説明

メモリ書込みシステム

【課題】フラッシュライタ等の専用のコネクタを必要とせずに、サーボドライブ装置のソフトを書き換えることを可能とするメモリ書込みシステムを提供する。
【解決手段】パルスエンコーダからのA相およびB相信号を取込むAB相エンコーダインタフェース2aを有する信号処理回路(ASIC)2と内部にフラッシュメモリ1aを備え前記信号処理回路2との間で信号の授受を行うCPU1とを備えたサーボドライブ装置100において、エンコーダインタフェース2aにプログラムの書込みモジュール3を接続し、サーボドライブ装置100の電源を入れることにより、信号処理回路2が、AB相の状態により書込みモジュール3が付いていると判断して書込みモジュール3からのコマンドでCPU1に対して内部フラッシュメモリ1aの書込みと書込み電圧を与えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ書込みシステムに関し、特にサーボドライブ装置のフラッシュメモリ書込みシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフラッシュメモリ等のメモリ書込みシステムは、図5のサーボドライブ装置500に示すように、例えば、アブソリュート・エンコーダ等のAB相信号を入力して信号処理するASIC(Application Specific Integrated Circuit)2やCPU1で構成される論理部等では、フラッシュライタ8により書込み電圧Vppや信号の別途書込み専用コネクタを設けて、CPU内部のフラッシュメモリにプログラムを書き込んでいた。
また、特許文献1に記載の「メモリ書込みシステム」では、図6のサーボドライブ装置600に示すように、通信データの解析機能を有する通信LSI9は、通常はバスでCPU1からアクセスされるが、上位から書込みのコマンドが来ると通信LSI9は書込み電圧Vppを制御し、CPU1の書込みポートに対してデータを送りCPU内部のフラッシュメモリを書き換えていた。
このように、ネットワークサーボの高速な通信ポート10を用いてフラッシュメモリの書込を行うことによって、書込み専用のポートを必要とせずに書込みを行うことができた。
【特許文献1】特開2004−157651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、図5の場合は、CPU内部のフラッシュメモリに書込むのにフラッシュライタから書込み電圧と信号を与える書込み専用のコネクタが必要であり、準備に時間がかかるとともに、コスト的、スペース的に問題があった。
これを不要とするように改善されたのが特許文献1記載の発明であるが、その図6に示されたものはネットワークサーボの例であって、高速の通信ポートを用いるもので、ネットワークサーボではない、アナログやパルス指令の一般的なサーボドライブ装置には適用できないという問題があった。
そこで、本発明は、ネットワークサーボでない、アナログやパルス指令のサーボドライブ装置においてエンコーダの切り口を用いることで、特別なコネクタを設けること無く、また、装置のカバーを開けるような作業がなく、簡単にASICからエンコーダーを外し、書込みモジュールを接続して電源を入れるだけの操作で書込みが完了するようにして、簡単で、低コスト、省スペースのメモリ書込みシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1記載のサーボドライブ装置のメモリ書込みシステムの発明は、パルスエンコーダからのA相およびB相信号を取込むAB相エンコーダインタフェースを有する信号処理回路(ASIC)と内部にフラッシュメモリを備え前記信号処理回路との間で信号の授受を行うCPUとを備えたサーボドライブ装置において、前記エンコーダインタフェースにプログラムの書込みモジュールを接続し、前記サーボドライブ装置の電源を入れることにより、前記信号処理回路が、AB相の状態により前記書込みモジュールが付いていると判断して前記書込みモジュールからのコマンドで前記CPUに対して前記内部フラッシュメモリの消去、書込み電圧の供給および書込みを行うことを特徴としている。
請求項2記載のサーボドライブ装置のメモリ書込みシステムの発明は、パルスエンコーダからのA相およびB相信号を取込むAB相エンコーダインタフェースを有する信号処理回路(ASIC)と前記信号処理回路との間で信号の授受を行うCPUと外付けフラッシュメモリとを備えたサーボドライブ装置において、前記エンコーダインタフェースにプログラムの書込みモジュールを接続し、前記サーボドライブ装置の電源を入れることにより、前記信号処理回路が、AB相の状態により前記書込みモジュールが付いていると判断して前記CPUに対してHOLD等の信号を出力してバスの占有権を確立し、前記書込みモジュールからのコマンドで、前記バス上にある前記フラッシュメモリの消去、書込み電圧の供給および書込みを行うことを特徴としている。
請求項3記載のサーボドライブ装置のメモリ書込みシステムの発明は、シリアルエンコーダもしくはシリアルポートを有するエンコーダからのシリアル信号を取込むシリアルエンコーダインタフェースを有する信号処理回路(ASIC)と内部にフラッシュメモリを備え前記信号処理回路との間で信号の授受を行うCPUとを備えたサーボドライブ装置において、前記エンコーダインタフェースにプログラムの書込みモジュールを接続し、前記サーボドライブ装置の電源を入れることにより、前記信号処理回路が、通信で前記書込みモジュールが付いていると判断して前記書込みモジュールからのコマンドで前記CPUに対して前記内部フラッシュメモリの消去、書込み電圧の供給および書込みを行うことを特徴としている。
請求項4記載のサーボドライブ装置のメモリ書込みシステムの発明は、シリアルエンコーダもしくはシリアルポートを有するエンコーダからのシリアル信号を取込むシリアルエンコーダインタフェースを有する信号処理回路(ASIC)と前記信号処理回路との間で信号の授受を行うCPUと外付けフラッシュメモリとを備えたサーボドライブ装置において、前記エンコーダインタフェースにプログラムの書込みモジュールを接続し、前記サーボドライブ装置の電源を入れることにより、前記信号処理回路が、通信で前記書込みモジュールが付いていると判断して前記CPUに対してHOLD等の信号を出力してバスの占有権を確立し、前記書込みモジュールからのコマンドで、前記バス上にある前記フラッシュメモリの消去、書込み電圧の供給および書込みを行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、特別なコネクタを設けること無く、また、装置のカバーを開けるような作業がなく、簡単にASICからエンコーダーを外し、書込みモジュールを接続して電源を入れるだけの操作で書込みが完了するため、簡単で、低コスト、省スペースのメモリ書込みシステムが得られるといった効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0007】
まず、本発明の実施例1について図を用いて説明する。
図1は本発明のフログラムブートシステムの構成図である。図1において、100は本発明の実施例1に係るサーボドライブ装置、1はCPU、1aはCPU1に内蔵されるフラッシュメモリ、2はAB2相エンコーダ信号のインタフェース2a、2はインタフェース2aを有する信号処理回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)で、3は書込みモジュール、4はエンコーダインタフェースへ入力される書込みモジュールの信号波形であって、A相端子は信号4Aが、B相端子にはクロック4Bが入力される。
【0008】
次に動作について説明する。
図1に示す本実施例は、CPU1内部のフラッシュメモリ1aに書き込むのに、従来の図5のようなフラッシュライタ8から書込み電圧と信号を与えたり、図6に示すような高速ネットワークサーボの通信により書込みデータを与える方式とは異なり、ASIC2のエンコーダインタフェース2aに書込みモジュール3を接続することでフラッシュメモリ1aに書込みを行うもので、特別な書込み用のコネクタは必要ないようにしている。
このように、AB相信号用エンコーダインタフェース2aのコネクタにエンコーダの代わりに書込みモジュール3を接続すると、A相にデータ4Aが、そしてB相にクロック4Bが書込みモジュール3から入力される。そうすると、図5のようにエンコーダ6が接続されている場合はAB2相7は90度位相がずれた信号であったが、書込みモジュールからの入力データ4Aと4Bは、図1のように図5のAB2相の信号形態7とは異なっているので、ASIC2は書込みモジュールが付いている(エンコーダ6ではない)ことを識別でき、その後、ブート動作を行うこととなる。
このように実施例1によれば、書込み用のコネクタを別に設けなくてもフラッシュメモリに書込みができるようになり、コストダウンと無駄なスペースの節約となる。
【実施例2】
【0009】
次に、本発明の実施例2について図を参照して説明する。
図2は実施例2のメモリ書込みシステムの構成図である。
図2において、200は実施例2に係るサーボドライブ装置であり、1はCPU、2はAB2相エンコーダ信号のインタフェース2a、2はインタフェース2aを有するASICで、3は書込みモジュール、4はエンコーダインタフェースへ入力される書込みモジュールの信号波形であって、A相端子は信号4Aが、B相端子にはクロック4Bが入力される。5は外付けフラッシュメモリである。
サーボドライブ装置200が図1のサーボドライブ装置100と異なる構成は、フラッシュメモリをCPU内部のフラッシュメモリ1a(図1)ではなく外付けのフラッシュメモリ5としたことである。
【0010】
次に動作について説明する。
書込みモジュール3から、ブート信号4(4Aと4B)をASIC2に入力することで、ASIC2は書込み信号を識別し、ASIC2はCPU1に対して、HOLD信号を出しバスを独占し、フラッシュメモリ5に書込み電圧Vppを供給し、書込みモジュール3からの信号書込みを行うものである。
このように実施例2によれば、書込み用のコネクタを別に設けなくてもフラッシュメモリに書込みができるようになり、コストダウンと無駄なスペースの節約となる。
【実施例3】
【0011】
次に、本発明の実施例3について図を参照して説明する。
図3は実施例3のメモリ書込みシステムの構成図である。
図3において、300は実施例3に係るサーボドライブ装置であり、1はCPU、1aは内部メモリ、2bはシリアルエンコーダ信号のシリアルインタフェース、2はインタフェース2bを有するASIC、3は書込みモジュール、40はエンコーダインタフェースへ入力される書込みモジュールからのシリアルデータ信号波形である。
【0012】
次に動作について説明する。
シリアルエンコーダインタフェースの代わりに書込みモジュール3を接続すると、書込みモジュール3からのデータが入力される。
書込みモジュール3であるかどうかの識別は、半二重通信でサーボドライブ装置300から送ったデータに対する応答データの内部にあるIDコードや、本来サーボドライブ装置300側からデータを送り、エンコーダが応答するのが、電源投入時一方的に書込みモジュール3からデータを送られる等で識別することができる。
このようにして、ASIC2はそのデータから書込みモジュールが付いている(シリアルエンコーダでない)ことを確実に識別して、その後のブート動作をする。
このようにシリアルエンコーダインタフェースやシリアルポートを備えているASICに実施例3を適用することで、この切り口から書込みモジュールはコマンドや書込みデータを送ることができるようになるので、実施例3によれば、書込み用のコネクタを別に設けなくてもフラッシュメモリに書込みができるようになり、コストダウンと無駄なスペースの節約となる。
【実施例4】
【0013】
次に、本発明の実施例4について図を参照して説明する。
図4は実施例4のメモリ書込みシステムの構成図である。
図4において、400は実施例4に係るサーボドライブ装置であり、1はCPU、2bはシリアルエンコーダ信号のインタフェース、2はシリアルインタフェース2bを有するASIC、3は書込みモジュール、5は外付けフラッシュメモリ、40はエンコーダインタフェースへ入力される書込みモジュールからのシリアルデータ信号波形である。
【0014】
次に動作について説明する。
シリアルエンコーダインタフェースの代わりに書込みモジュール3を接続すると、書込みモジュール3からのデータが入力される。ASIC2はそのデータから、実施例3で述べたのと同じようにして、書込みモジュールが付いている(シリアルエンコーダでない)ことを識別して、CPU1に対して、HOLD信号を出しバスを独占し、フラッシュメモリ5に書込み電圧Vppを供給し、書込みモジュール3からの信号書込みを行うものである。
このように外付けフラッシュメモリを備え、シリアルエンコーダインタフェースやシリアルポートを備えているASICに実施例4を適用することで、この切り口からHOLD信号を出しバスを独占し、フラッシュメモリにコマンドや書込みデータを送ることができるようになるので、実施例4によれば、書込み用のコネクタを別に設けなくてもフラッシュメモリに書込みができるようになり、コストダウンと無駄なスペースの節約となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係るメモリ書込みシステムの構成図である。
【図2】本発明の実施例2に係るメモリ書込みシステムの構成図である。
【図3】本発明の実施例3に係るメモリ書込みシステムの構成図である。
【図4】本発明の実施例4に係るメモリ書込みシステムの構成図である。
【図5】従来のメモリ書込みシステムの構成図である。
【図6】従来のメモリ書込みシステムの構成図である。
【符号の説明】
【0016】
1 CPU
1a 内蔵フラッシュメモリ
2 ASIC
2a AB相信号用インタフェース
2b シリアル信号用インタフェース
3 書込みモジュール
4 書込み信号波形
5 外付けフラッシュメモリ
100 本発明の実施例1に係るサーボドライブ装置
200 本発明の実施例2に係るサーボドライブ装置
300 本発明の実施例3に係るサーボドライブ装置
400 本発明の実施例4に係るサーボドライブ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスエンコーダからのA相およびB相信号を取込むAB相エンコーダインタフェースを有する信号処理回路(ASIC)と内部にフラッシュメモリを備え前記信号処理回路との間で信号の授受を行うCPUとを備えたサーボドライブ装置のメモリ書込みシステムにおいて、
前記エンコーダインタフェースにプログラムの書込みモジュールを接続し、前記サーボドライブ装置の電源を入れることにより、前記信号処理回路が、AB相の状態により前記書込みモジュールが付いていると判断して前記書込みモジュールからのコマンドで前記CPUに対して前記内部フラッシュメモリの消去、書込み電圧の供給および書込みを行うことを特徴とするサーボドライブ装置のメモリ書込みシステム。
【請求項2】
パルスエンコーダからのA相およびB相信号を取込むAB相エンコーダインタフェースを有する信号処理回路(ASIC)と前記信号処理回路との間で信号の授受を行うCPUと外付けフラッシュメモリとを備えたサーボドライブ装置のメモリ書込みシステムにおいて、
前記エンコーダインタフェースにプログラムの書込みモジュールを接続し、前記サーボドライブ装置の電源を入れることにより、前記信号処理回路が、AB相の状態により前記書込みモジュールが付いていると判断して前記CPUに対してHOLD等の信号を出力してバスの占有権を確立し、前記書込みモジュールからのコマンドで、前記バス上にある前記フラッシュメモリの消去、書込み電圧の供給および書込みを行うことを特徴とするサーボドライブ装置のメモリ書込みシステム。
【請求項3】
シリアルエンコーダもしくはシリアルポートを有するエンコーダからのシリアル信号を取込むシリアルエンコーダインタフェースを有する信号処理回路(ASIC)と内部にフラッシュメモリを備え前記信号処理回路との間で信号の授受を行うCPUとを備えたサーボドライブ装置のメモリ書込みシステムにおいて、
前記エンコーダインタフェースにプログラムの書込みモジュールを接続し、前記サーボドライブ装置の電源を入れることにより、前記信号処理回路が、通信で前記書込みモジュールが付いていると判断して前記書込みモジュールからのコマンドで前記CPUに対して前記内部フラッシュメモリの消去、書込み電圧の供給および書込みを行うことを特徴とするサーボドライブ装置のメモリ書込みシステム。
【請求項4】
シリアルエンコーダもしくはシリアルポートを有するエンコーダからのシリアル信号を取込むシリアルエンコーダインタフェースを有する信号処理回路(ASIC)と前記信号処理回路との間で信号の授受を行うCPUと外付けフラッシュメモリとを備えたサーボドライブ装置のメモリ書込みシステムにおいて、
前記エンコーダインタフェースにプログラムの書込みモジュールを接続し、前記サーボドライブ装置の電源を入れることにより、前記信号処理回路が、通信で前記書込みモジュールが付いていると判断して前記CPUに対してHOLD等の信号を出力してバスの占有権を確立し、前記書込みモジュールからのコマンドで、前記バス上にある前記フラッシュメモリの消去、書込み電圧の供給および書込みを行うことを特徴とするサーボドライブ装置のメモリ書込みシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−219740(P2007−219740A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38305(P2006−38305)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】