説明

メタロセン触媒オレフィン−α−オレフィンコポリマーに基づくホットメルト接着剤

5〜40重量%の、メタロセン触媒重合によって得られた、エチレンと少なくとも1種のC〜C20α−オレフィンとに基づく少なくとも1種のコポリマー;10〜65重量%の少なくとも1種の粘着付与樹脂;0〜35重量%の可塑剤;0.01〜30重量%の、安定剤、接着促進剤、充填剤または顔料、ワックスおよび/または他のポリマーから選択される、添加剤および助剤を、それらの和が100%となるべく含んでなるホットメルト接着剤であって、コポリマーAが、(E’0C−E’25C)/E’25C<1.5に従って貯蔵弾性率E’の割合として測定された0℃〜25℃で本質的に一定の弾性挙動を示すブロックコポリマーである、ホットメルト接着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック構造を有するメタロセン触媒C/C/α−オレフィンコポリマーに基づいて製造されるホットメルト接着剤に関する。該コポリマーは、付加的助剤と一緒に、新規な機械的性質を有するホットメルト接着剤を提供する。更に、特定の適用分野に適したホットメルト接着剤を記載する。
【背景技術】
【0002】
非常に多様な材料を接着結合するのに適したホットメルト接着剤は、広く知られている。EP 0 912 646には、エチレンと少なくとも1種のC〜C20α−オレフィンモノマーとの本質的に直鎖のコポリマーから製造されるホットメルト接着剤が記載されている。WO 00/00565もまた、直鎖状α−オレフィンコポリマーに基づいて製造されるホットメルト接着剤を記載している。同文献は、通常の補助成分を記載しており、その例は、粘着付与樹脂、ワックス、付加的な別のポリマー、スチレンブロックコポリマー、可塑剤または他の添加剤である。接着テープとしての使用または製本のための使用に加えて、紙材およびボール紙材の接着結合が、意図される使用として記載されている。ブロックコポリマーは記載されていない。
【0003】
メタロセン触媒Cα−オレフィンポリマーもまた、WO 2001/46277に記載されている。該ポリマーと、先の段落で既に挙げたような様々な助剤とを一緒に用いて、様々な接着剤が調製されている。ポリマー内でのモノマーの分布についての情報はなく、統計的分布に関する。
【0004】
特定のCα−オレフィンコポリマーに基づく接着剤が、WO 2006/102150に記載されている。該コポリマーおよびその製造方法もまた、例えばWO 2005/090426に記載されている。これに関して、特定の触媒およびシャトリング剤が記載されている。他の生成物に加えて接着剤も記載されている。しかしながら、同文献では、接着剤の成分の組成、接着剤の特性、および接着剤の特定の用途が、リスト、羅列としてしか記載されておらず、解決法を与えることのない課題に関している。特定の開示はなされていない。多様な一般的特性、特に粘度は記載されている。ブロックコポリマーも考慮できることは記載されている。
【0005】
ホットメルト接着剤は、既知のオレフィンコポリマーから製造できる。ホットメルト接着剤は、高温でさえ良好な接着性をもたらす。しかしながら、多くの使用タイプのために、低温特性を適応させなければならないことがわかっている。室温付近の温度で、特性が本質的に一定の傾向にあることが特に重要である。これによって、工業条件下で実現される迅速かつ確実な接着結合が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 0 912 646
【特許文献2】WO 00/00565
【特許文献3】WO 2001/46277
【特許文献4】WO 2006/102150
【特許文献5】WO 2005/090426
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、特定の工業的に適用可能な特性を示すホットメルト接着剤を提供することである。ホットメルト接着剤は、容易な適用が可能となるように粘度が低くなければならず、特に、その機械的性質は、50℃までの温度範囲で可能な限り一定を維持すべきである。とりわけ、接着剤の凝集に影響を及ぼす弾性挙動は、可能な限り線形であるかまたは一定を維持すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、
a)5〜40重量%の、メタロセン触媒重合によって得られた、エチレンと少なくとも1種のC〜C20α−オレフィンとに基づく少なくとも1種のコポリマー、
b)10〜65重量%の少なくとも1種の粘着付与樹脂、
c)0〜35重量%の可塑剤、
d)0.01〜30重量%の、安定剤、接着促進剤、充填剤または顔料、ワックスおよび/または他のポリマーから選択される、添加剤および助剤
を、それらの和が100%となるべく含んでなるホットメルト接着剤であって、該コポリマーが、
【数1】

に従って貯蔵弾性率E’の割合として測定された−10℃〜50℃で本質的に線形の弾性挙動を示すブロックコポリマーである、ホットメルト接着剤が提供されることによって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の別の対象は、そのようなホットメルト接着剤の、フィルム状基材の接着結合のための使用である。本発明の別の対象は、噴霧可能なホットメルト接着剤として使用するためのホットメルト接着剤の製造方法である。本発明の別の対象は、適用後に付加的に架橋性成分を含んでなるホットメルト触圧接着剤の製造方法である。
【0010】
エチレンと少なくとも1種のC〜C20α−オレフィンとに基づくオレフィンコポリマーは、接着剤の必須成分である。該コポリマーは、メタロセン触媒によって調製される。本発明の1つの態様では、エチレンとC〜C20α−オレフィンとに基づくそのようなコポリマーまたはターポリマーを使用する。エチレンまたはプロピレンに付加的に添加できるモノマーは、エチレンまたはプロピレンと共重合できる既知のオレフィン性不飽和モノマーである。該モノマーは特に、直鎖または分枝C〜C20α−オレフィン、例えば、ブテン、ヘキセン、メチルペンテン、オクテン、環状不飽和化合物(例えばノルボルネンまたはノルボルナジエン);対称的または非対称的に置換されたエチレン誘導体(C〜C12アルキル基が適当な置換基である);および不飽和カルボン酸またはカルボン酸無水物に関する。ここで、それらは、別のモノマーを含むこともできるターポリマー、コポリマー、ホモポリマーであり得る。以後、コポリマーはまた、3種以上のモノマーからなるポリマーも意味すると理解されるべきである。この場合、α−オレフィンコモノマーの量は、20%未満であるべきである。
【0011】
別の態様は、エチレンとプロピレンとに基づくコポリマーを含んでなる。任意に、付加的な少量のC〜C20α−オレフィンが含まれていてもよい。該コポリマーもまた、メタロセン触媒によって調製される。これに関して、プロピレンの割合は60重量%超であるべきであり、特に、プロピレンの割合は70重量%超であるべきである。少量の別のα−オレフィンモノマーが任意に含まれていてもよく、その量は5%未満である。しかしながら、エチレン/プロピレンブロックコポリマーが特に適している。
【0012】
コポリマーの分子量は、好ましくは200000g/mol未満、特に100000g/mol未満である。下限は、2000g/mol、好ましくは5000g/mol(数平均、M、GPCによって測定)である。これらの(コ)ポリマーは、狭い分子量分布を有することを特徴としている。M/Mとして表された分子量分布は、例えば2.5、好ましくは2.3未満であるべきである。このタイプのポリマーは、文献で知られており、様々な製造業者から商業的に入手できる。適当なポリマーの例は、VistamaxxまたはInfuseの商品名で市販されている。
【0013】
本発明の適当なコポリマーは、ブロックコポリマーである。これに関して、ブロックは、異なったモノマー組成を有する。1つの態様では、本発明の適当なホットメルト接着剤は1つのガラス転移温度を有し、別の態様では、コポリマーは2つのガラス転移温度を有すべきである。第一の(DTAによって測定された)ガラス転移温度(T)は、−100〜0℃、特に−80〜−10℃の範囲であるべきである。第二のガラス転移温度は、特に−100℃未満であるべきである。
【0014】
本発明に従って適しているホットメルト接着剤に必要な別の特性は、コポリマーの線形弾性挙動である。弾性挙動は、−10〜50℃の範囲にわたって、本質的に一定を維持すべきである。この挙動は特に、0〜25℃で規定されるべきである。弾性挙動は、
【数2】

として、貯蔵弾性率E’の割合として測定される。特に、貯蔵弾性率の割合は1.3未満であるべきであり;好ましい態様では、本発明のコポリマーまたはそれらの混合物は、1.0未満の貯蔵弾性率の割合を示すべきである。コポリマーの弾性挙動は、対数目盛(Tの関数としてのlgE’)で表されるが、特定の態様では、本質的に線形および一定を維持すべきである。とりわけ、関数は、0.5未満の傾き(絶対値)を有する、ほぼ直線であってよい。類似構造であるが異なった貯蔵弾性率変化を示すポリマーは、本発明の接着剤の製造に適さない。
【0015】
本発明のホットメルト接着剤に適したコポリマーは、単独で使用され得るが、複数、特に2種のコポリマーを一緒に使用することもできる。そのような場合、コポリマーは相溶性でなければならない。例えば、エチレン/プロピレンコポリマーおよびエチレン/C〜C12α−オレフィンコポリマーの混合物を使用できる。
【0016】
本発明のホットメルト接着剤は、付加的に、少なくとも1種の樹脂を含んでなる。該樹脂は、ベースポリマーに粘着性を与えるべきである。該樹脂は一般に10〜65重量%、特に25〜60重量%の量で添加される。
【0017】
基本的に、変性または水素化された天然樹脂に加えて、既知の樹脂、例えば、芳香族、脂肪族または脂環式炭化水素樹脂を使用できる。本発明で使用できる適当な樹脂は、例えば、テルペン樹脂(例として、テルペンのターポリマーまたはコポリマー)、バルサム樹脂、トール油樹脂またはウッド樹脂、任意にヒドロアビエチルアルコールおよびそのエステルからの変性天然樹脂酸、アクリル酸コポリマー(例として、スチレン−アクリル酸コポリマー、またはエチレン、アクリレートエステルおよび無水マレイン酸のコポリマー)、または官能性炭化水素樹脂に基づく樹脂である。上記エチレン/プロピレン−α−オレフィンポリマーからなる低分子量反応生成物は、粘着付与樹脂として使用することもできる。そのようなポリマーの分子量は主に、2000g/mol未満である。
【0018】
特にこれは、80℃〜130℃の軟化点(ASTM法E28-58T)を有する樹脂に関する。炭化水素樹脂が、特に好ましい樹脂である。別の特定の態様では、50℃未満の軟化点を有する樹脂を使用し、それらは特に液体であってもよい。
【0019】
可塑剤は、本発明の別の重要な成分である。適当な可塑剤の例は、白色鉱油、ナフテン系鉱油、ポリプロピレンオリゴマー、ポリブテンオリゴマー、ポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンオリゴマー、安息香酸エステル、フタレート、アジペート、植物油または動物油およびそれらの誘導体である。水素化可塑剤は、例えば、パラフィン系炭化水素油からなる群から選択される。ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコール並びにポリメチレングリコールも適している。エステルもまた、可塑剤として使用され、その例は、液状のポリエステルおよびグリセリンエステルである。この場合、ポリアルキレングリコールまたはポリブチレンオリゴマーの分子量は、200〜6000g/molであるべきであり;ポリオレフィンは、約2000g/molまで、特に1000g/molまでの分子量を有すべきである。白色油、鉱油、ポリブテン、および液状またはペースト状水素化炭化水素が特に適している。
【0020】
可塑剤の量は、0〜35重量%であるべきである。これに関して、多量の可塑剤は、凝集性の低い接着剤をもたらす。可塑剤の量は、特に3〜30%、特定の態様では5〜15重量%であるべきである。
【0021】
0〜30重量%、好ましくは0.5〜約5重量%の量でワックスを、ホットメルト接着剤に、任意に添加してよい。本発明では、この量は、一方では粘度が所望の範囲に低下するように、他方では接着力が悪影響を受けないように決定される。ワックスは天然起源または合成起源であってよく、任意に化学的に変性されていてもよい。使用できる適当な天然ワックスは、植物性ワックス、動物性ワックス、ミネラルワックスまたは石油化学ワックスである。適当な化学変性ワックスは、硬ろう、例えば、モンタンエステルろう、サソールろうなどである。適当な合成ワックスは、ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスである。合成ワックスに加えて、ペトロラタム、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックスのような石油化学ワックスを添加することが好ましい。
【0022】
ホットメルト接着剤は、上記した成分に加えて、ホットメルト接着剤に添加剤として通常使用される更なる別の成分を含んでなることができる。該成分は、例えば、安定剤、接着促進剤、酸化防止剤、充填剤および/または顔料を含む。これは、接着剤の特定の性質(例えば、凝集性、安定性、接着性、または引張強さ)に影響を与えることができる。添加剤および助剤の量は、0.01〜30重量%、特に0.1〜15重量%であるべきである。
【0023】
安定剤または接着促進剤のような添加剤は、当業者に知られている。該添加剤は市販品であり、当業者は所望の特性に応じて該添加剤を選択できる。該添加剤がポリマー混合物と相溶性であることは、考慮すべきである。
【0024】
本発明のホットメルト接着剤は、本発明のコポリマーとは異なる付加的ポリマー0〜15重量%を、任意成分として含んでもよい。該ポリマーの量は特に、本発明のブロックコポリマーの本発明に必要とされている量より少なくなければならない。該ポリマーは、ホットメルト接着剤の様々な最終用途特性(例えば、耐熱変形性、低温可撓性、適用した接着剤の凝集性および接着性)を向上させることができる。これらの付加的ポリマーは、製造および貯蔵の条件下で架橋する基を有してはならない。
【0025】
付加的ポリマーは特に、スチレンを含有し、直鎖またはラジカル構造を有するゴム状ブロックコポリマーであってよく、その例は、SIS、SBS、SIBS、または好ましくはSEBSおよびSEPSである。別の例は、固体状ポリブテンまたはそのコポリマー、ポリメチルビニルエーテル、ポリマー、並びにポリフェニレンオキシドおよびその変性体である。これに関して、これらの付加的ポリマーは、室温で固体であるべきであり、ホットメルト接着剤と均質に混合できなければならない。この場合、ミクロ相構造は除外されない。
【0026】
別の態様では、ホットメルト接着剤は、オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとに基づく、カルボキシル基および/または無水物基含有弾性ポリマーを少なくとも1種、付加的に含むことができる。オレフィンモノマーは、既知のC〜Cオレフィン、特にエチレンまたはプロピレンから選択することができる。(メタ)アクリル酸エステルは、低分子量C〜Cアルカノールとの(メタ)アクリル酸エステルから選択され;特に、単独でまたは混合物としての、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、または2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが適している。コポリマーもまた、カルボキシル基および/または無水物基を含有しなければならない。これは、適当な官能性モノマーを用いた重合から、または続くポリオレフィンコポリマーの変性によって得られる。例えば、酸化によってCOOH基を導入することができる。更に、例えば無水マレイン酸を用いて、ラジカルグラフト反応によって、ポリマーにCOOH基または無水物基を導入することができる。
【0027】
このポリマーは通常、3000〜50000g/mol、特に8000〜25000g/molの分子量(M)を有する。COOH基/無水物基の数は、1〜100mgKOH/g、特に5〜50mgKOH/gの範囲であるべきである。カルボキシル基の数が大きければ、ホットメルト接着剤の成分の相溶性に問題が生じる。また、軟化点は、50℃〜150℃、特に90℃〜110℃であるべきである。COOH基含有ポリマーの量は、0〜15重量%、特に0.5〜10重量%であるべきである。適当なカルボキシル基含有ポリマーは市販されており、当業者に知られている。
【0028】
エチレン/プロピレンコポリマーは、弾性ポリマーの別の例である。それらは、既知の統計的コポリマーである。とりわけ、それらはまた弾性ポリマーでもあり得る。
【0029】
弾性ポリマーが、ホットメルト接着剤の可撓性に影響を及ぼすのに対して、凝集性は、ある割合の付加的な非可撓性熱可塑性ポリマーによって改善され得る。既知の熱可塑性ポリマー、例えばEVA、高分子量ポリオレフィン、例えばポリ−1−ブテンが特に適している。
【0030】
最終用途特性および接着特性を改善するために、充填剤を例えば0〜10重量%の濃度で使用することもできる。その例は、着色剤または充填剤、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、石膏、バライト、クレイ、チョークなどであり得る。
【0031】
ホットメルト接着剤は、既知の溶融混合物によって製造される。これに関して、全成分を一緒に同時に加熱して均質化するか、または一部の溶融成分を混合して付加的樹脂成分を添加することができる。連続法で押出機を用いてホットメルト接着剤を製造することもできる。適当なホットメルト接着剤は固体であり、不純物を除けば溶媒を含有しない。
【0032】
本発明の適当なホットメルト接着剤の粘度は、適用温度で測定して、500〜30000mPas、好ましくは500〜10000mPas、特に1000〜6000mPasであるべきであり、適用温度は140〜190℃である(ブルックフィールド、EN ISO 2555, 記載した温度で測定)。
【0033】
本発明のホットメルト接着剤は、様々な用途に適合させるために、容易に設計することができる。特定の用途では、ホットメルト接着剤は、噴霧適用のために使用される。この場合はとりわけ、パラフィン系またはナフテン系鉱油、ポリブテンまたは水素化炭化水素を可塑剤として使用する。これらの可塑剤の粘度は、20℃で測定して、25〜300mPas、特に100〜250mPasであるべきである。この態様では、ホットメルト接着剤の粘度は、120〜160℃の温度で測定して、500〜6000mPas、特に700〜2000mPasである。
【0034】
また、対応する適当な噴霧可能なホットメルト接着剤は、剪断速度に僅かにしか依存しない粘度を特徴とする。特に、この態様の適当なホットメルト接着剤は、0〜250s−1の剪断速度に応じて、僅かにしか、特に±15%未満しか変化しない、本質的にニュートン流動挙動を示す。
【0035】
本発明のホットメルト接着剤の別の態様は、エラストマー複合フィルムの接着結合に特に適している。例えば、スチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルブロックコポリマーまたはポリオレフィンに基づくエラストマーバッキング層フィルムは、本発明に従って製造される複合材のためのバッキング層として製造され得る。スチレンブロックコポリマーのフィルムが特に知られており、その例は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレンブロックコポリマー、ポリエチレンおよびコポリマー、ポリプロピレンおよびコポリマー、並びにポリエチレンC〜C12α−オレフィンコポリマーである。
【0036】
これに関して、上記した他のポリマーの混合物を使用することもできるが、フィルムは主に、これらポリマーの1つからなり得る。
【0037】
バッキングフィルムは弾性変形、即ち一方向に伸ばした後に負荷を除くとフィルムが元通りになることを特徴としている。ここで伸びは、初期長さの少なくとも100%、特に200%であるべきである。元に戻った後、初期長さの50%、好ましくは20%未満、特に10%未満の最大変形が残るべきである。フィルムの厚さは、5〜75μm、特に10〜50μmであってよい。
【0038】
薄い不織布層が、フィルムの片側または両側に接着されることが意図された第二被覆材料であってもよい。このタイプの不織布は、可撓性のシート様構造である。該不織布は、例えばスパンボンド法またはスパンレース法によって、布地繊維を編組することによって製造される。そのような不織布は、可撓性に優れ、更に、気体および液体を透過できる。不織布のために使用される繊維またはフィラメントは一般に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルまたはビスコースからなる。そのような不織布は、高い可撓性を特徴としており、一般に伸縮性も有し得る。そのような不織布は、当業者に知られており、最終用途特性(例えば層厚さ)に応じて選択され得る。
【0039】
更に、本発明に従って実施される接着結合において、可撓性フィルムを、バッキングフィルムを有する付加的な層として接着結合することもできる。しかしながら、可撓性フィルムは、表面が粘着性を示してはならない可撓性フィルムに関する。可撓性フィルムは、既に上記した既知のポリマーからなり得る。場合により、片側に不織布を、もう片側にフィルムを有するベースフィルムを接着結合することもできる。場合により、付加的な層を、多層複合材料に結合することもできる。
【0040】
適用接着剤の層厚さは、例えば2〜30g/m(約2〜30μm)の範囲である。層厚さは特に、10g/m未満であることが意図される。
【0041】
本発明の適当な接着剤は特に、良好な相溶性を有する液状またはペースト状可塑剤を含んでなるべきである。それらは、例えば、白色鉱油、ナフテン系鉱油、ポリプロピレンオリゴマー、ポリブテンオリゴマー、ポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンオリゴマー、パラフィン系炭化水素油である。この場合、ポリアルキレングリコールまたはポリブチレンオリゴマーの分子量は、200〜6000g/molであるべきであり;ポリオレフィンは約2000g/molまで、特に1000g/molまでの分子量を有すべきである。ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコール並びにポリメチレングリコールもまた適している。
【0042】
更に、エチレン/プロピレンに基づくコポリマーは、この態様に特に適している。この態様では、5〜30重量%の、スチレンブロックコポリマーまたはエチレン−アクリル酸エステル−MAHコポリマーから選択される、弾性ホモポリマーまたはコポリマーを付加的に含むことができる。
【0043】
本発明の接着結合のためのベースフィルムは、一般に押出によって製造される。本発明の適当なホットメルト接着剤を、このフィルムの片側または両側に適用する。ホットメルト接着剤は、既知のフラットダイまたはローラーによって共押出され得るか、または噴霧によって適用され得る。その直後、結合される付加的な層、例えば不織布層を片側又は両側に適用する。機械的圧力によって、三層の材料を一緒にプレスすることができる。耐引裂性安定性複合材料が得られ、続いてこれを巻き取り、貯蔵し、更に処理することもできる。
【0044】
適用方法は、接着結合される基材のタイプ、およびそのための適当な装置に依存する。接着剤を所々、表面を横切って、または縞模様で適用できる。適用は、噴霧ノズルによって、押出被覆によって、またはシリンダーコーティングシステムによって実施することができる。貼り合わせ用フィルムとの共押出によって実施することもできる。
【0045】
本発明のホットメルト接着剤は、基材、例えば、コート紙またはボール紙、フィルム、プラスチック、或いは金属被覆表面、撥脂肪表面(fat-repellent surface)または塗装表面の接着結合に使用される。それらは特に、可撓性フィルムとしてのポリエチレン製、ポリプロピレン製プラスチック表面、コート紙またはボール紙、固体状基材(例えばビンまたはカン)、或いはアルミニウム被覆表面の接着結合に適している。本発明のホットメルト接着剤は、多層フィルム、容器、例えば、折りたたみ式の箱、発送箱、トレイの接着結合に、または成形基材の接着結合に使用することができる。加えて、本発明のホットメルト接着剤を用いて、パッケージ上にプラスチック部品を固定することもできる。例えば、クロージャー、注ぎ口または他の成形部品をパッケージに接着結合できる。接着結合は固定に役立つが、接着継ぎ目を密閉することもできる。
【0046】
本発明のホットメルト接着剤の別の使用形態は、接着層を有する、自己接着性包装紙、粘着テープまたは粘着ラベルの被覆である。ここで、例えばポリオレフィンまたはポリエステルに基づく、テープまたはフィルムは、本発明の適当なホットメルト接着剤で被覆されている。この場合、適当な接着剤の選択によって永続的粘着性接着層が得られる。次いで、これらの材料を組み立てることができる。このようにして、永続的接着性のフィルム、ラベルおよびテープを製造することができる。得られた自己接着性表面は、場合により、非粘着性被覆バッキングフィルムで被覆されていてもよい。
【0047】
対応する接着結合製品は、多くの適用分野に、例えば、接着性テープまたは接着性ラベル、多層フィルムまたは不正開封防止クロージャー、パッケージ、衛生用品として、或いは医療用途に使用することができる。
【実施例】
【0048】
本発明を以下の実施例によって説明する。
【0049】
貯蔵弾性率E’は、以下のように測定する:
試料:5×10×2mm
測定装置:DMA 242 C, Netzsch Co.
加熱速度:2K/分、
動力:7N
振動数:1Hz
振幅:50μm
0℃での貯蔵弾性率と25℃での貯蔵弾性率の差を、25℃での測定値で割る。
【数3】

【0050】
Affinity GA 1950:C2/C8コポリマー、
(E’0C−E’25C)/E’25C=1.8(Dow)
lnfuse D 9808.15:C2/C8コポリマー、
(E’0C−E’25C)/E’25C=0.7(Dow)
Vistamaxx VM 1120:C2/C3コポリマー、
(E’0C−E’25C)/E’25C=0.8(Exxon)
【0051】
実施例1:
Affinity GA 1950 10.5%
lnfuse D 9808.15 10%
Regalite S 1100(Eastman Co.), 樹脂 55%
Nyflex 222 B(Nynas Co.), 可塑剤 24%
Irganox 1010(Ciba), 安定剤 0.5%
この接着剤は、弾性積層体の接着結合に特に適している。スチレンブロックコポリマーフィルムに接着剤を10μmの層厚さで噴霧する。その直後に、不織布を適用する。裏側も同様に接着結合し、複合材を短時間加圧する。冷却後、複合材は弾性的に結合され、引っ張った後はその形状を回復する。層間剥離は見られなかった。
【0052】
実施例2:
Vistamaxx VM 1120 25%
Regalite S 1100(Eastman Co.), 樹脂 53%
Priomol 352(Exxon), 可塑剤 20%
Licocene PP 6102, ワックス 1%
Irganox 1010(Ciba), 安定剤 0.5%
均質な組成物が得られるまで、160℃で成分を混合する。
140℃で、実施例2の接着剤を、25μmOPPフィルム(配向ポリプロピレン)上に噴霧した。噴霧パターンは整っており、曳糸性を有していなかった。
【0053】
実施例3:
Affinity GA 1950 6.5%
lnfuse D 9808.15 19%
Regalite S 1100(Eastman Co.) 53%
Nyflex 222 B(Nynas Co.) 21%
Irganox 1010(Ciba) 0.5%
【0054】
実施例4:
Affinity GA 1950 8%
Vistamaxx VM 1120 12%
Regalite S 1100(Eastman Co.) 53%
Nyflex 222 B(Nynas Co.) 26.5%
Irganox 1010(Ciba) 0.5%
【0055】
均質な組成物が得られるまで、160℃で成分を混合する。
140℃で、実施例4の接着剤を、ポリエチレンフィルムラベル上に、ドクターブレードを用いて被覆した。その量は15g/mであった。粘着層を非粘着コート紙で被覆する。この保護層を取り外すと、ラベルをペットボトルに接着結合することができる。
【0056】
実施例5:
Exact 8230(Exxon) 45%
Vistamaxx VM 2330 6%
Kraton GX 1726 2%
Regalite S 1100(Eastman Co.) 40%
Vistanex PAR 950(Exxon) 5.5%
Licocene PP 6102 2%
Irganox 1010(Ciba) 0.5%
均質な組成物が得られるまで、160℃で成分を混合する。
溶融接着剤をPEプラスチック基材(ポリエチレン)上に適用し、その直後に、ボール紙パッケージに接着することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)5〜40重量%の、メタロセン触媒重合によって得られた、エチレンと少なくとも1種のC〜C20α−オレフィンとに基づく少なくとも1種のコポリマー、
b)10〜65重量%の少なくとも1種の粘着付与樹脂、
c)0〜35重量%の可塑剤、
d)0.01〜30重量%の、安定剤、接着促進剤、充填剤または顔料、ワックスおよび/または他のポリマーから選択される、添加剤および助剤
を、それらの和が100%となるべく含んでなるホットメルト接着剤であって、該コポリマーが、
【数1】

に従って貯蔵弾性率E’の割合として測定された0℃〜25℃で本質的に線形の弾性挙動を示すブロックコポリマーである、ホットメルト接着剤。
【請求項2】
コポリマーのガラス転移温度(T)が0℃未満であり、コポリマーの融点が30℃超である、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項3】
コポリマーが、エチレンとC〜C12α−オレフィンとに基づくポリマー、エチレンとプロピレンとに基づくポリマー、またはそのようなポリマーの混合物から選択される、請求項1または2に記載のホットメルト接着剤。
【請求項4】
一方のポリマーまたは両方のポリマーが、
【数2】

の弾性率の割合を有し、特にほぼ一定の挙動を示す、請求項1〜3のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項5】
ポリマーが2.5未満の多分散性(M/M)を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項6】
コポリマーが2つのガラス転移温度(T)を有し、1つのTが−100℃未満であり、1つのTが−100〜0℃である、請求項1〜5のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項7】
5〜30重量%のエチレン/プロピレンコポリマーおよび5〜40重量%のエチレン/C〜C12α−オレフィンコポリマーの混合物を含んでなる、請求項1〜6のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項8】
鉱油、ポリブテン、液状またはペースト状水素化炭化水素、或いは低分子量ポリオレフィンから選択される可塑剤5〜30重量%を含んでなる、請求項1〜7のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項9】
スチレンブロックコポリマー、統計的C2/C3コポリマー、またはエチレン−アクリル酸エステルMAHコポリマーから選択される、助剤としての弾性コポリマー0.5〜20重量%を含んでなる、請求項1〜8のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項10】
500〜20000mPas、特に500〜5000mPasの粘度を示す、請求項1〜9のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項11】
ホットメルト接着剤の粘度が140℃でほぼニュートン流動挙動を示す、請求項1〜10のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のホットメルト接着剤の、ゴム弾性基材の接着結合のため、特に、100%超の弾性伸びを有するフィルムの接着結合のための使用。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに記載のホットメルト接着剤の、特にラベルの接着結合のための、感圧性接着剤としての使用。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれかに記載のホットメルト接着剤の、噴霧可能な接着剤としての使用。

【公表番号】特表2012−502127(P2012−502127A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525542(P2011−525542)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061366
【国際公開番号】WO2010/026172
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】