ライティングアセンブリ及びシステム
本開示は、LEDを使用して照明を提供する照明又はライティングのアセンブリ及びシステムに関する。一態様で、本開示が提供するライティングアセンブリは、光を発する複数の発光ダイオードと、発光ダイオードが発した光を方向づけるとともに、発光ダイオードに隣接して配置される光学系と、二相冷却系を含む冷却フィンと、を備え、二相冷却系が発光ダイオードからの熱を除去するように、冷却フィンは発光ダイオードに隣接して配置される。別の態様で、本開示は、複数のライティングアセンブリを含むライティングシステムを提供する。本開示のライティングアセンブリ及びシステムは、例えば、街灯、バックライト(例えば太陽連結バックライト(sun-coupled backlight)を含む)、ウォールウォッシュライト、屋外広告板ライト、駐車場傾斜路用ライト、ハイベイライト(high bay light)、駐車場ライト、標識点灯看板(電気看板とも呼ばれる)、静止標識(例えば太陽連結静止標識を含む)、照明された標識、及び他のライティング用途に使用されることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ライティング又は照明のアセンブリに関する。とりわけ、本開示は、発光ダイオード(LED)を使用する、ライティング又は照明のアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
照明アセンブリは、様々な用途に使用される。従来の照明アセンブリは、白熱灯又は蛍光灯などの光源を使用してきた。ごく最近では、他のタイプの発光素子、特に発光ダイオード(LED)が、照明アセンブリで使用されてきている。LEDは、小さいサイズ、長い寿命、及びエネルギー効率という利点を有する。LEDは、これらの利点により、数多くの多様な用途において有用になっている。
【0003】
多くのライティング用途で、必要な光束及び/又は照度を供給する1つ以上のLEDを有することが望まれる。アレイ状のLEDは、一般に、LEDをプリント基板上へ実装することにより、相互に及び他の電気システムに接続される。LEDは、例えば、回路基板トレース上に構成要素を位置づけ、次いで、手作業のハンダ付け、ウェーブソルダリング、リフローソルダリング、及び導電接着剤を含む既知の数々の技法のうちの1つを用いて構成要素を基材に結合するといった電子部品製造の他の分野で一般的な技法によって基材に装着され得る。
【0004】
LEDは動作中、光のほかに熱も生成する。LEDによって生成される熱及び光の量は、電流の流れと概ね比例する。したがって、LEDが生成する光が多いほど、LEDはより多くの熱を生成する。残念なことに、LED電流が増すにつれて温度が増し、電流に比例して光の生成は減少し、LEDの効率及び寿命の低下を引き起こす。
【0005】
ライティングシステムの合計熱を減らす先行技術の試みを図1に概略的に示す。図1のライティングシステムは、基材3に取り付けられた複数のLED 2を含む。複数の中実フィン4は基材3に垂直に取り付けられている。それぞれのLED 2によって生成される熱は基材3及び更に中実フィン4へと拡散される。中実フィン4の周囲の空気流によって、中実フィン4の対流冷却が生じる。
【0006】
ライティングシステムの合計熱を減らす別の先行技術の試みを図2に概略的に示す。図2のライティングシステム5は図1のライティングシステムと同じだが、基材3が事実上のヒートスプレッダになるように複数のヒートパイプ6が基材3の内部に埋め込まれている又は基材3に取り付けられていることにおいて異なる。ヒートパイプは大量の熱を移送することができる熱移動装置であり、より熱い接触面とより冷たい接触面との間の非常に小さい温度差で大量の熱を移動することができる。ヒートパイプは、作業流体又は冷却剤の蒸発及び凝結によって熱エネルギーを1点から別の点に移動するために蒸発冷却を使用する。
【0007】
図2に示すような平面的ヒートパイプ(又はヒートスプレッダ)6は、作業流体(図示せず)及び閉ループ毛管式再循環系(図示せず)を包含する密閉された中空容器を含む。ヒートパイプ6の壁の内側のより熱い接触面(1つ又は複数)で作業流体は蒸気になり、自然に流れ、より冷たい接触面(1つ又は複数)上で凝結する。液体は熱い接触面に落下するか又は毛管現象の作用によって移動されて戻り再び蒸発するというサイクルを繰り返す。熱伝導速度への実際的な制限の1つは、冷たい端でガスが凝結して液体になることが可能な速度である。ヒートパイプの一端が熱せされると、パイプ内部の作業流体はその端で蒸発し、ヒートパイプの空洞内の蒸気圧を増加する。作業流体の蒸発によって吸収される蒸発潜熱は、パイプの熱い端での温度を低下する。パイプの熱い端で熱い液体の作業流体にかかる蒸気圧は、パイプの冷たい端で凝結する作業流体にかかる平衡蒸気圧より高く、この圧力差は、余分な蒸気が凝結してその潜熱を放出し、凝結端への急速な質量移動を促し、パイプの冷たい端を温める。このようにして、LED 2からの熱はライティングシステム5の全体に放散される。
【0008】
ライティングシステムの合計熱を減らす別の先行技術の試みを図3に概略的に示す。図3のライティングシステム7は、基材3の下側に取り付けられた複数のLED 2を含む。2つのヒートパイプ6は基材3に取り付けられており、上方に湾曲している。複数の中実フィン4はそれぞれのヒートパイプ6に取り付けられる。LED 2によって生成される熱は基材3へ、次いでヒートパイプ6へ、次いで対流冷却に依存するフィン4へと拡散する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本特許出願の発明者らは、望まれる低いLED温度を維持することができるならばLEDをより高い輝度(より多くの電流)で動作することができることを認識した。ライティングシステムのそれぞれのLEDのより高い輝度は、より少ないLEDの使用もまた容易にし、より低コストのライティングシステムをもたらすことができる。したがって、本特許出願の発明者らは、望まれる低いLED温度の維持が、より明度の高いLED光を生成し、電力を節減し、LEDの寿命を延ばすことを認識した。
【0010】
本特許出願の発明者らは、省エネルギーのライティング及び照明のアセンブリを発見した。とりわけ、本特許出願のライティングシステム(1つ又は複数)及び/又はアセンブリでは、既存の設計と比べてより効率的に熱が熱源から放散されるため、例えば電気的有効性、寿命、製造費、重量、及びサイズの改善がもたらされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、LEDを使用して照明を提供する照明又はライティングのアセンブリ及びシステムに関する。本特許出願の照明又はライティングのシステムは、光の分布が制御された高輝度、高明度のシステムを含む。本明細書に開示されている照明アセンブリ及びシステムは、例えば、区域を照らすため又は多くの異なるライティング用途に投入するために適切な光の出力を生成するためなど、一般的なライティング目的に使用されることができる。そのようなアセンブリは、例えば、街灯、バックライト(例えば太陽連結バックライト(sun-coupled backlight)を含む)、ウォールウォッシュライト、屋外広告板ライト、駐車場傾斜路用ライト、ハイベイライト(high bay light)、駐車場ライト、標識点灯看板(電気看板とも呼ばれる)、静止標識(例えば太陽連結静止標識を含む)、照明された標識、及び他のライティング用途に使用されるのに好適である。
【0012】
一態様で、本開示は、光を発する1つ以上の発光ダイオードと、発光ダイオードが発した光を方向づけるとともに、発光ダイオードに隣接して配置される光学系と、二相冷却系を有し、二相冷却系が発光ダイオードからの熱を除去するように発光ダイオードに隣接して配置される冷却フィンと、を備える、ライティングアセンブリを提供する。
【0013】
別の態様で、本開示は、複数のライティングアセンブリを含むライティングシステムを提供する。
【0014】
別の態様で、本開示は、光を発する複数の発光ダイオードと、発光ダイオードが発した光を方向づけるとともに、発光ダイオードに隣接して配置される光学系と、それぞれが二相冷却系を含む複数の冷却フィンと、を備え、冷却フィンの内部の二相冷却系が発光ダイオードからの熱を除去するように、複数の冷却フィンが発光ダイオードに隣接して配置される、街灯を提供する。
【0015】
別の態様で、本開示は、光を発する発光ダイオードと、発光ダイオードが発した光を方向づける光学系と、対流冷却面を含む二相冷却系と、を備え、二相冷却系は、二相冷却系が発光ダイオードから熱を拡散するように発光ダイオードに隣接して配置される、ウォールウォッシュを提供する。
【0016】
別の態様で、本開示は、光を発する発光ダイオードと、発光ダイオードが発した光を方向づける光学系と、対流冷却面を含む二相冷却系と、を備え、二相冷却系は、二相冷却系が発光ダイオードから熱を拡散するように発光ダイオードに隣接して配置される、ライティングシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ライティングシステムの合計熱を減らす先行技術の試みを概略的に示す。
【図2】ライティングシステムの合計熱を減らす別の先行技術の試みを概略的に示す。
【図3】ライティングシステムの合計熱を減らす別の先行技術の試みを概略的に示す。
【図4A】光を発するLEDを含むライティングアセンブリの概略断面図。
【図4B】光を発するLEDを含むライティングアセンブリの概略断面図。
【図5】複数の個々のライティングアセンブリを含むライティングシステムの側面図。
【図6】複数の個々のライティングアセンブリを含むライティングシステムの斜視図。
【図7A】冷却フィンの底に取り付けられた複数のLEDを示す略図。
【図7B】冷却フィンの側部に取り付けられた複数のLEDを示す略図。
【図7C】冷却フィンに平行に配置されたウェッジ形状の複数の傾斜したLED及び光学系を示す略図。
【図8】LEDの発する光が所望のパターンで方向づけられるように傾斜している複数の冷却フィン30の略図。
【図9】隣接する冷却フィンの間に配置された1つ以上の放射板を含むライティングシステムの概略斜視図。
【図10】複数の傾斜しているLED 12及び、冷却フィン30に垂直に配置された光学系20として中空のウェッジを示す概略図。
【図11】本明細書に記述した型式のライティングシステムの様々な実施形態。
【図12】本明細書に記述した型式のライティングシステムの様々な実施形態。
【図13】本明細書に記述した型式のライティングシステムの様々な実施形態。
【図14】本明細書に記述した型式のライティングシステムの様々な実施形態。
【図15】図11のライティングシステムを含む街灯。
【図16】本明細書に記述した型式のライティングシステムを含むウォールウォッシュライト照明器具の概略図。
【図17】本明細書に記述した型式のライティングシステムを含むウォールウォッシュライト照明器具の概略図。
【図18】バックライトで使用するための中実又は中空の光ガイドに光を照射することができるライティングアセンブリを描く概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図4A及び4Bは、光14を発するLED 12を含むライティングアセンブリ10の断面略図である。図4A及び4BでLED 12は例示的に矩形構成で示されているが、他の既知の構成及び形状もまた知られており、本特許出願のライティングシステム及びアセンブリに使用することができる。簡潔に示すためにLEDとの電気接触は図示されていない。
【0019】
例えば金属、ポリマー、有機半導体材料、無機半導体材料等、任意の好適な1つ又は複数の材料を使用してLED 12を形成することができる。本明細書で使用するとき、用語「LED」及び「発光ダイオード」は、一般にダイオードに電力を供給するための接触領域を備えた発光半導体素子を指す。種々の形態の無機半導体発光ダイオードは、例えば1つ以上の第III族元素、1つ以上の第V族元素(III〜V族半導体)、1つ以上の第II族元素、及び1つ以上の第VI族元素の組み合わせから形成されてもよい。LEDに使用可能なIII〜V族LED材料の例として、ガリウムナイトライド又はインジウムガリウムナイトライドのような窒化物、及びインジウムガリウムホスファイドのようなリン化物が挙げられる。他のタイプのIII〜V族材料も使用可能であり、また同様に、周期表の他の族の無機物質も使用可能である。II〜VI族LED材料の例としては、例えば、米国特許第7,402,831号(Millerら)又は米国特許出願第US2006−0124918号(Millerら)又は同第US2006−0124938号(Millerら)に記載されているものが含まれる。
【0020】
LEDは、パッケージ化された形態であっても、又はパッケージ化されていない形態であってもよく、例えばLEDダイ、表面実装型LED、チップオンボード型LED、及び他の構成のLEDが含まれる。チップオンボード型(COB)は、基材に直接装着されるLEDダイ(すなわちパッケージ化されていないLED)を指す。用語「LED」は、蛍光体とともにパッケージ化された又はこれに関連付けられたLEDをも含み、蛍光体が、LEDから放たれる光を異なる波長の光に変換する。LEDへの電気接続は、例えばワイヤボンディング、テープ自動化ボンディング(TAB)、又はフリップチップボンディングにより行うことができる。LEDは、図面において概略的に示されており、例えば非パッケージ化LEDダイでも、又はパッケージ化されたLEDでもよい。
【0021】
LEDは、例えば米国特許第5,998,925号(Shimizuら)に記述されているような上部発光式であってもよい。LEDは、例えば米国特許第6,974,229号(Westら)に記述されているような側部発光式であってもよい。本開示のライティングアセンブリ及びシステムとともに使用するための市販の代表的なLEDとしては、例えばLambertian LEDs Creeが市販しているようなXLamp LED、Philips Lumiledsが市販しているようなLuxeon(登録商標)LEDS、及びPhilips Lumiledsが市販しているものを含む側部発光式のLED、又はコウモリの翼のような形に光を分布するLEDが含まれる。
【0022】
LEDは、赤、緑、青、紫外線、又は赤外線スペクトル領域など、いかなる所望の波長にても発光するように選定することができる。LEDの配列において、LEDのそれぞれは、同一スペクトル領域で発光すること、又は異なるスペクトル領域で発光することができる。異なるLEDは、発光素子からの発光色が選定可能である場合に、異なる色を作り出すように使用されてもよい。異なるLEDの個別制御は、発光の色を制御する能力をもたらす。更に、白色光が望まれる場合には、異なる色の多数のLED発光が提供されてもよく、これらの複合作用は、見る人に白色であると認識される発光をすることである。白色光を生成するための別の方法は、比較的短波長で発光する1以上のLEDを使用し、放出された光を蛍光波長変換器(phosphor wavelength converter)を使用して白色光に変換することである。白色灯は、赤色(一般に、白熱灯と呼ばれる)又は青色(一般に白冷灯と呼ばれる)に偏る場合がある。
【0023】
ライティングアセンブリ10は1つ以上のLED 12を含むことができる。ライティングアセンブリ10は、発光ダイオード12が発する光14を方向づける光学系20、及び二相冷却系を含む冷却フィン30もまた含む。光学系20及び冷却フィン30は、LED 12が生成した熱を二相冷却系が除去するように、かつLED 12が発した光14を光学系20が方向づけるように、LED 12の対向する側部に隣接して配置される。
【0024】
図4A及び4Bに示した光学系20は、LED 12が発する光14を所望のパターンに方向づける反射性内面24を有するウェッジ22を含む。反射性内面24は、例えば鏡面的に又は拡散的に反射性であってもよく、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態で、反射性内面24は、ミネソタ州の3M Companyが販売するVikuiti(商標)ESRフィルムのような多層ポリマー反射性フィルムを含むことができる。ウェッジ22の外面26及び/又は内面24は、例えば平面、曲面、又は波形面を含む、任意の形であってよい。ウェッジ22の側壁は、好ましくは剛性材料で形成される。ウェッジ22に使用するための代表的な剛性材料としては、例えばプラスチック又は、所望の形を維持することができる、例えばアルミニウム若しくはステンレススチールのような金属が挙げられる。ウェッジ22の作製に用いられる材料は、フィン30を作製するのに用いられる材料と同じであっても異なっていてもよい。図4A及び4Bに示すように、ウェッジ22は冷却フィン30と平行であるが、ウェッジ20はまた冷却フィン30に垂直に配置されてもよい。ウェッジ20は、(米国特許刊行物第2009−001608号(Destainら)に記述されているように)中実であってもよく、あるいは中空であってもよい。中実ウェッジは、所望の光学効果を達成するために平面又は非平面の出口表面を有することができる。
【0025】
光学系20は、所望の光学効果を達成するために追加的又は代替的に、光の分布を制御又は方向づける任意の要素を単独で又は組み合わせとして含むことができ、例えばレンズ(例えば、レンズとして使用される成形可能なUV硬化性シリコーンを含む)、デフューザー、偏光器、バッフル、フィルタ、ビームスプリッタ、輝度強化フィルム、リフレクタ(例えばESR)などが含まれる。例えば、一実施形態で、光学系は、市販のLEDの一部であるレンズ、中実又は中空のウェッジ、及び少なくとも1つ以上のリフレクタを含む。
【0026】
図4A及び4Bに示されるように、LED 12からの熱及び/又はLED 12が生成する熱を除去する冷却フィン30は、二相冷却系32を含む。二相冷却系は、沸騰して気体又は蒸気を形成することが可能な液体33を含む。二相冷却とは、熱伝導機構としての相変化の潜熱の使用を指す。二相冷却は重力によって駆動され得る(すなわち、低密度の気体が上昇し、重い復水の液滴が壁をつたって降りる)。二相冷却は、例えばポンプの毛管作用によって駆動されてもよい。二相冷却系は、典型的には熱蒸気を介して熱を冷却フィン内面に直接伝導し、そこで熱は冷却フィンの壁に奪われ、熱蒸気は凝結し、重力によって下がり、流体プールに戻る。熱が蒸発の潜熱として移送されるということは、系の内部の流体が連続的に流体から蒸気へと相変化して再び戻ることを意味する。液体は熱い端で蒸発することによってLEDパッケージからの熱を吸収する。冷たい端で、液体は凝結し、熱はヒートシンク(通常は周囲の空気)へと消散する。
【0027】
より具体的には、図4A及び4Bに示したライティングアセンブリで、LED 12は沸騰面34と熱接触している。LED 12が熱を生成するにつれ、熱は沸騰面34へと拡散し、熱が液体33に伝達することによって液体33が蒸気35を形成する。次いで、熱は蒸気35によって上方へ運ばれ、蒸気は上昇し、液体33の上の空間を満たす。蒸気35はやがて冷却フィン30の内面38上で凝結し、その熱を壁36に与える。次いで、加熱された壁36の外面40は、対流及び冷却フィン30の外面40からの放射伝熱によって冷却される。沸騰面34は液体33の沸騰温度で効果的に維持される(冷却フィン30内の圧力に応じて)。沸騰面は、核生成を助け沸騰熱伝導率を高めることによって核沸騰を補助するために、当業者に既知の様々な有機及び無機のコーティング又は表面修飾を1つ以上含むことができる。
【0028】
冷却フィン30内の液体33の量は、いくらかの液体33が冷却フィン30内に常に残るように選択される。ライティングアセンブリに使用される代表的な流体としては、例えば水、グリコール、ブライン、アルコール、塩化液、臭化液、ペルフルオロカーボン、シリコーン、アルカン炭化水素、アルケン炭化水素、芳香族炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、フルオロケトン、ヒドロフルオロオレフィン、不燃性の隔離されたHFEが含まれる。水を使用することの1つの利点は、水が比較的安価で広く入手可能であることだが、水のいくつかの欠点としては、水の使用によってより高価な全銅製のフィンが必要になり得ること及び凍結の際にフィンがより破裂しやすくなり得ることが挙げられる。また、二相用途に十分な揮発性を有するほとんどのアルコール及び炭化水素化合物(例えばアルカン、アルケン、芳香族、ケトン、エステルなど)はかなり可燃性でもある。多くの塩化化合物及び臭化化合物(例えばトリクロロエチレン)は、それらの毒性のために厳しく規制されているか、あるいはオゾン層を破壊するかのいずれかである(例えばCFC)。ペルフルオロカーボン流体及び商業的に有意なヒドロフルオロカーボン流体は地球温暖化の潜在能力が高い。これらの理由から、フルオロケトン及びヒドロフルオロエーテルは、2つの代表的な好ましい作業流体である。ライティングアセンブリでの使用に好ましい代表的な流体は、約−40℃〜約100℃の沸点を有する。
【0029】
二相冷却のいくつかの代表的な利点としては、(1)蒸発及び凝結の潜熱のために、大きい熱流束が消散され得ること、(2)ライティングアセンブリ及び/又はシステムの重量及び体積が低減されること、(3)代替品と比較して小さい伝熱面積であること、(4)能動的循環であり、表面強化とともに実施されたとき、沸騰面と冷却材との最小の温度差で高い熱流束を消散できること、及び(5)LEDと対流壁面との間の最小の温度差を有することができることが挙げられる。更に、本特許出願は、対流冷却面が二相冷却面と同じ面であるライティングシステム又はアセンブリに関する。
【0030】
少なくともいくつかの実施形態で、LED 12と沸騰面34との間の熱経路を最低限にすることが好ましい。冷却フィン30のサイズは、LED 12が生成する熱を消散するために必要な面積によって決まる。冷却フィン30の側壁36は、内部の凝結表面38及び外部の対流冷却表面40からの熱抵抗を最低限にするために十分に薄いことが好ましく、内部と外部の圧力差に耐えるために十分に厚いことが好ましい。冷却フィン30の側壁36は、例えば、鋼鉄、アルミニウム、銅、プラスチック、又はステンレススチールのような、これらの要件を満たす任意の材料で形成され得る。いくつかの好ましい透明材料としては、例えばガラス及びプラスチックが含まれる。
【0031】
図4A及び4Bに示したように、冷却フィン30の沸騰面34はLED装着面と平行だが、LED装着面は傾斜していてもよい。冷却フィン30の側壁36は中実でも可撓性でもよく、したがって冷却フィン30は可変の体積又は一定の体積を有することができる。更に、冷却フィン30の側面36は、例えば平面、円筒形、又は錐体などを含む、任意の所望の形であってよい。中空の冷却フィンを使用することの1つの追加的な利点は、それが比較的軽量であり、比較的軽量のアセンブリ又はライティングシステムの創出を容易にすることである。しかし、代替実施形態で、1つ以上の冷却フィン30は中実であってもよい。いくつかの代替実施形態で、ライティングシステムは複数の冷却フィン30を含み、その少なくとも1つは中空であり、その少なくとも1つは中実である。
【0032】
図4A及び4Bは、冷却フィン30に直接取り付けられたLED 12を示す。LED 12は、中空ウェッジ20又は冷却フィン30の1つ又は両方に取り付けられた、例えば伝熱性基材を含む基材に取り付けてもよい。この型式のライティングアセンブリの代表的な実施形態で、基材は、冷却フィン30に隣接する第1の主面と、光学系20に隣接する第2の主面とを有する。LED 12は、基材の第1又は第2の主面のいずれかに直接取り付けることができる。別の代替実施形態では、基材が熱抵抗を増さないように、例えば銅被覆ポリイミドである基材を化学エッチング又はレーザーアブレーションしてもよい。
【0033】
本開示のライティングアセンブリは、例えばハンダ付け、圧入、貫通、ネジ止めなど、数多くの好適な技法を用いて基材に取り付けられるように設計されたLEDを含む。代表的な基材の1つは、LEDから伝熱で熱を取り去る伝熱性基材である。いくつかの実施形態で、基材は導電性であるので、LEDのための回路を提供することができる(例えば米国特許刊行物第US20070216274号(Schultzら)を参照)。更に、いくつかの実施形態で、ライティングアセンブリは、LEDが発する光の少なくとも一部分を反射するために、基材の主面に近接して反射層を含む。更に、いくつかの実施形態は、基材への直接熱接続を提供することが可能なポストを有するLEDを含む(例えば米国特許第7,285,802号(Ouderkirkら)及び同第7,296,916号(Ouderkirkら)を参照)。代表的な実施形態で、この直接熱接続は、LEDが生成した熱の一部分を基材の主面に対してほぼ直交する方向にLEDから離れて基材内へ向かうように方向づけて、それによってLEDから横方向に広がる生成熱の量を減らすことを可能にする。
【0034】
この伝熱性基材は、例えば銅、ニッケル、金、アルミニウム、スズ、鉛、銀、インジウム、ガリウム、酸化亜鉛、酸化ベリリウム、酸化アルミニウム、サファイア、ダイヤモンド、窒素化アルミニウム、炭化ケイ素、パイロライト、グラファイト、マグネシウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、高分子結合剤、無機結合剤、ガラス結合剤、導電性であってもそうでなくてもよい熱伝導性粒子の充填ポリマー、及びそれらの組み合わせなど、伝熱性の任意の好適な材料(1つ又は複数)を含むことができる。いくつかの実施形態で、基材は、例えば超音波又は何らかの方法でアルミニウム、銅、セラミック若しくはポリマー被覆金属、又は伝熱性充填ポリマーに溶接可能な別の材料に取り付けられてもよい。基材は任意の好適なサイズ及び形であってよい。いくつかの実施形態で、基材は導電性であってもよい。そのような導電性基材は、例えば銅、ニッケル、金、アルミニウム、スズ、鉛、銀、インジウム、ガリウム、及びそれらの組み合わせなど、任意の好適な導電材料を含むことができる。基材は目的の組み合わせを果たすことができ、その目的は、例えばLED 12への電気接続を作ること、LED 12から離れる直接の熱経路を提供すること、LED 12から横方向に離れて広がる熱を提供すること、及び/又は他のシステムに電気接続を提供することを含む。
【0035】
図5及び6は、それぞれ、複数の個々のライティングアセンブリ10を含む、ライティングシステム100の側面図及び斜視図である。任意の好適な数のLED 12及び/又はライティングアセンブリ10をライティングシステム100に含めることができる。図5及び6に示すように、ライティングシステム100は複数の冷却フィン30を含み、少なくともそれらのいくつかは二相冷却系32を含み、それらのそれぞれはLED 12に隣接して配置される。図5及び6は、例えばLED 12、光学系20、及び/又は冷却フィン30のようなライティングアセンブリ10の少なくとも一部分を収納するハウジング110もまた示す。
【0036】
隣接するフィン30の間の距離は、ライティングアセンブリと周囲の環境との間の熱伝導を最大にするために従来の対流理論に従って選択される。フィンは、十分な空気がフィンを通過して熱を取り去ることを可能にするために十分に間隔を開けて配置されるのが好ましい。例えば、代表的な一実施形態で、間隔は約1mm〜約100mmである。代表的な一実施形態で、間隔は約25mmである。この間隔は、冷却フィン30の下から上までの空気流のための完全なアクセスのおかげで、効果的な対流冷却を促進する。冷却フィン30は、十分な冷却、及び対流空気流を容易にするフィン間隔を提供する区域を有するのが好ましい。
【0037】
ライティングシステム100は複数の中空ウェッジもまた含み、そのそれぞれがLED 12の発した光を方向づけ、そのそれぞれがLED 12に隣接して配置される。隣接する光学系20の間の距離は、ライティングアセンブリと周囲の環境との間の熱伝導を最大及び/又は最適にするために、従来の対流理論に従って選択される。光学系は、十分な空気がフィンを通過して熱を取り去ることを可能にするために十分に間隔を開けて配置されるのが好ましい。この間隔は、光学系20の下から冷却フィン30の上までの空気流のための完全なアクセスのおかげで、効果的な冷却を促進する。光学系20は、好ましくは、十分な冷却、及び対流空気流を容易にするフィン間隔を提供する形及びサイズを有する。
【0038】
LEDは冷却フィン30の底部に又は隣接して配置することができる。図7Aは、冷却フィン30の底部に取り付けられた複数のLED 12を示す略図である。LED 12は図7Aで真下を向いている。図7Bは、冷却フィン30の底部に取り付けられた複数のLED 12を示す側面図である。
【0039】
また、所望の光の分布を与える方向に向けてLED 12を傾斜してもよい(例えば、LEDを、例えば冷却フィン30に平行の方向又は冷却フィン30に垂直の方向に傾斜することができる)。LED 12に隣接する光学系20は、例えば冷却フィン30に平行又は垂直であり得る。図7Cは、冷却フィン30に平行に配置されたウェッジ形状の代表的な傾斜したLED 12及び光学系を示す略図である。図10は、複数の傾斜したLED 12及び、冷却フィン30に垂直に配置された光学系20として中空のウェッジを示す概略図である。図10の垂直のウェッジ構成を用いる利点としては、光学によって制限されずに完全に又は主に対流冷却に基づいて冷却フィン分離を選択することを可能にすることによってライティングシステムの全体的なサイズを最小限にすることが挙げられる。加えて、図10の傾斜したダイオードの構成では個々のモジュール上のLED 12全てが同じ方向に傾斜されるので、製造面での利点も有する。当業者は、LED傾斜角、選択される光学素子、及び光学素子の向きの他の組み合わせも本開示に含まれ、所望の光の分布の達成に有利であり得ることを理解するであろう。
【0040】
別の構成で、複数の冷却フィン30はLED 12が発する光が図8に概略的に示すように外又は上に向けられるように後に傾斜してもよい。冷却フィン30は、それぞれの冷却フィン30内の二相冷却液がLED 12の取り付け場所を覆うように、及び対流冷却が冷却フィン30の凝結面からの熱を運ぶように、ほぼ直立である。更に、複数の冷却フィン30又はライティングアセンブリ10を組み合わせて積み重ねされたシステムにし、機能を維持しながら光出力を増加することができる。
【0041】
図9は、隣接する冷却フィン30の間に配置された1つ以上の放射板202を含む、ライティングシステム200の概略斜視図である。放射板202は放射冷却を維持又は増加するのを助ける。放射板202はLED 12に取り付けられないので、冷却フィン30より冷たい。結果的に、放射板202はそれらが発するより多くの熱放射を近くの冷却フィン30から吸収することができる。冷却フィン30と放射板202との間の間隔は、冷却フィンのみとしてのものと同じ対流冷却の計算によって決まる。しかし、放射板202にLED又は光学系が装着されないので、これらの放射板は冷却フィンより薄く、より安価である。これらは、ライティングシステムの合計対流及び放射表面積を増加することにより、LEDから更なる熱を取り除くことができる。
【0042】
図11〜14は、本明細書に記述した型式のライティングシステムの様々な代表的な実施形態である。
【0043】
本明細書に記述したライティングアセンブリ及び/又はライティングシステムは、例えば、街灯、バックライト(例えば太陽連結バックライト(sun-coupled backlight)を含む)、ウォールウォッシュライト、屋外広告板ライト、駐車場傾斜路用ライト、ハイベイライト(high bay light)、駐車場ライト、標識点灯看板(電気看板とも呼ばれる)、静止標識(例えば太陽連結静止標識を含む)、照明付き標識、及び他のライティング用途を含む、様々な装置に使用されることができる。例示目的で、図15は図11のライティングシステムを含む街灯である。
【0044】
図16〜17は、本明細書に記述した型式のライティングシステムを含む、高仕事率のウォールウォッシュ照明器具の概略図である。図16に示されるように、代表的なウォールウォッシュ照明器具500はLED 502と、光学系と、二相冷却系とを含む。図16及び17に示した実施形態で、二相冷却系は光学系の一部である。具体的には、LED 502は、それぞれが上述のような二相冷却系を含む2つのフィン504に隣接して配置される。それぞれのフィンは外面506と光学活性面508とを含む。フィン504の光学活性面508は光学系の少なくとも一部分として作用する(当業者は、光学系は光学活性面508に加えて例えばレンズ、デフューザー、又はLED上のリフレクタもまた含み得ることを理解するであろう)光を所望の分布に分配する光ガイディング空洞を形成するために、例えば、光学活性面508を例えばESRで覆うことができる。
【0045】
ウォールウォッシュ照明器具の代表的な用途としては、例えば、大型建造物の表面(例えば建物の外面)又は他の表面(例えば屋外広告板)を上向きに照らすことが含まれる。
【0046】
図18は、バックライト(例えばLCDテレビ、標識、又はディスプレイ)に使用するための中実又は中空の光ガイドに光を入射することが可能なライティングアセンブリを描いた略図である。
【0047】
以下の実施例は、本開示に記述した様々な実施形態のライティングアセンブリ及びシステムのいくつかの代表的な構成体を記述する。以下の実施例はまた、ライティングアセンブリ及びシステムの性能の結果のいくつかを報告する。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
図4A及び4Bに概ね図示した型式のライティングアセンブリを形成した。ライティングアセンブリの冷却フィンはアルミニウム(6061アルミニウム)であり、中空の矩形チャンバを有する(250mm×150mm×7mmの外径及び1mmの壁厚)。放射熱伝導を高めるために、冷却フィンの外側には高放射率のUltra Flat Black塗料(RUST−OLEUM)を塗布した。
【0049】
ハンダ付けによって、フレックス回路(銅トレースを有する厚さ0.001”のポリイミド膜)に6つのLED(Cree XREWHT−L1−000−00D01)を直列に並べて取り付けた。6つのLEDのそれぞれは、熱伝導性エポキシ(3M(商標)Thermally Conductive Epoxy Adhesive TC−2810)で銅トレースパッドに熱的及び機械的に取り付け、ハンダで銅トレースパッドに電気接続した。フレックス回路は、同じ熱伝導性エポキシを用いて冷却フィンの7mm×250mmの縁に沿って取り付けた。フレックス回路の2つの端に取り付けられた配線を介しLEDドライバ(LEDDYNAMICs,3021−D−E−1000)でライティングアセンブリに給電した。
【0050】
光学系は、6つのLEDを囲む49.5mm×250mm×2mmの2枚のアルミニウムシートから形成した中空光ガイドである。アルミニウムシートは、3M Companyが販売するDouble Coated Tape 400 High Tack #415を用いて冷却フィンに取り付けた。中空の光ガイドは、基底幅7mm、上部幅14mm、高さ38mmの台形の断面を有する。高放射性フィルム(3M Companyが販売するEnhanced Specular Reflector ESR)は、空気放出するように構成された感圧性接着剤でアルミニウムシートの内面に適用した。このようにして、6つのLEDが発する光を方向づける中空の光ガイディング空洞を作製した。
【0051】
冷却フィンの上部近くの小さい穴に、約15ccの流体(1.5gm/ccの流体密度を有する、3M Companyが販売する3M(商標)Novec(商標)Engineered Fluid HFE−7100)を投入した。流体のこの量は、6つのLEDに隣接する冷却フィンの底(沸騰面)を完全に覆うために選択された。流体のこの量は、脱気手順中の損失を許容するために約50%の余分量を含む。LEDを1Aの電流で動作し、流体を沸点(61℃)に熱して脱気した。LEDを動作することによってまた、システムを加熱することで空気を強制し、冷却フィンの中空チャンバ排気した。小さい穴を、3M Companyが販売するアルミニウムフォイルテープ425番で封着した。封着及び冷却されると、部分充填されたチャンバは真空になる。冷却フィン内の流体重量及び流体密度を用いて、得られる流体体積は6.6ccと算出した。
【0052】
冷却フィンの表面温度は、4.5Wと14Wとの間の熱負荷の範囲にかけて上部及び底部の近くで測定し、この「熱負荷」は、付加される合計電力と光出力との間の差として定義される。上部と底部との間の温度差は0.8℃〜1.7℃の範囲であった比較目的のために、同様のサイズの厚さ2mmの中実アルミニウム板上での温度差をモデル化した。結果を下記表Iに示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表Iは、実施例1のライティングアセンブリの冷却フィンの上部から底部までの温度範囲が比較例の中実板よりはるかに低いことを示している。
【0055】
次に、光出力合計を入力電力で割ることにより、実施例1のライティングアセンブリの有効性を計算した。ライティングアセンブリを直径1mの積分球の内部に置いて、光出力合計を測定すると同時に入力電力及びLED温度をモニターした。測定システムは、Optronic Laboratoriesが販売するOL−IS−3900 1 Meter Integrating Sphereに接続されたOL−770 Multichannel Spectroradiometer(Optronic Laboratories)を含む。システムのキャリブレーションは、NISTまでトレース可能なOptronics Laboratoriesが販売するStandard of Total Spectral Flux and Total Luminous FluxのモデルOL 245−TSF、S/N L−909を用いて行った。データは、350mA、700mA、900mA、及び1Aの動作電流で収集した。表IIは、それぞれの規定電流でのLED仕事率(ワット)、光出力測定値(TLF)(ルーメン)、LED温度(℃)、及び有効性(ルーメン/ワット)を示す。
【0056】
【表2】
【0057】
表IIは、それぞれの規定電流で高い有効性(ルーメン/ワット)を示す。
【0058】
(実施例2)
ライティングシステムは、実施例1に記述した型式の10のライティングアセンブリから作製した。ライティングシステムの個々のライティングアセンブリのそれぞれの性能が実施例1に記述した単一のライティングアセンブリの性能とほぼ同じであることを検証するために、表IIIに示すように、異なる3つの電流レベルで脱気した後に、個々のライティングアセンブリのそれぞれの光出力をライティングアセンブリ内部に残っている流体の量を用いて測定した。
【0059】
【表3】
【0060】
表IIIは、個々のライティングアセンブリのそれぞれの性能の一貫性を示す。表IIIは、実施例1に記述したライティングアセンブリと比較したときに、10の個々のライティングアセンブリの全てが期待通りに性能を発揮したこともまた示している。また、これらの結果は、3つの全ての規定LED電流レベルで6.5cc〜13.4ccの流体体積範囲についてライティングアセンブリの性能がそれぞれほぼ同じであることも示している。
【0061】
下記のように、10のライティングアセンブリを保持するために正方形の枠構造物を作製した。アルミニウムチュービングセクションは機械加工し、10のライティングアセンブリを保持するように、U形の側部の内縁に沿ったスロットとともに、u形にともに溶接した。このU形を290mm×65mm×6.4mmの板に溶接して、閉じた矩形構造物を作製した。組立ての際、器具を装着するために、61mm OD(外径)のアルミニウムチュービングの75mmのセクションを板に溶接した。10のライティングアセンブリのそれぞれから装着チューブの隣の配線箱への配線を保護及び案内するために、装飾的なプラスチックトリムを器具の側部に追加した。10のライティングアセンブリを枠構造物に32mmのピッチ(中心間距離)で装着した。
【0062】
組立てたライティングシステムを測定して、システムの有効性を定量化した。組立てたユニットを、分光放射計OL−770 Multichannel Spectroradiometer(Optronic Laboratories)に接続した2m積分球のOL−IS−7600 2 Meter Integrating Sphere(Optronic Laboratories)内に置き、合計光出力を製造業者の推奨に従って測定した。得られたデータを表IVに示す。
【0063】
【表4】
【0064】
表IVは、表IIと同様に、それぞれの規定電流でのライティングシステムの高い有効性を示す。ライティングシステムからの放射熱伝導は、10のライティングアセンブリの並列板構成によって制限された。光学系は冷却フィンの厚さより大きいので、隣接するライティングアセンブリの間の間隔は最適な自然対流のための最小距離より大きくなった。
【0065】
(実施例3)
実施例2のライティングシステムの隣接するライティングアセンブリの間に、放射板(Ultra Flat Black塗料(RUST−OLEUM)を塗布した237mm×170mm×3mmのアルミニウム)を配置した。放射板は、それぞれのライティングアセンブリからの対流熱伝導の有意な低下を避けるために配置された。放射板の目的は、ライティングアセンブリからの放射熱を吸収し、自然対流によって熱を周囲に伝達することである。放射板は冷却フィンより約25.4mm高く、理論的にはこれによってライティングシステムからの放射熱伝導は増加しなくてはならない。冷却フィン上の塗料は理論的には冷却フィン表面の放射率を増加しなくてはならない。
【0066】
放射板の効果は、組立てたライティングシステムを用いた熱実験を実行することによって測定した。実験は、LED駆動電流I=0.5Aで行った。定常状態の温度を達成した後、放射板を取り除き、定常状態に達するまでシステムをモニターした。熱伝対を使用してライトアセンブリ1、3、及び9の温度をモニターした。熱伝対はライティングアセンブリのそれぞれの1つのLEDの基材に取り付けた。3つのライティングアセンブリの定常状態での、放射板がある場合及びない場合の温度を表Vに示す。
【0067】
【表5】
【0068】
表Vは、放射板を用いてより低い動作温度が観察されたことを示しており、放射板の使用の利点を実証している。
【0069】
本明細書のライティングシステム及びアセンブリの利点としては、例えば、低メンテナンス、エネルギー効率、低ライフタイムコスト、競合ライティングシステムと比べ最高20%の効率向上、同じ輝度を生成するのに必要なLEDを最高50%削減、動的制御ディミング、及び光の色の改善が挙げられる。
【0070】
本開示の例示的実施形態を検討するとともに本開示の範囲内の可能な変形例を参照してきた。本開示のこれらの及び他の変形例及び変更例は開示の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろうとともに、本開示は本明細書に記載された例示的実施形態に限定されないことは理解されよう。したがって、本開示は、冒頭に提示した「特許請求の範囲」によってのみ限定される。
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ライティング又は照明のアセンブリに関する。とりわけ、本開示は、発光ダイオード(LED)を使用する、ライティング又は照明のアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
照明アセンブリは、様々な用途に使用される。従来の照明アセンブリは、白熱灯又は蛍光灯などの光源を使用してきた。ごく最近では、他のタイプの発光素子、特に発光ダイオード(LED)が、照明アセンブリで使用されてきている。LEDは、小さいサイズ、長い寿命、及びエネルギー効率という利点を有する。LEDは、これらの利点により、数多くの多様な用途において有用になっている。
【0003】
多くのライティング用途で、必要な光束及び/又は照度を供給する1つ以上のLEDを有することが望まれる。アレイ状のLEDは、一般に、LEDをプリント基板上へ実装することにより、相互に及び他の電気システムに接続される。LEDは、例えば、回路基板トレース上に構成要素を位置づけ、次いで、手作業のハンダ付け、ウェーブソルダリング、リフローソルダリング、及び導電接着剤を含む既知の数々の技法のうちの1つを用いて構成要素を基材に結合するといった電子部品製造の他の分野で一般的な技法によって基材に装着され得る。
【0004】
LEDは動作中、光のほかに熱も生成する。LEDによって生成される熱及び光の量は、電流の流れと概ね比例する。したがって、LEDが生成する光が多いほど、LEDはより多くの熱を生成する。残念なことに、LED電流が増すにつれて温度が増し、電流に比例して光の生成は減少し、LEDの効率及び寿命の低下を引き起こす。
【0005】
ライティングシステムの合計熱を減らす先行技術の試みを図1に概略的に示す。図1のライティングシステムは、基材3に取り付けられた複数のLED 2を含む。複数の中実フィン4は基材3に垂直に取り付けられている。それぞれのLED 2によって生成される熱は基材3及び更に中実フィン4へと拡散される。中実フィン4の周囲の空気流によって、中実フィン4の対流冷却が生じる。
【0006】
ライティングシステムの合計熱を減らす別の先行技術の試みを図2に概略的に示す。図2のライティングシステム5は図1のライティングシステムと同じだが、基材3が事実上のヒートスプレッダになるように複数のヒートパイプ6が基材3の内部に埋め込まれている又は基材3に取り付けられていることにおいて異なる。ヒートパイプは大量の熱を移送することができる熱移動装置であり、より熱い接触面とより冷たい接触面との間の非常に小さい温度差で大量の熱を移動することができる。ヒートパイプは、作業流体又は冷却剤の蒸発及び凝結によって熱エネルギーを1点から別の点に移動するために蒸発冷却を使用する。
【0007】
図2に示すような平面的ヒートパイプ(又はヒートスプレッダ)6は、作業流体(図示せず)及び閉ループ毛管式再循環系(図示せず)を包含する密閉された中空容器を含む。ヒートパイプ6の壁の内側のより熱い接触面(1つ又は複数)で作業流体は蒸気になり、自然に流れ、より冷たい接触面(1つ又は複数)上で凝結する。液体は熱い接触面に落下するか又は毛管現象の作用によって移動されて戻り再び蒸発するというサイクルを繰り返す。熱伝導速度への実際的な制限の1つは、冷たい端でガスが凝結して液体になることが可能な速度である。ヒートパイプの一端が熱せされると、パイプ内部の作業流体はその端で蒸発し、ヒートパイプの空洞内の蒸気圧を増加する。作業流体の蒸発によって吸収される蒸発潜熱は、パイプの熱い端での温度を低下する。パイプの熱い端で熱い液体の作業流体にかかる蒸気圧は、パイプの冷たい端で凝結する作業流体にかかる平衡蒸気圧より高く、この圧力差は、余分な蒸気が凝結してその潜熱を放出し、凝結端への急速な質量移動を促し、パイプの冷たい端を温める。このようにして、LED 2からの熱はライティングシステム5の全体に放散される。
【0008】
ライティングシステムの合計熱を減らす別の先行技術の試みを図3に概略的に示す。図3のライティングシステム7は、基材3の下側に取り付けられた複数のLED 2を含む。2つのヒートパイプ6は基材3に取り付けられており、上方に湾曲している。複数の中実フィン4はそれぞれのヒートパイプ6に取り付けられる。LED 2によって生成される熱は基材3へ、次いでヒートパイプ6へ、次いで対流冷却に依存するフィン4へと拡散する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本特許出願の発明者らは、望まれる低いLED温度を維持することができるならばLEDをより高い輝度(より多くの電流)で動作することができることを認識した。ライティングシステムのそれぞれのLEDのより高い輝度は、より少ないLEDの使用もまた容易にし、より低コストのライティングシステムをもたらすことができる。したがって、本特許出願の発明者らは、望まれる低いLED温度の維持が、より明度の高いLED光を生成し、電力を節減し、LEDの寿命を延ばすことを認識した。
【0010】
本特許出願の発明者らは、省エネルギーのライティング及び照明のアセンブリを発見した。とりわけ、本特許出願のライティングシステム(1つ又は複数)及び/又はアセンブリでは、既存の設計と比べてより効率的に熱が熱源から放散されるため、例えば電気的有効性、寿命、製造費、重量、及びサイズの改善がもたらされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、LEDを使用して照明を提供する照明又はライティングのアセンブリ及びシステムに関する。本特許出願の照明又はライティングのシステムは、光の分布が制御された高輝度、高明度のシステムを含む。本明細書に開示されている照明アセンブリ及びシステムは、例えば、区域を照らすため又は多くの異なるライティング用途に投入するために適切な光の出力を生成するためなど、一般的なライティング目的に使用されることができる。そのようなアセンブリは、例えば、街灯、バックライト(例えば太陽連結バックライト(sun-coupled backlight)を含む)、ウォールウォッシュライト、屋外広告板ライト、駐車場傾斜路用ライト、ハイベイライト(high bay light)、駐車場ライト、標識点灯看板(電気看板とも呼ばれる)、静止標識(例えば太陽連結静止標識を含む)、照明された標識、及び他のライティング用途に使用されるのに好適である。
【0012】
一態様で、本開示は、光を発する1つ以上の発光ダイオードと、発光ダイオードが発した光を方向づけるとともに、発光ダイオードに隣接して配置される光学系と、二相冷却系を有し、二相冷却系が発光ダイオードからの熱を除去するように発光ダイオードに隣接して配置される冷却フィンと、を備える、ライティングアセンブリを提供する。
【0013】
別の態様で、本開示は、複数のライティングアセンブリを含むライティングシステムを提供する。
【0014】
別の態様で、本開示は、光を発する複数の発光ダイオードと、発光ダイオードが発した光を方向づけるとともに、発光ダイオードに隣接して配置される光学系と、それぞれが二相冷却系を含む複数の冷却フィンと、を備え、冷却フィンの内部の二相冷却系が発光ダイオードからの熱を除去するように、複数の冷却フィンが発光ダイオードに隣接して配置される、街灯を提供する。
【0015】
別の態様で、本開示は、光を発する発光ダイオードと、発光ダイオードが発した光を方向づける光学系と、対流冷却面を含む二相冷却系と、を備え、二相冷却系は、二相冷却系が発光ダイオードから熱を拡散するように発光ダイオードに隣接して配置される、ウォールウォッシュを提供する。
【0016】
別の態様で、本開示は、光を発する発光ダイオードと、発光ダイオードが発した光を方向づける光学系と、対流冷却面を含む二相冷却系と、を備え、二相冷却系は、二相冷却系が発光ダイオードから熱を拡散するように発光ダイオードに隣接して配置される、ライティングシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ライティングシステムの合計熱を減らす先行技術の試みを概略的に示す。
【図2】ライティングシステムの合計熱を減らす別の先行技術の試みを概略的に示す。
【図3】ライティングシステムの合計熱を減らす別の先行技術の試みを概略的に示す。
【図4A】光を発するLEDを含むライティングアセンブリの概略断面図。
【図4B】光を発するLEDを含むライティングアセンブリの概略断面図。
【図5】複数の個々のライティングアセンブリを含むライティングシステムの側面図。
【図6】複数の個々のライティングアセンブリを含むライティングシステムの斜視図。
【図7A】冷却フィンの底に取り付けられた複数のLEDを示す略図。
【図7B】冷却フィンの側部に取り付けられた複数のLEDを示す略図。
【図7C】冷却フィンに平行に配置されたウェッジ形状の複数の傾斜したLED及び光学系を示す略図。
【図8】LEDの発する光が所望のパターンで方向づけられるように傾斜している複数の冷却フィン30の略図。
【図9】隣接する冷却フィンの間に配置された1つ以上の放射板を含むライティングシステムの概略斜視図。
【図10】複数の傾斜しているLED 12及び、冷却フィン30に垂直に配置された光学系20として中空のウェッジを示す概略図。
【図11】本明細書に記述した型式のライティングシステムの様々な実施形態。
【図12】本明細書に記述した型式のライティングシステムの様々な実施形態。
【図13】本明細書に記述した型式のライティングシステムの様々な実施形態。
【図14】本明細書に記述した型式のライティングシステムの様々な実施形態。
【図15】図11のライティングシステムを含む街灯。
【図16】本明細書に記述した型式のライティングシステムを含むウォールウォッシュライト照明器具の概略図。
【図17】本明細書に記述した型式のライティングシステムを含むウォールウォッシュライト照明器具の概略図。
【図18】バックライトで使用するための中実又は中空の光ガイドに光を照射することができるライティングアセンブリを描く概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図4A及び4Bは、光14を発するLED 12を含むライティングアセンブリ10の断面略図である。図4A及び4BでLED 12は例示的に矩形構成で示されているが、他の既知の構成及び形状もまた知られており、本特許出願のライティングシステム及びアセンブリに使用することができる。簡潔に示すためにLEDとの電気接触は図示されていない。
【0019】
例えば金属、ポリマー、有機半導体材料、無機半導体材料等、任意の好適な1つ又は複数の材料を使用してLED 12を形成することができる。本明細書で使用するとき、用語「LED」及び「発光ダイオード」は、一般にダイオードに電力を供給するための接触領域を備えた発光半導体素子を指す。種々の形態の無機半導体発光ダイオードは、例えば1つ以上の第III族元素、1つ以上の第V族元素(III〜V族半導体)、1つ以上の第II族元素、及び1つ以上の第VI族元素の組み合わせから形成されてもよい。LEDに使用可能なIII〜V族LED材料の例として、ガリウムナイトライド又はインジウムガリウムナイトライドのような窒化物、及びインジウムガリウムホスファイドのようなリン化物が挙げられる。他のタイプのIII〜V族材料も使用可能であり、また同様に、周期表の他の族の無機物質も使用可能である。II〜VI族LED材料の例としては、例えば、米国特許第7,402,831号(Millerら)又は米国特許出願第US2006−0124918号(Millerら)又は同第US2006−0124938号(Millerら)に記載されているものが含まれる。
【0020】
LEDは、パッケージ化された形態であっても、又はパッケージ化されていない形態であってもよく、例えばLEDダイ、表面実装型LED、チップオンボード型LED、及び他の構成のLEDが含まれる。チップオンボード型(COB)は、基材に直接装着されるLEDダイ(すなわちパッケージ化されていないLED)を指す。用語「LED」は、蛍光体とともにパッケージ化された又はこれに関連付けられたLEDをも含み、蛍光体が、LEDから放たれる光を異なる波長の光に変換する。LEDへの電気接続は、例えばワイヤボンディング、テープ自動化ボンディング(TAB)、又はフリップチップボンディングにより行うことができる。LEDは、図面において概略的に示されており、例えば非パッケージ化LEDダイでも、又はパッケージ化されたLEDでもよい。
【0021】
LEDは、例えば米国特許第5,998,925号(Shimizuら)に記述されているような上部発光式であってもよい。LEDは、例えば米国特許第6,974,229号(Westら)に記述されているような側部発光式であってもよい。本開示のライティングアセンブリ及びシステムとともに使用するための市販の代表的なLEDとしては、例えばLambertian LEDs Creeが市販しているようなXLamp LED、Philips Lumiledsが市販しているようなLuxeon(登録商標)LEDS、及びPhilips Lumiledsが市販しているものを含む側部発光式のLED、又はコウモリの翼のような形に光を分布するLEDが含まれる。
【0022】
LEDは、赤、緑、青、紫外線、又は赤外線スペクトル領域など、いかなる所望の波長にても発光するように選定することができる。LEDの配列において、LEDのそれぞれは、同一スペクトル領域で発光すること、又は異なるスペクトル領域で発光することができる。異なるLEDは、発光素子からの発光色が選定可能である場合に、異なる色を作り出すように使用されてもよい。異なるLEDの個別制御は、発光の色を制御する能力をもたらす。更に、白色光が望まれる場合には、異なる色の多数のLED発光が提供されてもよく、これらの複合作用は、見る人に白色であると認識される発光をすることである。白色光を生成するための別の方法は、比較的短波長で発光する1以上のLEDを使用し、放出された光を蛍光波長変換器(phosphor wavelength converter)を使用して白色光に変換することである。白色灯は、赤色(一般に、白熱灯と呼ばれる)又は青色(一般に白冷灯と呼ばれる)に偏る場合がある。
【0023】
ライティングアセンブリ10は1つ以上のLED 12を含むことができる。ライティングアセンブリ10は、発光ダイオード12が発する光14を方向づける光学系20、及び二相冷却系を含む冷却フィン30もまた含む。光学系20及び冷却フィン30は、LED 12が生成した熱を二相冷却系が除去するように、かつLED 12が発した光14を光学系20が方向づけるように、LED 12の対向する側部に隣接して配置される。
【0024】
図4A及び4Bに示した光学系20は、LED 12が発する光14を所望のパターンに方向づける反射性内面24を有するウェッジ22を含む。反射性内面24は、例えば鏡面的に又は拡散的に反射性であってもよく、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態で、反射性内面24は、ミネソタ州の3M Companyが販売するVikuiti(商標)ESRフィルムのような多層ポリマー反射性フィルムを含むことができる。ウェッジ22の外面26及び/又は内面24は、例えば平面、曲面、又は波形面を含む、任意の形であってよい。ウェッジ22の側壁は、好ましくは剛性材料で形成される。ウェッジ22に使用するための代表的な剛性材料としては、例えばプラスチック又は、所望の形を維持することができる、例えばアルミニウム若しくはステンレススチールのような金属が挙げられる。ウェッジ22の作製に用いられる材料は、フィン30を作製するのに用いられる材料と同じであっても異なっていてもよい。図4A及び4Bに示すように、ウェッジ22は冷却フィン30と平行であるが、ウェッジ20はまた冷却フィン30に垂直に配置されてもよい。ウェッジ20は、(米国特許刊行物第2009−001608号(Destainら)に記述されているように)中実であってもよく、あるいは中空であってもよい。中実ウェッジは、所望の光学効果を達成するために平面又は非平面の出口表面を有することができる。
【0025】
光学系20は、所望の光学効果を達成するために追加的又は代替的に、光の分布を制御又は方向づける任意の要素を単独で又は組み合わせとして含むことができ、例えばレンズ(例えば、レンズとして使用される成形可能なUV硬化性シリコーンを含む)、デフューザー、偏光器、バッフル、フィルタ、ビームスプリッタ、輝度強化フィルム、リフレクタ(例えばESR)などが含まれる。例えば、一実施形態で、光学系は、市販のLEDの一部であるレンズ、中実又は中空のウェッジ、及び少なくとも1つ以上のリフレクタを含む。
【0026】
図4A及び4Bに示されるように、LED 12からの熱及び/又はLED 12が生成する熱を除去する冷却フィン30は、二相冷却系32を含む。二相冷却系は、沸騰して気体又は蒸気を形成することが可能な液体33を含む。二相冷却とは、熱伝導機構としての相変化の潜熱の使用を指す。二相冷却は重力によって駆動され得る(すなわち、低密度の気体が上昇し、重い復水の液滴が壁をつたって降りる)。二相冷却は、例えばポンプの毛管作用によって駆動されてもよい。二相冷却系は、典型的には熱蒸気を介して熱を冷却フィン内面に直接伝導し、そこで熱は冷却フィンの壁に奪われ、熱蒸気は凝結し、重力によって下がり、流体プールに戻る。熱が蒸発の潜熱として移送されるということは、系の内部の流体が連続的に流体から蒸気へと相変化して再び戻ることを意味する。液体は熱い端で蒸発することによってLEDパッケージからの熱を吸収する。冷たい端で、液体は凝結し、熱はヒートシンク(通常は周囲の空気)へと消散する。
【0027】
より具体的には、図4A及び4Bに示したライティングアセンブリで、LED 12は沸騰面34と熱接触している。LED 12が熱を生成するにつれ、熱は沸騰面34へと拡散し、熱が液体33に伝達することによって液体33が蒸気35を形成する。次いで、熱は蒸気35によって上方へ運ばれ、蒸気は上昇し、液体33の上の空間を満たす。蒸気35はやがて冷却フィン30の内面38上で凝結し、その熱を壁36に与える。次いで、加熱された壁36の外面40は、対流及び冷却フィン30の外面40からの放射伝熱によって冷却される。沸騰面34は液体33の沸騰温度で効果的に維持される(冷却フィン30内の圧力に応じて)。沸騰面は、核生成を助け沸騰熱伝導率を高めることによって核沸騰を補助するために、当業者に既知の様々な有機及び無機のコーティング又は表面修飾を1つ以上含むことができる。
【0028】
冷却フィン30内の液体33の量は、いくらかの液体33が冷却フィン30内に常に残るように選択される。ライティングアセンブリに使用される代表的な流体としては、例えば水、グリコール、ブライン、アルコール、塩化液、臭化液、ペルフルオロカーボン、シリコーン、アルカン炭化水素、アルケン炭化水素、芳香族炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、フルオロケトン、ヒドロフルオロオレフィン、不燃性の隔離されたHFEが含まれる。水を使用することの1つの利点は、水が比較的安価で広く入手可能であることだが、水のいくつかの欠点としては、水の使用によってより高価な全銅製のフィンが必要になり得ること及び凍結の際にフィンがより破裂しやすくなり得ることが挙げられる。また、二相用途に十分な揮発性を有するほとんどのアルコール及び炭化水素化合物(例えばアルカン、アルケン、芳香族、ケトン、エステルなど)はかなり可燃性でもある。多くの塩化化合物及び臭化化合物(例えばトリクロロエチレン)は、それらの毒性のために厳しく規制されているか、あるいはオゾン層を破壊するかのいずれかである(例えばCFC)。ペルフルオロカーボン流体及び商業的に有意なヒドロフルオロカーボン流体は地球温暖化の潜在能力が高い。これらの理由から、フルオロケトン及びヒドロフルオロエーテルは、2つの代表的な好ましい作業流体である。ライティングアセンブリでの使用に好ましい代表的な流体は、約−40℃〜約100℃の沸点を有する。
【0029】
二相冷却のいくつかの代表的な利点としては、(1)蒸発及び凝結の潜熱のために、大きい熱流束が消散され得ること、(2)ライティングアセンブリ及び/又はシステムの重量及び体積が低減されること、(3)代替品と比較して小さい伝熱面積であること、(4)能動的循環であり、表面強化とともに実施されたとき、沸騰面と冷却材との最小の温度差で高い熱流束を消散できること、及び(5)LEDと対流壁面との間の最小の温度差を有することができることが挙げられる。更に、本特許出願は、対流冷却面が二相冷却面と同じ面であるライティングシステム又はアセンブリに関する。
【0030】
少なくともいくつかの実施形態で、LED 12と沸騰面34との間の熱経路を最低限にすることが好ましい。冷却フィン30のサイズは、LED 12が生成する熱を消散するために必要な面積によって決まる。冷却フィン30の側壁36は、内部の凝結表面38及び外部の対流冷却表面40からの熱抵抗を最低限にするために十分に薄いことが好ましく、内部と外部の圧力差に耐えるために十分に厚いことが好ましい。冷却フィン30の側壁36は、例えば、鋼鉄、アルミニウム、銅、プラスチック、又はステンレススチールのような、これらの要件を満たす任意の材料で形成され得る。いくつかの好ましい透明材料としては、例えばガラス及びプラスチックが含まれる。
【0031】
図4A及び4Bに示したように、冷却フィン30の沸騰面34はLED装着面と平行だが、LED装着面は傾斜していてもよい。冷却フィン30の側壁36は中実でも可撓性でもよく、したがって冷却フィン30は可変の体積又は一定の体積を有することができる。更に、冷却フィン30の側面36は、例えば平面、円筒形、又は錐体などを含む、任意の所望の形であってよい。中空の冷却フィンを使用することの1つの追加的な利点は、それが比較的軽量であり、比較的軽量のアセンブリ又はライティングシステムの創出を容易にすることである。しかし、代替実施形態で、1つ以上の冷却フィン30は中実であってもよい。いくつかの代替実施形態で、ライティングシステムは複数の冷却フィン30を含み、その少なくとも1つは中空であり、その少なくとも1つは中実である。
【0032】
図4A及び4Bは、冷却フィン30に直接取り付けられたLED 12を示す。LED 12は、中空ウェッジ20又は冷却フィン30の1つ又は両方に取り付けられた、例えば伝熱性基材を含む基材に取り付けてもよい。この型式のライティングアセンブリの代表的な実施形態で、基材は、冷却フィン30に隣接する第1の主面と、光学系20に隣接する第2の主面とを有する。LED 12は、基材の第1又は第2の主面のいずれかに直接取り付けることができる。別の代替実施形態では、基材が熱抵抗を増さないように、例えば銅被覆ポリイミドである基材を化学エッチング又はレーザーアブレーションしてもよい。
【0033】
本開示のライティングアセンブリは、例えばハンダ付け、圧入、貫通、ネジ止めなど、数多くの好適な技法を用いて基材に取り付けられるように設計されたLEDを含む。代表的な基材の1つは、LEDから伝熱で熱を取り去る伝熱性基材である。いくつかの実施形態で、基材は導電性であるので、LEDのための回路を提供することができる(例えば米国特許刊行物第US20070216274号(Schultzら)を参照)。更に、いくつかの実施形態で、ライティングアセンブリは、LEDが発する光の少なくとも一部分を反射するために、基材の主面に近接して反射層を含む。更に、いくつかの実施形態は、基材への直接熱接続を提供することが可能なポストを有するLEDを含む(例えば米国特許第7,285,802号(Ouderkirkら)及び同第7,296,916号(Ouderkirkら)を参照)。代表的な実施形態で、この直接熱接続は、LEDが生成した熱の一部分を基材の主面に対してほぼ直交する方向にLEDから離れて基材内へ向かうように方向づけて、それによってLEDから横方向に広がる生成熱の量を減らすことを可能にする。
【0034】
この伝熱性基材は、例えば銅、ニッケル、金、アルミニウム、スズ、鉛、銀、インジウム、ガリウム、酸化亜鉛、酸化ベリリウム、酸化アルミニウム、サファイア、ダイヤモンド、窒素化アルミニウム、炭化ケイ素、パイロライト、グラファイト、マグネシウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、高分子結合剤、無機結合剤、ガラス結合剤、導電性であってもそうでなくてもよい熱伝導性粒子の充填ポリマー、及びそれらの組み合わせなど、伝熱性の任意の好適な材料(1つ又は複数)を含むことができる。いくつかの実施形態で、基材は、例えば超音波又は何らかの方法でアルミニウム、銅、セラミック若しくはポリマー被覆金属、又は伝熱性充填ポリマーに溶接可能な別の材料に取り付けられてもよい。基材は任意の好適なサイズ及び形であってよい。いくつかの実施形態で、基材は導電性であってもよい。そのような導電性基材は、例えば銅、ニッケル、金、アルミニウム、スズ、鉛、銀、インジウム、ガリウム、及びそれらの組み合わせなど、任意の好適な導電材料を含むことができる。基材は目的の組み合わせを果たすことができ、その目的は、例えばLED 12への電気接続を作ること、LED 12から離れる直接の熱経路を提供すること、LED 12から横方向に離れて広がる熱を提供すること、及び/又は他のシステムに電気接続を提供することを含む。
【0035】
図5及び6は、それぞれ、複数の個々のライティングアセンブリ10を含む、ライティングシステム100の側面図及び斜視図である。任意の好適な数のLED 12及び/又はライティングアセンブリ10をライティングシステム100に含めることができる。図5及び6に示すように、ライティングシステム100は複数の冷却フィン30を含み、少なくともそれらのいくつかは二相冷却系32を含み、それらのそれぞれはLED 12に隣接して配置される。図5及び6は、例えばLED 12、光学系20、及び/又は冷却フィン30のようなライティングアセンブリ10の少なくとも一部分を収納するハウジング110もまた示す。
【0036】
隣接するフィン30の間の距離は、ライティングアセンブリと周囲の環境との間の熱伝導を最大にするために従来の対流理論に従って選択される。フィンは、十分な空気がフィンを通過して熱を取り去ることを可能にするために十分に間隔を開けて配置されるのが好ましい。例えば、代表的な一実施形態で、間隔は約1mm〜約100mmである。代表的な一実施形態で、間隔は約25mmである。この間隔は、冷却フィン30の下から上までの空気流のための完全なアクセスのおかげで、効果的な対流冷却を促進する。冷却フィン30は、十分な冷却、及び対流空気流を容易にするフィン間隔を提供する区域を有するのが好ましい。
【0037】
ライティングシステム100は複数の中空ウェッジもまた含み、そのそれぞれがLED 12の発した光を方向づけ、そのそれぞれがLED 12に隣接して配置される。隣接する光学系20の間の距離は、ライティングアセンブリと周囲の環境との間の熱伝導を最大及び/又は最適にするために、従来の対流理論に従って選択される。光学系は、十分な空気がフィンを通過して熱を取り去ることを可能にするために十分に間隔を開けて配置されるのが好ましい。この間隔は、光学系20の下から冷却フィン30の上までの空気流のための完全なアクセスのおかげで、効果的な冷却を促進する。光学系20は、好ましくは、十分な冷却、及び対流空気流を容易にするフィン間隔を提供する形及びサイズを有する。
【0038】
LEDは冷却フィン30の底部に又は隣接して配置することができる。図7Aは、冷却フィン30の底部に取り付けられた複数のLED 12を示す略図である。LED 12は図7Aで真下を向いている。図7Bは、冷却フィン30の底部に取り付けられた複数のLED 12を示す側面図である。
【0039】
また、所望の光の分布を与える方向に向けてLED 12を傾斜してもよい(例えば、LEDを、例えば冷却フィン30に平行の方向又は冷却フィン30に垂直の方向に傾斜することができる)。LED 12に隣接する光学系20は、例えば冷却フィン30に平行又は垂直であり得る。図7Cは、冷却フィン30に平行に配置されたウェッジ形状の代表的な傾斜したLED 12及び光学系を示す略図である。図10は、複数の傾斜したLED 12及び、冷却フィン30に垂直に配置された光学系20として中空のウェッジを示す概略図である。図10の垂直のウェッジ構成を用いる利点としては、光学によって制限されずに完全に又は主に対流冷却に基づいて冷却フィン分離を選択することを可能にすることによってライティングシステムの全体的なサイズを最小限にすることが挙げられる。加えて、図10の傾斜したダイオードの構成では個々のモジュール上のLED 12全てが同じ方向に傾斜されるので、製造面での利点も有する。当業者は、LED傾斜角、選択される光学素子、及び光学素子の向きの他の組み合わせも本開示に含まれ、所望の光の分布の達成に有利であり得ることを理解するであろう。
【0040】
別の構成で、複数の冷却フィン30はLED 12が発する光が図8に概略的に示すように外又は上に向けられるように後に傾斜してもよい。冷却フィン30は、それぞれの冷却フィン30内の二相冷却液がLED 12の取り付け場所を覆うように、及び対流冷却が冷却フィン30の凝結面からの熱を運ぶように、ほぼ直立である。更に、複数の冷却フィン30又はライティングアセンブリ10を組み合わせて積み重ねされたシステムにし、機能を維持しながら光出力を増加することができる。
【0041】
図9は、隣接する冷却フィン30の間に配置された1つ以上の放射板202を含む、ライティングシステム200の概略斜視図である。放射板202は放射冷却を維持又は増加するのを助ける。放射板202はLED 12に取り付けられないので、冷却フィン30より冷たい。結果的に、放射板202はそれらが発するより多くの熱放射を近くの冷却フィン30から吸収することができる。冷却フィン30と放射板202との間の間隔は、冷却フィンのみとしてのものと同じ対流冷却の計算によって決まる。しかし、放射板202にLED又は光学系が装着されないので、これらの放射板は冷却フィンより薄く、より安価である。これらは、ライティングシステムの合計対流及び放射表面積を増加することにより、LEDから更なる熱を取り除くことができる。
【0042】
図11〜14は、本明細書に記述した型式のライティングシステムの様々な代表的な実施形態である。
【0043】
本明細書に記述したライティングアセンブリ及び/又はライティングシステムは、例えば、街灯、バックライト(例えば太陽連結バックライト(sun-coupled backlight)を含む)、ウォールウォッシュライト、屋外広告板ライト、駐車場傾斜路用ライト、ハイベイライト(high bay light)、駐車場ライト、標識点灯看板(電気看板とも呼ばれる)、静止標識(例えば太陽連結静止標識を含む)、照明付き標識、及び他のライティング用途を含む、様々な装置に使用されることができる。例示目的で、図15は図11のライティングシステムを含む街灯である。
【0044】
図16〜17は、本明細書に記述した型式のライティングシステムを含む、高仕事率のウォールウォッシュ照明器具の概略図である。図16に示されるように、代表的なウォールウォッシュ照明器具500はLED 502と、光学系と、二相冷却系とを含む。図16及び17に示した実施形態で、二相冷却系は光学系の一部である。具体的には、LED 502は、それぞれが上述のような二相冷却系を含む2つのフィン504に隣接して配置される。それぞれのフィンは外面506と光学活性面508とを含む。フィン504の光学活性面508は光学系の少なくとも一部分として作用する(当業者は、光学系は光学活性面508に加えて例えばレンズ、デフューザー、又はLED上のリフレクタもまた含み得ることを理解するであろう)光を所望の分布に分配する光ガイディング空洞を形成するために、例えば、光学活性面508を例えばESRで覆うことができる。
【0045】
ウォールウォッシュ照明器具の代表的な用途としては、例えば、大型建造物の表面(例えば建物の外面)又は他の表面(例えば屋外広告板)を上向きに照らすことが含まれる。
【0046】
図18は、バックライト(例えばLCDテレビ、標識、又はディスプレイ)に使用するための中実又は中空の光ガイドに光を入射することが可能なライティングアセンブリを描いた略図である。
【0047】
以下の実施例は、本開示に記述した様々な実施形態のライティングアセンブリ及びシステムのいくつかの代表的な構成体を記述する。以下の実施例はまた、ライティングアセンブリ及びシステムの性能の結果のいくつかを報告する。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
図4A及び4Bに概ね図示した型式のライティングアセンブリを形成した。ライティングアセンブリの冷却フィンはアルミニウム(6061アルミニウム)であり、中空の矩形チャンバを有する(250mm×150mm×7mmの外径及び1mmの壁厚)。放射熱伝導を高めるために、冷却フィンの外側には高放射率のUltra Flat Black塗料(RUST−OLEUM)を塗布した。
【0049】
ハンダ付けによって、フレックス回路(銅トレースを有する厚さ0.001”のポリイミド膜)に6つのLED(Cree XREWHT−L1−000−00D01)を直列に並べて取り付けた。6つのLEDのそれぞれは、熱伝導性エポキシ(3M(商標)Thermally Conductive Epoxy Adhesive TC−2810)で銅トレースパッドに熱的及び機械的に取り付け、ハンダで銅トレースパッドに電気接続した。フレックス回路は、同じ熱伝導性エポキシを用いて冷却フィンの7mm×250mmの縁に沿って取り付けた。フレックス回路の2つの端に取り付けられた配線を介しLEDドライバ(LEDDYNAMICs,3021−D−E−1000)でライティングアセンブリに給電した。
【0050】
光学系は、6つのLEDを囲む49.5mm×250mm×2mmの2枚のアルミニウムシートから形成した中空光ガイドである。アルミニウムシートは、3M Companyが販売するDouble Coated Tape 400 High Tack #415を用いて冷却フィンに取り付けた。中空の光ガイドは、基底幅7mm、上部幅14mm、高さ38mmの台形の断面を有する。高放射性フィルム(3M Companyが販売するEnhanced Specular Reflector ESR)は、空気放出するように構成された感圧性接着剤でアルミニウムシートの内面に適用した。このようにして、6つのLEDが発する光を方向づける中空の光ガイディング空洞を作製した。
【0051】
冷却フィンの上部近くの小さい穴に、約15ccの流体(1.5gm/ccの流体密度を有する、3M Companyが販売する3M(商標)Novec(商標)Engineered Fluid HFE−7100)を投入した。流体のこの量は、6つのLEDに隣接する冷却フィンの底(沸騰面)を完全に覆うために選択された。流体のこの量は、脱気手順中の損失を許容するために約50%の余分量を含む。LEDを1Aの電流で動作し、流体を沸点(61℃)に熱して脱気した。LEDを動作することによってまた、システムを加熱することで空気を強制し、冷却フィンの中空チャンバ排気した。小さい穴を、3M Companyが販売するアルミニウムフォイルテープ425番で封着した。封着及び冷却されると、部分充填されたチャンバは真空になる。冷却フィン内の流体重量及び流体密度を用いて、得られる流体体積は6.6ccと算出した。
【0052】
冷却フィンの表面温度は、4.5Wと14Wとの間の熱負荷の範囲にかけて上部及び底部の近くで測定し、この「熱負荷」は、付加される合計電力と光出力との間の差として定義される。上部と底部との間の温度差は0.8℃〜1.7℃の範囲であった比較目的のために、同様のサイズの厚さ2mmの中実アルミニウム板上での温度差をモデル化した。結果を下記表Iに示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表Iは、実施例1のライティングアセンブリの冷却フィンの上部から底部までの温度範囲が比較例の中実板よりはるかに低いことを示している。
【0055】
次に、光出力合計を入力電力で割ることにより、実施例1のライティングアセンブリの有効性を計算した。ライティングアセンブリを直径1mの積分球の内部に置いて、光出力合計を測定すると同時に入力電力及びLED温度をモニターした。測定システムは、Optronic Laboratoriesが販売するOL−IS−3900 1 Meter Integrating Sphereに接続されたOL−770 Multichannel Spectroradiometer(Optronic Laboratories)を含む。システムのキャリブレーションは、NISTまでトレース可能なOptronics Laboratoriesが販売するStandard of Total Spectral Flux and Total Luminous FluxのモデルOL 245−TSF、S/N L−909を用いて行った。データは、350mA、700mA、900mA、及び1Aの動作電流で収集した。表IIは、それぞれの規定電流でのLED仕事率(ワット)、光出力測定値(TLF)(ルーメン)、LED温度(℃)、及び有効性(ルーメン/ワット)を示す。
【0056】
【表2】
【0057】
表IIは、それぞれの規定電流で高い有効性(ルーメン/ワット)を示す。
【0058】
(実施例2)
ライティングシステムは、実施例1に記述した型式の10のライティングアセンブリから作製した。ライティングシステムの個々のライティングアセンブリのそれぞれの性能が実施例1に記述した単一のライティングアセンブリの性能とほぼ同じであることを検証するために、表IIIに示すように、異なる3つの電流レベルで脱気した後に、個々のライティングアセンブリのそれぞれの光出力をライティングアセンブリ内部に残っている流体の量を用いて測定した。
【0059】
【表3】
【0060】
表IIIは、個々のライティングアセンブリのそれぞれの性能の一貫性を示す。表IIIは、実施例1に記述したライティングアセンブリと比較したときに、10の個々のライティングアセンブリの全てが期待通りに性能を発揮したこともまた示している。また、これらの結果は、3つの全ての規定LED電流レベルで6.5cc〜13.4ccの流体体積範囲についてライティングアセンブリの性能がそれぞれほぼ同じであることも示している。
【0061】
下記のように、10のライティングアセンブリを保持するために正方形の枠構造物を作製した。アルミニウムチュービングセクションは機械加工し、10のライティングアセンブリを保持するように、U形の側部の内縁に沿ったスロットとともに、u形にともに溶接した。このU形を290mm×65mm×6.4mmの板に溶接して、閉じた矩形構造物を作製した。組立ての際、器具を装着するために、61mm OD(外径)のアルミニウムチュービングの75mmのセクションを板に溶接した。10のライティングアセンブリのそれぞれから装着チューブの隣の配線箱への配線を保護及び案内するために、装飾的なプラスチックトリムを器具の側部に追加した。10のライティングアセンブリを枠構造物に32mmのピッチ(中心間距離)で装着した。
【0062】
組立てたライティングシステムを測定して、システムの有効性を定量化した。組立てたユニットを、分光放射計OL−770 Multichannel Spectroradiometer(Optronic Laboratories)に接続した2m積分球のOL−IS−7600 2 Meter Integrating Sphere(Optronic Laboratories)内に置き、合計光出力を製造業者の推奨に従って測定した。得られたデータを表IVに示す。
【0063】
【表4】
【0064】
表IVは、表IIと同様に、それぞれの規定電流でのライティングシステムの高い有効性を示す。ライティングシステムからの放射熱伝導は、10のライティングアセンブリの並列板構成によって制限された。光学系は冷却フィンの厚さより大きいので、隣接するライティングアセンブリの間の間隔は最適な自然対流のための最小距離より大きくなった。
【0065】
(実施例3)
実施例2のライティングシステムの隣接するライティングアセンブリの間に、放射板(Ultra Flat Black塗料(RUST−OLEUM)を塗布した237mm×170mm×3mmのアルミニウム)を配置した。放射板は、それぞれのライティングアセンブリからの対流熱伝導の有意な低下を避けるために配置された。放射板の目的は、ライティングアセンブリからの放射熱を吸収し、自然対流によって熱を周囲に伝達することである。放射板は冷却フィンより約25.4mm高く、理論的にはこれによってライティングシステムからの放射熱伝導は増加しなくてはならない。冷却フィン上の塗料は理論的には冷却フィン表面の放射率を増加しなくてはならない。
【0066】
放射板の効果は、組立てたライティングシステムを用いた熱実験を実行することによって測定した。実験は、LED駆動電流I=0.5Aで行った。定常状態の温度を達成した後、放射板を取り除き、定常状態に達するまでシステムをモニターした。熱伝対を使用してライトアセンブリ1、3、及び9の温度をモニターした。熱伝対はライティングアセンブリのそれぞれの1つのLEDの基材に取り付けた。3つのライティングアセンブリの定常状態での、放射板がある場合及びない場合の温度を表Vに示す。
【0067】
【表5】
【0068】
表Vは、放射板を用いてより低い動作温度が観察されたことを示しており、放射板の使用の利点を実証している。
【0069】
本明細書のライティングシステム及びアセンブリの利点としては、例えば、低メンテナンス、エネルギー効率、低ライフタイムコスト、競合ライティングシステムと比べ最高20%の効率向上、同じ輝度を生成するのに必要なLEDを最高50%削減、動的制御ディミング、及び光の色の改善が挙げられる。
【0070】
本開示の例示的実施形態を検討するとともに本開示の範囲内の可能な変形例を参照してきた。本開示のこれらの及び他の変形例及び変更例は開示の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろうとともに、本開示は本明細書に記載された例示的実施形態に限定されないことは理解されよう。したがって、本開示は、冒頭に提示した「特許請求の範囲」によってのみ限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する少なくとも1つの発光ダイオードと、
前記少なくとも1つの発光ダイオードが発した光を方向づけるとともに、前記発光ダイオードに隣接して配置される光学系と、
二相冷却系を有し、前記二相冷却系が前記発光ダイオードからの熱を除去するように前記少なくとも1つの発光ダイオードに隣接して配置される冷却フィンと、
を備える、ライティングアセンブリ。
【請求項2】
街灯、バックライト、ウォールウォッシュライト、屋外広告板ライト、駐車場傾斜路用ライト、ハイベイライト、駐車場ライト、標識点灯看板、電気看板、静止標識、及び照明された標識のうちの少なくとも1つとして使用される、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項3】
前記光学系が、中実又は中空のウェッジを含む、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項4】
前記ウェッジが、前記冷却フィンに対して平行又は垂直のいずれかである、請求項3に記載のライティングアセンブリ。
【請求項5】
前記ウェッジが、平面、湾曲、又は波形のうちの少なくとも1つである側面を含む、請求項3に記載のライティングアセンブリ。
【請求項6】
前記光学系が、レンズ、デフューザー、偏光器、バッフル、フィルタ、ビームスプリッタ、輝度強化フィルム、又はリフレクタのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの発光ダイオードが傾斜している、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項8】
前記冷却フィンの部分が傾斜している、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項9】
前記冷却フィンが、可変体積又は一定体積のいずれかを有する、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項10】
前記冷却フィンが、平面、円筒形、又は錐体のうちの1つである、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項11】
複数の発光ダイオードと、それぞれが二相冷却系を含みかつそれぞれが発光ダイオードに隣接して配置される複数の冷却フィンと、を含み、それぞれの冷却フィンが、隣接する冷却フィンから約1mm〜約100mmの間隔を開けて配置される、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項12】
隣接する冷却フィンの間に配置された放射板を更に含む、請求項11に記載のライティングアセンブリ。
【請求項13】
前記放射板が、前記冷却フィンに対して平行又は垂直のいずれかである、請求項12に記載のライティングアセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの発光ダイオードが、前記光学系の側面又は前記冷却フィンの側面のいずれかに取り付けられる、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの発光ダイオードが、前記冷却フィンに隣接する第1の主面と、前記光学系に隣接する第2の主面と、を有する基材に取り付けられる、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項16】
前記二相冷却系及び前記光学系が、単一の装置の部品である、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項17】
請求項1に記載のライティングアセンブリを複数備える、ライティングシステム。
【請求項18】
光を発する複数の発光ダイオードと、
前記発光ダイオードが発した光を方向づけるとともに、前記発光ダイオードに隣接して配置される光学系と、
それぞれが二相冷却系を含む複数の冷却フィンと、を備え、
前記冷却フィンの内部の前記二相冷却系が前記発光ダイオードからの熱を除去するように、前記複数の冷却フィンが前記発光ダイオードに隣接して配置される、街灯。
【請求項19】
光を発する発光ダイオードと、
前記発光ダイオードが発した光を方向づける光学系と、
対流冷却面を含む二相冷却系と、を備え、
前記二相冷却系は、前記二相冷却系が前記発光ダイオードからの熱を拡散するように、前記発光ダイオードに隣接して配置される、ウォールウォッシュ。
【請求項20】
光を発する発光ダイオードと、
前記発光ダイオードが発した光を方向づける光学系と、
対流冷却面を含む二相冷却系と、を備え、
前記二相冷却系は、前記二相冷却系が前記発光ダイオードからの熱を拡散するように前記発光ダイオードに隣接して配置される、ライティングシステム。
【請求項1】
光を発する少なくとも1つの発光ダイオードと、
前記少なくとも1つの発光ダイオードが発した光を方向づけるとともに、前記発光ダイオードに隣接して配置される光学系と、
二相冷却系を有し、前記二相冷却系が前記発光ダイオードからの熱を除去するように前記少なくとも1つの発光ダイオードに隣接して配置される冷却フィンと、
を備える、ライティングアセンブリ。
【請求項2】
街灯、バックライト、ウォールウォッシュライト、屋外広告板ライト、駐車場傾斜路用ライト、ハイベイライト、駐車場ライト、標識点灯看板、電気看板、静止標識、及び照明された標識のうちの少なくとも1つとして使用される、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項3】
前記光学系が、中実又は中空のウェッジを含む、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項4】
前記ウェッジが、前記冷却フィンに対して平行又は垂直のいずれかである、請求項3に記載のライティングアセンブリ。
【請求項5】
前記ウェッジが、平面、湾曲、又は波形のうちの少なくとも1つである側面を含む、請求項3に記載のライティングアセンブリ。
【請求項6】
前記光学系が、レンズ、デフューザー、偏光器、バッフル、フィルタ、ビームスプリッタ、輝度強化フィルム、又はリフレクタのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの発光ダイオードが傾斜している、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項8】
前記冷却フィンの部分が傾斜している、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項9】
前記冷却フィンが、可変体積又は一定体積のいずれかを有する、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項10】
前記冷却フィンが、平面、円筒形、又は錐体のうちの1つである、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項11】
複数の発光ダイオードと、それぞれが二相冷却系を含みかつそれぞれが発光ダイオードに隣接して配置される複数の冷却フィンと、を含み、それぞれの冷却フィンが、隣接する冷却フィンから約1mm〜約100mmの間隔を開けて配置される、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項12】
隣接する冷却フィンの間に配置された放射板を更に含む、請求項11に記載のライティングアセンブリ。
【請求項13】
前記放射板が、前記冷却フィンに対して平行又は垂直のいずれかである、請求項12に記載のライティングアセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの発光ダイオードが、前記光学系の側面又は前記冷却フィンの側面のいずれかに取り付けられる、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの発光ダイオードが、前記冷却フィンに隣接する第1の主面と、前記光学系に隣接する第2の主面と、を有する基材に取り付けられる、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項16】
前記二相冷却系及び前記光学系が、単一の装置の部品である、請求項1に記載のライティングアセンブリ。
【請求項17】
請求項1に記載のライティングアセンブリを複数備える、ライティングシステム。
【請求項18】
光を発する複数の発光ダイオードと、
前記発光ダイオードが発した光を方向づけるとともに、前記発光ダイオードに隣接して配置される光学系と、
それぞれが二相冷却系を含む複数の冷却フィンと、を備え、
前記冷却フィンの内部の前記二相冷却系が前記発光ダイオードからの熱を除去するように、前記複数の冷却フィンが前記発光ダイオードに隣接して配置される、街灯。
【請求項19】
光を発する発光ダイオードと、
前記発光ダイオードが発した光を方向づける光学系と、
対流冷却面を含む二相冷却系と、を備え、
前記二相冷却系は、前記二相冷却系が前記発光ダイオードからの熱を拡散するように、前記発光ダイオードに隣接して配置される、ウォールウォッシュ。
【請求項20】
光を発する発光ダイオードと、
前記発光ダイオードが発した光を方向づける光学系と、
対流冷却面を含む二相冷却系と、を備え、
前記二相冷却系は、前記二相冷却系が前記発光ダイオードからの熱を拡散するように前記発光ダイオードに隣接して配置される、ライティングシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2012−524977(P2012−524977A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507247(P2012−507247)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/030321
【国際公開番号】WO2010/123688
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/030321
【国際公開番号】WO2010/123688
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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