説明

メモリアクセス装置、及び映像処理システム

【課題】バンド幅を無駄なく使用することにより、バンド幅不足によるメモリアクセス装置の動作の異常を防止する。
【解決手段】必要バンド幅取得部140は、機能ブロック110毎に設けられ、それぞれが、水平同期信号の水平周波数及び1周期あたりの有効画素数に基づいて、対応する機能ブロックの必要バンド幅を示す必要バンド幅情報を出力する。メモリバス調停部130は、必要バンド幅情報に基づいて、複数の機能ブロック110の必要バンド幅の合計を算出し、複数の機能ブロック110の必要バンド幅の合計がデータバスの全体バンド幅を超えているか否かを判定する。必要バンド幅の合計が全体バンド幅を超えていると判定された場合には、複数の機能ブロック110の少なくとも1つの必要バンド幅が削減される一方、必要バンド幅の合計が全体バンド幅を超えていないと判定された場合には、複数の機能ブロック110が必要バンド幅算出時の必要バンド幅を使用してアクセスを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像データを記憶するメモリに対し、複数の機能ブロックによりデータバスを介したアクセスを行うメモリアクセス装置、及び当該メモリアクセス装置を備えた映像処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のバスマスタからのアクセス要求を調停して、1つのバスマスタにメモリへのアクセスを許可するバスアービタが開示されている。
【0003】
特許文献2には、リクエストソースからのメモリへのアクセス要求を複数受け付け、その中の1つを選択する調停回路を備えたDMACが開示されている。
【0004】
特許文献3には、複数の機能ブロックから発行されたメモリへのアクセス要求を調停するメモリ制御装置が開示されている。このメモリ制御装置は、機能ブロックから発行されたアクセス要求を一時的に蓄積するFIFOバッファを備え、このFIFOバッファに蓄積されているアクセス要求の数に基づいて、アクセス要求の優先順位を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−339346号公報
【特許文献2】特開2001−297056号公報
【特許文献3】特開2007−323279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1〜3には、複数の機能ブロックのうちの1つにメモリへのアクセスを許可することが記載されているが、複数の機能ブロックにメモリへのアクセスを同時に実行させることについては記載されていない。
【0007】
ところで、複数の機能ブロックにメモリへのアクセスを同時に実行させる方法として、各機能ブロックに所定の割当バンド幅を割り当てる方法が考えられる。この方法では、ある機能ブロックの必要バンド幅が不測の事態により割当バンド幅を超えてしまうと、たとえメモリへのアクセスを行うためのデータバス全体のバンド幅に余裕があったとしても、その機能ブロックが正常に機能を果たせなくなり、メモリアクセス装置の動作に異常が生じてしまう。例えば、機能ブロックのアクセス対象が映像データである場合、その映像データに基づいて表示される映像が乱れたりシステムが不安定になってしまう。また、データバス全体のバンド幅が有効に使用されないという無駄が生じてしまう。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑み、バンド幅を無駄なく使用することにより、バンド幅不足によるメモリアクセス装置の動作の異常を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、映像データを記憶するメモリに対し、複数の機能ブロックによりデータバスを介したアクセスを行うメモリアクセス装置であって、機能ブロック毎に設けられ、それぞれが、水平同期信号の水平周波数及び1周期あたりの有効画素数に基づいて、対応する機能ブロックの必要バンド幅を示す必要バンド幅情報を出力する必要バンド幅取得部と、前記必要バンド幅取得部によって出力された必要バンド幅情報に基づいて、前記複数の機能ブロックの必要バンド幅の合計を算出し、算出した合計が前記データバスの全体バンド幅を超えているか否かを判定するメモリバス調停部とを備え、前記メモリバス調停部により前記複数の機能ブロックの必要バンド幅の合計が前記全体バンド幅を超えていると判定された場合には、前記複数の機能ブロックの少なくとも1つの必要バンド幅が削減される一方、前記メモリバス調停部により前記複数の機能ブロックの必要バンド幅の合計が前記全体バンド幅を超えていないと判定された場合には、前記複数の機能ブロックが前記必要バンド幅情報に示された必要バンド幅を使用して前記アクセスを行うことを特徴とする。
【0010】
これにより、メモリアクセス装置において、機能ブロック毎の必要バンド幅の合計が全体バンド幅を超えていない場合には、前記複数の機能ブロックが当初の必要バンド幅を使用してアクセスを行うので、全体のバンド幅が無駄なく使用され、その結果、バンド幅不足による動作の異常が生じにくくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、全体バンド幅が無駄なく使用され、その結果、バンド幅不足による動作の異常が生じにくくなる。したがって、メモリに記憶された映像データに基づいて表示される映像の乱れが防止されるとともにシステムが安定する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1に係るメモリアクセス装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るメモリアクセス装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る入出力フォーマット検出部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る有効画素数の算出方法を説明する説明図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るメモリアクセス装置の動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態2に係るメモリアクセス装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態1,2に係るメモリアクセス装置を備えたデジタルテレビジョンシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態に係るメモリアクセス装置100の構成を示す。
【0015】
このメモリアクセス装置100は、複数の機能ブロック110を備えている。これら複数の機能ブロック110は、映像データを記憶するユニファイドメモリ200に対し、DMAデータバスを介したアクセス、すなわち映像データ(転送データ)D1の読み出し又は書き込みを行う。機能ブロック110のユニファイドメモリ200に対するアクセスは、各機能ブロック110に1つずつ接続されたDMAC(Direct Memory Access Controller)120、及び前記複数の機能ブロック110に共通のメモリバス調停部130を介して行われる。各DMAC120は、接続された機能ブロック110から映像データD1及び転送制御信号S1を受け、映像データD1の転送、及び転送要求信号(DMAコマンド)S2の生成を行う。また、メモリバス調停部130は、DMAC120により生成された転送要求信号S2に応じてユニファイドメモリ200に対する映像データD1の受け渡しを行う。
【0016】
機能ブロック110は、ノイズ除去機能を果たすサブ機能ブロック111a、及びIP変換機能を果たすサブ機能ブロック111bを有している。これらサブ機能ブロック111a,111bの機能は、ユニファイドメモリ200に対するアクセスを必要とするものである。また、機能ブロック110は、入出力フォーマット検出部112a,112b、必要バンド幅計算部113a,113b、及び制御部114a,114bを備えている。
【0017】
DMAC120は、図2に示すように、サブ機能ブロック111aに対応するデータバッファ121a,及びサブ機能ブロック111bに対応するデータバッファ121bを備えている。また、DMAC120は、転送要求部123、必要バンド幅通知部124、及び外部メモリ状態監視部125を備えている。
【0018】
メモリバス調停部130は、データ転送可否判断部131を備えている。
【0019】
(メモリアクセス装置100の基本的なアクセス動作)
ここで、メモリアクセス装置100の基本的なアクセス動作について説明する。
【0020】
通常、DMA転送によりユニファイドメモリ200へ映像データD1を格納する場合、まず、サブ機能ブロック111a、111bが、映像データD1(書込みデータ)と、転送制御信号S1とを出力する。転送制御信号S1は、転送要求信号S2を作成するために使用される信号である。そして、DMAC120のデータバッファ121a,121bに、サブ機能ブロック111a,111bから、転送データバスを介して映像データD1(書込みデータ)が格納される。また、転送要求部123が、データバッファ121a,121bの状態と、サブ機能ブロック111a、111bによって出力された転送制御信号S1とに基づいて転送要求信号S2を生成し、出力する。この転送要求信号S2がメモリバス調停部130によって受理されると、映像データD1(書込みデータ)がDMAデータバスを介してメモリバス調停部130へ送られ、メモリバス調停部130からユニファイドメモリ200へ転送される。
【0021】
一方、サブ機能ブロック111a,111bがユニファイドメモリ200から映像データを読み出す場合、まず、サブ機能ブロック111a、111bは、転送要求信号S2を作成するために使用される転送制御信号S1を出力する。そして、転送要求部123が、サブ機能ブロック111a、111bによって出力された転送制御信号S1に基づいて転送要求信号S2を作成し、出力する。そして、メモリバス調停部130が、転送要求部123により出力された転送要求信号S2を受け取り、ユニファイドメモリ200から最適なタイミングで映像データD1を読み出す。メモリバス調停部130により読み出されたデータはDMAデータバスを介してDMAC120へ送られ、DMAC120のデータバッファ121a,121bに格納され、転送データバスを介してサブ機能ブロック111a、111bへ送られる。
【0022】
(アクセス制御機能を実現する構成)
メモリアクセス装置100は、各機能ブロック110の必要バンド幅に基づいて、各機能ブロック110によるアクセスを制御するようになっている。以下、このアクセス制御機能を実現する構成について説明する。
【0023】
入出力フォーマット検出部112a,112bは、水平同期信号の周波数と水平同期信号の1周期あたりの有効画素数とを算出するものであり、それぞれ、図3に示すように、カウンタ115,116を備えている。
【0024】
カウンタ115は、システムクロックの立ち上がり毎に1ずつカウンタ値を増やすカウンタである。カウンタ115には、対応するサブ機能ブロック111a,111bとユニファイドメモリ200との間で転送される映像データ(サブ機能ブロック111a,111bに入力又は出力される映像データ)の水平同期信号(図3中、「HP」と示す)が、リセット(RESET)信号及びロード(LD)信号として入力される。その結果、カウンタ115は、水平同期信号の1周期(1H期間)あたりのシステムクロック数を示す値を出力する。入出力フォーマット検出部112a,112bは、それぞれ、以下の(式1)を用いて水平同期信号の周波数、すなわち水平周波数を算出する。
【0025】
【数1】

【0026】
カウンタ116は、アクティブ期間にHレベルとなる信号をイネーブル(EN)としてシステムクロックの立ち上がり毎に1ずつカウンタ値を増やす。カウンタ116には、対応するサブ機能ブロック111a,111bとユニファイドメモリ200との間で転送される映像データ(サブ機能ブロック111a,111bに入力又は出力される映像データ)の水平同期信号(図3中、「HP」と示す)が、カウンタのリセット(RESET)信号及びロード(LD)信号として入力される。その結果、カウンタ115は、図4に示すように、1H期間の有効画素数を出力する。
【0027】
必要バンド幅計算部113a,113bは、それぞれ、入出力フォーマット検出部112a,112bによって算出された水平周波数及び有効画素数に基づいて、対応するサブ機能ブロック111a,111bの必要バンド幅を算出する。詳しくは、必要バンド幅計算部113a,113bは、以下の(式2)を用いて必要バンド幅を算出する。
【0028】
【数2】

【0029】
上記(式2)において、ビット数(bit数)は、ユーザによって必要バンド幅計算部113a,113bに入力され、その入力にはソフトウェアが用いられる。算出された必要バンド幅を示すバンド幅情報D2は、DMAC120内の必要バンド幅通知部124へ送られる。
【0030】
必要バンド幅通知部124は、必要バンド幅計算部113a,113bの両方からバンド幅情報D2を受け、サブ機能ブロック111a,111b両方の必要バンド幅を示す必要バンド幅情報D3をバンド幅情報バスを通してメモリバス調停部130のデータ転送可否判断部131へ送る。
【0031】
上記必要バンド幅計算部113a,113b、及び必要バンド幅通知部124により、必要バンド幅取得部140が構成されている。
【0032】
メモリバス調停部130のデータ転送可否判断部131は、必要バンド幅通知部124によって送られた必要バンド幅情報D3に基づいて、データ転送の可否を示すDMA転送可否情報D4、及び超過バンド幅(必要バンド幅の合計とDMAデータバスの合計バンド幅との差)を示す超過バンド幅情報を出力する。
【0033】
DMAC120の外部メモリ状態監視部125は、データ転送可否判断部131によって出力されたDMA転送可否情報D4を受信する。そして、アクセスの可否を示す機能停止可否情報D5,D5’を生成して出力する。この機能停止可否情報D5,D5’は、各サブ機能ブロック111a,111bの優先度、超過バンド幅情報、及び各サブ機能ブロック111a,111bの必要バンド幅に基づいて生成される。ここで、各サブ機能ブロック111a,111bの優先度は、各サブ機能ブロック111a,111bの機能が停止可能なものであるか否かを示すものであり、あらかじめソフトウェア等により設定されている。
【0034】
DMAC120の転送要求部123は、機能停止可否情報D5,D5’の両方が「アクセス禁止」を示している場合、転送要求信号S2の出力を停止する。一方、機能停止可否情報D5,D5’の少なくとも一方が「アクセス許可」を示している場合、転送要求信号S2の出力を停止しない。
【0035】
制御部114aは、機能停止可否情報D5が「アクセス禁止」を示している場合、サブ機能ブロック111aに対し、OFFを示す指示信号を出力する。一方、機能停止可否情報D5が「アクセス許可」を示している場合には、サブ機能ブロック111aに対し、ONを示す指示信号を出力する。
【0036】
同様に、制御部114bは、機能停止可否情報D5’が「アクセス禁止」を示している場合、サブ機能ブロック111bに対し、OFFを示す指示信号を出力する。一方、機能停止可否情報D5’が「アクセス許可」を示している場合には、サブ機能ブロック111bに対し、ONを示す指示信号を出力する。
【0037】
サブ機能ブロック111aは、制御部114aによって出力された指示信号がOFFを示している場合には、ユニファイドメモリ200へのアクセスを停止する。一方、指示信号がONを示している場合には、ユニファイドメモリ200へのアクセスを停止しない。
【0038】
同様に、サブ機能ブロック111bは、制御部114bによって出力された指示信号がOFFを示している場合には、ユニファイドメモリ200へのアクセスを停止する。一方、指示信号がONを示している場合には、ユニファイドメモリ200へのアクセスを停止しない。
【0039】
(アクセス制御機能を実現する動作)
ここで、上記のように構成されたメモリアクセス装置100は、図5のフローチャートに示す動作を機能ブロック110毎に実行する。以下、図5のフローチャートに示す動作を説明する。
【0040】
(S1001)入出力フォーマット検出部112aが、上述の方法で、サブ機能ブロック111aの水平同期信号の周波数及び水平同期信号の1周期あたりの有効画素数を算出する。一方、入出力フォーマット検出部112bも、上述の方法で、サブ機能ブロック111bの水平同期信号の周波数及び水平同期信号の1周期あたりの有効画素数を算出する。
【0041】
(S1002)必要バンド幅計算部113aが、(S1001)で入出力フォーマット検出部112aにより算出された水平同期信号の周波数及び1周期あたりの有効画素数に基づいて、上記(式2)を用いてサブ機能ブロック111aの必要バンド幅を算出する。一方、必要バンド幅計算部113bが、(S1001)で入出力フォーマット検出部112bにより算出された水平同期信号の周波数及び1周期あたりの有効画素数に基づいて、上記(式2)を用いてサブ機能ブロック111bの必要バンド幅を算出する。
【0042】
(S1003)必要バンド幅通知部124が、(S1002)で算出された各サブ機能ブロック111a,111bの必要バンド幅を収集し、必要バンド幅情報D3としてメモリバス調停部130のデータ転送可否判断部131に通知する。
【0043】
(S1004)メモリバス調停部130のデータ転送可否判断部131が、(S1003)で通知された必要バンド幅情報D3に基づいて、サブ機能ブロック111a、111b両方の必要バンド幅の合計を算出する。そして、この必要バンド幅の合計がサブ機能ブロック111a、111bを含む機能ブロック110の割当バンド幅を超えているか否かを判定する。必要バンド幅の合計が割当バンド幅を超えていない場合には、処理が(S1005)に進む。一方、必要バンド幅の合計が割当バンド幅を超えている場合には、処理が(S1006)に進む。なお、機能ブロック110の割当バンド幅は、あらかじめソフトウェアにより設定されている。
【0044】
(S1005)データ転送可否判断部131が、「データ転送可能」を示すDMA転送可否情報D4を出力する。そして、外部メモリ状態監視部125が、このDMA転送可否情報D4を受け、制御部114aに対し、「アクセス許可」を示す機能停止可否情報D5を出力するとともに、制御部114bに対し、「アクセス許可」を示す機能停止可否情報D5’を出力する。したがって、各サブ機能ブロック111a,111bが、ユニファイドメモリ200へのアクセスを実行する。
【0045】
(S1006)データ転送可否判断部131が、全機能ブロック110の必要バンド幅情報D3に基づいて、全機能ブロック110の必要バンド幅の合計を算出し、当該合計が前記DMAデータバスの合計バンド幅を超えているか否かを判定する。全機能ブロック110の必要バンド幅の合計が前記合計バンド幅を超えていない場合には、処理が(S1005)に進む。一方、全機能ブロック110の必要バンド幅の合計が前記合計バンド幅を超えている場合には、処理が(S1007)に進む。なお、全機能ブロック110の必要バンド幅情報D3は、全機能ブロック110についてそれぞれ(S1001)〜(S1003)の処理が行われることにより生成される。また、DMAデータバスの合計バンド幅は、あらかじめソフトウェアにより設定されている。
【0046】
(S1007)データ転送可否判断部131が、「データ転送不可能」を示すDMA転送可否情報D4と、超過バンド幅(必要バンド幅の合計とDMAデータバスの合計バンド幅との差)を示す超過バンド幅情報とを出力する。これらDMA転送可否情報D4と、超過バンド幅情報とは、外部メモリ状態監視部125によって受信される。そして、外部メモリ状態監視部125が、各サブ機能ブロック111a,111bの優先度と、超過バンド幅情報と、各サブ機能ブロック111a,111bの必要バンド幅とに基づいて、機能停止可否情報D5,D5’を生成する。より詳しくは、外部メモリ状態監視部125は、優先度により「停止可能」と示されているサブ機能ブロック111a,111bの必要バンド幅の合計が、超過バンド幅情報により示される超過バンド幅に達しているか否かを判定する。「停止可能」と示されているサブ機能ブロック111a,111bの必要バンド幅の合計が、超過バンド幅に達している場合には、処理が(S1008)に進む。一方、「停止可能」と示されているサブ機能ブロック111a,111bの必要バンド幅の合計が、超過バンド幅に達していない場合には、処理が(S1009)に進む。
【0047】
(S1008)外部メモリ状態監視部125が、優先度により「停止可能」と示されているサブ機能ブロック111a,111bに対応する機能停止可否情報D5,D5’を、「アクセス禁止」を示すものとする。そして、転送要求部123が、外部メモリ状態監視部125によって出力された機能停止可否情報D5,D5’に応じて、転送要求信号S2の出力を停止する。また、「アクセス禁止」を示す機能停止可否情報D5,D5’に対応する制御部114a,114bが、それぞれ、OFFを示す指示信号を出力する。そして、OFFを示す指示信号を受けたサブ機能ブロック111a,111bが、ユニファイドメモリ200へのアクセスを停止する。つまり、優先度によって「停止可能」と示されているサブ機能ブロック111a,111bが、ユニファイドメモリ200へのアクセスを停止する。
【0048】
(S1009)外部メモリ状態監視部125が、すべてのサブ機能ブロック111a,111bに対応する機能停止可否情報D5,D5’を、「アクセス禁止」を示すものとする。転送要求部123は、外部メモリ状態監視部125によって出力された機能停止可否情報D5,D5’に応じて、転送要求信号S2の出力を停止する。また、すべての制御部114a,114bが、それぞれ、OFFを示す指示信号を出力し、すべてのサブ機能ブロック111a,111bが、ユニファイドメモリ200へのアクセスを停止する。
【0049】
上述した図5のフローチャートに示す動作が、機能ブロック110毎に実行されることにより、機能ブロック110毎の必要バンド幅の合計がDMAデータバスの全体バンド幅を超えている場合には、前記複数の機能ブロック110の少なくとも1つの必要バンド幅が削減される。一方、機能ブロック110毎の必要バンド幅の合計が全体バンド幅を超えていない場合には、前記複数の機能ブロック110全てが必要バンド幅情報D3に示された必要バンド幅を使用してアクセスを行う。
【0050】
このように、機能ブロック110毎の必要バンド幅の合計が全体バンド幅を超えていない場合には、複数の機能ブロック110が当初の必要バンド幅を使用してアクセスを行うので、全体のバンド幅が無駄なく使用され、その結果、バンド幅不足による動作の異常が生じにくくなる。
【0051】
また、(S1008)では、優先度により「停止可能」と示されたサブ機能ブロック111a,111bのみがアクセスを停止するようになっている。したがって、高画質化には必要であるが映像乱れには影響を及ぼさないサブ機能ブロックの優先度を「停止可能」と設定することにより、映像乱れを防止することができる。
【0052】
なお、制御部114a,114bを設けず、サブ機能ブロック111a,111bが、それぞれ、対応する機能停止可否情報D5,D5’を直接受信し、この機能停止可否情報D5,D5’に基づいて、ユニファイドメモリ200へのアクセスを停止するようにしてもよい。
【0053】
また、サブ機能ブロック111a,111bは、それぞれ、対応する機能停止可否情報D5,D5’が「アクセス禁止」を示している場合、完全にアクセスを停止するようになっている。しかし、アクセスの対象となる映像データの有効画素数又はビット数を減らすようにしてもよい。
【0054】
《実施形態2》
実施形態2に係るメモリアクセス装置100では、必要バンド幅計算部113a,113bが、それぞれ、対応する制御部114a,114bによって出力される指示信号がOFFを示した場合に、必要バンド幅の計算に使用するビット数を1ビット減らす。また、サブ機能ブロック111a,111bが、それぞれ、対応する制御部114a,114bによって出力される指示信号がOFFを示した場合に、アクセス対象の映像データのビット数を1ビット減らすことにより、必要バンド幅を削減する。
【0055】
以下、本実施形態に係るメモリアクセス装置100の動作について、図6のフローチャートに示す動作を説明する。なお、図5のフローチャートと共通の動作については、共通の符号を付して説明を省略する。
【0056】
(S2001)サブ機能ブロック111a,111bが、アクセス対象の映像データのビット数を12に設定する。また、必要バンド幅計算部113a,113bが、必要バンド幅の計算に使用するビット数を12ビットに設定する。
【0057】
(S2002)サブ機能ブロック111a,111bが、アクセス対象の映像データのビット数を1減らす。ビット数は、輝度信号・色差信号をそれぞれ独立制御にすること等によって削減できる。また、必要バンド幅計算部113a,113bが、必要バンド幅の計算に使用するビット数を1減らす。そして、処理が(S1002)に戻る。
【0058】
そのほかの構成及び動作は実施形態1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0059】
なお、(S2002)において、サブ機能ブロック111a,111bが減らすビット数、及び必要バンド幅計算部113a,113bが減らすビット数は、1に限らず、2以上であってもよい。
【0060】
上記実施形態1,2のメモリアクセス装置100は、例えば、図7に示すように、映像入力装置300及び表示装置303を備えたデジタルテレビジョンシステムに設けられる。映像入力装置300は、アンテナ301、VTR(Video Tape Recorder)302等によって取得された映像信号に対して復調等の処理を施して映像データとして出力する。なお、本発明は、デジタルテレビジョンシステムに限らず、DVDレコーダ(Digital Versatile Disk Recorder)、ブルーレイディスクレコーダ(Blu-ray Disc Recorder)等の映像処理システムにも適用できる。また、図7において、302は、VTRに限らず、DVDレコーダ、ブルーレイディスクレコーダ等の録画装置であってもよい。
【0061】
図7のデジタルテレビジョンシステムにおいて、メモリアクセス装置100は、映像入力装置300によって出力された映像データに対し、ノイズ除去、IP変換等の映像信号処理を施し、処理後の映像データを出力する。メモリアクセス装置100は、前記映像信号処理の過程で、ユニファイドメモリ200に対してアクセスを行う。
【0062】
表示装置303は、メモリアクセス装置100によって出力された映像処理後の映像データに基づいて、映像を表示する。
【0063】
なお、上記実施形態1,2では、機能ブロック110が、2つのサブ機能ブロック111a,111bを備えている例について説明した。しかし、さらにリサイズ機能を果たすサブ機能ブロックを設けた場合等、機能ブロックに3つ以上のサブ機能ブロックを設けた場合にも本発明を適用することができる。
【0064】
また、上記実施形態2では、アクセス対象の映像データのビット数を減らすことにより機能ブロック110の必要バンド幅を削減していたが、ビット数ではなく、有効画素数を減らすことにより機能ブロック110の必要バンド幅を削減してもよい。
【0065】
また、上記実施形態1,2において、メモリバス調停部130により算出された全機能ブロック110の必要バンド幅の合計がDMAデータバスの全体バンド幅よりも小さい場合には、必要バンド幅に応じてユニファイドメモリ200の動作周波数を低くするようにしてもよい。これにより、消費電力を低減することができる。
【0066】
また、ユニファイドメモリ200を複数の分割メモリにより構成し、データバスのバンド幅をこれら複数の分割メモリに割り当て、各分割メモリが、割り当てられたバンド幅を使用して複数の機能ブロック110によるアクセスを受けるようにしてもよい。この場合、全機能ブロック110の必要バンド幅の合計がDMAデータバスの全体バンド幅よりも小さい場合には、必要バンド幅に応じて、複数の分割メモリのうちの少なくとも1つによる動作を停止するようにしてもよい。これにより、消費電力を低減することができる。
【0067】
また、上記実施形態1,2において、必要バンド幅情報D3は、サブ機能ブロック111a,111b両方の必要バンド幅を示すものであったが、機能ブロック110の必要バンド幅を示す情報であれば、これに限らない。例えば、必要バンド幅取得部140が、サブ機能ブロック111a,111b両方の必要バンド幅の合計を算出して必要バンド幅情報D3として出力し、メモリバス調停部130が、この必要バンド幅情報D3に基づいて全機能ブロック110の必要バンド幅の合計を算出するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態1,2において、水平同期信号の周波数と1周期あたりの有効画素数とは、ハードウェアにより自動的に算出されるようになっていたが、ソフトウェアにより手動で設定されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係るメモリアクセス装置、及び映像処理システムは、全体のバンド幅が無駄なく使用され、その結果、バンド幅不足による動作の異常が生じにくくなるという効果を有し、映像データを記憶するメモリに対し、複数の機能ブロックによりデータバスを介したアクセスを行うメモリアクセス装置、及び当該メモリアクセス装置を備えた映像処理システムとして有用である。
【符号の説明】
【0070】
100 メモリアクセス装置
110 機能ブロック
111a,111b サブ機能ブロック
130 メモリバス調停部
140 必要バンド幅取得部
200 ユニファイドメモリ(メモリ)
303 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを記憶するメモリに対し、複数の機能ブロックによりデータバスを介したアクセスを行うメモリアクセス装置であって、
機能ブロック毎に設けられ、それぞれが、水平同期信号の水平周波数及び1周期あたりの有効画素数に基づいて、対応する機能ブロックの必要バンド幅を示す必要バンド幅情報を出力する必要バンド幅取得部と、
前記必要バンド幅取得部によって出力された必要バンド幅情報に基づいて、前記複数の機能ブロックの必要バンド幅の合計を算出し、算出した合計が前記データバスの全体バンド幅を超えているか否かを判定するメモリバス調停部とを備え、
前記メモリバス調停部により前記複数の機能ブロックの必要バンド幅の合計が前記全体バンド幅を超えていると判定された場合には、前記複数の機能ブロックの少なくとも1つの必要バンド幅が削減される一方、
前記メモリバス調停部により前記複数の機能ブロックの必要バンド幅の合計が前記全体バンド幅を超えていないと判定された場合には、前記複数の機能ブロックが前記必要バンド幅情報に示された必要バンド幅を使用して前記アクセスを行うことを特徴とするメモリアクセス装置。
【請求項2】
請求項1のメモリアクセス装置において、
前記メモリバス調停部により前記複数の機能ブロックの必要バンド幅の合計が前記全体バンド幅を超えていると判定された場合に、前記複数の機能ブロックの少なくとも1つの必要バンド幅は、前記アクセスの対象となる映像データの有効画素数又はビット数を減らすことにより削減されることを特徴とするメモリアクセス装置。
【請求項3】
請求項1のメモリアクセス装置において、
前記各機能ブロックは、前記メモリに対して映像データの読み出し又は書き込みのアクセスを行うサブ機能ブロックを複数備え、
前記メモリバス調停部により前記複数の機能ブロックの必要バンド幅の合計が前記全体バンド幅を超えていると判定された場合に、前記複数の機能ブロックの少なくとも1つの必要バンド幅は、当該機能ブロックが有する複数のサブ機能ブロックの少なくとも1つによる前記メモリに対するアクセスを停止することにより削減されることを特徴とするメモリアクセス装置。
【請求項4】
請求項1のメモリアクセス装置において、
前記メモリバス調停部によって算出された前記複数の機能ブロックの必要バンド幅の合計が前記全体バンド幅よりも小さい場合に、前記メモリの動作周波数を低くすることを特徴とするメモリアクセス装置。
【請求項5】
請求項1のメモリアクセス装置において、
前記メモリは、前記データバスのバンド幅を割り当てた複数の分割メモリにより構成され、各分割メモリは、割り当てられたバンド幅を使用して前記複数の機能ブロックによるアクセスを受けるものであり、
当該メモリアクセス装置は、前記メモリバス調停部によって算出された前記複数の機能ブロックの必要バンド幅の合計が前記全体バンド幅よりも小さい場合に、前記複数の分割メモリのうちの少なくとも1つによる動作を停止させることを特徴とするメモリアクセス装置。
【請求項6】
請求項1のメモリアクセス装置と、
前記メモリと、
前記メモリに書き込まれた映像データに応じた映像を出力する表示装置とを備えていることを特徴とする映像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−34495(P2011−34495A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182464(P2009−182464)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】