に縮径したチューブを、横断面が閉円環状に形成したメタルOリングが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−190675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載のようなメタルOリングは、次のような問題があった。即ち、圧力変動が大きい高サイクル環境下でメタルOリングを使用した場合、図9及び図12と図14に示すような割れWが発生した。当然ながら割れWが発生すると、メタルOリングのシール能力は著しく劣化し、本来必要な機能を失う。従来のメタルOリングを、車載用のエンジンに使用した場合、十分に流体を密封できず、エンジン性能を低下させる虞れがあった。
【0004】
そこで、本発明は、上述のような過酷な条件下における割れの発生を抑制し、耐久性に優れたメタルOリングの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のメタルOリングは、横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されているものである。
【0006】
また、圧力変動が大きく高サイクル環境下の内燃機関で使用され、横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されているものである。
【0007】
また、内燃機関が、車載用エンジンである。
また、外面に金属めっき層を有する。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明のメタルOリングの製造方法は、金属製チューブを段階的に縮径するように複数引抜工程をもって引抜加工を行い、その後、全体形状閉環状に接続するメタルOリングの製造方法に於て、上記複数引抜工程の内の最終段引抜工程、及び/又は、最終一歩手前引抜工程が、上記チューブの内面の加工皺抑制のためのフローティングプラグを上記チューブに内挿して引抜加工を行う方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のメタルOリングによれば、高温・高圧、かつ、圧力変動が大きく、しかも、高サイクル環境下に於て、疲労による割れを発生させることなく長期に安定した高いシール性能を発揮することができる。
【0010】
また、本発明のメタルOリングの製造方法によれば、内面に加工皺を発生させず、内面の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成できる。つまり、高温・高圧、かつ、圧力変動が大きくて高サイクルである環境下に於て、疲労による割れを発生させることなく長期に安定した高いシール性能を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1は、本発明のメタルOリングの実施の一形態を示す全体図であり、図2は、図1のA−A拡大断面図である。
図1に示すように、メタルOリングは、全体の外径寸法Dが5〜500 mmの閉円環状に形成されている。メタルOリングの材質は、耐食性に優れたステンレス鋼(SUS316等、特に溶接安定性にも優れたオーステナイト系ステンレス鋼)や、耐熱性に優れたニッケル基合金等を使用する。
図2に示すように、メタルOリングの横断面は、円形であり、このメタルOリングの内面2は、(後述の)加工皺を極微小に抑えて、その表面粗さをRmax を5.0 μm以下として、平滑に形成されている。なお、本発明に於て、表面粗さRmax とは、断面曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から最も高い山頂までの高さと最も低い谷底までの深さとの和を表した最大高さである。
メタルOリングの外面3は、シール性能を向上させる為の金属めっき層4を表面被覆している。金属めっき層4は、軟質金属(例えば、銀等)をメッキ処理あるいは蒸着し、被接触部材とのなじみ性を向上させるものである。
【0012】
上述した本発明のメタルOリングの使用方法(作用)について説明する。
図5は、メタルOリングの使用の一つの形態を示す拡大要部断面図である。図5に示すように、メタルOリングは、平行に対向する平坦面12,13に挟まれるように装着される。自由状態下では、図2のように横断面円形であったものが、相互に接近した組付けられる2部材の平坦面12,13によって、図5に示すように長円形に弾性的に変形し、平坦面12,13に密接(圧接)するが、このとき、矢印Pにて示す圧力分布をもって、密接する。車載用エンジン等の内燃機関に好適であって、図5中の矢印Pe は、圧力を示し、内燃機関である場合には、激しく変動する圧力として作用し、しかも、短い使用期間にあっても高サイクルの圧力変動を経ることとなる。
なお、メタルOリングの外面3は、金属めっき層4を被覆形成しているので、平坦面12,13に対して、なじみ性に優れ、密封性能を一層高めることができる。
【0013】
そして、本発明に係るメタルOリングは、図5に示すように、平坦面12,13からの圧力Pを受け、かつ、激しく高サイクルで変動する圧力Pe を受けるが、上述のように、内面2は、その表面粗さRmax を、 5.0μmの平滑状態としたことにより、従来の図12に示したような割れ(亀裂)Wを防止可能である。即ち、内面2が平滑であることによって、高サイクル疲労(金属疲労)を確実に防ぐことができる。このように、耐久性に優れ、長期の使用に耐えることができるメタルOリングを実現できる。図12は従来のメタルOリングの横断面の顕微鏡写真であり、また、図13(A)は従来のメタルOリングの内面の顕微鏡写真であり、(後述の)引抜加工時の加工皺が発生していることが明らかである。これに対し、図13(B)は本発明の実施品のメタルOリングの内面の顕微鏡写真であって、加工皺がほとんど無く、平滑状態であることが判る。
【0014】
ここで、本発明に係るメタルOリングの製造方法について説明する。図4(A),(B)又は(C)に於て、金属製チューブ1を段階的に順次縮径するように、複数引抜工程(i)(ii)(iii)(iv)をもって引抜加工し、その後、所定長さに切断して、切断端部を相互に突合わせし、全体形状閉環状に(溶接又はろう付け等にて)接続する。図4に於て、第1工程(i) 用の素材チューブ1Aは、表面研磨した帯板材を縦添状に丸めて長手方向合わせ目を溶接した管材、又は、中実棒の軸心にドリル孔を形成した管材を使用する。前者は一般にセミシームレスチューブと呼ばれ、後者はシームレスチューブと呼ばれる。
【0015】
ところで、メタルOリングの横断面外径寸法do が1mm〜3mmと極めて小さい場合には、本発明の製造方法では、図4(A)に斜線をもって示すように、及び、図3に示すように、フローティングプラグ11をチューブ1に内挿して、最終段引抜工程(iv)の引抜加工を行う。又は、図4(B)に示すように、最終一歩手前引抜工程(iii) の引抜加工を、フローティングプラグ11をチューブ1に内挿して行う。あるいは、図4(C)に示すように、最終一歩手前引抜工程(iii) 及び最終段引抜工程(iv)の両方に、フローティングプラグ11を使用する。
【0016】
このフローティングプラグ11は、従来の図13(A)に示した加工皺の発生を抑制するための作用をなす。図3に示すように、引抜方向Fに縮径するダイス孔14を有するダイス10と、浮遊状態で被加工用チューブ1に内挿されるフローティングプラグ11を備えた引抜治具にて、引抜加工を行うが、ダイス孔14はその出口14b近傍に内径寸法が同一のストレート部15を有し、入口14aから、ストレート部前端までは、次第に縮径するテーパ部16を有している。他方、フローティングプラグ11は、大径ストレート部21とテーパ部22と小径ストレート部23を順に有する弾丸形であり、図3の左から右へ送られてくる(引抜きされる)チューブ1は、両テーパ部16,22により、外径寸法do が減少すると共に、肉厚寸法tも減少するように塑性変形し、両ストレート部15,23によって引抜加工後のチューブ1の内径・外径寸法を高精度に仕上げることが可能であり、同時に、図12及び図13(A)に示したような従来のチューブ(メタルOリング)の内面に生じていた加工皺の発生を有効に抑制できる。機械研磨や電解研磨等によってチューブ内面を平滑とするには、内径寸法di が所定値以上であることを要する。メタルOリングの横断面内径寸法di が、 0.5mm〜 2.5mm程度の極めて小さいものを製造する場合、フローティングプラグ11を、図4にて述べたように、最終段引抜工程(iv)、又は、最終一歩手前引抜工程(iii) に用い、又は、両工程(iii)(iv) に用いることは、従って、極めて望ましい方法と言える。なお、最終製品としてのメタルOリングの横断面内径寸法が余りにも小さく、最終段引抜工程(iv)における内径寸法di を特に小さくする必要がある場合に、図4(B)に示す製造方法が好適となる。言い換えると、メタルOリングの横断面外径寸法do が同一の場合に、肉厚寸法tが厚い場合には、図4(B)の製造方法となり、肉厚寸法tが薄い場合には、図4(A)又は(C)の製造方法となる。
【0017】
図4に於て、素材チューブ1Aとしてセミシームレスチューブを用いると内面が予め表面研磨されているので素材チューブ1Aとして好適である。なお、工程(i)(ii) を一つ減じたり、逆に、増やすことも可能である(図示省略)。また、シームレスチューブの場合には、図4中の工程(i)(ii) を増やすのが望ましく、トータルで6〜7工程にて引抜加工を行う。なお、図4の(i)(ii) 工程にもフローティングプラグを使用する場合もある。
【0018】
上述した(図4の)引抜加工工程(i) 〜(iv)の後に、チューブ1を所定長さに切断し、両切断端面同士を突き合わせ溶接(バット溶接,TIG溶接,レーザー溶接)又は冷間圧接を行って、閉円環状に形成し、溶接部(圧接部)のバリ取りを行い、外面3を研磨等の表面仕上げしてメタルOリングが得られる。次に、(所望により)外面3にメッキ処理を行って、図2と図5に示すように、金属めっき層4を有するOリングとする。
【0019】
ところで、メタルOリングの全体の形状は、図1に示した円形の他に、図6(A)に示した角部17をアール状とした略矩形としたり、図6(B)のような長円形状(トラック形状)とし、又は、図7のような平行四辺形状や、図8の三角形状とするも、自由である。
【0020】
上述した図4(C)の方法によって製造した実施例1のメタルOリングと、従来の方法で製造した従来例1,2のメタルOリングと、の内面の表面粗さRmax を測定した結果を図10に示す。
なお、実施例1及び従来例1,2の外径寸法do は1.57mmであり、内径寸法di は1.07mmであり、肉厚寸法tは0.25mmである。
図10(A)は、上述した方法にて製造した実施例1のメタルOリングの内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。つまり、図4(C)に示すように、製造過程で引抜加工を全部で4回行い、最終と最終一歩手前の引抜加工にフローティングプラグ11を使用したものである。
図10(B)は、セミシームレスのチューブで製作したメタルOリング(従来例1)の内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。なお、製造過程で引抜加工を全部で4回行い、そのいずれにもフローティングプラグ11を使用していないものである。
図10(C)は、シームレスのチューブで製作したメタルOリング(従来例2)の内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。なお、製造過程で引抜加工を全部で7回行い、そのいずれにもフローティングプラグ11を使用していないものである。
図10に示すように、実施例1は、表面粗さRmax が1.59μmであり、従来例1の9.93μmと比べ約1/6 倍となっている。また、従来例2の13.16 μmと比べれば約1/8 倍となっている。このように、最終工程(iv)までフローティングプラグ11を使用して引抜加工を行った実施例1のメタルOリングの内面は、平滑に形成されていることが判る。
【0021】
次に、上述した図4(B)の方法によって製造した実施例2のメタルOリングと、従来の方法で製造した従来例3,4のメタルOリングと、の内面の表面粗さRmax を測定した結果を図11に示す。なお、実施例2及び従来例3,4の外径寸法do は図10と同じく1.57mmであり、内径寸法di は0.87mmであり、肉厚寸法tは0.35mmである。
図11(A)は、上述した方法にて製造した実施例2のチューブ1の内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。なお、製造過程で引抜加工を全部で4回行い、図4(B)に示す如く、最終一歩手前工程(iii) でのみフローティングプラグ11を使用したものである。
図11(B)は、セミシームレスのチューブで製作したメタルOリング(従来例3)の内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。なお、製造過程で引抜加工を全部で4回行い、そのいずれにもフローティングプラグ11を使用していないものである。
図11(C)は、シームレスのチューブで製作したメタルOリング(従来例4)の内面の表面粗さRmax の測定結果を示す図である。なお、製造過程で引抜加工を全部で7回行い、そのいずれにもフローティングプラグ11を使用していないものである。
図11に示すように、実施例2は、表面粗さRmax が4.58μmであり、従来例3の11.45 μmと比べ約1/2 倍となっている。また、従来例4の15.72 μmと比べれば約1/3 倍となっている。このように、最終の一歩手前の段階までフローティングプラグ11を使用して引抜加工を行った実施例2のメタルOリングの内面は、平滑に形成されていることが判る。 図11(A)の実施例2では、内径di が0.87mmであって、図10(A)の実施例1の内径di =1.07mmよりも、かなり小さいため、フローティングプラグ11の最終引抜工程(iv)における内挿使用が困難であるので、図4(B)に示す如く最終一歩手前工程(iii) での内挿使用としたが、それでも、十分に平滑な内面粗さとすることができた(Rmax =4.58)。図13(B)はこの実施例2の内面に拡大写真であり、図13(A)は従来例3の内面の拡大写真であるが、実施例2では、十分に平滑状態であることが判る。(従来例3の内面には、加工皺が生じている。)
【0022】
以上の結果、最終及び/又は最終前の段階においてフローティングプラグ11を用いて引抜加工した場合、従来のメタルOリングと比較して、内面2が明らかに平滑である。
なお、実施例1及び実施例2をシームレスチューブで製作したメタルOリングとした場合にも、同様の結果が得られた。
【0023】
次に、実施例1と従来例1のメタルOリングを用いて、実際に比較検証を行った。高温・高サイクルのエンジンに、実施例1のメタルOリングと、従来例1のメタルOリングを介装して、エンジンを始動させた。従来例1のメタルOリングは、試験開始1.5 時間で、図14及び図12に示すような割れWを発生した。
【0024】
図12は、実施例1のメタルOリングの割れWを断面方向から拡大撮影した顕微鏡写真である。
図12の写真を観察したところ、割れWは、内面2側に生じた加工皺が起点W′となって発生している。圧力変動により、メタルOリングの内面2の加工皺の谷部の一部に応力集中が生じて、この応力集中部を起点W′として割れ(亀裂)Wが発生したものと考えられる。その後、割れWは、圧力や振動等による疲労により、外面3に向けて進展したものである。
【0025】
一方、実施例1のメタルOリングは、試験開始10時間経過しても割れは発生しなかった。つまり、本発明に係る実施例1は、従来例1に比べ約6倍以上の耐久性があると言える。なお、実施例1のメタルOリングは、車載用のエンジンに装着し、1000km以上の実走行テストを行ったが、割れを発生させることはなかった。よって、実施例1のメタルOリングは、車載用のエンジンの圧力や振動に対してもシール性能を失わない耐久性を持つ。
【0026】
以上のように、本発明は、横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面2の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されているので、高温・高圧の過酷な条件下に於て、疲労による割れWを発生させることがなく、長期に安定した高いシール性能を発揮することができる。
【0027】
また、圧力変動が大きく高サイクル環境下の内燃機関で使用され、横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面2の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されているので、高温・高圧・高サイクルといった過酷な条件下に於て、疲労による割れWを発生させることなく長期に安定した高いシール性能を発揮することができる。
【0028】
また、内燃機関は、車載用エンジンであるので、耐久性に優れたメタルOリングを使用することにより、エンジン性能を低下させることなく連続走行することができる。
また、外面3に金属めっき層4を有するので、確実に流体を密封し、高いシール性能を発揮することができる。
【0029】
また、金属製チューブ1を段階的に縮径するように複数引抜工程をもって引抜加工を行い、その後、全体形状閉環状に接続するメタルOリングの製造方法に於て、複数引抜工程の内の最終段引抜工程、及び/又は、最終一歩手前引抜工程が、チューブ1の内面2の加工皺抑制のためのフローティングプラグ11をチューブ1に内挿して引抜加工を行うメタルOリングの製造方法によって、内面2に加工皺を発生させず、内面2の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成できる。つまり、圧力変動が大きく、かつ、高温・高圧・高サイクルといった過酷な条件下に於て、疲労による割れWを発生させることなく長期に安定した高いシール性能を発揮するメタルOリングを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のメタルOリングの実施の一形態を示す全体図である。
【図2】図1のA−A拡大断面図である。
【図3】フローティングプラグによる引抜加工の説明用断面図である。
【図4】本発明に係る製造方法を工程順に説明する図である。
【図5】メタルOリングの使用例を示す図である。
【図6】本発明のメタルOリングの全体形状を示した一例である。
【図7】メタルOリングの他の具体例を示す全体図である。
【図8】メタルOリングの別の具体例を示す全体図である。
【図9】従来の問題点を説明する要部拡大断面図である。
【図10】実施例及び従来例のメタルOリングの内面の表面粗さを示す図である。
【図11】他の実施例及び従来例のメタルOリングの内面の表面粗さを示す図である。
【図12】従来の問題点を示す要部の顕微鏡写真である。
【図13】従来例と本発明実施例とを比較するためのメタルOリングの内面の顕微鏡写真である。
【図14】従来の問題点を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 チューブ
2 内面
3 外面
4 金属めっき層
10 ダイス
11 フローティングプラグ
di メタルOリングの内径寸法
do メタルOリングの外径寸法
t メタルOリングの肉厚寸法
Rmax 内面2の表面粗さ
W 割れ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面(2)の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されていることを特徴とするメタルOリング。
【請求項2】
圧力変動が大きく高サイクル環境下の内燃機関で使用され、横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面(2)の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されていることを特徴とするメタルOリング。
【請求項3】
上記内燃機関は、車載用エンジンである請求項2記載のメタルOリング。
【請求項4】
外面(3)に金属めっき層(4)を有する請求項1,2又は3記載のメタルOリング。
【請求項5】
金属製チューブ(1)を段階的に縮径するように複数引抜工程をもって引抜加工を行い、その後、全体形状閉環状に接続するメタルOリングの製造方法に於て、上記複数引抜工程の内の最終段引抜工程、及び/又は、最終一歩手前引抜工程が、上記チューブ(1)の内面(2)の加工皺抑制のためのフローティングプラグ(11)を上記チューブ(1)に内挿して引抜加工を行うことを特徴とするメタルOリングの製造方法。
【請求項1】
横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面(2)の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されていることを特徴とするメタルOリング。
【請求項2】
圧力変動が大きく高サイクル環境下の内燃機関で使用され、横断面が閉円環状であるメタルOリングに於て、内面(2)の表面粗さRmax を5.0 μm以下として平滑に形成されていることを特徴とするメタルOリング。
【請求項3】
上記内燃機関は、車載用エンジンである請求項2記載のメタルOリング。
【請求項4】
外面(3)に金属めっき層(4)を有する請求項1,2又は3記載のメタルOリング。
【請求項5】
金属製チューブ(1)を段階的に縮径するように複数引抜工程をもって引抜加工を行い、その後、全体形状閉環状に接続するメタルOリングの製造方法に於て、上記複数引抜工程の内の最終段引抜工程、及び/又は、最終一歩手前引抜工程が、上記チューブ(1)の内面(2)の加工皺抑制のためのフローティングプラグ(11)を上記チューブ(1)に内挿して引抜加工を行うことを特徴とするメタルOリングの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−139040(P2010−139040A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318469(P2008−318469)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
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