説明

ライブラリ装置、及び、アクセッサ装置

【課題】ライブラリ装置のコンパクト化、及び、軽量化を実現し、かつ、ドライブ装置やセルに対してのデータカートリッジの引き出しや戻し動作を安定して行う。
【解決手段】アクセッサ装置は、ドライブ装置やセルに対するデータカートリッジの引き出しや戻し動作において、矢印Aや矢印Bの方向に力がかかるため、アクセッサ装置のトッププレート145が矢印Aや矢印Bの方向に動くことになる。アクセッサ装置のトッププレート145がこれらの矢印方向に動いた時、ライブラリ装置のトップカバー110及びサイドカバー120にてガイドされ、アクセッサ装置はそれ以上動けなくなり、データカートリッジを引き出す力や戻す力にアクセッサ装置が負けなくなる。即ち、アクセッサ装置のトッププレート145でガイドすることで、アクセッサ装置の倒れを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライブラリ装置、及び、アクセッサ装置に関するものであり、特に、アクセッサ装置の倒れ防止に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されているように、複数のセル内にデータカートリッジを格納したライブラリ装置(データストレージシステム等と称される場合もある)が知られている。図6は、従来のライブラリ装置の外観斜視図の一例である。
【0003】
図6に示すように、従来のライブラリ装置200は、データカートリッジを水平姿勢で収容する複数のセル280を有するマガジン260と、データカートリッジ内の記録媒体に対してデータの読み取りや書き込みを行うドライブ装置250と、データカートリッジの搬送を行うアクセッサ装置240とを有している。2つのマガジン260はセル280の開口部が対向する方向に配置されている。アクセッサ装置240には、データカートリッジの出し入れを行うピッカー機構(不図示)を有し、そのピッカー機構を回転させるためのスイベル機構(不図示)が設けられている。
【0004】
一般に、ライブラリ装置のデータカートリッジを運ぶアクセッサ装置は、データカートリッジをドライブ装置やセルから引き出したり戻したりするが、この時、データカートリッジの保持力やデータカートリッジとドライブ装置又はセルの抵抗に負けないくらいの力で引いたり押したりすることになる。よって、アクセッサ装置には、これらの力に負けないくらいの剛性が必要であり、そうした剛性がないとデータカートリッジをドライブ装置やセルから引き出したり戻したりすることができない場合が生じる。
【0005】
また、ライブラリ装置の高さが高くなると、アクセッサ装置によるデータカートリッジの引き出しや戻し動作において、上記の力関係によりアクセッサ装置が倒れる場合があるので、それらの動作を安定して行うために、ガイドを備えた構造が発案されている(特許文献2の図3参照)。こうした構造は、従来に比べ、余分な構造を追加することになるため、ライブラリ装置全体として、構造上の複雑化や大規模化につながる。
【0006】
また、特許文献1のアクセッサ装置では、ガイドを無くても安定したデータカートリッジの引き出しや戻し動作を実現するため、アクセッサ装置の剛性を更に高めた構造になっている。こうした構造は、従来に比べ、アクセッサ装置の重量化や使用材質の限定につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−209282号公報
【特許文献2】特開平11−167757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さて、ライブラリ装置には、データカートリッジを大量に収納するためにセルを多段階にして高層化した構造のものあるが、最近のライブラリ装置には、コンパクト化や軽量化が求められるので、上記のようなガイドを設けることや剛性を高めることは、これらのコンパクト化や軽量化において問題となる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ライブラリ装置のコンパクト化、及び、軽量化を実現し、かつ、データカートリッジの引き出しや戻し動作を安定して行えるライブラリ装置、及び、アクセッサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、アクセッサ装置を備えたライブラリ装置であって、ライブラリ装置には、互いに平行に形成され、かつ、略直方体形状であるライブラリ装置内の同一面には存在しない第1の軌道及び第2の軌道が備えられており、アクセッサ装置の所定の部位のそれぞれが、ライブラリ装置内の第1の軌道及び第2の軌道に嵌合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ライブラリ装置のコンパクト化、及び、軽量化が実現し、かつ、データカートリッジの引き出しや戻し動作を安定して行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るライブラリ装置の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るライブラリ装置の内部構造斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るアクセッサ装置の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るアクセッサ装置のトッププレートの凹凸形状を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係るアクセッサ装置のトッププレートとライブラリ装置のトップカバー及びサイドカバーとの構造を示した図である。
【図6】従来のライブラリ装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るライブラリ装置100の外観斜視図である。ライブラリ装置100は、上部をトップカバー110で、側面の一部をサイドカバー120で覆われている。なお、この実施形態では、トップカバー110は、逆U字型の形状になっている。
【0015】
図2は、本発明の実施形態に係るライブラリ装置100の内部構造斜視図である。ライブラリ装置100の内部がわかるように、トップカバー110とサイドカバー120を外してある。ライブラリ装置100は、アクセッサ装置140と、ドライブ装置150と、マガジン160及び170で構成されている。
【0016】
アクセッサ装置140は、矢印方向に移動し、マガジン160及び170に収納されているデータカートリッジをドライブ装置150に搬送し、ドライブ装置150に挿入する。ドライブ装置150では、データカートリッジ内の記録媒体に対してデータの読み取りや書き込みを行う。そして、データの読み取りや書き込みが行われたデータカートリッジは、アクセッサ装置140によって、マガジン160及び170のいずれかのセルに搬送され、収納される。
【0017】
アクセッサ装置140の移動については、ライブラリ装置100の底面に、レールのようなものが敷設されており、アクセッサ装置140は、それに沿って移動を行う。また、マガジン160及び170には、セルが多段階に装備されているので、各セルのデータカートリッジにアクセスするため、アクセッサ装置140内に、上下移動するピッカー機構(不図示)が備えられている。
【0018】
図3は、本発明の実施形態に係るアクセッサ装置140の斜視図である。アクセッサ装置140の上部には、トッププレート145が備え付けられている。このトッププレート145は、ライブラリ装置100に対する側面側端面が折り曲げてられており、その面には外側に凸、内側に凸の組合せが、前後方向に2ヵ所設けてある(図3のA部分)。なお、この実施形態では、外側に凸、内側に凸の組合せが、前後方向に2ヵ所設けてあるが、その個数や場所は、限定されるものではない。
【0019】
図4は、本発明の実施形態に係るアクセッサ装置140のトッププレート145の凹凸形状を示した図である。この凹凸形状は、アクセッサ装置140がライブラリ装置100内を移動した場合、トッププレート145がトップカバー110及びサイドカバー120と接する際に生じる摩擦力を少なくするための構造になっている。なお、この摩擦力に関しては、図5にて詳細に説明する。
【0020】
図5は、本発明の実施形態に係るアクセッサ装置140のトッププレート145とライブラリ装置100のトップカバー110及びサイドカバー120との構造を示した図である。図5は、図2におけるアクセッサ装置140の移動方向(図2の矢印)から見た、アクセッサ装置140の上部及びライブラリ装置100の上部付近の断面図になっている。
【0021】
図2で説明した通り、アクセッサ装置140は、ライブラリ装置100内を図2の矢印方向に移動する。この時、図5に示したように、アクセッサ装置140のトッププレート145は、ライブラリ装置100のトップカバー110及びサイドカバー120にて形成される溝部に嵌合した状態にある。そして、トップカバー110及びサイドカバー120には、ガイドシート131及び132が貼ってある。このガイドシート131及び132は、材質がPET(ポリエチレンテレフタラートの略)やフッ素樹脂等のプラスチックシートである。これによって、アクセッサ装置140がライブラリ装置100内を移動した場合、アクセッサ装置140のトッププレート145とライブラリ装置100のトップカバー110やサイドカバー120とが擦れるが、その際に生じる金属同士の擦れを防ぐことができる。
【0022】
アクセッサ装置140は、ドライブ装置やセルに対するデータカートリッジの引き出しや戻し動作において、図5の矢印Aや矢印Bの方向に力がかかるため、アクセッサ装置140のトッププレート145が矢印Aや矢印Bの方向に動くことになる。データカートリッジをドライブ装置やセルから引き出すと、矢印Aの方向に動き、データカートリッジをドライブ装置やセルに戻すと、矢印Bの方向に動くことになる。アクセッサ装置140のトッププレート145がこれらの矢印方向に動いた時、ライブラリ装置100のトップカバー110及びサイドカバー120にてガイドされ、アクセッサ装置140はそれ以上動けなくなり、データカートリッジを引き出す力や戻す力にアクセッサ装置140が負けなくなる。即ち、アクセッサ装置140のトッププレート145でガイドすることで、アクセッサ装置140の倒れを防ぐことができる。
【0023】
なお、図5に示したように、アクセッサ装置140のトッププレート145が、ライブラリ装置100のトップカバー110及びサイドカバー120にて形成される溝部に嵌合した状態にあるが、この溝部は、ライブラリ装置100内部の側面部に形成されている。この構造は、ライブラリ装置100全体をコンパクトにするためのものであり、上記の溝部をライブラリ装置100内部の上面部に備え付けることは、装置のコンパクト化において好ましくない。
【0024】
また、この実施形態では、アクセッサ装置140のトッププレート145(断面)は、L字を180度回転した形状で、ライブラリ装置100のトップカバー110及びサイドカバー120にて形成される部分(断面)は、溝形状である。しかしながら、アクセッサ装置140のトッププレート145が、ライブラリ装置100のトップカバー110とサイドカバー120の両方、或いは、一方にてガイドされる構造で、アクセッサ装置140の倒れを防ぐことができることができれば、それらの構造に限定を加えるものではない。
【0025】
本発明によれば、部品の追加を殆どせず、部品の形状変更だけで、アクセッサ装置の倒れを防止することができる。また、このようなアクセッサ装置の倒れ防止が実現できれば、アクセッサ装置のベースや柱の強度もあまり必要なくなり、軽量化が達成され、並びに、剛性のある材料を使用する必要もなくなる。また、アクセッサ装置のトッププレートをライブラリ装置のトップカバー及びサイドカバーで形成される溝部等に嵌合する構造なので、ライブラリ装置全体のコンパクト化及び軽量化を達成することができる。また、上記の様々な効果により、これまでに比べてライブラリ装置を安価に作製することができる。
【0026】
以上、実施例を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明は、趣旨、及び、その範囲から逸脱することなく、これらの実施例や具体例に様々な修正、及び、変更が可能である。
【符号の説明】
【0027】
100 ライブラリ装置
110 トップカバー
120 サイドカバー
140 アクセッサ装置
145 トッププレート
150 ドライブ装置
160 マガジン
170 マガジン
200 ライブラリ装置
240 アクセッサ装置
250 ドライブ装置
260 マガジン
280 セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセッサ装置を備えたライブラリ装置であって、
前記ライブラリ装置には、互いに平行に形成され、かつ、略直方体形状である前記ライブラリ装置内の同一面には存在しない第1の軌道及び第2の軌道が備えられており、
前記アクセッサ装置の所定の部位のそれぞれが、前記ライブラリ装置内の前記第1の軌道及び前記第2の軌道に嵌合している
ことを特徴とするライブラリ装置。
【請求項2】
前記第1の軌道は、前記アクセッサ装置が前記ライブラリ装置内を移動する際、移動方向を規制する規制手段である
ことを特徴とする請求項1記載のライブラリ装置。
【請求項3】
前記第2の軌道に嵌合する前記アクセッサ装置の所定の部位には、1組の凹凸の形状が少なくとも1つ以上形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のライブラリ装置。
【請求項4】
前記第2の軌道は、前記ライブラリ装置の側面部、及び/又は上面部、をカバーする部品によって形成される溝形状である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のライブラリ装置。
【請求項5】
前記溝形状には、前記アクセッサ装置の所定の部位が接する部分に、擦れ防止シートが貼られている
ことを特徴とする請求項4記載のライブラリ装置。
【請求項6】
ライブラリ装置内を移動するアクセッサ装置であって、
前記ライブラリ装置内に、互いに平行に形成され、かつ、略直方体形状である前記ライブラリ装置内の同一面には存在しない第1の軌道及び第2の軌道に嵌合する所定の部位を有する
ことを特徴とするアクセッサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−212494(P2012−212494A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78556(P2011−78556)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(302069930)NECエンベデッドプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】