説明

モザイク式ジッパーパターンが一様に成形されたセンサ要素及びその製造方法

シート状センサ及びそのようなシート状センサの製造方法。シートは、(i)右側の要素セット30rのベース部31から成る右側の長手方向のコラム21rと、(ii)左側の要素セット30sのベース部31から成る左側の長手方向のコラム21sと、(iii)右側の要素セット30r及び左側の要素セット30sの交互するタブ部32から成る中間の長手方向のコラム21iとを規定する(A)モザイク式ジッパーパターン20が一様に成形された要素30と、(B)中間コラム21i内のみに配置された機能材料70の連続した長手方向の細長片とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2009年12月3日に出願された米国特許出願番号12/630,058号の利益を主張している。
【背景技術】
【0002】
背景技術
機能材料の小領域を、限定された空間(例えば、炭酸飲料のボトル、食品容器、シャーレー、密閉された搬送容器など)内の状態(例えば、温度、圧力、相対湿度、pH、O2やO3・CO2・COといった対象とする検体の濃度など)を検知して測定するためのセンサとして使用するために、ある表面の上に配置することがしばしば必要とされる。多くの機能材料はコストが高いため、必要な出来る限り少量の機能材料を使用することが一般的に望まれており、その結果、100mm2より小さな領域、典型的には25mm2より小さな領域、そしてしばしば10mm2よりも小さな領域になる。
【0003】
そのような小さな要素を扱うことは困難であり、特に、機能材料を汚染したり損傷を加えたりすることを防ぐために、機能材料に直接接触することを避けなければならない場合はその扱いは困難である。
【0004】
したがって、容易に製造でき、容易に扱うことができ、かつ容易に利用できるようなコストの低い機能材料の必要性が実質的に存在する。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
本願の第一の側面は商品である。この商品は、(i)右側の要素セットのベース部から成る右側の長手方向のコラムと、(ii)左側の要素セットのベース部から成る左側の長手方向のコラムと、(iii)右側及び左側の要素の交互するタブ部から成る中間の長手方向のコラムと、を規定する(A)一様に成形された要素のモザイク式ジッパーパターンを構成するシートと、(B)シート上であって中間のコラム内のみに被覆された機能材料の連続した長手方向の細長片と、によって構成されたシートであり、機能材料の層は、右側及び左側の要素のタブ部上のみに設けられる。
【0006】
本願の第二の側面は商品を製造する方法である。この方法は、(1)機能材料の連続した長手方向の細長片をウェブ上に配置する段階と、(i)右側の要素セットのベース部から成る右側の長手方向のコラムと、(ii)左側の要素セットのベース部から成る左側の長手方向のコラムと、(iii)右側及び左側の要素の交互するタブ部から成る中間の長手方向のコラムと、を有するパターンを規定するように、ウェブを要素のモザイク式ジッパーパターンに切断する段階とを有しており、機能材料の長手方向の細長片は、右側及び左側の要素のタブ部上にのみ存在するように、中間のコラム内にのみ保持される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な説明
【図1】機能材料を完全に被覆した本発明の一つの実施態様の平面図である。
【図2】機能材料をパターン被覆した本発明の別の実施態様の平面図である。
【図3】図1の線3−3に沿った拡大断面側面図である。
【図4A−C】本発明で使用するのに適した別のモザイクパターンが描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
特許請求の範囲を含めて、本願で用いられる場合、用語「シート」は、長さ及び幅と比較して薄いもの、特に100対1より大きい比率を備えたものを意味する。
【0009】
特許請求の範囲を含めて、本願で用いられる場合、用語「モザイク式」は、オーバーラップもギャップも無い状態で面を埋めるようなパターン形状又は図形を意味する。
【0010】
特許請求の範囲を含めて、本願で用いられる場合、用語「ウェブ」は、連続したシートを意味しており、連続したロール及び一連の圧延された個別シートの両方を覆っている。
【0011】
特許請求の範囲を含めて、本願で用いられる場合、語句「ジッパーパターン」は、互いにかみ合う要素を備えた一対のコラムを意味する。
【0012】
説明
構造
図1及び2を参照する。本発明は、シートであり、好ましくは約2〜4インチ(5.08〜10.16cm)×約2〜6インチ(5.08〜15.24cm)のサイズのカードであって、一様に成形された要素30のモザイク式ジッパーパターン又はアレー20がそのカードに形成される。このアレーは、(i)右側の要素セット30rのベース部31から成る右側の長手方向のコラム21rと、(ii)左側の要素セット30sのベース部31から成る左側の長手方向のコラム21sと、(iii)右側の要素30r及び左側の要素30sの交互するタブ部32から成る中間の長手方向のコラム21iとを規定する。
【0013】
要素30は、一様に成形された要素30のモザイク式ジッパーパターン又はアレー20を形成することの出来るものならいかなる形状のものでもよい。図1及び2にはT型の要素30が示されている。多くの他の形状が使用可能であり、図4A(ティアドロップ型)、図4B(販売タグ型)、及び図4C(矢印型)にはその幾つかが示されている。
【0014】
図3を参照する。カード10は、感圧接着剤の層50とともにバッキング層40を有しており、この感圧接着剤50は、バッキング層40の内側の主要な面(番号付されていない)の一面に被覆されている。
【0015】
バッキング層40は、必要とされる構造的な一体性を与える材料であるなら、実質的にいかなる材料からでも製造可能である。特に、紙、カード用紙、ボール紙、高分子シート、メタルシートなどであるが、これらに限定はされない。より好ましいバッキング層は、価格上大変優位であるという理由から、カード用紙である。
【0016】
接着剤50は、要求される期間の間、対象の表面に望ましいレベルで接着することの可能な感圧接着剤であるなら、広く入手可能なものから選択することができる。要素30の接着する対象の表面の性質及び特有の方向が一度評価されれば、当業者であれば適切な接着剤を選択することができる(例えば、少なくとも48時間の間、垂直に配置されたペットボトルの滑らかな内面、又は、少なくとも2時間の間、水平に配置された研磨用の乾式壁サンディングパッドの粗い表面)。
【0017】
機能材料70の連続した長手方向の細長片は、中間コラム21iの長手方向の長さに沿って被覆される。これによって、右側の要素30r及び左側の要素30sの両方のタブ部32に制限される各要素30上に、機能材料70の層が提供される。これによって、ユーザーは、機能材料70に直接接触することなく、したがって機能材料70を汚染することなく、カード10から要素30を取り外し、その要素30を対象表面(図示なし)に貼り付ける目的で、各要素30のベース部31をつかむことが出来る。機能材料70の細長片の右側エッジ70r及び左側エッジ70sと、機能材料70のない要素30のベース部31との間に、右側のマージン71rと左側のマージン71sとを提供するように、機能材料70の細長片は、右側のコラム21r及び左側のコラム21sから横方向にずれているのが好ましい。ずらすことによって、要素30のベース部31が機能材料70で不要な被覆がされないように付加的な保護がなされる。
【0018】
ある適応場面においては、まず、機能材料70をサポート層60上に被覆し、次に、そのサポート層60を、接着剤層50から離れて対向しているサポート層60の露出された主要な面(番号付されていない)上にある機能材料70の層とともに、接着剤層50上に積層することが必要になる、又は望まれる。
【0019】
各要素30を対象表面に貼り付けるためにカード10から剥がすまでは、接着剤層50の露出面及び機能材料70の層を、磨耗、損傷、及び汚染から保護するために、剥離ライナー80が取り外し可能に備わっていることが好ましい。適切な剥離ライナー80は、多くの供給源から広く入手可能である。当業者であれば、使用する接着剤50のタイプから適切な剥離ライナー80を選択することが可能であろう。
【0020】
機能材料70は、ある規定された環境の下で、検知可能で好ましくは測定可能な物理的、電気的又は化学的変化を示すような組成物又は化合物であればいかなるものでもよい(例えば、酸性の環境に曝されると色が変化する、対象の検体に曝されると電気的な信号を放出する、対象の検体に曝されると発光が消える、又は対象の検体に曝されると発生する発熱反応によって温度が上昇する、など)。本発明は、ルテニウムベースのルミネセンス・インジケータ、又は白金ポリフェリン若しくはパラジウムポリフェリンのルミネセンス・インジケータのような検体用の消光性ルミネセンス化合物を機能材料70として使用することによって、光ルミネセンスセンサとして機能する要素30を形成するのに特に適している。そのようなルミネセンス組成物は良く知られており、多くの商業的供給源から広く入手可能である。様々な適切な検体の消光性ルテニウムベースのルミネセンス組成物が、オキシセンス・インコーポレート社による国際特許出願公報第2007/120637号に開示されている。また、様々な適切な検体用の消光性白金ポルフィリン及びパラジウムポルフィリンのルミネセンス組成物が、ラクセル・バイオサイエンシズ・リミテッド社による米国特許出願公報第20060002822号に開示されている。
【0021】
製造
カード10は、従来のウェブライン変換プロセス及びバッキング層40、接着剤層50、機能材料の層70、及び剥離ライナー80を積層するための技術を利用することによって製造することが出来る。要素30のモザイク式ジッパーパターンは、その変換プロセスの間のいかなる時でも、カード10に切断することができるが、全ての層が十分に組み立てられた後であって、個々のカード10がウェブから切断されるときと同時に実行されるのが最も適切である。
【0022】
使用
個々の要素30(典型的にはセンサと呼ばれる)は、要素30の一つのコーナー(番号付されていない)を剥離ライナー80から剥離させるために、カードを単に曲げることにより、そして、その露出されたコーナーを人差し指と親指との間でつまみ、要素30をカード10からはがし、その要素30を食品の容器(図示なし)の透明又は半透明領域の内側のような対象の表面に付着させることによって使用することができる。そして、その容器(図示なし)を通して可視可能な機能材料70の指示値を、適切な装置(図示なし)によって表示することができる。
【符号の説明】
【0023】
用語
10 カード
20 要素のアレー
21r 右側のコラム
21s 左側のコラム
21i 中間コラム
30 要素
30r 右側の要素
30s 左側の要素
31 要素のベース部
32 要素のタブ部
40 バッキング層
50 感圧接着剤
60 サポート層
70 機能材料の層
70r 機能材料の層の右側エッジ
70s 機能材料の層の左側エッジ
71r 機能材料の層の右側エッジと右側コラムとの間のマージン
71s 機能材料の層の左側エッジと左側コラムとの間のマージン
80 剥離ライナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)右側の要素セットのベース部から成る右側の長手方向のコラムと、(ii)左側の要素セットのベース部から成る左側の長手方向のコラムと、(iii)前記右側及び左側の要素セットの交互するタブ部から成る中間の長手方向のコラムとを規定する、一様に成形された要素のモザイク式ジッパーパターンで構成されたシートと、
(b)前記シート上の前記中間コラム内のみに被覆された機能材料の連続した長手方向の細長片であって、機能材料の層が前記右側及び左側の要素セットのタブ部上のみに提供されるように構成された細長片と、を有する商品。
【請求項2】
前記シートは、少なくともバッキング層から成り、かつ感圧接着剤の層をさらに有しており、バッキングと感圧接着剤と機能材料の連続した層を形成する請求項1に記載の商品。
【請求項3】
前記右側及び左側の要素セットは、互いに左右対称である請求項1に記載の商品。
【請求項4】
前記機能材料の細長片は、前記右側及び左側のコラムから横方向にずれており、それによって、機能材料の無いマージンがベース部に隣接する各要素のタブ部上に提供される請求項1に記載の商品。
【請求項5】
前記機能材料は、検体センサとしての使用に適している検体用消光性光ルミネセンス物質である請求項1に記載の商品。
【請求項6】
前記検体用消光性光ルミネセンス物質が白金ポルフィリンである請求項6に記載の商品。
【請求項7】
前記機能材料の層は、パターン被覆された層である請求項1に記載の商品。
【請求項8】
前記機能材料の層は、完全に被覆された層である請求項1に記載の商品。
【請求項9】
(a)機能材料の連続した長手方向の細長片をウェブ上に配置する段階と、
(b)(i)右側の要素セットのベース部から成る右側の長手方向のコラムと、(ii)左側の要素セットのベース部から成る左側の長手方向のコラムと、(iii)前記右側及び左側の要素セットの交互するタブ部から成る中間の長手方向のコラムと、を有するパターンを規定するために、前記ウェブをモザイク式ジッパーパターンの要素に切断する段階であって、前記機能材料の長手方向の細長片は、前記右側及び左側の要素セットのタブ部上にのみ存在するように、中間のコラム内のみに保持されるようになっている段階と、
を有する商品の製造方法。
【請求項10】
前記ウェブを感圧接着剤の層で被覆する段階をさらに有し、前記機能材料の層が前記接着剤の層によって前記ウェブに付着するようになっている請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記右側及び左側の要素セットは、互いに左右対称である請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記機能材料の細長片は、前記右側及び左側のコラムから横方向にずれており、それによって、機能材料の無いマージンがベース部に隣接する各要素のタブ部上に提供される請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記機能材料は、検体センサとしての使用に適している検体用消光性光ルミネセンス物質である請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記検体用消光性光ルミネセンス物質が白金ポルフィリンである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記機能材料の層は、パターン被覆された層である請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記機能材料の層は、完全に被覆された層である請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2013−513105(P2013−513105A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542064(P2012−542064)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/056782
【国際公開番号】WO2011/068669
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(592014182)モコン・インコーポレーテッド (16)
【Fターム(参考)】