モルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランター

【課題】凹凸が著しい地形に設置する植栽プランターの提供。
【解決手段】モルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランターにおいて、横長の客土収容体（１）の左右側面に金網体付き支持枠体（２）設けると共に、所定の間隔（Ｗ）を保持した正面上部に間隔保持材（４）及び金網体（５）を設けると共に当該間隔保持材と一体的金網体（５）を張設し、前記支持枠体の背面に法面打込み用アンカーの基端をナット（７）で固定し、且つ支持枠体（２）の上部に長尺棒状の吊り金具（８）の下端をナット（７′）を介して連結し、当該吊り金具の上端に法面打込み用ピン（９）を取付けた構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、モルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランターに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来は、コンクリート擁壁・ブロック積など比較的平滑な構造物の表面の要所要所に横長のバスケットタイプの植栽用プランターを設置して壁面の緑化を図ってきた（例えば、特許第3107761号公報の発明、実用登録第2127356号の考案、実用登録第2534471号公報の考案）。
【０００３】
しかし、その装置の設置方法はコンクリートアンカーによるもので、小さな凹凸については対応できたが、モルタル・コンクリート吹付工、壁面に著しい凹凸がある場合は設置することが困難であり、それらの構造物には緑化が導入できないのが現状だった。また、従来は環境緑化に対する関心が薄く、法面保護対策としてのモルタル・コンクリート吹付工などは、簡便であると共に高所や長大法面・急勾配法面等で頻繁に利用され、その多くはモルタル・コンクリート面のままである。
【０００４】
そこで、本願出願人は上記従来の壁面緑化装置をさらに進めた発明を提供した。
【０００５】
【特許文献１】特開２００２−２４２３５２公報の発明。
【０００６】
この特許文献１の発明は、「所定の間隔（Ｗ）を保持した左右の金網体付き支持枠（２）の正面部（３）と底面部（３′）に対峙する正面部（４′）と底面部（４″）を有する前面枠（４）を支持枠に取付けてレール溝（５）を成形し、そのレール溝に複数の丸太（９）を装入して正面壁（４′）と底面壁（４″）を成形して基盤材収容体（１）とした法面修景緑化用プランター」に係るものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
上記特許文献１の発明は、コンクリートやモルタル吹付ける面が斜面又は擁護壁面であっても比較的平滑面に適するものであるが、凹凸が激しく起伏に富んだ地形に設置することは想定していない。したがって、当該発明に係るプランターを凹凸が著しい地形にそのまま設置することは危険であり安全上問題がある。
【０００８】
本発明は上記従来の課題を解決し、且つ発明の目的を達成するために提供するものである。
【０００９】
本発明の第１は、モルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランターにおいて、横長の客土収容体の左右側面に金網体付き支持枠体を設け、且つ所定の間隔を保持した正面上部に間隔保持材を設けると共に当該間隔保持材と一体的に金網体を張設し、前記支持枠体の背面に法面打込み用アンカーの基端を固定し、且つ支持枠体の上部に長尺棒状の吊り金具の下端をナットを介して連結し、当該吊り金具の上端に法面打込み用アンカーを取付けたものである。
【００１０】
発明の第２は、第１の発明に係るモルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランターにおいて、左右一対の客土収容体の隣接する端部の金網体・支持枠体を除去して対面させ、当該支持枠体同士の正面部と底面部及び正面部から平面部の一部と、底面部から背面部の一部にかけて連結する連結枠体をあてがってボルト・ナットで固定したものである。
【００１１】
発明の第３は、モルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランターにおいて、所定の間隔を保持した左右の金網体付き支持枠体を設け、且つ正面の左右支持枠間に間隔保持材付きの金網体を張設し、当該左右支持枠体に所定の空隙を形成して対峙する正面枠体を配置し、前記左右支持枠の空間に略同径の複数の丸太を装入して正面壁と底面壁を成形し、且つ正面枠体の両端部を支持枠体に脱着できるように取付け、前記支持枠体の背面に法面打込み用アンカーの基端を固定し、且つ支持枠体の上部に長尺棒状の吊り金具の下端を連結し、当該吊り金具の上端に法面打込み用ピンを取付けたものである。
【００１２】
発明の第４は、第３の発明に係るモルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランターにおいて、左右一対の客土収容体の隣接する端部同士を金網体・支持枠を除去して対面させると共に、その端部対面部を連結枠体で連結し、当該連結枠体の正面部と底面部及び正面部から平面部の一部と、底面部から背面部の一部にかけて所定の空間を形成して対峙する丸太抑え用連結外枠体をあてがってボルト・ナットで固定してなるものである。
【発明の効果】
【００１３】
本発明は上記の構成であるから、コンクリートやモルタル吹付ける面が急勾配の斜面、又は擁護壁面の凹凸が激しく起伏に富んだ地形であっても安全確実に設置することができる。
【００１４】
従って、在来は設置が困難であった凹凸の著しいモルタル・コンクリート吹付法面等に、その凹凸の度合に適応できるアンカー体などの装置を取付けることで従来緑化の導入が困難な法面にも導入することが可能となり、自然環境との調和や地球温暖化防止効果が期待できる。
【００１５】
また、上記の植栽プランタ−を含め金網製のバスケットタイプに化粧用の丸太を取付ける金具である。丸太抑え用枠体はスプリング機能があるため、特許文献１の発明をはじめ、従来の公知の発明に比べて取付けボルトなどの部位品点数を削減することができる。
そして、丸太を交換する場合は、上部のボルトを外すだけで植栽プランタ−本体はそのままであり植物に影響はない。さらに金具は穴の位置を変えるだけでいろいろなサイズの丸太に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
本発明のモルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランターは、所定の間隔を保持した左右の金網体付き支持枠体を設けてある。また、正面の左右支持枠に間隔保持材付きの金網体を張設してある。当該左右支持枠とに所定の空隙を形成して対峙する正面枠体を配置し、前記左右支持枠の空間に略同径の複数本の間伐材から成る丸太を装入して正面壁と底面壁を成形してある。そして、正面枠体の両端部を支持枠体に脱着できるように取付け手ある。前記支持体の背面に法面打込み用アンカーの基端を固定し、且つ支持体の上部に棒状の吊り金具の基端を連結し、当該吊り金具の上端に法面打込み用アンカーを取付けてある。
【実施例】
【００１７】
図１〜５において、１は客土収容体、２は所定の長さＷ（図示例は１５０ｃｍ）を保持して配置した左右の金網体付き支持枠体、３は支持枠体２に設けて側面板を成形する金網体、４は左右の金網体付き支持枠体２・２間の上部に配置した間隔保持材、５は間隔保持材と同様に支持枠体２・２間に張設した金網体、６は支持体２の背面に基端を固定した法面打込み用アンカーであり、その基端ねじ部をナット７で客土収容体１に取付け手ある。８は支持体２の上部に下端ねじ部をナット７′で連結した長尺棒状の吊り金具、９は吊り金具７の上端に取付けた法面打込み用ピン、１０は客土収容体１の両端部にボルト・ナット１１で取付けた支持枠体２の正面部である。図３において、１２は吊り金具８の全長の途中に設けた長さ調節用のターンバックル、１３は客土収容体の１の下部を法面に所定の間隔Ｇを保持して支受するボルト状の固定ストッパーである。
【００１８】
図４・５において、１４は客土収容体１を２連又は３連以上に連結するために用いる連結枠体であり、所定の連結長さ（図示例でＷ×２＝３００ｃｍ又はＷ×３＝４５０ｃｍ等）を保持して配列する。この場合は、隣接する客土収容体同士の対面する側面の金網付き支持枠体２を取り外し、代わりに連結枠体１４を取付けてある。１５は左右支持枠体２との間に所定の空間Ｓを形成して対峙させた丸太抑え用外枠体、１６は連結枠体１４との間に所定の空間Ｓを形成して対峙させた丸太抑え兼用連結外枠体、１７は前記左右支持枠体２と丸太抑え用外枠体１５との空間Ｓに装入した丸太であり、この丸太群によって正面壁及び底面壁が成形される。図６〜図１０において、１８は丸太抑え用正面枠体１５を客土収容体１の左右側面の平面部に取付けるためのボルト・ナット、１９は客土を収容するシート状又は袋状の客土袋、２０は吸水マットである。
【００１９】
「具体的な工程例」
（１）法面・壁面Ａに削孔して法面打込みアンカー６（本体打込式）を打ち込み固定する。
（２）法面打込みアンカー６の基端ねじ部を客土収容体１の背面側にダブルナット７で取付ける。
（３）長尺ボルト形状の吊り金具８を客土収容体１の上部に取付け、所定の角度(勾配)をもたせながら壁面Ａに合わせその一端をナット７′で固定する（図１〜３及び図６〜８）。前記の吊り金具８は、客土袋を充填して重荷重が生じた場合の変形を防止する目的で設けるものであり、法面勾配が４５度〜６０度位の範囲になるように取付けることを可とする。また、吊り金具８の寸法は、１〜２種類を用意するだけで、各凹凸による長さを用意する必要はないように取付ける。
（４）前記吊り金具８の上端の打込みピン９を法面・壁面Ａに打ち込んで客土収容体１を当該壁面に所定の空隙Ｇを保持して支受固定する。
（５）打込み用アンカー６及び長尺棒状吊り金具８で取付けた客土収容体１の内に植生基盤材を収容する客土袋１９を収納した後、植物の生育に最も影響する水分を保持する給水マット２０（３〜５ｃｍ程度）を内底部に敷き、その上に客土袋１９を敷き、これに客土を詰めて植栽を行う。
（６）客土収容体１の下部には、客土袋１９を保持する目的で固定ストッパー１３を取付ける。当該固定ストッパーは、客土収容体１の固定・保持のほか凹凸が著しい法面・壁面Ａと客土収容体１の間隙ｇが広くなった場合は、同客土収容体に収容した客土袋１９が脱落する危険がある。固定ストッパー１３の取付け及びその上に金網体を載せることで客土収容体１を支受する。
【００２０】
「客土およびその収容袋」
（１）客土袋１９は、保水性、通気性、保肥性があるほか、高所での施工・取り扱いが容易である軽量な配合培養土を使用する。したがって、給水マット２０と保水性、保肥性などに優れた配合培養土を組合せて使用することで、植物の生育を助長するとともに維持管理を軽減することができる。
（２）客土を収容する客土袋１９は、日光や反射熱などを遮へいする効果のほか水分の蒸散を抑する効果、さらに雑草などが侵入できない防草効果、コンクリートやモルタル吹付け斜面又は擁壁面等の法面における法面緑化の植栽用プランターを使用した法面修景を図るもので、無味乾燥な荒地の法面や擁壁面おいて、最も人の目に触れる基盤材収容体の正面を間伐材で化粧する。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】本発明に係るモルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランターの正面図。
【図２】図１の植栽プランターを凹凸の著しい法面に設置した状態の側面図。
【図３】図２の長尺棒状吊り金具にターンバックルを設けた側面図。
【図４】植栽プランターを多連に連結した正面図。
【図５】図４の５−５線に沿う断面図。
【図６】図４の連結枠体の斜視図。
【図７】植栽用プランターの正面部位に間伐丸太を装入した正面図である。
【図８】図７の側面図。
【図９】図７の９−９線に沿う断面図。
【図１０】図７の拡大側面図。
【図１１】図１０の正面側における一部の斜視図。
【図１２】客土収容体の正面部位に間伐丸太を装入した植栽用プランターを多連に連結した正面図である。
【図１３】図９の丸太抑え用外枠体の拡大側面図。
【符号の説明】
【００２２】
１客土収容体
２支持枠体
３金網体
４間隔保持材
５正面金網体
６法面打込み用アンカー
７ナット
８棒状の吊り金具
９法面打込み用ピン
１０支持枠体の正面部
１１連結枠体
１２ターンバックル
１３固定ボルト
１４連結枠体
１５丸太抑え用外枠体
１６丸太抑え兼用連結外枠体
１７丸太
１８丸太抑え用外枠体の取付用ボルト・ナット
１９客土袋
２０給水マット

【特許請求の範囲】
【請求項１】
横長の客土収容体（１）の左右側面に金網体付き支持枠体（２）を設け、且つ所定の間隔（Ｗ）を保持した正面上部に間隔保持材（４）を設けると共に当該間隔保持材と一体的金網体（５）を張設し、前記支持枠体（２）の背面に法面打込み用アンカー（６）の基端を固定し、且つ支持枠体（２）の上部に長尺棒状の吊り金具（８）の下端を連結し、当該吊り金具の上端に法面打込み用ピン（９）を取付けたことを特徴とするモルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランター。
【請求項２】
左右一対の客土収容体（１）の隣接する端部の金網体を除去した支持枠体（２）を対面させ、当該支持枠体同士の正面部と底面部及び正面部から平面部の一部と、底面部から背面部の一部にかけて連結する連結枠体（１４）をあてがってボルト・ナット（１８）で固定してなる請求項１記載のモルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランター。
【請求項３】
所定の間隔（Ｗ）を保持した左右の金網体付き支持枠体（２）を設け、且つ正面の左右支持枠間に間隔保持材（４）付きの金網体（５）を張設し、当該左右支持枠体（２）に所定の空間（Ｓ）を形成して対峙する支持枠体の正面部（１０）を配置し、前記左右支持枠の空間（Ｓ）に略同径の複数の丸太（１７）を装入して正面壁と底面壁を成形し、且つ支持枠体の正面部（１０）の両端部を支持枠体（２）に脱着できるように取付け、前記支持枠体（２）の背面に法面打込み用アンカー（６）の基端を固定し、且つ支持枠体（２）の上部に長尺棒状の吊り金具（８）の下端を連結し、当該吊り金具の上端に法面打込み用ピン（９）を取付けたことを特徴とするモルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランター。
【請求項４】
左右一対の客土収容体（１）の隣接する端部同士を金網体・支持枠を除去して対面させると共に、その端部同士を連結枠体（１４）で連結し、当該連結枠体の正面部と底面部及び正面部から平面部の一部と、底面部から背面部の一部にかけて所定の空間（Ｓ）を形成して対峙する丸太抑え用連結外枠体（１６）をあてがってボルト・ナット（１８）で固定してなる請求項３記載のモルタル・コンクリートの凹凸表面における植栽プランター。

【図１】