説明

メディアコンバータ、及び、中継システム

【課題】物理レーンの一部に障害が発生しても、他のメディアコンバータに管理情報を通知するメディアコンバータ、及び、中継システムを提供する。
【解決手段】分配・制御ブロック挿入部64は、複数のPCSレーン1〜4に対し、データブロック0〜7を巡回的に分配するとともに、制御ブロック76を挿入し、データブロック0〜7及び制御ブロック76をそれぞれ含む複数のブロック列を形成する。そして、分配・制御ブロック挿入部64は、制御ブロック76を挿入する際、制御ブロック76の一部として、管理情報84を挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアコンバータ、及び、中継システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば広域ネットワーク内でフレームを送受信するにあたり、伝送フレームの送信間隔(Inter Frame Gap:IFG)に、通信状態の監視及び制御を行うための監視/制御信号を挿入する先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1が開示する中継装置は、Insert/Drop機能部を有し、Insert/Drop機能部は、中継装置がフレームの送信を行う際、監視/制御信号をIFGに挿入する。また、Insert/Drop機能部は、中継装置がフレームを受信する際、監視/制御信号を抽出し、監視/制御信号を監視装置に通知する。
【0003】
上記の先行技術によれば、IFGに監視/制御信号を挿入することで、ユーザデータを含む伝送フレームの帯域に影響を与えることなく、監視/制御信号を用いて通信状態を監視できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−232193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述した先行技術については、以下の問題が想定される。
例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3baで標準化された40Gbps/100Gbps域を用いた通信規格では、高いビットレート水準に対応するため、電気信号が複数のPCS(Physical Coding Sublayer)レーンに分配される。そして、複数のPCSレーンのデータは、複数の物理レーンに振り分けられて転送される。
【0006】
この通信規格を採用する場合、一例として、中継装置内には物理レーンの各々に光トランシーバを配置することが想定される。各物理レーンにおいて、光トランシーバは、データを電気信号から光信号に変換する。複数の光トランシーバから出力される光信号は、波長フィルタで多重化される場合には一本の光ファイバを通して、そうでない場合は複数の光ファイバを通して、接続先の中継装置へ送信される。
【0007】
ここで、一の中継装置内でいずれかの光トランシーバに故障が生じた場合、正常な光トランシーバからは光信号が出力されるものの、故障が生じた光トランシーバからは光信号が出力されない。あるいは、複数の光ファイバを通して通信を行う場合、光トランシーバは正常であっても、いずれかの光ファイバに障害が発生すると、光信号が遮断される。
【0008】
これらの場合、対向する中継装置は、本来受信すべき光信号の一部を受信出来ず、監視/制御信号を一部が欠損した状態で受信することになる。このため、対向する中継装置は、Insert/Drop機能部で監視/制御信号を読み取ることができない。この結果、2つの中継装置は監視/制御信号により互いに通信状態を監視することができなくなる。
【0009】
そこで本発明は、物理レーンの一部に障害が発生しても、他のメディアコンバータに管理情報を通知するメディアコンバータ、及び、中継システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために本発明の一態様として、ネットワーク内でユーザフレームを送受信する際に、複数の伝送信号を並列的に送受信するメディアコンバータにおいて、ユーザフレームに符号化処理及びスクランブル化処理を施し、複数のデータブロックを形成する符号化手段と、データブロックを複数のPCSレーンに巡回的に分配するとともに、データブロックの序列関係を示すアライメント情報を含む制御ブロックをPCSレーンの各々に周期的に挿入し、データブロック及び制御ブロックをそれぞれ含む、複数のブロック列を形成する分配手段と、ネットワークの運用に供される管理情報を生成する管理情報生成手段と、全てのブロック列の制御ブロックにおける、アライメント情報以外の領域に、管理情報生成手段により生成された同一の管理情報を並列的に包含させる管理情報包含手段と、を備えるメディアコンバータが提供される。
【0011】
また、本発明の一態様として、ネットワーク内に配置され、相互にユーザフレームを送受信する際、複数の伝送信号を並列的に送受信する少なくとも2つのメディアコンバータを備える中継システムにおいて、メディアコンバータは、ユーザフレームに符号化処理及びスクランブル化処理を施し、複数のデータブロックを形成する符号化手段と、データブロックを複数のPCSレーンに巡回的に分配するとともに、データブロックの序列関係を示すアライメント情報を含む制御ブロックをPCSレーンの各々に周期的に挿入し、データブロック及び制御ブロックをそれぞれ含む、複数のブロック列を形成する分配手段と、ネットワークの運用に供される管理情報を生成する管理情報生成手段と、全てのブロック列の制御ブロックにおける、アライメント情報以外の領域に、管理情報生成手段により生成された同一の管理情報を並列的に包含させる管理情報包含手段とを備える中継システムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物理レーンの一部に障害が発生しても、他のメディアコンバータに管理情報を通知するメディアコンバータ、及び、中継システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の中継システムの構成例を概略的に示す図である。
【図2】図1中のメディアコンバータの構成例をOSI参照モデルを用いて階層的に示す図である。
【図3】図1中のメディアコンバータの機能的な構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】図1のメディアコンバータにおいて、メディアコンバータ間を伝搬するブロック列中の制御ブロックの構成を、IEEE802.3baの通信規格に準拠したアライメントマーカの構成とともに、概略的に示す図である。
【図5】図3中の長距離側符号化部及び分配・制御ブロック挿入部におけるデータ送信時の転送処理を説明するための概略的なデータ流れ図である。
【図6】図3中の長距離側復号化部及び再現・制御ブロック取得部におけるデータ受信時の転送処理を説明するための概略的なデータ流れ図である。
【図7】第2実施形態のメディアコンバータの機能的な構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】図7中の分配・制御ブロック挿入部及び管理情報挿入部における、データ送信時の転送処理を説明するための概略的なデータ流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態のネットワーク10の構成を概略的に示す図である。ネットワーク10は、複数の端末12a,12b同士の間を接続している。端末12a,12bは、例えばPC(パーソナルコンピュータ)やサーバ等の情報処理装置からなり、相互に通信を必要とする場合、ユーザフレーム14を生成して相手に向けて送信する。
【0015】
端末12a,12bは、通信ケーブル16a,16bを介して、ネットワーク10の一部を構成するネットワーク中継器18a,18bにそれぞれ接続されている。ネットワーク中継器18a,18bは、例えば、レイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチ等のスイッチングハブによって構成されている。
【0016】
ネットワーク中継器18a,18bは、端末12a,12bが送信したユーザフレーム14を宛先に向けて中継する一方、宛先が端末12a,12bであるユーザフレーム14を端末12a,12bに向けて送信する。
なお、図1中、ユーザフレーム14の近傍に実線で描かれた矢印は、ユーザフレーム14の転送方向を示している。
【0017】
〔中継システム〕
ネットワーク中継器18a,18bは、ネットワーク10の一部を構成する中継システム20を介して相互に接続されている。中継システム20は、ネットワーク中継器18a,18b間でのユーザフレーム14の転送を担当する。
【0018】
具体的には、中継システム20は、少なくとも2つのメディアコンバータ22a,22bを有し、ネットワーク中継器18a,18bは、通信ケーブル24a,24bを介して、メディアコンバータ22a,22bにそれぞれ接続されている。また、メディアコンバータ22a,22bは、光ファイバケーブル26を介して相互に接続されている。
【0019】
メディアコンバータ22a,22bは、例えばIEEE802.3baで標準化された40Gbps/100Gbps域での通信規格に準拠している。メディアコンバータ22a,22bは、光ファイバケーブル26を介して、例えば100km以上の長距離区間で相互に通信を行うことができる。また、メディアコンバータ22a,22b同士の間に、SONET/SDH方式の伝送設備を設置すれば、メディアコンバータ22a,22bは、数千km程度の長距離区間で相互に通信を行うことができる。
【0020】
また、本実施形態では、メディアコンバータ22aに監視装置28が接続されている。監視装置28は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)によって構成される。監視装置28は、メディアコンバータ22aを通じて、メディアコンバータ22a,22bの通信状態等、ネットワーク10の運用に供される管理情報を取得する一方、メディアコンバータ22a,22bに管理情報を提供する。
【0021】
〔メディアコンバータ〕
図2は、メディアコンバータ22a,22bの概略的な構成をOSI(Open Systems Interconnection)参照モデルを用いて階層的に示す図である。
OSI参照モデルによれば、メディアコンバータ22a,22bは、PMD(Physical Medium Dependent)層/PMA(Physical Medium Attachment)層30、PCS(Physical Coding Sublayer)層32、MII(Media Independent Interface)層34、RS(Reconciliation Sublayer)層36、及び、MAC(Media Access Control)層38を有する。
【0022】
PMD層/PMA層30は、PCS層32から受け取った後述する送信符号(電気信号)に基づいて、伝送媒体としての通信ケーブル24a,24b及び光ファイバケーブル26を伝搬させる伝送信号(光信号)を生成(変換)し、送信する機能を有する。また、PMD層/PMA層30は、伝送媒体を通じて受け取った伝送信号に基づいて、PCS層32に向けて送信させる後述する送信符号を生成(変換)し、送信する機能も有する。
【0023】
MII層34は、RS層36とPCS層32とを接続するインターフェースである。例えば、MII層34は、RS層36から受け取った送信データを8bitごとに分割した上で8オクテット(64bit)単位でPCS層32へ渡す。このとき、64bit単位の送信データはパラレルのビット配列として渡される。
【0024】
RS層36は、MAC層38から受け取った送信データ、即ちユーザフレーム14をPCS層32に向けて送信する際、ユーザフレーム14の間隔(Inter Frame Gap、以下、「IFG」と略称する。)を調整する。
MAC層38は、RS層36から受け取った送信データを、RS層36に向けて送信する。この際、MAC層38は、例えば、ネットワーク中継器18aから受け取った伝送信号を対向するメディアコンバータ22bに向けて送信し、逆に、対向するメディコンバータ22bから受け取った伝送信号をネットワーク中継器18aに向けて送信するといった具合に、第1のグループから第2のグループへ、第2のグループから第1のグループへ、送信データを転送する。
【0025】
PCS層32は、MII層34から受け取った送信データに符号化処理等の処理を施して送信符号に変換し、得られた送信符号をPMD層/PMA層30に向けて送信する機能を有する。また、PCS層32は、PMD層/PMA層30から受け取った送信符号に復号化処理等を施して送信データに変換し、送信データをMII層34に向けて送信する機能を有する。
【0026】
図3は、メディアコンバータ22aの機能的な構成を概略的に示すブロック図である。メディアコンバータ22bの構成は、メディアコンバータ22aの構成と同一であるため、図3中、メディアコンバータ22bの構成は省略する。なお、図3のメディアコンバータ22aは、IEEE802.3baの40Gbpsの規格に準拠している。
【0027】
メディアコンバータ22a,22bは、構成要素の一つとしてフレーム処理部49を有する。フレーム処理部49はMAC層38の機能を主に担当する。フレーム処理部49は、ネットワーク中継器18a,18bから受け取った伝送信号を対向するメディコンバータ22b,22aに向けて送信し、対向するメディコンバータ22b,22aから受け取った伝送信号をネットワーク中継器18a,18bに向けて送信するよう、ユーザフレーム14の転送処理を行う。
フレーム処理部49は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路により構成される。
【0028】
メディアコンバータ22a,22bの他の構成要素は、フレーム処理部49を境界として大きく二つのグループに分けることができる。第1のグループには、ネットワーク中継器18aとの間の短距離伝送区間で、ユーザフレーム14を送受信するための構成要素が属する。第2のグループには、他方のメディアコンバータ22b,22aとの間の長距離伝送区間で、ユーザフレーム14を送受信するための構成要素が属する。
【0029】
〔第1のグループ/短距離側〕
より詳しくは、第1のグループには、PMD層/PMA層30の機能を担当するユーザポート(短距離側ポート)40、光電変換モジュール(O/E)42及び電気光変換モジュール(E/O)44、並びに、PCS層32の機能を担当する短距離側復号化部46及び短距離側符号化部48が属している。
【0030】
ユーザポート40は、通信ケーブル24aが接続されるポートであり、光電変換モジュール42及び電気光変換モジュール44に接続されている。電気光変換モジュール44は、短距離側符号化部48が送信した電気信号を受信し、光信号に変換して送信する。電気光変換モジュール44が送信した光信号は、ユーザポート40及び通信ケーブル24aを通じて、ネットワーク中継器18aまで伝搬する。
【0031】
一方、ネットワーク中継器18aが送信した光信号は、通信ケーブル24a及びユーザポート40を通じて、光電変換モジュール42まで伝搬する。光電変換モジュール42は、受信した光信号を電気信号に変換し、短距離側復号化部46に向けて送信する。
なお、光電変換モジュール42、電気光変換モジュール44及びユーザポート40は、一体の光トランシーバによって構成されていてもよい。
【0032】
短距離側復号化部46は、光電変換モジュール42が送信した電気信号の送信符号に復号化処理を施して送信データに変換し、得られた送信データ、即ちユーザフレーム14をフレーム処理部49へ送信する。
フレーム処理部49は、短距離側復号化部46が送信したユーザフレーム14を受信し、第2のグループに向けて送信する。
【0033】
一方、短距離側符号化部48は、フレーム処理部49が送信したユーザフレーム14を受信し、例えば64B/66B符号化方式により符号化を行い、得られた送信符号を電気光変換モジュール44へ向けて送信する。電気光変換モジュール44は、送信符号を電気信号から光信号に変換し、光信号は、ユーザポート40及び通信ケーブル24aを通じて、ネットワーク中継装置18aまで伝搬する。
【0034】
〔第2のグループ/長距離側〕
一方、第2のグループには、PMD層/PMA層30の機能を担当する、ネットワークポート(長距離側ポート)50、光電変換モジュール(O/E)52、電気光変換モジュール(E/O)54、分波器56、及び、合波器58が属している。
【0035】
そして、第2のグループには、PCS層32の機能の一部を担当する、長距離側符号化部60、及び、長距離側復号化部62が属している。
ネットワークポート50は、光ファイバケーブル26が接続されるポートである。ネットワークポート50には、分波器56及び合波器58が接続されている。合波器58は、複数の電気光変換モジュール54から受け取った波長の異なる複数の光信号を多重化し、ネットワークポート50に向けて送信する。
【0036】
一方、分波器56は、ネットワークポート50を通じて受信した多重化された光信号を、複数の光信号に分割し、そして、複数の光電変換モジュール52に向けて送信する。
なお、複数の光信号を多重化して一本の光ファイバケーブル26にて送信するのではなく、複数の光信号を複数の光ファイバケーブルを通して別々に送信してもよい。
【0037】
電気光変換モジュール54は、長距離側符号化部60が送信した電気信号を受信し、光信号に変換して送信する。電気光変換モジュール54が送信した光信号は、合波器58、ネットワークポート50及び光ファイバケーブル26を通じて、対向するメディアコンバータ22bまで伝搬する。
【0038】
一方、対向するメディアコンバータ22bが送信した光信号は、光ファイバケーブル26、ネットワークポート50、及び、分波器56を通じて、光電変換モジュール52まで伝搬する。光電変換モジュール52は、受信した光信号を電気信号に変換し、長距離側復号化部62に向けて送信する。
なお、光電変換モジュール52及び電気光変換モジュール54は、一体の光トランシーバによって構成されていてもよい。
【0039】
長距離側符号化部60は、フレーム処理部49から受け取ったユーザフレーム14を符号化して送信符号に変換する(符号化処理)。本実施形態では、符合化の方式として、64B/66B符号化方式が採用される。
【0040】
64B/66B符号化方式によれば、ユーザフレーム14である送信データが64bitごとに符合化される。そして、符合化された送信データは、64bitのブロック単位でスクランブルされ(スクランブル化処理)、得られたスクランブル信号の各ブロックに2bitのヘッダ情報が付加される。つまり、送信符号は、66bitのブロック(以下、データブロックという)の集合からなる。
【0041】
長距離側復号化部62は、受け取った送信符号に対してデスクランブル処理及び復号化処理を行う。復号化処理により得られた送信データ、即ちユーザフレーム14は、フレーム処理部49へ転送される。フレーム処理部49は、ユーザフレーム14を第1のグループの短距離側符号化部48に向けて送信する。
【0042】
更に、第2のグループには、PCS層32の機能の一部を担当する、分配手段としての分配・制御ブロック挿入部64、制御ブロック抽出手段及びアライメント情報特定手段としての再現・制御ブロック取得部66が属している。
【0043】
分配・制御ブロック挿入部64は、長距離側符号化部60から受け取った送信符号のデータブロックを、ブロック単位にて、論理的な4つのPCSレーンに巡回的に分配し、且つ、各PCSレーンに、データブロック間に位置するように、例えば16383ブロック間隔にて周期的に制御ブロックを挿入する。これにより、各PCSレーンには、データブロックと制御ブロックからなるブロック列が形成される。PCSレーンの数に対応する複数のブロック列は、4つの物理レーンを通じて、各物理レーンに設けられた電気光変換モジュール54へ向けて並列にて送信される。
【0044】
なお、分配・制御ブロック挿入部64は、IEEE802.3baの100Gbpsの規格では、データブロックは20のPCSレーンに振り分けられ、20のブロック列は、10又は4つの物理レーンを通じて、各物理レーンに設けられた電気光変換モジュール54へ向けて並列にて送信される。
【0045】
再現・制御ブロック取得部66は、複数の光電変換モジュール52から、複数のブロック列を受け取る。再現・制御ブロック取得部66は、ブロック列間での遅延を補正した後、ブロック列中のデータブロックを配列し直し、送信符号を再現する。そして、再現・制御ブロック取得部66は、再現した送信符号を長距離側復号化部62に向けて送信する。
【0046】
より詳しくは、遅延を補正するために、ブロック列中の制御ブロックには、アライメント情報(AI)が含まれている。アライメント情報は、ブロック列間でのデータブロックの序列関係を示す情報である。再現・制御ブロック取得部66は、各ブロック列において、アライメント情報の周期に基づいてアライメント情報を特定し、そして、全てのブロック列のアライメント情報に基づいて遅延を補正する。
【0047】
一方、メディアコンバータ22a,22bは、第1のグループ及び第2のグループとは別に、第3のグループに属する構成要素も有している。第3のグループの構成要素は、ネットワーク10の運用に供される管理情報を送受信するための機能を有する。
具体的には、メディアコンバータ22a,22bは、管理情報生成手段としての管理情報生成部70、管理情報抽出手段としての管理情報抽出部72、及び、管理情報生成部70及び管理情報抽出部72を制御する管理情報制御部74を有する。
【0048】
管理情報制御部74は、例えばCPU(中央演算処理装置)によって構成され、管理情報生成部70を制御し、管理情報生成部70に管理情報を生成させる。なお、管理情報制御部74は、自律的及び監視装置28からの命令に基づいて、管理情報生成部70に管理情報を生成させることが出来る。
【0049】
管理情報は、ネットワーク10の運用に供される情報であり、メディアコンバータ22a,22bの通信状態の外、メディアコンバータ22a,22bのOS(オペレーティングシステム)のアップデート命令等も含む。具体的には、管理情報は、R−INN(電源断)、AIS(Alarm Indication Signal)やRDI(Remote Defect Indication)等の情報を含む。
【0050】
管理情報生成部70で生成された管理情報は、分配・制御ブロック挿入部64によって、PCSレーンに配列された全てのブロック列の制御ブロックに包含させられる。つまり、分配・制御ブロック挿入部64は、ブロック列の制御ブロックに管理情報を包含させる、管理情報包含手段を構成している。
管理情報包含手段によって、管理情報は、制御ブロックのアライメント情報以外の領域に包含させられる。また、全てのブロック列の制御ブロックに、同一の管理情報が並列的に包含させられる。
【0051】
管理情報抽出部72は、再現・制御ブロック取得部66がアライメント情報を特定するタイミングに同期して、制御ブロックに含まれる管理情報を特定し、管理情報を読み込む。読み込まれた管理情報は、例えば、管理情報制御部74を介して、メディアコンバータ22aに接続された監視装置28に送られる。これによりネットワーク10を管理する作業者がメディアコンバータ22a,22b間における通信状態を監視することができる。
【0052】
図4は、制御ブロックの構成を示す図である。上段は、アライメント情報と管理情報とを含む制御ブロック76であり、下段は、アライメント情報とエラー情報とを含む制御ブロック78である。下段の制御ブロック78は、具体的にIEEE802.3baの通信規格に準拠したアライメントマーカ(AM)78と同じである。すなわち、本明細書において、「制御ブロック」は、IEEE802.3baの通信規格に準拠したアライメントマーカ(AM)を含む用語として使用される。
【0053】
図4の下段に示されているアライメントマーカ78は、全体として66bitのサイズを有する。アライメントマーカ78は複数の領域からなり、具体的には、先頭から順に、Header領域78a、M0領域78b、M1領域78c、M2領域78d、BIP3領域78e、M4領域78f、M5領域78g、M6領域78h、及び、BIP7領域78iを含む。
M4領域78f、M5領域78g、M6領域78h、及びBIP7領域78iに格納される情報は、それぞれ、M0領域78b、M1領域78c、M2領域78d、及びBIP3領域78eに格納される情報のビット反転情報である。
【0054】
図4の上段に示されている制御ブロック76は、アライメントマーカ78と同様に全体として66bitのサイズを有する。そして、制御ブロック76は、ヘッダ情報80、アライメント情報(AI)82、管理情報84、及び、ビット反転情報86を有し、これらのうち、ヘッダ情報80、及び、アライメント情報82は、アライメントマーカ78と同様に規定される情報である。
【0055】
すなわち、アライメント情報82は、アライメントマーカ78のM0領域78b、M1領域78c、M2領域78dに格納される情報と同じである。従って、アライメント情報82は、PCSレーンごとに割り当てられた24bit(3byte)の固定値である。
【0056】
また、ビット反転情報86は、アライメント情報82及び管理情報84を反転させた情報である。すなわち、ビット反転情報86は、アライメントマーカ78のM4領域78f、M5領域78g、M6領域78hに格納される情報と同じ情報と、管理情報84を反転させた情報とからなる。ビット反転情報86の存在によって、制御ブロック76全体のDCバランスが調整される。
【0057】
なお、IEEE802.3baに規定されたアライメントマーカ78のBIP3領域78eにはエラー情報、具体的には、ビットエラーを検出するための1byteのパリティが格納される。
【0058】
以下、メディアコンバータ22a,22bが対向するメディアコンバータ22b,22aにユーザフレーム14を送信する際の、長距離側符号化部60及び分配・制御ブロック挿入部64おけるデータの流れを、図5を参照して説明する。
なお、図5中に示す(0)〜(7)の番号は、送信符号のデータブロックの序列を表している。
【0059】
長距離側符号化部60は、フレーム処理部49から受け取った送信データを、66bit単位のデータブロック(0)〜(7)に変換する。
分配・制御ブロック挿入部64は、長距離側符号化部60から受け取ったデータブロック(0)〜(7)を、PCSレーン1〜4に巡回的に分配する。また、分配・制御ブロック挿入部64は、PCSレーン1〜4に制御ブロック76を挿入する。このとき、制御ブロック76は同一のタイミングでPCSレーン1〜4に並列的に挿入される。
【0060】
これにより、各PCSレーン1〜4においてデータブロック(0)〜(7)と制御ブロック76とからなるブロック列が形成される。各ブロック列において、制御ブロック76は、16383ブロックごとに周期的に配列されている。
そして、制御ブロック76がPCSレーンに挿入される際、制御ブロック76の一部として、アライメント情報(AI)82とともに、管理情報84が挿入される。
【0061】
次に、メディアコンバータ22b,22aが対向するメディアコンバータ22a,22bからユーザフレーム14を受け取った際の、長距離側復号化部62及び再現・制御ブロック取得部66におけるデータの流れを、図6を参照して説明する。
【0062】
再現・制御ブロック取得部66は、PCSレーン1〜4ごとにブロック列を受け取り、ブロック列の中から、アライメント情報82の周期性に基づいて、アライメント情報82を特定する。そして、再現・制御ブロック取得部66は、アライメント情報82の内容に基づいて、ブロック列間での遅延を補正する。この後、再現・制御ブロック取得部66は、複数のブロック列に含まれるデータブロックを一列に配列し、長距離側復号化部62へ向けて送信する。
【0063】
長距離側復号化部62は、受け取ったデータブロックに対し、デスクランブル処理及び復号化処理を施し、得られた送信データをフレーム処理部49に向けて送信する。
一方、管理情報抽出部72は、再現・制御ブロック取得部66がアライメント情報82を特定するタイミングに同期して、管理情報84を特定して抽出する。すなわち、制御ブロック76における管理情報84の格納領域は既知であり、アライメント情報82を特定すれば、管理情報84が特定される。
【0064】
上述した第1実施形態のネットワーク10では、メディアコンバータ22a,22bから対向するメディアコンバータ22b,22aに向けて複数のブロック列が並列にて送信され、そして、送信される各ブロック列の制御ブロック76が同一の管理情報84を含んでいる。
【0065】
このため、メディアコンバータ22aからメディアコンバータ22bに渡る複数の物理レーンの一部において、電気光変換モジュール54又は光電変換モジュール52の故障や、光ファイバケーブル26の断線等によって障害が生じても、障害が発生していない物理レーンを通じて、対向するメディアコンバータ22b,22aに管理情報84が通知される。
従って、ネットワーク10の管理者は、管理情報84に基づいて、ネットワーク10を的確に管理することができる。
【0066】
また、上述した第1実施形態のネットワーク10では、メディアコンバータ22a,22bの分配・制御ブロック挿入部64が、PCSレーンに制御ブロック76を挿入する際に、制御ブロック76の一部として管理情報84を挿入しているので、管理情報84が容易に挿入される。
【0067】
更に、上述した第1実施形態のネットワーク10では、メディアコンバータ22a,22bの再現・制御ブロック取得部66は、ブロック列の中から制御ブロック76内のアライメント情報82を特定すれば、アライメント情報82との相対的な位置関係に基づいて、容易且つ確実に管理情報84を特定することができる。
【0068】
その上、上述した第1実施形態のネットワーク10のメディアコンバータ22a,22bでは、制御ブロック76が、IEEE802.3baに準拠したアライメントマーカ78と比べ、エラー情報(BIP)に代えて管理情報84を含んでいる点においてのみ異なる。このため、アライメントマーカ78を挿入する回路の一部を、BIPに代えて管理情報84を挿入するように変更すれば、少ない変更にて、分配・制御ブロック挿入部64の回路が実現される。このため、メディアコンバータ22a,22bは安価にて提供される。
【0069】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係るメディアコンバータ100a,100bについて説明する。
図7は、メディアコンバータ100a,100bの機能的な構成を概略的に示すブロック図である。メディアコンバータ100a,100bには、分配・制御ブロック挿入部102とは別に、管理情報包含手段として、管理情報挿入部104が設けられている。管理情報挿入部104は、分配・制御ブロック挿入部102と電気光変換モジュール54との間に配置されている。
【0070】
図8は、メディアコンバータ100a,100bが対向するメディアコンバータ100b,100aに向けてユーザフレーム14を送信する際の、分配・制御ブロック挿入部102及び管理情報挿入部104におけるデータの流れを示している。
【0071】
図8に示したように、分配・制御ブロック挿入部102は、IEEE802.3baに準拠したアライメントマーカ(AM)78を、PCSレーンに挿入する。そして、管理情報挿入部104は、ブロック列中の制御ブロック76に含まれるエラー情報(BIP)106を、管理情報84に置き換える。管理情報挿入部104は、例えば、管理情報84で置き換えるタイミングを、制御ブロック76を挿入するタイミングに同期させることによって、エラー情報106を管理情報84で置き換えることができる。
【0072】
上述した第2実施形態のメディアコンバータ100a,100bにおいて、管理情報84は、制御ブロック76がPCSレーン1〜4のブロック列にそれぞれ挿入された後に格納される。この場合であっても、メディアコンバータ100aからメディアコンバータ100bに渡る複数の物理レーンの一部において、電気光変換モジュール54又は光電変換モジュール52の故障や、光ファイバケーブル26の断線等によって障害が生じても、障害が発生していない物理レーンを通じて、対向するメディアコンバータ100b,100aに管理情報84が通知される。
従って、ネットワーク10の管理者は、管理情報84に基づいて、ネットワーク10を的確に管理することができる。
【0073】
また、上述した第2実施形態のメディアコンバータ100a,100bは、IEEE802.3baに準拠したアライメントマーカ78を用いる従来のメディアコンバータに、エラー情報106を管理情報84で置き換える回路を追加することによって容易に実現される。このため、メディアコンバータ100a,100bは安価にて提供される。
【0074】
最後に、本発明は、上述した第1実施形態及び第2実施形態に限定されることはなく、第1実施形態及び第2実施形態に変更を加えた形態も含む。
【符号の説明】
【0075】
10 ネットワーク
14 ユーザフレーム
18a,18b ネットワーク中継器
20 中継システム
22a,22b メディアコンバータ
26 光ファイバケーブル
60 長距離側符号化部(符号化手段)
62 長距離側復号化部
64 分配・制御ブロック挿入部(分配手段,管理情報包含手段)
66 再現・制御ブロック取得部(制御ブロック抽出手段,アライメント情報特定手段)
70 管理情報生成部(管理情報生成手段)
72 管理情報抽出部(管理情報特定手段)
76 制御ブロック
82 アライメント情報(AI)
84 管理情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク内でユーザフレームを送受信する際に、複数の伝送信号を並列的に送受信するメディアコンバータにおいて、
前記ユーザフレームに符号化処理及びスクランブル化処理を施し、複数のデータブロックを形成する符号化手段と、
前記データブロックを複数のPCSレーンに巡回的に分配するとともに、前記データブロックの序列関係を示すアライメント情報を含む制御ブロックを前記PCSレーンの各々に周期的に挿入し、前記データブロック及び前記制御ブロックをそれぞれ含む、複数のブロック列を形成する分配手段と、
前記ネットワークの運用に供される管理情報を生成する管理情報生成手段と、
全ての前記ブロック列の前記制御ブロックにおける、前記アライメント情報以外の領域に、前記管理情報生成手段により生成された同一の前記管理情報を並列的に包含させる管理情報包含手段と
を備えるメディアコンバータ。
【請求項2】
請求項1に記載のメディアコンバータにおいて、
前記管理情報包含手段は、
前記分配手段が挿入する前記制御ブロックに前記管理情報を包含させる、
メディアコンバータ。
【請求項3】
請求項1に記載のメディアコンバータにおいて、
前記分配手段は、
前記アライメント情報及びエラー情報を含む前記制御ブロックを前記PCSレーンに挿入し、
前記管理情報包含手段は、
前記制御ブロックに含まれる前記エラー情報を前記管理情報に置き換える、
メディアコンバータ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のメディアコンバータにおいて、
受信した前記ブロック列の中から、
前記アライメント情報に基づいて前記管理情報を特定する管理情報特定手段
を備えるメディアコンバータ。
【請求項5】
ネットワーク内に配置され、相互にユーザフレームを送受信する際、複数の伝送信号を並列的に送受信する少なくとも2つのメディアコンバータを備える中継システムにおいて、
前記メディアコンバータは、
前記ユーザフレームに符号化処理及びスクランブル化処理を施し、複数のデータブロックを形成する符号化手段と、
前記データブロックを複数のPCSレーンに巡回的に分配するとともに、前記データブロックの序列関係を示すアライメント情報を含む制御ブロックを前記PCSレーンの各々に周期的に挿入し、前記データブロック及び前記制御ブロックをそれぞれ含む、複数のブロック列を形成する分配手段と、
前記ネットワークの運用に供される管理情報を生成する管理情報生成手段と、
全ての前記ブロック列の前記制御ブロックにおける、前記アライメント情報以外の領域に、前記管理情報生成手段により生成された同一の前記管理情報を並列的に包含させる管理情報包含手段と
を備える中継システム。
【請求項6】
請求項5に記載の中継システムにおいて、
前記管理情報包含手段は、
前記分配手段が挿入する前記制御ブロックに前記管理情報を包含させる、
中継システム。
【請求項7】
請求項5に記載の中継システムにおいて、
前記分配手段は、
前記アライメント情報及びエラー情報を含む前記制御ブロックを前記PCSレーンに挿入し、
前記管理情報包含手段は、
前記制御ブロックに含まれる前記エラー情報を前記管理情報に置き換える、
中継システム。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れか一項に記載の中継システムにおいて、
前記メディアコンバータは、
受信した前記ブロック列の中から、
前記アライメント情報に基づいて、前記管理情報を特定する管理情報特定手段
を備える中継システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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