メダル計数機
【課題】メダル計数機は、安価な構成で、大量のメダルを計数可能とするとともに、極力メンテナンス省力化と省スペース化する。
【解決手段】メダル計数機は、メダル整列部とメダル変位機構と流下通路と計数手段とで構成される計数ユニットを、横並びに複数配置して構成される。計数ユニットに受け入れられたメダルは、メダル整列部によって1枚毎に整列され、その後、メダル変位機構によって略縦立状態に変位され、その後、流下通路によって転動しながら奥側に導かれる。メダルは、メダル整列部から流下通路の下流端迄の間に、計数手段により計数される。メダル計数機では、このような計数ユニットが横並びに複数配置され、メダルを各計数ユニットに分配できるようになっている。
【解決手段】メダル計数機は、メダル整列部とメダル変位機構と流下通路と計数手段とで構成される計数ユニットを、横並びに複数配置して構成される。計数ユニットに受け入れられたメダルは、メダル整列部によって1枚毎に整列され、その後、メダル変位機構によって略縦立状態に変位され、その後、流下通路によって転動しながら奥側に導かれる。メダルは、メダル整列部から流下通路の下流端迄の間に、計数手段により計数される。メダル計数機では、このような計数ユニットが横並びに複数配置され、メダルを各計数ユニットに分配できるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場内でスロットマシンなどの遊技機が列設されてなる遊技機島の端部に配備され、遊技機に用いられる遊技媒体(メダル等)の計数を行う、島端のメダル計数機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場には、例えば、複数のスロットマシンを横方向に並べ、その背面を向きあわせて2列に配置することにより、スロット島と呼ばれる遊技機島が形成されている。この遊技機島は、通常、遊技場内の複数箇所に並べて配置される。
【0003】
遊技機島には、島端メダル計数機が設けられ、特許文献1の図1に示すホッパ2の底部に設けられた回転円板を回転させて、ホッパ2から投入されたメダルを遠心力により外周に寄せ、外周の一端に設けられた排出口より、メダル通路18を介して、途中に設けた金属体を検知する近接センサ等で計数する(特許文献1)。
【0004】
一方、硬貨等は真偽判定する際、搬送されるメダルの表面を撮影して、画像が真か偽かを判定することは一般的な技術である。このような真偽判定したメダルを、例えば、特許文献1の摺動板22を設け、偽であれば、摺動板22を引いてメダル通路18の形成をやめて通過するメダルを下方に落下せしめ、真であれば摺動板22を突き出してメダル通路18を形成して意図した先へ送出せしめることは容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−124377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、投入された大量のメダルをメダル通路18に送出する為には、強力な駆動力を有する高価なモータを必要とし、かつ横倒しされたメダルを水平搬送する際には、特許文献1の図6に記載したようなベルト搬送装置を必要とし、さらにベルト搬送装置の分高価になる。またベルト搬送装置は、テンションの調整、ベルトの交換等の定期的メンテナンスを必要とする。そこでベルト搬送装置を除く為、急傾斜のメダル通路としてメダルを滑落させる場合、島端計数機と遊技機島内の搬送設備に高低差が必要となり、相当な高い場所に島端計数機を設けなければ滑落させて運べなくなるという問題が発生する。
【0007】
本発明のメダル計数機は、安価な構成で、大量のメダルを計数可能とするとともに、極力メンテナンス省力化と省スペース化することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のメダル計数機は、受け入れたメダルを1枚毎に整列させるメダル整列部と、前記メダル整列部によって整列させたメダルを略縦立状態に変位させるメダル変位機構と、前記メダル変位機構によって略縦立状態に変位させたメダルを転動させながら奥側に導く流下通路と、前記メダル整列部から前記流下通路の下流端迄の間に1乃至複数配置され、メダルを計数する計数手段と、で構成される計数ユニットを横並びに複数配置し、受け入れたメダルを各計数ユニットに分配可能に構成することを特徴とする。
【0009】
ここで、計数ユニットを構成しているメダル整列部とメダル変位機構と流下通路と計数手段とは、夫々別体部品で構成されてもよいし、組み付けて一体にされてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、計数ユニットに受け入れられたメダルは、メダル整列部によって1枚毎に整列され、その後、メダル変位機構によって略縦立状態に変位され、その後、流下通路によって転動ながら奥側に導かれる。メダルは、メダル整列部から流下通路の下流端迄の間に、計数手段により計数される。メダル計数機では、このような計数ユニットが横並びに複数配置され、メダルを各計数ユニットに分配できるようになっている。したがって、安価な構成で、大量のメダルを計数可能とするとともに、極力メンテナンス省力化と省スペース化とが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第一の実施の形態及び第六の実施の形態における、メダル計数機の斜視図である。
【図2】蓋材の斜視図である。
【図3】蓋材の平面図である。
【図4】第一の実施の形態における、計数ユニットの斜視図である。
【図5】第一の実施の形態における、計数ユニットの平面図である。
【図6】第一の実施の形態における、計数ユニットの側面図である。
【図7】第一の実施の形態における、搬送装置の側面図である。
【図8】第一の実施の形態における、ゲート部の平面図である。
【図9】第一の実施の形態における、傾斜誘導路の斜視図である。
【図10】第一の実施の形態における、傾斜誘導路を正面側から見た図である。
【図11】第一の実施の形態における、図10の一部の拡大図である。
【図12】第一の実施の形態における、傾斜誘導路の側面図である。
【図13】第一の実施の形態における、メダルが使用できるものであるか否かを判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第一の実施の形態における、メダル排除機構が駆動されていない状態での図6のB−B線断面を示す図である。
【図15】第一の実施の形態における、メダル排除機構が駆動されている状態での図6のB−B線断面を示す図である。
【図16】第一の実施の形態における、メダル排除機構の下端側支持部を上方から見た図である。
【図17】第二の実施の形態における、ハウジングが広げられた状態でのメダル計数機の斜視図である。
【図18】第二の実施の形態における、ハウジングが狭められた状態でのメダル計数機の底面図である。
【図19】第二の実施の形態における、ハウジングが広げられた状態でのメダル計数機の底面図である。
【図20】第二の実施の形態における、ハウジングが狭められた状態での図18のE−E線端面図である。
【図21】第三の実施の形態における、表示パネルの表示内容を示す模式図である。
【図22】第三の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】第四の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図24】第四の実施の形態における、警告処理の一例を示す模式図である。
【図25】第五の実施の形態における、計数ユニットの側面図である。
【図26】第五の実施の形態における、種別振分部の平面図である。
【図27】第五の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図28】第八の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図29】第八の実施の形態における、警告処理の一例を示す模式図である。
【図30】第九の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図31】第九の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図32】第十の実施の形態における、蓋材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。また実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0013】
実施の一形態を、図1ないし図16に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第一の実施の形態と呼ぶ。
【0014】
図1は、メダル計数機50の斜視図である。図2は、蓋材52の斜視図である。図3は、蓋材52の平面図である。図1では、蓋材52が一点鎖線で示されている。遊技場に設けられるスロット島(遊技機島)は、遊技機としてのスロットマシン(図示せず)と台間機(図示せず)とが複数交互に列状に横並びして構成される。本実施の形態では、一台のスロットマシンに対し一台の割合で台間機を備える。なお、全てのスロットマシンに対して台間機が設けられなくてもよく、例えば、一部のスロットマシンについては台間機が設けられなくてもよい。台間機は、スロットマシンで遊技に用いられるメダル(遊技媒体)を計数する機能を有する。
【0015】
スロット島やその近傍には、遊技媒体計数機としてのメダル計数機50が設置されている。メダル計数機50は、遊技客が獲得したメダルMを計数する計数機能と、メダルMを返却する返却機能とを有する機械である。メダル計数機50は、箱型のハウジング51と、蓋材52と、表示パネル21と、カード挿入口22と、再計数ボタン23と、計数開始/終了ボタン25と、カード処理機28と、タッチパネルセンサ21Aと、制御部60と、五つの計数ユニット100とを備える。ハウジング51の正面と、この正面に繋がる上面での正面寄りの部分は、開口している。この開口のうち、ハウジング51の正面側の上縁からメダル投入部30のカバー体111(図4も参照)の下縁までの部分は、前カバー52Fに覆われる。前カバー52Fは、メダル計数機50の左側から横方向にスライドされて、メダル計数機50の右端に設けられる爪体52Gに引っ掛けられた状態で、鍵材(図示せず)によってハウジング51に固定される。前カバー52Fは、計数ユニット100のメンテナンス等の際に取り外される。
【0016】
蓋材52は、奥側に位置する平坦部52Hと、平坦部52Hよりも手前側に位置する傾斜部52Jと、傾斜部52Jよりも手前で開口しメダル投入部30のカバー体111の上方に位置付けられる開口部52Kと、平坦部52Hと傾斜部52Jと開口部52Kとの外周から上方に立設する壁部52Lとを有し、ホッパ状をなす。蓋材52の上方からメダルMが投入されると、メダルMは傾斜部52Jを滑り落ち、開口部52Kを通過して、横並びする計数ユニット100のカバー体111内に落下して、搬送装置120の搬送ベルト122に到達する。
【0017】
五つの計数ユニット100は、横並びし、ハウジング51に収納され、ハウジング51の開口部分で露出している。メダル計数機50では、蓋材52が、五つの計数ユニット100の上方の箇所でハウジング51に着脱自在に取付けられ、ハウジング51の開口部分の一部を閉じる。蓋材52により、メダル計数機50では、計数ユニット100の一部分(メダル収容筐体110やカバー体111)のみが外部から視認できる。表示パネル21と、カード挿入口22と、再計数ボタン23と、計数開始/終了ボタン25とは、メダル計数機50の上面において、蓋材52よりも奥側に配置される。なお、表示パネル21、カード挿入口22、再計数ボタン23、計数開始/終了ボタン25の配置位置は、図1に示す位置に限られず、適宜変更してもよい。
【0018】
メダル計数機50の正面側には、メダル投入部30が設けられる。メダル投入部30には、メダルMを投入するためのメダル投入口31が形成される。メダル投入口31の下方には、メダル排出部40が設けられる。メダル排出部40は、メダルMを遊技者に返却するための受け部として機能する。メダル排出部40には、メダルMを排出するためのメダル返却口42と、このメダル返却口42から排出されるメダルMを受け止める返却メダル受け皿41とが設けられる。返却メダル受け皿41は、メダル投入口31から投入されたものの使用できないメダルM(他遊技場メダル・偽造メダルなど)等を受け止める。メダル投入部30、メダル投入口31、メダル排出部40、返却メダル受け皿41、メダル返却口42は、個々の計数ユニット100に対応させて一つずつ設けられる。
【0019】
表示パネル21は、例えば、メダルMの計数結果の表示、その他の操作方法案内などを表示する液晶の表示画面である。表示パネル21には、タッチパネルセンサ21Aが積層されている。
【0020】
カード挿入口22は、会員登録をした遊技客に付与される会員用ICカードや、会員登録をしていない遊技客に係る有価価値特定情報などが記憶された非会員用ICカード、または従業員を識別する従業員識別用ICカードを挿入するための挿入口である。有価価値特定情報としては、例えばID情報や有価価値そのものに係る情報でもよい。なお、有価価値としては、遊技客が遊技の結果得た獲得遊技媒体数に対応した有価価値(持ちメダル数・貯メダル数)と、紙幣の額に対応した有価価値(度数)などが例示できる。カード挿入口22の近傍には、カード返却ボタン22Aが設けられる。カード返却ボタン22Aは、カード挿入口22から挿入されたICカードを排出させるための操作ボタンである。カード挿入口22に関しては、例えば、記録媒体として前記の様にICカードを採用する場合、カード挿入口22を設けず、カード挿入口22近辺にICカードを接触させる事で、前記有価価値特定情報を記憶、あるいは読み取りさせてもよい。
【0021】
カード処理機28は、カード挿入口22の下方に位置するが、ハウジング51により外部からは見えない。カード処理機28は、カード挿入口22から挿入されたICカードを受け入れる。カード処理機28は、カード挿入口22から挿入されたICカードからIDなどの情報を読み取るものであり、例えば、リーダライタなどで構成される。また、カード処理機28は、例えば、ICカードを持っていない遊技客が計数を行った場合、カードストック部からリーダライタ部に非会員用ICカードを発行準備する機能を有してもよい。さらに、この貯留した非会員用ICカードに新たに記憶するIDや、予め記憶されたIDに基づいて遊技場内や遊技場から離れて設置された管理装置(サーバ等)に有価価値を記憶したり、有価価値を非会員用ICカードに記憶したりする等、非会員用ICカードと有価価値の対応付け処理をして発行する機能を有してもよい。
【0022】
計数開始/終了ボタン25は、メダル投入口31に投入したメダルMの数量を計数するときに押されるボタンである。計数開始/終了ボタン25が押されると、メダル投入口31に投入されたメダルMは、メダル計数機50の計数ユニット100に取り込まれて計数される。メダルMの計数が終了後、もう一度計数開始/終了ボタン25を押されると、計数した情報が前記カード処理機28内のICカードに書き込まれる。また、例えば、カード処理機28を設ける代わりに、レシート発行機を設け、メダルMの計数終了時に、計数開始/終了ボタン25を押す事で、計数情報を印刷したレシートを発行してもよい。なお、計数開始時に、計数開始/終了ボタン25を押さずに、電気導通センサや光学式センサによりメダル投入口31にメダルの投入を検知した場合に自動的に計数するようにしてもよい。
【0023】
再計数ボタン23は、計数開始/終了ボタン25を押し、計数が開始した後、メダル投入口31に投入された全てのメダルMの計数が終了していないのに、計数動作が止まった場合に再度計数動作を開始させるためのボタンである。
【0024】
制御部60は、インタフェイス回路、CPU、ROM、RAM、AD変換回路(いずれも図示せず)などから主に構成される。AD変換回路は、CCDカメラが撮影したアナログ信号をデジタル情報に変換してRAMに時系列に順次記憶する。メダル計数機50に備わる各構成機器を駆動するための電力は、電源回路(図示せず)により供給される。インタフェイス回路は表示パネル21、カード処理機28、計数ユニット100(特にそれに備わる撮像部151や第2の計数装置195、光学式センサや近接センサなどのメダル位置検知手段152等)のいずれに対してもデータ通信自在に接続している。制御部60は、CPUの駆動によってインタフェイス回路を介してこれら各部を制御する。制御部60は、インタフェイス回路や配線(図示せず)、コネクタ(図示せず)を介してメダル計数機50の各部(表示パネル21、タッチパネルセンサ21A、カード返却ボタン22A、再計数ボタン23、計数開始/終了ボタン25、カード処理機28、五個の計数ユニット100に備わる各部〈各種モータ、撮像部151、メダル排除機構180、第2の計数装置195、センサ類〉等)に電気的に接続している。制御部60は、メダル計数機50内の各構成機器の制御や、スロット島にデータ通信自在に接続する各種のコンピュータ、管理装置などのメダル計数機50以外の機器との情報通信も行う。
【0025】
図4は、計数ユニット100の斜視図である。図5は、計数ユニット100の平面図である。図6は、計数ユニット100の側面図である。図7は、搬送装置120の側面図である。前述したように、メダル計数機50は、五個の計数ユニット100を有する。個々の計数ユニット100は、メダル収容筐体110を有する。メダル収容筐体110は、メダル計数機50において正面側に配置され、メダル投入部30やメダル投入口31を構成し、メダル投入口31から投入され計数ユニット100に取り込まれたメダルMを計数する。計数ユニット100は、メダルMを計数するための第1の計数装置(メダル位置検知手段152におけるセンサ)と第2の計数装置195とを有している。計数されたメダルMは、計数ユニット100の奥側下方に設けられた回収路70Aを経て、メダル計数機50内の排出部(図示せず)を介して遊技島に排出される。メダル収容筐体110には、遊技客が不用意に逆転ローラ124(後述)に触らないよう、カバー体111が被せられる。カバー体111には、メダルMを通過させるための孔111Aが設けられる。
【0026】
計数ユニット100は、さらに、搬送装置120と、メダル整列部としてのゲート部130と、傾斜誘導路140と、メダル識別手段150と、流下通路160と、メダル排除手段としてのメダル排除機構180とを有する。メダル排除機構180は、メダル返却手段としても機能する。搬送装置120と傾斜誘導路140と流下通路160とは、メダルMを搬送する搬送経路100Aを構成する。搬送経路100Aの下流端(流下通路160の下流端)には、回収路70Aが繋がっている。本実施の形態の計数ユニット100では、メダルMの搬送経路100Aが個々の計数ユニット100の筐体のそれぞれについて左右両側面に設けられており、メダルMの搬送能力が向上している。
【0027】
[搬送装置120] 図4ないし図7を参照する。搬送装置120は、メダル収容筐体110の底部に設けられる。搬送装置120は、メダル収容筐体110に投入され横倒した状態にあるメダルMを、計数ユニット100の内部に搬送する。搬送装置120は、回転ローラ121a、121b、121c、121dと、搬送ベルト122と、逆転ローラ124と、駆動モータ125と、伝達手段126と、噛込防止部材127とを有する。
【0028】
回転ローラ121a、121b、121c、121dは、計数ユニット100(メダル計数機50)の正面側から見て左右に水平に延び、この左右水平方向の軸周りに回転自在となっている。搬送ベルト122は、回転ローラ121a、121b、121c、121dに掛け渡される無端の平ベルトである。搬送ベルト122の表面は、ゴムなどで被覆されてメダルMとの摩擦抵抗の増大が図られている。搬送ベルト122は、手前側から奥側に向かって上り傾斜となっており、回転ローラ121bが図6、図7中の矢印Rの方向に回転することで、搬送ベルト122上のメダルMが手前側から奥側に移動する。逆転ローラ124は、横倒させた状態のメダルM一枚のみの通過を許容する間隙(メダルM一枚分の厚さよりも大きく且つメダルM二枚分の厚さよりは小さい間隙で、好ましくはメダルMの厚さの1.2〜1.8倍程度の間隙)を設けて、搬送ベルト122の上方に配置される。逆転ローラ124は、複数重なった状態で搬送され接触した上側位置のメダルMをメダル収容筐体110内に弾き返す。
【0029】
駆動モータ125は、回転ローラ121a、121b、121c、121dのうちの少なくとも1つの回転ローラ(本実施の形態では、回転ローラ121b)と逆転ローラ124とを回転させる駆動源となる。伝達手段126は、ギヤやベルトにより構成され、駆動モータ125のモータ軸の回転駆動力を回転ローラ121a、121b、121c、121d及び逆転ローラ124に伝達する。なお、回転ローラ121a、121b、121c、121dの配置構成は、図6及び図7に示された配置構成に限られず、例えば、正面側から見て前後方向に並列して設けられた一対の回転ローラで構成されてもよく、搬送装置120が設置される設置空間などの条件などによって適宜に設定できる。また、本実施の形態では、回転ローラ121bが駆動モータ125により駆動されるが、他の1つまたは複数の回転ローラが駆動モータ125により駆動されてもよい。また、本実施の形態の計数ユニット100では、搬送ベルト122が二つ並設され、個々の搬送ベルト122に対応して逆転ローラ124が設けられる。また、駆動モータ125は、回転ローラ121aや回転ローラ121dよりも高い位置に設置されることで、イタズラ等によりメダル収容筐体110内に投入された液体との接触を防止できる。
【0030】
噛込防止部材127は、板状で、搬送ベルト122の上面に垂直な方向に延び、逆転ローラ124の直径方向延長上に位置し、逆転ローラ124と接触しない程度の微小の隙間をあけて配置される。噛込防止部材127は、メダルMの噛み込みを防止する。詳細には、噛込防止部材127の上方部が遊技客側(回転ローラ121d側)に湾曲しており、噛込防止部材127は、逆転ローラ124によって上方に弾き出されるメダルMを、逆転ローラ124よりも上流側に戻す。
【0031】
ところで、メダル収容筐体110は、回転ローラ121bと軸線が一致する所定の回転中心軸128によって、前方方向に回動可能に取り付けられている。なお、回転ローラ121bを回転中心軸128として用いてもよい。メダル収容筐体110を前方方向に回動することで、傾斜誘導路140の上流側の端部を露出でき、図13に基づいて後述する処理によって使用できるメダルでないと判定されて突起部143上に位置するメダルMや、ゲート部130に詰まったメダルMを容易に取り除くことができる。なお、ゲート部130の上流側に詰まったメダルMをさらに容易に取り除くことができるよう、ゲート部130(例えば、一対のゲート板状部材131のうちの一方または双方)を取り外し可能にしてもよい。また、メダル収容筐体110を前方方向に回動した際、ゲート部130が動かずに傾斜誘導路140側に位置するようにしてもよい。また、一対のゲート板状部材131のみを傾斜誘導路140側に残し、遮断部材作動機構132及び遮断部材133をメダル収容筐体110とともに移動するようにしても、ゲート板状部材131と遮断部材作動機構132と遮断部材133とを移動させずに傾斜誘導路140側に残すようにしてもよい。また、一対のゲート板状部材131のうちのいずれか一方のみが、メダル収容筐体110とともに移動せずに、傾斜誘導路140側に位置するように構成してもよい。また、ゲート部130(例えば、一対のゲート板状部材131うちの一方または双方)を取り外しできるようにしてもよい。
【0032】
[ゲート部130] 図8は、ゲート部130の平面図である。図4、図5、図6、図7及び図8を参照する。ゲート部130は、搬送ベルト122と逆転ローラ124との間隙を通過し横倒された状態にあるメダルMを整流させる。ゲート部130は、一対のゲート板状部材131を有する。一対のゲート板状部材131は、互いに対向して配置され、それらの間にメダルMが通過できる程度のゲート幅Lが確保されている。ゲート板状部材131は、搬送ベルト122により搬送されるメダルMの外周面に当接され、このメダルMを整流する。ゲート幅Lは、メダルMの直径よりも0.1〜1.2mm程度大きく設定することが好ましい。ゲート板状部材131は、ゲート幅Lよりも大きな直径を有する異物Nの進入を防止する。
【0033】
ゲート部130は、遮断部材作動機構132と、棒状部材などで構成される遮断部材133とを有する。遮断部材作動機構132は、ソレノイドなどの機械的手段により構成され、遮断部材133をメダルMの搬送方向に対して垂直な方向に進退させてメダルMの通過を許容したりメダルMを阻止したりする。ゲート部130を通過したメダルMは、搬送ベルト122によって傾斜誘導路140に導かれる。
【0034】
[傾斜誘導路140] 図9は、傾斜誘導路140の斜視図である。図10は、傾斜誘導路140を正面側から見た図である。図11は、図10の一部の拡大図である。図12は、傾斜誘導路140の側面図である。図4、図5、図6、図9、図10、図11及び図12を参照する。傾斜誘導路140は、搬送装置120によって搬送されたメダルMを、傾斜側面141によってメダルMの姿勢を変えながらメダルMを流下通路160に流下させる。傾斜誘導路140の上部近傍には、突起部143が設けられる。搬送装置120によって搬送され横倒された状態にある左右の二つのメダルMは、突起部143と傾斜誘導路140の上面の中央部付近の底面とによって略水平に保持される。ここでいう略水平とは、重力方向に直交する方向に限られず、搬送装置120によるメダルMの進行方向に対して下方に傾いた状態で、且つ、この進行方向に対して垂直な左右方向に対しては上下に傾きなく、メダル径の断面のみが水平となって、撮像部151(後述)の撮像方向に対しメダル平面を垂直に向けた状態を含む。傾斜誘導路140は、搬送方向傾斜面141Aと、傾斜側面141とを形成する。搬送方向傾斜面141Aは、搬送ベルト122によるメダルMの搬送方向に向かうにつれて徐々に下方に傾斜する。傾斜側面141は、搬送ベルト122によるメダルMの搬送方向に対し直交する左右方向に凸状に湾曲しながら下方に傾斜する。傾斜誘導路140の上面の中央部には、上流側から下流側に向かうにつれて広がる平面視略V字状形状をなし、所定の高さを有するV字状壁142が立ち上がっている。メダルMは、その外周面がV字状壁142に接触して傾斜側面141側に動き、図9、図10、図11、図12中の矢印R1に沿って傾斜側面141を流下する。
【0035】
ところで、図6に示すように、搬送装置120と傾斜誘導路140との連結箇所において、搬送装置120の下流側端部が傾斜誘導路140の上流側端部よりも若干上方にあり、ゲート部130を通過したメダルMが、その先端を斜め下方に傾けた状態で傾斜誘導路140上に移る。メダルMの先端が斜め下方に傾いた状態となるのは、メダルMの先端が突起部143上を下流側に通過した後であり、メダルMの先端が突起部143に引っ掛かって後続のメダルMの傾斜誘導路140上への進入が妨げられることはない。
【0036】
搬送ベルト122の上面が手前側から奥側に向かって上り傾斜となっていることで、例えば、不正行為を行うための道具である弾性構造体が搬送ベルト122に沿って挿入された場合でも、搬送ベルト122の延長線上と、次にメダルMが導かれる傾斜誘導路140におけるメダルMの進行方向が異なるため、弾性構造体が後述する第2の計数装置まで挿入し難くなり、不正行為を防止できる。さらに、搬送ベルト122の上面を手前側から奥側に向かう上り傾斜とすることで、ゲート部130におけるメダル詰まりを抑制することができる。なお、本実施の形態では、搬送ベルト122の上面が手前側から奥側に向かって上り傾斜となる構成の一例を示したが、例えば、弾性構造体などによる不正行為を防止できる構成を他に備える場合などには、搬送ベルト122の上面を水平にしてもよい。弾性構造体などによる不正行為を防止する構成の一例として、搬送装置120側が開口した箱体からなる一方開口部材(図示せず)を、傾斜誘導路140の上方空間で搬送ベルト122の上面の延長上に配置してもよい。一方開口部材を配置することで、不正行為を行うための道具(弾性構造体など)が搬送ベルト122の上面に沿って挿入されても、弾性構造体の先端が一方開口部材に突き当たり、不正行為が防がれる。ここで、搬送ベルト122の上面が水平となっている場合には、搬送ベルト122の上面が上方傾斜している場合と比較して、弾性構造体が傾斜誘導路140に進入しやすくなる。そのため、搬送ベルト122の上面が水平となっている場合には、一方開口部材による弾性構造体などの傾斜誘導路140や流下通路160への進入防止の効果が大きい。
【0037】
本実施の形態では、傾斜誘導路140の傾斜側面141として、凸状に湾曲しながら傾斜する傾斜側面を例示したが、この形状に限られるものではなく、例えば、傾斜側面を平面などで構成してもよい。即ち、傾斜誘導路140の傾斜側面141の形状は、メダルMを、搬送装置120による搬送方向に進行させるとともに、傾斜側面141を流下させ横倒した状態のメダルMを縦立した状態とすることができる形状であればよい。
【0038】
傾斜誘導路140の傾斜側面141は、流下通路160の上流部の一部を形成する。流下通路160の上流部は、図11に示すように、傾斜誘導路140の外側に流下方向に立設された側壁161と、傾斜誘導路140の傾斜側面141と、底部162とによって構成され、正面視において下方に向かうにつれて窄まる谷形状をなす。なお、前述したように、傾斜側面141は、凸状に湾曲するものに限られず、平面状であってもよい。傾斜誘導路140の傾斜側面141によって導かれたメダルMは、流下通路160の上流部に収納され、縦立した状態で流下し、メダル排除機構180を備える流下通路160の中流部に向かう。側壁161と傾斜側面141との間隙は、メダルMの厚さよりも若干大きく設定され、メダルMが縦立した状態でスムーズに流下できるように構成される。
【0039】
[メダル識別手段150] 図6、図10及び図12を参照する。メダル識別手段150は、突起部143上で略水平状態となったメダルMが利用可能なメダルであるか否かを識別する。メダル識別手段150は、撮像部151と、識別部(図示せず)とを有する。撮像部151は、突起部143の上方で、突起部143上で略水平状態となったメダルMの表面と略平行に設置され、突起部143上で水平状態となったメダルMを撮像する。撮像部151の一例は、CCDカメラである。識別部は、撮像部151で撮像された画像が利用可能なメダルか否かを識別する処理を行う。メダル識別手段150は、LEDなどの照射源を有してもよい。識別部の一例は、制御部60(図1参照)である。
【0040】
メダル識別手段150は、さらに、突起部143の内部又は直下で、且つ、傾斜誘導路140を構成する部材の内部に、メダルMが突起部143上の撮像可能な領域内に位置することを検知し、検知信号を制御部60(識別部)に出力しこの検知信号によってメダル識別手段150が駆動するようなメダル位置検知手段152を有する。メダル位置検知手段152は、突起部143上で略水平状態となったときのメダルMを検知可能な位置に設けられればよい。また、メダル位置検知手段152におけるセンサをもって、計数手段としても機能させ、第1の計数装置として計数を行う。なお、後述するメダル識別手段により識別を行った結果、使用できないものであると識別されたメダルMの計数値は、第1の計数装置により計数を行った計数値から減算される。メダル位置検知手段152としては、光学式センサ、近接センサなどを使用することができる。また、撮像部151を高速度撮影することでメダル位置を検知し、これをメダル位置検知手段152、及び第1の計数装置としてもよい。
【0041】
図13は、メダルMが使用できるものであるか否かを判定する処理の流れを示すフローチャートである。使用できるメダルMとは、遊技場で使用が認められているメダルをいう。
【0042】
まず、ゲート部130を通過したメダルMは、メダルMの先端が斜め下方に傾いた状態で傾斜誘導路140上に導かれ、突起部143上であって撮像部151によるメダルMの表面全体の撮像が可能な位置に導かれる。制御部60(識別部)は、メダル位置検知手段152が検知して出力した検知信号の入力を待機(ステップS300)する。制御部60は、複数の処理を切り替えてマルチタスクとして並行して進めており、ステップS300の処理もその複数の処理のうちの一つとして行っている。制御部60は、検知信号の入力が無いと判定した場合(ステップS300のNo)、図13に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、制御部60は、検知信号の入力があったと判定すると(ステップS300のYes)、撮像部151によるメダルMの撮像が可能であるとして、撮像部151を作動してメダルMを撮像し(ステップS301)、撮像部151からの撮像情報に基づいてメダルMが使用できるメダルであるか否かを判定するための画像処理を行う(ステップS302)。画像処理は、一例として、記憶手段に記憶された画像解析プログラムの記述に従った、撮像されたメダルMの表面の文字や模様と予め記憶されている正規のメダルMの表面の文字や模様との比較である。なお、搬送装置120から導入されたメダルMは、搬送装置120による搬送方向に搬送されつつ傾斜側面141に沿って流下するため、メダルMが撮像可能な位置に停止するわけではない。
【0043】
続いて、制御部60(識別部)は、画像処理した情報に基づいて、メダルMが使用できるものであるか否かを判定する(ステップS303)。ステップS303の判定でメダルMが使用できるものであると判定した場合(ステップS303のYes)、制御部60(識別部)は、図13に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、ステップS303の判定でメダルMが使用できるものでないと判定した場合(ステップS303のNo)、制御部60(識別部)は、メダル排除処理(ステップS304)を実行する。メダル排除処理については、[メダル排除機構180]の説明のところで後述する。
【0044】
[流下通路160] 図4、図5、図6、図9、図10、図11及び図12を参照する。メダル識別手段150で撮像されたメダルMは、搬送装置120による搬送方向に進行しつつ、傾斜誘導路140の傾斜側面141を矢印R1に沿って流下し、横倒した状態から縦立した状態となり、流下通路160に入り込む。流下通路160は、計数ユニット100の両側面に設けられ、傾斜誘導路140によって導かれたメダルMを、回収路70Aに導く。流下通路160の上流部は、前述したように、側壁161と、傾斜誘導路140の傾斜側面141と、底部162とにより構成され、側壁161と傾斜側面141との間隙がメダルMの厚さよりも若干大きくなっていて、メダルMが縦立した状態でスムーズに流下できるようになっている。なお、横倒した状態とは、メダルMが重力方向に対して垂直である水平となった状態、および水平面とメダルMの表面とのなす角が±45度未満の範囲で傾いた状態をいう。また、縦立した状態とは、メダルMが重力方向に対して平行となる直立した状態、および重力方向に対して平行な面とメダルMの表面とのなす角が±45度以下の範囲で傾いた状態をいう。メダルMは、流下通路160をスムーズに自由流下するために、縦立した状態のときに略鉛直に向いていることが好ましい。
【0045】
[メダル排除機構180] 図14は、メダル排除機構180が駆動されていない状態での図6のB−B線断面を示す図である。図15は、メダル排除機構180が駆動されている状態での図6のB−B線断面を示す図である。図16は、メダル排除機構180の下端側支持部182を上方から見た図である。図4、図5、図6、図14、図15及び図16を参照する。メダル排除機構180は、流下通路160の中流部に設けられ、流下通路160の上流部から縦立した状態で流下するメダルMを選択的に排除する。メダル排除機構180は、メダル識別手段150における識別判定の処理(図13参照)に基づいて、使用することができないメダル(例えば、偽造メダルなど)を、流下通路160から計数ユニット100の中央側へ排除する。
【0046】
メダル排除機構180は、上端側支持部181と、下端側支持部182とを有する。上端側支持部181は、流下通路160を通過中のメダルMの上端部を支持する。下端側支持部182は、断面凹状形をなしてメダルMの下端部を支持する。メダルMは、メダル排除機構180において、上端側支持部181と下端側支持部182とによってのみ支持される。メダル排除機構180の近傍、特に、メダルMを排除するために押し出す方向(図14におけるメダルMの右側の方向)には、押し出しを阻害する部材は存在しない。
【0047】
下端側支持部182は、図14及び図15に示すように、メダルMの下端側を安定して支持するために、中央に下流に向かって溝部182aを有する、断面視にて凹形状をなす部材で構成される。
【0048】
上端側支持部181は、図14及び図15に示すように、メダルMの上方の外側端縁を支持する支持面183aを有する、断面視にてL字状をなす外側支持部材183を備える。さらに、上端側支持部181は、断面形状が凹状(コ字状)であり、下方に開口部を位置させて、外側支持部材183を上方から覆うように配置された内側支持部材184を備える。内側支持部材184は、メダルMの上方の内側端縁を支持する支持面184aを有し、メダルMを排除する際、メダルMの上方の外側(図14及び図15におけるメダルMの左側)から内側(図14および図15におけるメダルMの右側)に向かう方向に押圧する押圧部184bを備える。内側支持部材184の支持面184aによって支持される、メダルMの上端縁側の厚さPは、0.5mm程度である。即ち、メダルMの直径が、正規のメダルMの直径よりもPmmを超えて小さい場合(即ち、正規のメダルMの直径との差がPmmよりも大きい場合)には、内側支持部材184の支持面184aによって支持されない。内側支持部材184の上部には、駆動機構185が連結される。駆動機構185は、メダルMの流下方向に対して垂直な方向に移動する。内側支持部材184は、駆動機構185の移動に伴って、回転軸186を中心に回転する。
【0049】
駆動機構185を駆動すると、図15に示すように、図15における左側(計数ユニット100における外側方向)に突出する。これにより、内側支持部材184が回転軸186を中心に上流側から見て反時計回りに回転する。その結果、メダルMに対する支持面184aによる支持が解除され、メダルMは押圧部184bによって計数ユニット100の外側から内側に押圧され、流下通路160から排除される。
【0050】
上端側支持部181は、駆動機構185によって流下通路160を流下するメダルMの面に対して直交する方向に、メダルMを排除する位置とメダルMを排除せずにそのまま流下通路160に沿って流下させる位置との間を動く。図13に示す処理の中で、ステップS303の判定でメダルMが使用できるメダルであると判定した場合(ステップS303のYes)、メダル排除機構180における駆動機構185は駆動されない。他方、ステップS303の判定でメダルMが使用できるメダルでないと判定した場合(ステップS303のNo)、制御部60は、ステップS304(メダル排除処理)として、駆動機構を動作させるべく所定時間後に作動する割込処理をセットしこの割込処理のたびに駆動機構185を駆動させることを行う(ステップS310)。駆動機構185を駆動させるタイミングは、例えば、傾斜誘導路140の突起部143上の撮像可能な位置で撮像されてからメダルMが流下する時間などで設定される。具体的には、例えば、傾斜誘導路140の突起部143上の撮像可能な位置からメダル排除機構180に至るまでの流下時間を予め調べておき、その流下時間および撮像された時間に基づいて、駆動機構185を駆動させる。なお、駆動機構185を駆動させるタイミングは、傾斜誘導路140の突起部143上の撮像可能な位置で撮像されてからの時間に限られるものではなく、メダル位置検知手段152によって検知されてからの時間などで設定してもよい。駆動機構185を駆動させる際には、制御部60は、駆動機構185を駆動するための駆動信号を出力して、駆動機構185を駆動する。駆動機構185が駆動すると、縦立した状態で流下通路160を流下するメダルMがメダル返却通路としての傾斜通路190に排出され、傾斜通路190を滑り落ち、メダル返却口42(図1参照)から排出され、返却メダル受け皿41(図1参照)に到達する。駆動機構185は、メダルMの排除後、駆動機構185を元に戻してメダルMを流下可能な状態にする。このような駆動機構185は、例えば、ソレノイドなどで構成することができる。上端側支持部181と下端側支持部182とを別個に設け、一方を動かすようにすることで、駆動機構185や上端側支持部181、下端側支持部182の可動範囲が小さくなり、例えば、メダル計数機50内のメダルMの貯留空間が増大する。
【0051】
メダル排除機構180は、さらに、薄い板状部材で形成され弾性を有する板ばね等のメダル押圧部材187を有する。メダル押圧部材187の先端187aは、図16に示すように、流下通路160を流下するメダルMの流下軌跡に突出する。メダル押圧部材187の他端は、固定されている。メダル押圧部材187は、薄い板状部材で形成されるため、メダルMの流下を妨げない。
【0052】
なお、メダル押圧部材187を設けない、あるいは板ばねの経時変換にともなう弾性力の欠如に備え、図14において、通過するメダルMの上端が傾斜通路190側に若干傾くように、上端側支持部181が下端側支持部182よりもやや右よりに位置してもよい。これより、例えば、メダルMの直径が、正規のメダルMの直径よりもPmmを超えて小さい場合(即ち、正規のメダルMの直径との差がPmmよりも大きい場合)には、メダルMを傾斜通路190に確実に落ちるように構成することができる。
【0053】
ここで、一対のゲート板状部材131(図8等)では、所定の直径(例えば、正規のメダルMの直径)よりも大きなメダルの進入を防止するものの、所定の直径よりも小さなメダルはゲート部130を通過し、傾斜誘導路140や流下通路160に進入することになる。しかしながら、メダル排除機構180において、メダルM(正規のもの)は、上端側支持部181と下端側支持部182とにより上端部と下端部とが支持されるのみであり、正規のものよりも小さなメダルはその上端部を支持されず、メダル押圧部材187の先端187aに押し出されて流下通路160から排除される。このように、メダル排除機構180は、メダルを排除する機能と所定の直径に満たないメダルを識別する機能とを兼ね備えることになる。なお、正規のメダルMの直径よりも小さく且つ直径差が僅かであるメダルの場合には、駆動機構185を駆動させることで排除される。
【0054】
図6に示すように、計数ユニット100の中央側には、メダル排除機構180によって押し出されたメダルMを、メダル計数機50の正面に設けられるメダル返却口42に導く傾斜通路190が設けられる。傾斜通路190は、メダル返却口42に向かって下方傾斜する平板状部材で構成され、計数ユニット100の中央に位置する。傾斜通路190の表面は、メダルMが滑りやすいように、鏡面加工等によりメダルMとの摩擦抵抗を小さくすることが好ましい。傾斜通路190は、計数ユニット100内のデッドスペースの有効活用に寄与し、これによって、メダル計数機50に必要な機器を配置するためのスペースを確保することができる。
【0055】
メダル排除機構180によって計数ユニット100の中央側へ排除されたメダルは、図6に示すように、傾斜通路190を滑り落ち、メダル返却口42から排出され返却メダル受け皿41に返却される。メダル排除機構180は、計数ユニット100の両側面に設けられたそれぞれの流下通路160に備わっており、傾斜通路190には、双方のメダル排除機構180によって排除されたメダルMが流下する。
【0056】
一方、メダル排除機構180によって排除されることなく、メダル排除機構180を通過したメダルMは、流下通路160の下流部に設けられた上端側支持部188と下端側支持部189とに支持されて、流下通路160の下流部に流下する。流下通路160の下流部には、メダルMの数量を計数するための第2の計数装置195が設けられる。第2の計数装置195は、流下通路160を流下するメダルMを計数する。メダルMは、計数された後、さらに流下して、回収路70Aに入る。
【0057】
ここで、一例として、会員用ICカードなどのICカードなどがカード挿入口22に挿入されICカードに記憶されたIDが読み取られた場合、計数装置により計数された計数値が計数メダル数としてそのIDに基づき管理装置などに記憶される。別の一例として、ICカードを挿入されずに計数装置により計数された場合、例えば、カード処理機28に貯留されたICカードにIDなどの情報を記録して発行し、そのIDに基づき、計数装置により計数された計数値を計数メダル数として管理装置などに記憶させてもよい。別の一例として、例えば、計数装置により計数された計数値に係る情報をバーコードなどの態様で記録したレシートを発行する機構を設けてもよい。レシートを発行する場合、レシートには、簡易管理用IDが記録され、その簡易管理用IDは、そのレシートを用いて景品交換されるまで、管理装置において計数されたメダル数とともに管理される。メダル数の計数結果は、表示パネル21に表示されてもよい。
【0058】
第2の計数装置195の配置位置は、この位置に限られず、傾斜誘導路140よりも流下通路160の下流側であればよい。さらに、第2の計数装置195の配置位置は、メダル排除機構180よりも流下通路160の下流側で流下するメダルMを計数可能な位置であれば、さらに好ましい。第2の計数装置195をメダル排除機構180よりも流下通路160の下流側に配置することで、不正行為を行うための道具(弾性構造体など)がメダル投入口31から挿入されても、道具が第2の計数装置195に近づき難く、不正行為が防止されるという効果が生まれることになる。また、このメダル位置検知手段152を、例えば、メダルMが突起部143上から移動しない場合や、第2の計数装置195での計数動作中にメダルMを所定時間検知しない場合などのメダル搬送異常検知手段として機能させてもよい。この場合において、制御部60は、メダル位置検知手段152からの入力信号などに基づいて、メダルMが突起部143上から移動しない場合や、第2の計数装置195での計数動作中にメダルMを所定時間検知しない場合などを判定し、通報処理を実行するようにしてもよい。通報処理として、例えば、表示パネル21にメダル搬送異常である旨を表示したり、メダル搬送異常検知情報を遊技場の管理装置などに出力したりしてもよい。
【0059】
なお、本実施例において、計数装置を、メダルMが通過する一の流路に第1の計数装置と第2の計数装置、2ヶ所設けている。第1の計数装置は、搬送装置120によって搬送され整列されたメダルMを計数可能な位置に、第2の計数装置は、流下通路160においてメダル排除機構180よりも下流側で流下するメダルMを計数可能な位置に設けてあればよい。なお、例えば、一の流路に3以上の計数装置を設けてもよい。計数装置を複数設ける場合、各計数装置における計数結果が異なるときには、所望の計数装置の計数結果を計数値とするよう設定する。例えば、本実施例においては、奥側に位置し、不正行為などが行われる可能性が低い第2の計数装置195を所望の計数装置として設定する。また、計数装置を複数設ける場合、搬送装置120によって搬送され整列されたメダルMを計数する第1の計数手段(突起部143の近傍位置に光学式センサ、近接センサ、撮像部151を高速度撮影してメダル位置を検知してもよい)を設け、流下通路160を流下するメダルMを計数する第2の計数手段(第2の計数装置195)を設け、第1の計数手段で計数したものが第2の計数手段によって計数できないときに、ジャム(搬送不良)、もしくは、第1の計数手段のみ不正行為を行われていると判定することもできる。
【0060】
さて、本実施の形態で説明したのは、ハウジング51と、/前記ハウジング51に収納される計数ユニット100と、/前記計数ユニット100に設けられ、前記ハウジング51の正面側に位置付けられ、平坦な遊技媒体(メダルM)を受け入れる遊技媒体投入部(メダル投入部30)と、/前記計数ユニット100に設けられ、前記遊技媒体投入部(メダル投入部30)に投入され第1の向きに向いた状態にある前記遊技媒体(メダルM)を前記計数ユニット100の奥側に搬送する搬送手段(搬送装置120)と、/前記計数ユニット100において前記搬送手段(搬送装置120)よりも奥側に設けられ、前記搬送手段(搬送装置120)により搬送された前記遊技媒体(メダルM)を第2の向きに向けるメダル変位機構(傾斜誘導路140)と、/前記計数ユニット100において前記メダル変位機構(傾斜誘導路140)よりも奥側に設けられ、前記メダル変位機構(傾斜誘導路140)により第2の向きに向いた状態にある前記遊技媒体(メダルM)を転動させながら導く流下通路160と、/計数する計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ及び第2の計数装置195)と、/を備えるメダル計数機50であり、特に、前記第1の向きとは、前記遊技媒体(メダルM)が横倒された状態であり、/前記第2の向きとは、前記遊技媒体(メダルM)が縦立された状態であり、/前記メダル変位機構(傾斜誘導路140)は、前記搬送手段により搬送され横倒状態にある前記遊技媒体(メダルM)をその自重により滑らせて縦立状態にするという技術的思想である。
【0061】
本実施の形態では、計数開始/終了ボタン25(図1参照)が押されると、制御部60の制御によって搬送装置120が駆動し、メダルMが傾斜誘導路140に搬送され、向きが変えられて、流下通路160に入り込み、流下通路160を流下する。メダルMは、流下通路160を流下してメダル排除機構180を通過し、第2の計数装置195に到達して、この第2の計数装置195により計数される。ここで、計数手段(第2の計数装置195)が、計数ユニット100においてメダル変位機構(傾斜誘導路140)よりも奥側に配置され、計数手段(第2の計数装置195)での遊技媒体(メダルM等)の不正なカウントを行うための道具が計数手段(第2の計数装置195)まで届かない。したがって、遊技場内に設けられ遊技機(スロットマシン等)に用いられる遊技媒体(メダルM等)の計数を行うメダル計数機にて、不正行為の防止を簡易な構造で実現できる。さらに、遊技媒体(メダルM)の向きの変換を遊技媒体(メダルM)自身の重さによって滑らせて実現しており、向き変換のための特段の機構を設けておらず、遊技媒体(メダルM)による詰まりが生じにくい。
【0062】
別の実施の形態を、図17ないし図20に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第二の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、ハウジング51は、その正面から見て横方向に拡縮自在であり、/前記計数ユニット100は、前記ハウジング51内に、その正面から見て横方向に複数横並びで配置されるものである。
【0063】
以下、詳細に述べる。図17は、ハウジング51が広げられた状態でのメダル計数機50の斜視図である。図18は、ハウジング51が狭められた状態でのメダル計数機50の底面図である。図19は、ハウジング51が広げられた状態でのメダル計数機50の底面図である。図20は、ハウジング51が狭められた状態での図18のE−E線端面図である。メダル計数機50のハウジング51は、その左方を構成する左部分51Lと、その右方を構成する右部分51Rとを有する。左部分51L及び右部分51Rのいずれの底部にも、脚部51Aが設けられていて、ハウジング51の底面はメダル計数機50の載置面から離れるようになっている。左部分51Lの底部には、左右方向に延びる長孔状のスライド調整部51Cが設けられる。スライド調整部51Cには、左右方向に延びるボルト孔51Bが形成される。ボルト孔51Bには、ボルトナット51Dが挿入され、このボルトナット51Dが左部分51Lと右部分51Rとを強固に挟み込むことにより、左部分51Lと右部分51Rとの位置固定が実現する。
【0064】
図17に示すように、拡張されたハウジング51に対し、蓋材52で覆うことができない領域を別の開口を有した小蓋材52Aで覆うことができる。また、拡張されることによってハウジング51内に設けられた空間に、別の計数ユニット100を設置することができる。また、蓋材52に、ハウジング51の横幅に合わせたものを用いても良い。前カバー52Fについては、ハウジング51の横幅に合わせたものを用いても良いし、横方向に拡大縮小できるものを用いても良い。
【0065】
本実施の形態によれば、さらに、ハウジング51の幅を、スロット島の形状やスロットマシンの配置間隔により設けられるメダル計数機50の設置スペースに対応させることができる。また、メダル計数機50の内部に五台以上の計数ユニット100を配置して、メダル計数機50でのメダルMの処理能力を高めることができる。
【0066】
別の実施の形態を、図21及び図22に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第三の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100には、前記計数ユニット100から遊技媒体(メダルM)を排出するための遊技媒体排出部(メダル排出部40)が設けられ、/前記計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)を第1所定枚数だけ差し引いて前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に返却する簡易モードにモード切替可能であるものであり、特に、前記計数ユニット100は、複数設けられ、/前記簡易モード下では、前記複数の計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)の合計枚数が前記第1所定枚数に達したと判定した場合に、前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に遊技媒体(メダルM)を返却するものである。
【0067】
さらに、本実施の形態のメダル計数機50は、前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)は、前記ハウジング51の正面側に位置付けられ、/前記第1、及び第2の計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ及び第2の計数装置195)と遊技媒体(メダルM)が流下する流下路(流下通路160)を更に備え、/前記流下路(流下通路160)から分岐し前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に繋がる排出用通路(傾斜通路190)を更に備え、/前記流下路(流下通路160)で流下する遊技媒体(メダルM)の行き先を、前記第2の計数手段(第2の計数装置195)と前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とのいずれかに設定でき、遊技媒体(メダルM)を返却しない場合に前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記第2の計数手段(第2の計数装置195)とし、遊技媒体(メダルM)を返却する場合に前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記遊技媒体排出部(メダルM)とする返却手段(メダル排除機構180)を更に備え、/前記簡易モード下では、前記複数の計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)の合計枚数が、前記第1の計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ)において前記第1所定枚数に達したと判定した場合に、前記返却手段(メダル排除機構180)を駆動して前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に遊技媒体(メダルM)を返却するようにしたものである。
【0068】
さらに、本実施の形態のメダル計数機50は、前記簡易モード下では、前記複数の計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)の合計枚数が、前記第1の計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ)において前記第1所定枚数に達したと判定した場合に前記返却手段(メダル排除機構180)を作動して、前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とするようにしたものである。
【0069】
さらに、本実施の形態のメダル計数機50は、前記簡易モード下では、前記複数の計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)の合計枚数が、前記第1の計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ)において前記第1所定枚数よりも少ない第2所定枚数に達したと判定した時点から遊技媒体(メダルM)の前記第2の計数手段(第2の計数装置195)への流下を制限し、その後に遊技媒体(メダルM)の計数が前記第1所定枚数に達した際に前記返却手段(メダル排除機構180)を作動し、前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とするようにしたものである。
【0070】
さらに、本実施の形態のメダル計数機50は、前記簡易モード下では、遊技媒体(メダルM)の流下を制限する手法として、前記複数の計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)の合計枚数が、前記第1の計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ)において前記第1所定枚数よりも少ない第2所定枚数に達したと判定した場合に前記搬送手段(搬送装置120)による前記遊技媒体(メダルM)の搬送スピードを低下させることを行うようにしたものである。
【0071】
以下、詳細に述べる。図21は、表示パネル21の表示内容を示す模式図である。表示パネル21には、「タバコと交換」と書かれた簡易モード切替アイコン21Bが表示される。操作者がタッチパネルセンサ21Aにおける簡易モード切替アイコン21Bに対応した部分をタッチ指定することで、簡易モードのオン/オフが切り替えられる。簡易モードがオンになると、簡易モード切替アイコン21Bの白黒階調が反転する。なお、簡易モードのオン/オフの切り替えは、ハウジング51に設けられたハードウェアボタン(図示せず)を用いても良い。また、「タバコ」は、遊技場で従業員が不在のときでも遊技客が交換できる簡易な景品(最小景品)の一例に過ぎない。
【0072】
図22は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。操作者(遊技客)は、複数の計数ユニット100のメダル投入部30にメダルMを投入した上で、計数開始/終了ボタン25(図1参照)を押す。制御部60は、複数の処理を切り替えてマルチタスクとして並行して進めており、ステップS401の処理もその複数の処理のうちの一つとして行っている。制御部60は、計数開始/終了ボタン25が押されていないと判定した場合(ステップS401のNo)、図22に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、制御部60は、計数開始/終了ボタン25が押されると(ステップS401のYes)、制御部60の制御によって搬送装置120が駆動し、メダルMが傾斜誘導路140に搬送され、向きが変えられて、流下通路160に入り込み、流下通路160を流下する。また、制御部60は、ステップS401に続いて、メダル計数機50がオンであるかどうかを判定する(ステップS401A)。メダル計数機50がオンであると判定した場合(ステップS401AのYes)、制御部60は、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数が、第1所定枚数mよりも少ない第2所定枚数nに達したかどうかを判定しつつメダル排除機構180を順次駆動する処理を行う(ステップS402)。ここで、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数とは、複数の計数ユニット100のそれぞれに備わる第1の計数装置(メダル位置検知手段152におけるセンサ)から制御部60に入力された電気信号を受けて制御部60に記憶されるメダルMの計数である。制御部60は、簡易モードがオンであるかオフであるかを問わず、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数を記憶する。また、第1所定枚数mとは、タバコ(最小景品)を獲得するために必要なメダルMの枚数である。このステップS402に示す処理は、例えば、次の段落以降で述べる方法で行われる。
【0073】
メダル計数機50内に設けられる計数ユニット100の台数をXとする(本実施の形態ではX=5である。また、別の一例として、X=6の場合もある)。この場合、流下通路160の本数は2Xとなる。制御部60は、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数が{m−(2X−1)}枚、{m−(2X−2)}枚、{m−(2X−3)}枚、…、{m−1}枚、m枚に達した際に、割り込みイベントを発生させる。このイベントは、2X回発生することになる。例を挙げると、X=6の場合には、割り込みイベントは、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数が{m−11}枚、{m−10}枚、…、{m−1}枚、m枚に達した際に発生する。ここで、上述の第2所定枚数nとは、この場合、m−(2X−1)である。なお、第2所定枚数nとは、制御部60に記憶されたメダルMの合計枚数が第1所定枚数mに達する直前に複数の計数ユニット100で一斉にメダルMが計数され、その結果としてメダルMの合計枚数が第1所定枚数mを越えてしまうことを防ぐために予備的に設定される値であり、好ましくはn=m−(2X−1)である。なお、nは、m−(2X−1)より大きくても良いし、小さくてもよい。
【0074】
制御部60は、このような割り込みイベントが発生するたびに、2Xだけある流下通路160のうち一つについてメダル排除機構180を駆動させ、流下通路160を流下するメダルMが傾斜通路190に排除されるようにする。ここで、制御部60は、割り込みイベントが発生すると同時にメダル排除機構180を駆動させてもよいし、割り込みイベントが発生してから所定時間後にメダル排除機構180を駆動させてもよい。最終的に、制御部60は、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数がm枚に達した時点で、全ての流下通路160についてメダル排除機構180を駆動して、メダルMがどの流下通路160を流下したとしても傾斜通路190に向けて排除されるようにする。これにより、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数が{m−(2X−1)}枚、即ち、第2所定枚数nに達した時点で、搬送装置120によるメダルMの搬送スピードを低下させて、傾斜誘導路140に多量のメダルMが入り込まないようにしてもよい。
【0075】
制御部60は、ステップS402の処理で、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数が、第1所定枚数mに達したと判定した場合、直ちに若しくは所定時間経過後に搬送装置120を停止し、メダル排除機構180を停止する。このとき、遮断部材作動機構132(図7参照)を駆動して遮断部材133(図7参照)を下降させ傾斜誘導路140へのメダルMの進入を防ぐようにしてもよい。遮断部材133の下降による傾斜誘導路140へのメダルMの進入防止は、上記割り込みイベントが発生するときにメダル排除機構180を駆動させた計数ユニット100で行われてもよい。ステップS402の処理後、制御部60は、図22に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0076】
本実施の形態によれば、さらに、従業員の立会下においてのみメダル計数機の使用を許可する遊技場においても、従業員不在の状況下でも遊技客が獲得できる景品(最小景品)であれば、遊技客の操作によってメダルMの計上ができ、ハウジング51の幅を、スロット島の形状やスロットマシンの配置間隔により設けられるメダル計数機50の設置スペースに対応させることができる。また、メダル計数機50の内部に五台以上(本実施の形態の場合。六台やそれ以上であってもよいし、四台以下でも良い)の計数ユニット100を配置して、メダル計数機50でのメダルMの処理能力を高めることができる。
【0077】
別の実施の形態を、図23及び図24に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第四の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100は、複数設けられ、/警告を行う警告部(例えば、表示パネル21)を更に備え、/遊技媒体(メダルM)の個数を前記複数の計数ユニット100のそれぞれで別個に計上し、前記警告部(例えば、表示パネル21)に、第3所定枚数以上計数がなされた前記計数ユニット100についての警告を行わせるものである。
【0078】
以下、詳細に述べる。図23は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。制御部60は、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの枚数を、複数の計数ユニット100のそれぞれに備わる第2の計数装置195からの電気信号を別々に計上することで、計数ユニット100別に計数して記憶している。ここで、制御部60は、複数の処理を切り替えてマルチタスクとして並行して進めており、ステップS501の処理もその複数の処理のうちの一つとして行っている。制御部60は、メダル計数機50が起動している間、i番目の計数ユニット100(但し、iは、メダル計数機50に備わる計数ユニット100の台数としたi≦jなる正の整数値であり、iの初期値は1である)でのメダルMの計上枚数が第3所定枚数p以上であるかどうかを判定する(ステップS501)。ここで、第3所定枚数pとは、計数ユニット100において流下通路160等の汚れや各部の金属疲労があらわれはじめるメダルMの投入枚数であって、経験的に設定される値である。第3所定枚数p以上でないと判定した場合(ステップS501のNo)、制御部60は、iの値を1増加させ(ステップS502)、iがjを超えたと判定した場合にはiの値を初期値(例えば、i=1)に戻し(ステップS503のYes、ステップS505)、その上で図23に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、制御部60は、ステップS503の判定処理においてiがjを超えていないと判定した場合(ステップS503のNo)、iの値を変えること無く図23に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。制御部60が図23に示す処理を再び開始する際には、ステップS503やステップS505の処理を経て設定されたiの値が用いられることになる。なお本実施例の様に、1なる計数ユニット100に2本の流下通路160及びそれぞれに第2の計数装置195を設ける場合は、iを第2の計数装置195毎に設定してもよい。
【0079】
図24は、警告処理の一例を示す模式図である。制御部60は、ステップS501の処理において、i番目の計数ユニット100でのメダルMの計上枚数が第3所定枚数p以上であると判定した場合(ステップS501)、警告処理を行う(ステップS504)。警告処理とは、例えば、警告部としての表示パネル21に、第3所定枚数p以上計数がなされたi番目の計数ユニット100についての警告表示21Cをするものである。警告表示21Cの一例は、「i番目のユニットのメンテナンス時期です」という文字列である。なお、別の例として、制御部60は、警告処理として、メダル計数機50に備わる警音器(図示せず)に警告音を発せさせても良い。
【0080】
本実施の形態によれば、さらに、従業員は、メダル計数機50に設置される複数の計数ユニット100のいずれかに生じている不具合を早期に把握でき、部品の交換やレーンの清掃、金属疲労への対応などを早急に行うことができる。
【0081】
別の実施の形態を、図25、図26及び図27に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第五の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100には、前記計数ユニット100から遊技媒体(メダルM)を排出するための遊技媒体排出部(メダル排出部40)及び複数の種類別排出部(回収路70A、回収路70B)が設けられ、/前記計数ユニット100において前記第2の計数手段(第2の計数装置195)よりも上流側に配置され、前記遊技媒体投入部(メダル投入部30)から投入された遊技媒体(メダルM)の種別及び使用可否を識別する識別部(メダル識別手段150)を更に備え、/前記識別部(メダル識別手段150)により識別された前記遊技媒体(メダルM)が使用不可なものである場合にその遊技媒体(メダルM)を前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に排出し、前記識別部(メダル識別手段150)により識別された前記遊技媒体(メダルM)が使用可能なものである場合にその遊技媒体(メダルM)をその種類に応じた前記種類別排出部(回収路70A、回収路70B)に排出するものである。
【0082】
以下、詳細に述べる。図25は、計数ユニット100の側面図である。図26は、種別振分部70Cの平面図である。回収路70Aからは、別の回収路70Bが分岐する。回収路70Aも回収路70Bも、その底面は凹型をなし且つその両側面は平板で構成されており、メダルMは回収路70Aや回収路70Bの内部を流下できるようになっている。回収路70Bの上流端には、メダルMを振り分ける種別振分部70Cが設けられる。種別振分部70Cは、メダルMを案内するフラップ70Eと、フラップ70Eの上流端が揺動するようにフラップ70Eの下流端を保持する保持軸70Dと、フラップ70Eを揺動させる駆動源(図示せず)とを有する。駆動源の一例は、ソレノイドである。フラップ70Eは、駆動源の駆動に応じて、メダルMを回収路70Aに沿って流下させる第1位置70Fと、メダルMを回収路70Aから回収路70Bに導く第2位置70Gとの間を移動する。回収路70Aは、スロット島に設けられる搬送コンベア(図示せず)に繋がる。回収路70Bは、メダル計数機50内に設けられるメダル貯留部(図示せず)に繋がる。
【0083】
図27は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態では、制御部60は、制御部60のCPU自身で行う内部タイマ割込処理により、割り込みイベントとして処理を開始する。この処理の開始タイミングは、計数ユニット100内にある現在のメダルMの位置と搬送装置120の搬送ベルト122の搬送速度とに基づいて正しい撮像が行われるよう適宜補正される。撮像後(ステップS330)、制御部60は、新たな画像が得られたかどうかを判定し(ステップS331)、新たな画像が得られたと判定した場合には処理をステップS302に進め(ステップS331のYes)、新たな画像が得られなかった場合には処理をリターンする(ステップS331のNo)。なお、ここに述べた処理の開始タイミング、並びに、ステップS330及びステップS331の処理は、他の実施の形態において、ステップS300及びステップS301の代わりになされてもよい。制御部60は、ステップS331の判定処理において、新たな画像が得られたと判定した場合(ステップS331のNo)、図27に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0084】
画像処理(ステップS302)後、ステップS303(メダルMが使用できるものであるか否かを判定する処理)の判定でメダルMが使用できるメダルであると判定した場合(ステップS303のYes)、メダルMが第1種(例えば、5円メダル)であるかどうかを判定する(ステップS321)。制御部60は、メダルMが第1種であると判定した場合(ステップS321のYes)、種別振分部70Cのフラップ70Eが第1位置70Fに位置付けられるよう種別振分部70Cの駆動源(図示せず)を駆動する(ステップS322)。また、制御部60は、メダルMが第1種ではない(第2種、例えば、20円メダル)と判定した場合(ステップS321のNo)、種別振分部70Cのフラップ70Eが第2位置70Gに位置付けられるよう種別振分部70Cの駆動源(図示せず)を駆動する(ステップS323)。なお、本実施の形態においては、制御部60は、ステップS303において、第1種及び第2種のいずれでもない種類のメダルMを使用不可のメダルとして判定する。この処理により、第1種のメダルMは回収路70Aを通ってスロット島に設けられる搬送コンベア(図示せず)に到達し、第2種のメダルMは70Bを通ってメダル計数機50内に設けられるメダル貯留部(図示せず)に到達し、第1種及び第2種のいずれでもない種類のメダルMは、第2の計数装置195に計数される前にメダル排除機構180によって傾斜通路190に排除されメダル排出部40に到達する。制御部60は、ステップS322やステップS323の処理を終えた後、図27に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0085】
本実施の形態によれば、メダル計数機50がメダルMを複数種取り扱うことのできる場合に、メダルMを種類別に振り分けることができ、かつ、使用不可のメダルMをメダル排出部40から排出することができる。
【0086】
別の実施の形態を、図1に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第六の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記遊技媒体投入部(メダル投入部30)を構成する複数の側面のうち、正面側から見て右側の側面51Eが他に比べて背高に設けられるものである。
【0087】
本実施の形態によれば、さらに、遊技者が複数のメダル投入部30の上方からメダルMを手放しても、少なくともいずれかのメダル投入部30に入り込み、右側の側面51Eを乗り越えてメダル計数機50の外側に落下することはない。遊技者の多くが右利きであって、右手を用いてメダルMの投入が多く行われているという実情から、本実施の形態は従来技術と比べて有利である。
【0088】
別の実施の形態を、図28及び図29に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第七の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100は、複数設けられ、/警告を行う警告部(例えば、表示パネル21)を更に備え、所定の前記計数ユニット100について前記第2の計数手段(第2の計数装置195)まで前記遊技媒体(メダルM)が到達できないようにした状態下で当該計数手段(第2の計数装置195)での前記遊技媒体(メダルM)の計上を判定した場合、前記警告部(例えば、表示パネル21)に警告を行わせるものである。
【0089】
以下、詳細に述べる。図28は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態では、メダル計数機50に備わる複数の計数ユニット100のうち、全てではない幾つかの計数ユニット100について、メダルMが第2の計数装置195に到達しないよう予め設定されていることを前提とする。ここでいう「メダルMが第2の計数装置195に到達しないよう予め設定されている」とは、一例として、搬送装置120(図7等参照)が駆動されていない状態、遮断部材133(図7参照)が下降してメダル収容筐体110内のメダルMが傾斜誘導路140に到達できない状態、メダル排除機構180が駆動して流下通路160を流下するメダルMが傾斜通路190に排除される状態等をいう。
【0090】
制御部60は、複数の処理を切り替えてマルチタスクとして並行して進めており、ステップS701の処理もその複数の処理のうちの一つとして行っている。制御部60は、上記の理由等によりメダルMが到達することができず計数が行われるべきではない第2の計数装置195においてメダルMの計数がなされたことを判定した場合(ステップS701のYes)、警告処理(ステップS702)を行い、その後に図28に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、制御部60は、メダルMが到達することができず計数が行われるべきではない第2の計数装置195においてメダルMの計数がなされていないと判定した場合(ステップS701のNo)、警告処理(ステップS702)を行わずに図28に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0091】
図29は、警告処理の一例を示す模式図である。制御部60は、ステップS702で行う警告処理として、例えば、警告部としての表示パネル21に、警告内容を示す警告表示21Dを表示する。警告表示21Dの一例は、「係員が来るまでお待ちください」という文字列である。なお、別の例として、制御部60は、警告処理として、メダル計数機50に備わる警音器(図示せず)に警告音を発しさせても良い。
【0092】
本実施の形態によれば、遊技媒体(メダルM等)の不正なカウントを行うための道具がメダル投入部30やメダル排出部40から挿入され第2の計数装置195にセンシングされる等の不正行為を防ぐことができる。また、例えば、全ての計数ユニット100において、本実施の形態を行うことにより、従業員の立会下においてのみメダル計数機の使用を許可する遊技場において、遊技客が従業員の立会いが無い状況で計数を行う事を防ぐ事が出来る。
【0093】
別の実施の形態を、図30及び図31に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第八の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100には、前記計数ユニット100から遊技媒体(メダルM)を排出するための遊技媒体排出部(メダル排出部40)が設けられ、/前記メダル変位機構(傾斜誘導路140)と前記第2の計数手段(第2の計数装置195)とを連絡し遊技媒体(メダルM)が流下する流下路(流下通路160)を更に備え、/前記流下路(流下通路160)から分岐し前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に繋がる排出用通路(傾斜通路190)を更に備え、/前記流下路(流下通路160)で流下する遊技媒体(メダルM)の行き先を、前記第2の計数手段(第2の計数装置195)と前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とのいずれかに設定でき、遊技媒体(メダルM)を返却しない場合に前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記第2の計数手段(第2の計数装置195)とし、遊技媒体(メダルM)を返却する場合に前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とする返却手段(メダル排除機構180)を更に備え、/特権指示の入力に応じて、前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とし且つ前記搬送手段(搬送装置120)を停止状態とする不使用モードと、前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記第2の計数手段(第2の計数装置195)とし且つ前記搬送手段(搬送装置120)を駆動状態とする通常モードとのモード切替を行うものである。
【0094】
以下、詳細に述べる。図30は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。制御部60は、特権指示の入力を待機している(ステップS801のNo)。ここで、特権指示とは、遊技場の従業員等の特別な操作権限を持つ者だけが入力可能なものである。一例として、特権指示は、遊技場内に配置されメダル計数機50と有線又は無線で接続されデータ通信可能な管理装置(図示せず)から電気信号の態様で制御部60に入力される。また、特権指示は、タッチパネルセンサ21Aにおける表示パネル21に表示されたテンキー(図示せず)に対応する部分をタッチ操作してパスワードを入力することによっても入力されてもよいし、従業員の所有する従業員識別用ICカードをカード処理機28に読み取らせてもよい。制御部60は、複数の処理を切り替えてマルチタスクとして並行して進めており、ステップS801の処理もその複数の処理のうちの一つとして行っている。
【0095】
制御部60は、制御部60は、特権指示の入力がないと判定した場合(ステップS801のNo)、図30に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、制御部60は、特権指示の入力があると判定した場合(ステップS801のYes)、通常モードと不使用モードとのモード切替を行い、その後に図30に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0096】
メダル計数機50は、予め、電源投入直後の待機状態では、通常モードに設定されていても不使用モードに設定されていてもよい。また、別の一例として、従業員は、遊技店の開店直後の遊技客の少ない時間帯にメダル計数機50の待機状態を通常モードから不使用モードにモード切替するようにしてもよい。別の一例として、従業員は、遊技店の閉店間際の計数を行う遊技客の多い時間帯にメダル計数機50の待機状態を不使用モードから通常モードにモード切替するようにしてもよい。
【0097】
図31は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。制御部60は、通常モードと不使用モードとの切替があるまで処理を待機する(ステップS851のNo、ステップS852のNo)。
【0098】
通常モードから不使用モードへのモード切替をした場合(ステップS851のYes)、制御部60は、使用不可能化処理を行う(ステップS853)。制御部60は、使用不可能化処理として、搬送装置120(図7等参照)を停止する処理、遮断部材133(図7参照)が下降させてメダル収容筐体110内のメダルMが傾斜誘導路140に到達できなくする処理、及び、メダル排除機構180を駆動して流下通路160を流下するメダルMを傾斜通路190に排除されるようにする処理の少なくともいずれか、好ましくはこれら全てを行う。
【0099】
不使用モードから通常モードへのモード切替をした場合(ステップS852のYes)、制御部60は、使用可能化処理を行う(ステップS854)。制御部60は、使用可能化処理として、搬送装置120(図7等参照)の駆動を再開する処理、遮断部材133(図7参照)を上昇させてメダル収容筐体110内のメダルMが傾斜誘導路140に到達できるようにする処理、及び、メダル排除機構180を駆動して流下通路160を流下するメダルMが傾斜通路190に排除されないようにする処理を行う。これにより、メダルMは、傾斜通路190により排除されることなく流下通路160を通過して第2の計数装置195に計数されることになる。ここに、制御部60が行うステップS852及びステップS854の処理は、メダルの計数を許可する計数許可入力手段を構成する。
【0100】
制御部60は、使用不可能化処理(ステップS853)や使用可能化処理(ステップS854)の処理を終えた後、図31に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0101】
本実施の形態によれば、従業員の立会下においてのみメダル計数機の使用を許可する遊技場において、遊技客が従業員の立会いが無い状況で計数を行う事を防ぐ事が出来、従って、従業員不在時において、遊技媒体(メダルM等)の不正なカウントを行うための道具がメダル投入部30やメダル排出部40から挿入され第2の計数装置195にセンシングされる等の不正行為を防ぐことができる。
【0102】
なお、メダル計数機50の電源をオフとする際に、メダル計数機50を不使用モードに移行して、遮断部材133の下降と、流下通路160を流下するメダルMを傾斜通路190に排除されるようにするためのメダル排除機構180の駆動処理の少なくともいずれか(好ましくはこれら全て)を行うようにし、その後に給電が途絶えるようにしてもよい。また、メダル計数機50の電源がオンになったときに、メダル計数機50が不使用モードであるようにしてもよい。また、メダル識別手段150によるメダルMの識別にて、メダルMが使用できないものであると判定した場合に、メダル計数機50を不使用モードに移行するようにしてもよい。
【0103】
別の実施の形態を、図32に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第九の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100は、複数設けられ、/前記複数の計数ユニット100のそれぞれに設けられる前記遊技媒体投入部(メダル投入部30)を個別に閉じることが可能な蓋部(蓋材52)を更に備えるものである。
【0104】
以下、詳細に述べる。図32は、蓋材52の斜視図である。本実施の形態では、蓋材52は、開口付小蓋材52Mと開口無小蓋材52Nとを複数横並びさせて構成される。個々の開口付小蓋材52M及び開口無小蓋材52Nは、個々の計数ユニット100のカバー体111の一つに対応した縦長の形状をなしている。開口付小蓋材52Mは、平坦部52Hと傾斜部52Jと開口部52Kと壁部52Lとを有している。開口無小蓋材52Nは、開口部52Kを有しておらず、計数ユニット100のカバー体111の一つを閉じるように天板52Pに覆われている。
【0105】
本実施の形態によれば、メダル計数機50に設けられる五つのメダル投入部30を個別に閉じることができ、メダル計数機50を、最小景品の交換等の用途で遊技客にメダル計数機50を操作させる等の用途に使用することが容易となる。
【0106】
なお、本発明には、以下のものが含まれる。
【0107】
[付加請求項1]
受け入れたメダルを1枚毎に整列させるメダル整列部と、
前記メダル整列部によって整列させたメダルを略縦立状態に変位させるメダル変位機構と、
前記メダル変位機構によって略縦立状態に変位させたメダルを転動させながら奥側に導く流下通路と、
前記メダル整列部から前記流下通路の下流端迄の間に1乃至複数配置され、メダルを計数する計数手段と、
で構成される計数ユニットを横並びに複数配置し、受け入れたメダルを各計数ユニットに分配可能に構成することを特徴とするメダル計数機。
【0108】
ここで、計数ユニットを構成しているメダル整列部とメダル変位機構と流下通路と計数手段とは、夫々別体部品で構成されてもよいし、組み付けて一体にされてもよい。
【0109】
付加請求項1記載のメダル計数機によれば、計数ユニットに受け入れられたメダルは、メダル整列部によって1枚毎に整列され、その後、メダル変位機構によって略縦立状態に変位され、その後、流下通路によって転動しながら奥側に導かれる。メダルは、メダル整列部から流下通路の下流端迄の間に、計数手段により計数される。メダル計数機では、このような計数ユニットが横並びに複数配置され、メダルを各計数ユニットに分配できるようになっている。したがって、安価な構成で、大量のメダルを計数可能とするとともに、極力メンテナンス省力化と省スペース化とが実現される。
【0110】
[付加請求項2]
前記メダル計数機は、遊技場内で遊技機を列設されてなる遊技機島の島端に配備可能であり、遊技者側から投入されたメダルを受け入れて計数し、島側である奥側に向かって導くものであり、
前記メダル整列部は、遊技者側から受け入れたメダルを整列させて、横倒させた状態で前記奥側に搬送する搬送手段で構成され、
前記メダル変位機構は、前記搬送手段によって搬送されるメダルを、該メダルの進行方向に対して垂直な左右の少なくとも一方の方向に前記メダルを滑落流下させて縦立させる傾斜側面で構成され、
前記流下通路は、前記傾斜側面を滑落流下させて縦立させたメダルを前記計数ユニットの側面に沿って前記搬送手段による搬送方向の奥側方向に転動流下させるものであることを特徴とする付加請求項1記載のメダル計数機。
【0111】
ここでいう「島端」とは、遊技機島の島中央の通路側端部、または島の長手方向の通路側端部等も含む。また、ここでいう「搬送手段」とは、滑落傾斜による搬送や、ベルト搬送等を含む。
【0112】
付加請求項2記載のメダル計数機によれば、流下通路が計数ユニットの側面に沿って配置可能になるとともに、メダルを縦立転動させるため、流下通路が、計数ユニットを構成するメダル変位機構の幅を超えて配置されることのないコンパクトなサイズにすることができる。従って、計数ユニットを並べた場合、遊技者側からみた全体的な横幅をせまくできるとともに、横幅により多数の計数ユニットが配置できるため、計数速度を向上できる。
【0113】
[付加請求項3]
前記メダル変位機構は、前記搬送手段によって搬送された前記メダルの進行方向に傾斜する搬送方向傾斜面をさらに備え、前記搬送手段によって搬送された横倒させた状態のメダルが、前記搬送方向傾斜面に沿って流下することを特徴とする付加請求項2記載のメダル計数機。
【0114】
[付加請求項4]
前記メダル計数機は、前記複数の計数ユニットをハウジング内に配置し構成され、
前記ハウジングは、その正面から見て横方向に拡大、または/及び、縮小が可能であり、
前記ハウジング内に横並びに配置する前記計数ユニットの数量を増やす、または/及び、減らす事が可能である事を特徴とする付加請求項1から3のいずれか一に記載のメダル計数機。
【0115】
[付加請求項5]
前記搬送手段から前記メダル変位機構までの間に配置され、搬送されたメダルが利用可能なメダルか否かを識別するメダル識別手段と、
前記メダル識別手段から前記流下通路の終端までの間に配置され、前記メダル識別手段における識別判定に基づいて、メダルを排除するメダル排除手段と、
前記傾斜側面の下方側に配備され、前記メダル排除手段が排除したメダルを遊技者に返却するための受け部に導くメダル返却通路と、
を備える事を特徴とする付加請求項2から4のいずれか一に記載のメダル計数機。
【0116】
[付加請求項6]
前記メダル識別手段は、前記搬送手段から前記メダル変位機構までの間に備えられた撮像装置により前記搬送されたメダルを撮像し、当該撮像された情報に基づいて、利用可能なメダルか否かを識別する事を特徴とする付加請求項5記載のメダル計数機。
【0117】
[付加請求項7]
前記メダル計数手段と前記メダル識別手段とが撮像されることによってなされるか、
または、
前記メダル計数手段が、前記メダル排除手段のより上流側に配置された光学式センサまたは金属を検知する近接センサ等で構成されるメダル検知センサによって計数され、前記メダル識別手段が撮像して識別されるものであることを特徴とする付加請求項5または6記載のメダル計数機。
【0118】
[付加請求項8]
前記計数手段により計数されるメダルの計数値が、第1の所定数に達するまでは、メダル返却手段によって遊技者に対してメダルを返却せずにメダル計数機内部または島内に取り込み、
前記計数手段により計数されるメダルの計数値が前記第1の所定数に達した後は、メダル返却手段によってメダルが遊技者に対して返却されることを特徴とする付加請求項2記載のメダル計数機。
【0119】
ここで、メダル返却手段は、メダル排除手段を兼用してもよいし、別途設けられてもよい。付加請求項8記載のメダル計数機は、複数ある計数ユニット内1つのみを運用する時に適する。
【0120】
[付加請求項9]
前記複数の計数ユニットの内複数の計数手段により計数されるメダルの合計数が、第1の所定数に達するまでは、メダル返却手段によって遊技者に対してメダルを返却せずにメダル計数機の内部または島内に取り込み、
前記複数の計数ユニットの内複数の計数手段により計数されるメダルの合計数が前記第1の所定数に達した後は、メダル返却手段によってメダルが遊技者に対して返却されることを特徴とする付加請求項2記載のメダル計数機。
【0121】
ここで、メダル返却手段は、メダル排除手段を兼用してもよいし、別途設けられてもよい。付加請求項9記載のメダル計数機は、複数ある計数ユニットの内、複数乃至全数、計数させる運用時に適するものであって、全数でない複数の計数ユニット以外の稼働させないメダル計数機は蓋をして計数できない運用などが可能である。
【0122】
[付加請求項10]
前記複数の計数ユニットに備える複数の搬送手段を低速に搬送させるか、または、順次搬送させることを特徴とする付加請求項9記載のメダル計数機。
【0123】
ここで、付加請求項10記載のメダル計数機では、複数の計数ユニットの内複数の計数手段により計数されるメダルの合計数が、前記第1の所定数より少ない第2の所定値に達した後に低速に搬送させるか、または順次搬送させてもよいし、計数開始直後または数秒のディレー時間経過後から低速に搬送させるか、または順次搬送させてもよい。尚、全速力による計数処理は、受け付けた記憶媒体が店員のものと認証した場合に行い、低速に搬送させるか、または順次搬送させるかは、会員用記憶媒体、非会員用記憶媒体、またはメダルの投入の検知に基づき行うようにしてもよい。
【0124】
[付加請求項11]
前記メダル計数機は、
前記複数の計数ユニット相互の位置を入れ替え、又各計数ユニット毎に交換可能に構成され、
警告を行う警告部を更に備え、
前記計数ユニット毎に前記メダル計数値の累計値を記憶可能であり、
前記警告部は、前記累計値に基づいて、前記計数ユニット毎の警告を行う事を特徴とする付加請求項1から10のいずれか一に記載のメダル計数機。
【0125】
ここで、「累計値に基づいて警告を行う」とは、各計数ユニットの累計値の平均との比較で、累計値の最大の計数ユニットの位置に累計値が最小の計数ユニットの位置に移し、累計値が2番目に大きい計数ユニットの位置に累計値が2番目に小さい計数ユニットの位置に移す等の指示を行うこと、各計数ユニットが所定値を超えた場合に交換を行う旨の指示を行う事等が例示できる。また、他に、1つの計数ユニットのみ著しく累計値が低い場合、当該計数ユニットにおいて計数を阻害する不具合が発生している可能性があるとして警告を行う事等も加えて例示できる。なお、「メダル計数値の累計値の記憶」は、「計数ユニット毎に」行うと記載するが、例えば、前記メダル整列部により、メダルが2列に整列され、2列に整列されたメダルの列毎に計数手段が設けられている場合等は、当該計数手段毎にメダル計数値の累計値の記憶を行う事も、本発明に含まれる。
【0126】
[付加請求項12]
前記メダル計数機は、更に、メダルの計数を許可する計数許可入力手段を備え、
前記メダル返却手段は、前記計数許可入力手段による許可がなされる前は、メダルを返却する状態とし、前記計数許可入力手段による許可の入力により、メダルを返却する状態から内部に取り込む状態に動作する事を特徴とする付加請求項8または9記載のメダル計数機。
【0127】
[付加請求項13]
前記計数許可入力手段による許可入力が行われていない状態下において、前記計数手段によりメダルの計数が計上された場合、前記警告部に警告を行わせる付加請求項12記載のメダル計数機。
【0128】
[付加請求項14]
前記メダル返却通路は、搬送手段の搬送方向に対して略逆方向に向かい傾斜する下方傾斜面であって、
前記メダル排除手段により排除されたメダルを横倒させた状態で、前記搬送手段の搬送方向に対して略逆方向に流下させ、前記メダル受け部に導くことを特徴とする付加請求項5記載のメダル計数機。
【0129】
[付加請求項15]
前記メダル排除手段は、前記流下通路の流下過程に設けられ、縦立した状態で流下しているメダルの上端部を支持する上端側支持部、及び下端部を支持する下端側支持部、を備え、
前記上端側支持部または前記下端側支持部の少なくとも一方が、メダルの流下方向に垂直な断面形状が凹状の凹状部材で形成され、メダルを排除する際、前記凹状部材をメダルを排除する方向に傾けて、前記凹状部材の一方の側壁がメダルの一方の側面を、メダルを排除する方向に押圧するとともに、前記凹状部材の他方の側壁における、メダルの他方の側面の支持を解除する事を特徴とする付加請求項5または14記載のメダル計数機。
【0130】
[付加請求項16]
前記計数手段に加えて、
流下通路の始端部から終端部の間に、第2の計数手段を備える事を特徴とする請求項1、付加請求項2から15のいずれか一に記載のメダル計数機。
【符号の説明】
【0131】
21…表示パネル(警告部)、30…メダル投入部(遊技媒体投入部)、50…メダル計数機(遊技媒体計数機)、51…ハウジング、100…計数ユニット、120…搬送装置(搬送手段)、130…ゲート部(メダル整列部)、140…傾斜誘導路(メダル変位機構)、160…流下通路、195…計数装置(計数手段)、M…メダル(遊技媒体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場内でスロットマシンなどの遊技機が列設されてなる遊技機島の端部に配備され、遊技機に用いられる遊技媒体(メダル等)の計数を行う、島端のメダル計数機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場には、例えば、複数のスロットマシンを横方向に並べ、その背面を向きあわせて2列に配置することにより、スロット島と呼ばれる遊技機島が形成されている。この遊技機島は、通常、遊技場内の複数箇所に並べて配置される。
【0003】
遊技機島には、島端メダル計数機が設けられ、特許文献1の図1に示すホッパ2の底部に設けられた回転円板を回転させて、ホッパ2から投入されたメダルを遠心力により外周に寄せ、外周の一端に設けられた排出口より、メダル通路18を介して、途中に設けた金属体を検知する近接センサ等で計数する(特許文献1)。
【0004】
一方、硬貨等は真偽判定する際、搬送されるメダルの表面を撮影して、画像が真か偽かを判定することは一般的な技術である。このような真偽判定したメダルを、例えば、特許文献1の摺動板22を設け、偽であれば、摺動板22を引いてメダル通路18の形成をやめて通過するメダルを下方に落下せしめ、真であれば摺動板22を突き出してメダル通路18を形成して意図した先へ送出せしめることは容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−124377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、投入された大量のメダルをメダル通路18に送出する為には、強力な駆動力を有する高価なモータを必要とし、かつ横倒しされたメダルを水平搬送する際には、特許文献1の図6に記載したようなベルト搬送装置を必要とし、さらにベルト搬送装置の分高価になる。またベルト搬送装置は、テンションの調整、ベルトの交換等の定期的メンテナンスを必要とする。そこでベルト搬送装置を除く為、急傾斜のメダル通路としてメダルを滑落させる場合、島端計数機と遊技機島内の搬送設備に高低差が必要となり、相当な高い場所に島端計数機を設けなければ滑落させて運べなくなるという問題が発生する。
【0007】
本発明のメダル計数機は、安価な構成で、大量のメダルを計数可能とするとともに、極力メンテナンス省力化と省スペース化することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のメダル計数機は、受け入れたメダルを1枚毎に整列させるメダル整列部と、前記メダル整列部によって整列させたメダルを略縦立状態に変位させるメダル変位機構と、前記メダル変位機構によって略縦立状態に変位させたメダルを転動させながら奥側に導く流下通路と、前記メダル整列部から前記流下通路の下流端迄の間に1乃至複数配置され、メダルを計数する計数手段と、で構成される計数ユニットを横並びに複数配置し、受け入れたメダルを各計数ユニットに分配可能に構成することを特徴とする。
【0009】
ここで、計数ユニットを構成しているメダル整列部とメダル変位機構と流下通路と計数手段とは、夫々別体部品で構成されてもよいし、組み付けて一体にされてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、計数ユニットに受け入れられたメダルは、メダル整列部によって1枚毎に整列され、その後、メダル変位機構によって略縦立状態に変位され、その後、流下通路によって転動ながら奥側に導かれる。メダルは、メダル整列部から流下通路の下流端迄の間に、計数手段により計数される。メダル計数機では、このような計数ユニットが横並びに複数配置され、メダルを各計数ユニットに分配できるようになっている。したがって、安価な構成で、大量のメダルを計数可能とするとともに、極力メンテナンス省力化と省スペース化とが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第一の実施の形態及び第六の実施の形態における、メダル計数機の斜視図である。
【図2】蓋材の斜視図である。
【図3】蓋材の平面図である。
【図4】第一の実施の形態における、計数ユニットの斜視図である。
【図5】第一の実施の形態における、計数ユニットの平面図である。
【図6】第一の実施の形態における、計数ユニットの側面図である。
【図7】第一の実施の形態における、搬送装置の側面図である。
【図8】第一の実施の形態における、ゲート部の平面図である。
【図9】第一の実施の形態における、傾斜誘導路の斜視図である。
【図10】第一の実施の形態における、傾斜誘導路を正面側から見た図である。
【図11】第一の実施の形態における、図10の一部の拡大図である。
【図12】第一の実施の形態における、傾斜誘導路の側面図である。
【図13】第一の実施の形態における、メダルが使用できるものであるか否かを判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第一の実施の形態における、メダル排除機構が駆動されていない状態での図6のB−B線断面を示す図である。
【図15】第一の実施の形態における、メダル排除機構が駆動されている状態での図6のB−B線断面を示す図である。
【図16】第一の実施の形態における、メダル排除機構の下端側支持部を上方から見た図である。
【図17】第二の実施の形態における、ハウジングが広げられた状態でのメダル計数機の斜視図である。
【図18】第二の実施の形態における、ハウジングが狭められた状態でのメダル計数機の底面図である。
【図19】第二の実施の形態における、ハウジングが広げられた状態でのメダル計数機の底面図である。
【図20】第二の実施の形態における、ハウジングが狭められた状態での図18のE−E線端面図である。
【図21】第三の実施の形態における、表示パネルの表示内容を示す模式図である。
【図22】第三の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】第四の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図24】第四の実施の形態における、警告処理の一例を示す模式図である。
【図25】第五の実施の形態における、計数ユニットの側面図である。
【図26】第五の実施の形態における、種別振分部の平面図である。
【図27】第五の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図28】第八の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図29】第八の実施の形態における、警告処理の一例を示す模式図である。
【図30】第九の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図31】第九の実施の形態における、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図32】第十の実施の形態における、蓋材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。また実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0013】
実施の一形態を、図1ないし図16に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第一の実施の形態と呼ぶ。
【0014】
図1は、メダル計数機50の斜視図である。図2は、蓋材52の斜視図である。図3は、蓋材52の平面図である。図1では、蓋材52が一点鎖線で示されている。遊技場に設けられるスロット島(遊技機島)は、遊技機としてのスロットマシン(図示せず)と台間機(図示せず)とが複数交互に列状に横並びして構成される。本実施の形態では、一台のスロットマシンに対し一台の割合で台間機を備える。なお、全てのスロットマシンに対して台間機が設けられなくてもよく、例えば、一部のスロットマシンについては台間機が設けられなくてもよい。台間機は、スロットマシンで遊技に用いられるメダル(遊技媒体)を計数する機能を有する。
【0015】
スロット島やその近傍には、遊技媒体計数機としてのメダル計数機50が設置されている。メダル計数機50は、遊技客が獲得したメダルMを計数する計数機能と、メダルMを返却する返却機能とを有する機械である。メダル計数機50は、箱型のハウジング51と、蓋材52と、表示パネル21と、カード挿入口22と、再計数ボタン23と、計数開始/終了ボタン25と、カード処理機28と、タッチパネルセンサ21Aと、制御部60と、五つの計数ユニット100とを備える。ハウジング51の正面と、この正面に繋がる上面での正面寄りの部分は、開口している。この開口のうち、ハウジング51の正面側の上縁からメダル投入部30のカバー体111(図4も参照)の下縁までの部分は、前カバー52Fに覆われる。前カバー52Fは、メダル計数機50の左側から横方向にスライドされて、メダル計数機50の右端に設けられる爪体52Gに引っ掛けられた状態で、鍵材(図示せず)によってハウジング51に固定される。前カバー52Fは、計数ユニット100のメンテナンス等の際に取り外される。
【0016】
蓋材52は、奥側に位置する平坦部52Hと、平坦部52Hよりも手前側に位置する傾斜部52Jと、傾斜部52Jよりも手前で開口しメダル投入部30のカバー体111の上方に位置付けられる開口部52Kと、平坦部52Hと傾斜部52Jと開口部52Kとの外周から上方に立設する壁部52Lとを有し、ホッパ状をなす。蓋材52の上方からメダルMが投入されると、メダルMは傾斜部52Jを滑り落ち、開口部52Kを通過して、横並びする計数ユニット100のカバー体111内に落下して、搬送装置120の搬送ベルト122に到達する。
【0017】
五つの計数ユニット100は、横並びし、ハウジング51に収納され、ハウジング51の開口部分で露出している。メダル計数機50では、蓋材52が、五つの計数ユニット100の上方の箇所でハウジング51に着脱自在に取付けられ、ハウジング51の開口部分の一部を閉じる。蓋材52により、メダル計数機50では、計数ユニット100の一部分(メダル収容筐体110やカバー体111)のみが外部から視認できる。表示パネル21と、カード挿入口22と、再計数ボタン23と、計数開始/終了ボタン25とは、メダル計数機50の上面において、蓋材52よりも奥側に配置される。なお、表示パネル21、カード挿入口22、再計数ボタン23、計数開始/終了ボタン25の配置位置は、図1に示す位置に限られず、適宜変更してもよい。
【0018】
メダル計数機50の正面側には、メダル投入部30が設けられる。メダル投入部30には、メダルMを投入するためのメダル投入口31が形成される。メダル投入口31の下方には、メダル排出部40が設けられる。メダル排出部40は、メダルMを遊技者に返却するための受け部として機能する。メダル排出部40には、メダルMを排出するためのメダル返却口42と、このメダル返却口42から排出されるメダルMを受け止める返却メダル受け皿41とが設けられる。返却メダル受け皿41は、メダル投入口31から投入されたものの使用できないメダルM(他遊技場メダル・偽造メダルなど)等を受け止める。メダル投入部30、メダル投入口31、メダル排出部40、返却メダル受け皿41、メダル返却口42は、個々の計数ユニット100に対応させて一つずつ設けられる。
【0019】
表示パネル21は、例えば、メダルMの計数結果の表示、その他の操作方法案内などを表示する液晶の表示画面である。表示パネル21には、タッチパネルセンサ21Aが積層されている。
【0020】
カード挿入口22は、会員登録をした遊技客に付与される会員用ICカードや、会員登録をしていない遊技客に係る有価価値特定情報などが記憶された非会員用ICカード、または従業員を識別する従業員識別用ICカードを挿入するための挿入口である。有価価値特定情報としては、例えばID情報や有価価値そのものに係る情報でもよい。なお、有価価値としては、遊技客が遊技の結果得た獲得遊技媒体数に対応した有価価値(持ちメダル数・貯メダル数)と、紙幣の額に対応した有価価値(度数)などが例示できる。カード挿入口22の近傍には、カード返却ボタン22Aが設けられる。カード返却ボタン22Aは、カード挿入口22から挿入されたICカードを排出させるための操作ボタンである。カード挿入口22に関しては、例えば、記録媒体として前記の様にICカードを採用する場合、カード挿入口22を設けず、カード挿入口22近辺にICカードを接触させる事で、前記有価価値特定情報を記憶、あるいは読み取りさせてもよい。
【0021】
カード処理機28は、カード挿入口22の下方に位置するが、ハウジング51により外部からは見えない。カード処理機28は、カード挿入口22から挿入されたICカードを受け入れる。カード処理機28は、カード挿入口22から挿入されたICカードからIDなどの情報を読み取るものであり、例えば、リーダライタなどで構成される。また、カード処理機28は、例えば、ICカードを持っていない遊技客が計数を行った場合、カードストック部からリーダライタ部に非会員用ICカードを発行準備する機能を有してもよい。さらに、この貯留した非会員用ICカードに新たに記憶するIDや、予め記憶されたIDに基づいて遊技場内や遊技場から離れて設置された管理装置(サーバ等)に有価価値を記憶したり、有価価値を非会員用ICカードに記憶したりする等、非会員用ICカードと有価価値の対応付け処理をして発行する機能を有してもよい。
【0022】
計数開始/終了ボタン25は、メダル投入口31に投入したメダルMの数量を計数するときに押されるボタンである。計数開始/終了ボタン25が押されると、メダル投入口31に投入されたメダルMは、メダル計数機50の計数ユニット100に取り込まれて計数される。メダルMの計数が終了後、もう一度計数開始/終了ボタン25を押されると、計数した情報が前記カード処理機28内のICカードに書き込まれる。また、例えば、カード処理機28を設ける代わりに、レシート発行機を設け、メダルMの計数終了時に、計数開始/終了ボタン25を押す事で、計数情報を印刷したレシートを発行してもよい。なお、計数開始時に、計数開始/終了ボタン25を押さずに、電気導通センサや光学式センサによりメダル投入口31にメダルの投入を検知した場合に自動的に計数するようにしてもよい。
【0023】
再計数ボタン23は、計数開始/終了ボタン25を押し、計数が開始した後、メダル投入口31に投入された全てのメダルMの計数が終了していないのに、計数動作が止まった場合に再度計数動作を開始させるためのボタンである。
【0024】
制御部60は、インタフェイス回路、CPU、ROM、RAM、AD変換回路(いずれも図示せず)などから主に構成される。AD変換回路は、CCDカメラが撮影したアナログ信号をデジタル情報に変換してRAMに時系列に順次記憶する。メダル計数機50に備わる各構成機器を駆動するための電力は、電源回路(図示せず)により供給される。インタフェイス回路は表示パネル21、カード処理機28、計数ユニット100(特にそれに備わる撮像部151や第2の計数装置195、光学式センサや近接センサなどのメダル位置検知手段152等)のいずれに対してもデータ通信自在に接続している。制御部60は、CPUの駆動によってインタフェイス回路を介してこれら各部を制御する。制御部60は、インタフェイス回路や配線(図示せず)、コネクタ(図示せず)を介してメダル計数機50の各部(表示パネル21、タッチパネルセンサ21A、カード返却ボタン22A、再計数ボタン23、計数開始/終了ボタン25、カード処理機28、五個の計数ユニット100に備わる各部〈各種モータ、撮像部151、メダル排除機構180、第2の計数装置195、センサ類〉等)に電気的に接続している。制御部60は、メダル計数機50内の各構成機器の制御や、スロット島にデータ通信自在に接続する各種のコンピュータ、管理装置などのメダル計数機50以外の機器との情報通信も行う。
【0025】
図4は、計数ユニット100の斜視図である。図5は、計数ユニット100の平面図である。図6は、計数ユニット100の側面図である。図7は、搬送装置120の側面図である。前述したように、メダル計数機50は、五個の計数ユニット100を有する。個々の計数ユニット100は、メダル収容筐体110を有する。メダル収容筐体110は、メダル計数機50において正面側に配置され、メダル投入部30やメダル投入口31を構成し、メダル投入口31から投入され計数ユニット100に取り込まれたメダルMを計数する。計数ユニット100は、メダルMを計数するための第1の計数装置(メダル位置検知手段152におけるセンサ)と第2の計数装置195とを有している。計数されたメダルMは、計数ユニット100の奥側下方に設けられた回収路70Aを経て、メダル計数機50内の排出部(図示せず)を介して遊技島に排出される。メダル収容筐体110には、遊技客が不用意に逆転ローラ124(後述)に触らないよう、カバー体111が被せられる。カバー体111には、メダルMを通過させるための孔111Aが設けられる。
【0026】
計数ユニット100は、さらに、搬送装置120と、メダル整列部としてのゲート部130と、傾斜誘導路140と、メダル識別手段150と、流下通路160と、メダル排除手段としてのメダル排除機構180とを有する。メダル排除機構180は、メダル返却手段としても機能する。搬送装置120と傾斜誘導路140と流下通路160とは、メダルMを搬送する搬送経路100Aを構成する。搬送経路100Aの下流端(流下通路160の下流端)には、回収路70Aが繋がっている。本実施の形態の計数ユニット100では、メダルMの搬送経路100Aが個々の計数ユニット100の筐体のそれぞれについて左右両側面に設けられており、メダルMの搬送能力が向上している。
【0027】
[搬送装置120] 図4ないし図7を参照する。搬送装置120は、メダル収容筐体110の底部に設けられる。搬送装置120は、メダル収容筐体110に投入され横倒した状態にあるメダルMを、計数ユニット100の内部に搬送する。搬送装置120は、回転ローラ121a、121b、121c、121dと、搬送ベルト122と、逆転ローラ124と、駆動モータ125と、伝達手段126と、噛込防止部材127とを有する。
【0028】
回転ローラ121a、121b、121c、121dは、計数ユニット100(メダル計数機50)の正面側から見て左右に水平に延び、この左右水平方向の軸周りに回転自在となっている。搬送ベルト122は、回転ローラ121a、121b、121c、121dに掛け渡される無端の平ベルトである。搬送ベルト122の表面は、ゴムなどで被覆されてメダルMとの摩擦抵抗の増大が図られている。搬送ベルト122は、手前側から奥側に向かって上り傾斜となっており、回転ローラ121bが図6、図7中の矢印Rの方向に回転することで、搬送ベルト122上のメダルMが手前側から奥側に移動する。逆転ローラ124は、横倒させた状態のメダルM一枚のみの通過を許容する間隙(メダルM一枚分の厚さよりも大きく且つメダルM二枚分の厚さよりは小さい間隙で、好ましくはメダルMの厚さの1.2〜1.8倍程度の間隙)を設けて、搬送ベルト122の上方に配置される。逆転ローラ124は、複数重なった状態で搬送され接触した上側位置のメダルMをメダル収容筐体110内に弾き返す。
【0029】
駆動モータ125は、回転ローラ121a、121b、121c、121dのうちの少なくとも1つの回転ローラ(本実施の形態では、回転ローラ121b)と逆転ローラ124とを回転させる駆動源となる。伝達手段126は、ギヤやベルトにより構成され、駆動モータ125のモータ軸の回転駆動力を回転ローラ121a、121b、121c、121d及び逆転ローラ124に伝達する。なお、回転ローラ121a、121b、121c、121dの配置構成は、図6及び図7に示された配置構成に限られず、例えば、正面側から見て前後方向に並列して設けられた一対の回転ローラで構成されてもよく、搬送装置120が設置される設置空間などの条件などによって適宜に設定できる。また、本実施の形態では、回転ローラ121bが駆動モータ125により駆動されるが、他の1つまたは複数の回転ローラが駆動モータ125により駆動されてもよい。また、本実施の形態の計数ユニット100では、搬送ベルト122が二つ並設され、個々の搬送ベルト122に対応して逆転ローラ124が設けられる。また、駆動モータ125は、回転ローラ121aや回転ローラ121dよりも高い位置に設置されることで、イタズラ等によりメダル収容筐体110内に投入された液体との接触を防止できる。
【0030】
噛込防止部材127は、板状で、搬送ベルト122の上面に垂直な方向に延び、逆転ローラ124の直径方向延長上に位置し、逆転ローラ124と接触しない程度の微小の隙間をあけて配置される。噛込防止部材127は、メダルMの噛み込みを防止する。詳細には、噛込防止部材127の上方部が遊技客側(回転ローラ121d側)に湾曲しており、噛込防止部材127は、逆転ローラ124によって上方に弾き出されるメダルMを、逆転ローラ124よりも上流側に戻す。
【0031】
ところで、メダル収容筐体110は、回転ローラ121bと軸線が一致する所定の回転中心軸128によって、前方方向に回動可能に取り付けられている。なお、回転ローラ121bを回転中心軸128として用いてもよい。メダル収容筐体110を前方方向に回動することで、傾斜誘導路140の上流側の端部を露出でき、図13に基づいて後述する処理によって使用できるメダルでないと判定されて突起部143上に位置するメダルMや、ゲート部130に詰まったメダルMを容易に取り除くことができる。なお、ゲート部130の上流側に詰まったメダルMをさらに容易に取り除くことができるよう、ゲート部130(例えば、一対のゲート板状部材131のうちの一方または双方)を取り外し可能にしてもよい。また、メダル収容筐体110を前方方向に回動した際、ゲート部130が動かずに傾斜誘導路140側に位置するようにしてもよい。また、一対のゲート板状部材131のみを傾斜誘導路140側に残し、遮断部材作動機構132及び遮断部材133をメダル収容筐体110とともに移動するようにしても、ゲート板状部材131と遮断部材作動機構132と遮断部材133とを移動させずに傾斜誘導路140側に残すようにしてもよい。また、一対のゲート板状部材131のうちのいずれか一方のみが、メダル収容筐体110とともに移動せずに、傾斜誘導路140側に位置するように構成してもよい。また、ゲート部130(例えば、一対のゲート板状部材131うちの一方または双方)を取り外しできるようにしてもよい。
【0032】
[ゲート部130] 図8は、ゲート部130の平面図である。図4、図5、図6、図7及び図8を参照する。ゲート部130は、搬送ベルト122と逆転ローラ124との間隙を通過し横倒された状態にあるメダルMを整流させる。ゲート部130は、一対のゲート板状部材131を有する。一対のゲート板状部材131は、互いに対向して配置され、それらの間にメダルMが通過できる程度のゲート幅Lが確保されている。ゲート板状部材131は、搬送ベルト122により搬送されるメダルMの外周面に当接され、このメダルMを整流する。ゲート幅Lは、メダルMの直径よりも0.1〜1.2mm程度大きく設定することが好ましい。ゲート板状部材131は、ゲート幅Lよりも大きな直径を有する異物Nの進入を防止する。
【0033】
ゲート部130は、遮断部材作動機構132と、棒状部材などで構成される遮断部材133とを有する。遮断部材作動機構132は、ソレノイドなどの機械的手段により構成され、遮断部材133をメダルMの搬送方向に対して垂直な方向に進退させてメダルMの通過を許容したりメダルMを阻止したりする。ゲート部130を通過したメダルMは、搬送ベルト122によって傾斜誘導路140に導かれる。
【0034】
[傾斜誘導路140] 図9は、傾斜誘導路140の斜視図である。図10は、傾斜誘導路140を正面側から見た図である。図11は、図10の一部の拡大図である。図12は、傾斜誘導路140の側面図である。図4、図5、図6、図9、図10、図11及び図12を参照する。傾斜誘導路140は、搬送装置120によって搬送されたメダルMを、傾斜側面141によってメダルMの姿勢を変えながらメダルMを流下通路160に流下させる。傾斜誘導路140の上部近傍には、突起部143が設けられる。搬送装置120によって搬送され横倒された状態にある左右の二つのメダルMは、突起部143と傾斜誘導路140の上面の中央部付近の底面とによって略水平に保持される。ここでいう略水平とは、重力方向に直交する方向に限られず、搬送装置120によるメダルMの進行方向に対して下方に傾いた状態で、且つ、この進行方向に対して垂直な左右方向に対しては上下に傾きなく、メダル径の断面のみが水平となって、撮像部151(後述)の撮像方向に対しメダル平面を垂直に向けた状態を含む。傾斜誘導路140は、搬送方向傾斜面141Aと、傾斜側面141とを形成する。搬送方向傾斜面141Aは、搬送ベルト122によるメダルMの搬送方向に向かうにつれて徐々に下方に傾斜する。傾斜側面141は、搬送ベルト122によるメダルMの搬送方向に対し直交する左右方向に凸状に湾曲しながら下方に傾斜する。傾斜誘導路140の上面の中央部には、上流側から下流側に向かうにつれて広がる平面視略V字状形状をなし、所定の高さを有するV字状壁142が立ち上がっている。メダルMは、その外周面がV字状壁142に接触して傾斜側面141側に動き、図9、図10、図11、図12中の矢印R1に沿って傾斜側面141を流下する。
【0035】
ところで、図6に示すように、搬送装置120と傾斜誘導路140との連結箇所において、搬送装置120の下流側端部が傾斜誘導路140の上流側端部よりも若干上方にあり、ゲート部130を通過したメダルMが、その先端を斜め下方に傾けた状態で傾斜誘導路140上に移る。メダルMの先端が斜め下方に傾いた状態となるのは、メダルMの先端が突起部143上を下流側に通過した後であり、メダルMの先端が突起部143に引っ掛かって後続のメダルMの傾斜誘導路140上への進入が妨げられることはない。
【0036】
搬送ベルト122の上面が手前側から奥側に向かって上り傾斜となっていることで、例えば、不正行為を行うための道具である弾性構造体が搬送ベルト122に沿って挿入された場合でも、搬送ベルト122の延長線上と、次にメダルMが導かれる傾斜誘導路140におけるメダルMの進行方向が異なるため、弾性構造体が後述する第2の計数装置まで挿入し難くなり、不正行為を防止できる。さらに、搬送ベルト122の上面を手前側から奥側に向かう上り傾斜とすることで、ゲート部130におけるメダル詰まりを抑制することができる。なお、本実施の形態では、搬送ベルト122の上面が手前側から奥側に向かって上り傾斜となる構成の一例を示したが、例えば、弾性構造体などによる不正行為を防止できる構成を他に備える場合などには、搬送ベルト122の上面を水平にしてもよい。弾性構造体などによる不正行為を防止する構成の一例として、搬送装置120側が開口した箱体からなる一方開口部材(図示せず)を、傾斜誘導路140の上方空間で搬送ベルト122の上面の延長上に配置してもよい。一方開口部材を配置することで、不正行為を行うための道具(弾性構造体など)が搬送ベルト122の上面に沿って挿入されても、弾性構造体の先端が一方開口部材に突き当たり、不正行為が防がれる。ここで、搬送ベルト122の上面が水平となっている場合には、搬送ベルト122の上面が上方傾斜している場合と比較して、弾性構造体が傾斜誘導路140に進入しやすくなる。そのため、搬送ベルト122の上面が水平となっている場合には、一方開口部材による弾性構造体などの傾斜誘導路140や流下通路160への進入防止の効果が大きい。
【0037】
本実施の形態では、傾斜誘導路140の傾斜側面141として、凸状に湾曲しながら傾斜する傾斜側面を例示したが、この形状に限られるものではなく、例えば、傾斜側面を平面などで構成してもよい。即ち、傾斜誘導路140の傾斜側面141の形状は、メダルMを、搬送装置120による搬送方向に進行させるとともに、傾斜側面141を流下させ横倒した状態のメダルMを縦立した状態とすることができる形状であればよい。
【0038】
傾斜誘導路140の傾斜側面141は、流下通路160の上流部の一部を形成する。流下通路160の上流部は、図11に示すように、傾斜誘導路140の外側に流下方向に立設された側壁161と、傾斜誘導路140の傾斜側面141と、底部162とによって構成され、正面視において下方に向かうにつれて窄まる谷形状をなす。なお、前述したように、傾斜側面141は、凸状に湾曲するものに限られず、平面状であってもよい。傾斜誘導路140の傾斜側面141によって導かれたメダルMは、流下通路160の上流部に収納され、縦立した状態で流下し、メダル排除機構180を備える流下通路160の中流部に向かう。側壁161と傾斜側面141との間隙は、メダルMの厚さよりも若干大きく設定され、メダルMが縦立した状態でスムーズに流下できるように構成される。
【0039】
[メダル識別手段150] 図6、図10及び図12を参照する。メダル識別手段150は、突起部143上で略水平状態となったメダルMが利用可能なメダルであるか否かを識別する。メダル識別手段150は、撮像部151と、識別部(図示せず)とを有する。撮像部151は、突起部143の上方で、突起部143上で略水平状態となったメダルMの表面と略平行に設置され、突起部143上で水平状態となったメダルMを撮像する。撮像部151の一例は、CCDカメラである。識別部は、撮像部151で撮像された画像が利用可能なメダルか否かを識別する処理を行う。メダル識別手段150は、LEDなどの照射源を有してもよい。識別部の一例は、制御部60(図1参照)である。
【0040】
メダル識別手段150は、さらに、突起部143の内部又は直下で、且つ、傾斜誘導路140を構成する部材の内部に、メダルMが突起部143上の撮像可能な領域内に位置することを検知し、検知信号を制御部60(識別部)に出力しこの検知信号によってメダル識別手段150が駆動するようなメダル位置検知手段152を有する。メダル位置検知手段152は、突起部143上で略水平状態となったときのメダルMを検知可能な位置に設けられればよい。また、メダル位置検知手段152におけるセンサをもって、計数手段としても機能させ、第1の計数装置として計数を行う。なお、後述するメダル識別手段により識別を行った結果、使用できないものであると識別されたメダルMの計数値は、第1の計数装置により計数を行った計数値から減算される。メダル位置検知手段152としては、光学式センサ、近接センサなどを使用することができる。また、撮像部151を高速度撮影することでメダル位置を検知し、これをメダル位置検知手段152、及び第1の計数装置としてもよい。
【0041】
図13は、メダルMが使用できるものであるか否かを判定する処理の流れを示すフローチャートである。使用できるメダルMとは、遊技場で使用が認められているメダルをいう。
【0042】
まず、ゲート部130を通過したメダルMは、メダルMの先端が斜め下方に傾いた状態で傾斜誘導路140上に導かれ、突起部143上であって撮像部151によるメダルMの表面全体の撮像が可能な位置に導かれる。制御部60(識別部)は、メダル位置検知手段152が検知して出力した検知信号の入力を待機(ステップS300)する。制御部60は、複数の処理を切り替えてマルチタスクとして並行して進めており、ステップS300の処理もその複数の処理のうちの一つとして行っている。制御部60は、検知信号の入力が無いと判定した場合(ステップS300のNo)、図13に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、制御部60は、検知信号の入力があったと判定すると(ステップS300のYes)、撮像部151によるメダルMの撮像が可能であるとして、撮像部151を作動してメダルMを撮像し(ステップS301)、撮像部151からの撮像情報に基づいてメダルMが使用できるメダルであるか否かを判定するための画像処理を行う(ステップS302)。画像処理は、一例として、記憶手段に記憶された画像解析プログラムの記述に従った、撮像されたメダルMの表面の文字や模様と予め記憶されている正規のメダルMの表面の文字や模様との比較である。なお、搬送装置120から導入されたメダルMは、搬送装置120による搬送方向に搬送されつつ傾斜側面141に沿って流下するため、メダルMが撮像可能な位置に停止するわけではない。
【0043】
続いて、制御部60(識別部)は、画像処理した情報に基づいて、メダルMが使用できるものであるか否かを判定する(ステップS303)。ステップS303の判定でメダルMが使用できるものであると判定した場合(ステップS303のYes)、制御部60(識別部)は、図13に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、ステップS303の判定でメダルMが使用できるものでないと判定した場合(ステップS303のNo)、制御部60(識別部)は、メダル排除処理(ステップS304)を実行する。メダル排除処理については、[メダル排除機構180]の説明のところで後述する。
【0044】
[流下通路160] 図4、図5、図6、図9、図10、図11及び図12を参照する。メダル識別手段150で撮像されたメダルMは、搬送装置120による搬送方向に進行しつつ、傾斜誘導路140の傾斜側面141を矢印R1に沿って流下し、横倒した状態から縦立した状態となり、流下通路160に入り込む。流下通路160は、計数ユニット100の両側面に設けられ、傾斜誘導路140によって導かれたメダルMを、回収路70Aに導く。流下通路160の上流部は、前述したように、側壁161と、傾斜誘導路140の傾斜側面141と、底部162とにより構成され、側壁161と傾斜側面141との間隙がメダルMの厚さよりも若干大きくなっていて、メダルMが縦立した状態でスムーズに流下できるようになっている。なお、横倒した状態とは、メダルMが重力方向に対して垂直である水平となった状態、および水平面とメダルMの表面とのなす角が±45度未満の範囲で傾いた状態をいう。また、縦立した状態とは、メダルMが重力方向に対して平行となる直立した状態、および重力方向に対して平行な面とメダルMの表面とのなす角が±45度以下の範囲で傾いた状態をいう。メダルMは、流下通路160をスムーズに自由流下するために、縦立した状態のときに略鉛直に向いていることが好ましい。
【0045】
[メダル排除機構180] 図14は、メダル排除機構180が駆動されていない状態での図6のB−B線断面を示す図である。図15は、メダル排除機構180が駆動されている状態での図6のB−B線断面を示す図である。図16は、メダル排除機構180の下端側支持部182を上方から見た図である。図4、図5、図6、図14、図15及び図16を参照する。メダル排除機構180は、流下通路160の中流部に設けられ、流下通路160の上流部から縦立した状態で流下するメダルMを選択的に排除する。メダル排除機構180は、メダル識別手段150における識別判定の処理(図13参照)に基づいて、使用することができないメダル(例えば、偽造メダルなど)を、流下通路160から計数ユニット100の中央側へ排除する。
【0046】
メダル排除機構180は、上端側支持部181と、下端側支持部182とを有する。上端側支持部181は、流下通路160を通過中のメダルMの上端部を支持する。下端側支持部182は、断面凹状形をなしてメダルMの下端部を支持する。メダルMは、メダル排除機構180において、上端側支持部181と下端側支持部182とによってのみ支持される。メダル排除機構180の近傍、特に、メダルMを排除するために押し出す方向(図14におけるメダルMの右側の方向)には、押し出しを阻害する部材は存在しない。
【0047】
下端側支持部182は、図14及び図15に示すように、メダルMの下端側を安定して支持するために、中央に下流に向かって溝部182aを有する、断面視にて凹形状をなす部材で構成される。
【0048】
上端側支持部181は、図14及び図15に示すように、メダルMの上方の外側端縁を支持する支持面183aを有する、断面視にてL字状をなす外側支持部材183を備える。さらに、上端側支持部181は、断面形状が凹状(コ字状)であり、下方に開口部を位置させて、外側支持部材183を上方から覆うように配置された内側支持部材184を備える。内側支持部材184は、メダルMの上方の内側端縁を支持する支持面184aを有し、メダルMを排除する際、メダルMの上方の外側(図14及び図15におけるメダルMの左側)から内側(図14および図15におけるメダルMの右側)に向かう方向に押圧する押圧部184bを備える。内側支持部材184の支持面184aによって支持される、メダルMの上端縁側の厚さPは、0.5mm程度である。即ち、メダルMの直径が、正規のメダルMの直径よりもPmmを超えて小さい場合(即ち、正規のメダルMの直径との差がPmmよりも大きい場合)には、内側支持部材184の支持面184aによって支持されない。内側支持部材184の上部には、駆動機構185が連結される。駆動機構185は、メダルMの流下方向に対して垂直な方向に移動する。内側支持部材184は、駆動機構185の移動に伴って、回転軸186を中心に回転する。
【0049】
駆動機構185を駆動すると、図15に示すように、図15における左側(計数ユニット100における外側方向)に突出する。これにより、内側支持部材184が回転軸186を中心に上流側から見て反時計回りに回転する。その結果、メダルMに対する支持面184aによる支持が解除され、メダルMは押圧部184bによって計数ユニット100の外側から内側に押圧され、流下通路160から排除される。
【0050】
上端側支持部181は、駆動機構185によって流下通路160を流下するメダルMの面に対して直交する方向に、メダルMを排除する位置とメダルMを排除せずにそのまま流下通路160に沿って流下させる位置との間を動く。図13に示す処理の中で、ステップS303の判定でメダルMが使用できるメダルであると判定した場合(ステップS303のYes)、メダル排除機構180における駆動機構185は駆動されない。他方、ステップS303の判定でメダルMが使用できるメダルでないと判定した場合(ステップS303のNo)、制御部60は、ステップS304(メダル排除処理)として、駆動機構を動作させるべく所定時間後に作動する割込処理をセットしこの割込処理のたびに駆動機構185を駆動させることを行う(ステップS310)。駆動機構185を駆動させるタイミングは、例えば、傾斜誘導路140の突起部143上の撮像可能な位置で撮像されてからメダルMが流下する時間などで設定される。具体的には、例えば、傾斜誘導路140の突起部143上の撮像可能な位置からメダル排除機構180に至るまでの流下時間を予め調べておき、その流下時間および撮像された時間に基づいて、駆動機構185を駆動させる。なお、駆動機構185を駆動させるタイミングは、傾斜誘導路140の突起部143上の撮像可能な位置で撮像されてからの時間に限られるものではなく、メダル位置検知手段152によって検知されてからの時間などで設定してもよい。駆動機構185を駆動させる際には、制御部60は、駆動機構185を駆動するための駆動信号を出力して、駆動機構185を駆動する。駆動機構185が駆動すると、縦立した状態で流下通路160を流下するメダルMがメダル返却通路としての傾斜通路190に排出され、傾斜通路190を滑り落ち、メダル返却口42(図1参照)から排出され、返却メダル受け皿41(図1参照)に到達する。駆動機構185は、メダルMの排除後、駆動機構185を元に戻してメダルMを流下可能な状態にする。このような駆動機構185は、例えば、ソレノイドなどで構成することができる。上端側支持部181と下端側支持部182とを別個に設け、一方を動かすようにすることで、駆動機構185や上端側支持部181、下端側支持部182の可動範囲が小さくなり、例えば、メダル計数機50内のメダルMの貯留空間が増大する。
【0051】
メダル排除機構180は、さらに、薄い板状部材で形成され弾性を有する板ばね等のメダル押圧部材187を有する。メダル押圧部材187の先端187aは、図16に示すように、流下通路160を流下するメダルMの流下軌跡に突出する。メダル押圧部材187の他端は、固定されている。メダル押圧部材187は、薄い板状部材で形成されるため、メダルMの流下を妨げない。
【0052】
なお、メダル押圧部材187を設けない、あるいは板ばねの経時変換にともなう弾性力の欠如に備え、図14において、通過するメダルMの上端が傾斜通路190側に若干傾くように、上端側支持部181が下端側支持部182よりもやや右よりに位置してもよい。これより、例えば、メダルMの直径が、正規のメダルMの直径よりもPmmを超えて小さい場合(即ち、正規のメダルMの直径との差がPmmよりも大きい場合)には、メダルMを傾斜通路190に確実に落ちるように構成することができる。
【0053】
ここで、一対のゲート板状部材131(図8等)では、所定の直径(例えば、正規のメダルMの直径)よりも大きなメダルの進入を防止するものの、所定の直径よりも小さなメダルはゲート部130を通過し、傾斜誘導路140や流下通路160に進入することになる。しかしながら、メダル排除機構180において、メダルM(正規のもの)は、上端側支持部181と下端側支持部182とにより上端部と下端部とが支持されるのみであり、正規のものよりも小さなメダルはその上端部を支持されず、メダル押圧部材187の先端187aに押し出されて流下通路160から排除される。このように、メダル排除機構180は、メダルを排除する機能と所定の直径に満たないメダルを識別する機能とを兼ね備えることになる。なお、正規のメダルMの直径よりも小さく且つ直径差が僅かであるメダルの場合には、駆動機構185を駆動させることで排除される。
【0054】
図6に示すように、計数ユニット100の中央側には、メダル排除機構180によって押し出されたメダルMを、メダル計数機50の正面に設けられるメダル返却口42に導く傾斜通路190が設けられる。傾斜通路190は、メダル返却口42に向かって下方傾斜する平板状部材で構成され、計数ユニット100の中央に位置する。傾斜通路190の表面は、メダルMが滑りやすいように、鏡面加工等によりメダルMとの摩擦抵抗を小さくすることが好ましい。傾斜通路190は、計数ユニット100内のデッドスペースの有効活用に寄与し、これによって、メダル計数機50に必要な機器を配置するためのスペースを確保することができる。
【0055】
メダル排除機構180によって計数ユニット100の中央側へ排除されたメダルは、図6に示すように、傾斜通路190を滑り落ち、メダル返却口42から排出され返却メダル受け皿41に返却される。メダル排除機構180は、計数ユニット100の両側面に設けられたそれぞれの流下通路160に備わっており、傾斜通路190には、双方のメダル排除機構180によって排除されたメダルMが流下する。
【0056】
一方、メダル排除機構180によって排除されることなく、メダル排除機構180を通過したメダルMは、流下通路160の下流部に設けられた上端側支持部188と下端側支持部189とに支持されて、流下通路160の下流部に流下する。流下通路160の下流部には、メダルMの数量を計数するための第2の計数装置195が設けられる。第2の計数装置195は、流下通路160を流下するメダルMを計数する。メダルMは、計数された後、さらに流下して、回収路70Aに入る。
【0057】
ここで、一例として、会員用ICカードなどのICカードなどがカード挿入口22に挿入されICカードに記憶されたIDが読み取られた場合、計数装置により計数された計数値が計数メダル数としてそのIDに基づき管理装置などに記憶される。別の一例として、ICカードを挿入されずに計数装置により計数された場合、例えば、カード処理機28に貯留されたICカードにIDなどの情報を記録して発行し、そのIDに基づき、計数装置により計数された計数値を計数メダル数として管理装置などに記憶させてもよい。別の一例として、例えば、計数装置により計数された計数値に係る情報をバーコードなどの態様で記録したレシートを発行する機構を設けてもよい。レシートを発行する場合、レシートには、簡易管理用IDが記録され、その簡易管理用IDは、そのレシートを用いて景品交換されるまで、管理装置において計数されたメダル数とともに管理される。メダル数の計数結果は、表示パネル21に表示されてもよい。
【0058】
第2の計数装置195の配置位置は、この位置に限られず、傾斜誘導路140よりも流下通路160の下流側であればよい。さらに、第2の計数装置195の配置位置は、メダル排除機構180よりも流下通路160の下流側で流下するメダルMを計数可能な位置であれば、さらに好ましい。第2の計数装置195をメダル排除機構180よりも流下通路160の下流側に配置することで、不正行為を行うための道具(弾性構造体など)がメダル投入口31から挿入されても、道具が第2の計数装置195に近づき難く、不正行為が防止されるという効果が生まれることになる。また、このメダル位置検知手段152を、例えば、メダルMが突起部143上から移動しない場合や、第2の計数装置195での計数動作中にメダルMを所定時間検知しない場合などのメダル搬送異常検知手段として機能させてもよい。この場合において、制御部60は、メダル位置検知手段152からの入力信号などに基づいて、メダルMが突起部143上から移動しない場合や、第2の計数装置195での計数動作中にメダルMを所定時間検知しない場合などを判定し、通報処理を実行するようにしてもよい。通報処理として、例えば、表示パネル21にメダル搬送異常である旨を表示したり、メダル搬送異常検知情報を遊技場の管理装置などに出力したりしてもよい。
【0059】
なお、本実施例において、計数装置を、メダルMが通過する一の流路に第1の計数装置と第2の計数装置、2ヶ所設けている。第1の計数装置は、搬送装置120によって搬送され整列されたメダルMを計数可能な位置に、第2の計数装置は、流下通路160においてメダル排除機構180よりも下流側で流下するメダルMを計数可能な位置に設けてあればよい。なお、例えば、一の流路に3以上の計数装置を設けてもよい。計数装置を複数設ける場合、各計数装置における計数結果が異なるときには、所望の計数装置の計数結果を計数値とするよう設定する。例えば、本実施例においては、奥側に位置し、不正行為などが行われる可能性が低い第2の計数装置195を所望の計数装置として設定する。また、計数装置を複数設ける場合、搬送装置120によって搬送され整列されたメダルMを計数する第1の計数手段(突起部143の近傍位置に光学式センサ、近接センサ、撮像部151を高速度撮影してメダル位置を検知してもよい)を設け、流下通路160を流下するメダルMを計数する第2の計数手段(第2の計数装置195)を設け、第1の計数手段で計数したものが第2の計数手段によって計数できないときに、ジャム(搬送不良)、もしくは、第1の計数手段のみ不正行為を行われていると判定することもできる。
【0060】
さて、本実施の形態で説明したのは、ハウジング51と、/前記ハウジング51に収納される計数ユニット100と、/前記計数ユニット100に設けられ、前記ハウジング51の正面側に位置付けられ、平坦な遊技媒体(メダルM)を受け入れる遊技媒体投入部(メダル投入部30)と、/前記計数ユニット100に設けられ、前記遊技媒体投入部(メダル投入部30)に投入され第1の向きに向いた状態にある前記遊技媒体(メダルM)を前記計数ユニット100の奥側に搬送する搬送手段(搬送装置120)と、/前記計数ユニット100において前記搬送手段(搬送装置120)よりも奥側に設けられ、前記搬送手段(搬送装置120)により搬送された前記遊技媒体(メダルM)を第2の向きに向けるメダル変位機構(傾斜誘導路140)と、/前記計数ユニット100において前記メダル変位機構(傾斜誘導路140)よりも奥側に設けられ、前記メダル変位機構(傾斜誘導路140)により第2の向きに向いた状態にある前記遊技媒体(メダルM)を転動させながら導く流下通路160と、/計数する計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ及び第2の計数装置195)と、/を備えるメダル計数機50であり、特に、前記第1の向きとは、前記遊技媒体(メダルM)が横倒された状態であり、/前記第2の向きとは、前記遊技媒体(メダルM)が縦立された状態であり、/前記メダル変位機構(傾斜誘導路140)は、前記搬送手段により搬送され横倒状態にある前記遊技媒体(メダルM)をその自重により滑らせて縦立状態にするという技術的思想である。
【0061】
本実施の形態では、計数開始/終了ボタン25(図1参照)が押されると、制御部60の制御によって搬送装置120が駆動し、メダルMが傾斜誘導路140に搬送され、向きが変えられて、流下通路160に入り込み、流下通路160を流下する。メダルMは、流下通路160を流下してメダル排除機構180を通過し、第2の計数装置195に到達して、この第2の計数装置195により計数される。ここで、計数手段(第2の計数装置195)が、計数ユニット100においてメダル変位機構(傾斜誘導路140)よりも奥側に配置され、計数手段(第2の計数装置195)での遊技媒体(メダルM等)の不正なカウントを行うための道具が計数手段(第2の計数装置195)まで届かない。したがって、遊技場内に設けられ遊技機(スロットマシン等)に用いられる遊技媒体(メダルM等)の計数を行うメダル計数機にて、不正行為の防止を簡易な構造で実現できる。さらに、遊技媒体(メダルM)の向きの変換を遊技媒体(メダルM)自身の重さによって滑らせて実現しており、向き変換のための特段の機構を設けておらず、遊技媒体(メダルM)による詰まりが生じにくい。
【0062】
別の実施の形態を、図17ないし図20に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第二の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、ハウジング51は、その正面から見て横方向に拡縮自在であり、/前記計数ユニット100は、前記ハウジング51内に、その正面から見て横方向に複数横並びで配置されるものである。
【0063】
以下、詳細に述べる。図17は、ハウジング51が広げられた状態でのメダル計数機50の斜視図である。図18は、ハウジング51が狭められた状態でのメダル計数機50の底面図である。図19は、ハウジング51が広げられた状態でのメダル計数機50の底面図である。図20は、ハウジング51が狭められた状態での図18のE−E線端面図である。メダル計数機50のハウジング51は、その左方を構成する左部分51Lと、その右方を構成する右部分51Rとを有する。左部分51L及び右部分51Rのいずれの底部にも、脚部51Aが設けられていて、ハウジング51の底面はメダル計数機50の載置面から離れるようになっている。左部分51Lの底部には、左右方向に延びる長孔状のスライド調整部51Cが設けられる。スライド調整部51Cには、左右方向に延びるボルト孔51Bが形成される。ボルト孔51Bには、ボルトナット51Dが挿入され、このボルトナット51Dが左部分51Lと右部分51Rとを強固に挟み込むことにより、左部分51Lと右部分51Rとの位置固定が実現する。
【0064】
図17に示すように、拡張されたハウジング51に対し、蓋材52で覆うことができない領域を別の開口を有した小蓋材52Aで覆うことができる。また、拡張されることによってハウジング51内に設けられた空間に、別の計数ユニット100を設置することができる。また、蓋材52に、ハウジング51の横幅に合わせたものを用いても良い。前カバー52Fについては、ハウジング51の横幅に合わせたものを用いても良いし、横方向に拡大縮小できるものを用いても良い。
【0065】
本実施の形態によれば、さらに、ハウジング51の幅を、スロット島の形状やスロットマシンの配置間隔により設けられるメダル計数機50の設置スペースに対応させることができる。また、メダル計数機50の内部に五台以上の計数ユニット100を配置して、メダル計数機50でのメダルMの処理能力を高めることができる。
【0066】
別の実施の形態を、図21及び図22に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第三の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100には、前記計数ユニット100から遊技媒体(メダルM)を排出するための遊技媒体排出部(メダル排出部40)が設けられ、/前記計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)を第1所定枚数だけ差し引いて前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に返却する簡易モードにモード切替可能であるものであり、特に、前記計数ユニット100は、複数設けられ、/前記簡易モード下では、前記複数の計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)の合計枚数が前記第1所定枚数に達したと判定した場合に、前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に遊技媒体(メダルM)を返却するものである。
【0067】
さらに、本実施の形態のメダル計数機50は、前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)は、前記ハウジング51の正面側に位置付けられ、/前記第1、及び第2の計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ及び第2の計数装置195)と遊技媒体(メダルM)が流下する流下路(流下通路160)を更に備え、/前記流下路(流下通路160)から分岐し前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に繋がる排出用通路(傾斜通路190)を更に備え、/前記流下路(流下通路160)で流下する遊技媒体(メダルM)の行き先を、前記第2の計数手段(第2の計数装置195)と前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とのいずれかに設定でき、遊技媒体(メダルM)を返却しない場合に前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記第2の計数手段(第2の計数装置195)とし、遊技媒体(メダルM)を返却する場合に前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記遊技媒体排出部(メダルM)とする返却手段(メダル排除機構180)を更に備え、/前記簡易モード下では、前記複数の計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)の合計枚数が、前記第1の計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ)において前記第1所定枚数に達したと判定した場合に、前記返却手段(メダル排除機構180)を駆動して前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に遊技媒体(メダルM)を返却するようにしたものである。
【0068】
さらに、本実施の形態のメダル計数機50は、前記簡易モード下では、前記複数の計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)の合計枚数が、前記第1の計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ)において前記第1所定枚数に達したと判定した場合に前記返却手段(メダル排除機構180)を作動して、前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とするようにしたものである。
【0069】
さらに、本実施の形態のメダル計数機50は、前記簡易モード下では、前記複数の計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)の合計枚数が、前記第1の計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ)において前記第1所定枚数よりも少ない第2所定枚数に達したと判定した時点から遊技媒体(メダルM)の前記第2の計数手段(第2の計数装置195)への流下を制限し、その後に遊技媒体(メダルM)の計数が前記第1所定枚数に達した際に前記返却手段(メダル排除機構180)を作動し、前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とするようにしたものである。
【0070】
さらに、本実施の形態のメダル計数機50は、前記簡易モード下では、遊技媒体(メダルM)の流下を制限する手法として、前記複数の計数ユニット100に投入された遊技媒体(メダルM)の合計枚数が、前記第1の計数手段(メダル位置検知手段152におけるセンサ)において前記第1所定枚数よりも少ない第2所定枚数に達したと判定した場合に前記搬送手段(搬送装置120)による前記遊技媒体(メダルM)の搬送スピードを低下させることを行うようにしたものである。
【0071】
以下、詳細に述べる。図21は、表示パネル21の表示内容を示す模式図である。表示パネル21には、「タバコと交換」と書かれた簡易モード切替アイコン21Bが表示される。操作者がタッチパネルセンサ21Aにおける簡易モード切替アイコン21Bに対応した部分をタッチ指定することで、簡易モードのオン/オフが切り替えられる。簡易モードがオンになると、簡易モード切替アイコン21Bの白黒階調が反転する。なお、簡易モードのオン/オフの切り替えは、ハウジング51に設けられたハードウェアボタン(図示せず)を用いても良い。また、「タバコ」は、遊技場で従業員が不在のときでも遊技客が交換できる簡易な景品(最小景品)の一例に過ぎない。
【0072】
図22は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。操作者(遊技客)は、複数の計数ユニット100のメダル投入部30にメダルMを投入した上で、計数開始/終了ボタン25(図1参照)を押す。制御部60は、複数の処理を切り替えてマルチタスクとして並行して進めており、ステップS401の処理もその複数の処理のうちの一つとして行っている。制御部60は、計数開始/終了ボタン25が押されていないと判定した場合(ステップS401のNo)、図22に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、制御部60は、計数開始/終了ボタン25が押されると(ステップS401のYes)、制御部60の制御によって搬送装置120が駆動し、メダルMが傾斜誘導路140に搬送され、向きが変えられて、流下通路160に入り込み、流下通路160を流下する。また、制御部60は、ステップS401に続いて、メダル計数機50がオンであるかどうかを判定する(ステップS401A)。メダル計数機50がオンであると判定した場合(ステップS401AのYes)、制御部60は、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数が、第1所定枚数mよりも少ない第2所定枚数nに達したかどうかを判定しつつメダル排除機構180を順次駆動する処理を行う(ステップS402)。ここで、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数とは、複数の計数ユニット100のそれぞれに備わる第1の計数装置(メダル位置検知手段152におけるセンサ)から制御部60に入力された電気信号を受けて制御部60に記憶されるメダルMの計数である。制御部60は、簡易モードがオンであるかオフであるかを問わず、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数を記憶する。また、第1所定枚数mとは、タバコ(最小景品)を獲得するために必要なメダルMの枚数である。このステップS402に示す処理は、例えば、次の段落以降で述べる方法で行われる。
【0073】
メダル計数機50内に設けられる計数ユニット100の台数をXとする(本実施の形態ではX=5である。また、別の一例として、X=6の場合もある)。この場合、流下通路160の本数は2Xとなる。制御部60は、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数が{m−(2X−1)}枚、{m−(2X−2)}枚、{m−(2X−3)}枚、…、{m−1}枚、m枚に達した際に、割り込みイベントを発生させる。このイベントは、2X回発生することになる。例を挙げると、X=6の場合には、割り込みイベントは、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数が{m−11}枚、{m−10}枚、…、{m−1}枚、m枚に達した際に発生する。ここで、上述の第2所定枚数nとは、この場合、m−(2X−1)である。なお、第2所定枚数nとは、制御部60に記憶されたメダルMの合計枚数が第1所定枚数mに達する直前に複数の計数ユニット100で一斉にメダルMが計数され、その結果としてメダルMの合計枚数が第1所定枚数mを越えてしまうことを防ぐために予備的に設定される値であり、好ましくはn=m−(2X−1)である。なお、nは、m−(2X−1)より大きくても良いし、小さくてもよい。
【0074】
制御部60は、このような割り込みイベントが発生するたびに、2Xだけある流下通路160のうち一つについてメダル排除機構180を駆動させ、流下通路160を流下するメダルMが傾斜通路190に排除されるようにする。ここで、制御部60は、割り込みイベントが発生すると同時にメダル排除機構180を駆動させてもよいし、割り込みイベントが発生してから所定時間後にメダル排除機構180を駆動させてもよい。最終的に、制御部60は、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数がm枚に達した時点で、全ての流下通路160についてメダル排除機構180を駆動して、メダルMがどの流下通路160を流下したとしても傾斜通路190に向けて排除されるようにする。これにより、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数が{m−(2X−1)}枚、即ち、第2所定枚数nに達した時点で、搬送装置120によるメダルMの搬送スピードを低下させて、傾斜誘導路140に多量のメダルMが入り込まないようにしてもよい。
【0075】
制御部60は、ステップS402の処理で、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの合計枚数が、第1所定枚数mに達したと判定した場合、直ちに若しくは所定時間経過後に搬送装置120を停止し、メダル排除機構180を停止する。このとき、遮断部材作動機構132(図7参照)を駆動して遮断部材133(図7参照)を下降させ傾斜誘導路140へのメダルMの進入を防ぐようにしてもよい。遮断部材133の下降による傾斜誘導路140へのメダルMの進入防止は、上記割り込みイベントが発生するときにメダル排除機構180を駆動させた計数ユニット100で行われてもよい。ステップS402の処理後、制御部60は、図22に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0076】
本実施の形態によれば、さらに、従業員の立会下においてのみメダル計数機の使用を許可する遊技場においても、従業員不在の状況下でも遊技客が獲得できる景品(最小景品)であれば、遊技客の操作によってメダルMの計上ができ、ハウジング51の幅を、スロット島の形状やスロットマシンの配置間隔により設けられるメダル計数機50の設置スペースに対応させることができる。また、メダル計数機50の内部に五台以上(本実施の形態の場合。六台やそれ以上であってもよいし、四台以下でも良い)の計数ユニット100を配置して、メダル計数機50でのメダルMの処理能力を高めることができる。
【0077】
別の実施の形態を、図23及び図24に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第四の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100は、複数設けられ、/警告を行う警告部(例えば、表示パネル21)を更に備え、/遊技媒体(メダルM)の個数を前記複数の計数ユニット100のそれぞれで別個に計上し、前記警告部(例えば、表示パネル21)に、第3所定枚数以上計数がなされた前記計数ユニット100についての警告を行わせるものである。
【0078】
以下、詳細に述べる。図23は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。制御部60は、複数の計数ユニット100に投入されたメダルMの枚数を、複数の計数ユニット100のそれぞれに備わる第2の計数装置195からの電気信号を別々に計上することで、計数ユニット100別に計数して記憶している。ここで、制御部60は、複数の処理を切り替えてマルチタスクとして並行して進めており、ステップS501の処理もその複数の処理のうちの一つとして行っている。制御部60は、メダル計数機50が起動している間、i番目の計数ユニット100(但し、iは、メダル計数機50に備わる計数ユニット100の台数としたi≦jなる正の整数値であり、iの初期値は1である)でのメダルMの計上枚数が第3所定枚数p以上であるかどうかを判定する(ステップS501)。ここで、第3所定枚数pとは、計数ユニット100において流下通路160等の汚れや各部の金属疲労があらわれはじめるメダルMの投入枚数であって、経験的に設定される値である。第3所定枚数p以上でないと判定した場合(ステップS501のNo)、制御部60は、iの値を1増加させ(ステップS502)、iがjを超えたと判定した場合にはiの値を初期値(例えば、i=1)に戻し(ステップS503のYes、ステップS505)、その上で図23に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、制御部60は、ステップS503の判定処理においてiがjを超えていないと判定した場合(ステップS503のNo)、iの値を変えること無く図23に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。制御部60が図23に示す処理を再び開始する際には、ステップS503やステップS505の処理を経て設定されたiの値が用いられることになる。なお本実施例の様に、1なる計数ユニット100に2本の流下通路160及びそれぞれに第2の計数装置195を設ける場合は、iを第2の計数装置195毎に設定してもよい。
【0079】
図24は、警告処理の一例を示す模式図である。制御部60は、ステップS501の処理において、i番目の計数ユニット100でのメダルMの計上枚数が第3所定枚数p以上であると判定した場合(ステップS501)、警告処理を行う(ステップS504)。警告処理とは、例えば、警告部としての表示パネル21に、第3所定枚数p以上計数がなされたi番目の計数ユニット100についての警告表示21Cをするものである。警告表示21Cの一例は、「i番目のユニットのメンテナンス時期です」という文字列である。なお、別の例として、制御部60は、警告処理として、メダル計数機50に備わる警音器(図示せず)に警告音を発せさせても良い。
【0080】
本実施の形態によれば、さらに、従業員は、メダル計数機50に設置される複数の計数ユニット100のいずれかに生じている不具合を早期に把握でき、部品の交換やレーンの清掃、金属疲労への対応などを早急に行うことができる。
【0081】
別の実施の形態を、図25、図26及び図27に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第五の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100には、前記計数ユニット100から遊技媒体(メダルM)を排出するための遊技媒体排出部(メダル排出部40)及び複数の種類別排出部(回収路70A、回収路70B)が設けられ、/前記計数ユニット100において前記第2の計数手段(第2の計数装置195)よりも上流側に配置され、前記遊技媒体投入部(メダル投入部30)から投入された遊技媒体(メダルM)の種別及び使用可否を識別する識別部(メダル識別手段150)を更に備え、/前記識別部(メダル識別手段150)により識別された前記遊技媒体(メダルM)が使用不可なものである場合にその遊技媒体(メダルM)を前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に排出し、前記識別部(メダル識別手段150)により識別された前記遊技媒体(メダルM)が使用可能なものである場合にその遊技媒体(メダルM)をその種類に応じた前記種類別排出部(回収路70A、回収路70B)に排出するものである。
【0082】
以下、詳細に述べる。図25は、計数ユニット100の側面図である。図26は、種別振分部70Cの平面図である。回収路70Aからは、別の回収路70Bが分岐する。回収路70Aも回収路70Bも、その底面は凹型をなし且つその両側面は平板で構成されており、メダルMは回収路70Aや回収路70Bの内部を流下できるようになっている。回収路70Bの上流端には、メダルMを振り分ける種別振分部70Cが設けられる。種別振分部70Cは、メダルMを案内するフラップ70Eと、フラップ70Eの上流端が揺動するようにフラップ70Eの下流端を保持する保持軸70Dと、フラップ70Eを揺動させる駆動源(図示せず)とを有する。駆動源の一例は、ソレノイドである。フラップ70Eは、駆動源の駆動に応じて、メダルMを回収路70Aに沿って流下させる第1位置70Fと、メダルMを回収路70Aから回収路70Bに導く第2位置70Gとの間を移動する。回収路70Aは、スロット島に設けられる搬送コンベア(図示せず)に繋がる。回収路70Bは、メダル計数機50内に設けられるメダル貯留部(図示せず)に繋がる。
【0083】
図27は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態では、制御部60は、制御部60のCPU自身で行う内部タイマ割込処理により、割り込みイベントとして処理を開始する。この処理の開始タイミングは、計数ユニット100内にある現在のメダルMの位置と搬送装置120の搬送ベルト122の搬送速度とに基づいて正しい撮像が行われるよう適宜補正される。撮像後(ステップS330)、制御部60は、新たな画像が得られたかどうかを判定し(ステップS331)、新たな画像が得られたと判定した場合には処理をステップS302に進め(ステップS331のYes)、新たな画像が得られなかった場合には処理をリターンする(ステップS331のNo)。なお、ここに述べた処理の開始タイミング、並びに、ステップS330及びステップS331の処理は、他の実施の形態において、ステップS300及びステップS301の代わりになされてもよい。制御部60は、ステップS331の判定処理において、新たな画像が得られたと判定した場合(ステップS331のNo)、図27に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0084】
画像処理(ステップS302)後、ステップS303(メダルMが使用できるものであるか否かを判定する処理)の判定でメダルMが使用できるメダルであると判定した場合(ステップS303のYes)、メダルMが第1種(例えば、5円メダル)であるかどうかを判定する(ステップS321)。制御部60は、メダルMが第1種であると判定した場合(ステップS321のYes)、種別振分部70Cのフラップ70Eが第1位置70Fに位置付けられるよう種別振分部70Cの駆動源(図示せず)を駆動する(ステップS322)。また、制御部60は、メダルMが第1種ではない(第2種、例えば、20円メダル)と判定した場合(ステップS321のNo)、種別振分部70Cのフラップ70Eが第2位置70Gに位置付けられるよう種別振分部70Cの駆動源(図示せず)を駆動する(ステップS323)。なお、本実施の形態においては、制御部60は、ステップS303において、第1種及び第2種のいずれでもない種類のメダルMを使用不可のメダルとして判定する。この処理により、第1種のメダルMは回収路70Aを通ってスロット島に設けられる搬送コンベア(図示せず)に到達し、第2種のメダルMは70Bを通ってメダル計数機50内に設けられるメダル貯留部(図示せず)に到達し、第1種及び第2種のいずれでもない種類のメダルMは、第2の計数装置195に計数される前にメダル排除機構180によって傾斜通路190に排除されメダル排出部40に到達する。制御部60は、ステップS322やステップS323の処理を終えた後、図27に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0085】
本実施の形態によれば、メダル計数機50がメダルMを複数種取り扱うことのできる場合に、メダルMを種類別に振り分けることができ、かつ、使用不可のメダルMをメダル排出部40から排出することができる。
【0086】
別の実施の形態を、図1に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第六の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記遊技媒体投入部(メダル投入部30)を構成する複数の側面のうち、正面側から見て右側の側面51Eが他に比べて背高に設けられるものである。
【0087】
本実施の形態によれば、さらに、遊技者が複数のメダル投入部30の上方からメダルMを手放しても、少なくともいずれかのメダル投入部30に入り込み、右側の側面51Eを乗り越えてメダル計数機50の外側に落下することはない。遊技者の多くが右利きであって、右手を用いてメダルMの投入が多く行われているという実情から、本実施の形態は従来技術と比べて有利である。
【0088】
別の実施の形態を、図28及び図29に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第七の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100は、複数設けられ、/警告を行う警告部(例えば、表示パネル21)を更に備え、所定の前記計数ユニット100について前記第2の計数手段(第2の計数装置195)まで前記遊技媒体(メダルM)が到達できないようにした状態下で当該計数手段(第2の計数装置195)での前記遊技媒体(メダルM)の計上を判定した場合、前記警告部(例えば、表示パネル21)に警告を行わせるものである。
【0089】
以下、詳細に述べる。図28は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態では、メダル計数機50に備わる複数の計数ユニット100のうち、全てではない幾つかの計数ユニット100について、メダルMが第2の計数装置195に到達しないよう予め設定されていることを前提とする。ここでいう「メダルMが第2の計数装置195に到達しないよう予め設定されている」とは、一例として、搬送装置120(図7等参照)が駆動されていない状態、遮断部材133(図7参照)が下降してメダル収容筐体110内のメダルMが傾斜誘導路140に到達できない状態、メダル排除機構180が駆動して流下通路160を流下するメダルMが傾斜通路190に排除される状態等をいう。
【0090】
制御部60は、複数の処理を切り替えてマルチタスクとして並行して進めており、ステップS701の処理もその複数の処理のうちの一つとして行っている。制御部60は、上記の理由等によりメダルMが到達することができず計数が行われるべきではない第2の計数装置195においてメダルMの計数がなされたことを判定した場合(ステップS701のYes)、警告処理(ステップS702)を行い、その後に図28に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、制御部60は、メダルMが到達することができず計数が行われるべきではない第2の計数装置195においてメダルMの計数がなされていないと判定した場合(ステップS701のNo)、警告処理(ステップS702)を行わずに図28に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0091】
図29は、警告処理の一例を示す模式図である。制御部60は、ステップS702で行う警告処理として、例えば、警告部としての表示パネル21に、警告内容を示す警告表示21Dを表示する。警告表示21Dの一例は、「係員が来るまでお待ちください」という文字列である。なお、別の例として、制御部60は、警告処理として、メダル計数機50に備わる警音器(図示せず)に警告音を発しさせても良い。
【0092】
本実施の形態によれば、遊技媒体(メダルM等)の不正なカウントを行うための道具がメダル投入部30やメダル排出部40から挿入され第2の計数装置195にセンシングされる等の不正行為を防ぐことができる。また、例えば、全ての計数ユニット100において、本実施の形態を行うことにより、従業員の立会下においてのみメダル計数機の使用を許可する遊技場において、遊技客が従業員の立会いが無い状況で計数を行う事を防ぐ事が出来る。
【0093】
別の実施の形態を、図30及び図31に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第八の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100には、前記計数ユニット100から遊技媒体(メダルM)を排出するための遊技媒体排出部(メダル排出部40)が設けられ、/前記メダル変位機構(傾斜誘導路140)と前記第2の計数手段(第2の計数装置195)とを連絡し遊技媒体(メダルM)が流下する流下路(流下通路160)を更に備え、/前記流下路(流下通路160)から分岐し前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)に繋がる排出用通路(傾斜通路190)を更に備え、/前記流下路(流下通路160)で流下する遊技媒体(メダルM)の行き先を、前記第2の計数手段(第2の計数装置195)と前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とのいずれかに設定でき、遊技媒体(メダルM)を返却しない場合に前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記第2の計数手段(第2の計数装置195)とし、遊技媒体(メダルM)を返却する場合に前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とする返却手段(メダル排除機構180)を更に備え、/特権指示の入力に応じて、前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記遊技媒体排出部(メダル排出部40)とし且つ前記搬送手段(搬送装置120)を停止状態とする不使用モードと、前記遊技媒体(メダルM)の行き先を前記第2の計数手段(第2の計数装置195)とし且つ前記搬送手段(搬送装置120)を駆動状態とする通常モードとのモード切替を行うものである。
【0094】
以下、詳細に述べる。図30は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。制御部60は、特権指示の入力を待機している(ステップS801のNo)。ここで、特権指示とは、遊技場の従業員等の特別な操作権限を持つ者だけが入力可能なものである。一例として、特権指示は、遊技場内に配置されメダル計数機50と有線又は無線で接続されデータ通信可能な管理装置(図示せず)から電気信号の態様で制御部60に入力される。また、特権指示は、タッチパネルセンサ21Aにおける表示パネル21に表示されたテンキー(図示せず)に対応する部分をタッチ操作してパスワードを入力することによっても入力されてもよいし、従業員の所有する従業員識別用ICカードをカード処理機28に読み取らせてもよい。制御部60は、複数の処理を切り替えてマルチタスクとして並行して進めており、ステップS801の処理もその複数の処理のうちの一つとして行っている。
【0095】
制御部60は、制御部60は、特権指示の入力がないと判定した場合(ステップS801のNo)、図30に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。他方、制御部60は、特権指示の入力があると判定した場合(ステップS801のYes)、通常モードと不使用モードとのモード切替を行い、その後に図30に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0096】
メダル計数機50は、予め、電源投入直後の待機状態では、通常モードに設定されていても不使用モードに設定されていてもよい。また、別の一例として、従業員は、遊技店の開店直後の遊技客の少ない時間帯にメダル計数機50の待機状態を通常モードから不使用モードにモード切替するようにしてもよい。別の一例として、従業員は、遊技店の閉店間際の計数を行う遊技客の多い時間帯にメダル計数機50の待機状態を不使用モードから通常モードにモード切替するようにしてもよい。
【0097】
図31は、制御部60が行う処理の流れを示すフローチャートである。制御部60は、通常モードと不使用モードとの切替があるまで処理を待機する(ステップS851のNo、ステップS852のNo)。
【0098】
通常モードから不使用モードへのモード切替をした場合(ステップS851のYes)、制御部60は、使用不可能化処理を行う(ステップS853)。制御部60は、使用不可能化処理として、搬送装置120(図7等参照)を停止する処理、遮断部材133(図7参照)が下降させてメダル収容筐体110内のメダルMが傾斜誘導路140に到達できなくする処理、及び、メダル排除機構180を駆動して流下通路160を流下するメダルMを傾斜通路190に排除されるようにする処理の少なくともいずれか、好ましくはこれら全てを行う。
【0099】
不使用モードから通常モードへのモード切替をした場合(ステップS852のYes)、制御部60は、使用可能化処理を行う(ステップS854)。制御部60は、使用可能化処理として、搬送装置120(図7等参照)の駆動を再開する処理、遮断部材133(図7参照)を上昇させてメダル収容筐体110内のメダルMが傾斜誘導路140に到達できるようにする処理、及び、メダル排除機構180を駆動して流下通路160を流下するメダルMが傾斜通路190に排除されないようにする処理を行う。これにより、メダルMは、傾斜通路190により排除されることなく流下通路160を通過して第2の計数装置195に計数されることになる。ここに、制御部60が行うステップS852及びステップS854の処理は、メダルの計数を許可する計数許可入力手段を構成する。
【0100】
制御部60は、使用不可能化処理(ステップS853)や使用可能化処理(ステップS854)の処理を終えた後、図31に示す処理から復帰(リターン)し他の処理を進める。
【0101】
本実施の形態によれば、従業員の立会下においてのみメダル計数機の使用を許可する遊技場において、遊技客が従業員の立会いが無い状況で計数を行う事を防ぐ事が出来、従って、従業員不在時において、遊技媒体(メダルM等)の不正なカウントを行うための道具がメダル投入部30やメダル排出部40から挿入され第2の計数装置195にセンシングされる等の不正行為を防ぐことができる。
【0102】
なお、メダル計数機50の電源をオフとする際に、メダル計数機50を不使用モードに移行して、遮断部材133の下降と、流下通路160を流下するメダルMを傾斜通路190に排除されるようにするためのメダル排除機構180の駆動処理の少なくともいずれか(好ましくはこれら全て)を行うようにし、その後に給電が途絶えるようにしてもよい。また、メダル計数機50の電源がオンになったときに、メダル計数機50が不使用モードであるようにしてもよい。また、メダル識別手段150によるメダルMの識別にて、メダルMが使用できないものであると判定した場合に、メダル計数機50を不使用モードに移行するようにしてもよい。
【0103】
別の実施の形態を、図32に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第九の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態で説明するのは、第一の実施の形態のメダル計数機50や第二の実施の形態のメダル計数機50を前提とするものであって、前記計数ユニット100は、複数設けられ、/前記複数の計数ユニット100のそれぞれに設けられる前記遊技媒体投入部(メダル投入部30)を個別に閉じることが可能な蓋部(蓋材52)を更に備えるものである。
【0104】
以下、詳細に述べる。図32は、蓋材52の斜視図である。本実施の形態では、蓋材52は、開口付小蓋材52Mと開口無小蓋材52Nとを複数横並びさせて構成される。個々の開口付小蓋材52M及び開口無小蓋材52Nは、個々の計数ユニット100のカバー体111の一つに対応した縦長の形状をなしている。開口付小蓋材52Mは、平坦部52Hと傾斜部52Jと開口部52Kと壁部52Lとを有している。開口無小蓋材52Nは、開口部52Kを有しておらず、計数ユニット100のカバー体111の一つを閉じるように天板52Pに覆われている。
【0105】
本実施の形態によれば、メダル計数機50に設けられる五つのメダル投入部30を個別に閉じることができ、メダル計数機50を、最小景品の交換等の用途で遊技客にメダル計数機50を操作させる等の用途に使用することが容易となる。
【0106】
なお、本発明には、以下のものが含まれる。
【0107】
[付加請求項1]
受け入れたメダルを1枚毎に整列させるメダル整列部と、
前記メダル整列部によって整列させたメダルを略縦立状態に変位させるメダル変位機構と、
前記メダル変位機構によって略縦立状態に変位させたメダルを転動させながら奥側に導く流下通路と、
前記メダル整列部から前記流下通路の下流端迄の間に1乃至複数配置され、メダルを計数する計数手段と、
で構成される計数ユニットを横並びに複数配置し、受け入れたメダルを各計数ユニットに分配可能に構成することを特徴とするメダル計数機。
【0108】
ここで、計数ユニットを構成しているメダル整列部とメダル変位機構と流下通路と計数手段とは、夫々別体部品で構成されてもよいし、組み付けて一体にされてもよい。
【0109】
付加請求項1記載のメダル計数機によれば、計数ユニットに受け入れられたメダルは、メダル整列部によって1枚毎に整列され、その後、メダル変位機構によって略縦立状態に変位され、その後、流下通路によって転動しながら奥側に導かれる。メダルは、メダル整列部から流下通路の下流端迄の間に、計数手段により計数される。メダル計数機では、このような計数ユニットが横並びに複数配置され、メダルを各計数ユニットに分配できるようになっている。したがって、安価な構成で、大量のメダルを計数可能とするとともに、極力メンテナンス省力化と省スペース化とが実現される。
【0110】
[付加請求項2]
前記メダル計数機は、遊技場内で遊技機を列設されてなる遊技機島の島端に配備可能であり、遊技者側から投入されたメダルを受け入れて計数し、島側である奥側に向かって導くものであり、
前記メダル整列部は、遊技者側から受け入れたメダルを整列させて、横倒させた状態で前記奥側に搬送する搬送手段で構成され、
前記メダル変位機構は、前記搬送手段によって搬送されるメダルを、該メダルの進行方向に対して垂直な左右の少なくとも一方の方向に前記メダルを滑落流下させて縦立させる傾斜側面で構成され、
前記流下通路は、前記傾斜側面を滑落流下させて縦立させたメダルを前記計数ユニットの側面に沿って前記搬送手段による搬送方向の奥側方向に転動流下させるものであることを特徴とする付加請求項1記載のメダル計数機。
【0111】
ここでいう「島端」とは、遊技機島の島中央の通路側端部、または島の長手方向の通路側端部等も含む。また、ここでいう「搬送手段」とは、滑落傾斜による搬送や、ベルト搬送等を含む。
【0112】
付加請求項2記載のメダル計数機によれば、流下通路が計数ユニットの側面に沿って配置可能になるとともに、メダルを縦立転動させるため、流下通路が、計数ユニットを構成するメダル変位機構の幅を超えて配置されることのないコンパクトなサイズにすることができる。従って、計数ユニットを並べた場合、遊技者側からみた全体的な横幅をせまくできるとともに、横幅により多数の計数ユニットが配置できるため、計数速度を向上できる。
【0113】
[付加請求項3]
前記メダル変位機構は、前記搬送手段によって搬送された前記メダルの進行方向に傾斜する搬送方向傾斜面をさらに備え、前記搬送手段によって搬送された横倒させた状態のメダルが、前記搬送方向傾斜面に沿って流下することを特徴とする付加請求項2記載のメダル計数機。
【0114】
[付加請求項4]
前記メダル計数機は、前記複数の計数ユニットをハウジング内に配置し構成され、
前記ハウジングは、その正面から見て横方向に拡大、または/及び、縮小が可能であり、
前記ハウジング内に横並びに配置する前記計数ユニットの数量を増やす、または/及び、減らす事が可能である事を特徴とする付加請求項1から3のいずれか一に記載のメダル計数機。
【0115】
[付加請求項5]
前記搬送手段から前記メダル変位機構までの間に配置され、搬送されたメダルが利用可能なメダルか否かを識別するメダル識別手段と、
前記メダル識別手段から前記流下通路の終端までの間に配置され、前記メダル識別手段における識別判定に基づいて、メダルを排除するメダル排除手段と、
前記傾斜側面の下方側に配備され、前記メダル排除手段が排除したメダルを遊技者に返却するための受け部に導くメダル返却通路と、
を備える事を特徴とする付加請求項2から4のいずれか一に記載のメダル計数機。
【0116】
[付加請求項6]
前記メダル識別手段は、前記搬送手段から前記メダル変位機構までの間に備えられた撮像装置により前記搬送されたメダルを撮像し、当該撮像された情報に基づいて、利用可能なメダルか否かを識別する事を特徴とする付加請求項5記載のメダル計数機。
【0117】
[付加請求項7]
前記メダル計数手段と前記メダル識別手段とが撮像されることによってなされるか、
または、
前記メダル計数手段が、前記メダル排除手段のより上流側に配置された光学式センサまたは金属を検知する近接センサ等で構成されるメダル検知センサによって計数され、前記メダル識別手段が撮像して識別されるものであることを特徴とする付加請求項5または6記載のメダル計数機。
【0118】
[付加請求項8]
前記計数手段により計数されるメダルの計数値が、第1の所定数に達するまでは、メダル返却手段によって遊技者に対してメダルを返却せずにメダル計数機内部または島内に取り込み、
前記計数手段により計数されるメダルの計数値が前記第1の所定数に達した後は、メダル返却手段によってメダルが遊技者に対して返却されることを特徴とする付加請求項2記載のメダル計数機。
【0119】
ここで、メダル返却手段は、メダル排除手段を兼用してもよいし、別途設けられてもよい。付加請求項8記載のメダル計数機は、複数ある計数ユニット内1つのみを運用する時に適する。
【0120】
[付加請求項9]
前記複数の計数ユニットの内複数の計数手段により計数されるメダルの合計数が、第1の所定数に達するまでは、メダル返却手段によって遊技者に対してメダルを返却せずにメダル計数機の内部または島内に取り込み、
前記複数の計数ユニットの内複数の計数手段により計数されるメダルの合計数が前記第1の所定数に達した後は、メダル返却手段によってメダルが遊技者に対して返却されることを特徴とする付加請求項2記載のメダル計数機。
【0121】
ここで、メダル返却手段は、メダル排除手段を兼用してもよいし、別途設けられてもよい。付加請求項9記載のメダル計数機は、複数ある計数ユニットの内、複数乃至全数、計数させる運用時に適するものであって、全数でない複数の計数ユニット以外の稼働させないメダル計数機は蓋をして計数できない運用などが可能である。
【0122】
[付加請求項10]
前記複数の計数ユニットに備える複数の搬送手段を低速に搬送させるか、または、順次搬送させることを特徴とする付加請求項9記載のメダル計数機。
【0123】
ここで、付加請求項10記載のメダル計数機では、複数の計数ユニットの内複数の計数手段により計数されるメダルの合計数が、前記第1の所定数より少ない第2の所定値に達した後に低速に搬送させるか、または順次搬送させてもよいし、計数開始直後または数秒のディレー時間経過後から低速に搬送させるか、または順次搬送させてもよい。尚、全速力による計数処理は、受け付けた記憶媒体が店員のものと認証した場合に行い、低速に搬送させるか、または順次搬送させるかは、会員用記憶媒体、非会員用記憶媒体、またはメダルの投入の検知に基づき行うようにしてもよい。
【0124】
[付加請求項11]
前記メダル計数機は、
前記複数の計数ユニット相互の位置を入れ替え、又各計数ユニット毎に交換可能に構成され、
警告を行う警告部を更に備え、
前記計数ユニット毎に前記メダル計数値の累計値を記憶可能であり、
前記警告部は、前記累計値に基づいて、前記計数ユニット毎の警告を行う事を特徴とする付加請求項1から10のいずれか一に記載のメダル計数機。
【0125】
ここで、「累計値に基づいて警告を行う」とは、各計数ユニットの累計値の平均との比較で、累計値の最大の計数ユニットの位置に累計値が最小の計数ユニットの位置に移し、累計値が2番目に大きい計数ユニットの位置に累計値が2番目に小さい計数ユニットの位置に移す等の指示を行うこと、各計数ユニットが所定値を超えた場合に交換を行う旨の指示を行う事等が例示できる。また、他に、1つの計数ユニットのみ著しく累計値が低い場合、当該計数ユニットにおいて計数を阻害する不具合が発生している可能性があるとして警告を行う事等も加えて例示できる。なお、「メダル計数値の累計値の記憶」は、「計数ユニット毎に」行うと記載するが、例えば、前記メダル整列部により、メダルが2列に整列され、2列に整列されたメダルの列毎に計数手段が設けられている場合等は、当該計数手段毎にメダル計数値の累計値の記憶を行う事も、本発明に含まれる。
【0126】
[付加請求項12]
前記メダル計数機は、更に、メダルの計数を許可する計数許可入力手段を備え、
前記メダル返却手段は、前記計数許可入力手段による許可がなされる前は、メダルを返却する状態とし、前記計数許可入力手段による許可の入力により、メダルを返却する状態から内部に取り込む状態に動作する事を特徴とする付加請求項8または9記載のメダル計数機。
【0127】
[付加請求項13]
前記計数許可入力手段による許可入力が行われていない状態下において、前記計数手段によりメダルの計数が計上された場合、前記警告部に警告を行わせる付加請求項12記載のメダル計数機。
【0128】
[付加請求項14]
前記メダル返却通路は、搬送手段の搬送方向に対して略逆方向に向かい傾斜する下方傾斜面であって、
前記メダル排除手段により排除されたメダルを横倒させた状態で、前記搬送手段の搬送方向に対して略逆方向に流下させ、前記メダル受け部に導くことを特徴とする付加請求項5記載のメダル計数機。
【0129】
[付加請求項15]
前記メダル排除手段は、前記流下通路の流下過程に設けられ、縦立した状態で流下しているメダルの上端部を支持する上端側支持部、及び下端部を支持する下端側支持部、を備え、
前記上端側支持部または前記下端側支持部の少なくとも一方が、メダルの流下方向に垂直な断面形状が凹状の凹状部材で形成され、メダルを排除する際、前記凹状部材をメダルを排除する方向に傾けて、前記凹状部材の一方の側壁がメダルの一方の側面を、メダルを排除する方向に押圧するとともに、前記凹状部材の他方の側壁における、メダルの他方の側面の支持を解除する事を特徴とする付加請求項5または14記載のメダル計数機。
【0130】
[付加請求項16]
前記計数手段に加えて、
流下通路の始端部から終端部の間に、第2の計数手段を備える事を特徴とする請求項1、付加請求項2から15のいずれか一に記載のメダル計数機。
【符号の説明】
【0131】
21…表示パネル(警告部)、30…メダル投入部(遊技媒体投入部)、50…メダル計数機(遊技媒体計数機)、51…ハウジング、100…計数ユニット、120…搬送装置(搬送手段)、130…ゲート部(メダル整列部)、140…傾斜誘導路(メダル変位機構)、160…流下通路、195…計数装置(計数手段)、M…メダル(遊技媒体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け入れたメダルを1枚毎に整列させるメダル整列部と、
前記メダル整列部によって整列させたメダルを略縦立状態に変位させるメダル変位機構と、
前記メダル変位機構によって略縦立状態に変位させたメダルを転動させながら奥側に導く流下通路と、
前記メダル整列部から前記流下通路の下流端迄の間に1乃至複数配置され、メダルを計数する計数手段と、
で構成される計数ユニットを横並びに複数配置し、受け入れたメダルを各計数ユニットに分配可能に構成することを特徴とするメダル計数機。
【請求項1】
受け入れたメダルを1枚毎に整列させるメダル整列部と、
前記メダル整列部によって整列させたメダルを略縦立状態に変位させるメダル変位機構と、
前記メダル変位機構によって略縦立状態に変位させたメダルを転動させながら奥側に導く流下通路と、
前記メダル整列部から前記流下通路の下流端迄の間に1乃至複数配置され、メダルを計数する計数手段と、
で構成される計数ユニットを横並びに複数配置し、受け入れたメダルを各計数ユニットに分配可能に構成することを特徴とするメダル計数機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
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【図18】
【図19】
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【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2013−48706(P2013−48706A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188060(P2011−188060)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000137203)株式会社マースエンジニアリング (218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000137203)株式会社マースエンジニアリング (218)
【Fターム(参考)】
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