説明

ユニフォームの名札

【課題】 ユニフォームの表面に取り付けた透明軟質合成樹脂材の内部に設けた収容部の裏面に、ネームカード出入用の取出口を設けてある。
【解決手段】 ユニフォーム(1)の胸など表側から目立つ位置に配した横長方形の透明軟質合成樹脂材(10)の周縁部分を、連続して固着して設けた固定部(11)により該透明軟質樹脂材(10)とユニフォームの表地との内部に収容部(12)を設け、前記保持室の裏面部に、ネームカード取出用の前記ネームカードの取出口(13)を上下方向に形成し、該収容部(12)の裏面に設けた取出口(13)から、表面に名前(19)などを印刷して前記収容部より一回り小さく形成したネームカード(20)を出入可能に収容してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のユニフォームや作業着などの所望位置にネームカードを保持するユニフォームの名札に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、職場で仕事を行う場合に着用するユニフォームや作業着に名札を取付ける場合、人の目に触れやすい胸や腕の肩付近に取付けている。そして、表面に名前などを印刷した名札片の裏面や上部に装着した安全ピンなどの装着手段を用いて作業着の胸部分など目立つ位置に取付ける型式のものがあった(特許文献1、参照)。
【0003】
さらに、図7に示すように、作業着やユニフォーム1の胸の上方個所などに透明軟質合成樹脂部材2を、挿通口3を残してその周回部を縫着した縫着線4で取付けて縫合領域5を形成し、この縫合領域5に前記挿通口3より幅が大きく且つ表面に名前などを印刷し、その上面を透明フイルム8を接着して設けた軟質合成樹脂製の名札片9を挿入した作業着の名札に関するものがある(特許文献2、参照)。
【特許文献1】特開2000−123177号公報
【特許文献2】特開平5−2367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の名札は、安全ピンなどの止金具を用いて作業着の胸などに取付ける型式の場合には、作業着の胸部分から前方に突出しているため、外部の物等に引っかかり易く、この名札片が落下しやすい。しかもユニフォームを着用して様々な作業を行うため汚れるので定期的に洗濯する必要があり、洗濯を行うたびに、安全ピンを操作して名札を取り外したり付け直したりするため、該安全ピンが経時的に劣化して破損したり弛んだりして作業着から名札が外れて落下する可能性があった。その場合、該名札は作業中の例えば食品材料中や清涼飲料液などに混入するおそれがあった。
【0005】
さらに、作業着の胸の位置に取付けた透明軟質合成樹脂材2の周囲部分を、挿通口3を除いて、その周回部分を縫着する縫着線4で形成した縫合領域5の内部に名札片9を収容し、この挿通口3から名札片9の出し入れを行っている。即ち、名札片9を縫合領域5の内部に挿通口3から出し入れするため、この名札片9の上下巾よりやや短く形成した挿通口3の下側に位置する縫着線4の部分に、外部への脱出を防止するストッパー部6を形成してあるので、縫合領域5内の名札片9は挿通口3からは外部に脱出することはない。
【0006】
しかし、方形をした透明軟質合成樹脂材2の内部に設けた縫合領域5に収容する名札片9を出し入れするために、該縫合領域に残存して形成する固定部の途中に、挿通口3を設ける為の残存部を設ける必要があり、この残存部は、挿通口3の上下巾が名札片9の上下巾よりやや短く形成して簡単に脱出できないようにしてある。そのため、前記透明樹脂材の周縁部分を縫着する場合、途中で停止して挿通口3となる残存部を設けてから、再び縫着作業を行わなければならない為、縫着作業に手数がかかると共に残存部の長さを調節するのに手間がかかるという欠点を有していた。
【0007】
さらに、品物を胸に抱えて作業を行ったり、挿通口3を有した透明軟質合成樹脂材2が気温や室温の上昇などで軟化したり、或いは、名札片が折れたり丸まったりした場合には、ストッパー部6を通過して挿通口3から外部に脱出する可能性がある。この挿通口3から外部に脱出した名札片9は、作業着の表面外側に沿って落下し、例えば食品材料などを収容した容器の中に混入するおそれがある。この場合、名札が不明になって食品材料中に混入したかもしれないおそれのある場合には、製造ラインを停止して名札などを見つけるまで作業を中断しなければならず、生産性を低下させるという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、上記のような欠点を除去する為、ネームカードを出し入れする取出口をユニフォームの表側でなく裏面部に設け、たとえ取出口からネームカードが外部に脱出しても、ユニフォームの裏面を通って落下するようにし、ユニフォームの表側をネームカードが落下するのを確実に防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ユニフォーム1の胸など表側から目立つ位置に配して横長方形をした透明軟質合成樹脂材10の周縁部分を、連続して固着して設けた固定部11により該透明軟質樹脂材とユニフォームとの間に収容部12を設け、前記収容部の裏面部に軟質合成樹脂材からなるネームカード20の取出口13を上下方向に形成し、該収容部12の裏面部に設けた前記取出口13から、表面に名前19などを印刷して前記収容部より一回り小さく形成した前記ネームカード20を出入可能に収容してなることを特徴とする。
上記のように、ユニフォームの表側にネームカード出入用の取出口を設けていないため、ネームカードとユニフォームの表側に脱出して落下することがない。また、ネームカードを収容した収容部の裏面に設けた取出口から外部に脱出したとしても、該ネームカードはユニフォームの裏側を落下する為、作業中の食品材料などの中に混入する事故の発生を防止する作用を有している。
【0010】
また、前記取出口13は、前記収容部12の裏面部の一側位置に細巾に形成し、該取出口の縁部分に補強部14を設けてあるので、該ユニフォームを繰り返し洗濯しても、該取出口の縁部分が経年劣化によりほつれるのを防止する作用を有している。
【0011】
さらに、前記取出口13の中間位置には、前記収容部の中央側一側に切込部15を形成して略T字型をした第2取出口16を設け、該第2取出口の縁部分を前記補強部と一体に連続して第2補強部14aを設けてなることを特徴とする。
特に、新しいユニフォームは布地に洗濯のりが付いていて硬かったり、また名札の軟質合成樹脂材が一時的に硬い場合には出し入れ難いため、細巾の取出口13の中間部分に端部方向に向かって切込部15を設けて略T字型に形成してあるので、この切込部の両側に位置する三角部片15a、15aを持ち上げて広げてネームカードの出し入れを容易にできる。しかも、前記と同様に取出口の縁部分と共に、切込部の縁部分に第2補強部14aを形成してあるので、この切込部が早い時期に糸がほつれるのを防ぎ、略T字型をした第2取出口16の耐久性を高める作用を呈する。尚、この切込部15は前記取出口13より細巾に形成してもよい。
【0012】
ユニフォーム1の胸部分に設けた胸ポケット22の前面部23に、前記横長方形をした透明軟質合成樹脂材10の周縁部分を、連続して固着して設けた固定部11により該透明軟質合成樹脂材10とユニフォームとの間に収容部12を設け、前記収容部の裏面部の一側に、軟質合成樹脂材のネームカード20の上下巾と略同じ長さをして細巾をした取出口13を上下方向に形成すると共に、前記胸ポケット22aの内部に位置して該収容部12の裏面部に設けた前記取出口13から、表面に名前19などを印刷して前記収容部より一回り小さく形成した前記ネームカード20を出入可能に収容してなることを特徴とする。
このように、胸ポケット22の前面部分に名札25を設ければ、収容部12の裏面に設けた取出口13からネームカード20が脱出した場合でも、該取出口13は胸ポケット22の内部に連通するように開口してあるので、この胸ポケット22内に名札が脱出しても収容されるため、ユニフォームの表側を該ネームカードが脱出落下するのを確実に防止する作用を有している。
【0013】
さらに、前記胸ポケット22は、前記ユニフォームの表面に設けた該胸ポケットの開口部22aの上部を覆うように横長に蓋部片22bを設け、該開口部22aを該蓋部片22bの裏面上部に設けてある。そのため、胸ポケットの開口部22aは、常に蓋部片22bで覆われているので、たとえ開口部22aを下方に位置させても該開口部は蓋部片22bで覆われて閉じられているため、前記胸ポケット内に名札がたとえ収容していたとしても、該名札が前記開口部22aの外部に脱出して落下することがない。
【0014】
また、必要に応じて該開口部22aに開閉可能にファスナーを装着してあれば、胸ポケット内に位置した名札などが、該開口部22aから外部に脱出するのを確実に防止することが出来る。この場合、ファスナーに限らず、開口部22aに面ファッスナーやボタンやスナップなどの止具を用いて開閉可能に止着しても良いことは勿論である。
【発明の効果】
【0015】
上記のように、本発明は、ユニフォームの表側に取付ける透明軟質合成樹脂材の周縁部分には、ネームカード出入用の取出口を設けてないので、該カードがユニホームの表側を脱出落下するおそれはなく、そのため、作業中の材料などの中に名札が混入するおそれがないので安心して作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る名札を有したユニフォームの正面図、図2は、名札部分の拡大正面図、図3は、図2のA−A線方向断面図、図4は、名札部分の拡大裏面図である。本発明に係るネームカードを保持する構造は、各種のユニフォームの胸部分や腕の上部の肩部分など目立つ位置に設けてある。
【0017】
このユニフォーム1の胸の上方部分に、横長の方形に形成した公知の薄板状の透明な軟質合成樹脂材10の周縁部分をミシンで縫着などして形成した固定部11により固着してある。そして、該透明軟質合成樹脂材10の内面とユニフォーム表面との間に、周囲を連続して設けた固定部11によって周囲を閉鎖した収容部12を設けてある。このユニフォーム表側の胸部分に設けた固定部11によって固定した該透明軟質合成樹脂材10の内部に収容部12を形成し、該収容部の裏側位置であるユニフォーム1の裏面に取出口13を設けてある。ここで、ユニフォームとは、作業着だけでなく、制服など各種のユニフォームを意味している。さらに、ユニフォームは主として布製品であるが、化学繊維からなるものでもよい。そのため、取出口13の周囲がほつれるのを防ぐ為に、ステッチ加工したり、或いは、加熱処理や薬品を含侵させることにより硬化させて繊維がほつれないように補強部を設けてある。
【0018】
この取出口13は、収容部12の中間位置でもよいが、前記合成樹脂材が新しいために一時的に硬化して湾曲し難い場合には大きい半径に湾曲することはできても、小さい半径に湾曲させることは困難であるので、左右何れか一側部分に、細巾の取出口を上下方向に形成してある。そして、該収容部12の一側部分に設けた取出口13と、内部に収容部12を設けた前記軟質合成樹脂材10の一端部との間に存する細巾面部13aは、ある程度の巾部分を有しないと強度が劣化して、収容部内に収容したネームカードの端部が前記細巾面部13aを押し広げるおそれがあり、ネームカードの端部によって押し広げられない程度の強度を有するように一定巾をした細巾面部13aを設けてある。これにより、前記合成樹脂材の一方の端部を該細巾面部で保持することができる。勿論、反対側の広い平面部分である広幅面部13bは、前記ネームカードの反対側を保持している。
【0019】
この取出口13の縁部分は、ユニフォームが布製の場合には、糸でかがって縁取り加工(ステッチ加工)、即ち、ボタンホール加工を施して、取出口13が時間の経過と共に糸がほつれないように補強部14を設けてある。また、化学繊維の場合は、熱加工したり薬品加工することによりこの取出口13の周囲を補強してもよい。さらに、取出口13の上下方向の長さは、後記するネームカード20の上下巾と略同じか、やや短く形成して脱出し難いようにしてあるが、該ネームカードは柔軟性を有するので挿入時には丸めることが可能なため、該ネームカードの上下の長さに対してこの取出口13の上下方向の長さは、同じ長さかあるいはやや短い長さが好ましい。
【0020】
20は、可撓性を有した軟質合成樹脂材からなるネームカードで、表面には会社名や部課名や名前19などを印刷してある。そしてこのネームカードは20は、前記収容部より一回り小さくして該収容部12内に出し入れを容易にしてある。その上、ユニフォームの表面に取り付ける透明軟質合成樹脂材10の周囲には、取出口13を設ける必要がないので縫着等の固着作業を連続して行うことが出来るため作業能率を向上させることができる利点がある。そして、ユニフォーム1に取り付けた透明合成樹脂材10の内部にネームカード20を収容してユニフォ−ムに名札25を設けてある。
【0021】
本発明の第2の実施形態について図5に基づいて説明すると、例えば、新しいユニフォームなどの場合は、ネームカードやユニフォームが硬いため、収容部12の裏面に設けた取出口13からネームカード20を出し入れする場合に困難な場合があるので、ユニフォームの生地などに応じて取出口13の上下方向の中間位置あって、該収容部の中央側一側に水平に短い切込部15を連続して設けて,恰も横向きT字型に形成してもよい。この切込部15を設けることにより其の両側に位置して形成された三角片15a、15aは前記取出口13の切込部15の両側に位置する頂点部分17、17を持ち上げることにより、取出口13を大きく開くことのできる第2取出口16を設けることができるので、ネームカードの出し入れが容易となる。この取出口13および切込部15の縁部分は前記と同様にステッチ加工や熱処理加工や薬品処理加工などにより第2補強部14aを形成すれば耐久性が一段と向上する利点がある。
【0022】
ユニフォームの裏面であって、収容部12の裏面部に設けた取出口13に連通してその下方位置に胸ポケット22を形成すれば、たとえ、取出口13からネームカード20がユニフォームの裏側に脱出しても該胸ポケット22内に収容されるので、ネームカードがユニフォームの裏側を下方に落下することを防止できる。同様に、図6に示すように、ユニフォームの胸ポケット22の前面部23に、前記透明軟質合成樹脂材10を取付けて設けた収容部12の裏面の一側に取出口13、16を設けてあれば、たとえ該取出口からネームカード20が脱出して、該胸ポケット22内に収容され、該ネームカードがユニフォームの裏側および表側を下方に落下するのを防止できる作用を有する。
【0023】
この場合、図1に示すように、胸ポケット22の上部に設けた開口部22aの表側を覆うように、細巾の蓋部片22bを設けてあれば、作業者が前かがみした場合であって、たまたま名札が胸ポケット内に収容していた場合でも、該開口部22aはこの蓋部片22bの内部に位置しているので、胸ポケットの開口部から脱出するおそれはないし、さらに開口部にファスナー等の開閉可能な止め具を設ければ、より確実に胸ポケットからのネームカードなどの脱出を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る名札を有したユニフォームの正面図である。
【図2】名札部分の拡大正面図である。
【図3】図2のA−A線方向断面図である。
【図4】名札部分の拡大裏面図である。
【図5】第2実施形態の名札部分の拡大裏面図である。
【図6】ユニフォームの胸ポケットの前面部に取付けた名札部分の正面図である。
【図7】従来の名札部分の正面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ユニフォーム
10 透明軟質合成樹脂材
11 固定部
12 保持部
13 取出口
13a 細巾面部
14 補強部
14a 第2補強部
15 切込部
16 第2取出口
19 名前
20 ネームカード
22 胸ポケット
22a 開口部
22b 蓋部片
23 前面部
25 名札

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニフォーム(1)の胸など表側から目立つ位置に配して横長方形をした透明軟質合成樹脂材(10)の周縁部分を連続して固着して設けた固定部(11)により該透明軟質合成樹脂材(10)とユニフォーム(1)との間に収容部(12)を設け、前記収容部の裏面部に取出口(13)を上下方向に形成し、該収容部(12)の裏面部に設けた前記取出口(13)から、表面に名前(19)などを印刷して前記収容部より一回り小さく形成した軟質合成樹脂材からなるネームカード(20)を出入可能に収容してなることを特徴とするユニフォームの名札。
【請求項2】
前記取出口(13)は、前記収容部(12)の裏面の一側位置に上下方向に細巾に形成し、該取出口の縁部分に補強部(14)を設けてなることを特徴とする請求項第1記載のユニフォームの名札。
【請求項3】
前記取出口(13)の中間位置には、前記収容部の中央側一側に切込部(15)を形成して略T字型をした第2取出口(16)を設け、該第2取出口の縁部分を前記補強部と一体に第2補強部(14a)を設けてなることを特徴とする請求項第2項記載のユニフォームの名札。
【請求項4】
ユニフォーム(1)の胸部分に設けた胸ポケット(22)の前面部(23)に、横長方形をした透明軟質合成樹脂材(10)の周縁部分を、連続して縫着して設けた固定部(11)により該透明軟質合成樹脂材(10)とユニフォームとの間に収容部(12)を設け、前記収容部の裏面部の一側に、軟質合成樹脂材からなるネームカード(20)の上下巾と略同じ長さで細巾をした取出口(13)を上下方向に形成すると共に、前記胸ポケット(22)の内部に位置させて該収容部(12)の裏面部に設けた前記取出口(13)から、表面に名前(19)などを印刷して前記収容部より一回り小さく形成した前記ネームカード(20)を出入可能に収容してなることを特徴とするユニフォームの名札。
【請求項5】
前記胸ポケット(22)は、前記ユニフォーム(1)の表面に設けた該胸ポケットの開口部(22a)の上部を覆うように蓋部片(22b)を設け、該開口部(22a)を該蓋部片(22b)の内側上部に位置して設けてなることを特徴とする請求項4記載のユニフォームの名札。
【請求項6】
前記胸ポケット(22)は、前記ユニフォーム(1)の表面に設けた該胸ポケットの開口部(22a)の上部を覆うように蓋部片(22b)を設け、該開口部22aに開閉可能にファスナー等の止具を設けてなることを特徴とする請求項4記載のユニフォームの名札。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−321283(P2007−321283A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151925(P2006−151925)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(592069470)ゴールドパック株式会社 (8)
【Fターム(参考)】