説明

モータ制御装置、モータ制御方法及びイオン発生装置

【課題】モータの回転の開始指示から、該開始指示に応じた駆動電圧でモータが回転を開始するまでの遅れをなくすことが可能なモータ制御装置、モータ制御方法及びイオン発生装置を提供する。
【解決手段】電源投入時を含めてモータ2が停止した時以降に、断続回路91のコンデンサ913による充放電信号のレベルがコンパレータ915の上側閾値を上回った場合は、断続回路91がPWM駆動回路92に与えられるべきPWM制御信号を断続するため、モータ2に印加されるべき駆動電圧が断続される。これに対し、制御部のCPUは、PWM制御信号のデューティを制御することによってモータ2に印加されるべき駆動電圧を制御しており、電源の投入時以降及びモータ2の回転の停止指示の入力時以降、PWM制御信号が、モータ2の回転数で言う「微弱」に対応するデューティとなるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに印加する電圧を制御するモータ制御装置、モータ制御方法、及び前記モータ制御装置を備えるイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イオン発生装置は、イオン発生器が発生させたイオンを周囲に飛散させるためのファンを備えており、モータがファンを回転させることによって発生させた空気流にイオンを含ませている。ところで、外部から混入した異物がファンに挟まってファンの回転が停止したような場合は、モータがロックしてモータに過大電流が流れるため、モータが過熱する虞がある。
【0003】
これに対し、特許文献1では、モータに出力する駆動信号(モータに印加する駆動電圧)をモータのロック時に断続させることにより、モータに加わる電力の平均値を低減すると共に、周期的に印加される駆動電圧によってモータの回転が再開したときに保護状態からの自動復帰を可能とするモータロック保護回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−6405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたモータロック保護回路では、モータがロックせずに正常に停止している場合であっても、モータに印加する駆動電圧を断続させる回路が動作している。このため、前記回路がモータに駆動電圧を印加させない期間中に、操作者が運転スイッチ等を操作してモータの回転を開始させる開始指示を行った場合は、前記回路がモータに駆動電圧を印加させる期間になるまで、モータの回転を開始させることができない。
【0006】
このように、回転の開始指示から実際にモータが回転を開始するまでの間に遅れが生じると、操作者は、ファン、モータ及びその周辺に異常があるためにファンが停止していると誤判断することがある。この種の問題は、イオン発生装置のみならず、上述したようなロック保護回路を有するモータ制御装置を備えた機器全般に発生する。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、モータの回転の開始指示から、該開始指示に応じた駆動電圧でモータが回転を開始するまでの遅れをなくすことが可能なモータ制御装置、モータ制御方法及びイオン発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るモータ制御装置は、モータに印加されるべき駆動電圧を該モータの停止後に断続させる断続部と、前記モータの回転を開始及び停止させる開始指示及び停止指示の入力に応じて前記駆動電圧を制御する制御部とを備えるモータ制御装置において、前記制御部は、電源投入時以降及び前記停止指示の入力時以降、前記駆動電圧が前記モータを回転させるに足る所定電圧となるように制御することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るモータ制御装置は、前記制御部は、電源投入時及び前記停止指示の入力時から所定時間、前記駆動電圧が前記所定電圧となるように制御することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るモータ制御装置は、電源投入時から前記開始指示の入力時までの経過時間を計時する計時手段と、該計時手段が計時した経過時間を記憶する不揮発性メモリとを備え、前記制御部は、前記不揮発性メモリに記憶されている経過時間に基づいて、前記所定時間を決定するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るモータ制御装置は、時計手段と、前記停止指示の入力後に前記開始指示の入力があった時に、前記時計手段による時刻を記憶する記憶手段とを備え、前記制御部は、前記記憶手段に記憶されている時刻に第2の時間だけ先立つ時刻以降、前記駆動電圧が前記所定電圧となるように制御することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るモータ制御装置は、前記記憶手段は、不揮発性のメモリに記憶するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るモータ制御装置は、前記開始指示及び停止指示が入力される都度、入力された開始指示又は停止指示に係る情報を記憶する不揮発性メモリを備え、前記制御部は、電源投入時に前記不揮発性メモリに記憶されている最新の情報が開始指示に係る情報の場合、前記駆動電圧が前記開始指示に応じた電圧となるように制御することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るモータ制御方法は、モータに印加されるべき駆動電圧を該モータの停止後に断続させる断続部と、前記モータの回転を開始及び停止させる開始指示及び停止指示の入力に応じて前記駆動電圧を制御する制御部とを備えるモータ制御装置が実行するモータ制御方法において、前記制御部は、電源投入時以降及び前記モータの回転を停止させる停止指示の入力時以降、前記駆動電圧が前記モータを回転させるに足る所定電圧となるように制御することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るイオン発生装置は、イオンを発生させるイオン発生器と、上述のモータ制御装置と、該モータ制御装置により駆動電圧が制御されるモータと、該モータにより回転駆動されており、前記イオン発生器が発生させたイオンを飛散させるための空気流を発生させるファンとを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るイオン発生装置は、設定された時刻に電源を投入する電源タイマと、電源を投入すべき時刻の設定を受け付ける手段と、該手段が受け付けた時刻を前記電源タイマに設定する手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るイオン発生装置は、操作スイッチと、該操作スイッチが操作された場合、前記モータ制御装置に入力すべき開始指示を受け付ける手段と、前記操作スイッチに接近する人間の存在を検知するセンサとを備え、前記モータ制御装置が備える制御部は、前記センサが検知した場合に、前記駆動電圧が前記所定電圧となるように制御することを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、電源投入時を含むモータの停止時以降に、一定の条件が満たされた場合は、断続部がモータに印加されるべき駆動電圧を断続させる。これに対し、制御部は前記駆動電圧を制御しており、電源の投入時以降及びモータの回転の停止指示の入力時以降、前記駆動電圧が、モータを回転させることが可能な程度の所定電圧となるように制御する。
これにより、電源投入時及び前記停止指示の入力時から断続部が断続動作を開始するまでの間にモータに前記所定電圧が印加されるため、モータが前記所定電圧に応じた回転数で回転し、モータに前記所定電圧が印加され続ける限り断続部の断続動作が抑止される。
【0019】
本発明にあっては、電源投入時及びモータの回転の停止指示の入力時から所定時間だけ、制御部がモータの駆動電圧を所定電圧に維持する。
これにより、前記所定時間内は断続部の断続動作が抑止されており、モータの回転の開始指示に応じた駆動電圧が遅れなしにモータに印加される。また、前記所定時間の経過後は、モータの回転が停止するため、待機電力が低減される。
【0020】
本発明にあっては、電源投入時からモータの回転の開始指示の入力時までの経過時間を不揮発性メモリに記憶し、記憶した経過時間に基づいて、制御部がモータの駆動電圧を前記所定電圧に維持する所定時間を決定する。
これにより、過去の電源投入時から開始指示の入力時までの経過時間を複数記憶した場合は、記憶した経過時間の学習値に基づいて前記所定時間が更新される。例えば、経過時間の最頻値を所定時間の更新値に適用したときは、電源投入後にモータの回転の開始指示が入力される可能性が最も高い時点まで断続部の断続動作が抑止される。
【0021】
本発明にあっては、モータの回転の停止指示の後に入力されるモータの回転の開始指示の入力時刻を記憶し、記憶した入力時刻から第2の時間だけ遡った時刻以降は、停止指示の入力時以降と同様に、モータの駆動電圧が、モータを回転させることが可能な程度の所定電圧となるように制御する。
これにより、モータの回転の停止が指示された後に入力される開始指示の入力時刻を複数記憶した場合は、記憶した入力時刻の学習値に基づいて、次の開始指示の入力に先立ってモータの回転を開始させるべき時刻が設定される。
【0022】
本発明にあっては、上述の入力時刻が不揮発性のメモリに記憶されるため、電源の切断及び投入に関わりなく、入力時刻の学習が継続される。
【0023】
本発明にあっては、モータの回転の開始指示及び停止指示が入力される都度、入力された指示が開始指示であるのか停止指示であるのかを示す情報を不揮発性メモリに記憶しておく。電源の投入時に、不揮発性メモリに記憶されている最新の情報が開始指示を示す場合は、モータの駆動電圧が開始指示に応じた電圧となるように制御する。
これにより、前回の電源切断前にモータが開始指示に従って回転していた場合は、前回と同じ駆動電圧がモータに印加されるため、前回と同じ回転数でモータが回転を開始する。また、前回の電源切断前の最後の指示が停止指示であった場合は、モータに所定電圧が印加されるため、所定電圧に応じた回転数でモータが回転を開始する。
【0024】
本発明にあっては、上述のモータ制御装置により駆動電圧が制御されるモータによって回転駆動されるファンが発生させた空気流によって、イオン発生器が発生させたイオンが周囲に飛散する。
これにより、モータの回転の開始指示から、該開始指示に応じた駆動電圧でモータが回転を開始するまでの遅れをなくすことが可能なモータ駆動装置がイオン発生器に適用される。
【0025】
本発明にあっては、電源を投入すべき時刻の設定が受け付けられて電源タイマに設定され、設定された時刻に電源タイマが電源を投入する。
これにより、イオン発生装置を稼動させる予定時刻より前に電源が投入されるように時刻の設定を行った場合は、予定時刻より前に所定電圧に応じた回転数でモータが回転を開始するため、予定時刻に入力された開始指示に遅れることなくイオン発生装置が稼動する。特に、前回の電源切断前に不揮発性メモリに記憶した開始指示に係る情報に基づいて、開始指示に応じた駆動電圧がモータに印加される場合は、電源投入時から電源切断前の回転数でモータが回転を開始する。
【0026】
本発明にあっては、モータ制御装置に入力すべき開始操作を受け付けるための切換スイッチに接近する人間の存在を検知した場合に、モータの駆動電圧を、モータを回転させることが可能な程度の所定電圧とする。
これにより、切換スイッチへの人間の接近が検知された時にモータに前記所定電圧が印加されるため、切換スイッチに対する操作によって開始指示が受け付けられるより前に、前記所定電圧に応じた回転数でモータが回転を開始する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電源投入時及び停止指示の入力時から断続部が断続動作を開始するまでの間に、モータが回転するに足る所定電圧が印加されてモータが回転し、モータに所定電圧が印加され続ける限り断続部の断続動作が抑止される。
従って、ロック保護を担保しつつ、モータの回転の開始指示から、該開始指示に応じた駆動電圧でモータが回転を開始するまでの遅れをなくすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置の構成を示す正面断面図である。
【図2】イオン発生装置の構成を示す側断面図である。
【図3】イオン発生装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】断続回路の構成を示す回路図である。
【図5】電源投入後にモータのロック保護を行う断続回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】電源投入後のモータのロック保護が回避される断続回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置におけるモータ制御装置の状態を示す状態遷移図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係るモータ制御装置で状態遷移を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置におけるモータ制御装置の状態を示す状態遷移図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係るモータ制御装置で状態遷移を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置におけるモータ制御装置の状態を示す状態遷移図である。
【図12】運転準備中継続時間及び運転待機中継続時間夫々についての初期値及び学習値の設定例を示す図表である。
【図13】本発明の実施の形態3に係るモータ制御装置で状態遷移を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態3に係るモータ制御装置で状態遷移を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態3に係るモータ制御装置で状態遷移を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図16】電源タイマに時刻を設定するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態4に係るモータ制御装置で状態遷移を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置の構成を示す正面断面図、図2はイオン発生装置の構成を示す側断面図である。図中1はハウジングであり、ハウジング1は、下部に吸込口11,11を夫々有して離隔し対向する両側壁1a,1b、及び中央部に二つの嵌合孔12,12を有する天壁1cを備える。ハウジング1内の下部には、回転軸方向の両側に出力軸21,21を有するモータ2が配され、該モータ2の出力軸21,21の夫々には、二つのケーシング4,4に回転自在に収容された二つのファン(羽根車)3,3が装着されている。
【0030】
ファン3,3の上方には、夫々の回転により発生する気流を個別に上方へ通流させる筒部としての二つのダクト5,5が夫々配設されている。ダクト5,5の夫々は、イオン発生器6a,6d、6c,6bを下部に有し、嵌合孔12,12に取外しを可能に配置された風向体7,7を備える。イオン発生器6a,6cの上方には、発生したイオンを捕集する捕集電極63及び該捕集電極63の電位を計測する計測部64が、長手方向を略水平にして、イオン発生器6a,6cと隣接するように配されている。モータ2と、ファン3,3と、ケーシング4,4とが送風機を構成する。
【0031】
ハウジング1は、更に、平面視矩形をなす底壁1dと、該底壁1dの前後の二辺に連なる前壁1e及び後壁1fとを備え、略直方体をなしている。前壁1eの下部には、イオン発生装置の運転切換の操作を受け付けるための切換スイッチ(操作スイッチ)851(後述する図3参照)を有する操作部85と、警告、運転状態等の情報を表示するLEDからなる表示部86とが設けられている。両側壁1a,1b下部の吸込口11,11には、ファン3,3が吸込口11,11から吸込む空気を通過させ、該空気中の異物を除去して清浄空気にするフィルタ8,8が取り付けられている。天壁1cの嵌合孔12,12は、その長手方向が前後となる長方形をなし、前側の内面が鉛直に対して前方へ傾斜し、後側の内面が鉛直に対して後方へ傾斜している。また、ハウジング1は上下方向の途中で上分体と下分体とに分断され、下分体にケーシング4,4が装着され、上分体にダクト5,5が装着されている。
【0032】
ファン3,3は、外縁に対し回転中心側が回転方向へ変位する複数の羽根3aを有する多翼ファン、換言すると円筒形状をなすシロッコファンである。また、ファン3,3は、一端に軸受板を有し、該軸受板の中心に開設されている軸孔にモータ2の出力軸21,21が取り付けられ、他端の開口から中心部の空洞へ吸込んだ空気を外周部の羽根3a間から放出するように構成されている。
【0033】
ケーシング4,4は、ファン3,3の回転により発生する気流をファン3,3の回転方向へ誘導して気流の速度を増すための円弧形誘導壁41,41、及び該円弧形誘導壁41,41の一部から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方へ上向きに開放された吹出口42,42を有する。吹出口42,42は、円弧形誘導壁41,41の一部から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方へ、且つ鉛直に対して斜め方向へ突出する角筒形状をなしている。
【0034】
また、ケーシング4,4は、深皿形をなし、円弧形誘導壁41,41及び吹出口42,42用の開放部を有するケーシング本体4a,4aと、ファン3,3の前記開口と対応する箇所が開放されており、ケーシング本体4a,4aの開放側を閉塞する蓋板4b,4bとを備える。ケーシング本体4a,4a夫々の対向側は、仕切り用の連結壁43にて一体に連結されている。また、蓋板4b,4bの開放部とフィルタ8,8との間に、複数の通気孔を有する通気板9,9が設けられている。
【0035】
連結壁43のモータ2と対応する箇所は、一方のケーシング本体4a側へ窪む凹所を有し、該凹所の縁部に深皿状の支持板44が取り付けられ、凹所及び支持板44の中央部間にゴム板45,45を介してモータ2を挾着保持してある。凹所及び支持板44の中央部に開設されている軸孔には、出力軸21,21が挿通されており、出力軸21,21には、ファン3,3を取り付けてある。また、連結壁43の上端はケーシング4,4よりも上方へ延出されている。
【0036】
ダクト5,5は、その下端が吹出口42,42に連なり、その上端が嵌合孔12,12に連なり、上下方向の途中が絞られている角筒形の筒部からなる。また、ダクト5,5は、吹出口42,42から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方に沿って配された前壁5a,5a、及び吹出口42,42からほぼ鉛直に配された後壁5b,5bを有する。前壁5a,5a及び後壁5b,5bには、ほぼ鉛直に配された二つの側壁5c,5c、5d,5dが連なっており、吹出口42,42から吹き出された空気を、前壁5a,5a及び側壁5c,5c、5d,5dに沿って層流とし、鉛直に沿わせて通流させるように構成されている。
【0037】
前壁5a,5aにはイオン発生器6a,6b,6c,6d、捕集電極63、及び計測部64を有する保持体(図示せず)に対応する貫通孔が開設されており、該貫通孔に保持体が嵌め込まれている。後壁5b,5bには、モータ2、イオン発生器6a,6b,6c,6d、計測部64、操作部85及び表示部86に接続される回路基板10と、該回路基板10を被覆するカバー20とが取り付けられている。
【0038】
また、ダクト5,5は上下方向の途中でダクト上分体51とダクト下分体52とに分断されている。ダクト下分体52は角筒形をなし、横方向の中央が連結壁43にて仕切られている。ダクト上分体51は、横方向に離隔して並置される角筒部51a,51aの下部が連結部51bにて一体に連なっており、連結部51b及び連結壁43にて仕切られている。また、ダクト上分体51の上端には、外部から指等の異物が挿入されるのを防ぐための防護網30,30を配してある。
【0039】
風向体7,7は、前後方向の断面形状が逆台形をなす角枠部71,71、及び該角枠部71,71内に前後方向へ離隔して並置され、鉛直に対して前後方向一方へ傾斜する複数の風向板72,72を有し、等形状に形成されている。角枠部71,71の前後の壁は鉛直に対して前後方向へ傾斜している。
【0040】
イオン発生器6a,6b,6c,6dの夫々は、略直方体のケースに収納されており、ファン3,3の回転により発生する空気の通流方向と略直交する方向へ離隔して並設した2つのイオン発生部61,62を備える。イオン発生部61,62は、尖鋭状をなす放電電極、及び該放電電極を囲繞する誘導電極を夫々有し、高電圧を印加された放電電極がコロナ放電を夫々発生させる。これにより、一方のイオン発生部61がプラスのイオンを、他方のイオン発生部62がマイナスのイオンを夫々の誘電電極の開口側へ発生させるように構成されている。
【0041】
イオン発生器6a,6b,6c,6dは、上述の保持体に保持されてダクト5,5夫々の前壁5a,5aに取り付けられている。イオン発生器6a,6c及びイオン発生器6b,6dの夫々は、イオン発生部61,62の並設方向を同一にして該並設方向に列設し、該列設方向と前記通流方向とが略直交するように配設してある。イオン発生器6a,6d及びイオン発生器6c,6bの夫々は、イオン発生部61,62の並設方向を逆向きにして前記通流方向に並置されている。イオン発生器6a,6b,6c,6d夫々のイオン発生部61,62は、前記貫通孔からダクト5,5内に臨んでいる。
【0042】
捕集電極63は、イオンを捕集する略矩形の板状電極からなり、イオン発生器6aのイオン発生部61と、イオン発生器6cのイオン発生部62とが格別に発生させたプラス及びマイナスのイオンを重点的に検出するために、前記イオン発生部61,62の直近に配して電極面をダクト5,5内に露出させてある。捕集電極63の電極面は、イオン発生器6a,6cの列設方向と略平行となるようにしてあり、捕集電極63がプラス(又はマイナス)のイオンを捕集した場合、捕集電極63の電位が上昇(又は低下)する。捕集電極63の電位は、接地電位に対する電圧として計測部64で計測される。
【0043】
上述のとおり構成されたイオン発生装置は、居住室内に据えられる。送風機のモータ2の駆動により、ファン3,3が回転し、室内の空気が両側の吸込口11,11から二つのケーシング4,4内へ吸込まれ、吸込まれた空気中の塵埃等の異物はフィルタ8,8により除去される。この際、ケーシング4,4内に吸込まれた空気は、ファン3,3周りの円弧形誘導壁41,41により層流となり、この層流の空気が円弧形誘導壁41,41に沿って吹出口42,42へ通流し、該吹出口42,42からダクト5,5内へ吹き出される。
【0044】
一方、ダクト5,5の上方から混入した異物は、一部が防護網30,30によって内部への落下が防止されるが、防護網30,30の隙間をすり抜けた異物がファン3,3に挟まってモータ2がロックした場合、モータ2が過熱して損傷を受ける虞がある。これを防止するために、モータ制御装置には、いわゆるロック保護機能が備わっている。
【0045】
図3は、イオン発生装置の概略構成を示すブロック図である。モータ2の駆動電圧の制御及びイオン発生装置全体の制御を行う制御部の中枢となるのはCPU81であり、CPU81は、プログラム等の情報を記憶するROM82、一時的に発生した情報を記憶するRAM83、及び各種時間を計時するタイマ84と互いにバス接続されている。タイマ84は時計手段としての機能を含み、該タイマ84からは時刻データを取得することが可能であるが、本実施の形態1では時刻データを用いない。CPU81は、ROM82に予め格納されている制御プログラムに従って、イオン発生装置としての機能を実現するための処理を実行する。
【0046】
CPU81には、更に、操作部85と、表示部86と、ファン3,3が装着されたモータ2をPWM駆動するPWM駆動回路92に対して断続回路91を介してPWM制御信号を与えるPWM制御回路87と、計測部64が計測したアナログの電圧をデジタルの電圧に変換するA/D変換回路88と、5つの出力インタフェース(I/F)891〜895とがバス接続されている。操作部85は、切換スイッチ851に接近する人間の存在を検知する人感センサ852を備えているが、本実施の形態1では人感センサ852を用いない。尚、捕集電極63及び計測部64がイオン検出器を構成する。
【0047】
CPU81にバス接続された出力I/F891〜894夫々の出力端子は、直流電源93からイオン発生器6a,6b,6c,6dに供給されるべき直流電圧(例えばDC14V)をオン/オフするイオン発生器駆動回路60a,60b,60c,60d夫々の制御端子に各別に接続されている。直流電源93は、電源タイマ94を介してAC100Vの商用電源に接続されており、例えば、電源タイマ94に付属する手動の電源スイッチ95がオンされた時に電源が投入されて前記直流電圧を発生させると共に、各部にVCC(DC5V)を供給する。VCCは、特に、モータ2を駆動するための電力源としてPWM駆動回路92に与えられる他、PWM制御信号を断続するタイミングを決定するための電圧源として断続回路91に与えられる。
【0048】
イオン発生装置が通常の稼動状態にある場合、タイマ84が所定時間を計時する都度、CPU81が、出力I/F891,892及び893,894の夫々を介してイオン発生器駆動回路60a,60b及び60c,60dを交互にオン/オフさせる。これにより、イオン発生器6a,6b及び6c,6dが一定時間毎に交互にオン/オフするようになっている。
尚、CPU81、ROM82、RAM83及びPWM制御回路87がモータ制御装置の制御部に対応し、断続回路91がモータ制御装置の断続部に対応する。
【0049】
次に、断続回路91の構成と、該断続回路91、PWM駆動回路92及びモータ2の相互関係について説明する。
図4は、断続回路91の構成を示す回路図である。断続回路91は、VCCにドレインが接続されたNチャネル型のMOSFET911と、該MOSFET911のソースにドレインが接続されており、一端が接地電位に接続されたコンデンサ913の他端にソースが接続されたNチャネル型のMOSFET912とを備える。
【0050】
コンデンサ913の他端は、抵抗器914を介して、ヒステリシス特性を有するインバータ(即ち、入力に対する反転出力を有するヒステリシスコンパレータ;以下、単にコンパレータ915という)の入力端子に接続されている。コンパレータ915の入力端子は、等価的な抵抗器916を介して接地電位に接続されており、コンデンサ913に充電された電荷が抵抗器914,916を介して放電する。コンパレータ915の出力端子は、MOSFET912のゲートに接続されている。
【0051】
断続回路91は、また、上述したコンパレータ915の出力端子から与えられる信号が1(Hレベル;以下単にHともいう)である間だけ、PWM制御回路87から与えられるPWM制御信号をPWM駆動回路92に導通させるAND回路917を備える。断続回路91は、更に、モータ2のロータに近接して配されたホール素子が検知する磁界の変化に応じてモータ2の回転に同期した回転検出信号を出力するホールIC918を備え、該ホールIC918の出力端子は、MOSFET911のゲートに接続されている。前記ホール素子は、モータ2の内部に内蔵されていてもよい。モータ2が回転せずに停止している場合、回転検出信号は1(H)となる。
【0052】
以下では、断続回路91、PWM駆動回路92及びモータ2の動作についてタイミングチャートを用いて説明する。
図5は、電源投入後にモータ2のロック保護を行う断続回路91の動作を示すタイミングチャートであり、図6は、電源投入後のモータ2のロック保護が回避される断続回路91の動作を示すタイミングチャートである。図5及び図6には、最上段から順に、直流電源93からPWM駆動回路92及びMOSFET911のドレインに印加されるVCCと、PWM制御回路87からAND回路917の一の入力端子に与えられるPWM制御信号と、ホールIC918の出力端子からMOSFET911のゲートに与えられる回転検出信号と、コンデンサ913が充放電するときの両端電圧を示す充放電信号と、コンパレータ915の出力端子からAND回路917の他の入力端子及びMOSFET912のゲートに与えられるロック検出信号とが示されている。
【0053】
図4及び図5において、電源が投入されてVCCがオンした直後は、コンデンサ913の充放電信号のレベルが0(V)であってコンパレータ915の上側閾値より十分低いことから、コンパレータ915の出力信号、即ちロック検出信号が1(H)となる。これにより、MOSFET912がオンすると共に、AND回路917がPWM制御信号をPWM駆動回路92に導通させる。電源投入直後は、また、PWM制御信号が与えられておらず、モータ2が停止しているため、ホールIC918の出力信号、即ち回転検出信号が1(H)となっている。これらのことから、夫々のゲートに1(Hレベル)の信号が与えられたMOSFET911,912が共にオンし、コンデンサ913に対するVCCからの充電が開始される。
【0054】
その後、コンデンサ913の充放電信号のレベルがコンパレータ915の上側閾値を上回った場合、コンパレータ915の出力端子の信号、即ちロック検出信号が0(L)に反転することによって、AND回路917がPWM制御回路87から与えられたPWM制御信号をPWM駆動回路92に導通させない状態となる。これにより、PWM制御信号のデューティの大小に関わらず、モータ2が駆動されなくなってモータ2がロックから保護される。断続回路91におけるこの状態を保護状態という。
【0055】
保護状態では、MOSFET912のゲートにコンパレータ915から0(L)の信号が与えられてMOSFET912がオフするため、コンデンサ913への充電が停止して放電が優勢となる。その後、コンデンサ913の充放電信号のレベルがコンパレータ915の下側閾値を下回った場合、ロック検出信号が1(H)に反転することによって、AND回路917がPWM制御回路87から与えられたPWM制御信号をPWM駆動回路92に導通させる状態に復帰し、モータ2がPWM制御信号のデューティに応じた速度で回転し始める。断続回路91におけるこの状態を非保護状態という。
【0056】
断続回路91が非保護状態に復帰した直後は、MOSFET911,912が共にオンしているため、コンデンサ913の充電が再開されて充放電信号のレベルが上昇し始める。その後は、モータ2の回転に同期した回転検出信号がMOSFET911のゲートに与えられるのに対し、MOSFET912のゲートには常時1(H)の信号が与えられるため、コンデンサ913が回転検出信号の1(H)/0(L)に同期して充放電を繰り返す。
【0057】
これにより、コンデンサ913の充放電信号のレベルが、コンパレータ915の上側閾値を上回ることも、下側閾値を下回ることもなくなるため、PWM制御信号が入力され続ける限りモータ2が回転し続ける。PWM制御信号が入力されなくなってモータ2の回転が停止した場合は、コンデンサ913の充放電信号のレベルがコンパレータ915の上側閾値を上回った時に、断続回路91が再び保護状態になる。以後、断続回路91は、保護状態及び非保護状態の状態変化を繰り返す
【0058】
このように、断続回路91が保護状態にある間に入力されたPWM制御信号は、断続回路91が非保護状態に復帰してからPWM駆動回路92に与えられるため、モータ2の回転の開始がその分だけ遅れることとなる。
尚、図5では、電源投入後のロック保護について説明したが、回転しているモータ2の回転を停止させた場合についても同様である。つまり、モータ2の回転を停止させると回転検出信号が1(H)となり、コンデンサ913が充電されて充放電信号のレベルが上側閾値を上回ったときにロック検出信号が1となって断続回路91が保護状態となる。
【0059】
次に図6の説明に移る。図6では、充放電信号のレベルが最初に上側閾値を上回る前に、デューティが小さいPWM制御信号が断続回路91に入力される点が、図5の場合と異なる。コンデンサ913の充放電信号のレベルが最初に上側閾値を上回る前にPWM制御信号が入力された場合は、PWM制御信号がAND回路917で遮断されることなくPWM駆動回路92に与えられるため、上述した非保護状態に復帰した後と同様に、モータ2の回転が遅れなく開始される。
【0060】
この場合のPWM制御信号のデューティは、ファン3,3を回転駆動するモータ2を駆動して回転させるに足る大きさであればよく、具体的には、モータ2の標準的な速度に比して、微速といえる速度でモータ2を回転させればよい。モータ2が微速で回転している間は、コンデンサ913の充放電信号の変動周期が図5の場合と比較して延びているが、それによって充放電信号のレベルが上側閾値を上回ることも、下側閾値を下回ることもなく、ロック検出信号は非保護状態を保持し続ける。従って、モータ2を標準的な速度で回転させるべくPWM信号のデューティを増大させたときは、図5の非保護状態に復帰した場合と同様に、所望の速度でモータ2を回転させることができる。
【0061】
以下では、モータ制御装置の状態に応じてPWM制御信号のデューティを制御する方法について説明する。
図7は、本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置におけるモータ制御装置の状態を示す状態遷移図である。電源タイマ94を介して直流電源93にAC100Vが供給されている状態が「通電中」であり、直流電源93にAC100Vが供給されていない状態が「電源切断中」である。例えば、トグルタイプの電源スイッチ95のオン操作によって電源投入及び電源切断が行われた時に、「通電中」及び「電源切断中」相互間で状態が遷移する。
【0062】
さて、「通電中」には、「ST1:運転停止中」、「ST2:風量「弱」運転中」及び「ST3:風量「強」運転中」の3つの状態が存在し、制御部のCPU81が、これらの状態間の遷移を制御する。ここでは、「STn(n=1,2,3)」は状態番号を表す。風量が異なる状態の数は2つに限定されない。状態遷移の契機となるのは、操作部85の切換スイッチ851のオン操作である。切換スイッチ851がオンされて運転切換が指示される都度、CPU81が、状態番号をST1、ST2、ST3及びST1と巡回的に切り換えると共に、PWM制御信号のデューティを適宜制御する。状態番号がST1の状態からST2の状態に切り換える指示は、モータ2の回転の開始指示の意味合いを有し、ST3の状態からST1の状態に切り換える指示は、モータ2の回転の停止指示としての意味合いを有する。
【0063】
以下では、上述したモータ制御装置の制御部の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM82に予め格納された制御プログラムに従ってCPU81により実行される。
図8は、本発明の実施の形態1に係るモータ制御装置で状態遷移を制御するCPU81の処理手順を示すフローチャートである。図8の処理は、電源投入時に起動される。
【0064】
図8の処理が起動された場合、CPU81は、状態番号をST1に設定する(S11)。設定された状態番号は、RAM83に記憶される(以下同様)。次いで、CPU81は、PWM制御回路87から出力されるPWM制御信号が、モータ2の回転数で言う「微弱」に対応するデューティとなるように制御する(S12)。これにより、断続回路91が保護状態となる前にモータ2を風量「微弱」で回転させる。その後、CPU81は、切換スイッチ851がオンされたか否かを判定し(S15)、オンされるまで待機する(S15:NO)。
【0065】
切換スイッチ851がオンされた場合(S15:YES)、CPU81は、RAM83に記憶された状態番号がST1(運転停止中)であるか否かを判定し(S16)、ST1である場合(S16:YES)、状態番号をST2(風量「弱」運転中)に切り換えて(S17)状態を遷移させると共に、PWM制御信号が、モータ2の回転数で言う「弱」に対応するデューティとなるように制御する(S18)。
【0066】
ステップS16で状態番号がST1ではない場合(S16:NO)、CPU81は、状態番号がST2(風量「弱」運転中)であるか否かを判定し(S19)、ST2である場合(S19:YES)、状態番号をST3(風量「強」運転中)に切り換えて(S20)状態を遷移させると共に、PWM制御信号が、モータ2の回転数で言う「強」に対応するデューティとなるように制御する(S21)。
【0067】
状態番号がST2ではない場合(S19:NO)、即ち状態番号がST1でもST2でもなく、ST3(風量「強」運転中)である場合、CPU81は、状態番号をST1(運転停止中)に切り換えてモータ2を風量「微弱」で回転させるために、処理をステップS11に移す。このように、状態番号がST3の状態からST1の状態に遷移する場合についても、電源投入直後と同様に、モータ2を風量「微弱」で回転させて、断続回路91が保護状態に陥るのを防止する。
【0068】
ステップS18又はS21の処理を終えた場合、CPU81は、電源が切断されたか否かを判定し(S22)、切断されていない場合(S22:NO)、次に切換スイッチ851がオンされるまで待機するために、処理をステップS15に戻す。電源が切断された場合(S22:YES)は、図8の処理を終了する。ここで、電源が切断されたか否かの判定は、例えば、電源切断割込があったか否かを判定する。電源切断割込は、例えば、電源スイッチ95がオンされたときに発生する割込であり、直流電源93が出力するVCCの電圧が低下するより前に、CPU81に通知される。
【0069】
以上のように本実施の形態1によれば、電源投入時を含めてモータが停止した時以降に、断続回路のコンデンサによる充放電信号のレベルがコンパレータの上側閾値を上回った場合は、断続回路がPWM駆動回路に与えられるべきPWM制御信号を断続するため、モータに印加されるべき駆動電圧が断続される。これに対し、制御部のCPUは、PWM制御信号のデューティを制御することによってモータに印加されるべき駆動電圧を制御しており、電源の投入時以降及びモータの回転の停止指示の入力時以降、PWM制御信号が、モータの回転数で言う「微弱」に対応するデューティとなるように制御する。
これにより、電源投入時及び前記停止指示の入力時から断続回路がPWM制御信号の断続動作を開始するまでの間に、モータに微弱な駆動電圧が印加されるため、モータが微弱な回転数で回転し、モータに駆動電圧が印加され続ける限り断続回路によるPWM制御信号の断続動作が抑止される。
従って、モータの回転の開始指示から、該開始指示に応じた駆動電圧でモータが回転を開始するまでの遅れをなくすことが可能となる。
【0070】
また、上述のモータ制御装置により駆動電圧が制御されるモータによって回転駆動されるファン(羽根車)が発生させた空気流によって、イオン発生器が発生させたイオンが周囲に飛散する。
従って、モータの回転の開始指示から、該開始指示に応じた駆動電圧でモータが回転を開始するまでの遅れをなくすことが可能なモータ駆動装置をイオン発生器に適用することが可能となる。
【0071】
(実施の形態2)
実施の形態1が、運転停止中の状態(ST1)において、モータ2が微弱な回転数で回転するためのPWM制御信号をPWM駆動回路92に与え続ける形態であるのに対し、実施の形態2は、運転停止中の状態を2つに分割し、そのうちの一方の状態における一定時間だけPWM制御信号をPWM駆動回路92に与える形態である。
図9は、本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置におけるモータ制御装置の状態を示す状態遷移図である。
【0072】
図9では、実施の形態1における「ST1:運転停止中」に代わる状態として、「ST11:運転準備中」及び「ST12:運転待機中」の2つの状態を設ける。「ST2:風量「弱」運転中」及び「ST3:風量「強」運転中」の2つの状態については、実施の形態1と同様である。切換スイッチ851がオンされて運転切換が指示される都度、CPU81が、状態番号をST11、ST2、ST3及びST11と巡回的に切り換えると共に、PWM制御信号のデューティを適宜制御する。
【0073】
状態番号がST11の状態にあるときに、タイマ84による計時が終了したことを示すタイマ信号が通知された場合は、ST12の状態に遷移してモータ2の回転を停止させる。状態番号がST12の状態にあるときに、切換スイッチ851がオンされて運転切換が指示された場合は、ST2の状態に遷移する。状態番号がST11又はST12の状態からST2の状態に切り換える指示は、モータ2の回転の開始指示の意味合いを有し、ST3の状態からST11の状態に切り換える指示は、モータ2の回転の停止指示としての意味合いを有する。
【0074】
以下では、上述したモータ制御装置の制御部の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図10は、本発明の実施の形態2に係るモータ制御装置で状態遷移を制御するCPU81の処理手順を示すフローチャートである。図10の処理は、電源投入時に起動される。図10の処理では、状態番号がST11の状態が継続すべき時間を「運転準備中継続時間」(以下、運転準備時間ともいう)とし、この時間が予めRAM83に記憶されているものとする。
【0075】
図10の処理が起動された場合、CPU81は、状態番号をST11に切り換えた(S111)後に、PWM制御回路87から出力されるPWM制御信号が、モータ2の回転数で言う「微弱」に対応するデューティとなるように制御する(S112)。次いで、CPU81は、運転準備時間をRAM83から読み出し(S113)、読み出した時間をタイマ84に設定してカウントダウンを開始させる(S114)。タイマ84がカウントダウンを終了した場合は、タイマ信号がセットされてCPU81に通知される。
【0076】
その後、CPU81は、切換スイッチ851がオンされたか否かを判定し(S115)、オンされた場合(S115:YES)、RAM83に記憶された状態番号がST11(運転準備中)又はST12(運転待機中)であるか否かを判定する(S116)。状態番号がST11又はST12の何れかである場合(S116:YES)、CPU81は、処理をステップS117に進める。
【0077】
以下、ステップS117からS122の処理については、実施の形態1の図8におけるステップS17からS22の処理と同様であるため、その説明を省略する。但し、ステップS119及びS122夫々における判定が「NO」の場合は、ステップS111及びS115に処理を移すものとする。
【0078】
ステップS115で切換スイッチ851がオンされていない場合(S115:NO)、CPU81は、状態番号がST11(運転準備中)であるか否かを判定し(S123)、ST11ではない場合(S123:NO)、タイマ信号についての判定が不要であるため、処理をステップS115に移す。状態番号がST11の場合(S123:YES)、CPU81は、タイマ信号が1にセットされたか否かを判定し(S124)、セットされていない場合(S124:NO)、処理をステップS115に移す。
【0079】
タイマ信号が1にセットされている場合(S124:YES)、即ち、運転準備中継続時間が終了した場合、CPU81は、状態番号をST12(運転待機中)に切り換えて(S125)状態を遷移させると共に、PWM制御信号を停止させて(S126)、ステップS115に処理を移す。
【0080】
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0081】
以上のように本実施の形態2によれば、電源投入時及びモータの回転の停止指示の入力時から運転準備中継続時間だけ、PWM制御信号が、モータの回転数で言う「微弱」に対応するデューティとなるように制御する。
従って、運転準備中継続時間内は断続回路によるPWM制御信号の断続動作が抑止されており、モータの回転の開始指示に応じた駆動電圧を遅れなしにモータに印加することが可能となる。また、運転準備中継続時間の経過後は、モータの回転が停止するため、待機電力を低減することが可能となる。
【0082】
(実施の形態3)
実施の形態2が、電源投入時に運転準備中(ST11)から状態遷移を開始する形態であるのに対し、実施の形態3は、電源投入時の状態により、3つの異なる状態から状態遷移を開始する形態である。また、実施の形態3では、タイマ信号による状態遷移が1つ追加される。
図11は、本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置におけるモータ制御装置の状態を示す状態遷移図である。
【0083】
本実施の形態3では、RAM83の一部又は全部を、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM )からなる不揮発性のメモリとしておき、RAM83の不揮発性の記憶領域に状態番号を記憶する。これを利用して、前回電源切断された時にRAM83に記憶されていた状態番号が、基本的には次回の電源投入時に引き継がれるようにする。
【0084】
但し、図11に示すように、電源投入時の起点となる状態(黒丸印からの遷移先)が、「ST11:運転準備中」、「ST2:風量「弱」運転中」又は「ST3:風量「強」運転中」の3つに限定されるため、RAM83に記憶されていた前回の状態番号がST12(運転待機中)である場合は、電源投入時の状態番号をST11(運転準備中)とする。切換スイッチ851がオンされて運転切換が指示される都度、CPU81が状態番号を巡回的に切り換えるのは、実施の形態2と同様である。その他、状態番号がST12の状態でタイマ信号が通知された場合に、ST11の状態に遷移する点が、実施の形態2と異なる。
【0085】
次に、状態番号がST12及びST12の各状態が継続すべき時間の設定及び更新について説明する。前述のように状態番号がST11の状態が継続すべき時間を「運転準備中継続時間」(運転準備時間)というのと同様に、ここでは、状態番号がST12の状態が継続すべき時間を「運転待機中継続時間」(運転待機時間)という。
図12は、運転準備中継続時間及び運転待機中継続時間夫々についての初期値及び学習値の設定例を示す図表である。図表中の設定値は、RAM83の不揮発性の記憶領域に記憶される。
【0086】
図12の「電源投入時」の行に示すように、イオン発生装置のモータ制御装置が初期化された後の最初の電源投入時に、運転準備時間及び運転待機時間夫々の初期値が30分及び無限大(∞)に設定される。運転準備時間の初期値は30分に限定されない。そして、電源投入時に運転準備中(ST11)の状態から状態遷移が開始された場合は、開始指示(運転切換の1つ)が入力された時に、電源投入時からの経過時間が最大10件分だけRAM83の不揮発性の記憶領域に記憶される。
【0087】
記憶される最大件数は10件に限定されない。記憶される経過時間は5分単位で切り上げられ、30分が上限とされる。記憶される件数が10件を超える場合は、時間的に先に記憶された経過時間から上書きされる。そして、記憶件数が10件に達した後は、新たな経過時間を記憶する都度、最新10件分の経過時間の最頻値が運転準備時間の学習値としてRAM83に記憶される。学習値は最頻値に限定されない。
【0088】
一方、停止指示(運転切換の1つ)を契機として運転準備中(ST11)の状態に遷移した場合は、次の開始指示(運転切換の1つ)が入力された時に、開始指示の入力時刻(即ち運転開始時刻)が最大10件分だけRAM83の不揮発性の記憶領域に記憶される。記憶される最大件数は10件に限定されない。ここでの運転開始時刻は、電源投入時にゼロクリアされた24時間計(時計手段)から取得される5分刻みの時刻であるが、5分刻みには限定されない。
【0089】
例えば、午前7時に電源投入されて開始指示が入力され、午前10時に停止指示が入力された後に、午後5時に再び開始指示が入力された場合、午前7時から午後5時までの経過時間が10時間であるから、午後5時の運転開始時刻が、24時間計による10時としてRAM83に記憶される。記憶される件数が10件を超える場合は、時間的に先に記憶された運転開始時刻から上書きされる。
【0090】
さて、毎日ほぼ同時刻に開始指示が入力される場合、速やかにモータ2の回転を開始させるためには、開始指示の入力が想定される時刻におけるモータ制御装置の状態が運転準備中(ST11)であればよい。そこで、運転待機中(ST12)の状態に遷移した時に、タイマ信号によって運転準備中(ST11)の状態に遷移すべき時刻が、開始指示の入力が想定される時刻より15分だけ早くなるように、運転待機中継続時間(運転待機時間)を更新する。15分だけ早めるのは、運転準備中継続時間の初期値が、30分であることを考慮するものである。早める時間は15分に限定されず、ここでは30分の範囲内で適宜設定すればよい。
【0091】
より具体的には、RAM83に記憶された直近10回の運転開始時刻のうち、運転待機中(ST12)の状態に遷移した正にその時刻より後であって、該時刻に最も近い運転開始時刻までの時間よりも15分短い時間を、運転待機中継続時間の学習値として更新し、RAM83に記憶する。
尚、RAM83に記憶された直近10回の運転開始時刻のうち、処理中の時刻に最も近い運転開始時刻から、その次に近い運転開始時刻までの時間差が30分より短い場合は、RAM83に記憶されている運転準備中継続時間に前記時間差を一時的に加算する。この処理を、運転開始時刻同士の時間差が30分を超えるまで繰り返す。これにより、来るべき開始指示を、運転準備中(ST11)の状態で次々と待ち受けられる可能性が高まる。
【0092】
以下では、上述したモータ制御装置の制御部の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図13から図15は、本発明の実施の形態3に係るモータ制御装置で状態遷移を制御するCPU81の処理手順を示すフローチャートである。図13の処理は、電源投入時に起動される。尚、「初回起動フラグ」は、モータ制御装置の最初の初期化時に1にセットされるものとする。
【0093】
図10の処理が起動された場合、CPU81は、電源投入があったことを示す電源投入フラグを1にセットした(S211)後、初回起動フラグが1にセットされているか否かを判定する(S212)。1にセットされている場合(S212:YES)、CPU81は、初回起動フラグを0にクリアし(S213)、RAM83に記憶する運転準備時間を30(分)とし(S214)、更に、RAM83に記憶する運転待機時間を無限大(∞)とする(S215)
【0094】
ステップS215の処理を終えた場合、又はステップS212で初回起動フラグが1にセットされていない場合(S212:NO)、CPU81は、タイマ84の時計手段(24時間計)をリセットする(S216)。これにより、24時間計が示す時刻が0時0分となる。次いで、CPU81は、RAM83に記憶された状態番号がST11又はST12であるか否かを判定し(S217)、何れでもない場合(S217:NO)、ステップS222に処理を進める。
【0095】
状態番号がST11又はST12である場合(S217:YES)、CPU81は、状態番号を無条件にST11に設定すると共に、PWM制御信号が、モータ2の回転数で言う「微弱」に対応するデューティとなるように制御する(S219)。その後、CPU81は、RAM83に記憶されている運転準備時間(運転準備中継続時間)を読み出し(S220)、読み出した時間をタイマ84に設定してカウントダウンを開始させる(S221)。
【0096】
次に図14に移って、CPU81は、電源が切断されたか否かを判定し(S222)、切断された場合(S222:YES)、図14の処理を終了する。電源が切断されていない場合(S222:NO)、CPU81は、切換スイッチ851がオンされたか否かを判定し(S223)、オンされた場合(223:YES)、状態番号を切り換えるために、処理をステップS239に移す。
【0097】
切換スイッチ851がオンされていない場合(S223:NO)、CPU81は、状態番号がST11(運転準備中)であるか否かを判定し(S224)、ST11である場合(S224:YES)、更に、タイマ信号が1にセットされているか否かを判定する(S225)。1にセットされていない場合(S225:NO)、CPU81は、電源切断及び切換スイッチ851のオンを待ち受けるために、ステップS222に処理を移す。
【0098】
タイマ信号が1にセットされている場合(S225:YES)、即ち運転準備中継続時間が終了した場合、CPU81は、タイマ信号を0にクリアし(S226)、状態番号をST12(運転待機中)に切り換えて(S227)状態を遷移させると共に、PWM制御信号を停止させる(S228)。その後、CPU81は、図12を用いて説明した方法によって運転待機時間を更新し(S229)、必要に応じて運転準備時間を一時的に加算する(S230)。
【0099】
次いで、CPU81は、RAM83から運転待機時間を読み出し(S231)、読み出した時間が無限大(∞)であるか否かを判定する(S232)。無限大の場合(S232:YES)、CPU81は、タイマ84によるカウントダウンを開始しないまま、ステップS222に処理を移す。読み出した時間が無限大ではない場合(S232:NO)、CPU81は、読み出した時間をタイマ84に設定してカウントダウンを開始させた(S233)後に、ステップS222に処理を移す。
【0100】
ステップS224で状態番号がST11ではない場合(S224:NO)、CPU81は、状態番号がST12(運転待機中)であるか否かを判定し(S234)、ST12ではない場合(S234:NO)、タイマ信号についての判定が不要であるため、処理をステップS222に移す。状態番号がST12の場合(S234:YES)、CPU81は、タイマ信号が1にセットされたか否かを判定し(S235)、セットされていない場合(S235:NO)、処理をステップS222に移す。
【0101】
タイマ信号が1にセットされている場合(S235:YES)、即ち、運転待機中継続時間が終了した場合、CPU81は、タイマ信号を0にクリアし(S236)、状態番号をST11(運転準備中)に切り換えて(S237)状態を遷移させると共に、PWM制御信号が、モータ2の回転数で言う「微弱」に対応するデューティとなるように制御する(S238)。その後、CPU81は、ステップS222に処理を移す。
【0102】
次に図15に移って、CPU81は、状態番号がST11又はST12であるか否かを判定し(S239)、何れかである場合(S239:YES)、CPU81は、状態番号をST2(風量「弱」運転中)に切り換えて(S240)状態を遷移させると共に、PWM制御信号が、モータ2の回転数で言う「弱」に対応するデューティとなるように制御する(S241)。その後、CPU81は、電源投入後の最初の処理であることを確かめるために、電源投入フラグが1にセットされているか否かを判定する(S242)。
【0103】
電源投入フラグが1にセットされている場合(S242:YES)、CPU81は、電源投入フラグを0にクリアし(S243)、タイマ84の24時間計から時刻を読み出し(S244)、現在時刻をそのまま(電源投入時からの)経過時間に置き換えて(S245)、経過時間を最大10件までRAM83に記憶する(S246)。その後、CPU81は、図12を用いて説明した方法によって運転準備時間を更新した(S247)後、電源切断及び切換スイッチ851のオンを待ち受けるために、ステップ222に処理を移す。
【0104】
ステップS242で電源投入フラグが1にセットされていない場合(S242:NO)、即ち、停止指示の後に開始指示が入力された場合、CPU81は、タイマ84の24時間計から時刻を読み出し(S248)、読み出した時刻を運転開始時刻として最大10件までRAM83に記憶した(S249)後、電源切断及び切換スイッチ851のオンを待ち受けるために、ステップS222に処理を移す。
【0105】
ステップS239で状態番号がST11又はST12の何れでもない場合(S239:NO)、CPU81は、状態番号がST2であるか否かを判定する(S251)。状態番号がST2である場合(S251:YES)、CPU81は、状態番号をST3(風量「強」運転中)に切り換えて(S252)状態を遷移させると共に、PWM制御信号が、モータ2の回転数で言う「強」に対応するデューティとなるように制御した(S253)後、電源切断及び切換スイッチ851のオンを待ち受けるために、ステップS222に処理を移す。
【0106】
状態番号がST2ではない場合(S251:NO)、即ち状態番号がST11、ST12及びST2の何れでもなく、ST3(風量「強」運転中)である場合、CPU81は、状態番号をST11(運転準備中)に切り換えてモータ2を風量「微弱」で回転させるために、処理をステップS218に移す。
【0107】
その他、実施の形態1及び2に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0108】
以上のように本実施の形態3によれば、電源投入時からモータの回転の開始指示の入力時までの経過時間を、最大10件分だけRAMの不揮発性の記憶領域に記憶し、記憶した経過時間に基づいて、運転準備中継続時間を決定する。
従って、記憶した経過時間の学習値に基づいて運転準備中継続時間を更新することが可能となる。また、経過時間の最頻値を運転準備中継続時間の更新値に適用するため、電源投入後にモータの回転の開始指示が入力される可能性が最も高い時点まで断続回路の断続動作を抑止することが可能となる。
【0109】
また、モータの回転の停止指示の後に入力されるモータの回転の開始指示の入力時刻(即ち運転開始時刻)を24時間計から取得して最大10件分だけRAMに記憶し、記憶した運転開始時刻のうち、運転待機中の状態に遷移した正にその時刻より後であって、該時刻に最も近い運転開始時刻から15分だけ遡った時刻に運転準備中の状態に遷移するように、運転待機時間を設定する。つまり、前記15分だけ遡った時刻以降は、PWM制御信号が、モータの回転数で言う「微弱」に対応するデューティとなるように制御する。
従って、記憶した運転開始時刻(開始指示の入力時刻)の学習値に基づいて、次の開始指示の入力に先立ってモータの回転を開始させるべき時刻を設定することが可能となる。
【0110】
更に、上述の開始指示の入力時刻(運転開始時刻)がRAMの不揮発性の記憶領域に記憶されるため、電源の切断及び投入に関わりなく、入力時刻の学習を継続することが可能となる。
【0111】
更にまた、モータの回転の開始指示及び停止指示を含む運転切換の指示が入力される都度、入力された運転切換の指示に応じた遷移先の状態番号をRAMの不揮発性の記憶領域に記憶しておく。電源の投入時に、RAMに記憶されている状態番号が、風量「弱」及び風量「強」に対応する状態番号である場合は、PWM制御信号が、夫々風量「弱」及び風量「強」に応じたデューティとなるように制御する。
従って、前回の電源切断前にモータが風量「弱」及び風量「強」に応じた回転数で回転していた場合は、前回と同じ駆動電圧がモータに印加されるため、前記と同じ回転数でモータの回転を開始させることが可能となる。また、前回の電源切断前の最後の運転切換の指示が停止指示であった場合は、PWM制御信号が、モータの回転数で言う「微弱」に対応するデューティとなるように制御されるため、モータが微弱な回転数で回転することとなる。
【0112】
(実施の形態4)
実施の形態1が、電源タイマ94に付属する手動の電源スイッチ95がオンされた時に電源が投入され、操作者が実際に切換スイッチ851をオンしたときに運転切換の操作が受け付けられる形態であるのに対し、実施の形態4は、出力I/F895から設定された時刻に電源が投入され、操作者が実際に切換スイッチ851に触れる前に、運転切換の操作が受け付けられる形態である。
【0113】
本実施の形態4では、操作部85の図示しない時刻設定スイッチから時刻の設定があった場合に、これを受け付けて電源タイマ94に設定する。電源タイマ94は、設定された時刻になると、自動的に電源を投入する。電源タイマ94に、電源を投入すべき時刻が設定されている場合であっても、手動の電源スイッチ95がオンされたときは、電源が投入される。
【0114】
本実施の形態4では、また、運転停止中の状態(ST1)において、切換スイッチ851に接近する人の存在を検知した場合、検知した人が切換スイッチ851をオンしようとする操作者であるものと想定し、操作者が実際に切換スイッチ851をオンする前に、切換スイッチ851による運転切換の操作を受け付ける。例えば、2つの人感センサの検出値の変化に基づく方法等の公知の方法によって、接近する人を検知することができる。
【0115】
以下では、上述したイオン発生装置の制御部の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図16は、電源タイマ94に時刻を設定するCPU81の処理手順を示すフローチャートであり、図17は、本発明の実施の形態4に係るモータ制御装置で状態遷移を制御するCPU81の処理手順を示すフローチャートである。図16の処理は、適宜複数回起動される。図17の処理は、電源投入時に起動される。
【0116】
図16の処理が起動された場合、CPU81は、操作部85の時刻設定スイッチに対する時刻設定があったか否かを判定して(S311)、時刻設定があるまで待機しており(S311:NO)、時刻設定があった場合(S311:YES)、これを受け付け、受け付けた時刻を電源タイマ94に設定し(S312)、図16の処理を終了する。
【0117】
次に図17について説明する。図17の処理が起動された場合、CPU81は、状態番号をST1に設定した(S411)後、PWM制御回路87から出力されるPWM制御信号が、モータ2の回転数で言う「微弱」に対応するデューティとなるように制御する(S412)。その後、CPU81は、RAM83に記憶された状態番号がST1であるか否かを判定し(S413)、ST1ではない場合(S413:NO)、切換スイッチ851のオン・オフを判定するために、ステップS415に処理を移す。
【0118】
状態番号がST1である場合(S413:YES)、CPU81は、人感センサ852によって、切換スイッチ851への人の接近を検知したか否かを判定し(S414)、検知しない場合(S414:NO)、切換スイッチ851のオン・オフを判定するために、ステップS415に処理を移す。人の接近を検知した場合(S414:YES)、CPU81は、切換スイッチ851がオンされた扱いにするために、ステップS416に処理を移す。
【0119】
以下、ステップS415からS422の処理については、実施の形態1の図8におけるステップS15からS22の処理と同様であるため、その説明を省略する。その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0120】
以上のように本実施の形態4によれば、電源を投入すべき時刻の設定が受け付けられて電源タイマに設定され、設定された時刻に電源タイマが電源を投入する。
従って、イオン発生装置を稼動させる予定時刻より前に電源が投入されるように時刻の設定を行った場合は、予定時刻より前にモータ微弱な回転数で回転を開始するため、予定時刻に入力された開始指示に遅れることなくイオン発生装置を稼動させることが可能となる。
【0121】
また、モータ制御装置に入力すべき開始操作を受け付けるための切換スイッチに接近する人間の存在を検知した場合に、PWM制御信号が、モータの回転数で言う「微弱」に対応するデューティとなるように制御する。
従って、切換スイッチへの人間の接近が検知された時にモータに微弱な駆動電圧が印加されるため、切換スイッチに対する操作によって開始指示が受け付けられるより前に、微弱な回転数でモータの回転を開始させることが可能となる。
【0122】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0123】
2 モータ
3 ファン
6a,6b,6c,6d イオン発生器
81 CPU(制御部の中枢)
82 ROM
83 RAM(記憶手段、不揮発性のメモリ、不揮発性メモリ)
84 タイマ(計時手段、時計手段)
85 操作部(時刻の設定を受け付ける手段)
851 切換スイッチ(操作スイッチ)
852 人感センサ(人間の存在を検知するセンサ)
86 表示部
87 PWM制御回路(制御部の一部)
895 出力I/F (時刻を電源タイマに設定する手段)
91 断続回路(断続部)
92 PWM駆動回路
93 直流電源
94 電源タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに印加されるべき駆動電圧を該モータの停止後に断続させる断続部と、前記モータの回転を開始及び停止させる開始指示及び停止指示の入力に応じて前記駆動電圧を制御する制御部とを備えるモータ制御装置において、
前記制御部は、電源投入時以降及び前記停止指示の入力時以降、前記駆動電圧が前記モータを回転させるに足る所定電圧となるように制御することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、電源投入時及び前記停止指示の入力時から所定時間、前記駆動電圧が前記所定電圧となるように制御することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
電源投入時から前記開始指示の入力時までの経過時間を計時する計時手段と、
該計時手段が計時した経過時間を記憶する不揮発性メモリと
を備え、
前記制御部は、前記不揮発性メモリに記憶されている経過時間に基づいて、前記所定時間を決定するようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
時計手段と、
前記停止指示の入力後に前記開始指示の入力があった時に、前記時計手段による時刻を記憶する記憶手段とを備え、
前記制御部は、前記記憶手段に記憶されている時刻に第2の時間だけ先立つ時刻以降、前記駆動電圧が前記所定電圧となるように制御すること
を特徴とする請求項2又は3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、不揮発性のメモリに記憶するようにしてあることを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記開始指示及び停止指示が入力される都度、入力された開始指示又は停止指示に係る情報を記憶する不揮発性メモリを備え、
前記制御部は、電源投入時に前記不揮発性メモリに記憶されている最新の情報が開始指示に係る情報の場合、前記駆動電圧が前記開始指示に応じた電圧となるように制御すること
を特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項7】
モータに印加されるべき駆動電圧を該モータの停止後に断続させる断続部と、前記モータの回転を開始及び停止させる開始指示及び停止指示の入力に応じて前記駆動電圧を制御する制御部とを備えるモータ制御装置が実行するモータ制御方法において、
前記制御部は、電源投入時以降及び前記モータの回転を停止させる停止指示の入力時以降、前記駆動電圧が前記モータを回転させるに足る所定電圧となるように制御することを特徴とするモータ制御方法。
【請求項8】
イオンを発生させるイオン発生器と、
請求項1から6の何れか1項に記載のモータ制御装置と、
該モータ制御装置により駆動電圧が制御されるモータと、
該モータにより回転駆動されており、前記イオン発生器が発生させたイオンを飛散させるための空気流を発生させるファンと
を備えることを特徴とするイオン発生装置。
【請求項9】
設定された時刻に電源を投入する電源タイマと、
電源を投入すべき時刻の設定を受け付ける手段と、
該手段が受け付けた時刻を前記電源タイマに設定する手段と
を備えることを特徴とする請求項8に記載のイオン発生装置。
【請求項10】
操作スイッチと、
該操作スイッチが操作された場合、前記モータ制御装置に入力すべき開始指示を受け付ける手段と、
前記操作スイッチに接近する人間の存在を検知するセンサとを備え、
前記モータ制御装置が備える制御部は、前記センサが検知した場合に、前記駆動電圧が前記所定電圧となるように制御すること
を特徴とする請求項8又は9に記載のイオン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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