説明

ライナープレート集水井の背面水の排水構造及び排水用部材

【課題】ライナープレート集水井の背面水の排水構造及び排水用部材を提供する。
【解決手段】ライナープレート4を筒形に組み立てて構築されたライナープレート集水井1のライナープレート4の波部4a又は4bに、同集水井1の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔5へ弾力性を有する背面水誘導管10が挿入され、集水孔5の周端5aの全周に対し背面水誘導管10が弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられる。背面水誘導管10は、集水孔の周端5aに沿うように形成された段部11を外周面のライナープレートよりも集水井1の内方側に備え、段部11の位置から、集水井1の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部12を備え、段部11の位置から集水井1の内部に向かって突き出る背面水放出管部13を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地すべり抑制工として主に山間地に設置されているライナープレート集水井において、同ライナープレート集水井の背面土側に存在する地下水や、同ライナープレート背面を伝い下りる自然水など(以下、背面水という。)を自然排水するために設けている集水孔を利用して行う排水構造と、前記排水構造に使用される排水用部材の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、ライナープレート集水井1は、図1に例示したように、地すべり 面2が予測される山間地に例えば深さ10m〜30m、直径3.5m程度の規模で設置して背面水の集水を図り、地すべり抑制に効果を挙げている。
具体的構造を図2に示したように、ライナープレート集水井1は、単位大きさのライナープレート4を円筒形状に組み立てて構築され、頂部には落下防止の安全性を図る天蓋3を設置している。ライナープレート4には、図4A、Bに例示したような配置で、自然集水を目的とする集水孔5を直径φ30〜φ50mm程度のおおきさで一定のピッチと配列で一基あたりの集水孔数は200〜600個程度設けられている。
更に背面水の積極的な集・排水を行う目的で、外周部の地山に向かって放射状の配置で複数本の集水ボーリング6を施工し、また、集水した水を自然排水するため近隣の川7などに向かって繋がる排水ボーリング8を施工する。或いはポンプを設置して汲み上げることも行われる。
【0003】
上記のような集水井に関する先行技術として、下記の特許文献1には、集水井の水抜きボーリングの排水量を増加させる方法に関する技術が開示されている。また、下記の特許文献2には、水抜きボーリングに関する技術が開示されている。
更に特許文献3には、集水井を構成するライナープレートの集水孔の目詰まり修復作業を容易且つ短時間で行うことができる、集水井の水抜き栓の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−4295号公報
【特許文献2】特開2006−169930号公報
【特許文献3】特開2009−203777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記集水井が、周辺の背面土に存在する背面水の集水を積極的に進める結果、地すべり抑制に効果を挙げていることは既に知られている。
上記ライナープレート4を組み立てて構築したライナープレート集水井1の場合は、同ライナープレート4に背面水の集水を目的として設けた集水孔5を通じて背面土側から背面水が滲み出る。その背面水はライナープレート4の内面を伝って集水井内に集水されるため、同背面水及び背面水に含まれた成分により、集水孔5の位置より下方のライナープレート4の内面に、時間の経過と共に鉄分などの異物が付着したり、ライナープレート内面の腐食が進行する現象が知られ、問題点として解決課題に挙げられている。
即ち、地山側から滲み出る背面水には、当然酸やアルカリの成分などが含まれていることが多い。また、集水孔5から滲み出た背面水はライナープレート4の内面を伝い落ちて水濡れ状態を呈し、その途中では空気と接触する。そして、滲出量が少ないときは乾燥する等々の現象を長期に繰り返す結果、ライナープレート4における背面水の滲出域の内面に施された防食処理(溶融亜鉛メッキ等)が浸食され、腐食(錆の発生)が進行するという問題点が指摘されている。
その対策として、従来は鋼製等の排水管を上記集水孔5へ挿入し、集水孔5の孔縁と排水管との隙間をコーキング又は溶接により止水処理することにより背面水がライナープレート4の内面へ垂れ落ちることを防止して背面水と接触させない対応策が考えられ実施もされている。しかし、ライナープレート4の波部4a又は4bに設ける集水孔5は、例え集水井1の中心部から見た形状が円形でも、その実体は波部の形状に沿って複雑な三次元形状を呈するので、前記したような対応策では、集水井内周面に上記した如く多数設けられ集水孔の全体に対してコーキング材や溶接による止水処理を施すことは大変多くの労力を必要とし、例え熟練者であっても多くの手間が掛かって作業時間が長引き、長い工期と多額の工費を必要とするという問題点があった。
また、ライナープレート4の波部に設けられる複雑な形状の集水孔5へ水抜き栓を取り付ける技術である上記特許文献3には、水抜き栓の抜け止め機能として外側ストッパ面や内側ストッパ面による構成が開示されている。しかし、特許文献3はそもそも水抜き栓を取り付ける技術を開示した内容であって、ライナープレートの内面に背面水が接触しないようにライナープレート内側面の管材を延長する技術的思想を開示するものではない。そのためライナープレート内側面の管材を延長すると自重によるモーメントが増大し、大きな荷重が作用する場合にも、安定状態に取り付ける手段としては、前記外側ストッパ面や内側ストッパ面では不十分な構成である。
【0006】
本願発明の目的は、上記ライナープレート集水井のライナープレートが背面水の滲出に伴い集水孔の内面に腐食が発生し進行することを可及的に防止できる排水処理手段を提供することである。更に言えば、ライナープレートに設けた集水孔を通じて滲出する背面水が、ライナープレートの内面を濡らすことのないように、集水井の中心部に向かって十分離れた位置まで背面水を導く排水構造と、及び同排水構造に好適に使用される排水用部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来技術の課題を解決する手段として、請求項1に記載した発明に係るライナープレート集水井の背面水の排水構造は、
ライナープレート4を筒形に組み立てて構築されたライナープレート集水井1の前記ライナープレート4の波部4a又は4bに、同集水井1の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔5へ弾力性を有する背面水誘導管10が挿入され、前記集水孔5の周端5aの全周に対し前記背面水誘導管10が弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられて成り、
前記背面水誘導管10は、集水孔の周端5aに沿うように形成された段部11を外周面の前記ライナープレートよりも集水井1の内方側に備え、
前記段部11の位置から、集水井1の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部12を備えており、
前記段部11の位置から集水井1の内部に向かって突き出る背面水放出管部13を備えている構成を特徴とする(図8参照)。
【0008】
請求項2に記載した発明に係るライナープレート集水井の背面水の排水構造は、
ライナープレート4を筒形に組み立てて構築されたライナープレート集水井1の前記ライナープレート4の波部4a又は4bに、同集水井1の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔5へ弾力性を有する背面水誘導管10が挿入され、前記集水孔5の周端5aの全周に対し前記背面水誘導管10が弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられて成り、
前記背面水誘導管10は、集水孔5の周端5aに沿うように形成された段部11を外周面部の前記ライナープレートよりも集水井1の内方側に備え、
前記段部11の位置から、集水井1の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部12を備えていると共に、この背面水受け入れ管部12の外周面に前記段部11と相対峙して集水孔5の孔縁に隣接する少なくとも1個の突起部14を備えており、
前記段部11の位置から集水井1の内部に向かって突き出る背面水放出管部13を備えている構成を特徴とする(図9参照)。
【0009】
請求項3に記載した発明に係るライナープレート集水井の背面水の排水構造は、
ライナープレート4を筒形に組み立てて構築されたライナープレート集水井1の前記ライナープレート4の波部4a又は4bに、同集水井1の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔5へ弾力性を有する背面水誘導管10が挿入され、前記集水孔5の周端5aの全周に対し前記背面水誘導管10が弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられて成り、
前記背面水誘導管10は、外周面部に前記ライナープレート4の集水孔5の周端5aに沿うように形成されて前記集水孔5の周端5aが嵌る溝部15を備えており、
前記溝部15の位置から集水井1の背面土側に向かって突き出る背面水受け入れ管部12を備えており、
前記溝部15の位置から集水井1の内部に向かって突き出る背面水放出管部13を備えている構成を特徴とする(図5等を参照)。
【0010】
請求項4に記載した発明に係る排水用部材は、
請求項1に記載したライナープレート集水井1の背面水の排水構造に使用される部材で、ライナープレート集水井1を構成するライナープレート4の波部4a又は4bに、同集水井1の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔5の周端5aの全周に対し弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられる、弾力性を有する背面水誘導管10であって、
外周面部に前記ライナープレート4の内側面の集水孔5の周端5aに沿うように形成された段部11を備え、
前記段部11の位置から、集水井1の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部12を備えており、
前記段部11の位置から集水井1の内部に向かって突き出る背面水放出管部13を備えている構成を特徴とする(図8参照)。
【0011】
請求項5に記載した発明に係る排水用部材は、
請求項2に記載したライナープレート集水井1の背面水の排水構造に使用される部材で、ライナープレート集水井1の前記ライナープレート4の波部4a又は4bに同集水井1の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔5の周端5aの全周に対し弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられる、弾力性を有する背面水誘導管10であって、
外周面部に前記ライナープレート4の内面側へ集水孔5の周端5aに沿うように形成された段部11を備え、
前記段部11の位置から、集水井1の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部12を備えていると共に、前記背面水受け入れ管部12の外周面に前記段部11と相対峙して集水孔の孔縁に隣接する少なくとも1個の突起部14を備えており、
前記段部11の位置から集水井1の内部に向かって突き出る背面水放出管部13を備えている構成を特徴とする(図9参照)。
【0012】
請求項6に記載した発明に係る排水用部材は、
請求項3に記載したライナープレート集水井1の背面水の排水構造に使用される部材で、ライナープレート集水井1を構成するライナープレート4の波部4a又は4bに同集水井1の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔5の周端5aの全周に対し弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられる、弾力性を有する背面水誘導管10であって、
外周面部に前記ライナープレート4の集水孔5の周端5aに沿うように形成された溝部15を備えており、
前記溝部15の位置から集水井1の背面土側に向かって突き出る背面水受け入れ管部12を備えており、
前記溝部15の位置から集水井1の内部に向かって突き出る背面水放出管部13を備えている構成を特徴とする(図5等を参照)。
【0013】
請求項7に記載した発明に係る排水用部材は、請求項4〜6のいずれか一に記載した背面水誘導管10において、
集水孔5の位置から集水井1の背面土側に向かって突き出る背面水受け入れ管部12の先端面は管軸と直角に形成され、又は管軸に対して上方側が短い受け口19の傾斜面に形成されていることを特徴とする(図11、図12を参照)。
【0014】
請求項8に記載した発明に係る排水用部材は、請求項7に記載した背面水誘導管において、
集水孔5の位置から集水井1の背面土側に向かって突き出る背面水受け入れ管部12の先端面が管軸と直角に形成された場合に、その頂面部には、先端面から管軸方向へ一定長さの受水用切り欠き部が形成されている構成を特徴とする(図10参照)。
【0015】
請求項9に記載した発明に係る排水用部材は、請求項4〜6のいずれか一に記載した背面水誘導管10において、
段部11又は溝部15の位置から集水井1の内部に向かって突き出る背面水放出管部13は、当該背面水誘導管10と継手管17を介して接続された別異の管体18で形成されている構成を特徴とする(図6、図7参照)。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜3に記載した発明に係るライナープレート集水井の背面水の排水構造は、集水井1の構築後に同集水井1の内部から排水用部材である背面水誘導管10を各集水孔5へ差し入れるだけの操作で止水状態に取り付けることができるから、狭い集水井内の窮屈な作業でも施工が容易で取り付け作業の能率を高められる。
即ち、前記背面水誘導管10は、その弾力性を利用することで集水孔5への差し入れ操作及び止水状態の取り付けを、格別の熟練を要することなく容易に手早く行える。しかも均質な品質で作業を進めることができ、施工性が良い。したがって、工期の短縮及び工費の削減効果並びに施工管理の容易性が得られる。
そして、本発明に係るライナープレート集水井の背面水の排水構造によれば、集水井1の背面土から滲み出した背面水は、背面水誘導管10が効率よく受け入れ、必要十分に長い背面水放出管部13によって集水井1の中心側へ導き、ライナープレート4の内面を背面水で濡らさないように排水(放水)するから、背面水がライナープレート4の内面側を伝い落ちて濡らす不都合な現象は可及的に防止でき、ライナープレート4の内面側の腐食を防止できる。
【0017】
請求項4〜9に記載した発明に係る排水用部材(背面水誘導管10)は、背面水に含まれる酸やアルカリ成分などに強い材質のゴム或いはシリコン、合成樹脂等の弾力性(又は可撓性)を有する材料で安価に大量生産することに適する。また、前記弾力性を利用してライナープレート集水井1の集水孔5へ差し入れる操作のみにて簡単、確実にライナープレート4へ接触する部分を止水状態に取り付けることができ、使い勝手に優れる。
即ち、ライナープレート4の集水孔5の周端5aに沿うように形成された段部11、又は前記段部11と相対峙するように背面水誘導管10外周面の好ましくは上面側に位置させる少なくとも1個の突起14を備え、若しくは前記集水孔5の周端5aに沿う形状に形成され同集水孔5の孔内へライナープレート4と接触する部分を止水状態に嵌め込める溝部15を備えた構成であるから、ライナープレート4の集水孔5へ止水状態に取り付ける作業を容易、確実に行うことができ、上記の排水構造を容易に実現できる。そして、一旦集水孔5へ前記の如くに取り付けると、前記段部11がライナープレート4へ当接する効果、そして、突起14がライナープレート4へ当接する作用との組み合わせ効果、或いは溝部15の嵌め込み状態でライナープレート4の集水孔5の周端5aへ弾性的に当接する接触効果により、特に背面水放出管部13の垂れ下がりを防ぎ、長期にわたり堅固で安定した取り付け状態を維持し排水構造を長期間有効に機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ライナープレート集水井の設置例を示した説明図である。
【図2】ライナープレート集水井の更に具体的な設置構造を半分断面にして示した立面図である。
【図3】図2に示したライナープレート集水井の平面図である。
【図4】A、Bはライナープレートの集水孔の配置例を示した正面図である。
【図5A】ライナープレートの凸波部の集水孔へ背面水誘導管を取り付けた状態を示した要部の断面図である。
【図5B】集水孔の周端形状を示す斜視図である。
【図5C】A図に指示したb円部の拡大断面図である。
【図5D】背面水誘導管の主要部の斜視図である。
【図6】Aはライナープレートの集水孔へ構成の異なる背面水誘導管を取り付けた状態を実施例2として示した要部の断面図、Bは前記A図に指示したb円部の拡大断面図である。
【図7】Aはライナープレートの凹波部の集水孔へ背面水誘導管を取り付けた状態を実施例3として示した要部の断面図、Bは同背面水誘導管の主要部の斜視図である。である。
【図8】図6Cと同じ視点で、溝部を有さず、代わりに溝部の内側壁に相当する段部のみを備えた背面水誘導管を一部破断して示した側面図である。
【図9】図8と同じ視点で、溝部を有さず、代わりに段部と突起の組み合わせで構成した背面水誘導管を一部破断して示した側面図である。
【図10】A、Bは図6に示した背面水誘導管のみを示した平面図と、一部破断した側面図である。
【図11】A、Bは図6に示した背面水誘導管について受水用切り欠き部の代わりに背面水受け入れ管部の先端面を上方側が短い受け傾斜面に形成した背面水誘導管を示す平面図と、側面図である。
【図12】A、Bは図6に示した背面水誘導管について背面水受け入れ管部の先端部に切り欠きを形成しない実施例を示した平面図と側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るライナープレート集水井の背面水の排水構造は、ライナープレート4を筒形に組み立てて構築されたライナープレート集水井1の前記ライナープレート4の波部4a又は4bに、同集水井1の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔5へ、排水用部材として弾力性を有する背面水誘導管10を挿入し、同集水孔5の周端5aの全周に対し前記背面水誘導管10を弾性変形させて接触させ密着させる態様で止水状態に取り付けて構成する。
前記背面水誘導管10は、外周面部に前記ライナープレート4の内面側へ集水孔5の周端5aに沿うように形成された段部11を備えている。
前記段部11の位置から、集水井1の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部12を備えている。
また、前記段部11の位置から集水井1の内部に向かって一定の長さ突き出る背面水放出管部13を備えた構成で実施する(図8参照)。
【0020】
異なる排水用部材(背面水誘導管10)の構成として、外周面部に前記ライナープレート4の内面側へ、集水孔5の周端5aに沿うように形成された段部11を備え、前記段部11の位置から、集水井1の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部12を備えていると共に、この背面水受け入れ管部12の外周面の好ましくは上面側に、前記段部11と相対峙する少なくとも1個の突起部14を備えている。更に前記段部11の位置から集水井1の内部に向かって一定の長さ突き出る背面水放出管部13を備えた構成の排水用部材を使用しても実施できる(図9参照)。
或いは更に異なる排水用部材(背面水誘導管10)として、外周面部に前記ライナープレート4の集水孔5の周端に沿うように形成された溝部15を備え、同集水孔5の周端5aの全周に対し弾性変形させ密着する態様で止水状態に嵌め込まれる構成であり、前記溝部15の位置から集水井1の背面土側に向かって突き出る背面水受け入れ管部12を備えている。更に前記溝部15の位置から集水井1の内部に向かって一定の長さ突き出る背面水放出管部13を備えた構成の排水用部材でも同様に実施出来る(図5等を参照)。
【実施例1】
【0021】
次に、本発明を図5A〜Cに示した実施例1に基づいて説明する。
本実施例1に係るライナープレート集水井1の背面水の排水構造及び排水用部材は、一例として図4に示したような配列で、波部4a又は4bに、集水井1の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔5を有するライナープレート4を用い、例えば図1或いは図2に例示した如く筒形に組み立ててライナープレート集水井1を構築した場合に、各ライナープレート4の前記集水孔5へ、排水用部材として、弾力性(及び/又は可撓性)を有する背面水誘導管10を、その要所を弾性変形させて前記集水孔5の周端5a(図5Bを参照)の全周に対し密着する態様で止水状態に取り付けて実施される。
因みに図5に示す実施例1は、ライナープレート4の波形が集水井1の内方に向かって凸の波部4aに設けられた集水孔5へ、排水用部材である背面水誘導管10をライナープレート4との接触部分が止水状態となるように取り付けた構成を示している。
なお、後述する図6と図7の対比で明らかなように、本発明の実施例は、集水井1の内方に向かって凸の波部4aへ背面水誘導管10を取り付ける場合と、逆に集水井1の外方に向かって凸の波部4bへ背面水誘導管10を取り付ける場合とに大別されるが、各実施例の構成に実質的な差異点はないことを予め申し添える。
また、ライナープレート4の波部4a又は4bに、集水井1の中心から水平に見て円形になるように集水孔5を設ける手段としては、既往技術として知られるプレス加工、或いはレーザー加工法やプラズマ加工法の応用により実施することが出来る。
【0022】
上記の排水用部材として用いる弾力性(及び/又は可撓性)を有する背面水誘導管10は、背面水により腐食され難い材質、例えばゴムやシリコン、合成樹脂等々の材料を用いて成形することができる。
図5に示した実施例1の場合、ライナープレート4は、厚さ2.7mmの鋼板に集水井1の内面から見て3山の波付け処理をして縦幅寸法を500mmに成形すると共に、その波部4a、4bに集水孔5を設けた後に、溶融亜鉛メッキなどをライナープレート4へ施している。集水孔5を集水井1の中心側から見た円形の口径が50mmである場合に、背面水誘導管10は、硬度が40〜70度のゴムにより、一例として外径を58mm、内径は48mm、集水孔5の周端5aと密着させる部分の外径は52mm、肉厚5mmの管体として成形されている。
そして、同管体の外周面部には、図5C、Dに詳示した如く、上記ライナープレート4に設けられた集水孔5の周端5a(直接的には集水孔5の内周面を指すが、孔縁の意味も含むことを申し添える。)に沿うように三次元形状(図5D参照)に形成した溝部15が、前記集水孔5の孔内へ止水状態に嵌め込めるように、次のような構成で設けられている(請求項3、6の発明)。
即ち、溝部15の深さは、上記の寸法仕様において3mm程度とされ、溝底の厚さは2mm程度とされている。
この溝部15の開口部幅(最大溝幅)は13mmとし、集水孔5が複雑な三次元形状を呈するのに対応して、同集水孔5の全周端5aに沿ってその孔内へ止水状態に嵌め込まれる余裕が確保されている。
【0023】
上記集水孔5の周端5aに沿って形成される溝部15の形状は、具体的には図5Dの場合であれば、背面水誘導管10の上面で背面土方向へ凸の弧状をなし、前記上面から側面へかけて緩やかに集水井1の中心方向へ凸の弧状となり、前記側面から底面へは緩やかに背面土方向へ曲がって形成され、前記底面で背面土方向へ凸の弧状となる。
また、溝部15の具体的形状は、図7Bの場合であれば、背面水誘導管10の上面で集水井1の中心方向へ凸の弧状をなし、前記上面から側面へかけて緩やかに背面土の方向へ曲がって形成され、同側面で背面土方向へ凸の弧状となり、前記側面から底面へは緩やかに集水井の中心方向へ曲がって形成され、同底面では集水井の中心方向へ凸の弧状に形成されている。
上記のとおり、溝部15は図5Dの場合、或いは図7Bの場合であっても、背面土方向へ曲がり、次には集水井1の中心方向へ曲がり、そして、再び背面土方向に曲がることを交互に繰り返す曲がり状態に形成され、背面水誘導管10の外周面を一周して元の位置に戻る形態を呈する。
【0024】
したがって、当該背面水誘導管10は、その弾性を利用して必要な部分を適度に圧縮変形させつつ集水孔5の孔内へ嵌め込み、最終的に溝部15を集水孔5の全周端5aへ嵌め込むと、それだけで両者はきっちりと弾力的に密接(密着)して止水状態の取り付けを達成できて、他に何ら処置を施す必要も無いのである。この溝部15が、ライナープレート4の波部4a、4bに形成された集水孔5の周端5aに沿う特異な三次元形状であることは、およそ上記図5BとDと、及び図7Bに例示した通りである。
上記した構成であるから、図5Cをはじめ図6B、図8、図9に例示したところからも理解出来るように、弾力性を有する背面水誘導管10の要所を適度に圧縮変形させて集水孔5の中へ差し入れると、溝部15の溝底が集水孔5の周端5aの全周にわたり弾性変形した状態で密着(接触)すると共に、前記弾性変形に基づく反力Rが集水孔5の周端5aの全周にわたり外向きに作用する態様で確実に止水状態の接触を実現するのである。
【0025】
しかも当該背面水誘導管10には、上記溝部15の位置から、集水井1の背面土側に向かって突き出る背面水受け入れ管部12が、上記した寸法仕様において約24mmの長さに形成されている。この背面水受け入れ管部12の先端面部は、本実施例1の場合は管軸に対して直角な平面に形成されている。そこで背面土から滲み出る背面水の受け入れと集水機能を高める目的で、背面水受け入れ管部12の上面部(使用態様として上面に位置させる部位)に、先端面から管軸方向に約19mmの長さに及ぶ切り欠き状スリット16が、具体的には図5Dに示したようにU字形に形成され、背面水の受水効果を高める構成とされている。切り欠き状スリット16の形状については、適度な受水効果を奏するかぎり、前記形状に限らないことを申し添える。
したがって、当該背面水誘導管10を設置した近傍の背面土から滲み出る背面水は、背面水受け入れ管部12の前記切り欠き状スリット16などを通じて受け入れ、集水井1の内部へ排出する機能を効果的に発揮する。
背面水受け入れ管部12はまた、背面水誘導管10を集水孔5の孔内へ嵌め込んでライナープレート4へ取り付けると、必然的に集水井1の外周部の背面土へ突き当たる状態にもなる。その結果、背面土へ突き当たった背面水受け入れ管部12によって背面水誘導管10は背面土で固定して保持する状態となり、ライナープレート4への取り付け状態を安定化させる効果も奏する。
【0026】
当該背面水誘導管10は、上記溝部15の位置(実質的に集水孔5の位置)から集水井1の内部に向かって一定の長さ突き出る背面水放出管部13を備えている。この背面水放出管部13の長さは、排水する背面水がライナープレート4の内面を濡らす虞がない長さに設計され、本実施例1では約550mmの長さとされている。
したがって、当該背面水誘導管10をライナープレート集水井1の各集水孔5へ取り付けると、上記した如く背面水受け入れ管部12で背面水を受け入れ、それを背面水放出管部13が集水井1の内方へライナープレート4の内面を濡らすことのないように排出する。よって、当該集水井1は地すべり抑制工としての機能を良く発揮する上に、背面水がライナープレート4の内面を濡らす事はないので、ライナープレート4の内面へ鉄分などの異物が付着したり、腐食が発生することを防止して、長期間の耐用寿命を維持することに大きく寄与する。
なお、上記構成の背面水誘導管10は、上記溝部15が、後述する実施例2〜4の段部11や突起14と同様に、各集水孔5への取り付け状態の長期安定性を確保できる。その安定化作用は、上記段落番号[0024]において説明したように、集水井1の背面土側に向かって突き当たった背面水受け入れ管部12が、背面土による固定・保持の作用を受けて、集水井1の内部に向かって突き出す背面水放出管部13の重量、および同管内を流れる背面水の重量に起因する下向きモーメントの作用に対して抵抗する働きがあり、同背面水誘導管10の上記取り付け状態の長期安定性が得られる。
【実施例2】
【0027】
次に、図6に示した実施例2を説明する。この実施例2の構成の大部分は、上記実施例1とほぼ共通する。そこで以下には主に差異点について説明を進める。
図5Aと図6A、及び図5Cと図6Bを対比すると明かなとおり、本実施例2の場合は、背面水誘導管10において、集水井1の内方に向かって突き出る背面水放出管部13の長さが、上記実施例1のものに比して短く、約72mmに形成されている。
このように背面水放出管部13でライナープレート4の内面を濡らすことなく排水する手段として、本実施例2の場合は、上記のように短い背面水放出管部13の外側端の外周面に継手管17が止水状態に密接に嵌められ、この継手管17を利用してその他端側に、所要の長さを有する別異の管体18が止水状態に一連に接続された構成を特徴とする(請求項9の発明)。
つまり、本実施例2によれば、継手管17の他端側に、別異の長い管体18を接続する構成としたので、管体18の長さを、背面水がライナープレート4の内面を濡らすことのない長さに適宜に調節して用意し実施することが可能である。よって、集水井1の内部に昇降用の梯子などの設備類が存在して、これらが内部放水の背面水で濡れたり、或いは梯子など設備類を使用する作業員に降りかかる不都合が懸念される場合に、前記不都合の解消を現場において自在に対応できる利便性を発揮する。
なお、図7Aは、構成は殆ど図6Aと共通するが、集水井1の外向きに凸の波部4bに設けた集水孔5へ背面水誘導管10を取り付け実施例を示している。継手管17の他端側に、別異の長い管体18を接続した構成は図6Aと共通する。
つまり、本発明の排水構造及び排水用部材は、ライナープレート4の波部が集水井1の内向きに凸か、外向きに凸かの別なく実施できる例を示している。
【実施例3】
【0028】
次に、図8に示した実施例3を説明する。この実施例3に係る背面水誘導管10の構成は、上記図5Cの実施例1と基本的に変わるところはない。
ただし、本実施例3に係る背面水誘導管10は、上記実施例1の如く完全な溝部15の構成は有さず、同溝部15の一方(右側)の側壁と同様の構成で、前記ライナープレート4に設けた集水孔5の周端5aに沿うように形成され段部11を、背面水誘導管10の外周面部に備えている構成が特徴である(請求項1、4の発明)。
前記段部11の位置から、集水井1の背面土側に向かって突き出る背面水受け入れ管部12が、言わば上記溝部15の溝底に相当する肉厚で形成したに等しい小径の管部として設けられている。
また、前記段部11の位置から集水井1の内部に向かって必要な長さ突き出る背面水放出管部13を備える構成も変わらない。
本実施例3の背面水誘導管10は、背面水受け入れ管部12が上記した如く小径の管部として形成されているので、これを集水井1の集水孔5へ挿し入れて取り付ける作業が比較的に容易である。もっともこの背面水受け入れ管部12を集水孔5へ挿し入れる際にも、その材質特有の弾力性を利用して適所を部分的に圧縮しつつ集水孔5へ挿し入れることは変わりない。
かくして集水孔5へ差し入れた背面水受け入れ管部12は、集水孔5の周端5aの全周に対して、前記圧縮の反力Rで密着(圧着)する態様で止水状態に取り付けられる。しかも背面水受け入れ管部12が集水井1の背面土へ当たって止められるほか、前記段部11がライナープレート4の内面に突き当たって、背面水放出管部13がその重量効果などで垂れ下がろうとする作用に抵抗するので、安定した取り付け状態を実現できる。
【実施例4】
【0029】
次に、図9に示した実施例4を説明する。この実施例4に係る背面水誘導管10は、上記実施例3の構成を基本として、更に工夫した構成である。
即ち、本実施例4に係る背面水誘導管10も、上記実施例1の如き溝部15の構成は有さず、同溝部15の一方(右側)の側壁と同じく前記ライナープレート4に設けた集水孔5の周端5aに沿うように形成された段部11を、背面水誘導管10の外周面部に備えた構成が上記実施例3と共通する。
そして、前記段部11の位置からは、集水井1の背面土側に向かって突き出る背面水受け入れ管部12が、言わば上記溝部15の溝底に相当する肉厚で形成したに等しい小径の管部として備えている点、及び前記段部11の位置から集水井1の内部に向かって必要な長さ突き出る背面水放出管部13を備えている構成までは、上記実施例3と共通する。
本実施例4の背面水誘導管10の場合は、前記段部11の位置から、集水井1の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部12の外周面の上面部位に、前記した段部11と相対峙して集水孔5の孔縁に隣接してライナープレート4へ当たる少なくとも1個の突起部14を備えている構成を特徴とする(請求項2、5の発明)。
【0030】
上記の通り、背面水受け入れ管部12が小径管部なので、この背面水誘導管10も、集水井1を構成するライナープレート4の集水孔5に対しては、要所に圧縮変形を加えつつ挿し入れて取り付ける作業が容易である。しかもその取り付け状態は、集水孔5の周端5aの全周に対して、前記圧縮の反力Rにより密着(圧着)する態様で止水状態に取り付けられることは、上記実施例1〜3と共通する。
集水孔5へ挿し入れた背面水受け入れ管部12は、前記段部11と相対峙する配置の突起部14が段部11との間に集水孔5の孔縁に当接してライナープレート4へ突き当たる作用を奏するので、背面水放出管部13がその重量効果などで垂れ下がろうとする力に抵抗して、実施例3よりも一層安定した取り付け状態を実現できる。
したがって、突起部14は、少なくとも1個設ければ、前記の目的を達成できる。より好ましい実施態様として、突起部14は、当該背面水誘導管10の取り付け姿勢において、図9のように上面部位に設けるのが有効的である。そして、背面水受け入れ管部12の外周面に複数個設けて、前記取り付け状態の一層の安定化を図る構成で実施することも好ましい。突起部14は、弾力性を有する材質の背面水受け入れ管部12へ一体的に設けるので、集水孔5の孔縁を潜らせて取り付ける作業にはさして困難性をもたらさない。
【0031】
(その他の実施例)
最後に図10〜図12は、上記した各実施例について、背面水誘導管10の構成を説明する。
先ず図10A、Bに示した実施例は、排水用部材として図7A、Bの実施例3と同様な向きの溝部15を有する背面水誘導管10を単独で示したもので、言わば溝部15の特異な三次元形態を具体的に記載している。併せて背面水受け入れ管部12の先端面は管軸と直角な垂直面に形成され、上面部に切り欠き状スリット16が形成された構成を明解に示している。
図11A、Bに示した実施例は、排水用部材として、やはり図7A、Bに実施例3と同様な形態の溝部を有する背面水誘導管10を単独で示したものである。特に、背面水受け入れ管部12の先端面は、管軸に対して上方側が短い受け口19を有する傾斜面に形成され、図10Aの切り欠き状スリット16を無用とした構成の例を示している。
更に図12A、Bに示した実施例も、排水用部材として図7A、Bの実施例3と同様な向きの溝部15を有する背面水誘導管10を単独で示したもので、言わば背面水受け入れ管部12の先端面は管軸と直角な垂直面に形成されているが、図10Aの切り欠き状スリット16を持たない構成の例を示している。
【0032】
以上に本発明を図示した各実施例に基づいて説明したが、もとより本発明は実施例の構成、作用に限定されるものではない。当業者が必要に応じて行う設計変更に類する変更、応用の範囲までを含む技術的思想であることを念のため申し添える。
【符号の説明】
【0033】
4 ライナープレート
1 集水井
4a、4b 波部
5 集水孔
5a 集水孔の周端
10 背面水誘導管
11 段部
12 背面水受け入れ管部
13 背面水放出管部
14 突起部
15 溝部
19 受け口
16 受水用切り欠き部
17 継手管
18 管体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナープレートを筒形に組み立てて構築されたライナープレート集水井の前記ライナープレートの波部に、同集水井の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔へ弾力性を有する背面水誘導管が挿入され、前記集水孔の周端全周に対し前記背面水誘導管が弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられて成り、
前記背面水誘導管は、集水孔の周端に沿うように形成された段部を外周面の前記ライナープレートよりも集水井の内方側に備え、
前記段部の位置から、集水井の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部を備えており、
前記段部の位置から集水井の内部に向かって突き出る背面水放出管部を備えている構成を特徴とする、ライナープレート集水井の背面水の排水構造。
【請求項2】
ライナープレートを筒形に組み立てて構築されたライナープレート集水井の前記ライナープレートの波部に、同集水井の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔へ弾力性を有する背面水誘導管が挿入され、前記集水孔の周端全周に対し前記背面水誘導管が弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられて成り、
前記背面水誘導管は、集水孔の周端に沿うように形成された段部を外周面部の前記ライナープレートよりも集水井の内方側に備え、
前記段部の位置から、集水井の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部を備えていると共に、この背面水受け入れ管部の外周面に前記段部と相対峙して集水孔の孔縁に隣接する少なくとも1個の突起部を備えており、
前記段部の位置から集水井の内部に向かって突き出る背面水放出管部を備えている構成を特徴とする、ライナープレート集水井の背面水の排水構造。
【請求項3】
ライナープレートを筒形に組み立てて構築されたライナープレート集水井の前記ライナープレーの波部に、同集水井の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔へ弾力性を有する背面水誘導管が挿入され、前記集水孔の周端全周に対し前記背面水誘導管が弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられて成り、
前記背面水誘導管は、外周面部に前記ライナープレートの集水孔の周端に沿うように形成されて前記集水孔の周端が嵌る溝部を備えており、
前記溝部の位置から集水井の内部に向かって突き出る背面水受け入れ管部を備えており、
前記溝部の位置から集水井の内部に向かって突き出る背面水放出管部を備えている構成を特徴とする、ライナープレート集水井の背面水の排水構造。
【請求項4】
請求項1に記載したライナープレート集水井の背面水の排水構造に使用される部材で、ライナープレート集水井を構成するライナープレートの波部に、同集水井の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔の周端全周に対し弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられる、弾力性を有する背面水誘導管であって、
外周面部に前記ライナープレートの内側面へ集水孔の周端に沿うように形成された段部を備え、
前記段部の位置から、集水井の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部を備えており、
前記段部の位置から集水井の内部に向かって突き出る背面水放出管部を備えている構成を特徴とする、排水用部材。
【請求項5】
請求項2に記載したライナープレート集水井1の背面水の排水構造に使用される部材で、ライナープレート集水井の前記ライナープレートの波部に、同集水井の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔の周端全周に対し弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられる、弾力性を有する背面水誘導管であって、
外周面部に前記ライナープレートの内面側へ集水孔の周端に沿うように形成された段部を備え、
前記段部の位置から、集水井の背面土側に向かって突き出る小径の背面水受け入れ管部を備えていると共に、前記背面水受け入れ管部の外周面に前記段部と相対峙して集水孔の孔縁に隣接する少なくとも1個の突起部を備えており、
前記段部の位置から集水井の内部に向かって突き出る背面水放出管部を備えている構成を特徴とする、排水用部材。
【請求項6】
請求項3に記載したライナープレート集水井の背面水の排水構造に使用される部材で、ライナープレート集水井を構成するライナープレートの波部に、同集水井の中心から水平に見て円形になるように設けられた集水孔の周端全周に対し弾性変形して密着する態様で止水状態に取り付けられる、弾力性を有する背面水誘導管であって、
外周面部に前記ライナープレートの集水孔の孔縁の周端に沿うように形成された溝部を備えており、
前記溝部の位置から集水井の背面土側に向かって突き出る背面水受け入れ管部を備えており、
前記溝部の位置から集水井の内部に向かって突き出る背面水放出管部を備えている構成を特徴とする、排水用部材。
【請求項7】
集水孔の位置から集水井の背面土側に向かって突き出る背面水受け入れ管部の先端面は管軸と直角に形成され、又は管軸に対して上方側が短い受け口の傾斜面に形成されていることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一に記載した排水用部材。
【請求項8】
集水孔の位置から集水井の背面土側に向かって突き出る背面水受け入れ管部の先端面が管軸と直角に形成された場合に、その頂面部には、先端面から管軸方向へ受水用切り欠き部が形成されていることを特徴とする、請求項7に記載した排水用部材。
【請求項9】
段部又は溝部の位置から集水井の内部に向かって突き出る背面水放出管部は、当該背面水誘導管と継手管を介して接続された別異の管体で形成されている構成を特徴とする、請求項4〜6のいずれか一に記載した排水用部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−19102(P2013−19102A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150786(P2011−150786)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】