説明

メタン発酵処理装置及び処理方法

【課題】有機廃棄物の嫌気性細菌によるメタン発酵処理において、発酵処理後の排出液に含まれる汚泥の量を抑制しつつ、沈降にかかる時間を短縮して、廃棄物の処理効率を向上させる。
【解決手段】処理槽11に、消化液Aが流通可能な隙間を有する仕切り板12を設けて、処理槽11内を区切り、仕切り板12より上方に攪拌翼13を設け、有機廃棄物Bのメタン発酵処理を処理槽11全体で行い、凝集剤Cによる固形分Dの沈降を主に仕切り板12より上方で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有機廃棄物を嫌気性細菌によりメタン発酵させて処理するための処理装置及び処理方法に関し、特に、処理効率の低下を抑制する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生ゴミ、家畜糞尿、屎尿、浄化槽汚泥、下水初沈汚泥、茶粕、コーヒー粕などの有機性廃棄物は、かつてはそのまま廃棄されていた。しかし、近年は環境保護の観点からそのままでの廃棄は行われなくなってきており、嫌気性細菌を含む活性汚泥によってメタン発酵分解させて廃棄物を分解すると共に、発生するメタンをエネルギー源として利用することが行われている。
【0003】
このメタン発酵処理においては、図7に記載のような発酵槽1に嫌気性細菌を含む消化液aを導入する。これに、有機廃棄物bを導入して、攪拌翼2をモーター3で回転させて攪拌し、槽内でメタン発酵処理を行う。
【0004】
ところで、メタン発酵を行う嫌気性細菌は、消化液中に拡散しているのではなく、消化液内に存在する固形分に集中している。一方で、有機物含有量の高い原料を処理すると、メタン発酵の過程で80〜90%の有機物が分解することになり、発酵槽内の固形分濃度が著しく低下して、嫌気性細菌が存在しにくくなってしまう。このため、発酵処理後の消化液を一旦発酵槽外へ取り出して、凝集液を加えて濃縮装置等で濃縮した後に、濃縮された固形分を発酵槽へ返送する方法や、取り出した消化液を膜分離装置に通して水分だけを系外に排出し、固形分を発酵槽に戻すといった方法が使用されていた。
【0005】
しかしこれらの方法を行うには、濃縮設備や膜分離装置を別途設ける必要があり、経済的負担が大きかった。また、濃縮した固形分を発酵槽に返送するため、発酵槽から抜き出して濃縮設備や膜分離装置で濃縮する消化液の量は、返送する汚泥の分だけ実際の処理量よりも大きくなる。従って、その分装置は大きくしなければならず、使用する凝集剤の量も多くなってしまった。この返送量は、処理量の20〜80%にもなることがあり、凝集剤の無駄が多くなるだけでなく、必要とする装置の設備コスト、運用コストにも大きな影響を及ぼしていた。
【0006】
これに対して、メタン発酵処理後に凝集剤cを添加して汚泥dを凝集させて、上部に残された上澄み液eを抜き出すことで、嫌気性細菌を発酵槽内に保持させ、発酵処理能力の低下を防ぐ処理方法が特許文献1に記載されている。この方法により、外部装置を設けることなく、凝集処理を行うことが出来る。なお、バルブ4は抜き出す上澄み液eの量を調整するためのものであり、上澄み液eに同伴して汚泥dが抜き出される量を抑えるようにする。
【0007】
【特許文献1】特開2005−81245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、発酵槽1の全体に拡散した汚泥を全て沈降させるには長時間に亘って静置させる必要がある。このため、処理すべき廃棄物が大量にある場合には、この待ち時間のために処理が滞ってしまうことがあった。また、それだけの汚泥を沈降させるには、返送する汚泥の分を節約しても、なお大量の凝集剤が必要だった。
【0009】
そこでこの発明は、有機廃棄物の嫌気性細菌によるメタン発酵処理において、凝集剤の使用量を抑制しつつ、沈降にかかる時間を短縮して、廃棄物の処理効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、メタン発酵処理を行う処理槽に、内部を二つの領域に区切りつつ、その二つの領域の間で消化液が流通可能な隙間を有する仕切り材を設け、その二つの領域のそれぞれに攪拌翼を設けることで、上記の課題を解決したのである。
【0011】
上記仕切り材で区切られた二つの領域を繋ぐ隙間があるため、攪拌翼を設けた回転装置で十分に攪拌して液流を起こさせれば、消化液は二つの領域を相互に交換される。従って、処理すべき有機廃棄物の投入後には、十分に消化液を攪拌して、有機廃棄物を仕切り材に関係なく処理槽全体に行き渡らせて、処理槽全体でメタン発酵処理を行わせる。
【0012】
一方で、隙間があるとはいえ仕切られているため、攪拌をゆるやかにするか、又は停止すれば、上記二つの領域間の液の流通をほとんど起こさせないようにすることができる。従って、上記の処理後に上記仕切り材によって区切られた一方の領域に凝集剤を投下させ、攪拌翼を止めて静置沈殿させると、他方の領域に凝集剤が行きづらいため、凝集剤による凝集現象のほとんどが仕切り材で区切られた一方の領域で起こる。このため、処理槽全体に行き渡るだけの凝集剤を添加しなくても、前記一方の領域に相当する容積分の凝集剤を添加するだけで、その容積分の消化液に含まれる固形分は十分に凝集させることができる。このようにすると、処理槽全体で沈降を起こさせるよりも、凝集に係る時間は、凝集を起こさせる体積に応じて短縮される。このような凝集で速やかに上澄み液を得ることができ、速やかな上澄み液の抜き出しが可能となる。
【0013】
従って、上記仕切り材により、上記処理槽の全容量のうち、想定される一回あたりの廃棄物処理量分に相当する量を区切れば、凝集と沈降のためにかかる待ち時間をそれほどかけることなく上澄み液を得ることができ、順次廃棄物を処理していくことができる。
【0014】
上記仕切り材の設置位置、及び設置構造は、処理槽の大きさにもよるが、メタン発酵処理時の消化液の1/50〜1/5にあたる容積を区切るように設けると、順次処理に必要な処理体積を確保しつつ、凝集にかかる時間を抑えて、現実的な時間に凝集を終わらせることができる。
【0015】
上記仕切り材の設け方としては、上記処理槽を上下に区切る仕切り板とし、この仕切り板の上下に攪拌翼を設ける方法や、上記処理槽上方に水面に対して垂直に立っている筒状壁として筒状壁の内外に仕切る方法がある。前記仕切り板の場合、前記仕切り板の上方及び下方に攪拌翼を設けることで、上下に区切られた二つの領域のそれぞれを攪拌することができる。また、前記筒状壁の場合、下方端に穴を設けると共に、前記筒状壁の内部と、前記筒状壁の下方端より下方とに攪拌翼を設けることで、筒状壁の内部と外部とに区切られた二つの領域のそれぞれを攪拌することができる。なお、筒状壁の場合は、筒状壁の内部から処理槽外へ上澄み液を抜き出し可能な抜き出し管を設けることで、上澄み液の抜き出しを速やかに行えるようにする。
【0016】
ただし、上記仕切り材によって処理槽の二つの領域を完全に仕切ってしまうと、有機廃棄物を含む消化液が相互交換されることができずに、二つの領域のうちの他方が処理に寄与しなくなり、巨大な処理槽を保有する意義が無くなってしまう。一方で、隙間が多すぎると、凝集剤が全体に拡散してしまう。
【0017】
このため、上記仕切り材を上記仕切り板とする場合は、上下方向に液が流通可能な隙間は、横方向断面積のうち15〜30%とし、上下方向に適度な液の流通を可能とする。この範囲であれば、投下された有機廃棄物を十分に攪拌することで処理槽全体に行き渡らせられるようにし、かつ、凝集剤を投下した後の攪拌をゆるやかにして上下方向に生じる液流を出来るだけ抑えつつ攪拌することで、上記仕切り板の上方に凝集剤を行き渡らせて、凝集を起こす主な部分を上記仕切り板の上方に集中させることができる。
【0018】
また、凝集剤を投下する凝集剤投下口を、処理槽の上方に複数設けると、投下される凝集剤を水平方向全体に行き渡らせ易くなり、攪拌を行わなくても、上記仕切り板の上方に凝集剤を行き渡らせやすくなる。この凝集剤投下口の設置箇所は、円筒形の処理槽の上部に設けた環状の凝集剤導入管に、円周方向等間隔に設けるものであると、投下される凝集剤の分布が偏りにくくなる。
【0019】
一方、上記仕切り材を上記筒状壁とする場合は、処理槽の内容積の1/50〜1/5を上記筒状壁が囲むようにし、上記筒状壁の内外に適度な液の流通を可能とする。凝集を起こす主な部分をこの上記筒状壁の内部に集中させることができ、凝集にかかる時間と凝集剤を節約することができる一方で、投下された有機廃棄物を十分に攪拌することで処理槽全体に行き渡らせて、処理槽全体で処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明により、従来のメタン発酵処理装置で有機廃棄物を分解処理する場合よりも、使用する凝集剤の量を抑制することができ、かつ、一回の処理ごとに行う凝集剤による沈降にかかる時間を短縮し、順次有機廃棄物を投下して分解処理することができる。
【0021】
また、処理槽外で凝集を行う場合と違って、凝集剤の使用量は、有機廃棄物の処理量一回分に応じた量となり、従来の系外で凝集を行う場合に系外から槽内へ返送する分に要していた凝集剤の分だけ節約できる。このため、凝集剤の使用量は処理する有機廃棄物の量に対応した必要最小限の量に留めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明について説明する。この発明は、有機廃棄物を嫌気性細菌によりメタン発酵させるための処理槽を含む処理装置である。この発明で処理する有機廃棄物としては、生ゴミ、家畜糞尿、屎尿、浄化槽汚泥、余剰汚泥、下水初汚泥、茶粕、コーヒー粕、酒粕など、有機物を主な成分とする廃棄物であれば適用可能である。
【0023】
まず、この発明にかかる処理装置の第一の実施形態について、図1乃至図3を用いて説明する。上記処理槽11は、嫌気性細菌を含む消化液Aを満たすことができる円筒形の槽であり、内部を上下に仕切る仕切り板12を有する。この仕切り板12は、いずれかの箇所で処理槽11に固定されている。中央には、孔12aが開いており、孔12aの周囲は中心に向かって落ち込んだ円錐形部12bを有している。この孔12aは軸15を通すためのものである。軸15は処理槽11の上部に設けた回転装置16に繋がり、軸15に取り付けられた上方攪拌翼13、下方攪拌翼14を回転させるためのものである。このようにすることで、消化液A中に存在する汚泥Dなどの固形分を、軸15を取り巻く孔12aの周囲に溜めることなく下方に落とすことができる。これにより、軸15の周囲に固形分Dの塊が形成されて軸の回転が妨げられることを防ぐとともに、仕切り板12の下方で再度混合し、拡散させることがし易くなる。
【0024】
また、上記仕切り板12は、横方向全面を覆っているのではなく、図2に示す上方から見た断面図のように、孔12a以外にも、上下方向への消化液A及び有機廃棄物Bの流通を可能にする隙間Tを形成している。この仕切り板12が仕切らない隙間Tにより消化液Aの上下流通が可能な面積は、処理槽11の横方向断面積の15〜30%とする。処理槽11の断面積の30%よりも隙間Tが大きすぎると、実質的に処理槽11内を区切って、凝集を仕切り板12より上方に集中させる効果が得られない。一方で、15%より隙間Tが小さいと、仕切り板12の上下がほとんど独立してしまい、処理すべき有機廃棄物が仕切り板12の下部に回り込むことが出来なくなり、大きな処理槽11を用いて嫌気性細菌を十分に確保し続ける効果が得られなくなってしまう。
【0025】
上記仕切り板12の設置位置は、処理槽11のメタン発酵処理時、及び凝集処理時における消化液Aの水面との間に、上方攪拌翼13を設けることが可能である位置であり、かつ、処理槽11の全容量と、廃棄物の処理一回あたりの処理に必要な容積とを比較して、仕切り板12の上方に、必要十分な容積を確保する位置である。一般的なサイズの処理槽11を用いる場合、メタン発酵処理時の水面から、内容積の1/30〜1/5にあたる容積分を区切る位置である。水面から1/5分よりも下方に設置されていると、凝集剤による沈降にかかる時間が掛かりすぎてしまい、順次処理を行うことが難しくなってしまい、この発明の意義が薄れてしまう。
【0026】
上記の上方攪拌翼13は、仕切り板12より上方にあり、回転装置16に繋がる軸15に取り付けられている。有機廃棄物Bを投下された後に回転することで、処理槽11の水平方向全体に有機廃棄物Bを行き渡らせる液流を生じさせることが可能である。一方で、回転装置16の回転速度を低下させることで、上方攪拌翼13の攪拌により生じる液流が仕切り板12の下方に向かうのを抑制可能とする。このような上方にのみ限った液流を、後述する凝集剤Cの投下後に起こさせることで、仕切り板12の下方には回り込まないようにさせつつ、凝集剤Cを仕切り板12の上方全体に行き渡らせる。このため、上方攪拌翼13によって生じる液流は上下方向の要素が少なく、水平方向への攪拌が主となるものであることが好ましい。従って、上方攪拌翼13の形状は、図1及び図3に記載のように、鉛直方向に立った平板状である。
【0027】
また、上記の下方攪拌翼14は、仕切り板12より下方にあり、上方攪拌翼13と同様に、軸15に取り付けられている。この下方攪拌翼14は、処理槽11全体を回遊する液流を生じさせる。また、この下方攪拌翼14の回転により、処理槽11の下部に蓄積しやすい固形分Dが固まってしまうことを防ぐ。この下方攪拌翼14は、有機廃棄物Bを投下した後に十分な速度で攪拌することで、有機廃棄物Bを十分に処理槽11の上下水平方向全てに行き渡らせる液流を生じさせるものであることが好ましい。従って、下方攪拌翼14の形状は、図1に記載のように、上下方向にも液流を生じうるプロペラ形である。
【0028】
上記処理槽11は、抜き出し口17を液面近くに有している。この抜き出し口17は、後述するようにメタン発酵処理後に凝集剤で固形分を沈降させた後に、処理槽11の上部に生じる上澄み液Eを抜き出すためのものである。少なくともこの抜き出し口17の設置位置は、仕切り板12よりも上である必要がある。一方で、上方過ぎると液面低下によって上澄み液Eを十分に抜き出すことができなくなる、このため、メタン発酵処理時、及び凝集時における通常の状態の液面から、投下すべき有機廃棄物Bの最大量に相当する分だけ液面が下がっても、上澄み液Eを抜き出すことが可能な位置にあることが望ましい。
【0029】
この実施形態にかかる処理装置は、上記の抜き出し口17から抜き出す上澄み液Eの量を調整する排出バルブ24を有する。また、抜き出し口17から通じる抜き出し配管25は、上澄み液Eに含まれる固形分と液体分とを分離する脱水装置31に接続される。脱水装置31の脱水方法は、沈降、遠心分離、膜分離など特に限定されない。この発明では脱水する対象が、既に沈降により固形分をほとんど含まなくなった上澄み液Eであるため、脱水装置にかかる負担は、従来のメタン発酵処理装置で用いる、消化液から直接固形分を分離するために用いられる脱水装置にかかる負担よりも小さい。
【0030】
上記の脱水装置31で分離液Fと分離された固形分Gを排出する配管33は、分配器34により、系外へ排出する排出管35と、処理槽11へ返送する返送管36とに分岐される。処理槽11内の嫌気性細菌の数をできるだけ維持するために、嫌気性細菌が集まりやすい固形分は返送することが好ましい。しかし、全てを返送すると不純物が処理槽11に際限なく蓄積されてしまう。このため、一部を系外へ排出することで、不純物の過剰な蓄積を抑えるとともに、処理槽11内の固形分濃度を調整可能とする。また、固形分Gが返送されることで、沈降中の消化液Aを乱さないように、返送管36には返送用バルブ37が設けてあり、消化液Aが攪拌されてもよいタイミングで固形分Gを処理槽11へ返送できるようになっている。
【0031】
この実施形態にかかる処理装置は、処理槽11の上方から有機廃棄物Bを導入する廃棄物導入管21と、凝縮剤Cを投下するための凝縮剤導入管22とを有する。有機廃棄物Bは投下後に十分に攪拌させるので、廃棄物導入管21は、処理槽11上の一点に繋がっていればよい。
【0032】
一方、凝集剤導入管22は凝集剤Cを処理槽11全体に行き渡らせやすくするため、処理槽11の上方で円環状となっている。投下口23は複数あり、環状の凝集剤導入管22の下方へ向けて円周方向等間隔に並ぶように設けてある。また、凝集剤導入管22の環が一つであると環の中心部分に投下される凝集剤Cが少なくなるので、凝集剤導入管22は連結した二重円環状となっている。この形態を処理槽11上部の斜視図である図3に示す。凝集剤導入管22の投下口23をこのように配置することで、投下する凝縮剤Cを広範囲に拡散させやすくする。
【0033】
なお、凝集剤導入管22は、図3のような円環状に限られず、例えば図4に記載のような六角形状や、その他、四角形状や八角形状などの多角形状であって、それぞれの辺上に投下口23を設けてあるものでもよい。多角形状である方が、凝集剤導入管22の製造が容易であるという利点がある。一方で、環状である方が、管が閉塞しにくいという利点を有する。
【0034】
この実施形態にかかる処理装置を用いた、有機廃棄物のメタン発酵処理方法は以下のような手順となる。
まず、初期時点では処理槽11にメタン発酵を行う嫌気性細菌を有する固形分を含む消化液Aを満たしてある。この処理槽11に有機廃棄物Bを投入する前に、投入する有機廃棄物Bの投入量と同量の消化液Aを排出する排出工程を行う。処理槽11からの溢れ出しを防ぐだけでなく、仕切り板より上方に存在する消化液Aの量が増加して、凝縮、沈降にかかる時間が増加するのを防ぐためである。
【0035】
上記の排出工程では次のような作業を行う。まず、上記の仕切り板12より上方にある消化液の量に対応する凝集剤Cを投下し、攪拌翼13,14を回転させて一定時間攪拌を行い、凝集剤Cと消化液Aとを混合して凝集処理を行う。系外に排出すべき液から固形分Dをできるだけ除き、槽内の固形分D濃度の低下を抑える必要があることから、凝集させて沈降を起こさせた上澄み液Eのみを排出するためである。
【0036】
なお、上方攪拌翼13及び下方攪拌翼14の回転は、攪拌により生じる液流によって、仕切り板12の上下方向に液が出来るだけ移動しないようにする必要がある。仕切り板12より下方への液流が生じると、投入した凝集剤Cが下方に回り込み過ぎ、上澄み液Eを得るべき仕切り板12より上方で十分な凝集が行われなくなってしまうからである。環状の凝集剤導入管22から、複数設けられた投下口23によって、処理槽11の液面全体に広がるように凝集剤Cを投下することで、必要とする攪拌を最小限に留め、仕切り板12より下方に凝集剤Cが回り込むことを抑制する。
【0037】
具体的には、凝集剤投下後のこれらの上方攪拌翼13及び下方攪拌翼14の回転速度は、処理槽11や攪拌翼13,14の大きさにもよるが、攪拌翼の最外周部の周速が、0.1〜0.5m/sであると好ましい。0.1m/s未満であると攪拌が不十分である可能性があり、0.5m/sを超えると攪拌する力が強すぎて空気を取り込んでしまい、嫌気性細菌の活動を阻害してしまうおそれがでてくるためである。
【0038】
上記の仕切り板12より上方で凝集剤Cと消化液Aとが混合された後、攪拌翼13,14の回転を停止させ、消化液Aを静置して、仕切り板12より上方の液中に含まれる汚泥を沈降させる。液面付近の消化液Aが、固形分Dの沈降により固形分をほとんど含まない上澄み液Eとなったところで、排出バルブ24を開けて、上澄み液Eを必要量だけ排出する。
【0039】
上記の排出工程の後に、有機廃棄物Bの投入工程を行う。投入工程では、上方攪拌翼13及び下方攪拌翼14を連続して、又は間欠で運転させつつ、一度に処理を行う有機廃棄物Bをまとめて投入する。この攪拌は、有機廃棄物Bを仕切り板12の上下を問わず混合して処理槽11中に行き渡らせるに十分な強さの液流が生じる速さで行う。ただし、嫌気性細菌の活動を阻害しないように、大気中から空気を巻き込まない程度の速さで攪拌する。このようにして、有機廃棄物Bを処理槽11全体で嫌気性細菌を含む固形物と接触させて、処理槽11全体でメタン発酵を促進させる。
【0040】
具体的には、有機廃棄物Bの投下後の攪拌を行う際の、これらの上方攪拌翼13及び下方攪拌翼14の回転速度は、処理槽11や攪拌翼13,14の大きさにもよるが、攪拌翼の最外周部の周速が0.14〜0.7m/sであると好ましい。0.14m/s未満であると攪拌が不十分となってしまうおそれがあり、0.7m/sを超えると空気を取り込んでしまうおそれが高くなってしまうためである。
【0041】
十分なメタン発酵処理が行われたら、上記の排出工程を行い、嫌気性細菌を含む固形物を沈降させて処理槽11内に残しつつ、次に投入する予定の有機廃棄物Bの量に応じた上澄み液Eを排出する。以下、同様の工程を繰り返すことで、嫌気性細菌の流出を抑制しつつ、有機廃棄物Bの処理を続けることができる。なお、嫌気性細菌による処理によって有機廃棄物Bが分解されて生じるメタンは、液中から湧き上がって上方へ向かうので、処理槽の上方でまとめて回収する。
【0042】
一方で、上澄み液Eは脱水装置31で分離液Fと固形分Gとに分離する。凝集後の上澄み液Eであっても、完全に分離されるわけではなく、微量の固形分Gを含有しているため、上澄み液Eをそのまま系外に排出すると、系外へ抜け出る固形分Gの量が無視できなくなる。脱水装置31の具体例は上記の通り、特に限定されない。分離された分離液Fと固形分Gとのうち、分離液Fは系外に排出する。また、固形分Gは、一部を系外に排出し、残りは処理槽11内に返送する。処理槽11内の固形分濃度の低下を防ぐために、出来るだけ固形分Gは返送することが求められるが、全てを返送してしまうと、金属酸化物や嫌気性細菌が分解し得ない一部の有機物からなる不純物が処理槽11内に蓄積するため、一部を抜き出して、処理槽11内の処理条件が悪化することを防ぐ。
【0043】
上記の処理槽11内部の固形分濃度は、有機廃棄物Bの成分と生物発酵とによるため、完全に調整することはできないが、凝集剤Cの供給量と、排出する上澄み液Eの量を調整することにより、処理槽11内部に残存し続ける固形分の濃度を調整することができる。また、排出された上澄み液Eから分離された固形分Gのうち、返送する量を調整することでも、処理槽11内部の固形分濃度を補助的に調整することができる。
【0044】
この発明にかかる処理装置の第二の実施形態は、仕切り板12’と処理槽11の壁面との間に隙間Tを設けるだけでなく、全面を覆う仕切り板12’自体の板中に、隙間12cを意図的に設けたものである。この実施形態での仕切り板12’を上方から見た処理槽11の水平断面図を図5に示す。ただし、仕切り板12’が網状であったり、隙間12cの部分が多すぎたりすると、実質的に消化液Aを仕切る効果が得られないため、流通可能な隙間の面積は上記の実施形態と同様に15%〜30%とする。それ以外の構成要素は、上記の第一の実施形態と同様に行うことができ、処理工程も同様に行うことができる。
【0045】
次に、この発明にかかる処理装置の第三の実施形態について説明する。この実施形態の断面図を図6に示す。処理槽11は上記第一の実施形態と同様に、消化液Aを満たすことができる槽である。この実施形態では、処理槽11の水平方向中心部分の上方に、処理槽11内を区切る仕切り材として、水面に対して垂直に立った筒状壁18を設けてある。筒状壁18の下方端には、中心方向へ向かって落ち込んだ縮径部19の先に、仕切り材の隙間となる穴19aが設けられてある。この穴19aは、筒状壁18の内外に相互に消化液Aを流通させるためのものであり、かつ、上方攪拌翼13’と下方攪拌翼14’とを回転させる回転軸15を通すためのものである。この回転軸15は、処理槽11の上方に設けた回転装置16に繋がっている。
【0046】
このような筒状壁18によって囲まれる内部の内容積は、処理槽11全体の内容積の1/50〜1/5である。1/50未満であると、凝集を起こす範囲が小さいために一度に抜き出せる上澄み液の量が限られてしまい、一回あたりの処理可能量が少なくなりすぎてしまう。一方で、1/5を超えると、筒状壁18の内部だけでも消化液Aが多くなりすぎてしまい、筒状壁18で領域を区切る意義に乏しくなってしまう。
【0047】
上方攪拌翼13’は、筒状壁18の内部をできるだけ上下方向の液流を生じさせないように攪拌するものであり、図6に記載のように、鉛直方向に立てられた平板状であるとよい。なお、上方攪拌翼13’は状況に応じて、上下方向に複数設けられていてもよく、図6では上下に二枚の攪拌翼を連ねたものを図示している。一方で、上下に分かれておらず、一体となっていてもよい。この上方攪拌翼13’の径方向長さは、筒状壁18の水平方向最大幅の1/6〜1/3である。また、上方攪拌翼13’の一枚あたりの高さは、筒状壁18の水面から穴19aまでの高さの1/20〜1/5である。大きさが上記の範囲であると、過度に液流を生じさせず、適度な攪拌が可能である。
【0048】
また、下方攪拌翼14’は、筒状壁18の内外に流通する流れを出来るだけ生じないようにしつつ、処理槽11全体を攪拌できるようにするため、鉛直方向に立てられた平板状であって、上方攪拌翼13’よりも径方向に長いものであり、具体的には処理槽11の水平方向半径の1/4〜3/4である。また、下方攪拌翼14’の高さは、処理槽11の全体高さの1/20〜1/5である。
【0049】
また、この実施形態に係る処理装置は、処理槽11の上方から有機廃棄物Bを導入する廃棄物導入管21と、凝集剤Cを投下するための凝集剤導入管22’とを有するが、このうち、廃棄物導入管21は、上記第一の実施形態と同様に、処理槽11上の一点に繋がっているとよい。ただし、投入後に処理槽11全体に速やかに行き渡らせるために、筒状壁18の外側となる箇所に投下するものであることが好ましい。一方、凝集剤導入管22’の投下口23’は、筒状壁18の内側の上方に位置していることが必要となる。筒状壁18の内部でのみ凝集を起こさせるためである。
【0050】
また、筒状壁18には、上澄み液抜き出し時の水面の高さより下に、抜き出し口17’が空けられており、この抜き出し口17’は、筒状壁18から処理槽11の外へと通じる抜き出し管20に接続されている。凝集剤を筒状壁18内に投下して凝集を行った後に、この抜き出し管20を通じて上澄み液を抜き出すことができる。なお、抜き出し管20に連結された排出バルブ24から返送用バルブ37までの工程は、上記第一の実施形態と同様である。
【0051】
この実施形態にかかる処理装置を用いた、有機廃棄物のメタン発酵処理方法は、基本的に上記第一の実施形態と同様である。処理槽11に有機廃棄物を投入する前に、投入する有機廃棄物Bの投入量と同量の消化液Aを排出する排出工程を行う。ただし、この排出工程においてまず行う凝集処理では、上記の筒状壁18内部にある消化液Aの量に対応する量の凝集剤Cを、液面の上方に設けた投下口23’から、筒状壁18内に投下する。投下後の上方攪拌翼13’の攪拌が強すぎると、穴19aを通じて消化液Aとともに凝集剤Cまでも筒状壁18外に出てしまうため、投下後は上方攪拌翼13’の回転をゆるやかにし、筒状壁18内に凝集剤Cが留まる程度に攪拌を行い、その後に消化液Aを静置する。これにより凝集剤Cによる沈降分離は筒状壁18内に集中する。
【0052】
上記の凝集剤Cの投入後、静置前における上方攪拌翼13’の回転速度は、処理槽11や上方攪拌翼13’、筒状壁18の大きさにもよるが、攪拌翼の最外周部の周速が0.1m/s以上0.5m/s以下であると好ましい。この範囲であれば、筒状壁18の内部の液に凝集剤Cを行き渡らせつつ、かつ、穴19aから落下して筒状壁18外へ出て行く凝集剤Cの量を抑えることができる。
【0053】
上記の沈降分離の後、排出処理を行う。この処理は、液面付近の消化液Aが、固形分Dの沈降により固形分をほとんど含まない上澄み液Eとなったところで、排出バルブ24を開けて、抜き出し管20を通じて、上澄み液Eを必要量だけ排出する。
【0054】
上記の排出工程の後に行う有機廃棄物Bの投入工程では、上方攪拌翼13’及び下方攪拌翼14’を攪拌させて、廃棄物導入管21から投下した有機廃棄物Bを処理槽11全体に行き渡らせ、処理槽11全体でメタン発酵を行わせる。この攪拌の際の上方攪拌翼13’及び下方攪拌翼14’の最外周部の周速は、処理槽11や上方攪拌翼13’、下方攪拌翼14’、筒状壁18の大きさにもよるが、上下方向への液流を十分に起こさせて攪拌させるために、0.14m/s以上であると好ましい。一方で、上方攪拌翼13’が水面から空気を巻き込まないように、0.7m/s以下であると好ましい。
【0055】
十分なメタン発酵処理が行われたら、上記の排出工程を行い、次に投入する予定の有機廃棄物Bの量に応じた量の上記上澄み液Eを排出する。以下、同様の工程を繰り返すことで、有機廃棄物のメタン発酵処理を行うことができる。生成するメタンは第一の実施形態と同様に、処理槽11の上方で集めることができる。
【実施例】
【0056】
以下、この発明の第一の実施形態にかかる処理装置を実施した実施例を示す。半径13.66m、高さ12.67mで、使用時の水面が上端から120cmとなるように運用する処理槽の、上端から162cmの位置に、図1及び図2に記載の形状の仕切り板を設けた。なお、この設置位置は、処理槽全容量の上方1/30を区切る位置に相当する。中央部分の孔の口径は半径50cmであり、周辺の隙間Tの幅は100cmであり、全周面積に対する隙間の面積比率は26%であった。攪拌翼は仕切り板の上方と下方とにそれぞれ一対ずつ、二枚の板からなる攪拌翼(径方向全長400cm、うち回転軸直径20cm、高さ50cm)を取り付けて、仕切り板の孔を貫通する軸に取り付け、上端に取り付けたモーターにより回転可能とした。この処理槽内にメタン発酵を行う嫌気性細菌とともに、処理槽容量分の水を投下した。
【0057】
これに、凝集剤を15kg(0.3重量%水溶液として)分、処理槽の上方に四箇所設けた凝集剤導入管から処理槽内に投下した。投下後もさらに5分間攪拌を続けた後停止し、30時間静置して固形分を沈降させた。その後、抜き出し配管の排出バルブを開けて、上澄み液を下記の有機廃棄物と同体積分抜き出した。
【0058】
次に、有機分解成分が10重量%である有機廃棄物を、一回あたり66tを投下し、攪拌翼を毎分3回回転させ、攪拌を60分間続けた。
【0059】
一方、抜き出した上澄み液を脱水装置により脱水して、固形分と分離液とに分離した。固形分は、返送管を通じて処理槽へ投下し、攪拌翼を毎分2回回転させて攪拌して、返送されてきた固形分Gを消化液Aと混合する。
【0060】
この作業を毎日一回行った。一日後に新たな有機廃棄物を投下するまでに、前日分の有機廃棄物の分解とその後の凝集、抜き出し、返送は完了しており、作業を滞り無く一週間連続させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】仕切り材を仕切り板とした第一の実施形態にかかるメタン発酵処理装置の構成図
【図2】図1の処理槽のX−X水平断面図
【図3】図1の処理槽の水面付近の斜視図
【図4】凝縮剤導入管が六角形状である場合の水面付近の斜視図
【図5】(a)仕切り板内部に隙間を形成させた第二の実施形態の水平断面図、(b)(a)の垂直断面図
【図6】仕切り材を筒状壁とした第三の実施形態にかかるメタン発酵処理装置の構成図
【図7】従来のメタン発酵処理装置の構成図
【符号の説明】
【0062】
1 発酵槽
2 攪拌翼
3 モーター
4 バルブ
11 処理槽
12,12’ 仕切り板
12a 孔
12b 円錐形部
12c 隙間
13,13’ 上方攪拌翼
14,14’ 下方攪拌翼
15 軸
16 回転装置
17,17’ 抜き出し口
18 筒状壁
19 縮径部
19a 穴
20 抜き出し管
21 廃棄物導入管
22,22’ 凝縮剤導入管
23,23’ 投下口
24 排出バルブ
25 抜き出し配管
31 脱水装置
32 排水管
33 配管
34 分配器
35 排出管
36 返送管
37 返送用バルブ
a,A 消化液
b,B 有機廃棄物
c,C 凝集剤
d,D 汚泥(固形分)
e,E 上澄み液
F 分離液
G,G’ 固形分
T 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を嫌気性細菌によりメタン発酵させる処理槽を含む処理装置であって、
前記処理槽内部を二つの領域に区切る仕切り材を有し、前記二つの領域のそれぞれに攪拌翼を有する回転装置を有し、前記仕切り材が、前記二つの領域の間で前記処理槽中の消化液の流通が可能な隙間を有するメタン発酵処理装置。
【請求項2】
上記仕切り材が上記処理槽内部を上下に区切る仕切り板であり、前記仕切り板の上方及び下方に攪拌翼を有する回転装置を有する、請求項1に記載のメタン発酵処理装置。
【請求項3】
上記処理槽中の消化液のメタン発酵処理時の水面から内容積の1/30〜1/5にあたる容積分を区切る位置に上記仕切り板を設けた請求項2に記載のメタン発酵処理装置。
【請求項4】
上記隙間が、上記処理槽の横方向断面積のうち15〜30%分を占める、請求項2又は3に記載のメタン発酵処理装置。
【請求項5】
上記処理槽の上方に設けた環状の凝集剤導入管の下方に、上記凝集剤を投下する凝集剤投下口を円周方向等間隔に複数設けた請求項2乃至4のいずれかに記載のメタン発酵処理装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかに記載のメタン発酵処理装置を用いて、嫌気性細菌を含む消化液を有する上記処理槽に有機廃棄物を投下して、メタン発酵処理を行い、処理後に凝集剤で凝集処理を行って、上澄み液を抜き出すメタン発酵処理方法であって、
上記処理槽に投下した有機廃棄物を、上記処理槽全体で嫌気性細菌による処理を行った後、処理後の消化液に凝集剤を液面の上方から投下し、消化液を静置させ、上記仕切り板よりも上方で、前記凝集剤による沈降分離を起こさせることを特徴とする、メタン発酵処理方法。
【請求項7】
上記上澄み液を固液分離し、分離された固形分の一部を上記処理槽に返送することを特徴とする、請求項6に記載のメタン発酵処理方法。
【請求項8】
上記仕切り材が、消化液水面に対して垂直に立つ筒状壁であり、前記筒状壁の下方端には上記隙間となる穴が設けられており、前記筒状壁の内部と、前記筒状壁の下方端より下方とに攪拌翼を有する回転装置を有し、前記筒状壁の内部から上記処理槽外へ嫌気性細菌を含む消化液の上澄み液を抜き出し可能な抜き出し管を有し、凝集剤を投下する凝集剤導入管の投下口が、前記筒状壁の内側の上方に位置している請求項1に記載のメタン発酵処理装置。
【請求項9】
上記筒状壁の内容積が、上記処理槽中の内容積の1/50〜1/5にあたる、請求項8に記載のメタン発酵処理装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のメタン発酵処理装置を用いて、嫌気性細菌を含む消化液を有する上記処理槽に有機廃棄物を投下して、メタン発酵処理を行い、処理後に凝集剤で凝集処理を行って、上澄み液を抜き出すメタン発酵処理方法であって、
上記処理槽に投下した有機廃棄物を、上記処理槽全体で嫌気性細菌による処理を行った後、上記筒状壁内に凝集剤を液面の上方から投下して、消化液を静置し、上記筒状壁の内部で、前記凝集剤による沈降分離を起こさせることを特徴とする、メタン発酵処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−28625(P2009−28625A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194443(P2007−194443)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】