説明

メモリ保護システム

【課題】メモリ部が破壊されるのを抑制することが可能なメモリ保護システムを提供する。
【解決手段】このメモリカード保護システム1(メモリ保護システム)は、バスライン60を互いに共用するフラッシュメモリ部20およびメモリカード30と、バスライン60を介してフラッシュメモリ20およびメモリカード30と接続され、フラッシュメモリ20およびメモリカード30を制御する制御部10と、フラッシュメモリ20に電圧を供給する電源部40とを備えている。そして、バスライン60を介して制御部60からフラッシュメモリ部20へアクセスされる間に、電源部40からフラッシュメモリ部20へ電圧を供給するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、メモリ保護システムに関し、特に、バスラインを互いに共用するとともに、データを記憶する第1メモリ部および第2メモリ部を備えたメモリ保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バスラインを互いに共用するとともに、データを記憶する第1メモリ部および第2メモリ部を備えたシステムおよび装置が開示されている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
上記特許文献1には、RAM(メモリ部)と、不揮発性メモリ(メモリ部)と、RAMおよび不揮発性メモリを制御するためのコントローラ(制御部)と、制御信号およびアドレス信号を伝送するための制御バスと、データ信号を伝送するためのデータバスとを備えた制御システムが開示されている。この特許文献1に記載の制御システムでは、RAMおよび不揮発性メモリは、データバスによってそれぞれ独立してコントローラに接続されている一方、制御バスを互いに共用してコントローラに接続されている。
【0004】
上記特許文献2には、メモリカードが挿入された複数のカードスロットと、メモリカードおよびカードスロットを制御するホスト(制御部)と、ホストと複数のカードスロットとを接続する信号線および伝送線とを備えた共有バスシステムが開示されている。この特許文献2に記載の共有バスシステムでは、複数のカードスロットは、信号線を互いに共有(共用)してホストに接続されているとともに、伝送線によって複数のカードスロットはそれぞれ独立にホストに接続されている。そして、伝送線を介して複数のカードスロットのうち所定のカードスロットに電圧が供給されることにより、所定のカードスロットのみが共有の信号線を介してホストの信号に応答することができるように構成されている。
【0005】
上記特許文献3には、データを記憶するためのメモリ装置と、アドレスを一時的に記憶するためのラッチを備えたメモリ装置と、CPUと、2つのメモリ装置にアクセスするためのアドレス線と、データを伝送するためのデータ線とを備えた情報処理装置が開示されている。この特許文献3に記載された情報処理装置では、2つのメモリ装置はアドレス線およびデータ線を互いに共用してCPUに接続されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−203044号公報
【特許文献2】特開2003−99386号公報
【特許文献3】特開平5−67032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の制御システムでは、コントローラとRAM(メモリ部)および不揮発性メモリ(メモリ部)とが互いに制御バスを共用して接続されているので、一方のメモリ部に電源が供給されていない状態において他方のメモリ部に電源が供給された場合、制御バスを介して、電源が供給されていない状態にある一方のメモリにも電源電圧が供給される。この場合、電源電圧が供給されたことにより一方のメモリは動作を開始するが、その一方のメモリに対しては、微小な電流の電源電圧が供給されることに起因して十分な供給能力がないために正常な動作を行うことができず、その結果、動作を開始した一方のメモリ部が破壊される場合があるという問題点がある。
【0008】
また、上記特許文献2に記載の共有バスシステムでは、ホストと複数のカードスロットとが互いに信号線を共有して接続されているので、一方のカードスロットに挿入されたメモリカードに電源が供給されていない状態において他方のカードスロットに挿入されたメモリカードに電源が供給された場合、信号線を介して、電源が供給されていない状態である一方のカードスロットに挿入されたメモリカードに微小な大きさの電源電圧が供給される。この場合、上記特許文献1と同様、電源電圧が供給されたことにより一方のカードスロットに挿入されたメモリカードは動作を開始するが、その一方のメモリに対しては、微小な電流の電源電圧が供給されることに起因して十分な供給能力がないために正常な動作を行うことができず、その結果、動作を開始した一方のカードスロットに挿入されたメモリカードが破壊される場合があるという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献3に記載の情報処理装置では、CPUと2つのメモリ装置とが互いにアドレス線およびデータ線を共用して接続されているので、一方のメモリ装置に電源が供給されていない状態において他方のメモリ装置に電源が供給された場合、アドレス線およびデータ線を介して電源が供給されていない状態である一方のメモリ装置に微小な大きさの電源電圧が供給される。この場合、上記特許文献1および2と同様、電源電圧が供給されたことにより一方のメモリ装置は動作を開始するが、その一方のメモリに対しては、微小な電流の電源電圧が供給されることに起因して十分な供給能力がないために正常な動作を行うことができず、その結果、動作を開始した一方のメモリ装置が破壊される場合があるという問題点がある。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、メモリ部が破壊されるのを抑制することが可能なメモリ保護システムを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
この発明の第1の局面によるメモリ保護システムは、バスラインを互いに共用するとともに、データを記憶する第1メモリ部および外部メモリを含む第2メモリ部を備えたメモリ保護システムにおいて、バスラインを介して第1メモリ部および第2メモリ部と接続され、第1メモリ部および第2メモリ部を制御するための制御部と、外部メモリが装着されているか否かを検知する検知手段と、第2メモリ部に電圧を供給する電源部と、第2メモリ部と電源部との間に配置され、制御部からの制御信号に応じてオンオフ制御が行われるスイッチ部とをさらに備え,バスラインは、制御部と第1メモリ部および第2メモリ部との間でデータの伝送を行う複数のデータラインと、制御部から第1メモリ部に制御信号を伝送するための第1制御ラインと、第1制御ラインとは独立して設けられ、制御部から第2メモリ部に制御信号を伝送するための第2制御ラインとを含み、複数のデータラインの一部が第1メモリ部および第2メモリ部の間で共用され、制御部から第1メモリ部へのアクセスの開始前に、電源部から第2メモリ部への電圧の供給が開始され、制御部から第1メモリ部へのアクセスの終了後に、電源部から第2メモリ部への電圧の供給が終了されることにより、検知手段により外部メモリが装着されていることが検知された場合、バスラインを介して制御部から第1メモリ部へアクセスされる間に、電源部から第2メモリ部へ電圧が供給される。
【0012】
この第1の局面によるメモリ保護システムでは、上記のように、バスラインを互いに共用する第1メモリ部および第2メモリ部と、バスラインを介して第1メモリ部および第2メモリ部と接続され、第1メモリ部および第2メモリ部を制御する制御部と、第2メモリ部に電圧を供給する電源部とを設け、バスラインを介して制御部から第1メモリ部へアクセスされる間に、電源部から第2メモリ部へ電圧を供給するように構成することによって、バスラインを介して制御部から第1メモリ部へアクセスされる場合、正常に動作するための十分な大きさの供給能力(電流)を有する電圧を第2メモリ部に供給することができるので、バスラインを介して第2メモリ部に微小な電流(供給能力)で電圧が供給された場合にも、第2メモリ部が破壊されるのを抑制することができる。
【0013】
また、第1の局面によるメモリ保護システムでは、第2メモリ部と電源部との間に配置され、制御部からの制御信号に応じてオンオフ制御が行われるスイッチ部を設けることによって、電源部による第2メモリ部への電圧の供給を制御することができるので、バスラインを介して制御部から第1メモリ部へアクセスされていない間に、第2メモリ部に電圧が供給されるのを抑制することができる。したがって、消費電力を低減することができる。また、第2メモリ部は、外部メモリを含み、外部メモリが装着されているか否かを検知する検知手段をさらに設け、検知手段により外部メモリが装着されていることが検知された場合に、バスラインを介して制御部から第1メモリ部へアクセスされる間に、電源部から第2メモリ部へ電圧を供給することによって、外部メモリが装着されていない場合に、外部メモリに電源部から電圧が供給されるのを抑制することができるので、消費電力をより低減することができる。また、制御部から第1メモリ部へのアクセスの開始前に、電源部から第2メモリ部への電圧の供給が開始され、制御部から第1メモリ部へのアクセスの終了後に、電源部から第2メモリ部への電圧の供給を終了するように構成することによって、制御部から第1メモリ部へのアクセスが行われている間は、常時、電源部から第2メモリ部へ電圧を供給することができるので、第2メモリ部が破壊されるのをより確実に抑制することができる。また、バスラインは、制御部と第1メモリ部および第2メモリ部との間でデータの伝送を行う複数のデータラインと、制御部から第1メモリ部に制御信号を伝送するための第1制御ラインと、第1制御ラインとは独立して設けられ、制御部から第2メモリ部に制御信号を伝送するための第2制御ラインとを含み、複数のデータラインの一部が第1メモリ部および第2メモリ部の間で共用させることによって、第1メモリ部および第2メモリ部に容易にデータラインを共用させることができる。
【0014】
この発明の第2の局面によるメモリ保護システムでは、バスラインを互いに共用するとともに、データを記憶する第1メモリ部および第2メモリ部と、バスラインを介して第1メモリ部および第2メモリ部と接続され、第1メモリ部および第2メモリ部を制御する制御部と、第2メモリ部に電圧を供給する電源部とを備え、バスラインを介して制御部から第1メモリ部へアクセスされる間に、電源部から第2メモリ部へ電圧が供給されるように構成されている。
【0015】
この第2の局面によるメモリ保護システムでは、上記のように、バスラインを互いに共用する第1メモリ部および第2メモリ部と、バスラインを介して第1メモリ部および第2メモリ部と接続され、第1メモリ部および第2メモリ部を制御する制御部と、第2メモリ部に電圧を供給する電源部とを設け、バスラインを介して制御部から第1メモリ部へアクセスされる間に、電源部から第2メモリ部へ電圧を供給するように構成することによって、バスラインを介して制御部から第1メモリ部へアクセスされる場合、正常に動作するための十分な大きさの供給能力(電流)を有する電圧を第2メモリ部に供給することができるので、バスラインを介して第2メモリ部に微小な電流(供給能力)で電圧が供給された場合にも、第2メモリ部が破壊されるのを抑制することができる。
【0016】
上記第2の局面によるメモリ保護システムにおいて、好ましくは、第2メモリ部と電源部との間に配置され、制御部からの制御信号に応じてオンオフ制御が行われるスイッチ部をさらに設ける。このように構成すれば、電源部による第2メモリ部への電圧の供給を制御することができるので、バスラインを介して制御部から第1メモリ部へアクセスされていない間に、第2メモリ部へ電圧が供給されるのを抑制することができる。したがって、消費電力を低減することができる。
【0017】
上記第2の局面によるメモリ保護システムにおいて、好ましくは、制御部から第1メモリ部へのアクセスの開始前に、電源部から第2メモリ部への電圧の供給が開始され、制御部から第1メモリ部へのアクセスの終了後に、電源部から第2メモリ部への電圧の供給が終了される。このように構成すれば、制御部から第1メモリ部へのアクセスが行われている間は、常時、電源部から第2メモリ部へ電圧を供給することができるので、第2メモリ部が破壊されるのをより確実に抑制することができる。
【0018】
上記第2の局面によるメモリ保護システムにおいて、好ましくは、バスラインは、制御部と第1メモリ部および第2メモリ部との間でデータの伝送を行う複数のデータラインと、制御部から第1メモリ部に制御信号を伝送するための第1制御ラインと、第1制御ラインとは独立して設けられ、制御部から第2メモリ部に制御信号を伝送するための第2制御ラインとを含み、複数のデータラインの一部が第1メモリ部および第2メモリ部の間で共用される。このように構成すれば、第1メモリ部および第2メモリ部に容易にデータラインを共用させることができる。
【0019】
上記第2の局面によるメモリ保護システムにおいて、好ましくは、第2メモリ部は、外部メモリを含み、外部メモリが装着されているか否かを検知する検知手段をさらに設け、検知手段により外部メモリが装着されていることが検知された場合に、バスラインを介して制御部から第1メモリ部へアクセスされる間に、電源部から第2メモリ部へ電圧が供給される。このように構成すれば、外部メモリが装着されていない場合に、外部メモリに電源部から電圧が供給されるのを抑制することができるので、消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるメモリカード保護システムの全体構成を説明するための概略図である。まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態によるメモリカード保護システム1の構成について説明する。なお、メモリカード保護システム1は、本発明の「メモリ保護システム」の一例である。
【0022】
本発明の第1実施形態のメモリカード保護システム1は、図1に示すように、制御部10と、内蔵メモリとしてのフラッシュメモリ部20と、外部メモリとしてのメモリカード30と、メモリカード30に電圧を供給するための電源部40と、バイポーラトランジスタ(PNPトランジスタ)からなるスイッチングトランジスタ50と、バスライン60と、フラッシュメモリ部20に電圧を供給するための電源部70と、メモリカード30に挿入されているのを検知するためのメモリカード検知部80と、スイッチングトランジスタ50のベースに流れ込む電流量を制御するための抵抗90とを備えている。フラッシュメモリ部20は、たとえば、動作プログラムやフラッシュメモリ部20が搭載される機器の設定情報を記憶するために設けられている。なお、フラッシュメモリ部20は、本発明の「第1メモリ部」の一例である。また、メモリカード30は、本発明の「第2メモリ部」の一例であり、メモリカード検知部80は、本発明の「検知手段」の一例である。
【0023】
また、メモリカード30には、データを保存するためのメモリ部30aと、メモリカード30を制御するためのコントローラ30bとが設けられている。
【0024】
ここで、第1実施形態では、スイッチングトランジスタ50は、メモリカード30と電源部40との間に配置され、制御部10からの制御信号に基づいてオンオフ制御が行われるように構成されている。なお、スイッチングトランジスタ50は、本発明の「スイッチ部」の一例である。
【0025】
また、第1実施形態では、制御部10とフラッシュメモリ部20およびメモリカード30とは、バスライン60によって接続されている。具体的には、バスライン60は、制御部10とフラッシュメモリ部20との間でデータの伝送を行うための第1データライン60aと、制御部10とメモリカード30のコントローラ30bとの間でデータの伝送を行う第2データライン60bと、制御部10からフラッシュメモリ部20に対してコマンド信号(制御信号)を伝送するための第1コマンドライン60cと、第2コマンドライン60dとによって構成されている。また、第2データライン60bは、第1データライン60aから分岐することにより設けられている。すなわち、第1データライン60aは、フラッシュメモリ部20およびメモリカード30の間で共用されている。なお、第1データライン60aおよび第2データライン60bは、本発明の「複数のデータライン」の一例である。また、第1コマンドライン60cは、本発明の「第1制御ライン」の一例であり、第2コマンドライン60dは、本発明の「第2制御ライン」の一例である。
【0026】
また、第1実施形態では、制御部10は、第1データライン60aおよび第2データライン60bを介して制御部10からフラッシュメモリ部20へアクセスする間に、スイッチングトランジスタ50をオンさせることにより、メモリカード30へ電源部40の電圧を供給するように制御するように構成されている。また、フラッシュメモリ部20に電圧を供給するための電源部70は、たとえば、フラッシュメモリ部20が接続される機器の電源スイッチ(図示せず)をオン状態にしたときにオンするように構成されている。
【0027】
図2は、図1に示した本発明の第1実施形態によるメモリカード保護システムのメモリカードを保護するための制御フローを示したフローチャートである。図3は、図1に示した本発明の第1実施形態によるメモリカード保護システムのフラッシュメモリ部とメモリカードとの動作時間を説明するための図である。図4は、図1に示した本発明の第1実施形態によるメモリカード保護システムのメモリカード部の詳細な動作時間を説明するための図である。次に、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態によるメモリカード保護システム1におけるメモリカード30を保護するための制御について説明する。
【0028】
まず、図2に示す、ステップS1において、制御部10により、メモリカード30に対するアクセス指示があるか否かが判断される。ステップS1において、メモリカード30に対するアクセス指示がないと判断された場合には、ステップS2において、フラッシュメモリ部20に対して読み出しまたは書き込みの指示があるか否かが判断される。ステップS2において、フラッシュメモリ部20に対して読み出しまたは書き込みの指示がないと判断された場合、ステップS1に戻り、ステップS1からの動作を繰り返し行う。また、ステップS2において、フラッシュメモリ部20に対して読み出しまたは書き込みの指示があると判断された場合、ステップS3に進む。そして、ステップS3において、制御部10から抵抗90を介してスイッチングトランジスタ50のベースに電流が供給されることによって、スイッチングトランジスタ50がオンされることにより、電源部40からメモリカード30に十分な供給能力で電圧が供給されて(図1の矢印A)、メモリカード30はオン状態になる。その後、ステップS4において、制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスが開始される。
【0029】
そして、ステップS5において、制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスが終了したか否かが判断される。ステップS5において、フラッシュメモリ部20へのアクセスが終了していないと判断された場合には、ステップS5の判断が繰り返される。また、ステップS5において、フラッシュメモリ部20へのアクセスが終了したと判断された場合には、ステップS6に進む。そして、ステップS6において、制御部10からスイッチングトランジスタ50のベースへの電流の供給が停止されることによって、スイッチングトランジスタ50がオフされることにより、メモリカード30への電源部40からの電圧の供給が終了されてメモリカード30はオフ状態になり、ステップS1に戻る。
【0030】
ここで、第1実施形態では、上記したステップS3〜ステップS6の処理で説明したように、制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスの開始前に、メモリカード30への電源部40からの電圧の供給(図1の矢印A)が開始され、制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスの終了後にメモリカード30への電源部40からの電圧の供給が終了される。具体的には、図3に示すように、メモリカード30は、制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスが開始される時刻T1よりも前にオン状態にされ、かつ、制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスが終了する時刻T2よりも後にオン状態が終了される。
【0031】
また、図2に示すように、ステップS1において、メモリカード30に対するアクセス指示があると判断された場合には、ステップS7において、スイッチングトランジスタ50がオンされることにより、電源部40からメモリカード30へ電圧が供給されて(図1の矢印A)、メモリカード30はオン状態になる。そして、ステップS8において、メモリカード30へのアクセスが終了したか否かが判断される。メモリカード30へのアクセスが終了していないと判断された場合、ステップS8の判断が繰り返される。また、メモリカード30へのアクセスが終了したと判断された場合、ステップS9に進む。そして、ステップS9において、スイッチングトランジスタ50がオフされることにより、メモリカード30への電圧の供給が終了されてメモリカード30はオフ状態になり、ステップS1に戻る。
【0032】
なお、第1実施形態においては、メモリカード30が挿入されているか否かに関係なく、メモリカード保護のための制御が行われる。したがって、メモリカード30が挿入されていない状態で、制御部10がフラッシュメモリ部20にアクセスしている最中に、メモリカード30が挿入された場合にも、メモリカード30が破壊されるのを抑制することが可能である。具体的には、図4に示すように、通常、ユーザがメモリカードを挿入してからメモリカード検知部80によって検知されるまでには所定の時間T3がかかる。第1実施形態では、この所定の時間T3の間に制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスがある場合にも、メモリカード30が検知される以前から、メモリカード30に電圧を供給することが可能であるので、メモリカード30が破壊されるのを抑制することが可能である。
【0033】
第1実施形態では、上記のように、バスライン60を互いに共用するフラッシュメモリ部20およびメモリカード30と、バスライン60を介してフラッシュメモリ部20およびメモリカード30と接続され、フラッシュメモリ部20およびメモリカード30を制御する制御部10と、メモリカード30に電圧を供給する電源部40とを設け、バスライン60を介して制御部10からフラッシュメモリ部20へアクセスされる間に、電源部40からメモリカード30へ電圧を供給するように構成することによって、バスライン60を介して制御部10からフラッシュメモリ部20へアクセスされる場合、正常に動作するための十分な大きさの供給能力(電流)を有する電圧をメモリカード30に供給することができるので、バスライン60を介してメモリカード30に微小な電流(供給能力)で電圧が供給された場合にも、メモリカード30が破壊されるのを抑制することができる。
【0034】
また、第1実施形態では、上記のように、メモリカード30と電源部40との間に配置され、制御部10からの制御信号に応じてオンオフ制御が行われるスイッチングトランジスタ50をさらに設けることによって、電源部40によるメモリカード30への電圧の供給を制御することができるので、バスライン60を介して制御部10からフラッシュメモリ部20へアクセスされていない間に、メモリカード30へ電圧が供給されるのを抑制することができる。したがって、消費電力を低減することができる。
【0035】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスの開始前に、電源部40からメモリカード30への電圧の供給を開始し、制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスの終了後に、電源部40からメモリカード30への電圧の供給を終了することによって、制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスが行われている間は、常時、電源部40からメモリカード30へ電圧を供給することができるので、メモリカード30が破壊されるのをより確実に抑制することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、上記のように、バスライン60は、制御部10とフラッシュメモリ部20およびメモリカード30との間でデータの伝送を行う第1データライン60aおよび第2データライン60bと、制御部10からフラッシュメモリ部20に制御信号を伝送するための第1コマンドライン60cと、第1コマンドライン60cとは独立して設けられ、制御部10からメモリカード30に制御信号を伝送するための第2コマンドライン60dとを含み、第1データライン60aと第2データライン60bとの一部がフラッシュメモリ部20およびメモリカード30の間で共用されることによって、フラッシュメモリ部20およびメモリカード30に容易にデータラインを共用させることができる。
【0037】
(第2実施形態)
図5は本発明の第2実施形態によるメモリカード保護システムのメモリカードを保護するための制御フローを示したフローチャートである。図1および図5を参照して、この第2実施形態では、上記した第1実施形態とは異なり、メモリカード30が挿入された場合にのみメモリカード保護システム1における制御が行われる例について説明する。なお、この第2実施形態における構成は、上記第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0038】
ここで、第2実施形態では、図5に示す、ステップS10において、メモリカード検知部80(図5参照)によってメモリカード30が挿入されているか否かが判断される。
【0039】
そして、ステップS10において、メモリカード30が挿入されていないと判断された場合、ステップS11において、フラッシュメモリ部20に対して読み込みおよび書き込みのデータがあるか否かが判断される。ステップS11においてフラッシュメモリ部20に対して読み出しまたは書き込みの指示がないと判断されると、ステップS10に戻り、ステップS10からの動作を繰り返し行う。また、ステップS11において、フラッシュメモリ部20に対して読み出しまたは書き込みの指示があると判断された場合、ステップS12に進み、制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスが開始される。そして、ステップS13において、制御部10からフラッシュメモリ部20へのアクセスが終了したか否かが判断される。そして、ステップS13において、フラッシュメモリ部20へのアクセスが終了していないと判断された場合、ステップS13の判断が繰り返される。また、ステップS13において、フラッシュメモリ部20へのアクセスが終了したと判断された場合、処理を終了してステップS10に戻る。すなわち、ステップS10において、メモリカード10が挿入されていないと判断された場合、メモリカード保護システム1におけるメモリカード30を保護するための制御は行われない。
【0040】
また、ステップS10において、メモリカード30が挿入されていると判断された場合、ステップS1に進む。すなわち、ステップS10において、メモリカード30が挿入されていると判断された場合、メモリカード保護システム1におけるメモリカード30を保護するための制御が行われる。なお、ステップS1〜ステップS9の制御は上記第1実施形態における制御フローと同じである。
【0041】
第2実施形態では、上記のように、外部メモリとしてのメモリカード30が装着されているか否かを検知するメモリカード検知部80をさらに設け、メモリカード検知部80によりメモリカード30が装着されていることが検知された場合に、バスライン60を介して制御部10からフラッシュメモリ部20へアクセスされる間に、電源部40からメモリカード30へ電圧が供給されることによって、メモリカード30が装着されていない場合に、メモリカード30に電源部40から電圧が供給されるのを抑制することができるので、消費電力を低減することができる。
【0042】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0043】
たとえば、上記第1および第2実施形態において、メモリ部の一例としてフラッシュメモリ部とメモリカードとを示したが、本発明はこれに限らず、他の種類のメモリに対しても適用可能である。
【0044】
また、上記第1および第2実施形態において、2つのメモリ部を、データラインを共用させて制御部に接続する例を示したが、本発明はこれに限らず、3つ以上のメモリ部を、データラインを共用させて制御部に接続するように構成してもよい。
【0045】
また、上記第1および第2実施形態において、制御部と、内部メモリ部としてのフラッシュメモリ部および外部メモリとしてのメモリカードとを、データラインを共用して接続する例を示したが、本発明はこれに限らず、制御部に接続するメモリが2つともメモリカードなどの外部メモリであっても適用可能である。
【0046】
また、上記第1および第2実施形態において、制御部と、フラッシュメモリ部およびメモリカードとをデータラインを共用させて接続するように構成した際にメモリカードを保護する制御を行う例を示したが、本発明はこれに限らず、コマンドラインを共用させて接続するように構成した際にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1および第2実施形態によるメモリカード保護システムの全体構成を説明するための概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるメモリカード保護システムのメモリカードを保護するための制御フローを示した図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるメモリカード保護システムのフラッシュメモリ部とメモリカードの動作時間を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるメモリカード保護システムのメモリカード部の詳細な動作時間を説明するための図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるメモリカード保護システムのメモリカードを保護するための制御フローを示した図である。
【符号の説明】
【0048】
1 メモリカード保護システム(メモリ保護システム)
10 制御部
20 フラッシュメモリ部(第1メモリ部)
30 メモリカード(第2メモリ部、外部メモリ)
40 電源部
50 スイッチングトランジスタ(スイッチ部)
60 バスライン
60a 第1データライン
60b 第2データライン
60c 第1コマンドライン(第1制御ライン)
60d 第2コマンドライン(第2制御ライン)
80 メモリカード検知部(検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスラインを互いに共用するとともに、データを記憶する第1メモリ部および外部メモリを含む第2メモリ部を備えたメモリ保護システムにおいて、
前記バスラインを介して前記第1メモリ部および前記第2メモリ部と接続され、前記第1メモリ部および第2メモリ部を制御するための制御部と、
前記外部メモリが装着されているか否かを検知する検知手段と、
前記第2メモリ部に電圧を供給する電源部と、
前記第2メモリ部と前記電源部との間に配置され、前記制御部からの制御信号に応じてオンオフ制御が行われるスイッチ部とをさらに備え,
前記バスラインは、前記制御部と前記第1メモリ部および前記第2メモリ部との間でデータの伝送を行う複数のデータラインと、
前記制御部から前記第1メモリ部に制御信号を伝送するための第1制御ラインと、
前記第1制御ラインとは独立して設けられ、前記制御部から前記第2メモリ部に制御信号を伝送するための第2制御ラインとを含み、
前記複数のデータラインの一部が前記第1メモリ部および前記第2メモリ部の間で共用され、
前記制御部から前記第1メモリ部へのアクセスの開始前に、前記電源部から前記第2メモリ部への電圧の供給が開始され、前記制御部から前記第1メモリ部へのアクセスの終了後に、前記電源部から前記第2メモリ部への電圧の供給が終了されることにより、前記検知手段により前記外部メモリが装着されていることが検知された場合、前記バスラインを介して前記制御部から前記第1メモリ部へアクセスされる間に、前記電源部から前記第2メモリ部へ電圧が供給される、メモリ保護システム。
【請求項2】
バスラインを互いに共用するとともに、データを記憶する第1メモリ部および第2メモリ部と、
前記バスラインを介して前記第1メモリ部および前記第2メモリ部と接続され、前記第1メモリ部および前記第2メモリ部を制御する制御部と、
前記第2メモリ部に電圧を供給する電源部とを備え、
前記バスラインを介して前記制御部から前記第1メモリ部へアクセスされる間に、前記電源部から前記第2メモリ部へ電圧が供給されるように構成されている、メモリ保護システム。
【請求項3】
前記第2メモリ部と前記電源部との間に配置され、前記制御部からの制御信号に応じてオンオフ制御が行われるスイッチ部をさらに備える、請求項2に記載のメモリ保護システム。
【請求項4】
前記制御部から前記第1メモリ部へのアクセスの開始前に、前記電源部から前記第2メモリ部への電圧の供給が開始され、前記制御部から前記第1メモリ部へのアクセスの終了後に、前記電源部から前記第2メモリ部への電圧の供給が終了される、請求項2または3に記載のメモリ保護システム。
【請求項5】
前記バスラインは、前記制御部と前記第1メモリ部および前記第2メモリ部との間でデータの伝送を行う複数のデータラインと、
前記制御部から前記第1メモリ部に制御信号を伝送するための第1制御ラインと、
前記第1制御ラインとは独立して設けられ、前記制御部から前記第2メモリ部に制御信号を伝送するための第2制御ラインとを含み、
前記複数のデータラインの一部が前記第1メモリ部および前記第2メモリ部の間で共用されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載のメモリ保護システム。
【請求項6】
前記第2メモリ部は、外部メモリを含み、
前記外部メモリが装着されているか否かを検知する検知手段をさらに備え、
前記検知手段により前記外部メモリが装着されていることが検知された場合に、前記バスラインを介して前記制御部から前記第1メモリ部へアクセスされる間に、前記電源部から前記第2メモリ部へ電圧が供給されるように構成されている、請求項2〜5のいずれか1項に記載のメモリ保護システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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