説明

メモリアダプタおよび音楽再生機器

【課題】メモリに記憶されているデータの内容を即座に識別可能とする技術を提供することを課題とする。
【解決手段】音楽プレーヤ12のケース120には開口窓123が設けられ、この開口窓123を介してカードスロット122内の空間が外部と連通している。ユーザは、ダウンロードした音楽データをメモリカード11に格納し、メモリカード11をメモリアダプタ15にセットする。カードスロット122にメモリアダプタ15を挿入すると、音楽プレーヤ12はメモリカード11にアクセス可能となる。また、メモリアダプタ15のケース表面に貼付されたジャケットシール141が外部から観察可能な状態となる。ジャケットシール141には、メモリカード11に格納された音楽アルバムのジャケットデザインが印刷されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規格の異なるメモリを利用する場合におけるデータの管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットのサイトから音楽データをダウンロードすることが可能である。ダウンロードした音楽データは、たとえば、携帯音楽プレーヤに格納される。従来、CDをCDプレーヤにセットして音楽を聴く、CDの内容をMDにコピーし、MDをMDプレーヤにセットして音楽を聴くという形態が一般的であったが、昨今では、CDやMDといった媒体を利用せず、メモリやハードディスクに格納された音楽を聴いて楽しむという利用形態が人気である。
【0003】
様々な携帯機器においてメモリカードが利用されている。そして、メモリカードの小型化が進んでいる。たとえば、SDカードの場合、最初は標準サイズのカードがデジタルカメラやパソコンなどで利用されていた。次に、標準サイズより小さいminiSDカードが携帯電話機などで利用されてきた。そして、昨今では、さらに、miniSDカードよりも小さいmicroSDカードが利用されている。携帯機器の高機能化、メモリカードの小型化、大容量化が進み、携帯機器とメモリカードを組み合わせたコンテンツの利用形態が多様化している。
【0004】
【非特許文献1】“シリコンオーディオとは”,PCView,NTT PC COMMUNICATIONS,[平成18年4月13日検索],インターネット<URL:http://www.pc-view.net/Help/manual/1203.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、音楽アルバムごとにCD(古くはレコード)やMDを所持する形態に加えて、最近では音楽データを大容量のメモリやハードディスクに一括して蓄積する形態が人気となってきている。利便性という点では、多数の媒体を所持するより、1つの内蔵メモリやハードディスクに大量の音楽データを格納しておく方が優れている。
【0006】
しかし、物を収集するという習慣は、人間が本来もっている習慣であり、それ自体に価値があるものである。かつて、レコードを収集していた人は、様々なデザインのジャケットを見て楽しんだものである。レコードを収集していた人にとって、レコードアルバムは単なる音楽が記録された媒体ではなく、あるいは単に音楽を楽しむための媒体というだけではなく、アルバムジャケットを含めてコレクションの対象でもあった。
【0007】
これに対して、内蔵メモリやハードディスクに音楽データを格納するという形態は、利便性の追求という点では常に受け入れられる技術であるが、物をコレクションするという習慣、趣向に対しては相反する技術である。
【0008】
また、内蔵メモリやハードディスクに音楽データを格納するという形態は、非常に多数の音楽データを格納できるという利点がある反面、どの音楽データが格納されているかを即座に知ることができず、しばしば楽曲の管理が煩雑になる場面が生じる。そして、そもそも大容量の記憶手段を備えるシリコンオーディオについては、格納されている音楽、つまりは聴くことができる音楽が非常に多数となり、機器本体を外部から観察しただけでは、どの音楽が再生可能であるかを即座に識別可能とすることは困難である。
【0009】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、メモリに記憶されているデータの内容を即座に識別可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、第1の規格のメモリカードに対応したカードスロットに挿入されるメモリアダプタであって、データの入出力を行うアダプタ入出力端子と、第2の規格のメモリカードを挿入する第1スロットと、第3の規格のメモリカードを挿入する第2スロットと、前記第1スロットに挿入された前記第2の規格のメモリカードの入出力端子と、前記アダプタ入出力端子とを接続する第1の接続手段と、前記第2スロットに挿入された前記第3の規格のメモリカードの入出力端子と、前記アダプタ入出力端子とを接続する第2の接続手段と、前記第1スロットに挿入される前記第2の規格のメモリカードまたは前記第2スロットに挿入される前記第3の規格のメモリカードに格納されているデータに関連する情報が印字されたシールを貼付するためのシール貼付領域と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のメモリアダプタにおいて、前記メモリアダプタの表面には、正面視で前記シールと略同形の凹部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のメモリアダプタにおいて、前記メモリアダプタの全体または一部にアダプタ識別情報が表示されるとともに、前記第2または第3の規格のメモリカードの全部または一部にメモリ識別情報が表示され、前記アダプタ識別情報と前記メモリ識別情報とを一致させることで、前記メモリアダプタと前記第2または第3の規格のメモリカードとを対応させて管理することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載のメモリアダプタにおいて、前記アダプタ識別情報および前記メモリ識別情報は色であり、色が一致するか否かにより、前記メモリアダプタと前記第2または第3の規格のメモリカードとを対応させて管理することを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項3に記載のメモリアダプタにおいて、前記アダプタ識別情報および前記メモリ識別情報は文字であり、文字が一致するか否かにより、前記メモリアダプタと前記第2または第3の規格のメモリカードとを対応させて管理することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のメモリアダプタにおいて、前記第1スロットに挿入される前記第2の規格のメモリカードまたは前記第2スロットに挿入される前記第3の規格のメモリカードに格納されているデータは音楽データであり、前記シールには、格納された音楽に関連する情報が印字されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項6に記載のメモリアダプタにおいて、前記音楽に関連する情報は、音楽アルバムのジャケットデザイン、を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項6または請求項7に記載のメモリアダプタが挿入されることで、前記第2または第3の規格のメモリカードに格納されている音楽データを再生する機器であって、前記機器の外形を形成するケースと、前記メモリアダプタを挿入するカードスロットと、を備え、前記カードスロット内の空間と外部空間とを遮蔽する前記ケースの一部に開口窓が設けられており、前記カードスロットに前記メモリアダプタが挿入されることで、前記メモリアダプタに貼付された前記シールが前記開口窓を介して外部から観察可能に構成されることを特徴とする。
【0018】
請求項9記載の発明は、所定の規格のメモリカードに対応したカードスロットに挿入されるメモリアダプタであって、データの入出力を行うアダプタ入出力端子と、前記所定の規格とは異なる複数の規格のメモリカードに対応した複数の別規格スロットと、各別規格スロットに挿入されるメモリカードの入出力端子と、前記アダプタ入出力端子とを接続する接続手段と、いずれかの別規格スロットに挿入されるメモリカードに格納されているデータに関連する情報が印字されたシールを貼付するためのシール貼付領域と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のメモリアダプタは、第1スロットに第2の規格のメモリカードが挿入され、第2スロットに第3の規格のメモリカードが挿入される。そして、それらメモリカードに格納されているデータに関連する情報が印字されたシールを貼付するための領域が設けられている。したがって、このメモリアダプタを利用すれば、複数の規格のメモリカードをメモリアダプタを介して電子機器等で利用可能であり、また、メモリカードに格納されている情報の内容をアダプタの表面を見るだけで把握することが可能である。
【0020】
また、メモリアダプタの表面には、正面視でシールと略同形の凹部が形成されている。このため、メモリアダプタをカードスロットに対してスムーズに出し入れすることができる。
【0021】
また、アダプタ識別情報とメモリ識別情報とを一致させることで、メモリアダプタとメモリカードとを対応させて管理するので、メモリカードをアダプタから外して利用する場合でも、管理が煩雑となることはない。
【0022】
そして、アダプタ識別情報およびメモリ識別情報は色であり、色が一致するか否かにより、メモリアダプタとメモリカードとを対応させて管理する。色で区別できるので、管理が容易である。
【0023】
また、アダプタ識別情報およびメモリ識別情報は文字であり、文字が一致するか否かにより、メモリアダプタとメモリカードとを対応させて管理する。文字により、比較的多数の組み合わせを持ってアダプタとメモリカードとを管理することが可能である。
【0024】
また、メモリカードに格納されているデータは音楽データであり、シールには、格納された音楽に関連する情報が印字されている。したがって、このメモリアダプタに格納されている音楽の内容を即座に把握することが可能である。
【0025】
また、シールには音楽アルバムのジャケットデザインが印字される。これにより、メモリアダプタを音楽アルバムのようにしてコレクションすることが可能である。
【0026】
また、本発明の音楽再生機器は、カードスロットにメモリアダプタが挿入されることで、メモリアダプタに貼付されたシールが開口窓を介して外部から観察可能に構成される。これにより、音楽再生機器に挿入されているメモリカードにどのような音楽データが格納されているかを即座に把握可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
{ダウンロードサービス}
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態に係る音楽データダウンロードサービスのイメージ図である。この音楽データダウンロードサービスは、CD、DVDなどの音楽コンテンツを製作しているレコード会社2と、レコード会社2により製作されたCD、DVDなどの音楽コンテンツを店頭販売するCDショップ1が提携することにより行われる。
【0028】
このサービスを受けるユーザは、まずCDショップ1(図1で示した「ABC RECORDS」)に訪れる。CDショップ1では、音楽CDや音楽DVDなどが店頭に陳列され、販売されている。それと合わせてCDショップ1では、図2に示すようなダウンロードセット用の棚10が設置されている。この棚10には、このダウンロードサービスに関わる商品、冊子などが陳列されている。この棚10には、図に示すように、メモリカード11,16、音楽プレーヤ12、フリーペーパー13(「ABC Friends」)、メモリアダプタ15が陳列されている。
【0029】
ユーザは、このCDショップ1でフリーペーパー13を入手する。フリーペーパー13には、このCDショップ1のキャンペーン情報、セール情報、各種音楽情報が記載されている。また、このフリーペーパー13には、図3に示すような広告ちらし14が挟まれている。広告ちらし14の内容については後で説明する。この実施の形態においては、広告ちらし14がフリーペーパー13に挿入されて配布されている場合を例に説明しているが、広告ちらし14が、有料の雑誌などに挿入されて配布されている形態であってもよい。あるいは、広告ちらし14が単体で無料で配布されている形態であってもよいし、広告ちらし14が単体で有料で販売されている形態であってもよい。
【0030】
ユーザは、フリーペーパー13を入手するとともに、必要に応じてメモリカード11やメモリカード16、さらに、メモリアダプタ15、音楽プレーヤ12を購入する。メモリカード11,16は、音楽データダウンロードサービスによりダウンロードした音楽データを格納するための媒体である。メモリアダプタ15は、音楽データが格納されたメモリカード11あるいはメモリカード16を音楽プレーヤ12に装着するためのアダプタである。音楽プレーヤ12は、メモリアダプタ15が挿入可能な音楽再生機器である。ユーザは、ダウンロードした音楽データをメモリカード11あるいはメモリカード16に格納し、メモリカード11あるいはメモリカード16をメモリアダプタ15にセットし、さらに、このメモリアダプタ15を音楽プレーヤ12に挿入することで、音楽を聴くことが可能である。
【0031】
図4(a)は、メモリアダプタ15の正面図であり、図4(b)は、メモリアダプタ15の背面図である。このメモリアダプタ15は、2つのカードスロット15a,15bを備えている。カードスロット15aには、図5に示すタイプのメモリカード11が挿入可能である。また、カードスロット15bには、図6に示すタイプのメモリカード16が挿入可能である。
【0032】
また、図4(a)に示すように、メモリアダプタ15の正面側のケース15dには、凹部15cが形成されている。この凹部15cには、シールが貼付されることになるが、その詳細については後で説明する。また、図4(b)に示すように、メモリアダプタ15の背面側のケース15eには、入出力端子151が配置されている。この入出力端子151は、メモリアダプタ15にセットされているメモリカード11あるいはメモリカード16と、電子機器側の制御部との間でデータの転送を行うためのインタフェースである。
【0033】
メモリアダプタ15は、異なる規格のメモリを利用するためのアダプタである。メモリアダプタ15自体は、ある規格(第1の規格とする。)のメモリカードと同じ仕様をしている。つまり、メモリアダプタ15は第1の規格のカードスロットを備えた電子機器に挿入することが可能であり、第1の規格のカードスロット内のインタフェースを介してデータの入出力が可能である。
【0034】
そして、メモリアダプタ15のカードスロット15aに、異なる別の規格(第2の規格とする。)のメモリカード11を挿入することで、第1の規格のカードスロットを備えた電子機器において、第2の規格のメモリカード11を利用可能としている。
【0035】
メモリアダプタ15は、さらに、カードスロット15bに別の異なる規格(第3の規格とする。)のメモリカード16を挿入することで、第1の規格のカードスロットを備えた電子機器において、第3の規格のメモリカード16を利用可能としている。
【0036】
たとえば、メモリアダプタ15が、標準のSDカードの規格に準拠しており、メモリカード11がmicroSDカード、メモリカード16がminiSDカードである場合などが例として挙げられる。
【0037】
図5(a)は、メモリカード11の正面図であり、図5(b)は、メモリカード11の背面図である。図に示すように、メモリカード11の背面側には、入出力端子11aが設けられている。メモリカード11は、この入出力端子11aを介して制御装置との間で記録しているデータの入出力を行う。
【0038】
図6(a)は、メモリカード16の正面図であり、図6(b)は、メモリカード16の背面図である。図に示すように、メモリカード16の背面側には、入出力端子16aが設けられている。メモリカード16は、この入出力端子16aを介して制御装置との間で記録しているデータの入出力を行う。
【0039】
図7は、メモリアダプタ15にメモリカード11をセットした状態を示す図である。このように、メモリカード11は、背面をメモリアダプタ15の正面側にして、カードスロット15aに挿入される。つまり、裏向きの状態でカードスロット15aに挿入されるので、メモリカード11の背面側に設けられた入出力端子11aは、メモリアダプタ15のケース15dの内壁側に接する位置に配置される。
【0040】
図8は、メモリアダプタ15にメモリカード16をセットした状態を示す図である。この図には、メモリカード16の背面側に位置する入出力端子16aも図示している。このように、メモリカード16は、正面をメモリアダプタ15の正面側にして、カードスロット15bに挿入される。つまり、表向きの状態でカードスロット15bに挿入されるので、メモリカード16の背面側に設けられた入出力端子16aは、メモリアダプタ15のケース15eの内壁側に接する位置に配置される。
【0041】
図7および図8から分かるように、メモリカード11とメモリカード16の挿入位置は、メモリアダプタ15の正面視でオーバーラップするようになっている。また、側面視においても、メモリカード11とメモリカード16の挿入位置はオーバーラップするようになっている。したがって、メモリカード11とメモリカード16が同時に2枚挿入されないような構造となっている。
【0042】
図9(a)は、メモリアダプタ15の正面側のケース15dを内側から見た図である。このケース15dの内側には、カードスロット15aに挿入されたメモリカード11の入出力端子11aに位置を合わせるようにして、入出力端子152が設けられている。つまり、メモリカード11をカードスロット15aに挿入している状態では、入出力端子11aと入出力端子152が接するようになっている。そして、この入出力端子152とメモリアダプタ15のアダプタ入出力端子151との間は、接続線153で接続されている。これにより、カードスロット15aに挿入されたメモリカード11が、入出力端子11a、入出力端子152、接続線153、アダプタ入出力端子151を介してデータ入出力することを可能としている。なお、アダプタ入出力端子151は、ケース15e側に取り付けられているが、図9(a)では、説明を分かり易くするために図示している。また、図では、複数の接続線153が交差しているように示されているが、それらは電気的には交わらないように配線されている。
【0043】
図9(b)は、メモリアダプタ15の背面側のケース15eを内側から見た図である。このケース15eの内側には、カードスロット15bに挿入されたメモリカード16の入出力端子16aに位置を合わせるようにして、入出力端子154が設けられている。つまり、メモリカード16をカードスロット15bに挿入している状態では、入出力端子16aと入出力端子154が接するようになっている。そして、この入出力端子154とメモリアダプタ15のアダプタ入出力端子151との間は、接続線155で接続されている。これにより、カードスロット15bに挿入されたメモリカード16が入出力端子16a、入出力端子154、接続線155、アダプタ入出力端子151を介してデータ入出力することを可能としている。
【0044】
図10は、メモリアダプタ15の断面図である。このように、ケース15dの内側に、入出力端子152および接続線153が設けられ、接続線153がアダプタ入出力端子151に接続されている。また、ケース15eの内側に、入出力端子154および接続線155が設けられ、接続線155がアダプタ入出力端子151に接続されている。
【0045】
本実施の形態においては、メモリカード11,16としてOTP(One Time Programmable)メモリを採用している。OTPメモリには、複数回のデータ書き込みを保障する機能を省くことで、MTP(Multi Time Programmable)メモリに比べて安価に提供されるタイプのものが存在する。メモリカード11,16として、このような安価なOTPメモリを利用することで、このダウンロードサービスを受けるユーザに対するコスト負担を小さくすることが可能である。
【0046】
このように、棚10には、ダウンロードした音楽データを格納するメモリカード11,16、メモリアダプタ15、ダウンロードした音楽データを再生する音楽プレーヤ12、各種音楽情報が記載されたフリーペーパー13が陳列されている。ユーザは、このダウンロードサービスを初めて受ける際には、音楽プレーヤ12とメモリカード11とメモリアダプタ15を購入する。あるいは、音楽プレーヤ12とメモリカード16とメモリアダプタ15を購入する。メモリカード11を選択するかメモリカード16を選択するかはユーザの自由である。たとえば、ユーザが所持する携帯電話機がメモリカード11に対応しているのであれば、携帯電話機での使用も想定して、メモリカード11を選択すればよい。2回目以降は、必要に応じてメモリカード11,16やメモリアダプタ15を買い足すことでダウンロードサービスを継続して受けることができる。また、ダウンロードする音楽データに関する情報はフリーペーパー13に挿入されている広告ちらし14から取得することが可能である。
【0047】
図3に示す広告ちらし14は、音楽データの宣伝広告とダウンロードのナビゲーション情報、ジャケットシール141が一つになった広告媒体である。この図の例では、広告ちらし14には、4つの音楽アルバムの宣伝広告がそれぞれアルバム情報欄140に区分けして記載されている。各アルバム情報欄140には、音楽アルバムのジャケットをデザインしたジャケットシール141が着脱可能に貼付されている。つまり、ジャケットシール141は、シール台紙に貼り付けられるとともに、その外周部が周囲の紙と切断されており、容易にシール台紙から剥がすことが可能となっている。ジャケットシール141の横には、音楽アルバムのアルバムタイトル142やアルバムの紹介文143が印刷されている。そして、アルバムの紹介文143の下部には、2次元コード144が印刷されている。
【0048】
2次元コード144には、このアルバム情報欄140で紹介されている音楽アルバムデータをダウンロードするためのURLがコード化されて記録されている。2次元コード144としては、たとえばQRコードが利用可能である。つまり、ダウンロードサイト21内のダウンロードページを指定したURLがアクセス情報として記録されている。ユーザは、2次元コード読み取り機能を備えた携帯電話機を所持している場合には、携帯電話機を利用して、この2次元コード144を読み取ることで、音楽データのダウンロードサイト21内のダウンロードページにアクセスするのである。そして、ユーザによりダウンロードの指示が行われることで、音楽アルバムのデータがダウンロードされるのである。
【0049】
また、2次元コード144の下部には、ダウンロードのリンクリスト145が印刷されている。ダウンロードのリンクリスト145とは、ダウンロードサイト21のトップ画面から選択された音楽アルバムデータをダウンロードするページまでのリンク関係を指定した情報である。一般に、「パンくずリスト」と呼ばれている情報である。たとえば、ダウンロードサイト21のトップ画面からのリストとして、“トップ>洋楽>80年代>(アーチスト名)>(アルバム名)”といったような情報が印刷されている。ユーザは、たとえば、パソコンを利用してダウンロードサイト21にアクセスし、このリストを辿ってダウンロードページを開くのである。その後は、ダウンロードを指示する操作を行うことで、音楽データをダウンロードすることが可能である。
【0050】
図1で示したように、ユーザは、CDショップ1でメモリカード11,16、メモリアダプタ15、音楽プレーヤ12を購入し、フリーペーパー13を入手する。そして、フリーペーパー13に挿入されている広告ちらし14を参照し、ダウンロードしたい音楽アルバムを選択する。そして、広告ちらし14に印刷されているアクセス情報(2次元コード144あるいはリンクリスト145)を利用して、音楽アルバムのデータをダウンロードするのである。
【0051】
なお、本実施の形態においては、広告ちらし14には、音楽アルバム単位での広告が表示されており、ダウンロードするデータの単位も音楽アルバムである場合を例に説明しているが、もちろん、このサービスはアルバム単位に限るサービスではない。シングルのダウンロードサービスにも適用可能である。この場合には、ジャケットシール141としてシングルCDのジャケットデザインを採用すればよい。
【0052】
図11は、ユーザが所持している携帯電話機3のブロック図である。この携帯電話機3は、2次元コード読み取り機能を備える機器である。図に示すように、この携帯電話機3は、CPUを含む制御部31と、十字カーソルや各種のボタンからなる操作部32と、たとえば液晶表示パネルなどのモニタ33とを備えている。また、この携帯電話機3は、2次元コード144を撮像するカメラ34と、カメラ34により撮像された2次元コードを解析する2次元コード解析部35と、携帯電話回線網を介してインターネットとの間でデータの送受信を行う通信部36とを備えている。携帯電話機3は、通信部36によりレコード会社2の運営するダウンロードサイト21にアクセスし、音楽アルバムのデータをダウンロードすることが可能である。さらに、携帯電話機3は、ダウンロードした音楽データを格納するメモリ37とメモリスロット38とを備えている。メモリスロット38にはメモリカード11あるいはメモリカード16がセットされ、メモリ37に格納されている音楽データが制御部31の制御によりメモリカード11あるいはメモリカード16に転送される。つまり、メモリスロット38がメモリカード11あるいはメモリカード16のいずれかの規格に対応している場合には、その対応したカードをメモリスロット38にセットする。あるいは、メモリスロット38が両方の規格に合わせた複数のスロットを備えていてもよい。
【0053】
ユーザが、この携帯電話機3を利用して音楽データをダウンロードする場合、カメラ34を利用して広告ちらし14に印刷されている2次元コード144を撮影する。これにより、2次元コード解析部35が2次元コード144を解析し、制御部31はアクセス情報を得る。このアクセス情報に従って通信部36が動作し、レコード会社2のダウンロードサイト21内のダウンロードページにアクセスする。モニタ33には、ダウンロードサイト21内のページが表示される。ユーザは、操作部32を操作して、ダウンロードの確認操作を行う。これにより、音楽アルバムのデータがダウンロードされ、メモリ37に格納されるのである。
【0054】
ユーザは、この音楽データを携帯電話機3で再生して音楽を楽しんでもよいが、さらに、メモリカード11あるいはメモリカード16に転送することができる。ユーザは、メモリスロット38に、CDショップ1で購入したメモリカード11あるいはメモリカード16を挿入する。そして、操作部32を操作して、メモリ37に格納されている音楽アルバムデータをメモリカード11あるいはメモリカード16に転送するのである。たとえば、1枚の音楽アルバムのデータが全てメモリカード11あるいはメモリカード16に転送される。このようにして、1枚の音楽アルバムに対応した1枚のメモリカード11あるいはメモリカード16が作成される。
【0055】
図12は、ユーザが所持しているパーソナルコンピュータ(PC)4のブロック図である。このPC4は、CPUを含む制御部41と、キーボード、マウス等からなる操作部42と、たとえば液晶表示ディスプレイなどのモニタ43とを備えている。また、このPC4は、LANを介してインターネットとの間でデータの送受信を行う通信部44を備えており、通信部44によりレコード会社2の運営するダウンロードサイト21にアクセスし、音楽アルバムのデータをダウンロードすることが可能である。さらに、PC4は、ダウンロードした音楽データを格納するハードディスク装置45とUSBインタフェース46とを備えている。USBインタフェース46にはメモリカードアダプタ47が接続され、ハードディスク装置45に格納されている音楽データが制御部41の制御によりメモリカードアダプタ47に装着されたメモリカード11あるいはメモリカード16に転送される。つまり、メモリカードアダプタ47がメモリカード11あるいはメモリカード16のいずれかの規格に対応している場合には、その対応したカードを装着する。あるいは、メモリカードアダプタ47が両方の規格に合わせた複数のスロットを備えていてもよい。
【0056】
ユーザが、このPC4を利用して音楽データをダウンロードする場合、まず、WEBブラウザまたは音楽ダウンロード用アプリケーションを起動し、ダウンロードサイト21にアクセスする。次に、ユーザは、広告ちらし14に印刷されているリンクリスト145を参照し、操作部42を操作してリンクリスト145に記載されている文字列を順に入力する。これにより、モニタ43に順次WEBページが表示される。そして、選択した音楽アルバムのダウンロードページが表示されたところで、ユーザは、操作部42を操作して、ダウンロードの確認操作を行う。これにより、音楽アルバムのデータがダウンロードされ、ハードディスク装置45に格納されるのである。なお、ダウンロードサイト21のトップ画面のURLは、たとえば、広告ちらし14に記載しておけばよい。
【0057】
ユーザは、この音楽データをPC4で再生して音楽を楽しんでもよいが、さらに、メモリカード11あるいはメモリカード16に転送することができる。ユーザは、メモリカードアダプタ47に、CDショップ1で購入したメモリカード11あるいはメモリカード16を挿入する。そして、操作部42を操作して、ハードディスク装置45に格納されている音楽アルバムデータをメモリカード11あるいはメモリカード16に転送するのである。たとえば、1枚の音楽アルバムのデータが全てメモリカード11あるいはメモリカード16に転送される。このようにして、1枚の音楽アルバムに対応した1枚のメモリカード11あるいはメモリカード16が作成される。なお、この実施の形態においては、ユーザがPC4を利用して音楽データをダウンロードする際にWEBブラウザを利用するようにしたが、音楽データのダウンロードに専用のアプリケーションプログラムを用意してもよい。そして、メモリカード11あるいはメモリカード16に対する書き込み処理も、この専用アプリケーションを利用して実行するようにしてもよい。
【0058】
なお、携帯電話機3を用いる場合には、2次元コード144を利用してダウンロードを行う場合を例に説明したが、もちろん、携帯電話機3を利用する場合であっても、リンクリスト145を利用してもよい。そして、ダウンロードサイト21が携帯電話のメニュー画面から指定可能であれば、広告ちらし14などにダウンロードサイトのトップ画面のURLを表示させておく必要がなく、リンクリスト145にしたがって操作するだけで、ダウンロードサイト21にアクセス可能である。
【0059】
以上説明したように、ユーザは、携帯電話機3あるいはPC4を操作して、音楽アルバムデータをダウンロードする。そして、ダウンロードした音楽アルバムデータをメモリカード11あるいはメモリカード16に格納する。
【0060】
次に、ユーザは、広告ちらし14からジャケットシール141を剥がしてメモリアダプタ15に貼付するのである。上述したように、アルバム情報欄140には、音楽アルバムのジャケットシール141とアクセス情報(2次元コード144またはリンクリスト145)がセットで印刷されている。つまり、この広告ちらし14で紹介されている音楽アルバムに関して、ダウンロードするためのアクセス情報と、アルバムジャケットをデザインされたシールが並べて表示されているのである。
【0061】
したがって、ユーザは、アクセス情報に従って音楽アルバムのデータを取得した後、ダウンロードした音楽アルバムのジャケットシール141をメモリアダプタ15に貼付する。そして、このメモリアダプタ15に音楽データを格納したメモリカード11(あるいはメモリカード16)を挿入することで、メモリカード11(あるいはメモリカード16)とメモリアダプタ15を、アルバムジャケット付きの音楽アルバムとして扱うことができるのである。単なる音楽データ(視覚的には無形なデータ)が格納されたメモリ媒体やハードディスク媒体とは異なり、あたかも、かつての音楽レコードアルバムのように、コレクションの対象となるアルバムを作成することができるのである。
【0062】
また、図13に示すように、CDショップ1で販売されているメモリアダプタ15には、ジャケットシール141を貼付するための凹部15cが形成されている。つまり、メモリアダプタ15のケース15dの表面に、ジャケットシール141の(正面視で)外形と略同じ(厳密には、シールを貼付するためわずかに大きい)サイズの薄い凹部15cが形成されているのである。この凹部15cは、ジャケットシール141の厚みと略同じ深さを持っていればよい。これにより、メモリアダプタ15にジャケットシール141を貼付したとしても、メモリアダプタ15の厚みが厚くなることはない。凹部15cの形成されていないメモリアダプタ15のケース表面にそのままシールを貼付すると、アダプタの厚みが厚くなり、メモリカードスロット内の部品に引っかかるという心配があるが、本実施の形態のメモリアダプタ15であれば、ジャケットシール141を貼付した場合であっても、スムーズにカードスロットから抜き差しすることが可能である。
【0063】
このようにして、ユーザは、ジャケットシール141が貼付されたメモリアダプタ15を作成することができる。ユーザは、CDショップ1で購入した音楽プレーヤ12に、このメモリカード11あるいはメモリカード16がセットされたメモリアダプタ15を挿入して、音楽アルバムを聴くのである。
【0064】
{音楽プレーヤ}
本実施の形態に係る音楽プレーヤ12は、メモリカード11あるいはメモリカード16が挿入されたメモリアダプタ15を挿入して音楽を再生する機器である。ここで、メモリアダプタ15を挿入して音楽を再生する機器と説明したが、本質的には、上述した第1の規格のメモリカードを挿入して音楽を再生する機器である。したがって、もちろん第1の規格のメモリカードに音楽データを格納し、第1の規格のメモリカードを挿入することで、音楽を再生することが可能である。
【0065】
音楽プレーヤ12は、音楽データを格納するための内蔵メモリや内蔵ハードディスクを備えておらず、メモリアダプタ15を挿入することによって音楽を再生可能としている。したがって、音楽プレーヤ12は、非常にコンパクトで薄型の機器であり、また、安価でユーザに提供可能な機器である。上述したように、安価なOTPメモリを使用していることとあわせて、音楽プレーヤ12についても安価に提供可能とし、ユーザに掛かるダウンロード費用以外のコストをなるべく低く抑えるサービス形態となっている。ただし、この構成は一例であり、もちろん音楽プレーヤ12が内蔵記憶装置を備える構成であってもよい。
【0066】
図14は、本実施の形態に係る音楽プレーヤ12の外観図である。図14(A)は、音楽プレーヤ12の正面図、図14(B)は側面図、図14(C)は背面図である。このように、音楽プレーヤ12は、薄型の携帯音楽再生装置であり、ヘッドホン19を接続して音楽を聴くことが可能である。音楽プレーヤ12は、装置の外形を形成するケース120内に、音楽データを再生するための各種の電子部品を内装している。また、装置の正面には、図14(A)に示すように操作部121を配置している。操作部121は、音楽の再生、早送り、巻戻し、一時停止などを指示するボタンで構成されている。
【0067】
また、音楽プレーヤ12の装置上部には、メモリアダプタ15を挿入するためのカードスロット122が設けられている。図15は、音楽プレーヤ12の平面図である。音楽プレーヤ12のケース120には、図15に示すように、装置上部にカードスロット122が設けられ、メモリアダプタ15を挿入可能となっている。なお、図15は、カードスロット122からメモリアダプタ15を取り去った状態の図である。先に、メモリアダプタ15については、ジャケットシール141が貼付されるケース表面をメモリアダプタ15の正面側として説明した。したがって、メモリアダプタ15がカードスロット122に挿入された状態では、メモリアダプタ15の正面側が音楽プレーヤ12の正面側に対向することとなる。
【0068】
さらに、図14(A)および図16に示すように、ケース120には装置正面側に略長方形状の開口窓123が設けられている。図16は、音楽プレーヤ12の側面断面図である。図16は、カードスロット122にメモリアダプタ15を挿入した状態の図である。このように、ケース120に開口窓123が設けられているので、図14(A)に示すように、カードスロット122にメモリアダプタ15を挿入した場合、メモリアダプタ15のケース表面に貼付したジャケットシール141が装置の外部から観察可能となっている。開口窓123の大きさは特に限定されるものではないが、好ましくはジャケットシール141の面積の80%程度が外部から観察可能な程度に形成されていることが好ましい。さらに好ましくは、ジャケットシール141の全体が外部から観察可能に開口窓123が形成されていることが好ましい。
【0069】
図17(A)は、メモリアダプタ15を挿入する前の状態の音楽プレーヤ12である。このように、ケース120の正面には、略長方形状の開口窓123が設けられ、カードスロット122の内部が見えている。そして、図17(B)に示すように、装置の上部からメモリアダプタ15を挿入する。これにより、図17(C)に示すように、メモリアダプタ15がカードスロット122内にセットされ、ケース表面のジャケットシール141が、開口窓123を通して外部から観察可能となっているのである。
【0070】
音楽プレーヤ12をこのように構成したことにより、ユーザは、現在音楽プレーヤ12に挿入されているメモリアダプタ15がどの音楽アルバムに対応したものかを即座に判断することが可能である。従来の音楽プレーヤであれば、まず、電源を入れて、液晶ディスプレイに表示された情報を参照して、メモリカード内にどの音楽データが格納されているかを確認していたが、本実施の形態の音楽プレーヤ12であれば、電源を入れることなく、格納されている音楽の内容を知ることができる。
【0071】
そして、開口窓123から観察できるシールジャケット141は、本実施の形態では音楽アルバムのデザインが印刷されているので、デザイン性にも優れている。このシールジャケット141のデザインが音楽プレーヤ12の外観にも作用することで、音楽プレーヤ12自体のデザインも美しくすることができる。また、ユーザは、従来のCD、MD、カセットテープを利用していた場合のように、メディアごとに楽曲の管理を行うことが可能である。
【0072】
図18は、音楽プレーヤ12のブロック図である。音楽プレーヤ12は、図に示すように、制御部1201、ヘッドホン端子1202、USBインタフェース1203、操作部121、カードスロット122を備えている。制御部1201は、音楽データを再生するための制御部であり、CPUやデコード回路、ワークメモリなどから構成されている。ヘッドホン端子1202には、図14で示したようにヘッドホン19が接続される。制御部1201は、カードスロット122に挿入されたメモリカード11から音楽データを読み出し、音楽データをデコード、再生してヘッドホン端子1202より出力するのである。
【0073】
ここで、メモリカード11あるいはメモリカード16には、一般のユーザによってデータ書き換えが不可能な記憶領域を備えており、その記憶領域にCDショップ1の識別情報が格納されている。つまり、この実施例であれば、メモリカード11あるいはメモリカード16が、「ABC RECORDS」によって提供されているカード(「ABC Card」)であることを示す識別情報が格納されている。この実施の形態では、CDショップ1(「ABC RECORDS」)とレコード会社2が提携してサービスを提供しているので、各種商品の供給元、サービスの提供元としては、CDショップ1とレコード会社2とは同一視できる。したがって、この識別情報は、音楽データの供給元を識別する情報でもある。つまり、ダウンロードサイト21を利用して音楽データを配信しているコンテンツプロバイダとしてのレコード会社2を識別する情報でもある。
【0074】
上記の実施の形態において、PC4で音楽アルバムデータをダウンロードし、メモリカード11あるいはメモリカード16に格納可能であると説明したが、このとき、PC4においてはCDショップ1が提供している専用アプリケーションを利用し、メモリカード11あるいはメモリカード16を認識するようにすることが可能である。
【0075】
この方法を実行する場合、ユーザは、PC4のUSBインタフェース46と音楽プレーヤ12のUSBインタフェース1203とをUSBケーブルで接続する。そして、ユーザは、PC4において、CDショップ1により提供されている専用アプリケーションを起動するのである。この専用アプリケーションは、ダウンロードサイト21からダウンロードした音楽アルバムデータをPC4上で再生したり、メモリカード11あるいはメモリカード16に転送したりするためのアプリケーションプログラムである。
【0076】
そして、この専用アプリケーションは、USB経由で音楽プレーヤ12と通信を行い、メモリカード11あるいはメモリカード16に記録されている識別情報を取得するのである。なお、音楽プレーヤ12の制御部1201は、カードスロット122に挿入されているメモリカード11あるいはメモリカード16にアクセスして識別情報を読取ることが可能となっている。そして、専用アプリケーションは、このメモリカード11あるいはメモリカード16がCDショップ1により提供されたカードであることを認識すると、メモリカード11あるいはメモリカード16に対する音楽アルバムデータの転送を許可するのである。
【0077】
もしくは、メモリカード11あるいはメモリカード16がCDショップ1により提供されたカードであることを認識すると、専用アプリケーションは、特典コンテンツのダウンロードを許可するのである。そして、ダウンロードした特典コンテンツをメモリカード11あるいはメモリカード16に転送することを許可するのである。具体的には、専用アプリケーションによって表示されるダウンロード画面に、「特典コンテンツメニュー」が表示されるようになる。あるいは、初めから特典コンテンツメニューは表示されているが、条件に合うメモリカード11あるいはメモリカード16が挿入されていない場合には、特典コンテンツメニューのボタンが無効化されており、条件に合うカードが認識されたところで、当該ボタンが有効化されるのである。
【0078】
このような仕組みとすることで、安価に提供するメモリカード11あるいはメモリカード16に格納できるデータに制限を加え、ダウンロードの促進効果を得ることができる。なお、ここでは、音楽プレーヤ12がメモリカード11あるいはメモリカード16に記録されている識別情報を認識し、PC4で動作する専用アプリケーションが音楽プレーヤ12と通信することで識別情報を取得するようにした。これ以外に、携帯電話機やPCのメモリスロットにメモリカード11あるいはメモリカード16が挿入されている場合、または、USBケーブルなどを経由してメモリカード11あるいはメモリカード16を認識している場合、携帯電話機やPCがメモリカード11あるいはメモリカード16に記録されている識別情報を認識するようにしてもよい。この場合、携帯電話機やPCには、READ/WRITE用の通常のドライバに加えて、CP(コンテンツプロバイダ)識別情報認識機能を備えたドライバを実装させるようにすればよい。このような構成とすることで、上記の場合と同様、携帯電話機やPCは、条件に合うカードを認識すると、ダウンロードした音楽データをメモリカードに転送したり、特典コンテンツをダウンロードしてメモリカードに転送したりすることができる。
【0079】
{メモリアダプタとメモリカードとの対応付け}
以上説明したように、メモリカード11あるいはメモリカード16に音楽データが格納され、メモリアダプタ15にジャケットシール141が貼付されると、ユーザは、このメモリアダプタ15にメモリカード11あるいはメモリカード16を挿入した状態で、音楽アルバムとしてコレクションすることができる。かつて、音楽レコードをコレクションしたように、メモリアダプタ15とメモリカード11(あるいはメモリカード16)をセットとしてコレクションして楽しむことができるのである。
【0080】
ただし、メモリカード11あるいはメモリカード16は、メモリアダプタ15から取り外して利用可能である。たとえば、メモリカード11を携帯電話機に挿入して携帯電話機で音楽を聴くことも可能である。このような利用をした場合、メモリアダプタ15には、ジャケットシール141が貼付されているが、メモリカード11にはジャケットシール141が貼付されていないため、両者の対応付けが分からなくなるおそれがある。
【0081】
そこで、本実施の形態においては、図19に示すように、メモリアダプタ15の識別情報表示部15fと、メモリカード11の識別情報表示部11bに両者を対応付けるための色を印字するようにしている。同様に、メモリカード16についても、識別情報表示部16bに色を印字するようにしている。
【0082】
つまり、CDショップ1では、識別情報表示部15fの色が異なる複数パターンのメモリアダプタ15が販売されており、また、識別情報表示部11bの色が異なる複数パターンのメモリカード11が販売されているのである。同様に、識別情報表示部16bの色が異なる複数パターンのメモリカード16が販売されているのである。たとえば、CDショップ1において、10色のパターンのメモリアダプタ15が販売され、それと同じ10色のパターンのメモリカード11が販売される。
【0083】
そして、ユーザは、識別情報表示部15fと識別情報表示部11bの色が同じメモリアダプタ15とメモリカード11を購入し、これらをセットとして保管すればよいのである。このようにすることで、色の数には制限があるため、全てのコレクションを一意に区別することは難しいが、複数種類の色を利用してメモリアダプタ15とメモリカード11をセットで管理することで、管理の煩雑さを軽減させることが可能である。
【0084】
図19では、メモリカード11およびメモリカード16について、カードの端部に識別情報表示部11b、16bを配置するようにしている。つまり、メモリカード11やメモリカード16をメモリアダプタ15に挿入したとき、外部に露出する部分を識別情報表示部11b,16bとしている。これにより、メモリカード11やメモリカード16がメモリアダプタ15に挿入された場合でも、メモリカード側の色が識別できるようにしている。もちろん、メモリアダプタ15やメモリカード11,16の全体を色で識別するようにしてもよい。
【0085】
このように、メモリアダプタ15とメモリカード11,16に識別情報として色を利用する場合を例に説明したが、色以外に文字を利用してもよい。たとえば、1から100番までの番号を識別情報として利用すれば、100パターンでメモリアダプタ15とメモリカード11をセットで管理することが可能である。メモリカード16についても同様である。また、上記の例では、メモリアダプタ15のケース自体に色を印字させたり、あるいは文字を印字させたりする場合を説明したが、ジャケットシール141に識別情報表示部を設けるようにしてもよい。つまり、ジャケットシール141に、メモリカード11,16との対応付けを行うための色あるいは文字を印字するようにしてもよい。この場合であれば、メモリアダプタ15としては1種類を用意すればよく、ジャケットシール141に色別のパターンを用意すればよい。
【0086】
以上、本発明のメモリアダプタ15、音楽プレーヤ12等について説明したが、本発明は、音楽再生用途に限定されるものではなく、その他一般の電子機器にも適用可能である。たとえば、静止画を表示する画像表示機器や動画を再生する動画再生機器に適用させてもよい。この場合であっても、メモリカードに格納されている画像や動画の内容に関わる情報をメモリアダプタ15の表面に表示しておけば、電子機器に設けられた開口窓を通してメモリカードに格納された画像や動画の内容を即座に識別可能である。その他、本発明をICレコーダに適用させてもよい。ICレコーダに挿入するメモリアダプタに、記録されている音声に関わる情報を表示させると利便性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施の形態に係る音楽データダウンロードサービスのイメージ図である。
【図2】CDショップに設置される棚の概観図である。
【図3】広告ちらしのイメージ図である。
【図4】メモリアダプタの正面図および背面図である。
【図5】第2の規格のメモリカードの正面図および背面図である。
【図6】第3の規格のメモリカードの正面図および背面図である。
【図7】第2の規格のメモリカードがメモリアダプタに挿入された状態を示す図である。
【図8】第3の規格のメモリカードがメモリアダプタに挿入された状態を示す図である。
【図9】メモリアダプタの入出力端子を示す図である。
【図10】メモリアダプタの入出力端子を示す側面断面図である。
【図11】携帯電話機のブロック図である。
【図12】パーソナルコンピュータのブロック図である。
【図13】メモリアダプタに形成されたシール貼付用の凹部を示す図である。
【図14】音楽プレーヤの外観図である。
【図15】音楽プレーヤのカードスロットを示す平面図である。
【図16】音楽プレーヤのカードスロットを示す側面断面図である。
【図17】カードスロットにメモリカードを挿入した状態と取り外した状態を比較して示す図である。
【図18】音楽プレーヤのブロック図である。
【図19】メモリアダプタとメモリカードに識別情報を表示させた図である。
【符号の説明】
【0088】
1 CDショップ
2 レコード会社
3 携帯電話機
4 パーソナルコンピュータ
11 メモリカード
12 音楽プレーヤ
13 フリーペーパー
14 広告ちらし
15 メモリアダプタ
15a カードスロット
15b カードスロット
16 メモリカード
120 ケース
122 カードスロット
123 開口窓
140 音楽アルバム情報欄
141 ジャケットシール
144 2次元コード
145 リンクリスト(パンくずリスト)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の規格のメモリカードに対応したカードスロットに挿入されるメモリアダプタであって、
データの入出力を行うアダプタ入出力端子と、
第2の規格のメモリカードを挿入する第1スロットと、
第3の規格のメモリカードを挿入する第2スロットと、
前記第1スロットに挿入された前記第2の規格のメモリカードの入出力端子と、前記アダプタ入出力端子とを接続する第1の接続手段と、
前記第2スロットに挿入された前記第3の規格のメモリカードの入出力端子と、前記アダプタ入出力端子とを接続する第2の接続手段と、
前記第1スロットに挿入される前記第2の規格のメモリカードまたは前記第2スロットに挿入される前記第3の規格のメモリカードに格納されているデータに関連する情報が印字されたシールを貼付するためのシール貼付領域と、
を備えることを特徴とするメモリアダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載のメモリアダプタにおいて、
前記メモリアダプタの表面には、正面視で前記シールと略同形の凹部が形成されていることを特徴とするメモリアダプタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のメモリアダプタにおいて、
前記メモリアダプタの全体または一部にアダプタ識別情報が表示されるとともに、前記第2または第3の規格のメモリカードの全部または一部にメモリ識別情報が表示され、前記アダプタ識別情報と前記メモリ識別情報とを一致させることで、前記メモリアダプタと前記第2または第3の規格のメモリカードとを対応させて管理することを特徴とするメモリアダプタ。
【請求項4】
請求項3に記載のメモリアダプタにおいて、
前記アダプタ識別情報および前記メモリ識別情報は色であり、色が一致するか否かにより、前記メモリアダプタと前記第2または第3の規格のメモリカードとを対応させて管理することを特徴とするメモリアダプタ。
【請求項5】
請求項3に記載のメモリアダプタにおいて、
前記アダプタ識別情報および前記メモリ識別情報は文字であり、文字が一致するか否かにより、前記メモリアダプタと前記第2または第3の規格のメモリカードとを対応させて管理することを特徴とするメモリアダプタ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のメモリアダプタにおいて、
前記第1スロットに挿入される前記第2の規格のメモリカードまたは前記第2スロットに挿入される前記第3の規格のメモリカードに格納されているデータは音楽データであり、前記シールには、格納された音楽に関連する情報が印字されていることを特徴とするメモリアダプタ。
【請求項7】
請求項6に記載のメモリアダプタにおいて、
前記音楽に関連する情報は、
音楽アルバムのジャケットデザイン、
を含むことを特徴とするメモリアダプタ。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のメモリアダプタが挿入されることで、前記第2または第3の規格のメモリカードに格納されている音楽データを再生する機器であって、
前記機器の外形を形成するケースと、
前記メモリアダプタを挿入するカードスロットと、
を備え、
前記カードスロット内の空間と外部空間とを遮蔽する前記ケースの一部に開口窓が設けられており、前記カードスロットに前記メモリアダプタが挿入されることで、前記メモリアダプタに貼付された前記シールが前記開口窓を介して外部から観察可能に構成されることを特徴とする音楽再生機器。
【請求項9】
所定の規格のメモリカードに対応したカードスロットに挿入されるメモリアダプタであって、
データの入出力を行うアダプタ入出力端子と、
前記所定の規格とは異なる複数の規格のメモリカードに対応した複数の別規格スロットと、
各別規格スロットに挿入されるメモリカードの入出力端子と、前記アダプタ入出力端子とを接続する接続手段と、
いずれかの別規格スロットに挿入されるメモリカードに格納されているデータに関連する情報が印字されたシールを貼付するためのシール貼付領域と、
を備えることを特徴とするメモリアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−323189(P2007−323189A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150408(P2006−150408)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(504134265)株式会社メガチップスLSIソリューションズ (114)
【Fターム(参考)】