説明

モニタ付き薬箱

【課題】服用時刻を報知するに止まる薬箱でなく、より機能的で使用者にとって有益な薬箱を提供する。
【解決手段】制御装置41、電子タイマ42、送受信装置6、記憶装置43、データの入出力回路44を有するとともに少なくとも一面に配置された液晶モニタ3と、液晶モニタ3の表示を切り替える切替手段を有するとともに服用する薬剤を取り出し自由に収容可能なモニタ付き薬箱1であって、服用する薬剤の情報を前記入出力回路44を介して記憶装置43に記録するとともにそれらの情報の内で表示したいものを切換手段13により選択して前記液晶モニタに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭などで服用薬を保管しておく薬箱、特に、一部に液晶モニタを配置したモニタ付き薬箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭において薬袋から取り出した服用薬を保管しておく手段として薬箱があり、実開昭64−43930号公報に提示されているように内蔵したタイマー機能により服用時刻をアラームにより警告するものが知られている。
【0003】
ところが、前記公報に提示されている薬箱は単に服用時刻を音声により警告するものである。また、その後、特開2004−329399号公報に提示されているように、更に進んで服用時における蓋体の開閉操作を検知して服用時刻に蓋を開閉しないときに警告を発する薬箱が知られている。
【0004】
しかしながら、前記公報に提示されている薬箱は、飲み忘れを防止するために服用時刻を警報することを目的としたものである。また、前記公報に提示されている薬箱には液晶表示部が設けられているが、服用時に警報と連動して数秒間の間だけ点滅するものであり、普段は表示機能を発揮していない。
【特許文献1】実開昭64−43930号公報
【特許文献2】特開2004−329399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、前記公報に提示されている服用時刻を報知するに止まる薬箱でなく、より機能的で使用者にとって有益な薬箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するためになされた本発明は、制御装置、電子タイマ、送受信装置、記憶装置、データの入出力回路を有するとともに少なくとも一面に配置された液晶モニタと、前記液晶モニタの表示を切り替える切替手段を有するとともに服用する薬剤を取り出し自由に収容可能なモニタ付き薬箱であって、服用する薬剤の情報を前記入出力回路を介して記憶装置に記録するとともにそれらの情報の内で表示したいものを前記切換手段により選択して前記液晶モニタに表示することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、服用する薬剤、即ち、収容、保管する薬剤に関する情報を記憶装置に記憶させておくことにより、それらの情報のうちで必要なものを必要なときに液晶モニタに表示して患者に知らせる。勿論、内蔵している電子タイマにより服用時期の警告や服用結果の記録なども行える。
【0008】
また、入力された処方情報の内、添付文書(注意書)などを切替え手段により切り替えて液晶モニタ3に表示することかでき、更に、前記記憶装置に一般薬剤情報が記憶されており、前記入力された服用する薬剤の処方情報(薬剤の種類、形態、用法、用量など)と前記一般薬剤情報とを照合して照合結果を前記切換手段により選択して前記液晶モニタに表示することにより、患者は自身が服用する薬剤の処方情報を、従来のように書物やインターネットなどの面倒な操作をすることなく入手することができる。特に、副作用や相互左右がある場合、或いは発令される緊急安全情報を液晶モニタ3に医師や薬剤師から注意が発せられ。液晶モニタ3に警報として表示することもできる。また、必要であれば、通信機器6を用いて医師や薬剤師に連絡して相談したり、指示を受けることもできる。
【0009】
更にまた、前記服用する薬剤の情報を記憶装置付きICカードや携帯端末などの移動可能な記憶装置または既設の通信機器を介して前記入出力回路から入力し、または出力される場合には、容易に必要な情報を出入力することができ、内蔵した報知装置により、電子タイマーによりカレンダ機能を用いて服用する時を前記モニタに表示するとともに服用時であることを知らせることができる。
【0010】
特に、前記モニタがタッチパネル式であって前記切換手段並びに各種の入力手段を兼ねる場合には操作が簡単で服用確認としても使用でき、表示画面を見ながら操作できることからお年寄りなどにも簡単に服用管理ができる。前記記憶装置に記憶し、或いは外部から入力する映像や音声を前記モニタに表示可能であるとともに、服用時間になると服用する時間である旨の通知をモニタに表示することにより、服用時以外も液晶モニタを例えばデジタルフォトフレームやマルチメディアなど有効に利用することができる。
【0011】
更に、記憶させた服用記録をお薬手帳に転記するためのプリンタが併設されている場合には、服薬履歴が所定の頁に印刷されるので患者が服薬時に一々、服用毎に手で書き込むという煩わしさがない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液晶モニタを配置したことにより、従来の服薬時刻を報知する薬箱とことなり、多機能であり、患者にとってきわめて便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を以下に説明する。
【0014】
図1は本発明の好ましい実施の形態を示すものであり、液晶付き薬箱1は、例えば全体が箱形の薬箱本体2の頂部に開閉可能な蓋体3を有し、前記蓋体21の開放部(図示せず)に服用する薬を収納するようになっており、この点については従来の薬箱と大差がない。
【0015】
そして、薬箱本体2の前面には、そのほぼ前面に液晶モニタ3が配置されている。この液晶モニタ3は本実施の形態では薬箱本体2に内蔵した制御部4内の制御装置41に接続された所謂、タッチパネル式であって、入力手段5を兼ねるが、別途に入力手段(図示せず)を設けてもよい。更に、前記制御部には、電子タイマ42、記憶装置43、データの入出力回路44、データの照合手段45が含まれるとともに、前記入出力回路44には例えば携帯電話や固定電話などの通信機器6が接続される。
【0016】
以上の構成を有する本実施の形態を使用するには、先ず、家庭用電源或いは電池を用いて(図示せず)前記制御部4に電源を供給するとともに、蓋体21を開閉して服用する薬剤を収容しておく。そして、前記電子タイマー42と記憶装置43に記憶させてあるカレンダー機能を有する服用プログラムを用いて液晶モニタ3に例えば服用カレンダーの如き画像を表示させる。尚、本実施の形態では液晶モニタ3がタッチパネル式であることから、この液晶モニタ5を入力手段5として使用する。
【0017】
また、前記カレンダー機能に使用する処方薬剤情報を前記入出力回路44から記憶装置43へ入力し、また、記憶装置43から取り出すことができる。その際、薬剤情報は、例えば、記憶装置付き非接触式のICカードやICタグ(図示せず)、携帯端末などの移動可能な記憶装置または既設の通信機器6を介して行うことによりきわめて簡単に行うことができ、例えば、病院からの処方せん情報や調剤薬局からの薬剤情報として発行するものを利用する。
【0018】
そして、前記液晶モニタ3に表示した服用カレンダー機能を用いるには、服用した際に服用した日時の箇所をタッチすることにより入力すればよい。尚、服用カレンダー機能は電子タイマー42により時間制御を行うことができることから、従来の薬箱のように服用時期を液晶モニタ3に表示したり警告音を発生させることができることはいうまでもない。また、入力された服薬情報は記憶装置43に記憶され、必要であれば、服薬情報として前記入出力回路44からICカードや通信機器などにより病院や調剤薬局に提出することができる。
【0019】
また、本実施の形態では、記憶装置43に薬剤情報などが記憶されているのでタッチパネル式の液晶モニタ3(入力手段5)により切替手段46を操作することで表示画面を切り替えて処方せん情報を閲覧することができ、更に、これらの処方せん情報を前記入力された薬剤情報と照合手段45により照合して副作用、相互作用、アレルギー、併用薬などを表示させることが可能であり、特に、前記記憶装置43に使用する個人の薬剤や病歴に関する個人情報を記憶させておくことにより使用者に特化した情報を表示させることもできる。尚、これらの場合には液晶モニタ3に緊急情報として画面を切り替えて表示することにより警告することも可能であり、また、通信機器などを介して緊急安全情報なども表示可能であり、セキュリティの面でも優れている。
【0020】
更に、本実施の形態では、前記記憶装置43に記憶し、或いは外部から入力する映像や音声を前記液晶モニタ3に表示することにより、服用時刻の前後を除いて映像や音声を前記モニタに表示可能であり、常時はデジタルフォトスタンドやマルチメディアの画面として使用することができ、有効利用が図れる。服用時刻が近づいた時には自動的に服用カレンダー機能を表示する。
【0021】
尚、本実施の形態では、入出力回路44並びに通信機器6を備えていることから、服薬情報、薬剤情報や映像情報などを例えばインターネットにより容易に入手することができ、液晶モニタ3に使用者が好みの映像、写真などを表示することにより多目的に使用することができるばかりか室内のインテリアとしても最適である。
【0022】
図3は本発明の異なる実施の形態を示すものであり、薬箱本体2の構成ならびに作用・効果については前記図1に示した実施の形態とほぼ同様であるが、薬箱本体2の側面にお薬手帳7の印刷機7が付設されている。
【0023】
本実施の形態によれば、使用者は、お薬手帳7の服薬記録の頁71を開いて印刷機8の差込口81に差し込んでおくことにより、前記液晶パネル5により入力した服薬記録を使用者が例えば液晶モニタ3(入力手段5)により服用したことを入力するだけで特別の入力をしなくても自動的に印刷される。
従って、使用者は、服用毎にお薬手帳に服薬結果を手で記録するという煩わしさから解放され、また、記録忘れがなく信頼性があることから治療の資料としてきわめて有効に利用することができる。特に、記録することが困難で手助けを要する被介護者や身障者などにおいて有効である。
【0024】
尚、本実施の形態では、液晶モニタとしてタッチパネル式のものを用いて入力手段5を兼ねたことにより操作がきわめて容易であるが、液晶モニタ3はタッチパネル式に限るものでなく、他に入力手段(図示せず)を設けた構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明における実施の形態についての斜視図。
【図2】図1に示した実施の形態の制御部を中心に示した電子回路のブロック回路図。
【図3】本発明における異なる実施の形態についての斜視図。
【符号の説明】
【0026】
1 液晶モニタ付き薬箱、2 薬箱本体、3 液晶モニタ、4 制御部、41 制御装置、42 電子タイマ、43 記憶装置、44 入出力回路、45 照合手段、6 通信機器 7 お薬手帳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置、電子タイマ、送受信装置、記憶装置、データの入出力回路を有するとともに少なくとも一面に配置された液晶モニタと、前記液晶モニタの表示を切り替える切替手段を有するとともに服用する薬剤を取り出し自由に収容可能なモニタ付き薬箱であって、服用する薬剤の情報を前記入出力回路を介して記憶装置に記録するとともにそれらの情報の内で表示したいものを前記切換手段により選択して前記液晶モニタに表示することを特徴とするモニタ付き薬箱。
【請求項2】
前記記憶装置に一般薬剤情報が記憶されており、前記入力された服用する薬剤の情報と前記一般薬剤情報とを照合して照合結果を前記切換手段により選択して前記液晶モニタに表示することを特徴とする請求項1記載のモニタ付き薬箱。
【請求項3】
前記服用する薬剤の処方情報が記憶装置付きICカードや携帯端末などの移動可能な記憶装置または既設の通信機器を介して前記入出力回路から入力し、または出力される請求項1または2記載のモニタ付き薬箱。
【請求項4】
前記電子タイマーによりカレンダ機能を用いて服用する時を前記モニタに表示するとともに服用時であることを知らせる報知装置を内蔵している請求項1,2または3記載のモニタ付き薬箱。
【請求項5】
前記モニタがタッチパネル式であって前記切換手段並びに各種の入力手段を兼ねる請求項1,2,3または4記載のモニタ付き薬箱。
【請求項6】
前記記憶装置に記憶し、或いは外部から入力する映像や音声を前記モニタに表示可能であるとともに、服用時間になると服用する時間である旨の通知をモニタに表示する請求項1,2,3,4または5記載のモニタ付き薬箱。
【請求項7】
前記記憶装置に記憶し、或いは外部から入力する映像や音声を前記モニタに表示可能であり多用途に用いることが可能であるとともに、服用時間になると服用する時間である旨の通知をモニタに表示する請求項1,2,3,4,5または6記載のモニタ付き薬箱。
【請求項8】
前記モニタのタッチパネルによる入力手段を用いて服用したことを前記電子式タイマーを用いて服用した薬剤と服用時期などの服用記録を前記記憶装置に記憶する請求項1,2,3,4,5,6または7記載のモニタ付き薬箱。
【請求項9】
前記記憶させた服用記録をお薬手帳に転記するためのプリンタが併設されている請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載のモニタ付き薬箱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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