説明

メッセージデータ受信方法、メッセージデータ受信プログラム、メッセージデータ受信装置、GNSS信号受信方法、GNSS信号受信プログラム、GNSS信号受信装置、および移動端末

【課題】正しいメッセージデータを状況に応じて早く取得し、更新できるメッセージ受信方法を実現する。
【解決手段】GPS信号を復調し(S101)、IODEによるエフェメリスの更新の有無を確認する(S102)。GPS信号の相関結果に基づいて信頼性パラメータを算出する(S103)。今回の信頼性パラメータの値が既に記憶しているエフェメリスに対応する既存の信頼性パラメータの値よりも高く、且つ今回のエフェメリスと既に記憶しているエフェメリスとが異なれば、エフェメリスの更新指示が無くても、既存のから今回のエフェメリスへ更新記憶する(S104,S105:Yes,S106,S107:Yes,S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定のタイミングで更新されるメッセージが重畳された信号を受信して、復調し、メッセージを取得するメッセージ受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GNSS(Global Navigation Satellite System)の一種であるGPS(Global Possitioning System)では、GPS衛星から放送されるGPS信号に航法メッセージが重畳されている。航法メッセージには、エフェメリスやアルマナックが含まれており、所定のフレームレート(航法メッセージの場合は30秒(1500ビット)単位)で繰り返し放送されている。そして、例えば、GPS信号を受信する測位装置は、エフェメリスから受信したGPS信号を放送したGPS衛星の軌道情報を取得し、測位に利用している。
【0003】
エフェメリスは、より正確な衛星軌道情報を提供するために、二時間に一度更新される。測位装置は、新たなエフェメリスが発行されていれば、できる限り早く新たな(更新後)のエフェメリスを取得する必要がある。
【0004】
特許文献1に記載のGPS受信装置は、GPS信号から取得したエフェメリスのIODE(issue of data, ephemeris)と、基地局からFM放送信号で得られるIODE(issue of data, ephemeris)とを比較して異なる場合に、新たなエフェメリスが発行されたものと判断し、新たに受信したGPS信号からエフェメリスを取得している。
【0005】
ところで、上述のエフェメリスのような無線通信信号に重畳されるメッセージデータは、一般にパリティチェック機能が備えられている。例えば、エフェメリスを含む航法メッセージは、図4に示すデータ構造からなる。図4はGPS信号の航法メッセージのデータ構造を示す図である。
【0006】
航法メッセージは、ビットレート50bpsで送信され、1500ビットを1フレームとしている。フレームFFは、5個のサブフレームSF1,SF2,SF3,SF4,SF5から構成され、サブフレームSF1にはGPS衛星のヘルス情報等、サブフレームSF2,SF3にはエフェメリス、サブフレームSF4,SF5にはアルマナック等が記載されている。サブフレームは、300ビットからなる。
【0007】
さらに、サブフレームは10個のワードW1−W10から構成され、各ワードは30ビットのデータ列から構成される。そして、各ワードの先頭ビットB1から24番目のビットB24までにエフェメリス等のメッセージデータが記載されており、25番目のビットB25から最後方のビットB30がパリティビットである。
【0008】
そして、測位装置は、エフェメリスのデータを復調するとパリティチェックを行い、合格したデータを利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−38114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
GPS信号の受信環境が悪い場合、例えばC/Noが低い環境で受信した場合等には、メッセージデータを誤って受信したにも係わらず、複数の誤ったビット値の組合せによっては、パリティチェックが合格してしまうことがある。この場合、誤ったエフェメリスを利用することになり、測位精度の劣化を招いてしまう。
【0011】
しかしながら、上述の特許文献1に示すような更新方法を用いた場合、IODEの更新指示を確認するまでは、誤ったエフェメリスを、正確なものに更新することができない。具体的には、現状のGPSの仕様では、エフェメリスの更新タイミングが2時間毎であるので、最大2時間に亘って誤ったエフェメリスを、正確なものに更新できない可能性がある。
【0012】
この発明の目的は、正しいメッセージデータを、状況に応じて早く取得し、更新できるメッセージ受信方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、測位演算に用いるメッセージデータが重畳された測位信号を受信して復調するメッセージデータ受信方法に関する。このメッセージデータ受信方法は、信頼性パラメータ設定工程、メッセージ更新判断工程、およびメッセージ更新工程を有する。
【0014】
信頼性パラメータ設定工程では、測位信号の受信状況に基づいて、復調したメッセージデータの信頼性パラメータを設定する。
【0015】
メッセージ更新判断工程は、信頼性パラメータに基づいてメッセージデータを更新するか否かを判断する。
【0016】
メッセージ更新工程は、メッセージデータを更新すると判断した場合に、メッセージデータを更新する。
【0017】
この方法では、メッセージデータの発行情報が無くても、メッセージデータの信頼性パラメータに基づいて、適宜メッセージデータが更新される。例えば、信頼性パラメータが低いタイミングでメッセージデータを取得した後に、信頼性パラメータの高いタイミングでメッセージデータを取得した場合、新たに取得した信頼性パラメータの高いメッセージデータに更新される。
【0018】
また、この発明のメッセージ受信方法の信頼性パラメータ設定工程では、測位信号と、該測位信号をコード変調する拡散コードのレプリカコードとの相関結果に基づいて信頼性パラメータを決定する。
【0019】
この方法では、信頼性パラメータの具体的な決定方法を示している。通常、相関結果が高い場合には、相関結果が低い場合と比較して受信環境が良好であり、メッセージデータを誤って受信する可能性は低くなる。したがって、相関結果に基づくことで正確な信頼性パラメータを得て、正確なメッセージデータの更新が可能になる。
【0020】
また、この発明のメッセージ受信方法の信頼性パラメータ設定工程では、測位信号のキャリア/ノイズ比を取得し、当該キャリア/ノイズ比を受信状況として信頼性パラメータを決定する。
【0021】
この方法では、信頼性パラメータの具体的な決定方法を示している。通常、キャリア/ノイズ比(以下、C/Noと記す。)が高い場合には、C/Noが低い場合と比較して受信環境が良好であり、メッセージデータを誤って受信する可能性は低くなる。したがって、C/Noに基づくことで正確な信頼性パラメータを得て、正確なメッセージデータの更新が可能になる。
【0022】
また、この発明のメッセージ受信方法のメッセージ更新判断工程では、信頼性パラメータが良化し、かつ復調したメッセージデータが既に利用しているメッセージデータと異なる場合に、メッセージデータを更新すると判断する。
【0023】
この方法では、上述の状況であっても、メッセージデータに変化が無ければ更新を行わない。これにより、メッセージデータの信頼性を害することなく、処理負荷を軽減することができる。
【0024】
また、この発明のGNSS信号受信方法では、測位信号をGNSS信号とし、メッセージデータを航法メッセージとして上述のメッセージ受信方法を用いている。メッセージ更新工程は、航法メッセージに含まれる衛星軌道情報の更新処理を行う。
【0025】
この方法では、上述のメッセージデータの更新方法を具体的に実現する例であり、当該メッセージデータの更新方法を用いることで、正確な衛星軌道情報(例えばエフェメリス)を、状況に応じて素早く確実に取得更新することができる。
【0026】
また、この発明のGNSS信号受信方法のメッセージ更新判断工程は、衛星軌道情報の発行情報に変更がない場合に、メッセージデータを更新するか否かを判断する。
【0027】
この構成では、衛星軌道情報の発行情報に変更がない場合に、メッセージデータを更新することもできるし、メッセージデータを更新しないでおくこともできる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、正しいメッセージデータを、状況に応じて早く取得し、更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る航法メッセージの更新フローを示すフローチャートである。
【図2】上述のエフェメリスの取得処理および更新処理を実現するとともに、測位処理も実行するGPS受信装置100の機能ブロック図である。
【図3】GPS受信装置100を構成する復調部13の機能ブロック図である。
【図4】GPS信号の航法メッセージのデータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態に係るメッセージ受信方法について、図を参照して説明する。図1は本実施形態に係る航法メッセージの更新フローを示すフローチャートである。なお、本実施形態では、GPS衛星から放送(送信)されるGPS信号を受信し、航法メッセージのエフェメリスを更新する場合について説明する。
【0031】
まず、航法メッセージが重畳されたGPS信号を受信し、復調する(S101)。具体的には、GPS信号をダウンサンプリングして、ベースバンド信号に変換する。GPS信号に用いられる拡散コードを有するレプリカコード信号とベースバンド信号とを相関処理し、相関処理結果を出力する。この際、相関処理結果に基づいてキャリア追尾処理およびコード追尾処理が実行され、正確に追尾されている状態での相関処理結果に基づいて航法メッセージが復調される。
【0032】
次に、航法メッセージのエフェメリス発行情報、すなわちIODEを取得する。取得したIODEが既に記憶しているIODEと異なる場合、エフェメリスの更新があったとして(S102:Yes)、既に記憶しているエフェメリスに対して、新たに取得したエフェメリスを更新記憶する(S108)。この際、新たに取得したIODEも記憶する。
【0033】
ここで、IODEに変化がなければ、すなわちエフェメリスの更新データが存在しなければ(S102:No)、相関結果に基づいてメッセージの信頼性パラメータを算出する(S103)。具体的には、所定時間長の相関結果に基づいて、キャリア/ノイズ比(C/No)を算出する。そして、C/Noの値に基づいて、信頼性パラメータを設定する。
【0034】
信頼性パラメータは、C/Noの値が高くなるほど、値が大きくなるように設定された正の整数からなる。例えば、信頼性パラメータを、「1」、「2」、「3」と設定し、C/Noが40dB−Hz以上であれば信頼性パラメータを最大値の「3」とし、C/Noが25dB−Hz未満であれば信頼性パラメータを最小値の「1」とする。C/Noが25dB−Hz以上40dB−Hz未満であれば信頼性パラメータを中間値の「2」とする。なお、本説明では信頼性パラメータを三段階に設定する例を示したが、さらに多段階に設定してもよい。
【0035】
次に、今回算出した信頼性パラメータが前回算出した信頼性パラメータから変化しているかどうかを検出する(S104)。具体的には、信頼性パラメータの数値が高くなるように変化すると、低くなるように変化するか、変化しないかを検出する。そして、信頼性パラメータが高くなるように変化する場合は、信頼性パラメータが良化したと判断する。
【0036】
信頼性パラメータが良化していれば(S105:Yes)、今回取得したエフェメリスが、既に記憶しているエフェメリスと異なるかを検出する(S106)。
【0037】
信頼性パラメータが良化してなければ(S105:No)、既に記憶しているエフェメリスを維持する(S109)。
【0038】
信頼性パラメータが良化した場合で、今回取得したエフェメリスが、既に記憶しているエフェメリスと異なる場合には(S107:Yes)、既に記憶しているエフェメリスに対して、今回取得したエフェメリスを更新記憶する(S108)。
【0039】
今回取得したエフェメリスが、既に記憶しているエフェメリスと同じ場合には(S107:No)、今回取得したエフェメリスによる更新記憶を行わず、既に記憶しているエフェメリスを維持する(S109)。
【0040】
このような処理を行うことで、エフェメリスの更新指示が無くても、信頼性パラメータが低いタイミングでエフェメリスを取得して記憶した後に、信頼性パラメータが高いタイミングでエフェメリスを取得し、これらのエフェメリスが異なるような場合、信頼性パラメータが高いタイミングでのエフェメリスが更新記憶される。
【0041】
これにより、エフェメリスの更新指示が無くても、受信環境が悪いタイミングで取得して誤りが生じている可能性が高いエフェメリスが、受信環境が良いタイミングで取得して誤りが無い可能性が高いエフェメリスに置き換わる。この結果、エフェメリスの更新指示を待つことなく、信頼性の低いエフェメリスから、より信頼性の高い正確なエフェメリスに置き換えることができる。したがって、正確なエフェメリスを、状況に応じて素早く取得更新することができる。
【0042】
なお、上述の説明では、信頼性パラメータの変化の確認後にエフェメリスの変化の確認を行ったが、エフェメリスの変化の確認後に信頼性パラメータの変化の確認を行っても、同様の効果を得ることができる。
【0043】
このようなエフェメリスの受信、更新処理は、予めプログラム化して記憶しておき、CPU等の処理演算器で実行すればよい。
【0044】
また、次に示す機能ブロックの構成によって、上述のエフェメリスの取得処理、更新処理、および当該エフェメリスを用いた測位処理を実現することもできる。
【0045】
図2は上述のエフェメリスの取得処理および更新処理を実現するとともに、測位処理も実行するGPS受信装置100の機能ブロック図である。図3はGPS受信装置100を構成する復調部13の機能ブロック図である。
【0046】
GPS受信装置100は、図2に示すように、GPSアンテナ11、RF処理部12、復調部13、航法メッセージ取得部14、および測位演算部15を備える。
【0047】
GPSアンテナ11は、各GPS衛星から放送されたGPS信号を受信して、受信信号をRF処理部12へ出力する。RF処理部12は、受信したGPS信号をダウンコンバートしてベースバンド信号へ変換し、復調部13へ出力する。
【0048】
復調部13は、図3に示すように、レプリカコード生成部30、相関処理部31、積算器32、C/No測定部33、信頼性パラメータ設定部34を備える。
【0049】
レプリカコード生成部30は、相関値の積算結果(後述のE−L相関結果)に基づくコード位相に準じてレプリカコード信号を生成する。レプリカコード信号とは、GPS信号に重畳された拡散コード(C/Aコード等)と同じコードが重畳された信号である。レプリカコード信号は、コード位相に基づくプロンプトレプリカコード信号と、アーリーレプリカコード信号と、レイトレプリカコード信号とからなる。アーリーレプリカコード信号は、プロンプトレプリカコード信号に対してコード位相が所定時間進んだ信号である。レイトレプリカコード信号は、プロンプトレプリカコード信号に対してコード位相が所定時間遅れた信号である。これらのレプリカコード信号は、相関処理部31へ与えられる。
【0050】
相関処理部31には、これらレプリカコード信号と、RF処理部12からのIF信号とが入力される。相関処理部31は、IF信号と各レプリカコード信号とを相関処理し、プロンプト(P)相関結果とアーリーマイナスレイト(E−L)相関結果を算出する。P相関結果は、IF信号とプロンプトレプリカコード信号との相関値に基づくものである。E−L相関結果は、IF信号とアーリーレプリカコード信号との相関値(E相関値)と、IF信号とレイトレプリカコード信号との相関値(L相関値)との差分値に基づくものである。P相関結果は、C/No測定部32および航法メッセージ取得部14へ出力される。E−L相関結果は、レプリカコード生成部30へフィードバックされ、コード追尾に利用される。
【0051】
また、E−L相関結果は、図示しない疑似距離算出部へ出力され、当該疑似距離算出部は、算出した疑似距離を測位演算部15へ出力する。
【0052】
なお、本説明では、キャリア相関処理およびキャリア追尾についての記載を省略しているが、これらは既知の方法により実行されている。
【0053】
C/No測定部32は、P相関結果に基づいてC/No(キャリア/ノイズ比)を算出する。C/Noは受信環境が良ければ高い値となり、受信環境が悪ければ低い値となる。算出されたC/Noは、信頼性パラメータ設定部33へ出力される。
【0054】
信頼性パラメータ設定部33は、C/Noの値に基づいて、信頼性パラメータを設定する。例えば、上述のように、信頼性パラメータ設定部33は、信頼性パラメータを、「1」、「2」、「3」のいずれかに設定する。信頼性パラメータ設定部33は、C/Noが40dB−Hz以上であれば信頼性パラメータを最大値の「3」に設定する。信頼性パラメータ設定部33は、C/Noが25dB−Hz未満であれば信頼性パラメータを最小値の「1」に設定する。信頼性パラメータ設定部34は、C/Noが25dB−Hz以上40dB−Hz未満であれば信頼性パラメータを中間値の「2」に設定する。信頼性パラメータ設定部33は、信頼性パラメータを航法メッセージ取得部14へ出力する。
【0055】
航法メッセージ取得部14には、P相関結果と信頼性パラメータとが入力される。航法メッセージ取得部14は、P相関結果に基づいて航法メッセージを復調する。
【0056】
航法メッセージ取得部14は、エフェメリスの更新指示情報となるIODEを取得し、既に記憶しているエフェメリスに関連づけられたIODEと異なれば、今回復調した航法メッセージからエフェメリスを取得し、更新記憶する。
【0057】
航法メッセージ取得部14は、今回取得したIODEと、既に記憶しているエフェメリスに関連づけられたIODEと同じ場合であっても、次の処理によりエフェメリスの更新処理を行う。
【0058】
航法メッセージ取得部14は、今回取得した信頼性パラメータの値が既に記憶している航法メッセージに関連つけられた信頼性パラメータの値よりも高く、且つ、今回取得したエフェメリスと既に記憶しているエフェメリスとが異なれば、今回取得したエフェメリスを更新記憶する。
【0059】
航法メッセージ取得部14は、今回取得したエフェメリスと既に記憶しているエフェメリスとが異なっていても、今回取得した信頼性パラメータの値が既に記憶している航法メッセージに関連つけられた信頼性パラメータの値よりも低ければ、今回取得したエフェメリスによる更新記憶を行わず、既に記憶しているエフェメリスを維持する。
【0060】
なお、信頼性パラメータが同じ場合には、エフェメリスを更新記憶することもしないことも可能である。この場合には、例えば、信頼性パラメータよりも詳細な受信状況に対応するC/No値を記憶しておき、C/No値の高低関係から更新記憶を行うかどうかの判定を行ってもよい。具体的には、例えば、新たにエフェメリスを取得するタイミングでのC/No値が、既に記憶されているエフェメリスのC/No値よりも高ければ、更新記憶を行う。
【0061】
このような構成および処理を行うことで、上述のように、正確なエフェメリスを、状況に応じて素早く取得更新することができる。
【0062】
航法メッセージ取得部14は、順次更新記憶されたエフェメリスを含む航法メッセージを測位演算部15へ出力する。
【0063】
測位演算部15は、エフェメリスを含む航法メッセージと、疑似距離とに基づいて、既知の方法から測位演算を行い、GPS受信装置100の位置を算出する。そして、上述のような構成を用いることで、信頼性の高いエフェメリスが得られるので、高精度な測位結果を得ることができる。
【0064】
なお、上述の説明では、C/Noに基づいて信頼性パラメータを設定する例を示したが、P相関結果そのものを用いて信頼性パラメータを設定してもよい。具体的には、例えば、航法メッセージを構成する1ワード分のP相関結果を順次記憶しておき、低い値(−1,1等)の個数が多い場合には信頼性パラメータを低く設定し、低い値の個数が少なくなるほど信頼性パラメータが高くなるように設定すればよい。このような信頼性パラメータの設定方法を用いても、上述の処理と同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、今回取得した信頼性パラメータの値が既に記憶している航法メッセージに関連つけられた信頼性パラメータの値よりも高く、且つ、今回取得したエフェメリスと既に記憶しているエフェメリスとが同じ場合には、エフェメリスの更新記憶を行わず、信頼性パラメータのみを更新記憶してもよい。
【0066】
また、上述のメッセージ受信装置やメッセージ受信機能は、各種の移動端末に利用することができる。
【0067】
移動端末としては、例えば携帯電話機、カーナビゲーション装置、PND、カメラ、時計等であり、アンテナ、受信部、測位装置、アプリケーション処理部を備える。受信部と測位装置とで上述のGPS受信装置100が構成されている。
【0068】
アンテナは上述のGPS受信アンテナ11と同じであり、受信部は、RF処理部12および復調部13に相当する機能部である。
【0069】
測位装置は、上述の測位演算部15に相当し、自装置の位置や相対速度等を推定算出して、アプリケーション処理部へ出力する。
【0070】
アプリケーション処理部は、得られた測位結果に基づいて、自装置位置や自装置速度を表示したり、ナビゲーション等に利用するための処理を実行する。
【0071】
このような構成において、上述のメッセージ受信方法を用いれば、より素早く且つ正確にエフェメリスが得られるため、高精度な測位結果を得られ、高精度な位置表示やナビゲーション等を実現することができる。
【符号の説明】
【0072】
100−GPS受信装置、11−GPS受信アンテナ、12−RF処理部、13−復調部、14−航法メッセージ取得部、15−測位演算部、31−相関処理部、32−C/No測定部、33−信頼性パラメータ設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位演算に用いるメッセージデータが重畳された測位信号を受信して復調するメッセージデータ受信方法であって、
前記測位信号の受信状況に基づいて、前記復調したメッセージデータの信頼性パラメータを設定する信頼性パラメータ設定工程と、
前記信頼性パラメータに基づいて、前記メッセージデータを更新するか否かを判断するメッセージ更新判断工程と、
前記メッセージデータを更新すると判断した場合に、前記メッセージデータを更新するメッセージ更新工程と、
を有するメッセージデータ受信方法。
【請求項2】
請求項1に記載のメッセージ受信方法であって、
前記信頼性パラメータ設定工程は、
前記測位信号と、該測位信号をコード変調する拡散コードのレプリカコードとの相関結果に基づいて、前記信頼性パラメータを決定する、メッセージデータ受信方法。
【請求項3】
請求項1に記載のメッセージ受信方法であって、
前記信頼性パラメータ設定工程は、
前記測位信号のキャリア/ノイズ比を取得し、当該キャリア/ノイズ比を前記受信状況として前記信頼性パラメータを決定する、メッセージデータ受信方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のメッセージ受信方法であって、
前記メッセージ更新判断工程は、
前記信頼性パラメータが良化し、かつ前記復調したメッセージデータが、既に利用しているメッセージデータと異なる場合に、前記メッセージデータを更新すると判断する、メッセージデータ受信方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のメッセージ受信方法を用い、
前記測位信号はGNSS信号であり、
前記メッセージデータは航法メッセージであって、
前記メッセージ更新工程は、前記航法メッセージに含まれる衛星軌道情報の更新処理を行う、GNSS信号受信方法。
【請求項6】
請求項5に記載のメッセージ受信方法であって、
前記メッセージ更新判断工程は、
前記衛星軌道情報の発行情報に変更がない場合に、前記メッセージデータを更新するか否かを判断する、GNSS信号受信方法。
【請求項7】
測位演算に用いるメッセージデータが重畳された測位信号を受信して復調する処理を実行するためのメッセージデータ受信プログラムであって、
前記測位信号の受信状況に基づいて、前記復調したメッセージデータの信頼性パラメータを設定する信頼性パラメータ設定処理と、
前記信頼性パラメータに基づいて、前記メッセージデータを更新するか否かを判断するメッセージ更新判断処理と、
前記メッセージデータを更新すると判断した場合に、前記メッセージデータを更新するメッセージ更新処理と、
を有するメッセージデータ受信プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のメッセージデータ受信プログラムの各処理を含み、
前記測位信号はGNSS信号であり、
前記メッセージデータは航法メッセージであって、
前記メッセージ更新処理として、前記航法メッセージに含まれる衛星軌道情報の更新処理を行い、
さらに、前記航法メッセージを用いて測位演算を行う測位演算処理を含む、GNSS信号受信方法。
【請求項9】
測位演算に用いるメッセージデータが重畳された測位信号を受信して復調するメッセージデータ受信装置であって、
前記測位信号の受信状況に基づいて、前記復調したメッセージデータの信頼性パラメータを設定する信頼性パラメータ設定部と、
前記信頼性パラメータに基づいて、前記メッセージデータを更新するか否かを判断するメッセージ更新判断部と、
前記メッセージデータを更新すると判断した場合に、前記メッセージデータを更新するメッセージ更新部と、
を備えるメッセージデータ受信装置。
【請求項10】
請求項9に記載のメッセージ受信装置を備え、
前記測位信号はGNSS信号であり、
前記メッセージデータは航法メッセージであって、
前記メッセージ更新部は、前記航法メッセージに含まれる衛星軌道情報の更新処理を行う、GNSS信号受信装置。
【請求項11】
請求項10に記載のGNSS信号受信装置であって、
前記航法メッセージを用いて測位演算を行う測位演算部を備えた、GNSS信号受信装置。
【請求項12】
請求項9乃至請求項11のいずれかに記載のGNSS受信装置を備えるとともに、
前記推定演算部の測位演算結果を用いて所定のアプリケーションを実行するアプリケーション処理部を、備える移動端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate