説明

ユーザ特定装置およびプログラム

【課題】障害時に影響を受けるマルチキャストVPNユーザを瞬時に特定するための技術を提供する。
【解決手段】ユーザ特定装置10は、各パスを識別するパス識別情報に対応付けて、パス内の各機器を示すパス情報をパス管理情報として記憶するパス管理情報記憶部100と、パス識別情報に対応付けて、パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を経路テーブル管理情報として記憶する経路テーブル管理情報記憶部110と、障害通知を外部から取得する障害通知取得部120と、パス管理情報および経路テーブル管理情報を参照し、障害発生に係るリンクを含むパスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出し、当該経路テーブルの組み合わせを示す情報によって示される経路テーブルの組み合わせを構成する各経路テーブルを割り当てているユーザを上記障害影響ユーザとして特定するユーザ特定部130とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ特定装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IP−VPNユーザとMPLSパスとを同時に監視する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、近年、マルチキャストVPN(特許文献2参照)が注目され、IP−TVやビデオ会議などに応用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】K.Kumaki,I.Nakagawa,K.Nagami,T. Ogishi and S.Ano,“A Hierarchical Management System for MPLS Network Services”, IEICE,Vol.E90-B,No.10,October 2007.
【非特許文献2】E.Rosen and R.Aggarwal,“Multicast in MPLS/BGP IP VPNs”,IETF Internet-Drafts,draft-ietf-l3vpn-2547bis-mcast,July 2008.
【非特許文献3】D.Awduche,L.Berger,D.Gan,T.Li,V.Srinivasan and G.Swallow,“RSVP-TE:Extensions to RSVP for LSP Tunnels”,IETF RFC3209,December 2001.
【非特許文献4】R.Aggarwal,D.Papadimitriou and S.Yasukawa,“Extensions to Resource Reservation Protocol-Traffic Engineering(RSVP-TE) for Point-to-Multipoint TE Label Switched Paths(LSPs)”,IETF RFC4875,May 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に開示された技術は、P2P(Point-to-Point)のIP−VPNおよびP2PのMPLSパス(特許文献3参照)から構成されるネットワークを前提とするため、P2MP(Point-to-Multipoint)であるマルチキャストIP−VPNおよびP2MPのMPLSパス(特許文献4参照)から構成されるネットワークにおける、マルチキャストVPNユーザとP2MPのMPLSパスとの同時監視には適用することができない。従って、P2MPのMPLSパスに障害が発生したときに、影響を受けるマルチキャストVPNユーザを瞬時に特定することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、P2MPのMPLSパスに障害が発生したときに、影響を受けるマルチキャストVPNユーザを瞬時に特定するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様であるユーザ特定装置は、複数のパスから構成されるP2MPのMPLSを適用したネットワークにおける障害発生時に、障害の影響が及ぶ障害影響ユーザを特定するユーザ特定装置であって、P2MPのMPLSの各パスを識別するパス識別情報に対応付けて、パス内の各機器を示すパス情報をパス管理情報として記憶するパス管理情報記憶部と、パス識別情報に対応付けて、パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を経路テーブル管理情報として記憶する経路テーブル管理情報記憶部と、障害発生に係るリンクを通知する障害通知を外部から取得する障害通知取得部と、障害通知取得部によって障害通知が取得された場合に、パス管理情報および経路テーブル管理情報を参照し、障害発生に係るリンクを含むパスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出し、当該経路テーブルの組み合わせを示す情報によって示される経路テーブルの組み合わせを構成する各経路テーブルを割り当てているユーザを上記障害影響ユーザとして特定するユーザ特定部とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記ユーザ特定装置は、パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報に対応付けて、当該両端の機器の組み合わせを示す情報を機器管理情報として記憶する機器管理情報記憶部と、パス管理情報および機器管理情報を参照し、経路テーブル管理情報を生成する経路テーブル管理情報生成部とを更に備えるようにしてもよい。
【0008】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様であるユーザ特定装置は、複数のパスから構成されるP2MPのMPLSを適用したネットワークにおける障害発生時に、障害の影響が及ぶ障害影響ユーザを特定するユーザ特定装置であって、P2MPのMPLSの各パス内の各機器を示すパス情報をパス管理情報として記憶するパス管理情報記憶部と、パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報に対応付けて、当該両端の機器の組み合わせを示す情報を機器管理情報として記憶する機器管理情報記憶部と、障害発生に係るリンクを通知する障害通知を取得する障害通知取得部と、障害通知取得部によって障害通知が取得された場合に、パス管理情報および機器管理情報を参照し、障害発生に係るリンクを含むパスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出し、当該経路テーブルの組み合わせを示す情報によって示される経路テーブルの組み合わせを構成する各経路テーブルを割り当てているユーザを上記障害影響ユーザとして特定するユーザ特定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様であるプログラムは、複数のパスから構成されるP2MPのMPLSを適用したネットワークにおける障害発生時に、障害の影響が及ぶ障害影響ユーザを特定するユーザ特定装置のコンピュータに、障害発生に係るリンクを通知する障害通知を外部から取得する障害通知取得ステップと、障害通知取得ステップによって障害通知が取得された場合に、P2MPのMPLSの各パスを識別するパス識別情報とパス内の各機器を示すパス情報とを対応付けたパス管理情報、および、パス識別情報とパスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報とを対応付けた経路テーブル管理情報を参照し、障害発生に係るリンクを含むパスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出し、当該経路テーブルの組み合わせを示す情報によって示される経路テーブルの組み合わせを構成する各経路テーブルを割り当てているユーザを上記障害影響ユーザとして特定するユーザ特定ステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、P2MPのMPLSパスに障害が発生したときに、影響を受けるマルチキャストVPNユーザを瞬時に特定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態のユーザ特定装置10のブロック図である。
【図2】ネットワーク1の模式図である。
【図3】各種情報の一例である。
【図4】第2の実施形態のユーザ特定装置20のブロック図である。
【図5】各種情報の一例である。
【図6】ユーザ特定装置20の動作を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態のユーザ特定装置30のブロック図である。
【図8】ユーザ特定装置20を適用例である監視装置90のアーキテクチャである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態であるユーザ特定装置10について図面を参照して詳細に説明する。ユーザ特定装置10は、複数のパスから構成されるP2MPのMPLSを適用したネットワーク1における障害発生時に、障害の影響が及ぶユーザ(以下、「障害影響ユーザ」という)を特定する。ユーザ特定装置10は、図1に示すように、パス管理情報記憶部100、経路テーブル管理情報記憶部110、障害通知取得部120およびユーザ特定部130を備える。
【0013】
パス管理情報記憶部100は、P2MPのMPLSの各パスを識別するパス識別情報に対応付けて、各パス内の各機器を示すパス情報をパス管理情報として記憶する。具体的には、パス管理情報記憶部100は、ネットワーク1が図2に示す構成である場合、例えば、図3(a)に示すパス管理情報を記憶する。図3(a)において項目「Sub_LSP_ID」はパス識別情報に相当し、項目「Path」はパス情報に相当する。また、図3(a)の項目「Sub_LSP original_ID」は各パスの始点(送信元)の機器を識別する機器識別情報、項目「Sub_LSP Destination_ID」は各パスの終点(宛先)の機器を識別する機器識別情報、項目「P2MP_ID/tunnel_ID」は各P2MPのMPLSなどを識別する情報である。なお、項目「Sub_LSP original_ID」および項目「Sub_LSP Destination_ID」は、項目「Path」(パス情報)から抽出される。
【0014】
なお、図2(a)においてRE(ID:A)〜RE(ID:I)はネットワーク1内の機器(例えばルータ)であって、括弧内の記号は機器識別情報である。また、直線は機器間のリンクである。また、図2(b)は、図2(a)の詳細図である。図2(b)においてvrfは各機器が保持する経路テーブル、Userは、当該経路テーブルを割り当てているユーザ(当該経路テーブルを使用するユーザ)である。なお、ネットワーク1の構成が更新された場合、図1において非図示のパス管理情報生成部が、更新内容を反映すべく、パス管理情報記憶部100に記憶されるパス管理情報を更新する。第2、3の実施形態においても同様である。
【0015】
経路テーブル管理情報記憶部110は、パス識別情報に対応付けて、パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を経路テーブル管理情報として記憶する。具体的には、経路テーブル管理情報記憶部110は、ネットワーク1が図2に示す構成である場合、例えば、図3(b)に示す経路テーブル管理情報を記憶する。図3(b)において項目「Sub_LSP_ID」はパス識別情報に相当し、項目「VRF(root)」および項目「VRF(leaf)」は経路テーブルの組み合わせを示す情報に相当する。
【0016】
障害通知取得部120は、障害発生に係るリンクを通知する障害通知を外部(各機器)から取得する。例えば、障害通知取得部120は、SNTP(Simple Network Management Protocol)によるトラップとして障害通知を外部から取得する。障害通知取得部120は、外部から取得した障害通知をユーザ特定部130に供給する。
【0017】
ユーザ特定部130は、障害通知取得部120から障害通知を取得する。ユーザ特定部130は、障害通知を取得した場合、パス管理情報記憶部100に記憶されているパス管理情報および経路テーブル管理情報記憶部110に記憶されている経路テーブル管理情報を参照し、障害発生に係るリンクを含むパスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出する。例えば、ネットワーク1が図2に示す構成である場合に、ユーザ特定部130は、RE(ID:F)−RE(ID:I)間のリンク障害を通知する障害通知を取得したときは、まず、パス管理情報記憶部100に記憶されているパス管理情報から、障害発生に係るリンク「F−I」を含むパスのSub_LSP_ID(パス識別情報)「30004」を特定する。次に、ユーザ特定部130は、経路テーブル管理情報記憶部110に記憶されている経路テーブル管理情報から、Sub_LSP_ID(パス識別情報)「30004」に対応するVRF(root)/VRF(leaf)(経路テーブルの組み合わせを示す情報)「vrf2/vrf7」を抽出する。
【0018】
経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出したユーザ特定部130は、当該経路テーブルの組み合わせを示す情報によって示される経路テーブルの組み合わせを構成する各経路テーブルを割り当てているユーザを障害影響ユーザとして特定する。例えば、ユーザ特定部130は、VRF(root)/VRF(leaf)(経路テーブルの組み合わせを示す情報)「vrf2/vrf7」を抽出した場合、図1において非図示のユーザ情報記憶部に記憶されている図3(c)に示すユーザ管理情報を参照し、VRF(root)/VRF(leaf)(経路テーブルの組み合わせを示す情報)「vrf2/vrf7」を構成する、経路テーブル「vrf2」を割り当てているユーザ「C(branch1)」を障害影響ユーザとして特定し、経路テーブル「vrf7」を割り当てているユーザ「C(branch4)」を障害影響ユーザとして特定する(つまり、ユーザ「C」を特定する)。なお、図3(c)に示すユーザ管理情報において項目「VRF」は機器識別情報、項目「User(branch1)」はユーザ識別情報である(ユーザ名、拠点)。
【0019】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態であるユーザ特定装置20について図面を参照して説明する。ユーザ特定装置20は、複数のパスから構成されるP2MPのMPLSを適用したネットワーク1における障害発生時に、障害影響ユーザを特定する。ユーザ特定装置20は、図4に示すように、パス管理情報記憶部200、経路テーブル管理情報記憶部210、障害通知取得部220、ユーザ特定部230、機器管理情報記憶部240および経路テーブル管理情報生成部250を備える。なお、パス管理情報記憶部200、経路テーブル管理情報記憶部210、障害通知取得部220およびユーザ特定部230は、第1の実施形態のユーザ特定装置10のパス管理情報記憶部100、経路テーブル管理情報記憶部110、障害通知取得部120およびユーザ特定部130と同様であるため、説明を省略する。
【0020】
機器管理情報記憶部240は、P2MPのMPLSのパスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報に対応付けて、両端の機器の組み合わせを示す情報を機器管理情報として記憶する。具体的には、機器管理情報記憶部240は、ネットワーク1が図2に示す構成である場合、例えば、図5に示す機器管理情報を記憶する。図5において項目「VRF(root)」および項目「VRF(leaf)」は経路テーブルの組み合わせを示す情報に相当し、項目「RE(root)」および項目「RE(leaf)」は両端の機器の組み合わせを示す情報に相当する。なお、ネットワーク1の構成が更新された場合、図4において非図示の機器管理情報生成部が、更新内容を反映すべく、機器管理情報記憶部240に記憶される機器管理情報を更新する。第3の実施形態においても同様である。
【0021】
経路テーブル管理情報生成部250は、パス管理情報記憶部100に記憶されているパス管理情報および機器管理情報記憶部240に記憶されている機器管理情報を参照し、経路テーブル管理情報を生成する。例えば、経路テーブル管理情報生成部250は、パス管理情報記憶部100に図3(a)に示すパス管理情報が記憶され、機器管理情報記憶部240に図4に示す機器管理情報が記憶されている場合、まず、経路テーブル管理情報生成部250は、機器管理情報記憶部240に記憶されている機器管理情報からVRF(root)/VRF(leaf)(経路テーブルの組み合わせを示す情報)「vrf1/vrf3」およびRE(root)/RE(leaf)(両端の機器の組み合わせを示す情報)「A/G」を抽出し、パス管理情報記憶部100に記憶されているパス管理情報から抽出値「A/G」に対応するSub_LSP_ID(パス識別情報)「30000」を特定する。そして、経路テーブル管理情報生成部250は、特定値「30000」と抽出値「vrf1/vrf3」とから図3(b)に示す経路テーブル管理情報(1行目)を生成する。次に、経路テーブル管理情報生成部250は、同様に、機器管理情報からVRF(root)/VRF(leaf)「vrf1/vrf5」およびRE(root)/RE(leaf)「A/H」を抽出し、パス管理情報から抽出値「A/H」に対応するSub_LSP_ID(パス識別情報)「30001」を特定する。そして、経路テーブル管理情報生成部250は、特定値「30001」と抽出値「vrf1/vrf5」とから図3(b)に示す経路テーブル管理情報(3行目)を生成する。経路テーブル管理情報生成部250は、同様の動作を繰り返し、図3(b)に示す経路テーブル管理情報を生成する。なお、経路テーブル管理情報生成部250は、パス管理情報記憶部200に記憶されているパス管理情報または機器管理情報記憶部240に記憶されている機器管理情報が更新された場合、更新内容を反映すべく、経路テーブル管理情報記憶部210に記憶される経路テーブル管理情報を更新する。
【0022】
続いて、図6を用いてユーザ特定装置20の動作について説明する。なお、図6(a)は経路テーブル管理情報生成時における動作、図6(b)はユーザ特定時における動作をそれぞれ示すフローチャートである。なお、図6(a)に示すフローチャートは、パス管理情報記憶部200に記憶されているパス管理情報または機器管理情報記憶部240に記憶されている機器管理情報が更新されたときに開始する。また、図6(b)に示すフローチャートは、ユーザ特定部230が障害通知取得部220から障害通知を取得したときに開始する。
【0023】
図6(a)において、経路テーブル管理情報生成部250は、機器管理情報記憶部240に記憶されている機器管理情報を一行(経路テーブルの組み合わせを示す情報および両端の機器の組み合わせを示す情報)を抽出する(読み出す)(ステップS100)。
【0024】
経路テーブル管理情報生成部250は、パス管理情報記憶部100に記憶されているパス管理情報から、ステップS100において抽出した両端の機器の組み合わせを示す情報に対応するパス識別情報を特定する(ステップS110)。
【0025】
経路テーブル管理情報生成部250は、ステップS110において特定したパス識別情報と、ステップS100において抽出した経路テーブルの組み合わせを示す情報と、から経路テーブル管理情報の一行を生成する(ステップS120)。
【0026】
経路テーブル管理情報生成部250は、機器管理情報記憶部240に記憶されている機器管理情報を全て抽出したか否かを判断する(ステップS130)。
【0027】
経路テーブル管理情報生成部250は、機器管理情報記憶部240に記憶されている機器管理情報を全て抽出したと判断した場合(ステップS130:Yes)、本フローチャートは終了する。一方、経路テーブル管理情報生成部250は、機器管理情報記憶部240に記憶されている機器管理情報を全て抽出していないと判断した場合(ステップS130:No)、ステップS100に戻る。
【0028】
図6(b)において、障害通知取得部220から障害通知を取得したユーザ特定部230は、パス管理情報記憶部100に記憶されているパス管理情報から、障害発生に係るリンクを含むパスのパス識別情報を特定する(ステップS200)。
【0029】
ユーザ特定部130は、経路テーブル管理情報記憶部110に記憶されている経路テーブル管理情報から、ステップS200において特定したパス識別情報に対応する経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出する(ステップS210)。
【0030】
経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出したユーザ特定部230は、ステップS210において抽出した経路テーブルの組み合わせを示す情報によって示される経路テーブルの組み合わせを構成する各経路テーブルを割り当てているユーザを障害影響ユーザとして特定する(ステップS220)。そして本フローチャートは終了する。
【0031】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態であるユーザ特定装置30について図面を参照して説明する。ユーザ特定装置30は、複数のパスから構成されるP2MPのMPLSを適用したネットワーク1における障害発生時に、障害影響ユーザを特定する。ユーザ特定装置30は、図7に示すように、パス管理情報記憶部300、障害通知取得部320、ユーザ特定部330および機器管理情報記憶部340を備える。なお、パス管理情報記憶部300および障害通知取得部320は、第1の実施形態のユーザ特定装置10のパス管理情報記憶部100および障害通知取得部120と同様であるため、説明を省略する。また、機器管理情報記憶部340は、第2の実施形態のユーザ特定装置20の機器管理情報記憶部240と同様であるため、説明を省略する。
【0032】
ユーザ特定部330は、障害通知取得部320から障害通知を取得する。ユーザ特定部330は、障害通知を取得した場合、パス管理情報記憶部300に記憶されているパス管理情報および機器管理情報記憶部340に記憶されている機器管理情報を参照し、障害発生に係るリンクを含むパスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出する。例えば、ネットワーク1が図2に示す構成である場合に、ユーザ特定部330は、RE(ID:F)−RE(ID:I)間のリンク障害を通知する障害通知を取得したときは、まず、パス管理情報記憶部300に記憶されているパス管理情報から、障害発生に係るリンク「F−I」を含むパスのSub_LSP original_ID(始点の機器を識別する機器識別情報)「B」およびSub_LSP Destination_ID(終点の機器を識別する機器識別情報)「I」を特定する。次に、ユーザ特定部330は、機器管理情報記憶部340に記憶されている機器管理情報から、RE(root)/RE(leaf)(両端の機器の組み合わせを示す情報)「B/I」に対応するVRF(root)/VRF(leaf)(経路テーブルの組み合わせを示す情報)「vrf2/vrf7」を抽出する。
【0033】
経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出したユーザ特定部330は、例えば、第1の実施形態のユーザ特定装置10と同様の方法によって、当該経路テーブルの組み合わせを示す情報によって示される経路テーブルの組み合わせを構成する各経路テーブルを割り当てているユーザを障害影響ユーザとして特定する。
【0034】
なお、第1(2)の実施形態のユーザ特定装置10(20)のパス管理情報記憶部100(200)に記憶されるパス管理情報は、項目「Sub_LSP_ID」(パス識別情報)を有するが、パス管理情報記憶部300に記憶されるパス管理情報は、項目「Sub_LSP_ID」(パス識別情報)を有しなくてもよい。
【0035】
以下、具体例を用いて補足する。ユーザ特定装置20の適用例である監視装置90は、図8に示すように、マルチキャストVPNを含むサービス管理(図中のService management)、P2MP/MPLSパスを含むパス管理(図中のPath management)、ルータ機器やインタフェースを含むエレメント管理(図中のElement management)、および、マルチキャストVPNとP2MP/MPLSパスの連携を含むコリレーション管理(図中のCorrelation)から構成される。
【0036】
図8に示すように、サービス管理は、図3(c)に示したユーザ管理情報および図5に示した機器管理情報に相当する情報を保持する。パス管理は、図3(a)に示したパス管理情報に相当する情報を保持する。コリレーション管理は、図3(b)に示した経路テーブル管理情報に相当する情報を保持する。エレメント管理は、障害通知を取得する機能(障害通知取得部220の機能)を実現する。また、他の機能(ユーザ特定部230および経路テーブル管理情報生成部250の機能)も、何れか一の管理部または複数の管理部が実現する。例えば、コリレーション管理が単独で経路テーブル管理情報生成部250の機能を実現し、パス管理、コリレーション管理およびサービス管理が協業しユーザ特定部230の機能を実現してもよい。
【0037】
監視装置90が障害影響ユーザを特定する動作を簡単に説明する。監視装置90は、ネットワーク1が図2に示す構成である場合に、ルータF−ルータI間のリンクに障害が発生したときは、ルータBからトラップ(S2L sub−LSP originator ID,S2L sub−LSP destination ID,P2MP ID or Tunnel ID)=(B,I,P2MP LSP2)を受信する(エレメント管理)。監視装置90は、トラップに含まれる値から、S2L_Sub_LSP_ID=30004を特定する(パス管理)。監視装置90は、S2L_Sub_LSP_ID=5を用いてroot vrf=vrf2、leaf vrf=vrf7を特定し(コリレーション管理)、最終的に障害影響ユーザを特定する(サービス管理)。
【0038】
以上、ユーザ特定装置10、20、30によれば、P2MPのMPLSパスに障害が発生したときに、影響を受けるマルチキャストVPNユーザを瞬時に特定することができるようになる。
【0039】
なお、本発明の各実施形態によるユーザ特定装置10、20、30の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本発明の一実施形態によるユーザ特定装置10、20、30に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0040】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0041】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 ネットワーク 10、20、30 ユーザ特定装置 90 監視装置 100 パス管理情報記憶部 110 経路テーブル管理情報記憶部 120 障害通知取得部 130 ユーザ特定部 200 パス管理情報記憶部 210 経路テーブル管理情報記憶部 220 障害通知取得部 230 ユーザ特定部 240 機器管理情報記憶部 250 経路テーブル管理情報生成部 300 パス管理情報記憶部 320 障害通知取得部 330 ユーザ特定部 340 機器管理情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパスから構成されるP2MPのMPLSを適用したネットワークにおける障害発生時に、障害の影響が及ぶ障害影響ユーザを特定するユーザ特定装置であって、
前記P2MPのMPLSの各パスを識別するパス識別情報に対応付けて、前記パス内の各機器を示すパス情報をパス管理情報として記憶するパス管理情報記憶部と、
前記パス識別情報に対応付けて、前記パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を経路テーブル管理情報として記憶する経路テーブル管理情報記憶部と、
障害発生に係るリンクを通知する障害通知を外部から取得する障害通知取得部と、
前記障害通知取得部によって前記障害通知が取得された場合に、前記パス管理情報および前記経路テーブル管理情報を参照し、前記障害発生に係るリンクを含む前記パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出し、当該経路テーブルの組み合わせを示す情報によって示される経路テーブルの組み合わせを構成する各経路テーブルを割り当てているユーザを上記障害影響ユーザとして特定するユーザ特定部と
を備えることを特徴とするユーザ特定装置。
【請求項2】
前記パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報に対応付けて、当該両端の機器の組み合わせを示す情報を機器管理情報として記憶する機器管理情報記憶部と、
前記パス管理情報および前記機器管理情報を参照し、前記経路テーブル管理情報を生成する経路テーブル管理情報生成部と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のユーザ特定装置。
【請求項3】
複数のパスから構成されるP2MPのMPLSを適用したネットワークにおける障害発生時に、障害の影響が及ぶ障害影響ユーザを特定するユーザ特定装置であって、
前記P2MPのMPLSの各パス内の各機器を示すパス情報をパス管理情報として記憶するパス管理情報記憶部と、
前記パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報に対応付けて、当該両端の機器の組み合わせを示す情報を機器管理情報として記憶する機器管理情報記憶部と、
障害発生に係るリンクを通知する障害通知を取得する障害通知取得部と、
前記障害通知取得部によって前記障害通知が取得された場合に、前記パス管理情報および前記機器管理情報を参照し、前記障害発生に係るリンクを含む前記パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出し、当該経路テーブルの組み合わせを示す情報によって示される経路テーブルの組み合わせを構成する各経路テーブルを割り当てているユーザを上記障害影響ユーザとして特定するユーザ特定部と
を備えることを特徴とするユーザ特定装置。
【請求項4】
複数のパスから構成されるP2MPのMPLSを適用したネットワークにおける障害発生時に、障害の影響が及ぶ障害影響ユーザを特定するユーザ特定装置のコンピュータに、
障害発生に係るリンクを通知する障害通知を外部から取得する障害通知取得ステップと、
前記障害通知取得ステップによって前記障害通知が取得された場合に、前記P2MPのMPLSの各パスを識別するパス識別情報と前記パス内の各機器を示すパス情報とを対応付けたパス管理情報、および、前記パス識別情報と前記パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報とを対応付けた経路テーブル管理情報を参照し、前記障害発生に係るリンクを含む前記パスの両端の機器が保持する経路テーブルの組み合わせを示す情報を抽出し、当該経路テーブルの組み合わせを示す情報によって示される経路テーブルの組み合わせを構成する各経路テーブルを割り当てているユーザを上記障害影響ユーザとして特定するユーザ特定ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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