説明

ユーフォルビア(Euphorbia)属種間交雑植物

【課題】ポインセチア、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との新規な種間交雑植物の提供。
【解決手段】ユーフォルビアプルケリマとユーフォルビアコルナストラとの交雑から得られる種間交雑植物において、当該植物は、ファイトプラズマを含み、当該ファイトプラズマが前記種間交雑ユーフォルビア植物に自由分枝性を付与する、ことを特徴とする種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にはユーフォルビア(Euphorbia)属種間交雑植物及びその栽培方法に関する。特には、本発明はユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との交雑から引き出される種間交雑植物及び変更された成長特性のそれ自体或は他の植物への種間移転の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の特徴は種間交雑と称される、他の種と交雑する能力である。種間交雑は多くの種において確認されてきた。例えば、アリウム(Allium)属ではタマネギ(ラテン名 エー・セパ(A. cepa))とその亜族セパの最も近い同系統との間の交雑は成功であることが判明している(ヴァンラームスドンク他、1992)。しかし、エー・アングロスム(A. angulosum)、エー・シェノプラスム(A. schoenoprasum)、エー・セネセンス(A. senescens)(ゴンザレスおよびフォード−ロイド、1987)及びエー・スフェロセファロン(A. sphaerocephalon)(ケラー他、1996)タマネギと他の亜族の種との交雑のほとんどは不成功であることが判明している。
【0003】
種間交雑によって新しい形態の植物が作られるようになると共に、例えば、遺伝子移入による野生の種から栽培種への移転のように、望ましい特徴がある種から別の種に移転されるようになった。しかし、ある2つの種の生育能力のある種間交雑種子或は植物を作る能力は予測不可能であり、しばしば不可能であることが立証されてきた。温室において可能である種間交雑においては、多くの場合、そのような交雑は自然には発生しない。これは、花粉媒介者の特異性のような行動生物学的要因を含む多くの要因に因ると考えられる。例えば、花が形態学上、異なる場合には、生育能力のある胚芽を得るためには人間の介在が必要であるという理由或は生態的分離という理由に因る。
【0004】
生育能力のある種間交雑植物を得る見込みを増すために使用されてきた技法は胚救出である(ドレゼル他、1980年)。しかし、胚救出法によっても、種間交雑を得る能力は予測不可能であり、特に遠隔種の場合、しばしば完全に不成功であった。
【発明の開示】
【0005】
ある相において、本発明はユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との交雑から引き出される種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物或はその一部を提供する。本発明の一実施例において、種間植物は、活気のあるピンクカラー、開花のための短日反応、多花性、自由分枝性、魅惑的な中間の暗さの群葉からなるグループから選択された2つ或はそれ以上の特徴からなると定義されてもよい。本発明によってさらに、花、挿木、花粉、胚珠を含む種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物の一部或はそのような植物の単一の花粉嚢または花粉嚢の集まりを含む植物の他の部分が提供される。
【0006】
さらに本発明によって、種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)属植物或はこの植物からクローンとして増殖されたその一部が提供される。「クローンとして増殖された」という用語は、本発明によって提供される植物からクローンとして発生されるあらゆる世代のユーフォルビア(Euphorbia)種間交雑植物を意味する。そのようなクローンとしての増殖は、例えば、ある植物の挿木を取ってそれを栽培して根を出すことによって行われてもよい。根の出た挿木は開始植物のクローンである新しい植物として成長されてもよい。多数のクローンとして増殖された植物を作るために、クローンとしての増殖は実質的に回数に限りなく行われてもよい。クローンとして増殖された各植物は挿木が取り出された開始植物に実質的に一致する。
【0007】
別の相において、本発明は種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物或はその一部を作るためのプロセスを提供する。本発明の一実施例において、前記プロセスは、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)をユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)と交雑させることからなる。前記プロセスはさらに、(a)第1及び第2の植物を栽培する工程、この場合、前記第1植物はユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)であり、第2植物がユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)であるか或は、第1植物はユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)であり、第2植物がユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)である、(b)前記第1植物から花粉を採取する工程、(c)前記第2植物の花に前記花粉を受粉する工程、及び(d)前記受粉から生じる種間交雑植物を得る工程とからなると規定されてもよい。
【0008】
前記プロセスはさらに前記受粉から生じる胚の胚救出からなると規定されてもよい。本発明の特別な実施例において、前記第1植物はユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)であり、第2植物がユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)であり、他の実施例では第1植物はユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)であり、第2植物がユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)である。さらに別の相において、本発明は栄養系増殖を含む、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との交雑によって作られる植物或はその一部を提供する。
【0009】
さらに別の相において、本発明は、a)ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との交雑から生じる種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物或はその一部の挿木を得る工程と、b)前記挿木を栽培して種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物を得る工程とからなる、種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物或はその一部を用意するプロセスを提供する。このように、当業者は、ユーフォルビア(Euphorbia)種間交雑植物が一旦用意されると、潜在的に制限のない数の世代に亘って増殖されてもよいことを認識するだろう。このような増殖方法或はプロセスによって作られた各植物はさらに本発明の一部を構成する。ひとつのそのような増殖プロセスは本発明の植物の挿木にホルモン成分を適用することを含んでいてもよい。しかしながら、本発明の植物を増殖させる他のいかなるプロセスも潜在的に使用できる。
【0010】
さらに別の相において、本発明は、a)台木として使用される、自由な分枝形成特徴を有する植物を提供する工程と、b)ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との交雑から生じる種間交雑ユーフォルビア植物の接木を提供する工程と、c)台木植物の細胞組織と接木植物の間に接木接合を形成して、これによって、前記種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物の前記接木から生じる栄養芽の特徴が変更される工程と、及び(d)前記芽を栽培して変更された成長特性からなる種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物を得る工程とからなるプロセスを提供する。この技法によって変更されてもよい成長特性の一例は、自由に分枝する表現型の展示のような分枝特徴である。
【0011】
さらに他の相において、本発明は、(a)台木として使用される、自由分枝特徴を有する植物を提供する工程と、(b)ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との交雑から生じる種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物の接木を提供する工程と、(c)台木植物の細胞組織と接木植物の間に接木接合を形成して、これによって、前記種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物の前記接木から生じる栄養芽の特徴が変更される工程、及び(d)前記芽を栽培して変更された成長特性からなる種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物を得る工程とからなる方法によって用意された種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物或はその一部を提供する。花、挿木、花粉、胚珠或は花粉嚢を含むそのような植物の部分または前記植物のその他の部分も本発明に含まれる。さらに、本発明によって種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物或はそのような植物からクローンとして増殖された部分が提供される。
【0012】
さらに他の相において、本発明は、種間移植の使用によって目標植物の成長特徴を変更するプロセスを提供する。本発明の一実施例において、そのプロセスは、(a)台木として使用される、自由分枝特徴を有する植物を提供する工程と、(b)目標植物の接木を得る工程と、ここにおいて、自由分枝特徴を有する前記植物と前記目標植物は異なる種の植物である、(c)台木植物の細胞組織と接木植物の間に接木接合を形成して、これによって、前記接木から生じる栄養芽の特徴が変更される工程と、及び(d)前記芽を栽培して変更された成長特性からなる目標植物を得る工程とからなる。
【0013】
本発明の他の実施例において、目標植物はさらにユーフォルビア(Euphorbia)属であると規定され、さらにユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)、ユーフォルビアヘテロフィア(Euphorbia heterophylla)、ユーフォルビアシアソフォラ(Euphorbia cyathophora)、ユーフォルビアフルゲンス(Euphorbia fulgens)、ユーフォルビアレウコケファラ(Euphorbia leucocephala)及びユーフォルビアマルギナタ(Euphorbia marginata)からなるグループから選ばれた種として規定されてもよい。本発明の特別な実施例において、前記目標植物はユーフォルビア(Euphorbia)属の非多汁種であってもよい。
【0014】
台木植物は、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)を含む、特徴を伝えることができる種であってもよい。例示的な台木植物にはイー・プルケリマ(E. pulcherrima)の変種、アネットヘッグダークレッド(Annette Hegg Dark Red)、ヴィーフォーティーングロリィ(V-14 Glory)、ピータースター(Peterstar)及びフリーダム(Freedom)が含まれるが、これらに限定されない。或は、台木はさらにユーフォルビアフルゲンス(Euphorbia fulgens)、ユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)或は他の適当なユーフォルビア(Euphorbia)種であると規定されてもよい。
【0015】
さらに他の相において、本発明は、例えば、上記のような種間接木によって作られる植物を提供する。本発明の一実施例において、前記植物は、(a)台木として使用される、自由分枝特徴を有する植物を提供する工程と、(b)目標植物の接木を得る工程と、ここにおいて、自由分枝特徴を有する前記植物と前記目標植物は異なる種の植物である、(c)台木植物の細胞組織と接木植物の間に接木接合を形成して、これによって、前記接木から生じる栄養芽の特徴が変更される工程と、及び(d)前記芽を栽培して変更された成長特性からなる目標植物を得る工程とからなる。花、挿木、花粉、胚珠或は花粉嚢を含むそのような植物の部分または前記植物のその他の部分も本発明によって提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は装飾用植物として望ましい、独特の特性と魅惑的な花苞とを備えた新しい植物を提供する。この新しい植物はカリフォルニア州エンシニタス市で作られ、以前には知られていなかった種間雑種である。この植物は、種間雑種がユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)と未栽培のユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)種との交雑から産出され得るという驚くべき発見の結果であった。発明者は、ハイブリッド接合体を莢内で自然に発育させることの失敗を、新たに形成された胚を莢から摘出して、それから栄養寒天培地で苗木にまで育成することによって克服することができることを見つけた。それから栽培された苗木を温室増殖培地に移植して成熟した種間植物に成長させることができるだろう。
【0017】
本発明はまた新規な特性を備えた植物を作る方法を提供する。特に、本発明の一実施例は自由分枝特徴及びそれに関連する表現型特徴が種間接木によって移植されることができるという驚くべき発見に関連している。自由分枝特徴はイー・プルケリマ(E. pulcherrima)の台木への種間接木によってここに記載された種間交雑植物に永久に導入されてきたことが判明したことは重要である(例2及び表1を参照せよ)。接木技法は自由分枝特徴に結びついたファイトプラズマの種間移植のために寄生体のネナシカズラを使用する必要性を避けることができた(例えば、リー他(Lee et al.)、1997年を参照せよ)。
【0018】
1.植物の説明
本発明によって提供される種間交雑植物はいずれの親の種とは異なる独特の特徴を表す。例えば、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)は花芽形成に関して短日植物であるが、ユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)は長日植物である。しかし、種間雑種は短日性に反応して開花し、完全に開花するまでの成長期間はイー・プルケリマ(E. pulcherrima)植物と比べて短期間の6週であることが判明した。イー・プルケリマ(E. pulcherrima)植物は同じ生育環境において花の成長には9週間を要した。
【0019】
表1は、2000年5月18日にアメリカ合衆国カリフォルニア州エンシニタス市において観察された新しいイー・プルケリマ(E. pulcherrima)×イー・コルナストラ(E. cornastra)の種間交雑植物の詳細な説明を提供する。観察は1鉢当り1分枝植物として生育された顕花植物から記録された。鉢は直径17cm、高さ13cmであった。色の指定は、イギリス、ロンドンの王立園芸協会(Royal Horticulture Society)によって1966年に初版が発行されたRHS色図表の1986年版との比較に基づいている。表1に記載されたイー・プルケリマ(E. pulcherrima)×イー・コルナストラ(E. cornastra)の種間交雑植物は例2に従って自由分枝表現型に変換され、その結果、装飾用植物としての特徴が高められた。
【0020】
接木されていない(例えば、枝分かれしていない)イー・プルケリマ(E. pulcherrima)×イー・コルナストラ(E. cornastra)の種間交雑植物は外観において自由分枝形植物に類似していたが、例外として、若芽の摘取後、かなり一様に発育している全ての側芽に対向するように頂上の2乃至4個の横枝が発育した。その結果生じた植物は僅かに背丈が高くて、個々の花(花苞+杯状花序)は僅かに大きかった(10乃至25%)。群葉の色と形は実質的に同一であったが、幾枚かの葉はぎざぎざ状の縁を有し、また他の葉は完全な縁を有する点で、群葉の形は幾分異なっているように思われた。
【0021】
葉の形態におけるそのような変化はイー・プルケリマ(E. pulcherrima)においては一般的である。表1の記載内容は例証としてここに含まれているのであって、限定的でないことは当業者には理解されるであろう。特に、特性及び測定値は、例えば、環境の状態或はその他の変量によって変化し得ることは理解されるであろう。従って、イー・プルケリマ(E. pulcherrima)とイー・コルナストラ(E. cornastra)の交雑から生じるいかなる植物或はその一部も本発明の範囲に属する。
【0022】
【表1】

【0023】
2.変更された成長特性を導くための種間接木
本発明は、変更された成長特性を植物の種に導入するために種間接木を使用し得ることを初めて明らかにする。特に、ここにおいて、自由分枝特性をそれに関連する特性と共に台木植物の種以外の種に移すために接木が使用され得ることが明らかにされる。そのような変更は、例2に記載されているように、イー・プルケリマ(E. pulcherrima)の接木とイー・プルケリマ(E. pulcherrima)×イー・コルナストラ(E. cornastra)の交雑接ぎ穂の使用を通して明らかにされた。その結果生じる植物の表現型は表1に記載されている。
【0024】
自由分枝特性を移転するための種内の接木はユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)において記載されてきたが(例えば、アメリカ合衆国特許第4,724,276号を参照せよ。その開示内容のすべてはここにおいて援用される。)、自由分枝特性を移転するための種間接木を記載した技法の欠如によって、その技法の応用可能性は狭められてきた。
【0025】
ポインセチア栽培変種に見られる自由分枝特性はその分枝習性において限定されている植物とよい対照をなし得る。主な違いは芽が低い節において伸長する性質である。終端の成長点が取り除かれた(若芽が摘み取られた)後ほんの僅かな(1乃至3個の)葉腋の芽でも成長すると、限られた分枝栽培変種は強い頂芽優勢を示す。自由分枝栽培変種は、若芽の摘み取り後に残っている節の数に応じて、多くの葉腋の芽を形成する。この結果、限定された分枝特性の栽培変種は成長力のある挿木をほとんど作らず、そのような植物が短日植物の下に置かれても、限定された分枝特性の栽培変種は花序をほとんど作らない。
【0026】
自由分枝植物の台木上に植物の接ぎ穂を接木することによって、分枝特性は変更され得る。特に、自由分枝特性は、以下のようにして、ここに記載されたユーフォルビア(Euphorbia)種間交雑植物を含む対象植物の種に伝えられ得る。まず、花を阻止するように設計された光周期のもとで行われる。変更される植物の接ぎ穂はそれから自由分枝特性を有する植物の台木に接木される。接ぎ穂の新たな成長は変更される栄養芽或はある期間にわたって変更される芽を有する。
【0027】
接木はいくつかの既に知られている接木技術或は接木方法によって行うことができる。接木結合が確立されるか或は細胞分裂によって癒着した後、自由分枝特性は台木から接ぎ穂に移され、この新しく接木された植物は長日条件下で普通に成長することができる。接木された植物の接ぎ穂部から取られた挿木は自由分枝性を有するが、接木前には接ぎ穂は限定的な分枝特性を持っていた。この変化は安定していて均一でありしっかりと固定しているように思われる。
【0028】
例2に記載されているように、本発明によって提供されたイー・プルケリマ(E. pulcherrima)×イー・コルナストラ(E. cornastra)の種間交雑植物の表現型を変更するために、自由分枝特性の種間移植の技法が使用された。表1において分るように、種間交雑植物への自由分枝特性の導入の結果、変更された分枝表現型が生じ、一般的に装飾用の植物の特性が向上した。
【0029】
自由分枝性は接木法から生じる最も明らかな植物特性のひとつである。他の植物特性も接木法によって修正されるか変更され得る。これらの特性には、ロービング量のような葉の形態、新しい栽培変種が元の接ぎ穂の栽培変種よりも早くか或は遅く開花する開花応答、緑色葉や着色した包葉が明るいか暗いかの色修正、芽の径、節間長さ、挿し穂の数、開花日付、強制によって葉の基部及び包葉に器官脱離を形成する能力が含まれる。
【0030】
種間接木の使用は特にいずれのユーフォルビア(Euphorbia)種、例えば、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)、ユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)、ユーフォルビアヘテロフィラ(Euphorbia heterophylla)、ユーフォルビアシアソフォラ(Euphorbia cyathophora)、ユーフォルビアフルゲンス(Euphorbia fulgens)、ユーフォルビアレウコケファラ(Euphorbia leucocephala)及びユーフォルビアマルギナタ(Euphorbia marginata)にも関連して考えられている。本発明の特定の実施例において、種間接木に使用される種はユーフォルビア(Euphorbia)属の非多汁種である。
【0031】
接木のための好ましい台木は、例えば、ユーフォルビアフルゲンス(Euphorbia fulgens)の変種、アークホワイト(Ahrku White)、アークイエロー(Ahrku Yellow)及びアークオレンジ(Ahrku Orange)と共に、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)の変種、フリーダム(Freedom)(「490」、アメリカ合衆国植物特許第7,825号、その全ての開示内容をここにおいて援用する。)、サクセスレッド(Success Red)(「559」、アメリカ合衆国植物特許第8,773号、その全ての開示内容をここにおいて援用する。)、レッドべルベット(Red Velvet)(「841」、アメリカ合衆国植物特許第11,124号、その全ての開示内容をここにおいて援用する。)、ピータースター(Peterstar)(アメリカ合衆国植物特許第8,259号、その全ての開示内容をここにおいて援用する。)、アネットヘッグダークレッド(Annette Hegg Dark Red)(アメリカ合衆国植物特許第3,160号、その全ての開示内容をここにおいて援用する。)及びヴィーフォーティーングロリィ(V-14 Glory)(アメリカ合衆国植物特許第4,384号、その全ての開示内容をここにおいて援用する。)を含む。もっとも、他の台木が使用されてもよく、当業者にはそのような他の台木はよく知られている。
【0032】
3.親植物及び本発明の種間交雑植物の生産
本発明は、初めて、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との交雑から得られる種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物及びその一部を提供する。特に、発明者は、望ましい装飾的特徴を有する植物を得るために、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)の栽培変種と野生種のユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との間で種間交雑を行い得ることを示してきた。
【0033】
本発明はあらゆるユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)植物とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)植物との交雑によって産出される種間交雑植物を包含している。そのような雑種交配には、「雌」の受粉植物と共に「雄」の花粉提供植物があるが、もっとも各植物が雄と雌の花を有していることは認められる。本発明によれば、交配において雄或は雌として使用された植物はユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)或はユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)からものであってもよい。雄或は雌として使用される植物の選択は一般的には生育能力のある花粉の利用可能性及び/または交配時における受粉作用に対する雌の花部分の受容性による。
【0034】
好ましい実施例において、交配は、
(a)第1及び第2の植物を栽培する工程、この場合、第1植物はユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)であり、第2植物がユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)であるか或は、第1植物はユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)であり、第2植物がユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)である、
(b)第1植物から花粉を採取する工程、
(c)前記第2植物の花に花粉を受粉する工程、及び
(d)前記受粉から生じる種間交雑植物を得る工程
を含んでなる。
【0035】
本発明に従って交配されたユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)植物とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)植物は、本発明の一実施例において、交配の前にひとつ或はそれ以上の望ましい特性を得るために選択されてもよい。そのような選択は、望ましい特性を得るための選択に続いて行われる1またはそれ以上のサイクルの親植物原種の交配から構成されてもよい。例えば、当業者は本件出願の開示内容を考慮して、花の大きさ或は色を含む望ましい花の特徴を有するイー・プルケリマ(E. pulcherrima)及び/またはイー・コルナストラ(E. cornastra)の親植物を選択することができ、そのような特徴がその植物から生じる種間植物の花の特徴に影響を与えることを期待できるだろう。このようにして、本発明の種間交雑植物の装飾用としての使用のための特徴を潜在的に高めることができるだろう。
【0036】
本発明に従って行われる交配において、種間交雑から生じる成長した種子は生存率が低いことが発明者によって発見されたので、上記のように、生育能力のある種間交雑植物を得るために、受粉に続いて胚救出を用いることが望ましいだろう。また、それぞれの親植物の生育能力のある花粉と花粉を受容する花の同時化を確実なものにするために、親植物の光周期及び/または他の成長条件を操作することが望ましいだろう。都合がよいことに、この段階では、植物は化学肥料及び/または適当であると考えられる他の農薬で処理されてもよい。
【0037】
開花時期には雌としての植物に受粉される花は自家受粉を避けるために除雄されてもよい。しかし、イー・プルケリマ(E. pulcherrima)の変種においては普通であるように、親植物が高い自家不和合性を示す場合には、除雄は不必要であるだろう。除雄は手によって達成することができるか、或は花粉を不稔にするために化学除雄剤を使用して潜在的に行われることができるだろう。そのような除雄剤で処理された植物は雄性不稔になるが、典型的に雌稔性は維持される。化学除雄剤の使用は、例えば、アメリカ合衆国特許第4,936,904号に記載されていて、その開示内容はここにおいてその全体にわたって援用する。
【0038】
本発明の種間交雑植物が得られる親植物、つまり、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)は両方とも公に知られていて利用可能である。親植物のユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)はポインセチア或はクリスマスポインセチアとして知られ、広く栽培され、多数の栽培変種によって利用可能である。当業者にはよく知られているように、これらの変種は挿し穂によってクローンとして増殖されてもよい(エック他、1990年、その開示内容はここにおいてその全体にわたって援用する)。
【0039】
第2の親植物、ユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)はドッグウッドポインセチアとして知られていて、メキシコ、ゲレロ州(北緯17度35分、西経99度54分)(ルドゥ及びアルブレヒト、1996年)でかなり最近、発見されたユーフォルビア(Euphorbia)である。その種は1973年に採取され、ドレスラ−(1975年)によって新しい種として記載された。その種の自然生育地は高度の高い熱帯の落葉性森林(1930m)であり、そこではそれは大きな石灰岩の露頭のふもとの腐食土壌中に生息している。
【0040】
ルドゥ及びアルブレヒト(1996年)によって記載されているように、イー・コルナストラ(E. cornastra)は純白の包葉を有し、夏に開花し、成長習慣及び花部に関してイー・プルケリマ(E. pulcherrima)に類似するが、群葉において異なる。例えば、ユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)は純白の包葉と灰緑色の群葉とを有する。この種は根元から出ている木質の幹から発生する中空の芽を有し、高さは2メートル以上になる。イー・コルナストラ(E. cornastra)の本当の葉は赤らんだ葉柄を持ち、軸から離れている表面上で最も著しい白色の軟毛を有する濃い灰緑色である。複合集散花序を囲んでいる純白の包葉の頂花は直径が13センチメートルに達することもある。
【0041】
カンザス州、マンハッタンにおいて、かつて光周期は10時間未満であったので、植物は休眠状態に入った。光周期が11時間を越える場合には、目に見える成長の印は存在した。芽が生長を始めて2か月以内に全ての芽の終端部で花が生じた。活発に成長する植物は2乃至3か月毎に開花した。温室生産時期の開始から16週以内で花は作られ、鉢植え植物として採取後の有効生命は少なくとも1週間であった。先端挿木の増殖は、種からの増殖と同様に、可能である(ルドゥ及びアルブレヒト、1996年)。
【0042】
4.種間交雑植物の特定
種間交雑が一旦行われると、その結果生じる子孫を、単なる同種の別の植物からの花粉を有する自家受粉或は受粉の結果ではなく、雑種(ハイブリッド)として特定することが重要である。この場合におけるように、種間雑種が十分な弁別的特徴を備えているならば、その特定のためのひとつの方法は形態学的評価である。特にここに記載された特徴によって当業者は、その植物の物理的特徴に基づいてその植物をイー・プルケリマ(E. pulcherrima)×イー・コルナストラ(E. cornastra)の種間交雑植物として特定することができる。しかし、他の技法も本発明と共に使用可能であり、環境変異によって引起される潜在的な誤りを避けることができる。
【0043】
例えば、両親がゲノムサイズにおいて異なるならば、フローサイトメトリー或はその他のDNA内容物の計測によって初期の発達段階で雑種を検出してもよい。しかし、DNA内容物における相違は雑種状態以外の理由によることもあるので、さらに他の分析方法を追加することが望ましい。根の断片が成長すると、親の補体がサイズ、数及び/または形態において異なるならば、核型分析が行われてもよい。他の代替方法として、ジェノミック in situ ハイブリダイゼーション(GISH)(シュヴァルツァヒャー他、1989年)或は遺伝標識分析が含まれる。
【0044】
遺伝標識は種間交雑植物、特にユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)の親植物遺伝的補体の組合せの分析と特定のための有効な方法である。ここで用いられているように、「遺伝的補体」という語句は植物或はその細胞の同一性を規定するヌクレオチド配列の集合体を意味する。例として、ここにおいて提供されるユーフォルビア(Euphorbia)属種間交雑植物はそれが例示的なユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)の親植物に対して所有している遺伝性標識の代表的な例を決定するために遺伝子型(模式種)とされる。
【0045】
遺伝標識は単一の座における対立遺伝子である。それらは好ましくは共優性型で受け継がれるので、倍数の座における両方の対立遺伝子の存在は容易に検出することができ、環境変異からは自由である、即ち、それらの遺伝率は1である。単一座の遺伝子型の配列は各座に2つの標識遺伝子型として表わされる。各座の標識遺伝子型の構成は同型接合性または異型接合体である。同型接合性とは、ひとつの座にある両方の遺伝子型が特定の同一のヌクレオチド配列或は繰り返される配列のサイズによって特徴付けられる状態である。異型接合性とはひとつの座における遺伝子の異なる状態を表わす。それらは一般的に多型で、安価に獲得できるという点において、遺伝子標識の好ましい型は単純反復配列(SSRs)である。しかし、本発明の植物を特定するために、潜在的に他の型の遺伝子標識、例えば、制限酵素断片長多型(RFLPs)、増幅断片長多型(AFLPs)、一塩基多型(SNPs)及びアイソザイムが使用されてもよい。
【実施例】
【0046】
以下の実例は本発明の好ましい実施例を示すためにここに含まれている。以下の例に開示された技法は発明者が本発明の実施においてうまく機能すると発見された技法を表わし、従って本発明の実施のための好ましい態様を構成する考えられることが当業者によって理解されるだろう。しかし、当業者は、開示内容に照らして、開示された特定の実施例において多くの変更を行うことができ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく同様の結果を得ることができることを理解するべきであろう。
【0047】
実施例1. 種間交雑植物
ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)×ユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)の種間交雑植物の作成
1997年12月に、ポールエッケランチが占有する変種である「M-6」として知られているユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)という植物はユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)という植物から生じた花粉と交雑された。イー・コルナストラ(E. cornastra)の成長した花粉をイー・プルケリマ(E. pulcherrima)の花の柱頭の花粉受容表面にきめの細かい塗料ばけを用いて移植されて、交雑は行われた。柱頭の花粉受容力は目視によって決定された。柱頭が反り返って開くと、受容力があると考えられた。柱頭はその後、約36時間受容力を維持した。低い自己和合性のために、イー・コルナストラ(Euphorbia cornastra)とイー・プルケリマ(E. pulcherrima)との間で種間交雑を得るためには花序の除勢は必要ではなかった。
【0048】
受粉から3週間後、目に見える膨張の徴候を示した細胞膜が採取され、30%(v/v)の市販の漂白液(クロロクッス5.25%、次亜塩素酸ナトリウム)に25分間浸漬することによって表面は滅菌され、滅菌された水ですすがれた。
【0049】
発育の球状段階での胚芽は胚柄も含めて摘出され、ムラシゲ及びスク−グ塩及びビタミン、6%の蔗糖、0.15%の活性炭及び0.75%のフィタガールを含む培地上で栽培された。栽培は(グローラックス)白色蛍光ランプ16時間の光周期で日中は摂氏26度乃至27度、夜は摂氏18度乃至19度に保たれた。約3乃至4週間後、黄緑色の砕けやすいカルス及び不定胚の塊(直径1mm未満)が接合体の胚芽組織から成長した。
【0050】
成長しているカルス及び不定胚は4乃至6週間毎に新しい培地に植え継がれた。4ヶ月後、苗木が不定胚から成長した。苗木は同じ培地に移されたが、蔗糖はほんの3%であった。苗木は成長を続け、1ヶ月後には70%のカナダ産ピートモスと30%のパーライトの温室増殖培地に移植された。
【0051】
最初の交雑の後、イー・プルケリマ(E. pulcherrima)とイー・コルナストラ(E. cornastra)との間の種間交雑は、上述したような方法で栽培された場合、雑種起源の苗木に成長する胚を生み出すことが判明した。受精率はイー・コルナストラ(E. cornastra)と交雑されたイー・プルケリマ(E. pulcherrima)の9栽培品種の間で変化した。イー・プルケリマ(E. pulcherrima)を雌の親とする個々の率は、栽培において成長した胚に基づいて、0%と30%の間で変化した。イー・プルケリマ(E. pulcherrima)とイー・コルナストラ(E. cornastra)との間の相反交雑は行われなかった。交雑種の花は低花粉稔性を有しているように思われた。花粉生育可能率(染色可能性)はイー・プルケリマ(E. pulcherrima)とイー・コルナストラ(E. cornastra)との間の交雑の間で変化し得るけれども(例えば、上述した植物の完全同胞は3%の花粉染色可能性を有していた)、酢酸カーミンで染色された花粉は略18%の花粉生育可能性を示した。十分に成長した雌ずい群(めしべ群)は観測されなかった。
【0052】
実施例2. 自由分枝性ユーフォルビア種間交雑植物の調製
実例1において上述したように、イー・プルケリマ(E. pulcherrima)とイー・コルナストラ(E. cornastra)との交雑によって作られた種間交雑植物は強い末端優性を示すが、横方向への枝の発達はほとんどないことが判明した。横方向への分枝を誘発するために、新しい植物は、アメリカ合衆国特許第4,724,276号(その開示内容はその全てにわたりここにおいて援用する)に示された手順を適用して、イー・プルケリマ(E. pulcherrima)の変種、ヴィーフォーティーングロリィ(V-14 Glory)(アメリカ合衆国植物特許第4,384号)の自己分枝性台木に接木された。
【0053】
特に、イー・プルケリマ(E. pulcherrima)の変種、ヴィーフォーティーングロリィ(V-14 Glory)の根付き或いは根無し挿し木と種間交雑種は接近接木法によって接木された。挿し木のヴィーフォーティーングロリィ(V-14 Glory)の形成層を露出して、殻を介した道のりの約4分の1の終端芽の下方の挿し木の滑らかな部分に沿って、芽の小片が長さが略1インチ、取り除かれた。同様の芽の小片が種間交雑種からの接ぎ穂から取り除かれ、2つの切断された表面の形成層は合わされて、プラスチック製テープを巻き付けられて結び付けられた。接木された挿し木は根付き開始のため霧状態の下で砂の中で増殖させられ、ピートモスとパーライトの増殖培地に移植された。
【0054】
霧状態での増殖から略1乃至2週間後、両方の挿し木の根付き開始と共にカルス結合が観測された。4週間後、ヴィーフォーティーングロリィ(V-14 Glory)の接木植物の終端芽は接木結合体の上方で取り除かれた。種間交雑接ぎ穂芽は残されて、さらに2週間成長した。その時、芽の先が約5乃至7節分、接木結合体の上方で摘み取られた(取り除かれた)。横方向の芽が接木結合体の上方で成長した。新しい根は3週間で生じた。2000年4月11日から、開花を誘発するために、植物は毎晩14時間黒いプラスチック製の覆いの下に置かれた。5月18日までに、花の包葉は完全に発育した。その植物の表現型の分析の結果は表1において上述した通りであり、自由分枝特性の伝播を示している。上記の表現型特性は、自由分枝特性を失うことなく、変更された植物において存続することが判明した。上記手順の結果は種間接木が自由分枝特徴を伝播するために使用できることという驚くべき発見を提供した。
【0055】
ここに開示され特許請求された構成及び方法は本開示内容に照らして不適当な実験を行うことなく作り及び行うことができる。本発明の構成及び方法は上述した実施例によって記載されたが、本発明の真の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、変更及び修正が前記構成、方法及びここに記載された方法の工程或は一連の工程に適用されてもよいことが、当業者には明白であろう。即ち、化学的及び生理学的な変化を起こさせる或るものがここに記載されたものに置き換えられてもよいことは明らかであり、同一或は同様の結果が達成されるであろう。当業者に明白な全てのそのような類似の代用或は修正は添付した特許請求の範囲に規定された本発明の精神、範囲及び概念の範囲内にあると考えられる。
【0056】
(参考文献)
以下の参考文献は、ここに開示された内容を補足する例証的手順或は他の詳細な内容を提供する限りにおいて、ここに援用する。
【0057】
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【0058】
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【0059】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との交雑から得られる種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物において、当該種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物は、ファイトプラズマを含むものとしてさらに規定され、ここで当該ファイトプラズマが前記種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物に自由分枝性を付与する、ことを特徴とする種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物。
【請求項2】
請求項1に記載の種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物の一部。
【請求項3】
花であるとさらに規定される、請求項2に記載の植物の一部。
【請求項4】
挿木であるとさらに規定される、請求項2に記載の植物の一部。
【請求項5】
花粉であるとさらに規定される、請求項2に記載の植物の一部。
【請求項6】
胚珠であるとさらに規定される、請求項2に記載の植物の一部。
【請求項7】
花粉嚢であるとさらに規定される、請求項2に記載の植物の一部。
【請求項8】
請求項1に記載の植物からクローンとして増殖される種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物又はその一部。
【請求項9】
ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)植物をユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)植物と交雑させることを含んで成る、請求項1に記載の種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物の製造方法。
【請求項10】
以下の工程:
(a)第1及び第2の植物を栽培する工程、この場合、前記第1植物はユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)であり、第2植物がユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)であるか或は、第1植物はユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)であり、第2植物がユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)である、
(b)前記第1植物から花粉を採取する工程、
(c)前記第2植物の花に前記花粉を受粉する工程、及び
(d)前記受粉から生じる種間交雑植物を得る工程、
からなるとさらに規定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記受粉から生じる胚の胚救出を含んで成るとさらに規定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1植物がユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)であり、前記第2植物がユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)である請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1植物はユーフォルビアコルナストラであり、前記第2植物がユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)である請求項10に記載の方法。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法によって用意された植物或はその一部。
【請求項15】
以下の工程:
a)請求項1に記載の種間交雑ユーフォルビア植物の挿木を得る工程、及び
b)前記挿木を栽培して種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物を得る工程、
を含んでなる、種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物の製造方法。
【請求項16】
根の形成を促すために、前記挿木にホルモン成分を適用することを含むものとしてさらに規定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の方法によって製造される種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物。
【請求項18】
以下の工程:
(a)台木として使用される、自由分枝特徴を有する植物を用意する工程、
(b)請求項1に記載の種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物の接木を得る工程、
(c)台木植物の細胞組織と接木植物の間に接木接合を形成して、これによって、前記接木から生じる栄養芽の特徴が変更される工程、及び
(d)前記芽を栽培して変更された成長特性からなる目標植物を得る工程、
を含んでなる、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との交雑から得られる種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物の植物成長特性を変更する方法。
【請求項19】
前記変更された成長特性が変更された分枝特性を含んで成るものとしてさらに規定される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の方法によって製造される種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物。
【請求項21】
請求項17に記載の種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物の一部。
【請求項22】
花であるとさらに規定される、請求項21に記載の植物の一部。
【請求項23】
挿木であるとさらに規定される、請求項21に記載の植物の一部。
【請求項24】
花粉であるとさらに規定される、請求項21に記載の植物の一部。
【請求項25】
胚珠であるとさらに規定される、請求項21に記載の植物の一部。
【請求項26】
花粉嚢であるとさらに規定される、請求項21に記載の植物の一部。
【請求項27】
請求項20に記載の植物からクローンとして増殖される種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物或はその一部。
【請求項28】
以下の工程:
(a)台木として使用される、自由分枝特徴を有する植物を用意する工程、
(b)請求項1に記載の目標植物の接木を得る工程、ここにおいて、自由分枝特徴を有する前記植物と前記目標植物は異なる種の植物である、
(c)台木植物の細胞組織と接木植物の間に接木接合を形成して、これによって、前記接木から生じる栄養体の特徴が変更される工程、及び
(d)前記芽を栽培して変更された成長特性を有する目標植物を得る工程、
を含んでなる、目標植物の成長特性を変更する方法。
【請求項29】
前記目標植物がユーフォルビア(Euphorbia)属の非多汁種であるとさらに規定される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記目標植物が、ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)、ユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)、ユーフォルビアヘテロフィラ(Euphorbia heterophylla)、ユーフォルビアシアソフォラ(Euphorbia cyathophora)、ユーフォルビアフルゲンス(Euphorbia fulgens)、ユーフォルビアレウコケファラ(Euphorbia leucocephala)及びユーフォルビアマルギナタ(Euphorbia marginata)からなるグループから選ばれた種としてさらに規定される、請求項28又は30に記載の方法。
【請求項31】
自由分枝形成特徴を有する前記植物がユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)植物であるとしてさらに規定される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記ユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)植物がヴィーフォーティーングロリィ(V-14 Glory)、アネットヘッグダークレッド(Annette Hegg Dark Red)、サクセスレッド(Success Red)、フリーダム(Freedom)、レッドベルベット(Red Velvet)及びピータースター(Peterstar)からなるグループから選択されたユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)の変種であるとさらに規定される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
自由分枝形成特徴を有する前記植物がユーフォルビアフルゲンス(Euphorbia fulgens)植物であるとさらに規定される、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
自由分枝形成特徴を有する前記植物がユーフォルビアプルケリマ(Euphorbia pulcherrima)とユーフォルビアコルナストラ(Euphorbia cornastra)との交雑から得られる種間交雑ユーフォルビア(Euphorbia)植物であるとさらに規定される、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
請求項28項に記載の方法によって製造可能な植物。
【請求項36】
請求項35に記載の一部。
【請求項37】
花であるとさらに規定される、請求項36に記載の植物の一部。
【請求項38】
挿木であるとさらに規定される、請求項36に記載の植物の一部。
【請求項39】
花粉であるとさらに規定される、請求項36に記載の植物の一部。
【請求項40】
胚珠であるとさらに規定される、請求項36に記載の植物の一部。
【請求項41】
花粉嚢であるとさらに規定される、請求項36に記載の植物の一部。

【公開番号】特開2008−173131(P2008−173131A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58123(P2008−58123)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【分割の表示】特願2002−535469(P2002−535469)の分割
【原出願日】平成13年10月16日(2001.10.16)
【出願人】(502275942)サントリーフラワーズ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】