説明

ユニット式電力量計のユニット着脱用工具

【課題】ユニットをユニットケースから取外す際だけでなくユニットケースに取付ける際にも使用でき、ユニットの着脱が安全且つスムーズに行えるユニット着脱用工具を提供する。
【解決手段】固定フレーム11をユニットケースのベース51におけるカバー留め部54に固定した上で、可動フレーム12及びユニット保持部13をユニット位置に合せ、ユニット保持部13の先端部をユニット60の凸部に掛け、あるいは押圧部13bをユニット60前面側に位置させた上で、駆動機構を用いてユニット保持部13をユニットケースの前後方向に移動させると、ユニット60を強力に動かせることから、ユニット60のユニットケースへの取付及び取外し作業を安全に且つ容易に能率よく実行でき、作業者は作業に際し強い力を加えずに済み、ユニット式電力量計の設置面等への悪影響を防げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式電力量計で用いられる計器等の各種ユニットをユニットケースに対し着脱するためのユニット着脱用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
需要家での使用電力量を計量する電力量計としては、近年、機械式計器に代って電子式計器が使用されるようになっており、特に、電力量計をユニット化し、ソケットによる接続方式を採用して、計器工事時の作業の安全性向上を図ると共に、遠隔検針を行う通信ユニット等を組合わせて多機能化が可能なユニット式電力量計の設置、使用が増加している。
【0003】
ユニット式電力量計は、電力量計ユニット等の各種ユニットをユニットケースに取付けて用いる仕組みであり、配線は、ソケット接続のため、ユニットがユニットケースに取付けられると同時にユニット側の端子がユニットケース側の端子に電気的に接続することとなり、作業者の配線作業の手間が省かれる。
【0004】
ただし、電力量計ユニット等のユニットとユニットケースとのソケット接続部分は、一方の端子をなす導体製の刃を他方の端子をなす導体製の刃受けに対し挿抜する仕組みとなっており、このソケット接続部分の信頼性を高めるため、刃を刃受けで強力に挟み込んで電気的接続を確保するようにしていることから、刃側の端子を刃受け側の端子に対し挿抜するためには、刃受けの挟持力に対抗する強い力が必要である。従って、作業者がユニットをユニットケースから取外す際にはユニットをユニットケースから強い力で引離すことが、ユニットをユニットケースに取付ける際にはユニットをユニットケースに強い力で押付けることが、それぞれ要求される。
【0005】
このため、ユニットの着脱を作業者が手で行う場合には、作業に相当の困難を伴う上、特にユニットをユニットケースから取外す場合には、ユニットを手で引くように力を加えるため、ユニットがユニットケースから外れた際に、勢い余ってユニットが手から離れ、ユニットが落下する危険性があった。
【0006】
このため、ユニットをユニットケースから容易に取外せるようにする工具が提案されており、その一例として、特開2006−292442号公報に記載されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−292442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のユニット式電力量計におけるユニット取外し用の工具は、前記特許文献に示される構成となっており、てこの原理を応用してユニットをユニットケースからスムーズに取外すことができるものであったが、ユニットをユニットケースに取付ける際の、ユニットをユニットケースに押付ける作業には使用することができず、ユニット取付けの際には、手でユニットをユニットケースに向けて押し、ユニットがユニットケースのベース前面に正常に当接し、ユニット側の端子とユニットケース側の端子が電気的に接続して容易に離れない状態となるまでユニットに押圧力を加える作業が依然行われている。
【0009】
しかしながら、ユニット式電力量計は、需要家の建物の壁等に設置されていることから、壁等の設置面の強度があまり高くない場合、作業者がユニットをユニットケースに向けて押す力を強く加えると、ユニットケースのベースを介して設置面に加わるこの押す力に設置面が耐えきれず、設置面の破損を招く危険性があるという課題を有していた。
【0010】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、ユニットをユニットケースから取外す際だけでなくユニットケースに取付ける際にも使用でき、ユニットの着脱が安全且つスムーズに行えるユニット着脱用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るユニット着脱用工具は、ユニット式電力量計のユニットケースにおけるベースの上面及び左右側面からそれぞれ突出させて設けられる、ユニットケース前面側のカバーを取付けるための略板状の三つのカバー留め部に対し、ベース上面のカバー留め部を貫通させる孔を穿設されると共に、ベース左右側面の各カバー留め部を係合させる切欠き部を設けられて、少なくともベースの上側及び左右両側を取囲む状態でベースの各カバー留め部に対し着脱自在且つベースの前後方向については固定状態として配設される固定フレームと、当該固定フレームにおける前記ベースの左右両側に位置する左右の側辺部分に、少なくともベースにおける一ユニットの取付範囲にわたって上下方向に移動可能としてそれぞれ左右端部を取付けられて、前記左右の側辺部分の間に架設される可動フレームと、ユニットの左右両側に設けられる引抜工具を掛けるための凸部に対し、当該凸部に掛けられる略鉤状の先端部を左右にそれぞれ形成されると共に、ユニットの前面に当接可能な略板状の押圧部を有してなり、前記可動フレームにベースの前後方向に移動可能に取付けられるユニット保持部と、当該ユニット保持部を前記可動フレームに対しベースの前後方向に移動させる駆動機構とを備えるものである。
【0012】
このように本発明によれば、固定フレームをユニットケースのベースにおけるカバー留め部に係合させて固定した上で、可動フレーム及びユニット保持部をユニット位置に合せ、ユニット保持部の先端部をユニットの凸部に掛け、あるいは押圧部をユニットの前面側に位置させた上で、駆動機構を用いて力を加えつつユニット保持部をユニットケースの前後方向に徐々に移動させると、ユニットをユニットケースに対し遠ざける向き又は近付ける向きに強力に動かせることにより、ユニットのユニットケースへの取付及び取外し作業を安全に且つ容易に能率よく実行でき、作業者は作業に際し強い力を加えずに済み、ユニット式電力量計の設置面等への悪影響を防げる。また、固定フレームがベースのカバー留め部に固定される以外で、工具の支持に係るユニットケースへの接触はないことにより、ユニットケース本体部分を損傷させずに済み、ユニットケース内の気密を損うような事態を招かず、計器に悪影響を与えない。
【0013】
また、本発明に係るユニット着脱用工具は必要に応じて、前記ユニット保持部の押圧部に上下方向の少なくとも一方の端部から反対側へ向けて切欠き部を設け、当該切欠き部位置での押圧部の上下方向寸法が、ユニットの上下方向厚さより小さくなるものである。
【0014】
このように本発明によれば、ユニット保持部の押圧部端部に切欠き部を設けて、押圧部で押す対象のユニット前面の上下方向端部が切欠き部を通じて見えるようにし、押圧部で押す対象のユニットの前面が既設の正常取付状態にある他のユニットの前面と揃ったか否かを確認できることにより、押圧部で押す対象のユニット前面が他のユニットの前面に揃った状態からユニットの正常取付状態を適切且つ容易に判断でき、ユニットとベースとの位置関係が正常取付状態に至ったことを的確に把握して作業を速やかに終了でき、作業能率を向上させられると共に、ユニットを押しすぎることが無く、過剰な力を加えてユニットやベース等が破損するのを避けられる。
【0015】
また、本発明に係るユニット着脱用工具は必要に応じて、前記ユニット保持部の押圧部が、上下方向の最大寸法をユニットの上下方向厚さより大きくして形成され、前記押圧部の上下方向の端部に、押圧部で押す対象のユニットと隣接する既設の他ユニットの前面と接触可能に配設され、既に正常な取付状態にある前記他ユニット前面への接触、押付けに伴って一部分を相対移動させ、前記押圧部で押す対象のユニットが正常な取付状態の位置に達した際には、前記相対移動する一部分の押圧部前面側における露出状態を、前記押圧部で押す対象のユニットが正常な取付状態の位置に達する前から変化させる取付状態指示部を備えるものである。
【0016】
このように本発明によれば、ユニット保持部の押圧部端部に、既に正常取付状態にある他ユニット前面と接触して一部分を相対移動可能とした取付状態指示部を設け、この取付状態指示部の相対移動する一部分の押圧部前面側における露出状態変化から、押圧部で押す対象のユニットが正常な取付状態の位置まで達しているか否かを確認できることにより、ユニットの正常取付状態を押圧部の前面側から容易に判断でき、ユニットとベースとの位置関係が正常取付状態に至ったことを的確に把握して作業を速やかに終了でき、作業能率を向上させられると共に、ユニットを押しすぎることが無く、過剰な力を加えてユニットやベース等が破損するのを避けられる。
【0017】
また、本発明に係るユニット着脱用工具は必要に応じて、前記固定フレームが、前記左右の側辺部分に、少なくともベースにおける全ユニットの取付範囲にわたって上下方向に連続する長孔をそれぞれ穿設され、前記可動フレームが、前記固定フレームの長孔に矩形断面形状の端部を係合させ、長孔の穿設範囲にわたって上下方向移動可能とされ、前記固定フレーム以外の可動フレーム、ユニット保持部、及び駆動機構を合わせた上下可動部分の全体の重心が、固定フレームからベース前方側に離れた箇所に位置するものである。
【0018】
このように本発明によれば、固定フレームに上下方向に連続する長孔を穿設し、この長孔と可動フレームの矩形断面形状とした端部とを係合させて、可動フレームをベースにおける全ユニットの取付範囲にわたって移動可能とすると共に、固定フレーム以外の上下可動部分全体の重心を、固定フレームからベース前方側に離れて位置するようにして、上下可動部分を可動フレームのベース前方側部分がより下方となるように傾けた状態とすると、可動フレームの端部が固定フレームの長孔内で傾いて、可動フレームの端部の角部と固定フレームの長孔周縁部とが接触する中、この可動フレーム端部角部と長孔周縁部との摩擦、並びに上下可動部分全体の重心位置による前記角部周りのモーメントの釣合いの関係で、上下可動部分は固定フレームに対し落下することなく止った状態に保持されることにより、ユニットの取付や取外しを行わない位置まで可動フレームをはじめとする上下可動部分を移動させ、且つ上下可動部分を傾けて保持状態とすれば、強い力を必要とせずに取外せる状態まで工具で外したユニットを完全に手で取外す作業や、未取付状態のユニットを取付対象の位置に配置して工具で押せる状態にする作業を行うにあたり、固定フレームのベースへの固定状態はそのままで、可動フレームやユニット保持部等が前記作業の支障とならない状態を得られることとなり、こうした作業の邪魔にならないよう工具を一旦取外し、作業後に再度工具を取付ける手間が必要ない上、作業中にユニットを手で取扱う際に、可動フレームやユニット保持部等を手で邪魔にならない位置に保持しておくような煩わしさもなく、ユニットの取付、取外しを連続して行う場合の作業性が著しく向上する。
【0019】
また、本発明に係るユニット着脱用工具は必要に応じて、前記駆動機構として、前記可動フレームのベース前方位置に回動可能に支持されると共に、前記ユニット保持部に螺合し、回転に伴ってユニット保持部との螺合位置を相対移動させてユニット保持部をベース前後方向に移動させるねじ軸と、当該ねじ軸を手動回転させるハンドルとを備えるものである。
【0020】
このように本発明によれば、可動フレームに回動可能に支持されると共にユニット保持部に螺合するベース前後方向に平行なねじ軸と、これを回転させるハンドルとが駆動機構をなし、ハンドルを介したねじ軸の手動回転でユニット保持部を移動させ、ユニット保持部の先端部や押圧部でユニットに力を加えてこれを動かすことにより、簡略な構造で確実に強力な力をユニットに付加して取付や取外しを実行でき、且つねじ軸との螺合の関係でユニット保持部とこれにより動かされるユニットのベース前後方向への移動を徐々に行わせることができ、ユニットやベースに衝撃を与えることもなく、誰でも容易且つ適切にユニットの取付・取外し作業を進められる。
【0021】
また、本発明に係るユニット着脱用工具は必要に応じて、前記ユニット保持部の先端部よりベース前方側の可動フレーム及び/又はユニット保持部の一部に開口部を設け、当該開口部を介して前記先端部をベース前方側から視認可能とするものである。
【0022】
このように本発明によれば、ユニット保持部の先端部をユニット保持部及び可動フレームの前方側から視認可能とする開口部を可動フレームやユニット保持部に設けることにより、ユニット保持部の先端部をユニットの凸部に掛ける作業が、作業者が先端部を確認しながら実施でき、小さな凸部に対し先端部のベース前後方向位置を合せた上でユニット保持部を可動フレーム等と共にずらして先端部を凸部に掛ける細かい作業が行いやすくなり、作業性を大きく向上させて作業時間の短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具の正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具の背面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具の平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具の底面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具の右側面図である。
【図7】図2のA−A断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具を適用するユニットケースの分解説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具を適用するユニットのベース取付状態正面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具を適用するベースの正面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具のベースへの取付開始状態説明図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具のベースへの固定状態説明図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具における固定状態の斜視図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具における固定状態の正面図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具によるユニット取外し作業時におけるユニット保持部の位置合せ状態説明図である。
【図16】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具によるユニット取外し作業時におけるユニット保持部でのユニット引出し状態説明図である。
【図17】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具によるユニット取外し作業時における引出したユニットからのユニット保持部取外し状態説明図である。
【図18】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具における上下可動部分の固定枠部最上部への保持状態説明図である。
【図19】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具によるユニット取付作業時におけるユニット保持部の位置合せ状態説明図である。
【図20】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具によるユニット取付作業時におけるユニット保持部でのユニット押圧状態状態説明図である。
【図21】本発明の第1の実施形態に係るユニット着脱用工具によるユニット取付作業時における正常取付状態のユニットからのユニット保持部取外し状態説明図である。
【図22】本発明の第2の実施形態に係るユニット着脱用工具における固定状態の正面図である。
【図23】本発明の第2の実施形態に係るユニット着脱用工具の底面図である。
【図24】本発明の第2の実施形態に係るユニット着脱用工具における取付状態指示部の概略構成説明図である。
【図25】本発明の第2の実施形態に係るユニット着脱用工具によるユニット取付作業時における取付状態指示部の作動状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を前記図1ないし図21に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係るユニット着脱用工具1は、ユニット式電力量計のユニットケース50におけるベース51の上側及び左右両側を取囲む状態でベース51の各カバー留め部52、53、54に対し着脱自在として配設される固定フレーム11と、この固定フレーム11における左右の側辺部分11b、11cに上下方向に移動可能として架設される可動フレーム12と、略鉤状の先端部13a及び略板状の押圧部13bを有して前記可動フレーム12にユニットケース50の前後方向に移動可能に取付けられるユニット保持部13と、このユニット保持部13を前記可動フレーム12に対しユニットケース50前後方向に移動させる前記駆動機構としてのねじ軸14及びハンドル15とを備える構成である。
【0025】
なお、本実施形態に係るユニット着脱用工具1を適用するユニット式電力量計は、そのユニットケース50における前面側の透明カバー55を取付けるための略板状の三つのカバー留め部52、53、54が、ユニットケース50のベース51の上面及び左右側面からそれぞれ突出させて設けられているものとする。これらのカバー留め部52、53、54には、カバー固定用の雌ねじ部等が設けられることとなる。また、着脱対象のユニット60については、ユニット60の左右両側に公知の引抜工具を掛けるための凸部61がそれぞれ設けられているものとする。
【0026】
前記固定フレーム11は、上辺部分11aと左右の側辺部分11b、11cとを備える略コ字形状として形成され、ユニットケース50におけるベース51の上面及び左右側面に設けられる略板状の三つのカバー留め部52、53、54に対し、上辺部分11aにベース51上面のカバー留め部52を下から貫通させて係合させる孔11dを穿設されると共に、左右の側辺部分11b、11cにベース左右側面の各カバー留め部53、54を下方から係合させる切欠き部11e、11fをそれぞれ設けられてなり、ベース51の各カバー留め部52、53、54に対し、上下方向へ着脱自在とされる一方、ベース51の前後方向については拘束状態とされて、ベース51の上側及び左右両側を取囲む状態で配設される構成である。
また、固定フレーム11の左右の側辺部分11b、11cには、その上下方向の略全体にわたって長孔11g、11hがそれぞれ穿設され、この長孔11g、11hに可動フレーム12の端部が上下移動可能に係合することとなる。
【0027】
この固定フレーム11については、ベース51の各カバー留め部52、53、54に着脱可能な範囲で、ベース51の外形より若干大きめの形状として形成するのが、製造元の違いによるユニットケースの外形寸法の微小な差異を吸収できる点で好ましい。
なお、固定フレーム11は、ベース51の幅より少し大きい所定の作業用工具をベース51下部の端子部51aに取付ける可能性を考慮して、左右の側辺部分11b、11cの長さを、端子部51aの側方に達しない程度に設定するのが好ましい。ただし、固定フレーム11はこうした上辺部分11aと左右側辺部分11b、11cからなる略コ字形状とされる構成に限られるものではなく、ベース51の下側を含むベース51全体を取囲むような閉じた矩形状に形成される構成とすることもできる。
【0028】
前記可動フレーム12は、前記固定フレーム11における左右の側辺部分11b、11cの各長孔11g、11hに上下方向移動可能としてそれぞれ左右端部を取付けられて、前記側辺部分11b、11cの間に架設される構成である。詳細には、可動フレーム12は、前辺部分12aと左右の側辺部分12b、12cとを備える略コ字形状として形成され、左右の側辺部分12b、12cの略J字形状とされた後側の端部12d、12eを各長孔11g、11hに係合させて、この長孔11g、11hの穿設範囲にわたって上下方向に移動可能とされ、固定フレーム11の側辺部分11b、11cの間に位置しつつも固定フレーム11から前方に大きく突出した状態で配設される構成である。
【0029】
固定フレーム11の長孔11g、11hの穿設範囲は、ユニットケース50のベース51における全ユニットの取付範囲に及んでいることから、可動フレーム12は、このベース51における全ユニットの取付範囲にわたって上下方向に移動可能となっている。
【0030】
可動フレーム12の前辺部分12aは、ベース51の前方に位置しており、この前辺部分12aの中央部に、前記ねじ軸14が回動可能に支持される。
【0031】
前記ユニット保持部13は、ユニット60の左右両側の凸部61に掛けられる略鉤状の先端部13aを左右にそれぞれ形成されると共に、ユニット60の前面に当接可能な略板状の押圧部13bを有してなり、前記可動フレーム12にユニットケース50の前後方向に移動可能に取付けられる構成である。詳細には、ユニット保持部13は、前辺部分13cと左右の側辺部分13d、13eとからなる略コ字形状部分を有し、略鉤状の先端部13aが左右の側辺部分13d、13eの末端に設けられると共に、略板状の押圧部13bが左右の側辺部分13d、13eの略中間部分に掛渡して配設され、左右の側辺部分13d、13eが可動フレーム12の左右の側辺部分12b、12cにそれぞれ沿い、且つ先端部13aがユニットケース50の後方側に位置する状態で、可動フレーム12の内側に配設される構成である。
このユニット保持部13の前辺部分13cの中央部には、可動フレーム12の前辺部分12aに回動可能に支持された前記ねじ軸14のねじ部分が螺合している。
【0032】
前記先端部13aは、ユニット60がユニットケース50のベース51に完全に取付けられた状態で、ユニット60の左右両側の凸部61とベース51との間に生じる隙間62に入り込める大きさの略鉤状に形成され(図6、図7、図15参照)、この先端部13aを前記隙間62に挿入して凸部61に掛け、ユニット保持部13をユニットケース50前方側へ動かすことで、凸部61と一体のユニット60をユニットケース50前方側、すなわち取外し側へ動かせる仕組みである。
【0033】
前記押圧部13bは、ベース51に取付けられるユニット60の最大上下方向厚さより上下方向寸法の大きい略矩形状の略板状体として形成され、上下方向の一方の端部、例えば下端部から反対側へ向けて所定幅の切欠き部13fを設けられ、必要に応じて板面から起立した補強用のリブ部13gを形成されてなる構成である。なお、切欠き部13fは、この切欠き部13fのある押圧部13bの最小上下寸法部分がユニット60の上下方向厚さより小さくなるような大きさとして切欠き形成される。そして、切欠き部13fを除く押圧部13bのユニットケース50後方側の面には、ユニット60前面との接触に際し緩衝材として機能してユニット60前面の傷付きを防止するゴム等の弾性材製シート13hが貼設される。
【0034】
押圧部13bがユニット60の最大上下方向厚さより上下方向寸法を大きくされることで、押圧部13bの上下方向の端部は、押圧部13bで押す対象のユニット60と隣接する既設の他ユニットと接触可能となっている(図20参照)。また、切欠き部13fにおいては、押圧部13bで押す対象のユニット60の前面端部、例えば前面の下端部がユニットケース50前方側から視認可能となっている(図13、14参照)。
【0035】
この押圧部13bと前記先端部13aの位置関係は、先端部13aがユニット60の凸部61に掛った状態で、押圧部13bがユニット60の前面近傍にほとんど接する状態として存在するものとし、且つ押圧部13bがユニット60の前面にシート13hを最大限押し縮めた状態で当接した状況でも、先端部13aが凸部61からそれほど離れず、前記隙間62の寸法範囲内に留まってベース51と誤って接触し得ない関係に設定される。
【0036】
なお、ユニット保持部13の先端部13aは、ユニット60の着脱作業中においては、押圧部13bやユニット60の存在によってユニットケース50前方側から作業者が視認することは困難であることから、作業者が先端部13aのユニットケース50前後方向位置を把握しやすくするために、ユニットケース50前後方向に移動しない可動フレーム12に対するユニット保持部13のユニットケース50前後方向位置変化を示す目盛等の目印をユニット保持部13の視認可能な表面と可動フレーム12にそれぞれ設け、特に、ベース51に完全に取付けられた状態のユニット60の凸部61とベース51間の前記隙間62に先端部13aが存在する場合と同じユニットケース50前後方向位置関係を示す目印等を、ユニット保持部13表面と可動フレーム12にそれぞれ設けるようにしてもよく、ユニット保持部13表面と可動フレーム12との目印の合致から先端部13aのユニットケース50前後方向位置を作業者が容易に把握でき、作業者が可動フレーム12及びユニット保持部13を動かして先端部13aを凸部61に掛ける作業の能率を向上させられる。
【0037】
この他、ユニット保持部13の先端部13aをユニットケース50前方側から作業者が直接視認できるようにする開口部を可動フレーム12及び/又はユニット保持部13に設ける構成とすることもでき、前記目印等を設ける場合と同様に、ユニット保持部13の先端部13aを凸部61に掛ける作業が能率よく行えることとなる。この場合、先端部13aに対しLED等を用いて照明を行えば、さらに作業性を向上させられる。
【0038】
前記ねじ軸14は、可動フレーム12の前辺部分12aと直交する配置関係でこの前辺部分12a中央部に回動可能に支持されると共に、ユニット保持部13の前辺部分13c中央部に螺合し、軸周りの回転でユニット保持部13との螺合位置を相対移動させるのに伴って、固定フレーム11や可動フレーム12に対しユニット保持部13をユニットケース50前後方向に移動させられる構成である。
【0039】
前記ハンドル15は、可動フレーム12の前辺部分12aよりユニットケース50前方側に位置するねじ軸14の一端部に一体に取付けられ、ねじ軸14を手動回転させるものである。このハンドル15は、折りたたみ式やねじ軸14から着脱可能とするなどして、コンパクト化を図れる構成とすることもできる。
【0040】
このねじ軸14及びハンドル15からなる駆動機構、並びに可動フレーム12が、ユニット取付・取外し作業状態でユニットケース50のベース51からベース前方側へ突出する合計寸法は、ユニットケース50の透明カバー55をベース51から外してベース前方側へずらして交換等のために完全に取外す際に、ベース51のベース前方側に必要となる最小限のスペースにおさまるように設定するのが好ましく、この場合、ユニット式電力量計を正常に設置できた箇所であれば、いずれの箇所でも工具をベース51に取付けた状態でハンドルや可動フレーム等の操作スペースを確保でき、工具をユニットの着脱に利用できることとなる。
【0041】
また、ねじ軸14及びハンドル15からなる駆動機構、ユニット保持部13、並びに可動フレーム12を合せた、固定フレーム11以外の上下可動部分については、この上下可動部分全体の重心が、固定フレーム11からベース前方側に離れて位置するために、この上下可動部分をハンドル15側が下方となるように傾けた状態とした場合、可動フレーム12の端部が固定フレーム11の長孔11g、11h内で傾いて、可動フレーム12の端部の角部と固定フレーム11の長孔周縁部とが接触する中、この可動フレーム端部角部と長孔周縁部との摩擦、並びに上下可動部分全体の重心位置による前記角部周りのモーメントの釣合いの関係で、上下可動部分は固定フレーム11に対し落下することなく止った状態に保持されることとなる(図18参照)。
【0042】
ベース51における最上段のユニット取付位置は、手による着脱が容易な通信ユニット等が取付けられることで工具によるユニット着脱が通常行われないが、この最上段のユニット取付位置の高さまで可動フレーム12を到達させられる程度に可動フレーム12の移動範囲を設定していることで、ベース51における下側二段のユニットを手で取扱う作業状況で、可動フレーム12をはじめとする上下可動部分を最上段のユニット取付位置の高さまで上に移動させ、ハンドル15側が下方となるように傾けておけば、上下可動部分をこの最上段のユニット取付位置でそのままずれなく保持することができ、可動フレーム12やユニット保持部13等が下側二段のユニットに対する作業の障害とならず、また可動フレーム12等を手で下方に落ちないよう支えておく必要もなく、スムーズにユニットに係る作業を行える。
【0043】
次に、前記構成に基づくユニット着脱用工具を使用したユニットの取付・取外し作業について説明する。まず、ユニットケース50からユニット60を取外す場合、あらかじめユニットケース50の透明カバー55を取外し、取外し対象のユニット60左右の固定ねじ63を緩めた状態のベース51に対し、工具の可動フレーム12やハンドル15をベース前方側に向けた状態で、固定フレーム11を上方からベース51に被せるようにし、ベース51上面のカバー留め部52を固定フレーム11の上辺部分11aの孔11dに貫通させ係合させると共に、ベース51左右側面の各カバー留め部53、54を固定フレーム11左右の側辺部分11b、11cの切欠き部11e、11fにそれぞれ係合させて、固定フレーム11をベース51に固定する(図11、図12参照)。
【0044】
固定フレーム11を固定した後、必要に応じてハンドル15を回してユニット保持部13のベース前後方向位置を調整し、ユニット保持部13の先端部13aがベース51から離れてユニット60の凸部61や固定ねじ63に接触しないようにして、可動フレーム12等の前記上下可動部分が上下方向にスムーズに移動できるようにした上で、可動フレーム12をユニット保持部13等と共に固定フレーム11に対し上下に動かし、ユニット保持部13の先端部13aが取外し対象のユニット60の凸部61のすぐ上側に位置する状態とする(図15(A)参照)。さらに、ハンドル15を回してユニット保持部13の前後位置を調整し、先端部13aを十分にベース51に接近させてから(図15(B)参照)、可動フレーム12をユニット保持部13等と共に下げ、左右の先端部13aをユニット60の左右の凸部61にそれぞれ掛ける(図16(A)参照)。
【0045】
こうして先端部13aがユニット60の凸部61に掛ったら、ハンドル15を回してユニット保持部13をユニット60と共にベース前方側へ徐々に移動させ(図16(B)、図17(A)参照)、ユニット60の移動に伴いユニット側端子64とユニットケース側端子56の電気的接続状態を解除し、ユニット60を手で容易に引出せる状態とする。この状態までユニット60を移動させたら、この取外し対象のユニット60下側に他のユニットが存在していない場合はユニット60を下から手で支えつつ、可動フレーム12をユニット保持部13等と共に上方に動かし(図17(B)参照)、取外し対象のユニット60と押圧部13bとが接触しない、可動範囲の最上位置まで移動させたら、この可動フレーム12をはじめとする上下可動部分を最前方のハンドル15側が下方となるようにゆっくり傾けると、上下可動部分は落下せず止った状態に保持される(図18参照)。
この状態で、工具により途中まで取外したユニット60を作業者が手で取外す。そして、引続いて他のユニットも取外す場合は、前記同様の手順で作業を繰返すこととなる。
【0046】
一方、取外した箇所にすぐ新たなユニット60を取付ける場合は、可動フレーム12をはじめとする上下可動部分を上方に位置させた状態のまま、作業者が新たなユニット60を取付対象箇所に手で押込み、ユニット側端子64とユニットケース側端子56の電気的接続状態が得られる直前の手で軽く押込める限界位置まで到達させる。続いて、この取付対象のユニット60下側に他のユニットが存在していない場合はユニット60を下から手で支えつつ、上方に位置させていた可動フレーム12をユニット保持部13等と共に、傾いた状態から上下移動可能な向きに手で直してから下げ、且つ必要に応じてハンドル15を回してユニット保持部13の前後位置を調整して、ユニット保持部13の押圧部13bがユニット60の前面にほぼ接すると共に、ユニット保持部13の左右の先端部13aがユニットの左右の凸部61にそれぞれ掛った状態とする(図19参照)。
【0047】
この状態から、ハンドル15を回してユニット保持部13をベース後方側へ徐々に移動させ、押圧部13bでユニット60の前面を押し、ユニット60を少しずつベース51に近付けていく(図20参照)。押されたユニット60が、ユニット側端子64とユニットケース側端子56との電気的接続がなされた正常な取付状態に至り、押圧部13bの切欠き部13fから見える他のユニットの前面と取付対象のユニット60の前面とが揃った状態を確認したら、取付完了としてハンドル15を回すのを止めてユニット保持部13の移動を停止させる。
【0048】
仮に、ユニット60が正常な取付状態となった後も、誤ってハンドル15を回し続けたとしても、取付対象のユニット60以外の他のユニット65、66が正常な取付状態で存在している場合には、取付対象のユニット60前面より広い押圧部13bの上下端部が他のユニット65、66の前面に当接して(図20(B)参照)、押圧部13bのそれ以降のベース後方側への進行が阻止されるため、取付対象のユニット60やベース51等に過剰に力が加わることはなく、これらの破損を防止できる。
【0049】
この後、可動フレーム12とユニット保持部13等を上方にずらし、先端部13aがユニット60の凸部61に掛らない状態とし(図21(A)参照)、さらにハンドル15を回して先端部13aをベース51から十分離隔させてユニット60の凸部61や固定ねじ63に接触しないようにしてから(図21(B)参照)、続けて他のユニットを取付ける場合は前記同様の作業を繰返す。ユニット取付終了の場合は、固定フレーム11を持上げてベース51から取外せば、作業終了となる。
【0050】
このように、本実施形態に係るユニット着脱用工具においては、固定フレーム11をユニットケース50のベース51におけるカバー留め部52、53、54に係合させて固定した上で、可動フレーム12及びユニット保持部13をユニット60位置に合せ、ユニット保持部13の先端部13aをユニット60の凸部61に掛け、あるいは押圧部13bをユニット60の前面側に位置させた上で、駆動機構をなすハンドル15を回してユニット保持部13をユニットケース50の前後方向に移動させると、ユニット60をユニットケース50に対し遠ざける向き又は近付ける向きに強力に動かせることから、ユニット60のユニットケース50への取付及び取外し作業を安全に且つ能率よく実行でき、作業者は作業に際し強い力を加えずに済み、ユニット式電力量計の設置面等への悪影響を防げる。また、固定フレーム11がベース51のカバー留め部52、53、54に固定される以外で、工具の支持に係るユニットケース50への接触はないことから、ユニットケース50本体部分を損傷させずに済み、ユニットケース内の気密を損うような事態を招かず、計器に悪影響を与えない。
【0051】
なお、前記実施形態に係るユニット着脱用工具においては、可動フレーム12端部を固定フレーム11の長孔と係合させ、可動フレーム12が固定フレーム11に対し特に制約無くスライド可能とする構成としているが、これに限らず、例えば固定フレームの長孔近傍に又は長孔に連続して、位置決め用の凹部を上下方向に所定間隔で設けると共に、可動フレーム側に前記凹部に係脱自在となる凸部分を設けて、可動フレームを固定フレームに対しスライドさせる際に、ちょうどユニット保持部の先端部をユニットの凹部に掛けられる位置で、可動フレーム側の凸部分を固定フレーム側の凹部に係合させて可動フレームの位置決めを行う構成とすることもでき、ユニットの取付や取外しの際に可動フレームとユニット保持部等を上下方向における適切な箇所に速やかに位置させて作業が行え、位置合せの手間を省略して作業の能率を大きく向上させられる。
【0052】
また、前記実施形態に係るユニット着脱用工具においては、駆動機構として、可動フレーム12に回動自在に支持されたねじ軸14がユニット保持部13の一部に螺合して、ねじ軸14の回転に伴いユニット保持部13のねじ軸14との螺合位置を変えてユニット保持部13を前後に移動させる構成としているが、これに限らず、ねじ軸が、可動フレームのベース前方位置に螺合してベース前後方向に螺動可能とされると共に、一端部をユニット保持部に相対回転を許容しつつ一体にベース前後方向に移動する状態として取付けられ、さらにハンドルをねじ軸の他端部に一体に取付けて、ハンドルの手動回転でねじ軸を前後に螺動させつつユニット保持部を前後移動させる構成とすることもできる。加えて、駆動機構としては、ねじ等を利用した機構の他、減速歯車列等を用いたものでもよく、さらに、こうした手動機構に限られるものではなく、モータ等を用いて作業者のスイッチ操作等のみで自動的にユニット保持部を動かせるような機構としてもかまわない。
【0053】
また、前記実施形態に係るユニット着脱用工具においては、可動フレーム12を固定フレーム11に対し上下方向移動可能とするために、固定フレーム11の上下方向に連続する長孔11g、11hに可動フレーム12の端部を係合させる構成としているが、これに限らず、固定フレーム及び可動フレームがそれぞれ十分に剛性を有してそれぞれの側辺部分の間隔がほとんど変化しないような構造であれば、固定フレームの内周側又は外周側に設けた上下方向に連続する凸条又は溝に、可動フレーム端部に設けた溝又は凸条を摺動可能に係合させて、上下方向に移動可能な状態を得る構成とすることもできる。
【0054】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図22ないし図25に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係るユニット着脱用工具2は、前記第1の実施形態同様、固定フレーム21と、可動フレーム22と、ユニット保持部23と、ねじ軸24と、ハンドル25とを備える一方、異なる点として、ユニット保持部23の押圧部23bに、この押圧部23bで押す対象、すなわち取付対象のユニット60と隣接する正常な取付状態の既設他ユニットの前面と一部を接触させて相対移動させ、この相対移動する部分の押圧部23bのベース前方側における露出状態を変化させる取付状態指示部26が配設される構成を有するものである。
【0055】
なお、取付状態指示部26が配設される点以外のユニット保持部23をはじめ、固定フレーム21、可動フレーム22、ねじ軸24、及びハンドル25については、前記第1の実施形態と同様の構成であり、説明を省略する。
【0056】
前記取付状態指示部26は、押圧部23bの下側の端部に、押圧部23bの板面と直交する向きに摺動可能に配設される略棒状部分を有し、押圧部23bをベース前後方向に貫通する表示片26aと、この表示片26aと押圧部23bに連結させて配設され、表示片26aをベース後方側に付勢するばね26bとを備える構成である(図24参照)。
【0057】
前記ばね26bは、表示片26aをベース後方側に付勢して、通常状態で表示片26aの一端部を押圧部23bのベース後方側のシート23hの面と略一致した状態とするものである。
【0058】
押圧部23bの移動に伴い取付対象のユニット60が正常な取付状態の位置近傍まで近付くと、既に正常な取付状態にある前記他ユニット65前面と、シート23hと共に押圧部23bのベース後方側に位置する表示片26a一端部とが接触し、表示片26aがばね26bの付勢力に抗して相対移動する仕組みであり、取付対象のユニット60が正常な取付状態の位置に達すると、他ユニット65前面に近付いた表示片26aがさらにベース前方側に相対移動して、押圧部23bのベース前方側、すなわち押圧部23bの前面側に露出している表示片26aの他端部では、他部分と色を異ならせた表示片26a周側面の着色部26cが表面に現れて視認可能となることで、取付対象のユニット60がユニット側端子とユニットケース側端子との電気的接続がなされた正常な取付状態に至り、ユニット保持部23の移動を停止させてよいことを作業者が容易に判別できる仕組みである。
【0059】
次に、前記構成に基づくユニット着脱用工具を使用したユニットの取付作業について説明する。前提として、ユニット60の取付対象位置の下側に他のユニット65が正常な取付状態で既に存在しているものとする。
【0060】
あらかじめ可動フレーム22をはじめとする上下可動部分をユニット60の取付対象位置より上方に位置させた状態で、作業者がユニット60を取付対象箇所に手で押込み、ユニット側端子とユニットケース側端子の電気的接続状態が得られる直前の手で軽く押込める限界位置まで到達させる。続いて、上方に位置させていた可動フレーム22をユニット保持部23等と共に下げ、且つ必要に応じてハンドル25を回してユニット保持部23の前後位置を調整して、ユニット保持部23の押圧部23bがユニット60の前面にほぼ接すると共に、ユニット保持部23の左右の先端部23aがユニットの左右の凸部61にそれぞれ掛った状態とする。この時、押圧部23bのうち取付状態指示部26のある下部は、取付対象のユニット60前面から外れ、他のユニット65の前方側に位置している。
【0061】
この状態から、作業者はハンドル25を回してユニット保持部23をベース後方側へ徐々に移動させ、押圧部23bでユニット60の前面を押し、ユニット60を少しずつベース51に近付けていく(図25(A)参照)。押されたユニット60が、ユニット側端子とユニットケース側端子との電気的接続がなされた正常な取付状態に至り、他のユニット65前面に当接している取付状態指示部26の表示片26aにおける他端部が押圧部23bの前面側に大きく突出し、表示片26a他端側の周側面における着色部26cが現れたのを確認したら(図25(B)参照)、取付完了としてハンドル25を回すのを止めてユニット保持部23の移動を停止させる。
【0062】
この後、前記第1の実施形態同様、可動フレーム22をユニット保持部23等と共に上方にずらし、先端部23aがユニット60の凸部61に掛らない状態とし、さらにハンドル25を回して先端部23aをベース51から十分離隔させてユニット60の凸部61や固定ねじ63に接触しないようにしてから、続けて他のユニットを取付ける場合は前記同様の作業を繰返す。ユニット取付終了の場合は、固定フレーム21を持上げてベース51から取外せば、作業終了となる。
【0063】
このように、本実施形態に係るユニット着脱用工具においては、ユニット保持部23の押圧部23b下側の端部に、既に正常取付状態にある他ユニット65前面と接触して表示片26aを相対移動可能とする取付状態指示部26を設け、この取付状態指示部26の相対移動する表示片26aの押圧部23b前面側における露出状態変化から、押圧部23bで押す対象のユニット60が正常な取付状態の位置まで達しているか否かを確認できることから、ユニット60の正常取付状態を押圧部23bの前面側から容易に判断でき、ユニット60とベース51との位置関係が正常取付状態に至ったことを的確に把握して作業を速やかに終了でき、作業能率を向上させられると共に、ユニット60をユニット保持部23で押しすぎることが無く、過剰な力を加えてユニット60やベース51等が破損するのを避けられる。
【0064】
なお、前記実施形態に係るユニット着脱用工具においては、取付状態指示部26を押圧部23bの下側の端部に設ける構成としているが、押圧部23bにおける取付対象のユニット60前面との接触がない上側の端部に同様の取付状態指示部を設ける構成とすることもできる。また、押圧部23bで押す対象のユニット60が正常な取付状態に達したことを、取付状態指示部26における表示片26aの押圧部23b前面側への露出状態変化から確認できる構成としているが、これに限らず、LED等の表示部や警報音の出力部等を正常取付状態にある他ユニット前面との位置関係に応じて動作させ、押圧部で押す対象のユニットが正常な取付状態の位置まで達していることを作業者が確認可能な状況を得る構成としてかまわない。
【符号の説明】
【0065】
1、2 ユニット着脱用工具
11、21 固定フレーム
11a 上辺部分
11b、11c 側辺部分
11d 孔
11e、11f 切欠き部
11g、11h 長孔
12、22 可動フレーム
12a 前辺部分
12b、12c 側辺部分
12d、12e 端部
13、23 ユニット保持部
13a、23a 先端部
13b、23b 押圧部
13c 前辺部分
13d、13e 側辺部分
13f 切欠き部
13g リブ部
13h、23h シート
14、24 ねじ軸
15、25 ハンドル
26 取付状態指示部
26a 表示片
26b ばね
26c 着色部
50 ユニットケース
51 ベース
51a 端子部
52、53、54 カバー留め部
55 透明カバー
56 ユニットケース側端子
60、65、66 ユニット
61 凸部
62 隙間
63 固定ねじ
64 ユニット側端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット式電力量計のユニットケースにおけるベースの上面及び左右側面からそれぞれ突出させて設けられる、ユニットケース前面側のカバーを取付けるための略板状の三つのカバー留め部に対し、ベース上面のカバー留め部を貫通させる孔を穿設されると共に、ベース左右側面の各カバー留め部を係合させる切欠き部を設けられて、少なくともベースの上側及び左右両側を取囲む状態でベースの各カバー留め部に対し着脱自在且つベースの前後方向については固定状態として配設される固定フレームと、
当該固定フレームにおける前記ベースの左右両側に位置する左右の側辺部分に、少なくともベースにおける一ユニットの取付範囲にわたって上下方向に移動可能としてそれぞれ左右端部を取付けられて、前記左右の側辺部分の間に架設される可動フレームと、
ユニットの左右両側に設けられる引抜工具を掛けるための凸部に対し、当該凸部に掛けられる略鉤状の先端部を左右にそれぞれ形成されると共に、ユニットの前面に当接可能な略板状の押圧部を有してなり、前記可動フレームにベースの前後方向に移動可能に取付けられるユニット保持部と、
当該ユニット保持部を前記可動フレームに対しベースの前後方向に移動させる駆動機構とを備えることを
特徴とするユニット式電力量計のユニット着脱用工具。
【請求項2】
前記請求項1に記載のユニット着脱用工具において、
前記ユニット保持部の押圧部に上下方向の少なくとも一方の端部から反対側へ向けて切欠き部を設け、
当該切欠き部位置での押圧部の上下方向寸法が、ユニットの上下方向厚さより小さくなることを
特徴とするユニット着脱用工具。
【請求項3】
前記請求項1に記載のユニット着脱用工具において、
前記ユニット保持部の押圧部が、上下方向の最大寸法をユニットの上下方向厚さより大きくして形成され、
前記押圧部の上下方向の端部に、押圧部で押す対象のユニットと隣接する既設の他ユニットの前面と接触可能に配設され、既に正常な取付状態にある前記他ユニット前面への接触、押付けに伴って一部分を相対移動させ、前記押圧部で押す対象のユニットが正常な取付状態の位置に達した際には、前記相対移動する一部分の押圧部前面側における露出状態を、前記押圧部で押す対象のユニットが正常な取付状態の位置に達する前から変化させる取付状態指示部を備えることを
特徴とするユニット着脱用工具。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれかに記載のユニット着脱用工具において、
前記固定フレームが、前記左右の側辺部分に、少なくともベースにおける全ユニットの取付範囲にわたって上下方向に連続する長孔をそれぞれ穿設され、
前記可動フレームが、前記固定フレームの長孔に矩形断面形状の端部を係合させ、長孔の穿設範囲にわたって上下方向移動可能とされ、
前記固定フレーム以外の可動フレーム、ユニット保持部、及び駆動機構を合わせた上下可動部分の全体の重心が、固定フレームからベース前方側に離れた箇所に位置することを
特徴とするユニット着脱用工具。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載のユニット着脱用工具において、
前記駆動機構として、前記可動フレームのベース前方位置に回動可能に支持されると共に、前記ユニット保持部に螺合し、回転に伴ってユニット保持部との螺合位置を相対移動させてユニット保持部をベース前後方向に移動させるねじ軸と、当該ねじ軸を手動回転させるハンドルとを備えることを
特徴とするユニット着脱用工具。
【請求項6】
前記請求項1ないし5のいずれかに記載のユニット着脱用工具において、
前記ユニット保持部の先端部よりベース前方側の可動フレーム及び/又はユニット保持部の一部に開口部を設け、当該開口部を介して前記先端部をベース前方側から視認可能とすることを
特徴とするユニット着脱用工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2011−185733(P2011−185733A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51175(P2010−51175)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(593070435)九州内田鍛工株式会社 (1)
【出願人】(390003517)株式会社電研社 (11)