説明

モルタルの流動性試験用漏斗のキャップ

【課題】 モルタルの注入から測定終了までの作業を1人で行い、且つ精度のよい試験を容易に実施できるようにする。
【解決手段】 キャップ1の形状をモルタルの流動性試験用漏斗の流出口4aに適合した形状とし、この流出口に装着することによって流出口を閉塞した状態に保ち、しかも容易に流出口から外せるようにした。これによって、漏斗の流出口を指で塞ぐ必要がなくなって作業を1人で行うことができ、また身体の振動などが漏斗に伝わって試験の精度を損なうこともなくなった。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、モルタルの流動性試験用漏斗の流出口に装着して用いられるキャップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
モルタルの流動性試験は、規格により定められているP漏斗あるいはJ漏斗にモルタルのサンプルを所定量注入し、全量が流出するまでの時間を測定することになっており、P漏斗の場合には流出口を指で押さえてモルタルを注入した後、指先の調整で余分な量を排出してサンプルの上面をポイントゲージの先端に合わせ、流出口から指を外すと同時にストップウォッチを始動させることで測定を開始している。またJ漏斗の場合には、流出口を指で押さえてモルタルを漏斗上縁まで注入し、上面をならした後、流出口から指を外すと同時にストップウォッチを始動させることで開始している。
【0003】
しかしながら、上述のような手順の試験を1人で行うのは困難であり、一般には2人の係員が必要であった。また、流出口を指で直接塞ぐために身体の振動などが漏斗に伝わって試験の精度を損なう可能性もあった。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
この考案はこれらの点に着目し、モルタルの注入から測定終了までの作業をすべて1人で行えるようにすると共に、精度のよい試験を容易に実施できるようにすることを課題としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、この考案のモルタルの流動性試験用漏斗のキャップは、モルタルの流動性試験用漏斗の流出口に適合した形状を有し、流出口に装着することによって流出口を閉塞した状態に保つように構成されている。このような構成により、指で押さえて流出口を塞ぐ必要がなくなり、作業を1人で行うことが可能となる。
【0006】
このキャップの縦断面の形状は、上方が開放したコ字状またはU字状またはこれらに類する形状であり、材料は例えばゴムや合成樹脂などの弾性材料が用いられる。また、下方に押し下げることにより上記流出口からキャップを離脱させる操作部材を備えることが望ましく、この操作部材の一端はキャップに連結され、他端は漏斗の架台等に連結される。この操作部材としては、例えばバンド状のものが使用される。
【0007】
また、底部に流出穴を設けると共に、押し上げることにより上記流出穴を開いて漏斗内のモルタルを流出させることのできる排出弁を設けることにより、余分なサンプルを排出することが容易で特にP漏斗に適したキャップを得ることができる。
【0008】
【考案の実施の形態】
以下、図示の実施の形態について説明する。
【0009】
図1の(a)は基本的な形状のキャップの例を、(b)は排出弁を設けたキャップの例をそれぞれ示したものであり、1はキャップである。これらのキャップ1は例えばゴムの成形品からなる浅い有底円筒状のものであって、円筒部1aの内径は漏斗下端に設けられている流出口4aの外径よりやや小さく選定されており、キャップ1を装着して流出口4aを閉塞すると、弾力によって装着された状態が保たれると共に、流出口4aから外そうとした時には容易に外れるようになっている。
【0010】
また(b)に示すキャップ1は、底部中央に漏斗状の流出穴1bを設けると共に、この流出穴1bに適合した形状の弁座2aを備え、その下部に操作部2bを有する排出弁2を設け、この排出弁2を押し上げることにより流出穴1bが開くように構成されている。3はある程度の硬さを有する適当な材料で構成されたバンドであって、操作部材となるものであり、接着、ねじ止め、巻き付けなどの適宜の手段で端部をキャップ1に固定してある。なお、このバンド3の代わりにチェーンや紐などを使用し、その一端をキャップ1に連結する構造も可能である。
【0011】
図1の(b)に示すキャップ1は特にP漏斗に適しているが、J漏斗に使用してもよく、また多少不便であるが(a)に示すキャップ1をP漏斗に使用することも可能である。なおキャップ1は、縦断面が図示のように開放側が上になる向きに倒した形状のコ字状となる有底円筒状に限られるものではなく、所定の機能を発揮できる形状であれば例えば比較的浅いU字状など他の形状とすることもできる。
【0012】
キャップ1は上記のような構成であり、図2及び図3に示すようにして使用される。図2は図1の(a)に示すキャップ1をJ漏斗に使用している状態を示しており、漏斗4の流出口4aにキャップ1を装着して流出口4aを閉塞する。バンド3の他端は漏斗4の架台5に適宜の手段で連結される。この状態でモルタルのサンプルを漏斗4の上縁まで注入して上面をならし、ハンド3のキャップ1に近い部分を下向きに押すとキャップ1が流出口4aから外れるので、この操作と同時にストップウォッチを始動させて測定を開始する。外れたキャップ1はバンド3を介して架台5にぶら下がっており、床に落ちて汚れたり紛失したりすることはない。
【0013】
また図3は、図1の(b)に示したキャップ1をP漏斗に使用している状態を例示したものであり、漏斗4の流出口4aにキャップ1を装着して流出口4aを閉塞した後、モルタルのサンプルを漏斗4に少し余分に注入する。そして鎖線で示すように排出弁2を押し上げて流出穴1b、つまり流出口4aを少し開き、余分なサンプルを排出してサンプルの上面をポイントゲージ4bの下端に合わせ、バンド3を下向きに押してキャップ1を流出口4aから外し、同時にストップウォッチを始動させて測定を開始するのである。
【0014】
このように、流出口4aをキャップ1で閉塞してからサンプルを注入すればよいので、いずれのタイプの漏斗4であってもすべての作業を1人で行うことができるのである。またJ漏斗において標準砂を用いて行うキャリブレーションも1人で実施できる。
【0015】
【考案の効果】
以上の説明から明らかなように、この考案のモルタルの流動性試験用漏斗のキャップは、モルタルの流動性試験用漏斗の流出口に適合した形状を有し、流出口に装着することによって流出口を閉塞した状態に保つように構成されたものである。従って、漏斗の流出口を指で押さえて塞ぐ必要がなく作業を1人で行うことが可能となり、身体の振動などが漏斗に伝わって試験の精度を損なう可能性もなく、精度のよい試験が可能となる。
【0016】
また、キャップの縦断面の形状を上方が開放したコ字状またはU字状またはこれらに類する形状とし、例えばゴムや合成樹脂などの弾性材料で構成することにより、流出口への装着は容易であって弾力によって確実に装着され、しかも流出口から外そうとした時には容易に外すことができる。
【0017】
また、バンドなどの操作部材を設けたものでは、これを測定開始時に下方に押し下げることによりキャップを流出口から容易に離脱させることができ、操作部材の他端を漏斗の架台等に連結しておくことにより、キャップが床に落ちて汚れたり紛失したりすることはなく、取り扱いも容易となる。
【0018】
また底部に流出穴を設けると共に、押し上げることにより上記流出穴を開いて漏斗内のモルタルを流出させることのできる排出弁を設けたものでは、余分なサンプルを排出することが容易で特にP漏斗に適したキャップが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の実施の形態の二つの例を示す縦断面図である。
【図2】同上のキャップをJ漏斗に使用している状態を示す断面図である。
【図3】同上のキャップをP漏斗に使用している状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 キャップ
2 開閉弁
3 バンド(操作部材)
4 漏斗
4a 流出口
5 架台

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 モルタルの流動性試験用漏斗の流出口に適合した形状を有し、流出口に装着することによって流出口を閉塞した状態に保つように構成されたモルタルの流動性試験用漏斗のキャップ。
【請求項2】 縦断面の形状が、上方が開放したコ字状またはU字状またはこれらに類する形状である請求項1記載のモルタルの流動性試験用漏斗のキャップ。
【請求項3】 ゴム等の弾性を有する材料で構成された請求項1又は2に記載のモルタルの流動性試験用漏斗のキャップ。
【請求項4】 下方に押し下げることにより上記流出口からキャップを離脱させる操作部材を備えた請求項1乃至3のいずれかに記載のモルタルの流動性試験用漏斗のキャップ。
【請求項5】 操作部材が、一端をキャップに連結すると共に他端を漏斗の架台等に連結したものである請求項4記載のモルタルの流動性試験用漏斗のキャップ。
【請求項6】 操作部材がバンド状のものである請求項5記載のモルタルの流動性試験用漏斗のキャップ。
【請求項7】 底部に流出穴を有すると共に、押し上げることにより上記流出穴を開いて漏斗内のモルタルを流出させることのできる排出弁を備えた請求項1乃至6のいずれかに記載のモルタルの流動性試験用漏斗のキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3061539号
【登録日】平成11年(1999)6月16日
【発行日】平成11年(1999)9月24日
【考案の名称】モルタルの流動性試験用漏斗のキャップ
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平11−770
【出願日】平成11年(1999)2月19日
【出願人】(599023705)株式会社関西機器製作所 (1)