説明

ユーザ認知電子装置

電子装置は、ユーザ入力を受け取る。ユーザは、電子装置の処理とのユーザの対話を示す入力を行う。装置は、装置とのユーザの対話パターンを決定する。装置は、決定された対話パターンを使用して、電子装置の調整を決定する。電子装置は、決定された調整を使用して調整される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、電子装置に関する。具体的に、本発明は、そのような装置とのユーザ対話に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末(PDA)、携帯電話、コンピュータなどの電子装置は、ますます広く使用されている。従来は、これらの装置は主として仕事に使用されていた。現在、これらの装置は、ユーザの生活、仕事、余暇、娯楽などのあらゆる局面において使用されている。
【0003】
これらの装置の使い勝手の良さは概して高まっているものの、多くの場合、依然としてこれらの装置を使用するには厄介さと扱いにくさがつきまとっている。より省スペースの装置にさらに多くの特徴や機能性を備えたいという要望が、こうした問題をさらに増大させている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、従来の有線の電話機では、通話を終えるのに、クレードルに受話器が戻されて通話は自動的に終了する。典型的な携帯電話では、通話を終えるのに、通常小さなボタンが押される。従来の受話器を使い慣れたユーザは、ボタンを押して通話を終了するのを忘れたり、あるいは小さなキーパッドのボタンを完全に押さなかったり、間違ったボタンを押してしまったりすることが多い。ユーザは、その後の会話を通話相手に聞かせてしまうというような、きまりの悪い思いを経験することもある。さらに、余計な無線接続時間により、ユーザにさらに料金がかかるおそれもある。
【0005】
したがって、無線装置の使いやすさを向上させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電子装置は、ユーザ入力を受け取る。ユーザは、電子装置の処理とのユーザの対話(interaction)を示す入力を行う。装置は、ユーザのその装置との対話パターンを決定する。装置は、決定された対話パターンを使用して、電子装置の調整を決定する。電子装置は、決定された調整を使用して調整される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1および図2はそれぞれ、ユーザ認知電子装置を示すフロー図と簡略化されたブロック図である。ユーザ認知電子装置は、携帯情報端末(PDA)、コンピュータまたは無線送受信装置(WTRU)などの任意の電子装置であってもよい。これ以降、WTRUは、ユーザ機器、移動局、固定または移動加入者装置、ページャ、または無線環境において動作可能な任意の他の種類の装置を含んでいる。しかし、これらに限定されることはない。
【0008】
ユーザは、ステップ50において、キーパッド、キーボード、マウス、タッチパッド、スタイラス、モニタ、およびLCDディスプレイなどの入出力(I/O)装置20を使用して電子装置(ユーザ装置10)と情報のやり取りをする。ユーザ装置処理ユニット22は、ユーザ入力を受け取り、この入力に応答して対応する機能を実行する。ユーザ装置処理ユニット22の例としては、コンピュータ処理装置(CPU)、縮小命令セット(RISC)プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、さらこれらの組合せもあげられる。ユーザパターンモニタ装置24は、ステップ52において、ユーザ対話(user interaction)を監視し、関連付けられたメモリ26に記憶する。関連付けられたメモリ26として使用され得るメモリのタイプには、RAM、ROM、ディスクストレージ、仮想、メモリスティック、フラッシュ、ネットワークメモリのようなリモートメモリ、さらにこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されることはない。このメモリ26は、ユーザ装置処理ユニット22と共有されるメモリであってもよい。
【0009】
認知論理装置30は、ユーザ対話パターン(ユーザの振る舞い)を分析して、処理装置22の調整(adjustment)を特定する。これらの調整は、ユーザ装置処理ユニットのパラメータ、構成、または状態の変更を含むことができる。認知モデルは、ユーザの振る舞いにおけるパターンを検出し、このパターンに基づいて規則を作成して、その規則を適用する。規則は、追加、変更、および/または失効することができる。さらにある規則は、他の規則よりも優先することもできる。
【0010】
たとえば、ユーザがキーパッドの対応するボタンを押して通話を終了することを頻繁に忘れてしまう場合、装置はタイムアウトタイマー設定を短縮して、ディスプレイと通話カウンタをより早くオフにすることができる。そのような調整は、無線接続の時間を短くすることによりユーザの料金を節約し、きまりの悪い思いをする可能性を減らすことができる。
【0011】
もう1つの例は、特定の番号が呼び出されるたびに、ユーザがほぼ毎回画像を送信する傾向があるような場合である。電子装置は、その番号が呼び出されると、記憶されている画像メニューを自動的に表示することができる。さらにもう1つの例は、ハンズフリー装置がWTRUに接続されるたびに毎回ユーザがWTRUのボリュームを上げるような場合である。ハンズフリー装置が接続されていることをWTRUが検出すると、ボリュームは自動的に上げられる。ハンズフリー装置が接続されていないことをWTRUが検出すると、ボリュームは自動的に下げられる。
【0012】
認知論理装置30によって決定されたこのような調整は、ステップ54において、ユーザ装置処理ユニット22のパラメータ、構成、および状態を調整するために、ユーザ装置コントローラ28によって使用される。好ましくは、認知モデルのすべての規則、またはその規則の一部を、ユーザI/O装置20を介してユーザはオフにすることができる。図2に示されているように、コンポーネントは、一つの集積回路、個別部品またはその組合せで実装することができる。
【0013】
図3は、ユーザ認知WTRU12の実施形態である。WTRU12は、1つのシステムアーキテクチャにより示されているが、他のアーキテクチャも使用することができる。ユーザ入力は、ユーザI/O装置20によって受信される。ユーザ入力は、共通バス32などによって、WTRUのプロセッサに渡される。WTRUのプロセッサは、RISCプロセッサなどのシステムプロセッサ34、および共有メモリ36とバス32を使用して相互に通信するDSP38として図3に示されている。WTRUプロセッサは、このユーザ入力に応答してさまざまな機能を実行する。
【0014】
ユーザパターンモニタ装置40は、ユーザ対話を監視し、それらを関連付けられたメモリ42に記憶する。このメモリ42は、共有メモリ36と同じメモリであってもよい。認知論理装置30は、ユーザ対話パターン(ユーザの振る舞い)を分析して、WTRUプロセッサに対する調整を特定する。パラメータ、構成および状態コントローラは、特定された調整に応じてWTRUプロセッサに調整を行う。図3に示されているように、コンポーネントは、一つの集積回路、個別部品またはその組合せで実装することができる。
【0015】
ユーザパターンモニタ装置40は、ユーザI/O装置20とのユーザ対話の結果、バス32上で生成される信号を検出して監視することができる。ユーザパターンモニタ装置40は、特定の信号の存在を見つけてその他の信号を無視するか、またはすべての信号を観察するような装置であってもよい。代表的な実施形態において、モニタ装置40は、一連の信号(つまりユーザ対話)の存在を探し、それらの信号の頻度(反復性)と、その信号が発生する時のさまざまな装置のパラメータの状態を記録する。その信号の頻度に適用されるしきい値のセットは、その信号がさまざまな予測可能性のレベルの中の1つにあるということを区別することができる。使用されるごとに信号の頻度が更新され、対応するWTRU装置のパラメータが記録されるのに応じて、使用パターンモニタ装置40は相関を形成し、予測可能性因子によってその相関の強度を示す。
【0016】
モニタ装置40が処理する情報は、共有メモリ42を介して認知論理装置46にアクセス可能である。認知論理装置46は、収集された情報を分析して、決定を行う。認知装置46は、モニタ装置40によって計算される予測可能性因子を検討し、特定の信号に関連付けられているWTRU装置のパラメータにおける変化を検出する。予測可能性因子が特定の事前に記憶されたかまたは計算されたレベルに到達すると、認知装置46は特定の信号と「規則」として設定されている対応するパラメータの存在を分類する。つまり、認知装置は、信号の発生とWTRUパラメータにおける変化との間のマッピングを確立して記録する。規則が確立されると、対応する信号がモニタ装置40によって検出されて記録されるごとに、認知装置46はWTRUパラメータ(たとえば、タイムアウトタイマー、ボリュームレベル、表示輝度、表示される電話番号のリストなど)を自動的に変更する。認知装置46は、モニタ装置40からの情報を継続的に評価し、予測可能性因子が特定の事前に記憶された値または計算された値を下回る場合、「規則」を消去または変更することができる。したがって、「規則」は静的なものではなく、使用パターンの変化に応じて動的に変化する。
【0017】
図1の方法はまた、複数のユーザに適用することもできる。各ユーザが異なるログインなどによって識別可能である場合、個別のユーザパターンプロファイルをユーザごとに生成することができる。したがって、認知モデルは、各ユーザのパターンに基づいてさまざまに適用することができる。図4は、各ユーザが単独で識別されない、複数ユーザ認知装置を示すフロー図である。ステップ60において、各ユーザは認知ユーザ装置と情報をやり取りする。使用パターンは、ステップ62において、監視されて記憶される。
【0018】
使用パターンは、ステップ64において、共通の使用パターンと個別のスタイルパターンに分類される。共通の使用パターンは、ユーザに関係なく常時広く行き渡っているとみられる使用パターンである。個々のスタイル使用パターンは、さまざまなユーザを示す、定期的に変化する再発の使用パターンである。個々のスタイルパターンを使用すると、さまざまなユーザのスタイルを識別しようと試みる。たとえば、さまざまなユーザは、認知ユーザ装置の表示の好みの設定または好みのボリュームレベルによって、それぞれ区別することができる。
【0019】
認知モデルは、ステップ66において、共通パターンを全体的に適用する。個々のスタイルパターンが適用されるのは、そのスタイルが現在のユーザ対話に基づいて識別される場合に限られる。電子装置は、ステップ68において、識別されたスタイルに応じて調整される。たとえば、WTRUのすべてのユーザは、ハンズフリー装置が追加された場合にWTRUのボリュームを上げることができる。認知モデルは、ハンズフリー装置が追加されると常にボリュームを上げることができる。対照的に、異なるユーザは、異なる電話番号を呼び出す傾向があり得る。WTRUは、ある特定の電話番号を呼び出す傾向のあるユーザによって使用される異なるスタイルを識別することができる。特定の番号が呼び出されたことをWTRUが認識すると、そのスタイルに関連付けられているボリュームレベルに、ボリュームを自動的に変更することができる。あるスタイルが他のスタイルよりもより広く使用されていると思われる場合、認知モデルはそのスタイルをデフォルトのスタイルとして使用し、そのようなスタイルが識別された場合、別のスタイルに変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ユーザ認知電子装置を示すフロー図である。
【図2】ユーザ認知電子装置を示す簡略化されたブロック図である。
【図3】ユーザ認知無線送受信装置を示す簡略化されたブロック図である。
【図4】複数ユーザの認知電子装置を示すフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの入力を受け取るユーザ入力装置と、
電子装置の機能を実行するユーザ装置処理ユニットと、
前記ユーザの使用パターンを監視する使用パターンモニタ装置および使用パターン情報を記憶する関連付けられたメモリと、
前記使用パターン情報に基づいて、前記ユーザ装置処理ユニットへの調整を決定する認知論理装置と、
前記決定された調整に応じて、前記ユーザ装置処理ユニットを調整するユーザ装置処理ユニットコントローラと、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記決定された調整は、前記ユーザ装置処理ユニットのパラメータ、構成、および状態への変更を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記認知論理装置は、前記ユーザの観察された対話(interaction)に基づいて、規則を作成する認知モデルを使用することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記ユーザ装置ユニットコントローラは、前記ユーザ入力装置経由のユーザ対話に応じて、規則を選択的にオフにすることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記認知論理装置は、前記使用パターン情報を共通の対話パターンまたはスタイル対話パターンに分類し、前記共通の対話パターンに基づいて前記電子装置を調整し、現在のユーザ対話スタイルに応じて前記スタイル対話パターンに基づき前記電子装置を選択的に調整することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
ユーザからの入力を受け取るユーザ入力装置と、
電子装置の機能を実行する処理装置と、
前記ユーザの使用パターンを監視する使用パターンモニタ装置および使用パターン情報を記憶する関連付けられたメモリと、
前記使用パターン情報に基づいて、前記処理装置への調整を決定する認知論理装置と、
前記決定された調整に応じて、前記処理装置を調整する処理装置コントローラと、
を備えることを特徴とする無線送受信装置(WTRU)。
【請求項7】
前記処理装置は、デジタル信号プロセッサ(DSP)および縮小命令セット(RISC)プロセッサを含むことを特徴とする請求項6に記載のWTRU。
【請求項8】
前記決定された調整は、前記処理装置のパラメータ、構成、および状態への変更を含むことを特徴とする請求項6に記載のWTRU。
【請求項9】
前記認知論理装置は、前記ユーザの観察された対話に基づいて、規則を作成する認知モデルを使用することを特徴とする請求項6に記載のWTRU。
【請求項10】
前記処理装置コントローラは、前記ユーザ入力装置経由のユーザ対話に応じて規則を選択的にオフにすることを特徴とする請求項6に記載のWTRU。
【請求項11】
ユーザからの入力を受け取るユーザ入力装置と、
電子装置の機能を実行するユーザ装置処理ユニットと、
前記ユーザの使用パターンを監視する使用パターンモニタ装置および使用パターン情報を記憶する関連付けられたメモリと、
前記使用パターン情報に基づいて、前記ユーザ装置処理ユニットへの調整を決定する認知論理装置と、
前記決定された調整に応じて、前記ユーザ装置処理ユニットを調整するユーザ装置処理ユニットコントローラと、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項12】
ユーザからの入力を受け取るように構成された入力と、
電子装置の機能を実行するために前記入力に接続された処理装置と、
前記ユーザの使用パターンを監視するために前記処理装置に接続された使用パターンモニタ装置と、
使用パターン情報を記憶する関連付けられたメモリと、
前記使用パターン情報に基づいて、前記ユーザ装置処理ユニットへの調整を決定するために前記関連付けられたメモリに接続された認知論理装置と、
前記決定された調整に応じて、前記ユーザ装置処理ユニットを調整するために前記認知論理装置および処理装置に接続された処理装置コントローラと、
を備えることを特徴とする集積回路。
【請求項13】
電子装置と共に使用する方法であって、前記電子装置は、
前記電子装置の処理とのユーザの対話を示す前記電子装置におけるユーザ入力を受け取るステップと、
前記ユーザの前記電子装置との対話パターンを決定するステップと、
前記決定された対話パターンを使用して、前記電子装置の調整を決定するステップと、
前記決定された調整を使用して前記電子装置を調整するステップと、
を実行することを特徴とする方法。
【請求項14】
前記決定された調整は、処理装置のパラメータ、構成、および状態への変更を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
調整を決定する前記ステップは、前記ユーザの観察された対話に基づいて、規則を作成する認知モデルを使用することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ユーザ入力装置経由のユーザ対話に応じて、規則を選択的にオフにするステップをさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
対話パターンを決定する前記ステップは、前記使用パターン情報を共通の対話パターンまたはスタイル対話パターンに分類するステップを含み、前記電子装置は、前記共通の対話パターンに基づいて調整され、現在のユーザ対話スタイルに応じて前記スタイル対話パターンに基づき選択的に調整されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
電子装置と共に使用する方法であって、前記電子装置は、
前記電子装置において、複数のユーザからの、前記電子装置の処理とのユーザの対話を示すユーザ入力を受け取るステップと、
前記電子装置との、前記ユーザの対話パターンを決定するステップと、
前記決定された対話パターンを、共通の対話パターンまたはスタイル対話パターンとして分類するステップと、
前記決定された対話パターンに基づいて、前記電子装置の調整を決定するステップと、
前記決定された調整を、共通の調整またはスタイル調整として分類するステップと、
前記共通の調整を使用して前記電子装置を調整し、現在のユーザ対話スタイルに応じて前記スタイル調整を選択的に適用するステップと、
を実行することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−507038(P2007−507038A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528012(P2006−528012)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/028161
【国際公開番号】WO2005/036329
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(594164900)インターディジタル テクノロジー コーポレイション (153)
【氏名又は名称原語表記】InterDigital Technology Corporation
【Fターム(参考)】