メッシュシートの張設方法およびメッシュシートが張設された椅子
【課題】簡単な構成で、椅子の座面部、背凭れ部の張設作業時に、メッシュシートの端部を、メッシュシートの端部が固定されるフレームに沿ってきれいに固定することができ、かつメッシュシートにテンションが加わった椅子を提供する。
【解決手段】(a)メッシュシートMが固定される支持部材21a、21bの固定箇所に、メッシュシートMの端部を、支持部材21a、21bの形状に沿うように、メッシュシートMが緩んだ状態で固定する工程、(b)メッシュシートMにより覆われた支持部材21a、21bとメッシュシートMの裏面との間に、テンション付与部材3が挿入されて、メッシュシートMにテンションが加えられる工程、および(c)テンション付与部材3を固定手段Fにより、支持部材21a、21bに固定する工程を備える。
。
【解決手段】(a)メッシュシートMが固定される支持部材21a、21bの固定箇所に、メッシュシートMの端部を、支持部材21a、21bの形状に沿うように、メッシュシートMが緩んだ状態で固定する工程、(b)メッシュシートMにより覆われた支持部材21a、21bとメッシュシートMの裏面との間に、テンション付与部材3が挿入されて、メッシュシートMにテンションが加えられる工程、および(c)テンション付与部材3を固定手段Fにより、支持部材21a、21bに固定する工程を備える。
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【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構成で、椅子の座面部、背凭れ部の張設作業時に、メッシュシートの端部を、メッシュシートの端部が固定されるフレームに沿ってきれいに固定することができ、かつメッシュシートにテンションが加わった椅子を提供することができるメッシュシートの張設方法および椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すような背凭れやシート部に、メッシュシートが張設された椅子が知られている。このようなメッシュシートが張設された椅子は、構造が簡単であり、軽量で持ち運びに便利であり、通気性に優れているため快適に使用できる。このような理由から近年ますます需要が高まりつつある。このようなメッシュシートが張設された椅子は、一般的に、椅子の左右一対のフレームにメッシュシートの端部を巻きつけ、メッシュシートが巻きつけられる材料に応じて、ステープラやリベットなどの固定手段により、左右一対のフレームに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−8785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
椅子にメッシュシートを張設する際には、椅子に張設されるメッシュシートの長さの分だけ、メッシュシートを所望の大きさにカットし、その所望の大きさにカットされたメッシュシートを椅子のフレームに巻きつけて固定することが望ましいが、メッシュシートが張設されたときにテンションがかかった状態でメッシュシートをフレームに張設することは非常に困難である。すなわち、メッシュシートの一方の端部をステープラやリベットにより一方のフレームの形状に沿った状態で固定し、その後メッシュシートにテンションをかけるように引っ張りながら、他方のフレームに固定する必要があるため、メッシュシートを引っ張ること、および固定手段により固定することの両方を一度に行なわなければならない。そのため、メッシュシートの引っ張りが甘くなってしまうと、メッシュシートが張設されたときにテンションがかからずに、メッシュシートが弛んだ状態で張設されてしまい、椅子の座り心地が悪くなってしまう。また、メッシュシートの両端部の固定箇所において、メッシュシートの長さが所望の位置まで届かずに、固定箇所の見栄えが悪くなってしまう。
【0005】
さらに、メッシュシートの一方の端部を、メッシュシートを固定する椅子のフレームに固定した後、メッシュシートを引っ張りながら、他方の端部をフレームに固定しなければならないため、図12(a)に示すように、メッシュシートMの端部が、フレーム100に沿って一直線に固定されず、斜めになってしまったり、図12(b)に示すように、メッシュシートMを引っ張りながら固定することにより、メッシュシートMにしわが入ってしまった状態で固定されてしまい、見栄えが悪いだけでなく、メッシュシートMの張りなおし作業が必要になるという問題が生じていた。
【0006】
また、メッシュシートを引っ張りながら、フレームに固定しなければならないので、メッシュシートをフレームに沿ってきれいに一直線に固定することは、一人で作業する場合、非常に困難であった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて、簡単な構成で、椅子の座面部、背凭れ部の張設作業時に、メッシュシートの端部を、メッシュシートの端部が固定されるフレームに沿ってきれいに固定することができ、かつメッシュシートにテンションが加わった椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のメッシュシートを張設する方法は、メッシュシートおよび該メッシュシートを支持する支持部材とを有する椅子において、前記支持部材を覆うようにして前記メッシュシートを張設するメッシュシートの張設方法であって、(a)前記メッシュシートが固定される支持部材の固定箇所に、前記メッシュシートの端部を、前記支持部材の形状に沿うように、前記メッシュシートが緩んだ状態で固定する工程、(b)前記メッシュシートにより覆われた支持部材と前記メッシュシートの裏面との間に、テンション付与部材が挿入されて、前記メッシュシートにテンションが加えられる工程、および(c)前記テンション付与部材を固定手段により、前記支持部材に固定する工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の椅子は、メッシュシートおよび該メッシュシートを支持する支持部材とを有し、前記支持部材を覆うようにして前記メッシュシートが張設された椅子であって、前記メッシュシートの端部が、前記メッシュシートが固定される支持部材の固定箇所に、前記支持部材の形状に沿うように固定され、前記メッシュシートにより覆われた支持部材と、前記メッシュシートの裏面との間に、テンション付与部材が挿入されて、前記メッシュシートにテンションが加えられ、前記テンション付与部材が、固定手段により前記支持部材に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な構成で、椅子の座面部、背凭れ部の張設作業時に、メッシュシートの端部を、メッシュシートの端部が固定されるフレームに沿ってきれいに固定することができ、かつメッシュシートにテンションが加わった椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のメッシュシートが張設された椅子を示す斜視図である。
【図2】本発明のメッシュシートが張設された背凭れ部が設けられた椅子を示す斜視図である。
【図3】本発明に用いられる略L字状のテンション付与部材を示す斜視図である。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】(a)および(b)は、本発明に用いられる略L字状のテンション付与部材の他の実施の形態を示す図である。
【図6】本発明に用いられるメッシュシートを説明するための図である。
【図7】本発明において、必要なメッシュシートの長さを説明するための支持部材の寸法を示す図である。
【図8】(a)および(b)は、本発明のメッシュシートの張設方法における、メッシュシートの一端を固定する工程を説明するための図である。
【図9】(a)および(b)は、本発明のメッシュシートの張設方法における、メッシュシートの他端を固定する工程を説明するための図である。
【図10】本発明のメッシュシートの張設方法において、テンション付与部材を挿入する様子を示す図である。
【図11】本発明のメッシュシートの張設方法において、テンション付与部材を固定する様子を示す図である。
【図12】本発明の椅子に用いられる、テンション付与部材の他の実施の形態を示す図である。
【図13】本発明の椅子に用いられる、テンション付与部材の他の実施の形態の断面図である。
【図14】本発明の椅子に用いられる、テンション付与部材のさらに他の実施の形態を示す図である。
【図15】本発明の椅子に用いられる、テンション付与部材のさらに他の実施の形態の断面図である。
【図16】(a)および(b)は、従来のメッシュシートの張設方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照し、本発明のメッシュシートの張設方法およびメッシュシートが張設された椅子を実施の形態に基づいて説明するが、本発明は下記の実施の形態のみに限られるものではない。
【0013】
実施の形態1
図1に示されるように、椅子1には、人が座るための座面部S1に略平行に設けられた一対の支持部材21a、21bにメッシュシートMが張設されている。また、図2に示す椅子11は、座面部S1だけでなく、背凭れ部S2を有し、座面部S1の一対の支持部材21a、21bおよび背凭れ部S2の一対の支持部材22a、22bにメッシュシートMが張設されている。メッシュシートMは、椅子の座面部S1または背凭れ部S2として、人の重量を支えることができるものであれば、その材料は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル繊維を編んだものの表面を、ウレタン樹脂でコーティングしたものを用いることができる。支持部材21a、21b、22a、22b(以下、支持部材を総称して用いる場合、参照符号21を用いる)はメッシュシートMを支持するものであり、図1および2においては、断面矩形状の柱状の部材として示し、図5においては、断面円形の部材として示されているが、支持部材21は、後述するテンション付与部材3を取り付けることができるものであれば、特にその形状は限定されるものではない。すなわち、断面が矩形状、円形の支持部材21に限られず、断面が楕円形のもの、断面多角形のもの、支持部材21の一部に凹凸が形成されているもの等であっても可能である。
【0014】
図1および図2において、座面部S1の一対の支持部材21a、21bは、椅子1、11の左右方向(人が座ったときに、人の左右方向となる方向)に配設され、当該一対の支持部材21a、21bは、椅子1、11の前後方向に設けられた当該支持部材21a、21bを連結する連結部材23a、23bにより連結されている。また、図2において、椅子11の背凭れ部S2の一対の支持部材22a、22bは、連結部材24により連結されている。図1および2において、連結部材23a、23b、24は、支持部材21a、21b、22a、22bを連結する、支持部材21、22に対して垂直に配設された棒状の部材として示されているが、連結部材23a、23b、24は、支持部材21を連結することができるものであれば、その形状や取り付け角度、本数等は、図1および2に示す形状に限定されるものではない。すなわち、板状の部材により一対の支持部材21、22を連結してもよいし、強度が確保できれば、1本の棒状の連結部材としてもよいし、3本以上の連結部材を設けてもよい。また、支持部材21、22に対して斜めに取り付けられたものや、X字状に連結部材を設けてもよい。また、図1および2に示す実施形態では、支持部材21として直線状のものを用いているが、支持部材21が湾曲したものや、支持部材21が椅子1の上面視で全体として環状(円形)または多角形状に形成され、その環状または多角形状の支持部材21にメッシュシートMを張設するものであってもよい。メッシュシートMの端部は、メッシュシートMが固定される支持部材21の固定箇所に、支持部材21の形状に沿うように固定される。したがって、図1および図2に示すように、支持部材21が直線状の場合は、メッシュシートMの端部が直線状の支持部材21に沿って固定され、支持部材21が全体として環状に形成されている場合は、環状の支持部材21に沿ってメッシュシートMの固定箇所も環状(円形)となり、メッシュシートMの端部は、環状に固定される。
【0015】
また、椅子1、11の脚については、図1および2においては、略U字状の2組の脚部L1、L2が設けられているが、椅子1、11を支持できるものであれば、どのような形状、本数、取付位置であってもよく、図1および2に示す態様に限定されるものではない。また、図2において、支持部材21a、21bと支持部材22a、22bとは一体として示されているが、別体として固定されてもよい。
【0016】
また、図1および2に示すように、張設されたメッシュシートMの裏面と支持部材21、22との間には、断面略L字状の細長いテンション付与部材3が挿入されており、メッシュシートMにテンションを加えている。テンション付与部材3は、図3に示すように、椅子1、11の支持部材21、22に沿って配置できるように、細長く形成されており、図4に示すように、断面が略L字状になるように形成されている。これにより、テンション付与部材3を支持部材21に沿って配置したときに、支持部材21と一体化し、見た目の違和感を無くし、見栄えをよくすることができる。
【0017】
また、図4に示すように、テンション付与部材3は、メッシュシートMの裏面と支持部材21との間に挿入される挿入部31を有している。挿入部31は、支持部材21の上面と当接して、挿入されたときにぐらつかないように、平坦な細長い板状である。図4に示す実施形態では、挿入部31の先端側が細くなるように形成されている。テンション付与部材3の挿入部31の先端側が細くなるように形成されていることにより、テンション付与部材3を、メッシュシートMと支持部材21との間にスムーズに挿入することができる。また、テンション付与部材3は、支持部材21の形状に沿ってガイドするガイド部32を備えている。ガイド部32は、挿入部31の長手方向に沿って設けられ、挿入部31の長手方向に沿った一方の側部(図4における挿入部31の左側)から、支持部材21の形状に沿うように一方向(椅子1における下方向)に突出して延びている。ガイド部32と挿入部31によりテンション付与部材3は、断面が略L字状の部分を形成する。なお、断面が略L字状とは、図4に示すような、ガイド部32と挿入部31とによりなす角度がほぼ直角である必要はなく、支持部材21の外形形状に合わせてガイド部32と挿入部31とのなす角度は適宜変更が可能である。
【0018】
また、テンション付与部材3は、例えば支持部材21の断面形状が円形の場合は、図5(a)に示すように、支持部材21の形状に応じて、テンション付与部材3の支持部材21との当接箇所(挿入部31の下面側からガイド部32の内側にかけて)を、湾曲させて支持部材21の外周の形状に沿った形状とすることにより、断面が円形の支持部材21にも取り付けることができる。図5(a)に示す実施形態では、テンション付与部材3の挿入部31の自由端側に向かって次第に細くなるように構成し、挿入部31の自由端全体が、断面円形の支持部材21の外形形状に沿うように湾曲している。図5(a)に示す実施の形態のテンション付与部材3は、断面円形の支持部材21にテンション付与部材3を沿わせた後、図5(a)に参照符号Xで示す方向に力を加えることにより、テンション付与部材3を断面円形の支持部材21の外周に沿って滑らせるように回転させて、図5(a)に示すように、メッシュシートMと支持部材21との間に挿入して、メッシュシートMにテンションをかけることができる。また、図5(b)に示すように、テンション付与部材3の支持部材21との当接箇所を支持部材21の外周の形状に沿って湾曲させて、テンション付与部材3の自由端側を直線状に延ばし、テンション付与部材3を、メッシュシートMと支持部材21との間に水平方向(図5(b)中、左から右方向)に挿入するものであってもよい。このように、テンション付与部材3の断面略L字状とは、図3および4に示す形状に限られるものではなく、図5(a)および(b)に示すように、一部湾曲したものも当然に含まれ、支持部材21と当接する部分が支持部材21に対応する形状を呈したものや、支持部材21と当接しない箇所が湾曲していてもよい。また、後述する実施形態のように、ガイド部32と挿入部31とを有する断面略L字状の部分が少なくとも形成されていればよく、ガイド部32および挿入部31に加えて他の部材が追加されたものも含む。
【0019】
支持部材21と、メッシュシートMの裏面との間にテンション付与部材3が挿入された椅子1は、テンション付与部材3を支持部材21に固定するために、固定手段Fにより固定される。図1および図2に示す実施形態では、固定手段Fとしてネジを用いているが、テンション付与部材3と支持部材21とが外れないように固定できるものであれば、接着剤や釘、固定クリップ等他の固定手段Fを用いることもでき、ネジに限定されるものではない。なお、固定手段Fとして、ネジや釘等、テンション付与部材3が支持部材21側に近づくように固定するようにすれば、たとえばネジを固定する方向に回すことにより、テンション付与部材3が支持部材21側に押し込まれ、メッシュシートMのテンションをより高めることができる。
【0020】
以下、図6〜11を用いて、本発明のメッシュシートMの張設方法を、図1に記載された椅子1のメッシュシートMの張設方法を例にあげて説明する。なお、図2に記載された椅子11の背凭れ部S2におけるメッシュシートMの張設方法については、基本的に座面部S1におけるメッシュシートMの張設方法と同じであるので、説明は省略する。
【0021】
まず、図6に示すように、メッシュシートMを予め所望の長さD1にカットする。ここで、メッシュシートMの長さD1は、メッシュシートMを支持部材21に固定しやすいように、メッシュシートMの両端部を折り返す場合は、折り返した後の長さをいう。このメッシュシートMの長さD1は、左右両側の支持部材21a、21bに巻きつけられるメッシュシートの長さの合計(2×D3+4×D4。D3は支持部材21の側面の高さ、D4は、支持部材21の上面および下面の幅。図7参照)と、支持部材21a、21b間の距離(D2)との合計((D2)+(2×D3)+(4×D4))よりも少々長くなるようにカットされる。すなわち、メッシュシートMの両端が支持部材21に固定されたときに、弛んだ状態となるような長さ(D1>(D2)+(2×D3)+(4×D4))にカットされる。なお、本実施の形態では、図8(a)および(b)に示すように、メッシュシートMの端部を支持部材21a、21bの下面側を全て覆うように、支持部材21a、21bの下面における内側端部と、メッシュシートMの端部とが丁度重なるように巻きつけられて固定されているが、メッシュシートMの端部の固定位置は、図8(a)および(b)に示す位置に限定されず、メッシュシートMの端部の固定位置を、支持部材21a、21bの側面21s(図8(a)参照)とする場合であっても、メッシュシートMのカット長さD1は、支持部材21a、21bに巻き付けられる長さと支持部材21a、21b間の距離との合計よりも少々大きければよい。
【0022】
つぎに、メッシュシートMの端部のうち一方の端部M1を、支持部材21aに固定する。このとき、図8(a)および(b)に示すように、メッシュシートMの一方の端部M1と、支持部材21aの下面における内側端部とが、支持部材21aの長さ方向に平行になるか、丁度重なるように(一致するように)固定することにより、椅子1、11の見栄えをよくすることができる。なお、メッシュシートMの支持部材21への固定は、ステープラ、リベット、接着剤等、公知の手段により固定することが可能であり、特にその固定方法は限定されない。
【0023】
つぎに、メッシュシートMのもう一方の端部(他方の端部)M2を他方の支持部材21bに固定する(図9(a)および(b)参照)。このとき、メッシュシートMの長さD1は、支持部材21a、21bに巻き付けられる長さと、支持部材21a、21b間の距離よりも長くなるようにカットされているので、図9(a)に示すようにメッシュシートMは、支持部材21a、21bとの間でわずかに弛んだ状態で張設されている。したがって、図9(b)に示すように、メッシュシートMの他方の端部M2を、メッシュシートMを引っ張りながら固定する必要がなくなる。したがって、メッシュシートMの他方の端部M2を、支持部材21bの長さ方向に沿って、平行かつきれいに固定することができる。したがって、メッシュシートMの端部M1、M2を両側ともバランス良く、かつ見栄えよく固定することができる。
【0024】
つぎに、図10および11に示すように、弛んだ状態で配設されたメッシュシートMの裏面と、支持部材21との間に、図3および4に示す断面略L字状のテンション付与部材3を挿入する。テンション付与部材3をメッシュシートMと支持部材21との間に挿入することにより、簡単にメッシュシートMの弛み部分を伸張させ、椅子1の座面部のメッシュシートMをピンと張ることができる。これにより、メッシュシートMを支持部材21に簡単にバランス良く、固定することができるとともに、簡単にメッシュシートMにテンションを加えることができる。したがって、従来では難しかったメッシュシートMの張設時にテンションがかかった状態で、メッシュシートMを支持部材21に対してきれいにバランス良く固定することが、本発明のメッシュシートの張設方法により、簡単に実現することができる。また、従来一人では難しかった張設作業を、たった一人でも行なうことができるようになる。なお、テンション付与部材3は、本実施の形態によれば、支持部材21a、21bの両方に取り付けられているが、必ずしも両側にテンション付与部材3を設ける必要はなく、片側の支持部材21だけに取り付けてもよい。
【0025】
テンション付与部材3は、支持部材21に、ネジや釘、接着剤、バネクリップ等、公知の固定手段Fにより固定することができるが、図11に示すように、テンション付与部材3により、メッシュシートMの弛みを除去して、メッシュシートMにテンションが加わったあと、ネジや釘などの固定手段Fにより、テンション付与部材3を、支持部材21側にさらに近づくように固定することにより、単にテンション付与部材3を固定するだけでなく、テンション付与部材3の挿入部31がさらに奥まで挿入されるので、より一層メッシュシートMの弛みを取り、メッシュシートMにテンションをかけることができる。
【0026】
実施の形態2
図12および図13に他の実施形態のテンション付与部材3を用いた椅子1を示す。なお、椅子1の全体の構成については、実施の形態1と同様にすることが可能であるため、説明は省略する。
【0027】
図6に示す実施の形態では、テンション付与部材3および支持部材21の形状が異なる以外、他の構成は基本的には同じであるため、説明は繰り返さない。テンション付与部材3は、支持部材21の上面に沿って設けられる挿入部31を有する。本実施の形態における挿入部31は、実施の形態1と同様に、支持部材21の上面に沿った形状を呈しており、図12および図13では、細長い平坦な板状を呈している。挿入部31の幅方向中央部には、テンション付与部材3の長手方向に沿って、ガイド部32が形成されている。一方、支持部材21の上面には、ガイド部32に対応する形状のレール状の溝21Gが形成され、ガイド部32がガイドされる。
【0028】
実施の形態1においては、テンション付与部材3を、支持部材21の内側から取り付けていたが、本実施の形態においては、支持部材21の長手方向の端部側における溝21Gの端部から、ガイド部32を差し込むようにテンション付与部材3を挿入する。支持部材21に形成された溝21Gに沿ってテンション付与部材3の挿入部31を支持部材21の上面とメッシュシートMの裏面との間に挿入することにより、メッシュシートMにテンションを加えることができる。
【0029】
支持部材21に溝21Gを設け、溝21Gに沿ってテンション付与部材3のガイド部32をガイドさせて、テンション付与部材3を支持部材21に取り付けることにより、図12に示すメッシュシートMが緩んだ状態から、図13に示すように、容易にメッシュシートMにテンションを加えることができる。また、ガイド部32が溝21Gにガイドされることにより、ガイド部32自体が固定手段となり、ネジなどの他の固定手段が不要になる。勿論、本実施の形態においても、ネジや接着剤など他の固定手段を併用することも可能である。
【0030】
なお、本実施の形態においては、支持部材21に溝21Gを設けているが、溝21Gの位置は、図12および図13に示すように支持部材21の幅方向中央部に形成されるものに限らず、支持部材21の側部側(図13の支持部材21における左側または右側)に溝21Gがずれたものであっても構わない。また、図13に示す支持部材21は直線状に形成されているが、ガイド部32がガイドされながら、支持部材21の溝21G内を移動できるものであれば、支持部材21は湾曲していても構わない。また、ガイド部32の挿入部31からの突出長さは、適宜変更が可能であり、特にその長さは限定されない。
【0031】
実施の形態3
図14および図15に示す実施の形態は、テンション付与部材3を用いた椅子1のさらに他の実施の形態である。なお、椅子1の全体の構成については、実施の形態1と同様にすることが可能であるため、説明は省略する。
【0032】
図14および図15に示す実施の形態では、挿入部31およびガイド部32に加え、さらに、ガイド部32に対向し、かつガイド部31に対して平行に設けられた第2のガイド部33が形成され、図15に示すように、テンション付与部材3の全体として断面が凹字状(もしくはコ字状)を呈している。
【0033】
本実施の形態における挿入部31は、実施の形態1と同様に、支持部材21の上面に沿った形状を呈しており、図14および図15では、細長い平坦な板状を呈している。挿入部31の幅方向両側には、テンション付与部材3の長手方向に沿って、ガイド部32と第2のガイド部32が平行に設けられ、支持部材21をガイド部32と第2のガイド部33により挟み込むように形成されている。
【0034】
実施の形態1においては、テンション付与部材3を、支持部材21の内側から取り付けていたが、本実施の形態においては、支持部材21の長手方向端部側から、ガイド部32を差し込むようにテンション付与部材3を挿入する。テンション付与部材3の挿入部31と第2のガイド部33を支持部材21とメッシュシートMの裏面との間に挿入することにより、メッシュシートMにテンションを加えることができる。
【0035】
このように、テンション付与部材3を支持部材21に取り付けることにより、図14に示すメッシュシートMが緩んだ状態から、図15に示すように、容易にメッシュシートMにテンションを加えることができる。また、ガイド部32と第2のガイド部33により支持部材21を挟み込むように取り付けることにより、ガイド部32と第2のガイド部33自体が固定手段となり、ネジなどの他の固定手段が不要になる。なお、本実施の形態においては、ネジや接着剤など他の固定手段を併用することも可能である。
【0036】
勿論、本実施の形態においては、ガイド部32および第2のガイド部33は、支持部材21の高さ方向の長さとほぼ同じ長さだけ、挿入部31から下方に突出しているが、ガイド部32および第2のガイド部33の挿入部31からの突出長さは、特に限定されることはなく、支持部材21の高さの半分程度の長さや、それ以外の長さとすることもできる。また、図14に示す支持部材21は直線状に形成されているが、ガイド部32および第2のガイド部33がガイドされながら、支持部材21に沿って移動できるものであれば、支持部材21は湾曲していても構わない。
【符号の説明】
【0037】
1、11 椅子
21、21a、21b、22a、22b 支持部材
21G 溝
21s 側面
23a、23b、24 連結部材
3 テンション付与部材
31 挿入部
32 ガイド部
33 第2のガイド部
F 固定手段
L1、L2 脚部
M メッシュシート
S1 座面部
S2 背凭れ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構成で、椅子の座面部、背凭れ部の張設作業時に、メッシュシートの端部を、メッシュシートの端部が固定されるフレームに沿ってきれいに固定することができ、かつメッシュシートにテンションが加わった椅子を提供することができるメッシュシートの張設方法および椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すような背凭れやシート部に、メッシュシートが張設された椅子が知られている。このようなメッシュシートが張設された椅子は、構造が簡単であり、軽量で持ち運びに便利であり、通気性に優れているため快適に使用できる。このような理由から近年ますます需要が高まりつつある。このようなメッシュシートが張設された椅子は、一般的に、椅子の左右一対のフレームにメッシュシートの端部を巻きつけ、メッシュシートが巻きつけられる材料に応じて、ステープラやリベットなどの固定手段により、左右一対のフレームに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−8785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
椅子にメッシュシートを張設する際には、椅子に張設されるメッシュシートの長さの分だけ、メッシュシートを所望の大きさにカットし、その所望の大きさにカットされたメッシュシートを椅子のフレームに巻きつけて固定することが望ましいが、メッシュシートが張設されたときにテンションがかかった状態でメッシュシートをフレームに張設することは非常に困難である。すなわち、メッシュシートの一方の端部をステープラやリベットにより一方のフレームの形状に沿った状態で固定し、その後メッシュシートにテンションをかけるように引っ張りながら、他方のフレームに固定する必要があるため、メッシュシートを引っ張ること、および固定手段により固定することの両方を一度に行なわなければならない。そのため、メッシュシートの引っ張りが甘くなってしまうと、メッシュシートが張設されたときにテンションがかからずに、メッシュシートが弛んだ状態で張設されてしまい、椅子の座り心地が悪くなってしまう。また、メッシュシートの両端部の固定箇所において、メッシュシートの長さが所望の位置まで届かずに、固定箇所の見栄えが悪くなってしまう。
【0005】
さらに、メッシュシートの一方の端部を、メッシュシートを固定する椅子のフレームに固定した後、メッシュシートを引っ張りながら、他方の端部をフレームに固定しなければならないため、図12(a)に示すように、メッシュシートMの端部が、フレーム100に沿って一直線に固定されず、斜めになってしまったり、図12(b)に示すように、メッシュシートMを引っ張りながら固定することにより、メッシュシートMにしわが入ってしまった状態で固定されてしまい、見栄えが悪いだけでなく、メッシュシートMの張りなおし作業が必要になるという問題が生じていた。
【0006】
また、メッシュシートを引っ張りながら、フレームに固定しなければならないので、メッシュシートをフレームに沿ってきれいに一直線に固定することは、一人で作業する場合、非常に困難であった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて、簡単な構成で、椅子の座面部、背凭れ部の張設作業時に、メッシュシートの端部を、メッシュシートの端部が固定されるフレームに沿ってきれいに固定することができ、かつメッシュシートにテンションが加わった椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のメッシュシートを張設する方法は、メッシュシートおよび該メッシュシートを支持する支持部材とを有する椅子において、前記支持部材を覆うようにして前記メッシュシートを張設するメッシュシートの張設方法であって、(a)前記メッシュシートが固定される支持部材の固定箇所に、前記メッシュシートの端部を、前記支持部材の形状に沿うように、前記メッシュシートが緩んだ状態で固定する工程、(b)前記メッシュシートにより覆われた支持部材と前記メッシュシートの裏面との間に、テンション付与部材が挿入されて、前記メッシュシートにテンションが加えられる工程、および(c)前記テンション付与部材を固定手段により、前記支持部材に固定する工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の椅子は、メッシュシートおよび該メッシュシートを支持する支持部材とを有し、前記支持部材を覆うようにして前記メッシュシートが張設された椅子であって、前記メッシュシートの端部が、前記メッシュシートが固定される支持部材の固定箇所に、前記支持部材の形状に沿うように固定され、前記メッシュシートにより覆われた支持部材と、前記メッシュシートの裏面との間に、テンション付与部材が挿入されて、前記メッシュシートにテンションが加えられ、前記テンション付与部材が、固定手段により前記支持部材に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な構成で、椅子の座面部、背凭れ部の張設作業時に、メッシュシートの端部を、メッシュシートの端部が固定されるフレームに沿ってきれいに固定することができ、かつメッシュシートにテンションが加わった椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のメッシュシートが張設された椅子を示す斜視図である。
【図2】本発明のメッシュシートが張設された背凭れ部が設けられた椅子を示す斜視図である。
【図3】本発明に用いられる略L字状のテンション付与部材を示す斜視図である。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】(a)および(b)は、本発明に用いられる略L字状のテンション付与部材の他の実施の形態を示す図である。
【図6】本発明に用いられるメッシュシートを説明するための図である。
【図7】本発明において、必要なメッシュシートの長さを説明するための支持部材の寸法を示す図である。
【図8】(a)および(b)は、本発明のメッシュシートの張設方法における、メッシュシートの一端を固定する工程を説明するための図である。
【図9】(a)および(b)は、本発明のメッシュシートの張設方法における、メッシュシートの他端を固定する工程を説明するための図である。
【図10】本発明のメッシュシートの張設方法において、テンション付与部材を挿入する様子を示す図である。
【図11】本発明のメッシュシートの張設方法において、テンション付与部材を固定する様子を示す図である。
【図12】本発明の椅子に用いられる、テンション付与部材の他の実施の形態を示す図である。
【図13】本発明の椅子に用いられる、テンション付与部材の他の実施の形態の断面図である。
【図14】本発明の椅子に用いられる、テンション付与部材のさらに他の実施の形態を示す図である。
【図15】本発明の椅子に用いられる、テンション付与部材のさらに他の実施の形態の断面図である。
【図16】(a)および(b)は、従来のメッシュシートの張設方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照し、本発明のメッシュシートの張設方法およびメッシュシートが張設された椅子を実施の形態に基づいて説明するが、本発明は下記の実施の形態のみに限られるものではない。
【0013】
実施の形態1
図1に示されるように、椅子1には、人が座るための座面部S1に略平行に設けられた一対の支持部材21a、21bにメッシュシートMが張設されている。また、図2に示す椅子11は、座面部S1だけでなく、背凭れ部S2を有し、座面部S1の一対の支持部材21a、21bおよび背凭れ部S2の一対の支持部材22a、22bにメッシュシートMが張設されている。メッシュシートMは、椅子の座面部S1または背凭れ部S2として、人の重量を支えることができるものであれば、その材料は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル繊維を編んだものの表面を、ウレタン樹脂でコーティングしたものを用いることができる。支持部材21a、21b、22a、22b(以下、支持部材を総称して用いる場合、参照符号21を用いる)はメッシュシートMを支持するものであり、図1および2においては、断面矩形状の柱状の部材として示し、図5においては、断面円形の部材として示されているが、支持部材21は、後述するテンション付与部材3を取り付けることができるものであれば、特にその形状は限定されるものではない。すなわち、断面が矩形状、円形の支持部材21に限られず、断面が楕円形のもの、断面多角形のもの、支持部材21の一部に凹凸が形成されているもの等であっても可能である。
【0014】
図1および図2において、座面部S1の一対の支持部材21a、21bは、椅子1、11の左右方向(人が座ったときに、人の左右方向となる方向)に配設され、当該一対の支持部材21a、21bは、椅子1、11の前後方向に設けられた当該支持部材21a、21bを連結する連結部材23a、23bにより連結されている。また、図2において、椅子11の背凭れ部S2の一対の支持部材22a、22bは、連結部材24により連結されている。図1および2において、連結部材23a、23b、24は、支持部材21a、21b、22a、22bを連結する、支持部材21、22に対して垂直に配設された棒状の部材として示されているが、連結部材23a、23b、24は、支持部材21を連結することができるものであれば、その形状や取り付け角度、本数等は、図1および2に示す形状に限定されるものではない。すなわち、板状の部材により一対の支持部材21、22を連結してもよいし、強度が確保できれば、1本の棒状の連結部材としてもよいし、3本以上の連結部材を設けてもよい。また、支持部材21、22に対して斜めに取り付けられたものや、X字状に連結部材を設けてもよい。また、図1および2に示す実施形態では、支持部材21として直線状のものを用いているが、支持部材21が湾曲したものや、支持部材21が椅子1の上面視で全体として環状(円形)または多角形状に形成され、その環状または多角形状の支持部材21にメッシュシートMを張設するものであってもよい。メッシュシートMの端部は、メッシュシートMが固定される支持部材21の固定箇所に、支持部材21の形状に沿うように固定される。したがって、図1および図2に示すように、支持部材21が直線状の場合は、メッシュシートMの端部が直線状の支持部材21に沿って固定され、支持部材21が全体として環状に形成されている場合は、環状の支持部材21に沿ってメッシュシートMの固定箇所も環状(円形)となり、メッシュシートMの端部は、環状に固定される。
【0015】
また、椅子1、11の脚については、図1および2においては、略U字状の2組の脚部L1、L2が設けられているが、椅子1、11を支持できるものであれば、どのような形状、本数、取付位置であってもよく、図1および2に示す態様に限定されるものではない。また、図2において、支持部材21a、21bと支持部材22a、22bとは一体として示されているが、別体として固定されてもよい。
【0016】
また、図1および2に示すように、張設されたメッシュシートMの裏面と支持部材21、22との間には、断面略L字状の細長いテンション付与部材3が挿入されており、メッシュシートMにテンションを加えている。テンション付与部材3は、図3に示すように、椅子1、11の支持部材21、22に沿って配置できるように、細長く形成されており、図4に示すように、断面が略L字状になるように形成されている。これにより、テンション付与部材3を支持部材21に沿って配置したときに、支持部材21と一体化し、見た目の違和感を無くし、見栄えをよくすることができる。
【0017】
また、図4に示すように、テンション付与部材3は、メッシュシートMの裏面と支持部材21との間に挿入される挿入部31を有している。挿入部31は、支持部材21の上面と当接して、挿入されたときにぐらつかないように、平坦な細長い板状である。図4に示す実施形態では、挿入部31の先端側が細くなるように形成されている。テンション付与部材3の挿入部31の先端側が細くなるように形成されていることにより、テンション付与部材3を、メッシュシートMと支持部材21との間にスムーズに挿入することができる。また、テンション付与部材3は、支持部材21の形状に沿ってガイドするガイド部32を備えている。ガイド部32は、挿入部31の長手方向に沿って設けられ、挿入部31の長手方向に沿った一方の側部(図4における挿入部31の左側)から、支持部材21の形状に沿うように一方向(椅子1における下方向)に突出して延びている。ガイド部32と挿入部31によりテンション付与部材3は、断面が略L字状の部分を形成する。なお、断面が略L字状とは、図4に示すような、ガイド部32と挿入部31とによりなす角度がほぼ直角である必要はなく、支持部材21の外形形状に合わせてガイド部32と挿入部31とのなす角度は適宜変更が可能である。
【0018】
また、テンション付与部材3は、例えば支持部材21の断面形状が円形の場合は、図5(a)に示すように、支持部材21の形状に応じて、テンション付与部材3の支持部材21との当接箇所(挿入部31の下面側からガイド部32の内側にかけて)を、湾曲させて支持部材21の外周の形状に沿った形状とすることにより、断面が円形の支持部材21にも取り付けることができる。図5(a)に示す実施形態では、テンション付与部材3の挿入部31の自由端側に向かって次第に細くなるように構成し、挿入部31の自由端全体が、断面円形の支持部材21の外形形状に沿うように湾曲している。図5(a)に示す実施の形態のテンション付与部材3は、断面円形の支持部材21にテンション付与部材3を沿わせた後、図5(a)に参照符号Xで示す方向に力を加えることにより、テンション付与部材3を断面円形の支持部材21の外周に沿って滑らせるように回転させて、図5(a)に示すように、メッシュシートMと支持部材21との間に挿入して、メッシュシートMにテンションをかけることができる。また、図5(b)に示すように、テンション付与部材3の支持部材21との当接箇所を支持部材21の外周の形状に沿って湾曲させて、テンション付与部材3の自由端側を直線状に延ばし、テンション付与部材3を、メッシュシートMと支持部材21との間に水平方向(図5(b)中、左から右方向)に挿入するものであってもよい。このように、テンション付与部材3の断面略L字状とは、図3および4に示す形状に限られるものではなく、図5(a)および(b)に示すように、一部湾曲したものも当然に含まれ、支持部材21と当接する部分が支持部材21に対応する形状を呈したものや、支持部材21と当接しない箇所が湾曲していてもよい。また、後述する実施形態のように、ガイド部32と挿入部31とを有する断面略L字状の部分が少なくとも形成されていればよく、ガイド部32および挿入部31に加えて他の部材が追加されたものも含む。
【0019】
支持部材21と、メッシュシートMの裏面との間にテンション付与部材3が挿入された椅子1は、テンション付与部材3を支持部材21に固定するために、固定手段Fにより固定される。図1および図2に示す実施形態では、固定手段Fとしてネジを用いているが、テンション付与部材3と支持部材21とが外れないように固定できるものであれば、接着剤や釘、固定クリップ等他の固定手段Fを用いることもでき、ネジに限定されるものではない。なお、固定手段Fとして、ネジや釘等、テンション付与部材3が支持部材21側に近づくように固定するようにすれば、たとえばネジを固定する方向に回すことにより、テンション付与部材3が支持部材21側に押し込まれ、メッシュシートMのテンションをより高めることができる。
【0020】
以下、図6〜11を用いて、本発明のメッシュシートMの張設方法を、図1に記載された椅子1のメッシュシートMの張設方法を例にあげて説明する。なお、図2に記載された椅子11の背凭れ部S2におけるメッシュシートMの張設方法については、基本的に座面部S1におけるメッシュシートMの張設方法と同じであるので、説明は省略する。
【0021】
まず、図6に示すように、メッシュシートMを予め所望の長さD1にカットする。ここで、メッシュシートMの長さD1は、メッシュシートMを支持部材21に固定しやすいように、メッシュシートMの両端部を折り返す場合は、折り返した後の長さをいう。このメッシュシートMの長さD1は、左右両側の支持部材21a、21bに巻きつけられるメッシュシートの長さの合計(2×D3+4×D4。D3は支持部材21の側面の高さ、D4は、支持部材21の上面および下面の幅。図7参照)と、支持部材21a、21b間の距離(D2)との合計((D2)+(2×D3)+(4×D4))よりも少々長くなるようにカットされる。すなわち、メッシュシートMの両端が支持部材21に固定されたときに、弛んだ状態となるような長さ(D1>(D2)+(2×D3)+(4×D4))にカットされる。なお、本実施の形態では、図8(a)および(b)に示すように、メッシュシートMの端部を支持部材21a、21bの下面側を全て覆うように、支持部材21a、21bの下面における内側端部と、メッシュシートMの端部とが丁度重なるように巻きつけられて固定されているが、メッシュシートMの端部の固定位置は、図8(a)および(b)に示す位置に限定されず、メッシュシートMの端部の固定位置を、支持部材21a、21bの側面21s(図8(a)参照)とする場合であっても、メッシュシートMのカット長さD1は、支持部材21a、21bに巻き付けられる長さと支持部材21a、21b間の距離との合計よりも少々大きければよい。
【0022】
つぎに、メッシュシートMの端部のうち一方の端部M1を、支持部材21aに固定する。このとき、図8(a)および(b)に示すように、メッシュシートMの一方の端部M1と、支持部材21aの下面における内側端部とが、支持部材21aの長さ方向に平行になるか、丁度重なるように(一致するように)固定することにより、椅子1、11の見栄えをよくすることができる。なお、メッシュシートMの支持部材21への固定は、ステープラ、リベット、接着剤等、公知の手段により固定することが可能であり、特にその固定方法は限定されない。
【0023】
つぎに、メッシュシートMのもう一方の端部(他方の端部)M2を他方の支持部材21bに固定する(図9(a)および(b)参照)。このとき、メッシュシートMの長さD1は、支持部材21a、21bに巻き付けられる長さと、支持部材21a、21b間の距離よりも長くなるようにカットされているので、図9(a)に示すようにメッシュシートMは、支持部材21a、21bとの間でわずかに弛んだ状態で張設されている。したがって、図9(b)に示すように、メッシュシートMの他方の端部M2を、メッシュシートMを引っ張りながら固定する必要がなくなる。したがって、メッシュシートMの他方の端部M2を、支持部材21bの長さ方向に沿って、平行かつきれいに固定することができる。したがって、メッシュシートMの端部M1、M2を両側ともバランス良く、かつ見栄えよく固定することができる。
【0024】
つぎに、図10および11に示すように、弛んだ状態で配設されたメッシュシートMの裏面と、支持部材21との間に、図3および4に示す断面略L字状のテンション付与部材3を挿入する。テンション付与部材3をメッシュシートMと支持部材21との間に挿入することにより、簡単にメッシュシートMの弛み部分を伸張させ、椅子1の座面部のメッシュシートMをピンと張ることができる。これにより、メッシュシートMを支持部材21に簡単にバランス良く、固定することができるとともに、簡単にメッシュシートMにテンションを加えることができる。したがって、従来では難しかったメッシュシートMの張設時にテンションがかかった状態で、メッシュシートMを支持部材21に対してきれいにバランス良く固定することが、本発明のメッシュシートの張設方法により、簡単に実現することができる。また、従来一人では難しかった張設作業を、たった一人でも行なうことができるようになる。なお、テンション付与部材3は、本実施の形態によれば、支持部材21a、21bの両方に取り付けられているが、必ずしも両側にテンション付与部材3を設ける必要はなく、片側の支持部材21だけに取り付けてもよい。
【0025】
テンション付与部材3は、支持部材21に、ネジや釘、接着剤、バネクリップ等、公知の固定手段Fにより固定することができるが、図11に示すように、テンション付与部材3により、メッシュシートMの弛みを除去して、メッシュシートMにテンションが加わったあと、ネジや釘などの固定手段Fにより、テンション付与部材3を、支持部材21側にさらに近づくように固定することにより、単にテンション付与部材3を固定するだけでなく、テンション付与部材3の挿入部31がさらに奥まで挿入されるので、より一層メッシュシートMの弛みを取り、メッシュシートMにテンションをかけることができる。
【0026】
実施の形態2
図12および図13に他の実施形態のテンション付与部材3を用いた椅子1を示す。なお、椅子1の全体の構成については、実施の形態1と同様にすることが可能であるため、説明は省略する。
【0027】
図6に示す実施の形態では、テンション付与部材3および支持部材21の形状が異なる以外、他の構成は基本的には同じであるため、説明は繰り返さない。テンション付与部材3は、支持部材21の上面に沿って設けられる挿入部31を有する。本実施の形態における挿入部31は、実施の形態1と同様に、支持部材21の上面に沿った形状を呈しており、図12および図13では、細長い平坦な板状を呈している。挿入部31の幅方向中央部には、テンション付与部材3の長手方向に沿って、ガイド部32が形成されている。一方、支持部材21の上面には、ガイド部32に対応する形状のレール状の溝21Gが形成され、ガイド部32がガイドされる。
【0028】
実施の形態1においては、テンション付与部材3を、支持部材21の内側から取り付けていたが、本実施の形態においては、支持部材21の長手方向の端部側における溝21Gの端部から、ガイド部32を差し込むようにテンション付与部材3を挿入する。支持部材21に形成された溝21Gに沿ってテンション付与部材3の挿入部31を支持部材21の上面とメッシュシートMの裏面との間に挿入することにより、メッシュシートMにテンションを加えることができる。
【0029】
支持部材21に溝21Gを設け、溝21Gに沿ってテンション付与部材3のガイド部32をガイドさせて、テンション付与部材3を支持部材21に取り付けることにより、図12に示すメッシュシートMが緩んだ状態から、図13に示すように、容易にメッシュシートMにテンションを加えることができる。また、ガイド部32が溝21Gにガイドされることにより、ガイド部32自体が固定手段となり、ネジなどの他の固定手段が不要になる。勿論、本実施の形態においても、ネジや接着剤など他の固定手段を併用することも可能である。
【0030】
なお、本実施の形態においては、支持部材21に溝21Gを設けているが、溝21Gの位置は、図12および図13に示すように支持部材21の幅方向中央部に形成されるものに限らず、支持部材21の側部側(図13の支持部材21における左側または右側)に溝21Gがずれたものであっても構わない。また、図13に示す支持部材21は直線状に形成されているが、ガイド部32がガイドされながら、支持部材21の溝21G内を移動できるものであれば、支持部材21は湾曲していても構わない。また、ガイド部32の挿入部31からの突出長さは、適宜変更が可能であり、特にその長さは限定されない。
【0031】
実施の形態3
図14および図15に示す実施の形態は、テンション付与部材3を用いた椅子1のさらに他の実施の形態である。なお、椅子1の全体の構成については、実施の形態1と同様にすることが可能であるため、説明は省略する。
【0032】
図14および図15に示す実施の形態では、挿入部31およびガイド部32に加え、さらに、ガイド部32に対向し、かつガイド部31に対して平行に設けられた第2のガイド部33が形成され、図15に示すように、テンション付与部材3の全体として断面が凹字状(もしくはコ字状)を呈している。
【0033】
本実施の形態における挿入部31は、実施の形態1と同様に、支持部材21の上面に沿った形状を呈しており、図14および図15では、細長い平坦な板状を呈している。挿入部31の幅方向両側には、テンション付与部材3の長手方向に沿って、ガイド部32と第2のガイド部32が平行に設けられ、支持部材21をガイド部32と第2のガイド部33により挟み込むように形成されている。
【0034】
実施の形態1においては、テンション付与部材3を、支持部材21の内側から取り付けていたが、本実施の形態においては、支持部材21の長手方向端部側から、ガイド部32を差し込むようにテンション付与部材3を挿入する。テンション付与部材3の挿入部31と第2のガイド部33を支持部材21とメッシュシートMの裏面との間に挿入することにより、メッシュシートMにテンションを加えることができる。
【0035】
このように、テンション付与部材3を支持部材21に取り付けることにより、図14に示すメッシュシートMが緩んだ状態から、図15に示すように、容易にメッシュシートMにテンションを加えることができる。また、ガイド部32と第2のガイド部33により支持部材21を挟み込むように取り付けることにより、ガイド部32と第2のガイド部33自体が固定手段となり、ネジなどの他の固定手段が不要になる。なお、本実施の形態においては、ネジや接着剤など他の固定手段を併用することも可能である。
【0036】
勿論、本実施の形態においては、ガイド部32および第2のガイド部33は、支持部材21の高さ方向の長さとほぼ同じ長さだけ、挿入部31から下方に突出しているが、ガイド部32および第2のガイド部33の挿入部31からの突出長さは、特に限定されることはなく、支持部材21の高さの半分程度の長さや、それ以外の長さとすることもできる。また、図14に示す支持部材21は直線状に形成されているが、ガイド部32および第2のガイド部33がガイドされながら、支持部材21に沿って移動できるものであれば、支持部材21は湾曲していても構わない。
【符号の説明】
【0037】
1、11 椅子
21、21a、21b、22a、22b 支持部材
21G 溝
21s 側面
23a、23b、24 連結部材
3 テンション付与部材
31 挿入部
32 ガイド部
33 第2のガイド部
F 固定手段
L1、L2 脚部
M メッシュシート
S1 座面部
S2 背凭れ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュシートおよび該メッシュシートを支持する支持部材とを有する椅子において、前記支持部材を覆うようにして前記メッシュシートを張設するメッシュシートの張設方法であって、
(a)前記メッシュシートが固定される支持部材の固定箇所に、前記メッシュシートの端部を、前記支持部材の形状に沿うように、前記メッシュシートが緩んだ状態で固定する工程、
(b)前記メッシュシートにより覆われた支持部材と前記メッシュシートの裏面との間に、
テンション付与部材が挿入されて、前記メッシュシートにテンションが加えられる工程、および
(c)前記テンション付与部材を固定手段により、前記支持部材に固定する工程
とを備えることを特徴とするメッシュシートの張設方法。
【請求項2】
メッシュシートおよび該メッシュシートを支持する支持部材とを有し、前記支持部材を覆うようにして前記メッシュシートが張設された椅子であって、
前記メッシュシートの端部が、前記メッシュシートが固定される支持部材の固定箇所に、前記支持部材の形状に沿うように固定され、
前記メッシュシートにより覆われた支持部材と、前記メッシュシートの裏面との間に、
テンション付与部材が挿入されて、前記メッシュシートにテンションが加えられ、
前記テンション付与部材が、固定手段により前記支持部材に固定されることを特徴とする椅子。
【請求項1】
メッシュシートおよび該メッシュシートを支持する支持部材とを有する椅子において、前記支持部材を覆うようにして前記メッシュシートを張設するメッシュシートの張設方法であって、
(a)前記メッシュシートが固定される支持部材の固定箇所に、前記メッシュシートの端部を、前記支持部材の形状に沿うように、前記メッシュシートが緩んだ状態で固定する工程、
(b)前記メッシュシートにより覆われた支持部材と前記メッシュシートの裏面との間に、
テンション付与部材が挿入されて、前記メッシュシートにテンションが加えられる工程、および
(c)前記テンション付与部材を固定手段により、前記支持部材に固定する工程
とを備えることを特徴とするメッシュシートの張設方法。
【請求項2】
メッシュシートおよび該メッシュシートを支持する支持部材とを有し、前記支持部材を覆うようにして前記メッシュシートが張設された椅子であって、
前記メッシュシートの端部が、前記メッシュシートが固定される支持部材の固定箇所に、前記支持部材の形状に沿うように固定され、
前記メッシュシートにより覆われた支持部材と、前記メッシュシートの裏面との間に、
テンション付与部材が挿入されて、前記メッシュシートにテンションが加えられ、
前記テンション付与部材が、固定手段により前記支持部材に固定されることを特徴とする椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
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【図12】
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【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−94571(P2013−94571A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242654(P2011−242654)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(591058334)株式会社八木研 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(591058334)株式会社八木研 (12)
【Fターム(参考)】
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