説明

メチルのフェニルに対するモル比を増大する方法

典型的な一実施形態は、供給原料中の1種または複数種の芳香族化合物のメチルのフェニルに対するモル比を増大する方法であることができる。該方法は有効量の1種または複数種の芳香族化合物と有効量の1種もしくは複数種の芳香族メチル化剤とを反応させて、メチルのフェニルに対するモル比が供給原料より少なくとも約0.1:1大きい製品を形成することを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本出願は、2010年1月19日出願の米国出願第12/689,560号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、例えば、1種または複数種の芳香族化合物のメチルのフェニルに対するモル比を増大する方法に一般的に関する。
背景技術
通常、芳香族集合体は、水素処理したナフサ供給原料を処理してベンゼンおよび1種または複数種のキシレンなどの種々の製品を製造することができる。しかしながら、例えば、市場の状況によってはそれらより高置換芳香族化合物を製造することが望ましいことがある。それに加えて、エンジン燃料製品を製造する場合、益々厳しくなる環境規制によりさらに低いベンゼン含有率が要求される可能性がある。結果として、例えば、ガソリンからベンゼンを除去する代替法に対する要望がある。したがって、ベンゼンを他の価値の高い製品に変換する柔軟性を許容するシステムおよび方法が望ましいことがある。
【0003】
しかしながら、既存の方法は、高価な触媒および/または望ましくない副生物を分離するためにさらに処理することが必要になり得る反応物を使用する可能性がある。したがって、望ましくない製品および/または副反応を最少にしながら、ベンゼンを他の置換芳香族化合物に変換することができる反応剤を提供することが有利であろう。
【0004】
発明の概要
一つの典型的な実施形態は、供給原料中の1種または複数種の芳香族化合物のメチルのフェニルに対するモル比を増大する方法であり得る。該方法は、有効量の1種または複数種の芳香族化合物と有効量の1種または複数種の芳香族メチル化剤とを反応させてメチルのフェニルに対するモル比が供給原料より少なくとも0.1:1大きい製品を形成することを含むことができる。
【0005】
他の典型的な実施形態は、供給原料中の1種または複数種の芳香族化合物を反応させる方法であってよい。該方法は、有効量の1種または複数種の芳香族化合物および有効量の1種もしくは複数種の芳香族メチル化剤を含む供給原料を反応させて、供給原料に対する芳香環回収が85〜115モル%であり且つメチルのフェニルに対するモル比が供給原料より少なくとも0.1:1大きい製品を得ることを含むことができる。
【0006】
さらに他の典型的実施形態は、供給原料中の1種または複数種の芳香族化合物のメチルのフェニルに対するモル比を増大する方法であり得る。該方法は、ストリームから1種または複数種の芳香族メチル化剤を、1種または複数種の芳香族メチル化剤を受け入れるのに適応した反応区域に供給して、メチルのフェニルに対するモル比を供給原料より少なくとも0.1:1大きくすることにより少なくとも1種のA7化合物を形成することを含むことができる。
【0007】
本明細書において開示する実施形態は、1種または複数種の芳香族化合物のメチルのフェニルに対するモル比を増大する方法を提供することができる。結果として、本明細書において開示する方法は、芳香族化合物を高置換化合物に変換することができる。そのような変換された化合物は、市場の状況に応じて、パラキシレンなどの価値の高いものになり得る。したがって、芳香族集合体により製造された製品の価値を上げることができる。その上、本明細書において開示する実施形態は、エンジン燃料製品などの製品からベンゼンなどの化合物の望ましくない量を除去することができる。
【0008】
それに加えて、利用される芳香族アルキル化剤またはメチル化剤は、ナフサの供給原料中に存在し得る1種または複数種の非芳香族化合物または基であってよく、1基または複数基の分留塔から芳香族集合体内で供給され得る。したがって、アルカンまたはシクロアルカンなどの非芳香族化合物は、1種または複数種の芳香族化合物と容易に組み合わされて高置換化合物を生ずることができる。それに加えて、通常、クメン、インダン、および他の高置換芳香族化合物などのあまり望ましくない化合物は、それらの飽和した基がベンゼンなどの芳香族化合物をアルキル化またはメチル化して、キシレンなどのより望ましい製品を製造するように利用することもできる。好ましくは、該方法は、1種または複数種の芳香族化合物に追加の置換基としてメチル基を創り出す。したがって、本明細書において開示する実施形態は、芳香族集合体中でベンゼンを変換する経済的で比較的簡単なシステムを提供することができる。
【0009】
定義
本明細書中で使用する用語「ストリーム」、「供給原料」、または「製品」は、直鎖、分岐、もしくは環状のアルカン、アルケン、アルカジエン、およびアルキンなどの種々の炭化水素分子、および場合により他の物質、例えば水素などの気体、または金属、ならびに硫黄化合物および窒素化合物などの不純物を含むことができる。ストリームは、芳香族および非芳香族炭化水素も含むことができる。さらに、炭化水素分子は、C1、C2、C3…Cnと略記することができ、ここで、「n」は1種または複数種の炭化水素分子中の炭素原子数を表すことかでき、または該略記号は、例えば、非芳香族化合物または化合物のための形容詞として使用することもできる。同様に、芳香族化合物は、A6、A7、A8…Anと略記することができ、ここで「n」は、1種または複数種の芳香族分子中の炭素原子数を表す。さらに、上付の「+」または「−」は、略記の1種または複数種の炭化水素の記号とともに、例えば、略記された1種または複数種の炭化水素を含めたC3またはC3で使用することができる。例として、略記号「C3」は、炭素原子が3個以上の1種または複数種の炭化水素分子を意味する。
【0010】
本明細書中で使用する、用語「区域」は、1つもしくは複数の設備種目および/または1つもしくは複数の区分区域を含む領域を指すことができる。設備種目は、1種または複数種の反応装置または反応容器、ヒータ、交換器、配管、ポンプ、コンプレッサ、および制御装置を含むことができる。それに加えて、反応装置、乾燥機、または容器などの設備種目は、1種または複数種の区域または区分区域をさらに含むことができる。
【0011】
本明細書中で使用する、用語「芳香族アルキル化剤」は、高アルキル置換された1種または複数種の芳香族化合物を製造するために使用される非芳香族化合物または基を意味する。1種または複数種の非芳香族化合物の例として、アルカンまたはシクロアルカン、好ましくは少なくとも1種のC2〜C8アルカンまたはC5シクロアルカンを挙げることができる。非芳香族基は、直鎖または分岐アルキル基、シクロアルキルまたは芳香環に縮合した飽和基を形成する飽和基を意味することができる。そのような非芳香族基を有する芳香族化合物は、クメン、インダン、およびテトラリンを含むことができる。アルキル化された芳香族化合物は、メチル、エチル、プロピル、およびより高級な基などの追加の置換基を含むことができる。一般的に、芳香族アルキル化剤は、炭素および水素原子を含み、酸素、窒素、硫黄、リン、フッ素、塩素、および臭素などのヘテロ原子を含まない。
【0012】
本明細書中で使用する用語「芳香族メチル化剤」は、高メチル置換された1種または複数種の芳香族化合物を製造するために使用される非芳香族化合物または基を意味する。1種または複数種の非芳香族化合物として、アルカンまたはシクロアルカン、好ましくは少なくとも1種のC2〜C8アルカンまたはC5シクロアルカンを挙げることができる。非芳香族基は、直鎖もしくは分岐アルキル基、シクロアルキルを形成する飽和基、または芳香環と縮合した飽和基を意味することができる。そのような非芳香族基を有する芳香族化合物として、クメン、インダン、およびテトラリンを挙げることができる。メチル化された芳香族化合物は、追加の置換基のメチル基を含むことができる。一般的に、芳香族メチル化剤は、炭素および水素原子を含み、酸素、窒素、硫黄、リン、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素などのヘテロ原子を含まない。そのようなヘテロ原子化合物は、「メチル化剤」と称することができ、ヨードメタン、硫酸ジメチル、炭酸ジメチル、およびトリフルオロスルホン酸メチルなどの化合物を含むことができる。
【0013】
本明細書中で使用する、用語「基(radical)」は、化合物の一部または基(group)を意味する。そのようなものの典型的な基として、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロブチル、および芳香環または環と縮合した環基を挙げることができる。
【0014】
本明細書中で使用する、用語「富む」は、ストリーム中の化合物または化合物のクラスの一般的に少なくとも50モル%、および好ましくは少なくとも70モル%の量を意味することができる。
【0015】
本明細書中で使用する、用語「実質的に」は、ストリーム中の化合物または化合物のクラスの一般的に少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%、および最適には少なくとも99モル%の量を意味することができる。
【0016】
本明細書中で使用する、用語「金属」は、レニウム、スズ、ゲルマニウム、鉛、インジウム、ガリウム、亜鉛、ウラン、ジスプロシウム、タリウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、またはイリジウムを含むことができる。
【0017】
本明細書中で使用する、メチルのフェニルに対する比は、以下のようにして計算することができる:
メチル:フェニルモル比=[メチルの数の合計]/[芳香環の合計]
式中:
芳香環の合計=全i(MS(i)/MW(i)*NR(i))の合計
メチルの合計数=全i(MS(i)/MW(i)*ME(i))の合計
i:化合物種
種iの分子量:MW(i)
種iについての芳香族(フェニル)環の数:NR(i)
種iのフェニル環に結合したメチル基の数:ME(i)
供給原料中の種iの質量含有率:MS(i)
種々の化合物種についての典型的計算を下に述べる:
単環芳香族化合物: i:トルエン、NR(i)=1、ME(i)=1; i:キシレン、NR(i)=1、ME(i)=2
縮合芳香環: i:インダン、NR(i)=1、ME(i)=0; i:テトラリン、NR(i)=1、ME(i)=0; i:ナフタレン、NR(i)=2、ME(i)=0
飽和した縮合環上の置換基: i:1−メチル−インダンおよび2−メチル−インダン(この場合、5炭素環に1つのメチル基が結合している)、NR(i)=1、ME(i)=0
不飽和縮合環上の置換基: i:4−メチル−インダンおよび5−メチル−インダン(この場合、フェニル環に1つのメチル基が結合している)、NR(i)=1、ME(i)=1; i:ジメチル2,6−ナフタレン、NR(i)=2、ME(i)=2
したがって、メチル基は、芳香族基、例えば、フェニルに結合した場合に数えられて、芳香族と飽和した環とを有する縮合環化合物について完全にまたは部分的に飽和した、例えば縮合した環に結合した場合には数えられない。
【0018】
本明細書中で使用する、供給原料に対する芳香環回収のモルパーセントは、以下のように計算することができる:
芳香環回収=[生成物のモルによる芳香環の合計]/[供給原料のモルによる芳香環の合計]*100%
本明細書中で使用する、供給原料からC6非芳香族化合物への変換率の重量パーセントは以下のように計算することができる:
変換率=(((供給原料のC6非芳香族化合物の質量の合計)−(C6非芳香族化合物生成物の質量の合計))/(供給原料のC6非芳香族化合物の質量の合計))*100%
詳細な説明
本明細書において提供する実施形態は、アルキル、好ましくはメチルの、フェニルに対するモル比が供給原料を超える製品を提供することができる。特に、1種または複数種のC8炭化水素を含むことができる供給原料を、芳香環上のメチル置換基を増加することができる反応区域に供給することができる。通常、供給原料は、1つの供給源または複数の供給源から供給することができ、且つ有効量の1種または複数種の芳香族化合物およびヘテロ原子を含まない1種または複数種の非芳香族化合物または飽和基を有する芳香族化合物、すなわち、1種または複数種の芳香族アルキル化剤またはメチル化剤を含むことができる。一般的に、供給原料は、パイガス(pygas)などのリフォーミング、水素処理、接触または非接触クラッキング生成物、オリゴマー化、縮合、水素化処理、コークス化、真空および非真空炭化水素蒸留、抽出を含む芳香族化合物分離、およびそれらの任意の組合せなどの種々の供給源に由来することができる。それに加えて、少なくとも1種の液化石油ガス、クラッキングから得られた改質油、および芳香族化合物抽出区域からのラフィネートを、単独でまたは上記の供給源からの少なくとも1種の供給原料との組合せで使用することができる。非芳香族化合物および飽和基は、芳香族アルキル化、好ましくはメチル化の反応剤として作用して、芳香族化合物上のアルキル基、好ましくはメチル基の数を増加することができる。本明細書において検討した実施形態により提供される1つの利益は、メチル基の数を増加することであるが、アルキル基の数も同様に増加することも理解すべきである。それ故、芳香族メチル化剤は、芳香族アルキル化剤としても作用し得る。
【0019】
非芳香族化合物は、シクロアルカンおよびアルカンの少なくとも1種、独立に、1種または2種以上を含むことができ、且つ供給原料の少なくとも5重量%を構成することができる。場合により、1種または複数種の非芳香族化合物は、1種または複数種のオレフィンを含むこともできる。通常、非芳香族化合物は、少なくとも2個、好ましくは3個、およびさらにより好ましくは4個の炭素原子を含み、且つ好ましくは環中に少なくとも3個、望ましくは5個の炭素原子を有する少なくとも1種のシクロアルカン、および、独立に、C2〜C8アルカンを含むことができる。他の好ましい実施形態において、非芳香族化合物は、1種または複数種のC6非芳香族化合物を含むことができる。さらに他の好ましい実施形態において、1種または複数種のC6非芳香族化合物は、ジメチルシクロペンタンおよびメチルシクロペンタンの少なくとも1つを含むことができる。供給原料は、供給原料の重量に対して少なくとも10重量%の1種または複数種のシクロアルカン、または10〜70重量%の1種または複数種のシクロアルカンを含むことができる。その上、供給原料は、供給原料の重量に対して50重量%までの1種または複数種のC2〜C5炭化水素を含むことができる。
【0020】
通常、供給原料は、A6などの芳香族化合物を同様に含むことができる。芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、1種または複数種のキシレン、ナフタレン、エチルベンゼン、および1種または複数種の多核芳香族化合物を含むことができる。供給原料は、ナフタレン環または多核芳香族化合物(以後「PNA」と略記することがある)などの複数の縮合芳香環も含むことができる。
【0021】
それに加えて、芳香族化合物は飽和基も含むことができる。そのような化合物は、クメン、インダン、およびテトラリンを含むことができる。上で論じたように、飽和基は、アルキル化剤、好ましくはメチル化剤として作用することができる。
【0022】
供給原料に関して、供給原料は、一般的に20重量%、好ましくは35重量%の1種または複数種の芳香族化合物を含む。それに加えて、供給原料は、5重量%のベンゼンおよび最大量で5重量%のトルエンを含むことができ、残余は非芳香族化合物である。キシレンに富むことができる製品を得るために、供給原料中の好ましいベンゼン含有率は、供給原料の重量に対して75重量%未満である。トルエンに富む製品を得るために、供給原料中のベンゼン含有率は、供給原料の重量に対して75重量%を超えることができる。他の実施形態において、供給原料は、一般的に、供給原料の重量に基づいて少なくとも5重量%のトルエンおよび少なくとも5重量%のベンゼンを含み、残余は非芳香族化合物である。さらに他の好ましい実施形態において、供給原料は、一般的に、供給原料の重量に基づいて0.5〜99.5重量%の量でベンゼン、0.5〜99.5重量%の量でトルエン、および0.5〜99.5重量%の量で非芳香族化合物を含む。他の実施形態において、供給原料は、供給原料の重量に対して少なくとも20重量%のベンゼンを含むことができる。
【0023】
通常、供給原料は、供給原料の重量に対して20〜95重量%のベンゼンなどの1種または複数種の芳香族化合物を含むことができる。幾つかの他の実施形態において、供給原料のベンゼン含有率は、供給原料の重量に対して15〜25重量%であることができる。
【0024】
通常、供給原料は、1種または複数種のヘテロ原子を含有するメチル化剤を実質的に含まない。例として、供給原料は、1%未満、好ましくは0.1重量%未満の1種または複数種のメチル化剤を含むことができる。実際、供給原料は、1種または複数種の飽和した化合物または基の芳香族アルキル化剤を供給原料に基づいて少なくとも5モル%の量で含むことができる。
【0025】
アルキル、好ましくはメチル付加区域などの反応区域は、液相または気相の任意の適当な条件で操業することができる。特に、反応区域は、250〜700℃、好ましくは350〜550℃の温度、100〜21,000kPa、好ましくは1,900〜3,500kPaの圧力で、重量毎時空間速度(WHSV)0.1〜100hr−1、好ましくは2〜10hr−1、および0.1:1〜5:1、好ましくは0.5:1〜4:1の水素:炭化水素モル比で操業することができる。他の典型的実施形態において、温度は、少なくとも460℃、望ましくは少なくとも510℃、およびより望ましくは少なくとも560℃、圧力は7,000kPa以下、好ましくは3,500kPa以下であってよく、反応は、非芳香族炭化水素のクラッキングに有利な気相で起こることができる。あるいは、温度は460〜550℃であってよい。それより高い温度および低い圧力条件では、理論に拘束されることは望まないが、非芳香族炭化水素および/または飽和基がアルキル基ではなくメチル基を形成するであろうと考えられている。しかしながら、例えば、エチル、プロピル、ブチル、および高級基などの基を、1種または複数種の芳香族化合物に置換することができる場合には、少なくとも若干のアルキル化は起こっている可能性があることが理解されるべきである。
【0026】
任意の適当な材料、例えば、アルミノシリケートを含む少なくとも1種の分子篩などの任意の適当な触媒を利用することができる。触媒は有効量の分子篩を含むことができ、それは10員以上の環構造を有する少なくとも1つの細孔を有するゼオライトであってよく、1つまたはそれを超えるディメンションを有し得る。典型的には、ゼオライトは、Si/Alモル比が10:1を超えることができ、好ましくは20:1〜60:1である。好ましい分子篩は、BEA、MTW、FAU(立方晶および六方晶両形態のゼオライトY、およびゼオライトXを含む)、MOR、LTL、ITH、ITW、MEL、FER、TON、MFS、IWW、MFI、EUO、MTT、HEU、CHA、ERI、MWW、およびLTAを含むことができる。好ましくは、ゼオライトは、MFIおよび/またはMTWであってよい。触媒中の適当なゼオライト量は、1〜99重量%、および好ましくは10〜90重量%の範囲であってよい。触媒の残余は、耐火性結合剤または作製を容易にするために場合により使用されて、強度を提供し、且つコストを低減するマトリックスで構成することができる。適当な結合剤として、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、クロミア、チタニア、ボリア、トリア、リン酸塩、酸化亜鉛およびシリカの少なくとも1つなどの無機酸化物を挙げることができる。
【0027】
一般的に、触媒は、少なくとも1種の金属を本質的に含まず、触媒の重量に基づいて通常合計0.1重量%未満の金属を含む。その上、触媒は、好ましくは触媒の重量に基づいて合計で0.01%未満、より好ましくは0.001%未満、および最適には0.0001重量%未満の金属を含む。
【0028】
反応区域で製造される製品は、少なくとも0.1:1、好ましくは0.2:1を超え、および最適には0.5:1を超えて、供給原料を超えるメチル基のフェニル基に対するモル比を有することができる。反応区域は、供給原料に対して一般的に少なくとも85%、好ましくは85〜115%、および最適には99〜101モル%の芳香環回収を生ずることができる。一般的に、1種または複数種のC6非芳香族化合物の変換率は、50%を超え、好ましくは70%を超え、および最適には90重量%を超えることができる。したがって、1種または複数種のC6非芳香族化合物ならびにベンゼンの反応は、生じた製品中のベンゼンの量を最小化することができる。通常、芳香族化合物は、1つまたは複数のメチル基、および場合により他のアルキル基、例えばエチル、プロピル、または高級炭素鎖置換基を受け取ることができる。
【0029】
製品は、トルエン、1種または複数種のキシレン、およびエチルベンゼンなどの1種または複数種のA7化合物を含むことができる。そういうものとして、製品は、少なくとも一般的に2重量%のキシレン、好ましくは5重量%、および最適には10重量%の1種または複数種のキシレンを含むことができる。それに加えて、合計キシレンのパラキシレン比率(パーセント)は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも23%、および最適には少なくとも23.8%であることができる。他の好ましい実施形態において、供給原料は、供給原料の重量に対して少なくとも0.5重量%のベンゼンを含むことができ、ベンゼンが製品の重量に対して0.5重量%未満である製品を生ずることができる。さらに他の好ましい実施形態において、供給原料は、供給原料の重量に対して0.5重量%を超えるベンゼンを含有することができて、ベンゼンが製品の重量に対して20重量%未満である製品を生ずることができる。さらに他の好ましい実施形態において、製品中のベンゼン含有率は、製品の重量に対して20重量%未満、および好ましくは0.5重量%未満に減少させることができる。供給原料中に存在するいかなるベンゼンも、1種または複数種のナフタレンおよび他の多核芳香族化合物を含むメチル基置換芳香族化合物に富むことができる製品を得るために、1種または複数種の多核芳香族化合物などの他の芳香族化合物中に存在する飽和基で置換することができる。
【0030】
その上、反応区域は、1種または複数種のオレフィン化合物、1種または複数種の硫黄含有化合物および1種または複数種のハロゲン化物含有化合物などの他の化合物を変換することができる。特に、1種または複数種のC3オレフィンは、供給原料に対して80重量%を変換することができる。好ましくは、チオフェンおよびチオフェン誘導体、1種または複数種のC3メルカプタンなどの硫黄含有化合物、ならびに1種または複数種の重いハロゲン化物は、供給原料に対して少なくとも95重量%を変換することができる。それに加えて、1種または複数種の酸素含有化合物、例えば、1種または複数種の第三級ブチルアルコール化合物などの他の化合物も変換することができる。
【0031】
一般的に、本明細書において開示する実施形態の下流の工程は、ベンゼン、パラキシレン、メタキシレンおよびオルトキシレンなどの1種または複数種の生成物を利用することができる。特に、パラキシレンは、酸化されると、テキスタイル、繊維、および樹脂の製造において使用されるテレフタル酸を生ずることができる。その上、パラキシレンは、鋼およびシリコンウェファおよびチップの清浄化剤、農薬、塗料のシンナーとして、および塗料およびワニス中において使用することができる。メタキシレンは、可塑剤、アゾ染料、木材防腐剤および他のそのような製品を製造するための中間原料として使用することができる。オルト−キシレンは、フタル酸無水物製造の原料とすることができる。それに加えて、キシレンは、プリンタ、ゴム、および皮革産業において溶媒として一般的に使用することができる。その上、キシレンのメチル基は、ラッカーシンナーとして使用するために塩素化することができる。ベンゼンは、シクロヘキサンを製造する原料として使用することができ、それはさらにナイロンを製造するために使用することができる。ベンゼンも、スチレン、エチルベンゼン、クメン、およびシクロヘキサンを製造するための中間原料として使用することができる。その上、より小量のベンゼンを、1種または複数種のゴム、潤滑剤、染料、洗剤、薬品、爆薬、ナパーム、および農薬を製造するために使用することができる。
【0032】
実施例
以下の実施例は、主題の実施形態をさらに例示することを意図する。本発明の実施形態のこれらの例示は、本発明の請求項をこれらの実施例の特定の詳細に限定することを意味しない。これらの実施例は、工学的計算および同様な方法による実際的操業経験に基づく。
【0033】
3回の操業はすべて、1番目の操業温度が481.4℃、2番目の操業温度が511.3℃、および3番目の操業温度が568.5℃である以外は、2,760kPaの圧力など総じて同条件で同様に行う。供給原料および製品流の重量パーセントでの組成ならびに結果を以下の表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
示したように、各操業の各製品は、供給原料より少なくとも0.1:1大きいメチルフェニルモル比を有することができ、一方、平均反応温度が少なくとも511℃における操業2および3の製品は、C6〜C8非芳香族化合物についての変換率が90%を超える。
【0036】
さらに詳述しなくても、当業者は、これまでの説明を使用して、本発明をその最大限まで利用することができると考えられる。前述の好ましい具体的実施形態は、それ故、単なる例示と解釈されるべきであり、決して本開示の他の部分の限定になるものではない。
【0037】
前述において、特に断らない限り、すべての温度はセルシウス温度で表し、すべての部およびパーセンテージは重量による。
上記の記載から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に突き止めることができて、その精神および範囲から逸脱せずに、それを種々の用途および条件に適合させるために、本発明の種々の変化および改変をなすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原料中の1種または複数種の芳香族化合物のメチルのフェニルに対するモル比を増大する方法であって、
A)有効量の1種または複数種の芳香族化合物と有効量の1種もしくは複数種の非芳香族化合物とを反応させて、メチルのフェニルに対するモル比が供給原料より少なくとも0.1:1大きい製品を形成することを含む方法。
【請求項2】
1種または複数種の非芳香族化合物が少なくとも2個の炭素原子を有する化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1種または複数種の非芳香族化合物がシクロアルカンおよびC2〜C8アルカンの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
1種または複数種の芳香族化合物がベンゼンを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
1種または複数種の芳香族化合物がトルエンを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
供給原料が、供給原料の重量に対して少なくとも20重量%のベンゼンを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
供給原料が、供給原料の重量に対して20から95重量%のベンゼンを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
有効量の1種または複数種の芳香族化合物が、供給原料の重量に対して少なくとも20重量%を構成する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
供給原料が、供給原料の重量に対して少なくとも10重量%の1種または複数種のシクロアルカンを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
供給原料が、供給原料の重量に対して10から70重量%の1種または複数種のシクロアルカンを含む、請求項1または2に記載の方法。

【公表番号】特表2013−517351(P2013−517351A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549059(P2012−549059)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2011/021079
【国際公開番号】WO2011/090873
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】