説明

ユニット床材

【課題】単一形状のユニットによって、ユニット床材の連結体の四方の側面における突出をなくすことにより、製造工程の簡素化、製造コストの低減、さらに施工現場での施工性の向上を図ることができるユニット床材を提供することを目的とする。
【解決手段】表裏面が区別される正方形の主面を有し、該各側面に、側面から主面外方に突出する係止用凸部11及び/又は主面内方に凹む係止用凹部12が形成されたユニット床材10であって、隣接する2側面a、bにそれぞれ1以上の係止用凸部11a、11bが形成され、かつ、これらの隣接する2側面a、bのうちの一方の側面aと、他方の側面bに対向する側面dとに、他方の側面bの係止用凸部11bに対応する係止用凹部12a、12dがそれぞれ形成され、他方の側面bと、一方の側面aに対向する側面cとに、一方の側面aの係止用凸部11aに対応する係止用凹部12b、12cがそれぞれ形成されているユニット床材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット床材に関し、より詳細には、オフィス、バルコニー、ベランダ、テラス等に敷設されるユニット床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅等においては、バルコニー、ベランダ、テラス等に、美観の向上を目的として、また、オフィス等においては、電源コード、電話又はパーソナルコンピュータ等のケーブル等を収納すること等を目的として、合成樹脂性のユニット床材、これに、絨毯、人工芝、セラミックス又は木材等の化粧材等を貼付したユニット床材等が用いられている。
このようなユニット床材は、敷設領域の大きさによって、複数の方形ユニットを四方に連結、固定するために、例えば、図4Aに示したように、通常、そのユニット床材30の4つの側面に、互いに嵌合可能な凸部31及び凹部32が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このようなユニット床材30を四方に連結すると、図5Aに示すように、ユニット床材30の連結体における2側面に、嵌合用の凸部31が突出したままになる。
【0003】
これに対して、例えば、図4Bに示すように、3種類の異なる嵌合用の凸部31、41及び凹部32、42、52を有するユニット床材30、40、50や、上述したユニット床材の連結体に対するコの字状の端部材(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
【特許文献1】特開平8−120605号公報
【特許文献2】特開2004−324084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなユニット床材30、40、50を用いると、図5Bに示すように、ユニット床材30、40、50の連結体の端部において、凸部31、41の突出をなくすことができる。
しかし、このように、ユニット床材30とは、凹凸形状が異なるユニット床材40、50や、上述した特許文献2の端部用の異なる形状の部材等を用いると、それらの製造工程が煩雑となり、製造コストの増加を招くこととなる。また、施工現場における施工性が低下するという問題もある。特に、ユニット床材30、40、50の連結体では、どのように組み合わせても、凸部と凹部との係止、嵌合による連結ができない部位が生じ(図5B中、縦方向に並ぶY2同士参照)、連結の固定を確保することができないという課題も生じる。
【0005】
本発明は、これらの課題に鑑みなされたものであり、単一形状のユニットによって、ユニット床材の連結体のいずれの側面においても突出をなくすことができるとともに、製造工程の簡素化、製造コストの低減、さらに敷設現場での施工性の向上を図ることができるユニット床材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のユニット床材は、表裏面が区別される正方形の主面と側面とを有し、該各側面に、主面縁辺側から主面外方に突出する係止用凸部及び/又は主面内方に凹む係止用凹部が形成されたユニット床材であって、
隣接する2側面にそれぞれ1以上の係止用凸部が形成され、かつ、
前記隣接する2側面のうちの一方の側面と、他方の側面に対向する側面とに、前記他方の側面の係止用凸部に対応する係止用凹部がそれぞれ形成されており、
前記他方の側面と、前記一方の側面に対向する側面とに、前記一方の側面の係止用凸部に対応する係止用凹部がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
このようなユニット床材は、平面視において、前記係止用凸部及び係止用凹部が、主面各辺の中点に対して点対称で配置されてなることが好ましい。
また、前記隣接する2側面のうちの前記一方の側面に形成された係止用凸部と、前記他方の側面に形成された係止用凸部との数が異なることが好ましい。
さらに、一つの側面において、前記係止用凸部と係止用凹部とが互いに干渉しない位置に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のユニット床材は、ユニット床材における係止用の凸凹を、一つの側面において組み合わせて配置することにより、単一形状のユニットによって、平面視において、ユニット床材の縁辺が直線を描くように、ユニット床材を四方に連結することができるとともに、ユニット床材の敷設方向を変更するのみの簡便な手法によって、組み合わされた連結体において、四方の側面のいずれにおいても、凸部の突出をなくすることが可能となる。その結果、単一の金型を用いた単一形状のユニットを製造するのみと、製造工程を簡素化することができ、製造コストの低減を図ることができる。
また、施工現場においても、単一形状のユニットを単純に係止、固定し、ユニット床材の方向を変化させるという簡便な方法で施工することができ、施工効率を向上させることが可能となる。
さらに、ユニット床材を複数敷設した場合において、各ユニット床材のいずれの縁辺においても、隣接するユニット床材と係止用凹及び凸部によって嵌合することができるため、ユニット床材同士の固定強度を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のユニット床材の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明のユニット床材は、表裏面が区別される正方形の主面を有している。ここでの正方形主面とは、表裏面の少なくとも一面の外形が正方形であることを意味する。従って、外形が正方形であれば、例えば、その内側に格子形状等の開口、凹部等を有していてもよい。また、表裏面には、滑り止め等のために粗面加工等が施されていてもよいし、タイル、加飾フィルム、木煉瓦、繊維、繊維強化セメント板等の床材が貼付されていてもよい。さらに、敷設現場における幅方向の寸法調整が容易にできるように、縁辺と平行に凹溝又は薄肉部を設けてもよい。
また、ユニット床材は、正方形主面の外形を取り囲むように、4面の側面が形成されている。側面は、主面に対して若干の傾斜を有していてもよいが、垂直であることが適している。
【0009】
ユニット床板の大きさは、特に限定されないが、運搬や敷設工事の際の取扱易さの点から、1辺が300mm〜500mm程度の正方形状とするのが好ましい。
ユニット床板の材質は、特に限定されないが、成形が容易で、軽量なものが好ましい。例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が好適に使用される。また、その用途に応じて、タルク、炭酸カルシウム、セラミックス等の無機フィラー、各種強化用繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等)、金属、木材等又はこれらを一部に備えた熱可塑性樹脂等を用いてもよい。
【0010】
本発明のユニット床材10は、図1に示すように、その側面において、主面縁辺側から主面外方に突出する係止用凸部11(つまり、11a、11b)及び/又は主面内方に凹む係止用凹部12(つまり、12a、12b、12c、12d)が形成されている。
【0011】
係止用凸部11の形状は特に限定されるものではなく、後述する係止用凹部12に係止、嵌合することにより、固定することができるような形状及び大きさであることが適している。例えば、直方体、立方体等の多角形柱、円柱、楕円柱、多角形錐、円錐、多角形錐台、円錐台、球、楕円球、これらを組み合わせた形状等、種々のものが例示される。大きさは、適度な強度を有して2以上のユニット床材を係止、嵌合、固定することができる程度であればよく、例えば、幅、長さ、奥行き等が、ユニット床材の一辺の1/50〜1/3程度の大きさ、さらに1/30〜1/10程度の大きさの範囲で適宜調整することが好ましい。また、別の観点から、幅、長さ、奥行きを、それぞれ10〜60mm程度、10〜30mm程度、2〜4mm程度とすることができる。
【0012】
この係止用凸部11は、主面の縁辺側から外方に、側面の延長方向に対して傾斜するように突出させてもよいが、側面に対して直交するように突出させることが好ましい。また、係止用凸部11は、ユニット床材10自体の厚み方向に傾斜するように突出させてもよいが、例えば、一主面に対して水平に突出させていることが好ましい。さらに、係止用凸部11は、ユニット床材10自体の全厚み方向に形成されていてもよいが、全厚みの2/3程度以下、さらに1/2程度以下より裏面側、つまり、敷設した場合に、床側に偏って配置されていることが好ましい。
【0013】
なお、この係止用凸部は、着脱可能に形成されていてもよい。例えば、ユニット床材、つまり、係止用凸部が比較的軟質な材料(例えば、熱可塑性樹脂など)によって形成されていれば、係止用凸部は、カッター、ニッパー等によって切断可能に形成されていてもよい。ユニット床材、つまり、係止用凸部が比較的硬質な材料(例えば、金属、セラミックなど)によって形成されていれば、ビス等の締結具を用いて、あるいは、係止用凸部がスライダー様機能等を有して裏面側から着脱可能に取り付けてもよい。
【0014】
係止用凹部12は、平面視において、ユニット床材の縁辺が直線を描くように四方に敷設する場合に、上述した係止用凸部11と係止、嵌合することによって、ユニット床材の連結を固定するために形成されたものであって、上述したように四方に敷設した場合に、係止用凸部11の形状に対応していることが好ましい。例えば、図1に示したように、係止用凸部11の形状が、平面視T字形状である場合には、係止用凹部12は、そのT字形状と完全に適合した形状とすることが好ましい。ただし、係止用凹部12は、係止用凸部11を適切に係止、嵌合、固定することができるものであれば、一部のみと適合した形状としてもよい。例えば、図3に示したように、ユニット床材20自体の形状が筐体様(つまり、表面側の基板23と、その縁辺が壁24で取り囲まれた筒型)等である場合には、それらの連結時に、壁24部分のみが係止用凸部21の一部に対応した形状を有している凹部22が形成されたものであってもよい。つまり、本願明細書では、「対応する」とは、本発明の意図する係止、嵌合及び/又は固定を実現し得る程度に、一部のみが適合する態様も包含される。
【0015】
この係止用凹部12は、主面の縁辺側から内方に、係止用凸部に対応するのであれば、側面の延長方向及び/又は高さ方向に対して傾斜するように凹ませてもよいが、側面に対して直交するように凹ませることが好ましい。また、係止用凹部12は、ユニット床材10自体の全厚み方向に形成されていてもよいが、ユニット床材を四方に敷設した場合に係止、嵌合される係止用凸部12の配置に応じて、ユニット床材の表面側が面一となり、ユニット床材の厚み方向において確実に固定し得る位置に形成されることが好ましい。
【0016】
本発明のユニット床材10は、これらの係止用凸部11及び係止用凹部12が、各側面において、所定の配置で形成されている。
つまり、図1に示したように、略正方形のユニット床材10を裏面からの平面視において、各側面をa、b、c及びdとすると、側面aに、例えば、2つの係止用凸部11abが形成されており、これに隣接する側面bに、例えば、1つの係止用凸部11bが形成されている。
【0017】
さらに、これらの隣接する2側面a、bのうちの一方の側面aには、他方の側面bに形成された係止用凸部11bに対応する係止用凹部12aが形成されている。ここで、係止用凹部12aの側面の延長方向における位置、ユニット床材10の厚み方向における位置は、側面bにおける係止用凸部11bの位置と同じである(以下同様である)。
一方の側面aに対向する側面cには、他方の側面bの係止用凸部11bに対応する係止用凹部12cが形成されている。
【0018】
また、これらの隣接する2側面a、bのうちの他方の側面bには、一方の側面aに形成された係止用凸部11aに対応する係止用凹部12bが形成されている。
他方の側面bに対向する側面dには、他方の側面bの係止用凸部11bに対応する係止用凹部12dが形成されている。
【0019】
このようなユニット床材10は、図2Aに示したように、係止用凸部11の位置を左方及び上方にする配置Cと、配置C3、C1及びC2と、順次、右方向に回転させた配置とを利用する。
つまり、図2Bに示したように、単一のユニット床材10を、C配置を基準に四方に連結させるとともに、例えば、その連結体の上端部でユニット床材10のC配置を、C2に回転したものに変更して、配置C及び配置C2の係止用凸部11及び係止用凹部12とをそれぞれ連結し、その連結体の左端部でユニット床材10のC配置を、C3に回転したものに変更し、配置C及び配置C3の係止用凸部11及び係止用凹部12とをそれぞれ連結し、さらに、その連結体の左上隅部でユニット床材10のC配置を、C1に回転したものに変更し、配置C1と配置C2、配置C1と配置C3の係止用凸部11及び係止用凹部12をそれぞれ連結する。
【0020】
その結果、これら複数のユニット床材10は、互いに隣接するユニット床材10との間で確実に係止及び嵌合されて固定されるとともに、その端部のいずれにおいても、係止用凸部11を突出させることを回避することができる。
【0021】
なお、本発明のユニット床材では、全ての側面に、係止用凸部と係止用凹部との双方が形成されている必要はない。すなわち、敷設床面のコーナー部に対応する隣接する2側面では係止用凹部のみが形成され、係止用凸部が形成されていない必要がある。逆に言えば、当該2側面以外の隣接する2側面には係止用凸部が形成される必要がある。そして、1つの側面に形成される係止用凸部及び/又は係止用凹部は、そのいずれかが1個以上であればよく、ユニット床材の一側面の長さ、係止用凸部及び凹部の大きさ、ユニット床材の所望の連結強度等に応じて適宜調整することができる。例えば、2個、3個、4個、さらに10個程度以下が好ましい。特に、側面に形成された係止用凸部及び/又は係止用凹部は、接合強度の観点から、平面視において主面各辺の中点に対して点対称で配置されていることが好ましい。この場合、奇数個に形成された場合の中央に位置する係止用凸部及び/又は係止用凹部は中点上に配置されることになる。また、成形上の観点から、隣接する2側面のうちの一方の側面に形成された係止用凸部と、他方の側面に形成された係止用凸部との数が異なることが好ましい。
【0022】
さらに、係止用凸部と係止用凹部とは、互いに干渉しないような位置に形成されていることが好ましい。ここで「互いに干渉しない」とは、係止用凸部と係止用凹部とが、同じ側面に存在する場合においては、一方の存在が他方の存在の障害にならないことを意味するとともに、いずれの側面に存在する場合においても、ユニット床材を複数敷設する場合に、隣接するユニット床材との間で、係止用凸部のいずれもが、係止用凹部のいずれの存在の障害にならず、かつ、係止用凸部と係止用凹部とを嵌合した場合に、いずれの嵌合も他の嵌合に対して障害にならないことを意味する。言い換えると、ユニット床材の側面の延長方向(つまり、縁辺の延長方向)において異なる位置に形成されていることが好ましい。上述したように、係止用凸部及び係止用凹部との干渉を防止するとともに、係止用凸部及び凹部が形成された部位の近傍において、ユニット床材の強度が低下することを防止するためである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のユニット床材は、住宅等でのバルコニー、ベランダ、テラス等に、また、オフィス等において、そのまま、これに絨毯、人工芝、セラミックス又は木材等の化粧材等を貼付して、屋外用及び屋内用のいずれにおいても広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のユニット床材の平面形状を示す裏面図である。
【図2A】本発明のユニット床材の使用時の態様を説明するための裏面図である。
【図2B】本発明のユニット床材の連結体を説明するための裏面図である。
【図3】本発明のユニット床材の別の形状を示す裏面図である。
【図4A】従来のユニット床材の平面形状を示す裏面図である。
【図4B】従来の別のユニット床材の組み合わせを示す裏面図である。
【図5A】図4Aに示す従来のユニット床材の連結体を示す裏面図である。
【図5B】図4Bに示す従来の別のユニット床材の連結体を示す裏面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 ユニット床材
11、11a、11b 凸部
12、12a、12b、12c、12d 凹部
a、b、c、d 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面が区別される正方形の主面と側面とを有し、該各側面に、主面縁辺側から主面外方に突出する係止用凸部及び/又は主面内方に凹む係止用凹部が形成されたユニット床材であって、
隣接する2側面にそれぞれ1以上の係止用凸部が形成され、かつ、
前記隣接する2側面のうちの一方の側面と、他方の側面に対向する側面とに、前記他方の側面の係止用凸部に対応する係止用凹部がそれぞれ形成されており、
前記他方の側面と、前記一方の側面に対向する側面とに、前記一方の側面の係止用凸部に対応する係止用凹部がそれぞれ形成されていることを特徴とするユニット床材。
【請求項2】
平面視において、前記係止用凸部及び係止用凹部が、主面各辺の中点に対して点対称で配置されてなる請求項1に記載のユニット床材。
【請求項3】
前記隣接する2側面のうちの前記一方の側面に形成された係止用凸部と、前記他方の側面に形成された係止用凸部との数が異なる請求項1に記載のユニット床材。
【請求項4】
一つの側面において、前記係止用凸部と係止用凹部とが互いに干渉しない位置に形成されている請求項1又は2に記載のユニット床材。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2009−243140(P2009−243140A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90815(P2008−90815)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(390033112)積水テクノ成型株式会社 (48)
【Fターム(参考)】