説明

モジュール式サンプル加工装置キット及びモジュール

種々の要因の観点からユーザーがディスク系アッセイをカスタマイズできる柔軟性を有したモジュール式サンプル加工装置キットが開示される。本発明のサンプル加工装置キットは、フレームの開口部に保持可能な1個以上のプロセスモジュールを備えている。サンプル加工装置キットのフレーム及びプロセスモジュールは、好ましくは装置を圧縮するサンプル加工システムで使用するのに適している。プロセスモジュールは、同じサンプル物質又は種々のサンプル物質で異なる試験をするために異なる試薬を含有してもよい。その結果、1つのサンプル加工装置を使用して種々の異なる試験を行なうことが可能であり、サンプル加工装置を用いて行なった加工の精度に関するフィードバックをユーザーに提供することができる品質管理モジュールを含んでいてもよい。プロセスモジュール及びフレームを変形させることを含むサンプル加工装置を用いる方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的の検体を1個以上含有しうるサンプルを加工するために使用可能なモジュール式サンプル加工装置キットに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なる化学反応、生化学反応及び他の反応は温度変化に敏感である。遺伝子増幅分野での熱による加工の例としては、限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、サンガー(Sanger)シークエンシングなどが挙げられる。これらの反応は、使用する物質の温度に基づいて促進されたり、阻害されたりすることがある。サンプルを個々に加工し、サンプル間の正確な結果を得ることもできるが、個々の加工には時間がかかり、費用も高くなることがある。
【0003】
サンプルを迅速に効率よく加工するために種々のサンプル加工装置及び装置が開発されている。サンプル加工装置のいくつかの特に有用な例は、例えば、同一出願人による米国特許第6,734,401号(ベディンガム(Bedingham)ら、名称「改良されたサンプル加工装置システム及び方法(ENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES SYSTEMS AND METHODS)」中に見い出すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのサンプル加工装置は有用であるが、多くの場合、プロセスチャンバの数が特定のアッセイに必要な数(わずか1個のプロセスチャンバと関連試薬しか必要ではないこともある)よりも非常に多い(例えば、プロセスチャンバの数が96個、384個又はそれ以上)。さらに、これらのサンプル加工装置の多くは、サンプル加工装置の費用の大部分を占める試薬を含有する。結果として、サンプル加工装置に含まれるプロセスチャンバ及び試薬のほんの部分的使用が非常に高額になることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、種々の要因の観点からユーザーにディスク系アッセイをカスタマイズできる柔軟性を提供することのできるモジュール式サンプル加工装置キットを提供する。一般的に、本発明のサンプル加工装置キットは、フレームの開口部に保持可能な1個以上のプロセスモジュールを備えている。
【0006】
サンプル加工装置キットのフレーム及びプロセスモジュールは、装置を圧縮するサンプル加工システム、例えば、米国特許出願番号第11/174,757号(名称「サンプル加工装置圧縮システム及び方法(SAMPLE PROCESSING DEVICE COMPRESSION SYSTEMS AND METHODS)」、2005年7月5日出願)に記載のサンプル加工システムでの使用に好ましく適合される。
【0007】
本発明の潜在的な利点は、カスタマーが本発明のサンプル加工装置のフレーム内に異なるプロセスモジュールを取り付けることができるという点である。異なるプロセスモジュールは、同じサンプル物質又は種々のサンプル物質で異なる試験をするために異なる試薬を含有してもよい。その結果、1つのサンプル加工装置を使用して種々の異なる試験を行なうことが可能であり、サンプル加工装置を用いて行なった加工の精度に関するフィードバックをユーザーに提供することができる品質管理モジュールを含んでいてもよい。
【0008】
さらに、必要なプロセスモジュールのみを使用することは、ユーザーにとって潜在的に大きな節約となり、特にプロセスモジュールに高価な試薬があらかじめ組み込まれている場合に従来の装置では無駄になっていた高価な試薬を節約することができる。所与のフレームが有する数よりも少ないプロセスモジュールが必要な場合は、(例えば、米国特許出願第11/174,757号(名称「サンプル加工装置圧縮システム及び方法(SAMPLE PROCESSING DEVICE COMPRESSION SYSTEMS AND METHODS)」、2005年7月5日出願)に記載のシステムのような)所与のシステムにおける適切な加工のために必要であれば、加工のための完璧な装置を提供するために、フレームの開口部の残った箇所には空のプロセスモジュールを入れてもよい。
【0009】
本明細書中では「キット」と記載されているが、プロセスモジュール及びフレームは、ユーザーが組み立てるように提供されてもよいし、そうでなくてもよい。場合によっては、キットは、本明細書で記載されるように使用するために1個以上の空のモジュールを備えていてもよい。
【0010】
本発明のいくつかのサンプル加工装置の別の潜在的な利点としては、例えば、加圧下で底の伝熱面の形状に一致するように設計された柔軟性のある環状加工リングに配置されるプロセスチャンバを備えていてもよいことである。この柔軟性は、例えば、プロセスチャンバを環状加工リングに入れることによって本発明の装置に組み込まれる。ここで、環状加工リングの容積の大部分がプロセスチャンバで占められ、プロセスチャンバは、装置のプロセスモジュールの本体を通って延びる空隙によって好ましくは形成される。このような構造では、モジュール構造を形成する限定された量の本体が環状加工リング内に存在し、その結果環状加工リング内の装置の柔軟性が改良される。
【0011】
環状加工リング内の柔軟性を高め得る他の任意の特徴としては、粘弾性特性を示す感圧性接着剤を用いてプロセスモジュール体に取り付けられるカバーを備える環状加工リング内のコンポジット構造を挙げることができる。感圧性接着剤の粘弾性特性により、変形又は熱膨張/収縮中に本発明のサンプル加工装置の流体構造の流体一体性を維持しつつ、カバー及びプロセスモジュールの相対移動が可能になる。
【0012】
本発明のサンプル加工装置に関連して記載されるようにプロセスモジュール体に取り付けられたカバーを使用すると、装置性能を高めるために、様々なカバー及びプロセスモジュール体の材料の特性を選択することができるという利点も提供できる。
【0013】
例えば、いくつかのカバーは、好ましくは、プロセスチャンバ内のサンプル物質及び/又は任意の流体構造の他の特徴によって発生する応答力による膨張又は変形に耐えるために比較的非伸張性の物質で構成されてもよい。これらの力は、例えば、プロセスチャンバ中のサンプル物質を移動及び/又は加工するためにサンプル加工装置が回転するときに顕著である。比較的非伸張性のいくつかの物質の例としては、例えば、ポリエステル、金属ホイル、ポリカーボネートなどが挙げられる。しかし、非伸張性であることが必ずしも必要とされないことは理解されるべきである。例えば、いくつかの実施形態では、ある程度の伸張性を提供するという理由で1以上のカバーが選択されてもよい。
【0014】
本発明に関連して使用されるカバーのいくつかによって好ましく示され得る別の特性は熱伝導度である。熱伝導度を高める物質をカバーに用いることで、例えば、プロセスチャンバ内のサンプル物質の温度を選択された温度まで迅速に上下させるのが好ましい場合、又は正確な温度制御が望ましい場合に伝熱能力を向上させることができる。望ましい熱伝導度を提供できる物質の例としては、例えば、金属層(例えば金属ホイル)、高分子の薄層などが挙げられる。
【0015】
本発明に関連して使用されるカバーの別の潜在的に有用な特性は、選択された波長の電磁エネルギーを透過する能力である。例えば、いくつかの装置では、プロセスチャンバ内の物質を加熱するため、物質を励起させるため(例えば蛍光を発するなど)、物質を視覚的に観察する等のために電磁エネルギーをプロセスチャンバに送達することができる。
【0016】
上に議論されているように、カバーに使用する物質の伸張性が高すぎると、例えばディスクの回転中、プロセスチャンバ内の物質の加熱中などに望ましくないレベルで膨張するか又は変形することがある。本発明のプロセスチャンバを構築するのに使用されるカバーの性質として望ましい1つの潜在的な組み合わせは、比較的非伸張性であること、選択された波長の電磁エネルギーの透過率、及び熱伝導度である。各プロセスチャンバが、プロセスモジュール体の空隙とプロセスモジュール体の両端にある1対のカバーとで構築される場合、1つのカバーは、所望の透過性及び非伸張性を提供するように選択し、他のカバーは、熱伝導度及び非伸張性を提供するように選択してもよい。カバーの1つの好適な組み合わせとしては、例えば、透過性があって比較的非伸張性であるポリエステルカバーと、プロセスチャンバの反対側に熱伝導度を有し非伸張性である金属ホイルカバーとを挙げることができる。感圧性接着剤を用いて比較的非伸張性であるカバーをプロセスモジュール体に取り付けると、他の構造中には存在しないカバーとプロセスモジュール体との間の相対移動が可能になり、柔軟性及び可撓性を好ましく向上させる。
【0017】
本発明のサンプル加工装置は、少なくとも部分が液体成分の形態である化学混合物及び/又は生物学的混合物を含むサンプル物質を加工するために設計されている。サンプル物質が生物学的混合物を含む場合、この生物学的混合物は、好ましくは生体物質(例えばペプチド含有物質及び/又はヌクレオチド含有物質)を含んでもよい。生物学的混合物が核酸増幅反応混合物(例えば、PCR反応混合物又は核酸シークエンシング反応混合物)を含むことがさらに好ましい場合がある。
【0018】
さらに、流体構造は(もしあれば)、好ましくは排出口が存在せず、流体構造の内部又は外部への開口部は、サンプル物質を導入する投入口の近くに配置される。排出口が存在しない流体構造では、末端(すなわち、回転軸及び/又は投入口から遠い部分)は、プロセスチャンバから流体が出て行くのを防ぐために密閉されている。
【0019】
一態様では、本発明は、フレームの中央の周りで環状アレイに配置された複数の開口部を備えるフレームと、このフレームにある複数の開口部の1つに保持されるように設計された1個以上のプロセスモジュールとを備えるモジュール式サンプル加工装置キットを提供する。隣接した開口部内に装填された隣接したプロセスモジュールは、フレームの放射状ストラットによって互いに分離されている。各プロセスモジュールは、第1及び第2の主表面を備えるモジュール体と、モジュール体の第2の主表面に接着された金属ホイル層と、プロセスモジュール中の液体構造とを備え、この流体構造は、プロセスチャンバと流体連通した投入口を備え、この投入口は、フレーム中央に対してプロセスチャンバの内側に放射状に配置される。プロセスチャンバは、モジュール体の第1及び第2の主表面を貫通して形成された空隙と、第2の主表面を覆うように第2の主表面に接着された金属ホイル層とによって規定される容積を有している。1個以上のプロセスモジュールがフレームにある複数の開口部内に保持されている場合、1個以上のプロセスモジュールのプロセスチャンバは、モジュール式サンプル加工装置の環状加工リングを規定している。各プロセスモジュールは、モジュール体の第1及び第2の主表面に対して垂直方向に測定したz軸厚みを有し、このz軸厚みは、環状加工リングに配置されたフレームの各放射状ストラットの部分のz軸厚みよりも大きい。
【0020】
別の態様では、本発明は、フレームの中央の周りで環状アレイに配置された複数の開口部を備えるフレームを備え、この開口部がフレームの放射状ストラットによって互いに分離されている、モジュール式サンプル加工装置で使用するのに適合されたプロセスモジュールを提供する。プロセスモジュールは、第1及び第2の主表面を備えるモジュール体と、モジュール体の第2の主表面に接着された金属ホイル層と、プロセスモジュール中の液体構造とを備え、この流体構造は、プロセスチャンバと流体連通した投入口を備え、この投入口は、フレーム中央に対してプロセスチャンバの内側に放射状に配置される。プロセスチャンバは、モジュール体の第1及び第2の主表面を貫通して形成された空隙と、第2の主表面の空隙を覆うように第2の主表面に接着された金属ホイル層とによって規定される容積を有している。プロセスモジュールは、モジュール体の第1及び第2の主表面に対して垂直方向に測定したz軸厚みを有し、このz軸厚みは、環状加工リングに配置されたフレームの各放射状ストラットの部分のz軸厚みよりも大きい。
【0021】
別の態様では、本発明は、フレームの中央の周りで環状アレイに配置された複数の開口部を備えるフレームと、このフレームにある複数の開口部の1個に保持されるように設計された1個以上のプロセスモジュールとを備え、隣接した開口部に入れられた隣接したプロセスモジュールは、このフレームの放射状ストラットによって互いに分離されているようなモジュール式サンプル加工装置を提供することを含む、サンプル物質を加工する方法を提供する。各プロセスモジュールはさらに、第1及び第2の主表面を備えるモジュール体と、モジュール体の第2の主表面に接着された金属ホイル層と、モジュール体の第1及び第2の主表面を貫通して形成された空隙と、第2の主表面の空隙を覆うように第2の主表面に接着された金属ホイル層とによって規定される容積を備える少なくとも1個のプロセスチャンバとを備える。1個以上のプロセスモジュールがフレームにある複数の開口部に保持されている場合、1個以上のプロセスモジュールのプロセスチャンバがモジュール式サンプル加工装置の環状加工リングを規定する。この方法はさらに、1個以上のプロセスモジュールの少なくとも1個のプロセスチャンバにサンプル物質を提供すること、熱構造の凹部伝熱面でサンプル加工装置の環状加工リングを変形させることとを含み、1個以上のプロセスモジュール及びフレームの部分は凹部伝熱面に沿うように湾曲する。サンプル加工装置は、環状加工リングを変形させながらサンプル加工装置を回転軸の回りで回転する。
【0022】
本発明の様々な実例となる例示的な実施形態と関連して、以下に本発明のこれら及び他の特徴及び利点を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下の本発明の例示的実施形態の記載において、本発明の一部を形成し、そして本発明が実行されうる具体的な例示的実施形態が例示される添付の図面が参照される。本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用されてもよく、そして構造的変更が行なわれてもよいことは理解されるだろう。
【0024】
本発明は、熱加工、例えば、高感度化学プロセス、例えば、PCR増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自立型配列複製、酵素反応速度論研究、均質リガンド結合アッセイ、及びさらに複雑な生化学プロセス又は正確な熱制御及び/又は迅速な熱変化を必要とする他のプロセスを含むモジュール式サンプル加工装置キット及びこれを使用する方法を提供する。モジュール式サンプル加工装置キット(組み立て式の場合)は、好ましくは、装置のプロセスチャンバ中のサンプル物質の温度を制御しながら回転させることができる。
【0025】
本発明のプロセスモジュールと関連して使用するために適用させた適切な構成技術/物質のいくつかの例は、同一出願人による米国特許第6,734,401号(ベディンガム(Bedingham)ら、名称「改良されたサンプル加工装置システム及び方法(ENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES SYSTEMS AND METHODS)」及び米国特許出願第2002/0064885号(名称「サンプル加工装置(SAMPLE PROCESSING DEVICES))に記載されている。他の使用可能な装置構成は、例えば、米国仮特許出願第60/214,508号(2000年6月28日出願、名称「熱加工装置及び方法(THERMAL PROCESSING DEVICES AND METHODS)」)、米国仮特許出願第60/214,642号(2000年6月28日出願、名称「サンプル加工装置、システム及び方法(SAMPLE PROCESSING DEVICES, SYSTEMS AND METHODS)」)、米国仮特許出願第60/237,072号(2000年10月2日出願、名称「サンプル加工装置、システム及び方法(SAMPLE PROCESSING DEVICES, SYSTEMS AND METHODS)」)、米国仮特許出願第60/260,063号(2001年1月6日出願、名称「サンプル加工装置、システム及び方法(SAMPLE PROCESSING DEVICES, SYSTEMS AND METHODS)」)、米国仮特許出願第60/284,637号(2001年4月18日出願、名称「改良されたサンプル加工装置、システム及び方法(ENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES, SYSTEMS AND METHODS)」)、及び米国特許出願第2002/0048533号(名称「サンプル加工装置及びキャリア(SAMPLE PROCESSING DEVICES AND CARRIERS)」中に見い出すことができる。他の可能な装置構成は、例えば、米国特許第6,627,159号(ベディンガム(Bedingham)ら、名称「サンプル加工装置の遠心充填(CENTRIFUGAL FILLING OF SAMPLE PROCESSING DEVICES))中に見い出すことができる。
【0026】
「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上(above)」、「下(below)」のような相対的な位置を示す用語が本発明に関連して使用されるが、この用語は単に相対的な意味で使用されていると理解されるべきである。例えば、本発明の装置と関連して使用される場合、「上部(top)」及び「底部(bottom)」は、装置及びモジュールの対向する主要な側面を示すために使用される。実際の用途では、「上部(top)」又は「底部(bottom)」と記載される要素は、任意の向き又は位置にあってもよく、装置及び方法を任意の特定の向き又は位置に限定すると考えるべきではない。例えば、サンプル加工装置又はモジュールの上部表面は、実際に、加工中にサンプル加工装置又はモジュールの底部表面より下に位置することがある(とはいえ、上部表面はサンプル加工装置又はモジュールの底部表面と対向する側にある)。
【0027】
モジュール式サンプル加工装置10の一実施形態の1つの主表面を図1に示す。装置10はフレーム20を備えており、プロセスモジュール30は、フレーム20の開口部に配置されており、すなわち、このキットは組み立てられた形状である。図2にはフレーム20のみを示しており、それぞれの開口部22が示されている。開口部22は、中心コア26から外側支持環28まで延びた一連のストラット24で規定されている。
【0028】
装置10は、フレームの中心コア26に配置されたスピンドル開口12をさらに備えている。スピンドル開口12は、好ましくは、スピンドルを受け入れるような大きさ及び形状であってもよく、このスピンドルはサンプル加工装置10を回転軸の回りで回転させるのに使用され、回転軸はスピンドル開口12の中心を通るz軸に沿って延びている。
【0029】
本発明の任意の1つのサンプル加工装置のフレーム20の開口部22の数はさまざまであってもよい。図示された装置10は、フレーム20の8個の開口部22に8個のプロセスモジュール30が取り付けられているが、本発明の装置のフレームは、少なくとも2個の開口部を有するものから望ましい数の開口部を有するものであってもよく、すなわち、8個よりも多い開口部が提供されてもよい。
【0030】
さらに、プロセスモジュール30が図示されたフレーム20の開口部22にそれぞれ配置されているが、フレーム20のそれぞれの開口部22には、必ずしもプロセスモジュール30が装着されている必要はない。フレーム20及び装置10に用いるサンプル物質を加工するのに適した任意の加工システムが、フレーム20の1個以上の開口部が空の状態であるように装置10を加工するように設計されている場合、例えば、いくつかの開口部22は空のままであってもよい。
【0031】
或いは、フレーム中でプロセスモジュール30が装着されていない開口部22には、例えば、加工される任意の試薬及び/又はサンプルを含まない空のモジュールを装着してもよい。本明細書で使用する時、「空のモジュール」は、真に空のモジュール(すなわち、フレームの開口部に配置されるように設計された特徴のない本体)、あらかじめ組み込まれた試薬を含まないプロセスモジュール、あらかじめ組み込まれた試薬を含むがサンプル物質を含まないプロセスモジュール、もう必要ではないプロセスモジュール(しかし、他のプロセスモジュールが加工されている間にフレーム中の開口部を満たすのには有用である)などを含んでもよい。
【0032】
装置を加工するのに使用するシステムが、フレームが完全に装着された状態で用いると最良の性能を発揮するように設計されている場合(例えば、米国特許出願第11/174,757号(名称「サンプル加工装置圧縮システム及び方法(SAMPLE PROCESSING DEVICE COMPRESSION SYSTEMS AND METHODS)、2005年7月5日出願)に記載されるシステム)、空のモジュールが提供されてもよい。開口部のすべてがサンプル物質を含むプロセスモジュールで占められていないフレームに空のモジュールを装着する別の潜在的な理由は、回転時に空のモジュールとプロセスモジュールのフレームとの重さをつりあわせてバランスをとるためである。この適用例では、フレームの反対側に配置されたプロセスモジュールと重さをつりあわせる必要がなければ、フレームの開口部のいくつかは空のままであってもよい。
【0033】
プロセスモジュール30は、任意の適切な技術又は構造によってフレーム20の開口部22内に保持されてもよい。記載の実施形態では、フレーム開口部22の縁を規定するストラット24はリップ25を備えており、プロセスモジュール30が開口部22内にある場合にはプロセスモジュール30の相補的な縁31がリップ25に接する(例えば、図2及び図3)。図2に示されるように、リップ25がストラット24の全長に沿って延びていることが好ましい。リップ25が外側支持環28の少なくとも部分まで延びていることがさらに好ましい(図2に示されるように)。
【0034】
プロセスモジュールのリップ25及び縁31は、好ましくは協同してフレームの開口部22内にプロセスモジュール30を支持するように作用する。図3に示されるように、ストラット24の底部表面23は、プロセスモジュール30の底部表面32よりもz方向に上であることが好ましい。この配置では、プロセスモジュール30の底部表面32が本明細書の他の部分で記載されるように伝熱面と容易に物理的に接触することが可能になる。例えば、サンプル加工装置の所与のフレーム20内のプロセスモジュール30の底部表面32は、好ましくは接触平面を規定し、ストラット24の表面23は、プロセスモジュール30の最下方にある表面32で規定される接触面よりも上に位置する。この概念はさらに、以下の図6に関連して記載される。
【0035】
凹部27は外側支持環28に沿って配置されており、開口部22内にプロセスモジュール30を保持しやすくするために提供されている。凹部27は、好ましくは、プロセスモジュール30に相補的なタブ33が入り込むように設計されている(例えば、図4を参照)。タブ33及び凹部27は、好ましくは、開口部22内でプロセスモジュール30の位置をあわせ、開口部22内にプロセスモジュール30を保持するのに役立つ。さらに、モジュール30のリップ25及び縁31は、モジュール30がz軸に沿って一方向にしか動かないようにしており、凹部27及び相補的なタブ33は、好ましくはz軸に沿ってフレーム20に対してモジュール30が二方向に動かない様式で互いに結合している。
【0036】
プロセスモジュール30のタブとは反対側の端に、好ましくはクリップ構造35をさらに使用して、フレーム20の開口部22内にプロセスモジュール30を保持している。クリップ構造35は、好ましくはスロット36を備えており、スロット36は、中心コア26に沿って延びる開口部22の縁に相補的なフレームタブ29が入るような大きさ及び形状である(図2を参照)。開口部22の対向する外側縁にある凹部27及びタブ33と同様に、スロット36及びフレームタブ29は、好ましくは、モジュール30がz軸に沿って二方向に動くのを制限している。
【0037】
スロット36が配置されているクリップ構造35は、好ましくはハンドル37を備えており、ハンドル37を操作してスロット36を動かしてフレームタブ29との嵌入をはずし、プロセスモジュール30をフレーム20の開口部22から取りはずすことができる。クリップ構造35は、スロット36を備えている部分が弾力的に装着されており、スロット36をフレームタブ29との嵌入をはずすためにモジュールタブ33の方へハンドル37を操作するか又は力を加えるまではフレームタブ29に押し付けられるように作成されていることが好ましい。クリップ構造35は、プロセスモジュール30の本体と共に高分子物質で成形されていてもよく、又はクリップ構造は、プロセスモジュール30の本体とは異なる物質(例えば金属など)で作成されていてもよい。
【0038】
フレームタブ29及びクリップ構造35の相補的なスロット36は、モジュールタブ33及びフレーム凹部27と共に、好ましくはフレーム20の開口部22内にプロセスモジュール30を保持する。さらに、この特徴は、フレーム20の開口部22にプロセスモジュールを保持するのに使用可能な機械連結構造の一つの例示的な実施形態をあらわす。他の変形例が当業者に既知であろう。例えば、タブ及びスロット/凹部の位置は逆であってもよい。
【0039】
機械連結構造の代わりに代替の保持技術を使用してもよいことが理解されるべきである。1つの代替技術が図3Aに示されており、壁124のリップ125とプロセスモジュール130の相補的な縁131との間に接着剤121が示されている。接着剤121は、好ましくはプロセスモジュール130をフレームから破壊せずに取りはずせる感圧性接着剤である(示さない)。他の例では、接着剤は永久接着剤であってもよく、すなわち、プロセスモジュール130に永久的に保持されるように設計されたものであってもよく、モジュール130及びフレーム(この一部がストラット124である)は使い捨てである。
【0040】
本発明のサンプル加工装置で使用されるフレームは、任意の適切な物質で作成されてもよい。しかし、比較的熱伝導度が低い物質でフレームが作成されることが好ましく、例えば、フレームが金属とは対照的な高分子物質で製造されることが好ましい。いくつかの実施形態では、フレームは、高分子物質(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)から本質的になっていてもよいが、このフレームは、高分子構造に挿入成形された金属ハブを中央部に備えていてもよい(例えばスピンドルなどと結合するのに役立つ場合)。
【0041】
場合によっては、フレームは、異なるプロセスモジュールを再使用するように設計されてもよい。他の場合には、フレームは、1回使用したら使い捨てにするように設計されてもよい。使い捨てフレームへのプロセスモジュールの接着は、場合によっては永久的なものでもよく、すなわち、使用後にフレームの部分及び/又はプロセスモジュールの部分を破壊して分解することが必要であってもよい。複数回使用するように設計されている場合、フレームは、場合によっては、例えば、米国特許第6,734,401号(ベディンガム(Bedingham)ら、名称「改良されたサンプル加工装置システム及び方法(ENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES SYSTEMS AND METHODS))又は米国特許出願第11/174,757号(名称「サンプル加工装置圧縮システム及び方法(SAMPLE PROCESSING DEVICE COMPRESSION SYSTEMS AND METHODS)、2005年7月5日出願)に記載されるような加工システムのベースプレートに接着されていてもよい。
【0042】
本明細書で議論されるように、本発明のサンプル加工装置で使用されるプロセスモジュールとしては、好ましくは、サンプル物質を用いて1個以上のプロセスが行なわれる場合にサンプル物質を保持するように設計されたプロセスチャンバが挙げられる。実行可能ないくつかの潜在的なプロセスの例としては、例えば、PCR、サンガー(Sanger)シークエンシングなどが挙げられる。
【0043】
プロセスモジュール30がサンプル加工装置10のフレーム20の開口部22に保持される場合、プロセスモジュール30中のプロセスチャンバ40が環状加工リングを規定することが好ましい。この概念は、プロセスチャンバ40がこの装置の環状加工リングを規定する様式で配置されている図1と、関連する図とで最もよく説明されているであろう。
【0044】
図1で示されているように、複数のプロセスチャンバ40が各プロセスモジュール30に配置され、円弧の一部分を形成していることが好ましい(このような配置が必須だというわけではない)。例えば、プロセスチャンバ40を任意の1個のプロセスモジュール30に直線状に配置し、プロセスチャンバ40が実際には八角形、六角形、五角形などの環の辺を規定することも可能である。他の配置も可能である。
【0045】
プロセスチャンバ40の正確な配置にもかかわらず、プロセスチャンバ40が好ましくは環状加工リングの境界にあり、所与のプロセスモジュール内に存在したり、所与のサンプル加工装置のモジュールとモジュールとの間にあったりといういくつかの変形例が可能である。別の変形例では、いくつかの実施形態では、フレーム20の全ての開口部22にプロセスチャンバ40を備えるプロセスモジュール30が装着されていないことも理解されるべきである。本発明と関連して使用する場合、1個のプロセスモジュールが環状加工リングを規定するのに使用可能なプロセスチャンバを備えて提供されれば十分である。例えば、1個のプロセスモジュール30及び関連するプロセスチャンバ40が、本発明と関連して環状加工リングを規定するのに十分であることを図1に見ることができる。
【0046】
図4及び図5は、図1のサンプル加工装置10に関連して示されるプロセスモジュール30の1つの拡大図である。図4は、プロセスモジュール30の上部表面34の図であり、プロセスチャンバ40の構造を詳細に示している。プロセスチャンバ40は、プロセスモジュール30本体の上部表面34及び底部表面32を貫通して形成される空隙42として構成されてもよい(図5を参照)。第1のカバー44は、好ましくは、プロセスモジュールの上部表面34に接着されてプロセスチャンバ40の上部を規定してもよい。プロセスモジュール30の対向する側面(図5を参照)に、第2のカバー46が底部表面32と接着されてプロセスチャンバ40の底部を規定してもよい。
【0047】
図4及び5に示されるようなプロセスモジュール30の実施形態では、空隙42と組み合わせてプロセスチャンバ40を規定するために使用されるカバー44及び46は、一般的に環状加工リングの面積に限定されることが好ましいが、必ず限定されなければならないわけではない。例えば、カバー44及び46のうち1つ又は両方がプロセスモジュール30の表面全体にわたって実質的に延びていることも可能である。
【0048】
プロセスモジュール30の表面32及び34に接着された複数のカバー44及び46の1つの潜在的な利点は、カバー44及び46を異なる性質を有する異なる物質で作成することができることである。プロセスチャンバ40を規定するカバー44及び46の少なくとも1つが、選択された波長の電磁エネルギーを実質的に透過する材料で作成されていることが好ましい。例えば、カバー44及び46の少なくとも1つが、プロセスチャンバ40内の蛍光又は色変化を視覚的に又は機械でモニタリングすることができる物質で作成され、プロセスチャンバなどに電磁エネルギーが伝えられることが好ましい。
【0049】
カバー44及び46の少なくとも1つが金属層(例えば金属ホイル)を含むことも好ましい。金属ホイルとして提供される場合、カバーは、好ましくは、サンプル物質と金属との間の接触を防ぐために流体構造の内部の表面に保護層を含んでもよい。この保護層は、例えば、高分子のホットメルト接着で使用可能な接着構造として機能してもよい。保護層を分割するための代替例として、プロセスモジュール30にカバーを接着するために使用される任意の接着層がカバー中でサンプル物質と任意の金属との接触を防ぐための保護層として役立ってもよい。
【0050】
図4及び5に示されるプロセスモジュールの例示的な実施形態では、第1のカバー44は、好ましくは高分子フィルム(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンなど)で製造されてもよく、プロセスモジュール30の対向する側にあるカバー46は、好ましくは金属層(例えばアルミニウムの金属ホイル層など)を含んでもよい。このような実施形態では、第1のカバー44は、好ましくは、選択された波長の電磁放射線(例えば、可視スペクトル、紫外線スペクトルなど)をプロセスチャンバ40内外に透過し、第2のカバー46の金属層は、例えば、米国特許第6,734,401号(ベディンガム(Bedingham)ら、名称「改良されたサンプルプロセス装置システム及び方法(ENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES SYSTEMS AND METHODS))又は米国特許出願第11/174,757号(名称「サンプル加工装置圧縮システム及び方法(SAMPLE PROCESSING DEVICE COMPRESSION SYSTEMS AND METHODS)、2005年7月5日出願)に記載の熱構造/表面を用いてプロセスチャンバ40から熱エネルギーが出たり入ったりするのを容易にする。
【0051】
第2のカバー46が熱伝導度によって選択される場合、第2のカバーの大きさは、プロセスチャンバ40によって規定される環状加工リングの面積にほぼ対応する大きさに限定されることが好ましい。熱伝導度を有するカバーの大きさが限定される潜在的な利点は、環状加工リング以外の領域へ熱エネルギーが移動する量を限定することである。そのように、プロセスチャンバによって占められない領域への熱エネルギーの移動が制限される。対照的に、第1のカバー44はほぼ環状加工リングの面積に限定されるものとして記載されているが、熱プロセスでプロセスモジュールの性能を顕著に変化させることがなければ、もっと大きくてもよい。
【0052】
カバー用物質のいくつかの例が上に記載されているが、プロセスモジュール本体及びこれに接着する任意のカバーが任意の適切な物質で製造されてもよいことが理解されるべきである。適切な物質の例としては、例えば、高分子物質(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンなど)、金属(例えば金属ホイル)などが挙げられる。カバーは、好ましくは、必須ではないが、例えば、金属ホイル、高分子物質、多層複合物などの一般的に平坦なシート状片で提供されてもよい。ディスク本体及びディスクのカバーのために選択された物質が良好な撥水性を示すことが好ましい。
【0053】
カバー44及び46は、任意の適切な技術(例えば、溶融接着、接着剤、溶融接着と接着剤との組み合わせなど)によってプロセスモジュール30の表面32及び34に接着されてもよい。溶融接着される場合、カバーとカバーに接着する表面が、溶融接着を促進するために、例えば、ポリプロピレン又はいくつかの他の溶融接着可能な物質を含むことが好ましい。しかし、感圧性接着剤を用いてカバーが接着されることが好ましい。感圧性接着剤は、感圧性接着剤の層の形態で提供されてもよく、好ましくは、図6に示されるように、カバー44又は46と対向する表面32又は34又は本体39との間の切れ目のない層45又は47として提供されてもよい。潜在的に適切ないくつかの接着技術、接着剤などの例は、例えば、米国特許第6,734,401号(ベディンガム(Bedingham)ら、名称「改良されたサンプル加工装置システム及び方法(ENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES SYSTEMS AND METHODS)」)及び米国特許出願第2002/0064885号(ベディンガム(Bedingham)ら、名称「サンプル加工装置(SAMPLE PROCESSING DEVICES)」)に記載されている。
【0054】
感圧性接着剤は、典型的には、好ましくは、カバーが接着されている本体に対してカバーをいくらか移動させることが可能な粘弾性特性を示す。この移動によって、例えば、米国特許出願第11/174,757号(名称「サンプル加工装置圧縮システム及び方法(SAMPLE PROCESSING DEVICE COMPRESSION SYSTEMS AND METHODS)」、2005年7月5日出願)及び米国特許出願第11/174,680号(名称「柔軟なマイクロ流体サンプル加工ディスク(COMPLIANT MICROFLUIDIC SAMPLE PROCESSING DISKS)、2005年7月5日出願)に記載されるような熱移動構造の形状にあわせて環状加工リングが変形させてもよい。本発明のサンプル加工装置では、プロセスモジュール及びフレームの部分は、圧縮力に応答して両方とも変形させてもよい。
【0055】
相対的な移動は、カバーと本体との間で異なる熱膨張率の結果であることもある。本発明のプロセスモジュール中のカバーと本体とで相対的な移動が生じるにもかかわらず、感圧性接着剤の粘弾性特性によってプロセスチャンバ(及び存在する場合には任意の流体構造の他の流体特徴)が、好ましくは、変形してもその流体一体性を保持している(すなわち、漏れない)ことが好ましい。
【0056】
多くの異なる感圧性接着剤は、本発明と組み合わせて潜在的に使用可能である。感圧性接着剤を同定する1つの周知の技術は、ダルキストの基準(Dahlquist criterion)である。この基準は、感圧性接着剤技術のハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)(ドナタス・サタス(Donatas Satas)(編集)、第2版、p.172、バン・ノストランド・レインホルド(Van Nostrand Reinhold)、ニューヨーク(New York,NY)、1989年)に記載されるように感圧性接着剤を0.1cm/N(1×10−6cm/ダイン)を超える1秒クリープ弾性を有する接着剤であると規定する。あるいは、弾性率は、一次近似ではクリープ弾性の逆数であり、感圧性接着剤は、0.1MPa(1×10ダイン/cm)未満のヤング弾性率を有する接着剤であると定義することができる。感圧性接着剤を同定するための別の周知の技術は、室温で積極的に永久的に粘着性であり、指又は手で圧力を加えることなく単に接触させるだけで種々の異種表面に固着し、感圧性接着剤テープの試験方法(Test Methods for Pressure Sensitive Adhesive Tapes)(感圧性テープ協議会(Pressure Sensitive Tape Council)(1996年))に記載されるような残渣を残すことなく平滑な表面から除去可能な技術である。適切な感圧性接着剤の別の適切な定義は、好ましくは、25℃で弾性率と周波数のグラフをプロットした場合に、約0.017Hz(0.1rad/s)の周波数で約0.02MPa(2×10ダイン/cm)〜約0.04MPa(4×10ダイン/cm)の範囲の弾性率、約17Hz(100rad/s)の周波数で約0.2MPa(2×10ダイン/cm)〜約0.8MPa(8×10ダイン/cm)の点で規定される領域内の室温貯蔵弾性率を有することである(例えば、感圧性接着剤技術のハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)(ドナタス・サタス(Donatas Satas)(編集)、第2版、p.172、バン・ノストランド・レインホルド(Van Nostrand Reinhold)、ニューヨーク(New York,NY)、1989年)のp,173の図8〜16を参照)。感圧性接着剤を同定するこれらの方法のいずれかを使用して、本発明の方法で使用するのに潜在的に適した感圧性接着剤を同定してもよい。
【0057】
本発明のサンプル加工装置と関連して使用される感圧性接着剤が、感圧性接着剤の性質が水によって悪影響を受けないような物質を含むことが好ましい。例えば、感圧性接着剤は、好ましくは、サンプルを添加して加工する間に水にさらされても接着性を失わず、貼着強度を失わず、柔軟性を失わず、膨張せず、又は不透明になったりしない。また、感圧性接着剤は、好ましくは、サンプル加工中に水に抽出されて性能を落とすような任意の成分を含有しない。
【0058】
これらを考慮して、感圧性接着剤が疎水性物質で構成されていることが好ましい。このように、感圧性接着剤がシリコーン物質で構成されていることが好ましい。つまり、感圧性接着剤は、例えば、「シリコーン感圧性接着剤(“Silicone Pressure Sensitive Adhesives”)」、感圧性接着剤技術のハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)、第3版、pp.508〜517に記載されるようなシリコーン高分子及び粘着付与樹脂の組み合わせに基づいて、ある種のシリコーン感圧性接着剤物質から選択されてもよい。シリコーン感圧性接着剤は、疎水性であり、高温に耐性があり、種々の異種表面に結合する能力を有していることが知られている。
【0059】
感圧性接着剤組成物は、好ましくは、本発明の厳しい要求を満たすように選択される。いくつかの適切な組成物は、国際公開特許WO00/68336(コー(Ko)ら、名称「シリコーン接着剤、物品及び方法(SILICONE ADHESIVES, ARTICLES, AND METHODS)に記載されている。
【0060】
他の適切な組成物は、一群のシリコーン−ポリ尿素感圧性接着剤系であってもよい。この種の組成物は、米国特許第5,461,134号(レアール(Leir)ら)、米国特許第6,007,914号(ヨセフ(Joseph)ら、国際公開特許WO96/35458(及び関連特許である米国特許出願第08/427,788号(1995年4月25日出願)、米国特許出願第08/428,934号(1995年4月25日出願)、米国特許第08/588,157号(1996年1月17日出願)、及び米国特許第08/588,159号(1996年1月17日出願))、国際公開特許WO96/34028(及び関連特許である米国特許出願第08/428,299号(1995年4月25日出願)、米国特許出願第08/428,936号(1995年4月25日出願)、米国特許出願第08/569,909号(1995年12月8日出願)、及び米国特許出願第08/569,877号(1995年12月8日出願))、及び国際公開特許第WO96/34029号(及び関連特許である米国特許出願第08/428,735号(1995年4月25日出願)及び米国特許出願第08/591,205号(1996年1月17日出願))に記載されている。
【0061】
このような感圧性接着剤は、シリコーン−ポリ尿素ポリマーと粘着付与剤との組み合わせに基づくものである。粘着付与剤は、望むように官能性(反応性)粘着付与剤及び非官能性粘着付与剤のカテゴリーから選択することができる。粘着付与剤の濃度は、接着剤組成物に望ましい粘着性を付与するのに望ましい量で変動させることができる。例えば、感圧性接着剤組成物が、(a)柔軟性のあるポリジオルガノシロキサン単位、硬質のポリイソシアネート残基単位と、(b)1個以上の粘着性付与剤(例えばシリケート樹脂など)とを含み、ポリイソシアネート残基がポリイソシアネートから−NCOを引いたものであり、場合により、軟質及び/又は硬質の有機ポリアミン単位であり、イソシアネート単位及びアミン単位の残基が尿素結合によって結合している、粘着性を付与されたポリジオルガノシロキサンオリゴ尿素でセグメント化されたコポリマーであることが好ましい。
【0062】
さらに、本発明に関連して使用される感圧性接着剤層は、1個の感圧性接着剤又は2個以上の感圧性接着剤の組み合わせ又はブレンドであることができる。感圧性の層は、例えば、溶媒コーティング、スクリーン印刷、ローラー印刷、溶融押出コーティング、溶融スプレー加工、ストライプコーティング、又はラミネートプロセスから得ることができる。接着層は、上述の特徴及び性能を示す限り、種々の厚みを有することができる。最大の結合信頼性を達成するために、所望な場合、保護層として役立たせるために、接着層は、好ましくは連続しており、ピンホール又は空隙が存在しない。
【0063】
サンプル加工装置が種々の成分(例えば、カバー、本体など)を共に接続するために感圧性接着剤を用いて製造されていてもよいが、加熱下及び/又は加圧下で成分をともにラミネートして成分を確実に固着させることによって成分間の接着性を高めることが好ましい。
【0064】
感圧性を示す接着剤を使用することが好ましい。このような接着剤は、典型的には溶融結合で使用される高温結合プロセスを含まず、液体接着、溶媒結合、超音波結合などを用いた場合に固有のハンドリングの課題がないため、サンプル加工装置の大量製造にも適用可能である。
【0065】
接着剤は、好ましくは、例えば、サンプル蒸発を有効に抑え、水による分解を抑え、ディスク中で使用されるサンプル物質の成分との反応を抑えつつ、カバー及びカバーに接着される本体を作成するのに使用する物質を十分に接着させる能力、高温貯蔵中及び低温貯蔵中(例えば、約−80℃〜約150℃)に接着性を維持する能力によって選択される。このように、接着剤の種類は、サンプル加工装置10で行なわれる任意のプロセスを妨害(例えば、DNAと結合、分解など)しない限り、重要ではない。好ましい接着剤としては、生体反応が行われる分析デバイスのカバーフィルムに典型的に使用されるものが挙げられる。例えば、国際公開特許第WO00/45180号(コー(Ko)ら)及び第WO00/68336号(コー(Ko)ら)に記載されるようなポリ−α−オレフィン及びシリコーンが挙げられる。
【0066】
さらに、本発明のサンプル加工ディスクの感圧性接着剤層は、1個の接着剤であってもよいし、2個以上の接着剤の組み合わせ又はブレンドであってもよい。接着剤層は、例えば、溶媒コーティング、スクリーン印刷、ローラー印刷、溶融押出コーティング、溶融スプレー加工、ストライプコーティング、又はラミネート加工で得られてもよい。接着層は、上述の特徴及び性能を示す限り、種々の厚みを有することができる。最大の結合信頼性を達成するために、所望な場合、保護層として役立たせるために、接着層は、好ましくは連続しており、ピンホール又は空隙が存在しない。
【0067】
環状加工リングに配置されたプロセスモジュール30及びフレーム20の部分が、環状加工リング内の成分が加圧下でその下にある伝熱面の形状に沿うような十分な柔軟性を示すことが好ましい。柔軟性は、好ましくは、プロセスチャンバ40の流体一体性を維持しつつ(すなわち、漏れが生じない)、環状加工リングの成分がいくらか変形させることで達成される。この柔軟性のある環状加工リングは、例えば、米国特許出願第11/174,757号(名称「サンプル加工装置圧縮システム及び方法(SAMPLE PROCESSING DEVICE COMPRESSION SYSTEMS AND METHODS)、2005年7月5日出願)に記載される方法及びシステムと関連して使用される場合、有用である。
【0068】
図6は、図1のサンプル加工装置を図1の線6−6に沿って切断した拡大断面図であり、柔軟性をもたせ、プロセスチャンバの内外に熱を移動させるためのいくつかの特徴を議論するために使用することができる。
【0069】
図2及び図6に示されるように、環状加工リングの柔軟性は、環状加工リングに配置されるフレーム物質の量を制限することによって高めることができる。例えば、ストラット24は、図2及び図6に示されるように、リブ21を備えており、リブ21は中心コア26から外側に延びているが、環状加工リングまでは延びていない。
【0070】
さらに、フレーム20内のプロセスモジュール30の柔軟性は、プロセスモジュール30が複合物として環状加工リング内のストラット24の厚みよりも大きな厚みを有することによって高めることができる(厚みはz軸に沿って測定)。本明細書で議論される場合、環状加工リング内のストラット24の厚みを制限することによって、カバー46がサンプル加工装置で最下方にある成分になるという利点も与える。例えば、サンプル加工装置の所与のフレーム20内にあるプロセスモジュール30のカバー46は、好ましくは接触表面を規定し、ストラット24の表面23はカバー46の最下方の表面によって規定される接触面よりも上に位置している。
【0071】
粘弾性感圧性接着剤を用いてプロセスモジュール本体にカバーを接着して作成されるプロセスモジュールの複合体構造がプロセスチャンバを含有する環状加工リングに柔軟性を付与するのに有用であるが、プロセスモジュール体を貫通して形成される空隙を用いてプロセスチャンバを形成することによって、環状加工リングの柔軟性をさらに高めることができる。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ40の空隙がプロセスチャンバ40によって規定される環状加工リングに配置されるプロセスモジュール体の容積の50%を占めることが好ましい。
【0072】
図1の装置を参照すると、プロセスチャンバ40は支持材料を備えていない構造になっている。この実施形態では、プロセスモジュール30の製造中にプロセスチャンバ40に試薬が入れられることが好ましい。サンプル物質は、例えば、カバー44及び46のうち1つに小さな穴を開けることによって、プロセスチャンバにサンプル物質を入れた後でカバーの1つを接着させることなどによってプロセスチャンバ40に入れることができる。米国特許出願第2003/0118804号(ベディンガム(Bedingham)ら、名称「再密閉可能なプロセスチャンバを備えるサンプル加工装置(SAMPLE PROCESSING DEVICE WITH RESEALABLE PROCESS CHAMBER)」、2003年6月26日公開)は、再密閉可能なカバーに小さな穴をあけることによって入れることができる再密閉可能なプロセスチャンバを記載している。
【0073】
しかし、他の実施形態では、例えば、投入口、送達チャネル、投入チャンバ、複数のプロセスチャンバ、ビア、バルブ、フィルターなどの特徴を含む流体構造が提供されることが好ましい。このような流体構造(プロセスアレイと呼ばれることもある)の例は、例えば、米国特許第6,734,401号(ベディンガム(Bedingham)ら、名称(改良されたサンプル加工装置システム及び方法(ENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES SYSTEMS AND METHODS)」);米国特許出願第US2002/0064885号(ベディンガム(Bedingham)ら、名称「サンプル加工装置(SAMPLE PROCESSING DEVICES)」)、及び米国特許出願第11/174,680号(名称「名称「柔軟なマイクロ流体サンプル加工ディスク(COMPLIANT MICROFLUIDIC SAMPLE PROCESSING DISKS)、2005年7月5日出願)中に見い出すことができる。
【0074】
図7は、本発明の代替のサンプル加工装置を示す。サンプル加工装置210に備えられているプロセスモジュール230それぞれにプロセスチャンバ240に加えて投入口250が備えられている。各投入口250は、好ましくは、送達チャネル260を通ってプロセスチャンバ240の1つに接続される。このように、投入口250、送達チャネル260及びプロセスチャンバ240のそれぞれのセットは、上のパラグラフで特定される書類で記載されるような流体構造又はプロセスアレイとして特徴付けることができる。
【0075】
図7のサンプル加工装置に示される別の変形は、フレーム220に配置されるプロセスモジュール210の数である。示されるように、図1のサンプル加工装置10では8個のモジュール30が示されているのに対し、装置210は6個しかプロセスモジュール230を備えていない。
【0076】
本明細書で議論される場合、本発明のサンプル加工装置は、環状加工リングを規定するプロセスチャンバを備え、この環状加工リングは、プロセスモジュール中のプロセスチャンバ中の物質の熱制御を高めるための柔軟性を示すことが好ましい。柔軟性のある環状加工リングを本発明と組み合わせて使用する1例を図8に関連して示す。本発明のフレーム320中のサンプル加工モジュール330の部分を、熱構造308上に形成される成形された伝熱面306と関連して図8に示す。
【0077】
熱構造及びその伝熱面は、例えば、米国特許出願第11/174,757号(名称「サンプル加工装置圧縮システム及び方法(SAMPLE PROCESSING DEVICE COMPRESSION SYSTEMS AND METHODS)、2005年7月5日出願)に詳細に記載される。しかし、簡単に説明すると、熱構造308の温度は、好ましくは、任意の適切な技術によって制御され、伝熱面306は熱構造308の内外に熱エネルギーを容易に移動させ、伝熱面306と接触して配置されるアイテム(例えばプロセスモジュール)の温度を制御する。
【0078】
熱的に制御されるアイテムがサンプル加工装置のプロセスモジュールである場合、熱構造とモジュール330との熱エネルギー移動は、伝熱面306の形状にモジュール330を沿わせることによって高めることができる。プロセスモジュール330の部分のみ(例えば環状加工リング)が伝熱面306と接触している場合、モジュール330の部分のみが伝熱面306の形状に沿うように変形することが好ましい。
【0079】
図8は、サンプル加工モジュール330が本体350を備えており、本体350にカバー370及び380が接着剤(好ましくは感圧性接着剤)層371及び381を用いてそれぞれ接着されている一例を示す。カバー370及び380は、好ましくは本明細書に記載されるような環状加工リングの面積にほぼ限定される。粘弾性感圧性接着剤を層371及び381に使用すると、本明細書に記載されるようにプロセスモジュール330の環状加工リングの柔軟性を高めることができる。
【0080】
示されるようにモジュール330を変形させて伝熱面306の形状に沿わせることにより、熱構造308とプロセスモジュール330との間の熱カップリング効率を高めることができる。プロセスモジュール330をこのように変形させることにより、伝熱面306に接するプロセスモジュール330の表面又は伝熱面306自体が、変形させなければ均一な接触ができないような形状であったとしても、接触を促進させるのに有用である。
【0081】
伝熱面306の形状に沿わせるようなプロセスモジュール330の変形をさらに促進するために、カバー300に圧縮環302及び304を備えることが好ましい。圧縮環302及び304は、伝熱面306に関連してプロセスモジュール330に圧縮力を与えるために使用され、環302及び304はプロセスモジュール330と接触し、伝熱面306に接するプロセスモジュール330の環状加工リングを本質的に広げる。カバー300とモジュール330の環状加工リングとの接触を環302及び304に限定することによって、カバー300とプロセスモジュール330との接触面積が限定されているため、移動する熱エネルギーが小さくなるため、熱制御を高めることができる。
【0082】
図8に示されるように、プロセスモジュール330の変形は、好ましくは、プロセスモジュール330の主表面に垂直な方向に(すなわち、プロセスモジュール330の主表面に垂直な方向として記載される図8に記載されるz軸に沿って)環状加工をゆがませる。
【0083】
プロセスモジュール330の環状加工リングの部分をゆがませるか又は変形させることに加え、フレーム320の部分に広がる環状加工リングが、圧縮力によって変形して、プロセスモジュール330を変形させることも好ましい。フレームの変形は主に弾性変形であり、すなわち、変形力が加えられなくなったらフレームは変形前の形状に実質的に戻ることが好ましい。フレーム320を環状加工リングの面積に限定して変形させることにより、強化リブ(例えば、図2の参照番号21を参照)が環状加工リングまで延びない長さであり、ここに配置されたフレーム及びプロセスモジュールの変形を限定することによって高めることができる。
【0084】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈上、他に明記されない限り、単数形「a」、「及び」及び「the」は複数の指示物を含む。このように、例えば、「a」又は「the」のついた成分は、1個以上の成分及び当業者に既知のその等価体を含んでもよい。
【0085】
本明細書で引用した全ての参考文献及び公報は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。本発明の実例となる実施形態が検討され、そして本発明の範囲内で可能ないくつかの変形が参照されている。本発明におけるこれら及び他の変形及び変更は本発明の範囲から逸脱することなく当業者にとって明らかであり、そして本発明が本明細書で明示された実例となる実施形態の組み合わせに限定されないことは理解されるべきである。従って、本発明は特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】フレームにプロセスモジュールが取り付けられた、本発明の例示的なモジュール式サンプル加工装置キットの上部表面の斜視図。
【図2】プロセスモジュールを取りはずした状態の図1のモジュール式サンプル加工装置のフレームの斜視図。
【図3】図1の線3−3で切断した図1のサンプル加工装置の部分の拡大断面図。
【図3A】代替のサンプル加工装置の部分の断面図である。
【図4】図1の装置のプロセスモジュールの1つの上部表面の拡大斜視図である。
【図5】図4のプロセスモジュールの底部表面の拡大斜視図である。
【図6】図1の線3−3で切断した図1のサンプル加工装置の部分の拡大断面図である。
【図7】本発明の別の例示的なモジュール式サンプル加工装置キットを示す図である。
【図8】本発明の1つの例示的な方法の1つのサンプル加工装置の部分の変形を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームの中央の周りで環状アレイに配置された複数の開口部を備えるフレームと、
該フレームにある複数の開口部の1個に保持されるように設計された1個以上のプロセスモジュールであって、隣接した開口部に装着された隣接した該プロセスモジュールが、前記フレームの放射状ストラットによって互いに分離されている、1個以上のプロセスモジュールと、
を備えるモジュール式サンプル加工装置キットであって、
各プロセスモジュールは、
第1及び第2の主表面を備えるモジュール体と、
該モジュール体の前記第2の主表面に取り付けられた金属ホイル層と、
前記プロセスモジュール内の液体構造であって、プロセスチャンバと流体連通し、前記フレームの中央に対して前記プロセスチャンバの内側に放射状に配置された投入口を備える液体構造と、をさらに備え、
前記プロセスチャンバは、前記モジュール体の第1及び第2の主表面を貫通して形成された空隙と、前記第2の主表面の空隙を覆うように第2の主表面に取り付けられた前記金属ホイル層とによって規定される容積を含み、
前記1個以上のプロセスモジュールが前記フレームにある複数の開口部内に保持されている場合、前記1個以上のプロセスモジュールの前記プロセスチャンバは、モジュール式サンプル加工装置の環状加工リングを規定し、
各プロセスモジュールは、前記モジュール体の前記第1及び第2の主表面に対して垂直方向に測定したz軸厚みを含み、該z軸厚みが前記環状加工リング内に配置されたフレームの各放射状ストラットの部分のz軸厚みよりも大きい、モジュール式サンプル加工装置キット。
【請求項2】
前記各プロセスモジュールについて、前記プロセスチャンバが、前記環状加工リング内にあるモジュール体の部分の容積の50%以上を占める、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
各プロセスモジュールについて、前記金属ホイル層が、感圧性接着剤で前記プロセスモジュールの第2の主表面に取り付けられている、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
前記プロセスモジュールが前記フレームにある複数の開口部内に保持されている場合、前記1個以上のプロセスモジュールの前記金属ホイル層が前記モジュール式サンプル加工装置の前記環状加工リングをふさいでいる、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
各プロセスモジュールが機械連結構造を備え、該機械連結構造が、前記フレームにある前記複数の開口部のそれぞれの相補的構造と結合する、請求項1に記載のキット。
【請求項6】
各プロセスモジュールが、前記フレームにある前記複数の開口部の各開口部に接着保持されている、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
各プロセスモジュールの前記プロセスチャンバが、選択された波長の電磁エネルギーを前記プロセスチャンバの内側又は外側に透過させる窓を備える、請求項1に記載のキット。
【請求項8】
前記窓が、前記第1の主表面の前記空隙を覆うように前記モジュール体の前記第1の主表面に接着された高分子層を備える、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記1個以上のプロセスモジュールの各プロセスモジュール内にある前記プロセスチャンバが試薬を含有し、少なくとも2個のプロセスモジュールの前記プロセスチャンバ内の前記試薬が異なっている、請求項1に記載のキット。
【請求項10】
1個以上の空のモジュールをさらに備え、該空のモジュールのそれぞれが、前記フレームにある前記複数の開口部のうちの1つの開口部内に保持されるように設計されたものであり、前記空のモジュールが実質的に試薬を含まない、請求項1に記載のキット。
【請求項11】
フレームの中央の周りで環状アレイに配置されて放射状ストラットによって互いに分離されている複数の開口部を有するフレームを備える、モジュール式サンプル加工装置に使用するように設計されたプロセスモジュールであって、
該プロセスモジュールは、
第1及び第2の主表面を備えるモジュール体と、
該モジュール体の前記第2の主表面に取り付けられた金属ホイル層と、
前記プロセスモジュール内の液体構造であって、プロセスチャンバと流体連通し、前記フレームの中央に対して前記プロセスチャンバの内側に放射状に配置された投入口を備える液体構造と、を備え
前記プロセスチャンバが、前記モジュール体の第1及び第2の主表面を貫通して形成された空隙と、前記第2の主表面の空隙を覆うように第2の主表面に取り付けられた前記金属ホイル層とによって規定される容積を含み、
前記プロセスモジュールが、前記モジュール体の前記第1及び第2の主表面に対して垂直方向に測定したz軸厚みを含み、該z軸厚みが環状加工リング内に配置されたフレームの各放射状ストラットの部分のz軸厚みよりも大きい、プロセスモジュール。
【請求項12】
前記プロセスチャンバが、前記環状加工リング内にある前記モジュール体の部分の容積の50%以上を占める、請求項11に記載のプロセスモジュール。
【請求項13】
前記金属ホイル層が、感圧性接着剤で前記プロセスモジュールの前記第2の主表面に取り付けられている、請求項11に記載のプロセスモジュール。
【請求項14】
前記プロセスモジュールが機械連結構造を備え、該機械連結構造が、前記フレームにある前記複数の開口部のそれぞれの相補的構造と結合する、請求項11に記載のプロセスモジュール。
【請求項15】
前記プロセスモジュールが、前記フレームにある前記複数の開口部の一つの開口部に接着保持される、請求項11に記載のプロセスモジュール。
【請求項16】
前記プロセスチャンバが、選択された波長の電磁エネルギーを前記プロセスチャンバの内側又は外側に透過させる窓を備える、請求項11に記載のプロセスモジュール。
【請求項17】
前記窓が、前記第1の主表面の前記空隙を覆うように前記モジュール体の前記第1の主表面に接着された高分子層を備える、請求項16に記載のプロセスモジュール。
【請求項18】
前記プロセスモジュールの前記プロセスチャンバが試薬を含有する、請求項11に記載のプロセスモジュール。
【請求項19】
前記プロセスモジュールが複数のプロセスチャンバを備え、該複数のプロセスチャンバの各プロセスチャンバがその中に入れられた試薬を含む、請求項11に記載のプロセスモジュール。
【請求項20】
サンプル物質を加工する方法であって、
該方法が、
フレームの中央の周りで環状アレイに配置された複数の開口部を備えるフレームと、該フレームの複数の開口部のうちの1つの開口部内に保持されるように設計された1個以上のプロセスモジュールとを備えるモジュール式サンプル加工装置であって、隣接した開口部に装着された隣接したプロセスモジュールが、該フレームの放射状ストラットによって互いに分離されており、各プロセスモジュールが、第1及び第2の主表面を備えるモジュール体と、前記モジュール体の前記第2の主表面に取り付けられた金属ホイル層と、前記モジュール体の前記第1及び第2の主表面を貫通して形成された空隙及び前記第2の主表面の前記空隙を覆うように前記第2の主表面に取り付けられた前記金属ホイル層とによって規定される容積を備える少なくとも1個のプロセスチャンバとをさらに備え、前記1個以上のプロセスモジュールが前記フレームにある前記複数の開口部内に保持されている場合、前記1個以上のプロセスモジュールの前記プロセスチャンバが前記モジュール式サンプル加工装置の環状加工リングを規定するモジュール式サンプル加工装置を提供すること、
前記1個以上のプロセスモジュールの前記少なくとも1個のプロセスチャンバ内にサンプル物質を提供すること、
熱構造の凹部伝熱面で前記サンプル加工装置の前記環状加工リングを変形させることであって、これにより、前記1個以上のプロセスモジュール及び前記フレームの部分が前記凹部伝熱面に沿うように湾曲させられ、及び
前記凹部伝熱面で前記環状加工リングを変形させながら前記サンプル加工装置を回転軸の回りで回転させること、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−500627(P2009−500627A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520341(P2008−520341)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/026017
【国際公開番号】WO2007/005854
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】