説明

ライブラリ装置およびライブラリ装置制御方法

【課題】ライブラリ装置で使用する記憶媒体の世代管理の負担の増加を抑制する。
【解決手段】変換部1aは、ホストコンピュータ2から送信される読み書きの要求を受け付け、媒体名変換情報記憶部1dに記憶されているホストコンピュータ2から送信される読み書きの要求において記憶媒体1fを特定する仮想媒体名と当該ライブラリ装置1で記憶媒体1fを特定する実媒体名とを関連付ける媒体名変換情報に基づいて読み書きの要求で示された仮想媒体名を実媒体名に変換する。搬送機構制御部1bは、変換部1aにより変換された実媒体名に従って搬送機構部1cが記憶媒体1fをドライブ1eに搬送するように制御する。搬送機構部1cは、記憶媒体1fを搬送する。ドライブ1eは、ホストコンピュータ2から送信される読み書きの要求に応じて搬送機構部1cにより搬送された記憶媒体1fに対してデータの読み書きを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、ライブラリ装置およびライブラリ装置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の磁気テープ(MT:Magnetic Tape)等の記憶媒体と、複数のドライブと、ドライブを制御するライブラリ制御部を有し、大量のデータを保存すると共にデータの利用時に提供するライブラリ装置が知られている。このライブラリ装置は、ホストコンピュータ等の上位装置からの要求に応じて所定の記憶媒体をドライブにマウントし、マウントした記憶媒体にホストコンピュータ等の上位装置の命令に従ってデータの読み書きを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−139635号公報
【特許文献2】特開2007−310618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなライブラリ装置では、データの数年から数十年以上といった長期間の外部保管を目的とした運用も多く行われている。しかし、保存のために記憶するデータ量の増大やデータの提供時間の延長に伴う大容量化・高速化の要求から、テープフォーマット等の記憶媒体の仕様拡張が頻繁に行われるため、記憶媒体の寿命が短くなる傾向にある。例えば、テープドライブにおける下位互換については、下位1世代のテープについては読み書き可能、下位2世代のテープについては読み出しのみ可能、下位3世代以前は読み書きいずれも不可、というように、記憶媒体の世代間の互換性が限定的である場合が多い。
【0005】
このため、データの長期保存を希望するユーザは、記憶媒体について定期的な世代移行を行っていく必要がある。ここで、記憶媒体に記憶されているデータを新たな記憶媒体に移行する場合には、移行処理に要する人的リソース、設備的リソースおよび時間的リソースの負担が大きいという問題点がある。また、バックアップ用の記憶媒体の内容を示すボリュームの管理情報と実際の記憶媒体の記憶データとの整合性の維持を図る必要があるという問題点がある。また、新規格の記憶媒体の導入および新規格のドライブの導入の際に、記憶媒体やドライブの対応付けを更新して管理する必要があるという問題点がある。
【0006】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、記憶媒体の世代管理の負担の増加を抑制するライブラリ装置およびライブラリ装置制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために以下のようなライブラリ装置が提供される。このライブラリ装置は、記憶媒体のデータの読み書きの要求を受け付け、記憶媒体に対してデータの読み書きを実行する。このライブラリ装置では、媒体名変換情報記憶部は、読み書きの要求において記憶媒体を特定する仮想媒体名と、ライブラリ装置で記憶媒体を特定する実媒体名とを関連付ける媒体名変換情報を記憶する。搬送機構部は、記憶媒体を搬送する。ドライブは、受け付けた読み書きの要求に応じて搬送機構部により搬送された記憶媒体に対してデータの読み書きを行う。変換部は、読み書きの要求を受け付け、媒体名変換情報記憶部に記憶されている媒体名変換情報に基づいて受け付けた読み書きの要求で示された仮想媒体名を実媒体名に変換する。搬送機構制御部は、変換部により変換された実媒体名に従って、搬送機構部が記憶媒体をドライブに搬送するように制御する。
【0008】
また、上記目的を達成するために以下のようなライブラリ装置制御方法が提供される。このライブラリ装置制御方法は、記憶媒体のデータの読み書きの要求を受け付け、記憶媒体に対してデータの読み書きを実行するライブラリ装置を制御する。このライブラリ装置制御方法では、変換部が、読み書きの要求を受け付け、媒体名変換情報記憶部に記憶されている読み書きの要求において記憶媒体を特定する仮想媒体名と、ライブラリ装置で記憶媒体を特定する実媒体名とを関連付ける媒体名変換情報を記憶する媒体名変換情報記憶部に基づいて読み書きの要求で示された仮想媒体名を実媒体名に変換する。搬送機構制御部が、変換部により変換された実媒体名に従って、搬送機構部が記憶媒体をドライブに搬送するように制御する。ドライブが、受け付けた要求に応じて搬送機構部により搬送された記憶媒体に対してデータの読み書きを行う。
【発明の効果】
【0009】
開示のライブラリ装置およびライブラリ装置制御方法によれば、仮想媒体名で記憶媒体の読み書きの要求を受け付け、仮想媒体名を実媒体名に変換し、実媒体名で記憶媒体の搬送を制御する。これにより、記憶媒体の実媒体名に変更があっても仮想媒体名を維持でき、記憶媒体の世代管理の負担の増加を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態のライブラリ装置を示す図である。
【図2】第2の実施の形態のライブラリ装置を示す図である。
【図3】第2の実施の形態のライブラリ制御部の機能を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態の世代互換性テーブルを示す図である。
【図5】第2の実施の形態の媒体名変換テーブルを示す図である。
【図6】第2の実施の形態のドライブ処理テーブルを示す図である。
【図7】第2の実施の形態のライブラリ装置の動作を示す図である。
【図8】第2の実施の形態のホストコンピュータの搬送指示および実際の搬送処理におけるテープおよびドライブの対応関係を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図10】第2の実施の形態の移行処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態のライブラリ装置を示す図である。本実施の形態のライブラリ装置1は、ホストコンピュータ2と通信回線で接続されている。ライブラリ装置1は、変換部1a、搬送機構制御部1b、搬送機構部1c、媒体名変換情報記憶部1d、ドライブ1e、記憶媒体1fを有する。
【0012】
変換部1aは、ホストコンピュータ2から送信されるデータの読み書きの要求を受け付け、媒体名変換情報記憶部1dに記憶されている媒体名変換情報に基づいて、ホストコンピュータ2からの読み書きの要求で示された仮想媒体名を記憶媒体1fの実媒体名に変換する。ライブラリ装置1では、記憶媒体1fは実媒体名を用いて搬送や読み書きの制御が行われる。一方、ホストコンピュータ2やホストコンピュータ2を使用するユーザでは、記憶媒体1fは仮想媒体名で特定される。変換部1aは、ホストコンピュータ2からの記憶媒体1fに関する読み書きの要求を仮想媒体名で受け付け、実媒体名に変換し、記憶媒体1fに関する読み書きの要求の処理において実媒体名でライブラリ装置1を制御する。
【0013】
搬送機構制御部1bは、搬送機構部1cを制御して搬送機構部1cに記憶媒体1fを搬送させる。搬送機構制御部1bは、変換部1aにより変換された実媒体名に従って搬送機構部1cが記憶媒体1fをドライブ1eに搬送するように制御する。
【0014】
搬送機構部1cは、搬送機構制御部1bの制御に基づいて、記憶媒体1fを図示しない媒体収納棚からドライブ1eに搬送すると共に、ドライブ1eから媒体収納棚に搬送する。
【0015】
媒体名変換情報記憶部1dは、ホストコンピュータ2から送信される読み書きの要求において記憶媒体1fを特定する仮想媒体名と当該ライブラリ装置1で記憶媒体1fを特定する実媒体名とを関連付ける媒体名変換情報を記憶する。
【0016】
ドライブ1eは、ホストコンピュータ2から送信される読み書きの要求に応じて搬送機構部1cにより搬送された記憶媒体1fに対してデータの読み書きを行う。
このように、ライブラリ装置1では、変換部1aは、媒体名変換情報に基づいてホストコンピュータ2からの読み書きの要求で示された仮想媒体名を記憶媒体1fの実媒体名に変換する。これにより、ライブラリ装置1の外部では、記憶媒体1fが実想媒体名で管理され、ライブラリ装置1の内部では、記憶媒体1fが仮想媒体名で管理することができ、記憶媒体1fのデータを他の記憶媒体に移し替えても仮想媒体名を引き継ぐことができるので、記憶媒体1fの世代管理の負担の増加を抑制することができる。
【0017】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態のライブラリ装置を示す図である。図2に示すライブラリ装置100は、LTO方式のライブラリ装置であり、ライブラリ制御部110、ドライブ120、搬送機構部130、カートリッジテープ収納棚140を有する。また、ライブラリ装置100は、LAN等の通信回線でホストコンピュータ200、管理用端末装置300と接続されている。
【0018】
ライブラリ装置100は、ホストコンピュータ200が有するテープ141(例えば、141a)に対するデータの読み書きの要求に応じて、テープ141aを搬送機構部130によりカートリッジテープ収納棚140から取得してドライブ120に搬送し、テープ141aをドライブ120にマウントさせる。そして、ライブラリ装置100は、ドライブ120にマウントされたテープ141aのデータに対して、ホストコンピュータ200からの要求に応じてデータの読み書きを行う。そして、ライブラリ装置100は、データの読み書きの完了後に、ドライブ120からテープ141aを排出させ、搬送機構部130にテープ141aをカートリッジテープ収納棚140の元の位置に収納させる。なお、本実施の形態のライブラリ装置100では、記憶媒体としてLTO方式の磁気テープを用いるが、これに限らず、CD(Compact Disc)−R/W(ReWritable)、DVD(Digital Versatile Disc)−R/W、DVD−RAM(Random Access Memory)等の光ディスク、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気ディスク、大容量半導体メモリ等の記憶媒体を用いてもよい。
【0019】
ライブラリ制御部110は、ホストコンピュータ200の要求に応じてライブラリ装置100の各部を制御する。またライブラリ制御部110は、カートリッジテープ収納棚140に収納されているテープ141に関する情報を管理する。ライブラリ制御部110は、ボリューム管理部111、搬送機構制御部112、I/F(インタフェース)変換部113を有する。
【0020】
ボリューム管理部111は、カートリッジテープ収納棚140に収納されているテープ141を識別する識別情報、テープ141に記憶されている内容を示す情報等を管理する。
【0021】
搬送機構制御部112は、ホストコンピュータ200から送信されI/F変換部113を介して受信した要求を、搬送機構部130に送信することにより搬送機構部130への動作指示を行う。この動作指示に基づいて搬送機構部130が動作する。また搬送機構制御部112は、搬送機構部130の動作結果をI/F変換部113に対して送信する。この動作結果に基づいて、ホストコンピュータ200の要求に対する応答がホストコンピュータ200に対して送信される。
【0022】
I/F変換部113は、規定のインタフェース規約にのっとってホストコンピュータ200との通信を行う。ホストコンピュータ200から送信された要求は、このI/F変換部113で解釈され、ボリューム管理部111、搬送機構制御部112に伝えられる。またI/F変換部113は、ホストコンピュータ200からの要求に対してライブラリ装置100内で処理された結果を示す応答を、ホストコンピュータ200に対して送信する。
【0023】
ドライブ120は、ホストインタフェースからの指示によりテープ141aに対するデータの書き込み、読み取りを行う。搬送機構部130は、ホストコンピュータ200の要求に基づく搬送機構制御部112の指示により、カートリッジテープ収納棚140とドライブ120の間でテープを搬送する。搬送機構部130は、ライブラリ装置100の起動時、テープ141aの投入時、またはユーザの指示による任意のタイミングで、バーコードリーダ131によりカートリッジテープ収納棚140内をスキャンしてテープに貼り付けられたバーコードを読み取ることにより、テープ141の有無を確認し、確認結果をライブラリ制御部110に送信する。ボリューム管理部111は、確認結果を取得してテープを管理する情報の作成や更新を行う。
【0024】
搬送機構部130は、ライブラリ制御部110の指示に基づいてテープ141aを把持して搬送する。搬送機構部130は、バーコードリーダ131を有する。バーコードリーダ131は、テープ141aに付されているバーコードを読み取り、テープ名等のテープに関する情報を取得する。
【0025】
カートリッジテープ収納棚140は、テープ141a,141b等の複数のテープ141を、それぞれ所定の位置に収納する。カートリッジテープ収納棚140に収納されているテープ141は、マウント履歴、記録データ量、エラー情報等の統計情報を記憶する非接触型ICタグであるカートリッジメモリを有する。テープ141には、既定の命名ルールに基づいて作成したバーコードラベルが貼り付けられ、カートリッジテープ収納棚140に収納される。各テープの位置は定められており、テープ141aの使用後は使用前と同一の位置に収納される。また、テープ141には、ユーザが設定したルールに基づいて読み書きに使用可能なドライブ120と対応関係が設定される。
【0026】
ホストコンピュータ200は、記憶しているデータを使用して業務処理を実行する。また、ホストコンピュータ200は、ライブラリ装置100に対してテープ141aに対するデータの読み書きの要求を行う。
【0027】
管理用端末装置300は、ライブラリ装置100のユーザがルール、テープやボリュームの管理に使用する情報の設定、更新に使用する。
図3は、第2の実施の形態のライブラリ制御部の機能を示すブロック図である。本実施の形態のライブラリ装置100が有するライブラリ制御部110は、上記のようにボリューム管理部111、搬送機構制御部112、I/F変換部113を有すると共に、情報記憶部114を有する。また、情報記憶部114は、世代互換性情報記憶部114a、媒体名変換情報記憶部114b、ドライブ処理情報記憶部114c、ドライブ名変換情報記憶部114dを有する。
【0028】
ボリューム管理部111は、管理者による管理用端末装置300の操作に基づいて、情報記憶部114が有する世代互換性情報記憶部114aに記憶されている世代互換性情報、媒体名変換情報記憶部114bに記憶されている媒体名変換情報、ドライブ処理情報記憶部114cに記憶されているドライブ処理情報、ドライブ名変換情報記憶部114dに記憶されているドライブ名変換情報を設定または更新する。
【0029】
また、ボリューム管理部111は、移行元のテープに記憶されているすべてのデータを移行先のテープに移行するデータ移行を実行する場合には、移行元のテープの仮想媒体名を移行先のテープの仮想媒体名と関連付けるように、媒体名変換情報記憶部114bに記憶されている媒体名変換情報を更新する。ここで、データ移行は、詳しくは図10で後述する移行処理において実行される。
【0030】
搬送機構制御部112は、データ移行を実行する場合には、搬送機構部130が最新の世代のテープを移行先のテープとしてドライブ120に搬送するように制御する。
搬送機構制御部112は、搬送機構部130を制御する。搬送機構制御部112は、ホストコンピュータ200からテープ141aに対するデータの読み書きの要求があった場合、I/F変換部113により変換された実媒体名に従って搬送機構部130がテープ141aを、I/F変換部113により変換された実ドライブ名で特定されるドライブ120に搬送するように制御する。
【0031】
また、搬送機構制御部112は、データ移行の終了後に、移行元のテープが収納されていたカートリッジテープ収納棚140の位置に移行後のテープを収納するように搬送機構部130を制御する。
【0032】
また、搬送機構制御部112は、ホストコンピュータ200の読み書きの要求に応じて、またはデータ移行の実行の際に、テープ141a等の各テープに対して読み書きを行う場合には、世代互換性情報記憶部114aに記憶されている世代互換性情報を参照して、搬送機構部130が、テープの読み書きに使用可能なドライブ120のうちの最新の世代のドライブにテープを搬送するように制御する。
【0033】
I/F変換部113は、ホストコンピュータ200から送信される読み書きの要求を受け付け、媒体名変換情報記憶部114bに記憶されている媒体名変換情報に基づいて、ホストコンピュータ200からの読み書きの要求で示された仮想媒体名をテープ141の実媒体名に変換する。
【0034】
また、I/F変換部113は、読み書きの要求を受け付け、ドライブ名変換情報記憶部に記憶されているドライブ名変換情報に基づいて読み書きの要求で示されたドライブ名をドライブ120の実ドライブ名に変換する。
【0035】
また、I/F変換部113は、媒体名変換情報記憶部114bに記憶されている媒体名変換情報に基づいて読み書きの要求に基づく読み書きに使用したテープ141aの実媒体名を仮想媒体名に変換して、読み書きの要求に対する報告をホストコンピュータ200に送信する。
【0036】
世代互換性情報記憶部114aは、各世代のドライブがどの世代のテープの読み書きに使用可能であるか否かを示す世代互換性情報を記憶する。
媒体名変換情報記憶部114bは、ホストコンピュータ200から送信される読み書きの要求においてそれぞれのテープを特定する仮想媒体名とライブラリ装置100でそれぞれのテープを特定する実媒体名とを関連付ける媒体名変換情報を記憶する。
【0037】
ドライブ処理情報記憶部114cは、読み書きの要求に応じて、現在データの読み書きを行っているテープ141aの仮想媒体名および実媒体名を示すドライブ処理情報を記憶する。
【0038】
ドライブ名変換情報記憶部114dは、読み書きの要求においてドライブを特定する仮想ドライブ名と当該ライブラリ装置でドライブを特定する実ドライブ名とを関連付けるドライブ名変換情報を記憶する。
【0039】
ドライブ120は、ホストコンピュータ200から送信される読み書きの要求に応じて搬送機構部130により搬送されたテープ141aに対してデータの読み書きを行う。ドライブ120は、複数の世代のテープに応じた複数の世代のドライブを有している。
【0040】
本実施の形態では、ホストコンピュータ200によるデータの読み書きの要求に応じて、テープ141aは搬送機構部130により、141aに記憶されているデータの読み書きに使用可能な世代のうち最新の世代のドライブに搬送される。そして、テープ141aは、使用可能な世代のドライブのうち最新の世代のドライブによりデータの読み書きが行われる。
【0041】
搬送機構部130は、搬送機構制御部112の制御に基づいて、読み書きに使用するテープ141aをカートリッジテープ収納棚140からドライブ120に搬送する。また、搬送機構部130は、読み書きが終了したテープ141aを、ドライブ120からカートリッジテープ収納棚140に搬送して所定の位置に収納する。
【0042】
カートリッジテープ収納棚140は、ライブラリ装置100の内部に設けられており、ライブラリ装置100で使用するテープを収納する棚である。各テープがそれぞれ所定の位置に収納される。カートリッジテープ収納棚140には、ライブラリ装置100で使用可能な複数の世代のテープが収納されている。
【0043】
図4は、第2の実施の形態の世代互換性テーブルを示す図である。図4に示す世代互換性テーブル114a1は、ライブラリ制御部110が有する世代互換性情報記憶部114aに記憶されており、ユーザによる管理用端末装置300の操作等に基づきライブラリ制御部110のボリューム管理部111によって作成および管理されている。世代互換性テーブル114a1は、ライブラリ装置100で使用されるテープ141とドライブ120の対応関係を定義する世代互換性情報を記憶するテーブルである。
【0044】
世代互換性テーブル114a1には、項目としてテープ141およびドライブ120のそれぞれに対して世代“LTO1”、“LTO2”、“LTO3”、“LTO4”が設けられている。また、テープ141およびドライブ120の世代の各組み合わせにおいて“write”、“read”が設けられている。世代互換性テーブル114a1において、各項目の横方向に並べられた情報同士が世代互換性情報として互いに関連付けられている。
【0045】
LTO方式の場合、ドライブの世代における下位互換については、同一世代および下位1世代のテープについては読み書きがいずれも可能、下位2世代のテープについては読み出しのみ可能、下位3世代以前は読み書きいずれも不可であるものとする。
【0046】
テープ141およびドライブ120の世代の組み合わせにおいて、データの書き込みが可能である場合には、“write”に“1”が設定され、データの書き込みが不可である場合には、“write”に“0”が設定される。同様に、データの読み出しが可能である場合には、“read”に“1”が設定され、データの読み出しが不可である場合には、“write”に“0”が設定される。
【0047】
例えば、テープ141の世代が“LTO1”であり、ドライブ120の世代が“LTO1”である場合には、テープとドライブとの世代が同一であり、読み書きがいずれも可能であるため、“write”に“1”が設定され、“read”に“1”が設定される。テープ141の世代が“LTO1”であり、ドライブ120の世代が“LTO3”である場合には、テープ141の世代がドライブの世代と比べて2世代下位であり、テープ141への書き込みは不可でありテープ141からの読み込みは可能であるため、“write”に“0”が設定され、“read”に“1”が設定される。テープ141の世代が“LTO2”であり、ドライブ120の世代が“LTO1”である場合には、テープ141の方がドライブよりも世代が上位であり、テープ141への読み書きがいずれも不可であるため、“write”に“0”が設定され、“read”に“0”が設定される。
【0048】
図5は、第2の実施の形態の媒体名変換テーブルを示す図である。図5に示す媒体名変換テーブル114b1は、ライブラリ制御部110が有する媒体名変換情報記憶部114bに記憶されており、ユーザによる管理用端末装置300の操作等に基づきライブラリ制御部110のボリューム管理部111によって作成および管理されている。媒体名変換テーブル114b1は、ホストコンピュータ200で用いられる仮想媒体名とテープの実媒体名とを互いに変換する媒体名変換情報を記憶するテーブルである。
【0049】
媒体名変換テーブル114b1には、項目として“仮想媒体名”、“実媒体名”が設けられている。媒体名変換テーブル114b1において、各項目の横方向に並べられた情報同士が媒体名変換情報として互いに関連付けられている。
【0050】
仮想媒体名は、ライブラリ装置100で使用されるテープ141をホストコンピュータ200やユーザが仮想テープとして識別するために、テープ141に対して割り当てられた名称である。仮想媒体名は、各時点においてはテープに対して一意に割り当てられるが、テープの世代交代に伴う、テープに記憶されているデータの移行や廃棄および交換等により、変更される場合がある。データが記憶されているテープに関する仮想媒体名の変更では、ホストコンピュータ200やユーザで変更を意識することなくライブラリ装置100を使用可能にするために、データの移行先のテープにはデータの移行元に割り当てられていた仮想媒体名が引き継がれる。
【0051】
実媒体名は、ライブラリ装置100で使用されるテープ141をライブラリ装置100が実際のテープとして識別するために、テープ141に対して割り当てられた名称である。実媒体名は、テープに対して一意に割り当てられ、原則として変更されない。実媒体名は、テープが有するバーコードラベルやカートリッジメモリに記録されおり、ドライブ120や搬送機構部130によって読み取ることが可能である。
【0052】
テープ141の仮想媒体名および実媒体名は、媒体名変換情報を用いてI/F変換部113により相互に変換される。例えば、ホストコンピュータ200からライブラリ制御部110に対して、データを読み出す要求と共に読み出し対象の仮想媒体名が送信された場合、I/F変換部113は、媒体名変換情報記憶部114bに記憶されている媒体名変換テーブル114b1を参照して、仮想媒体名を対応する実媒体名に変換し、変換した実媒体名によりライブラリ装置100を制御する。ライブラリ制御部110からホストコンピュータ200に対して、要求に対する応答を送信する場合、I/F変換部113は、媒体名変換情報記憶部114bに記憶されている媒体名変換テーブル114b1を参照して、実媒体名を対応する仮想媒体名に変換し、変換した仮想媒体名によりホストコンピュータ200に応答する。
【0053】
また、図3において前述した、仮想ドライブ名と実ドライブ名とを対応付けるドライブ名変換情報は、媒体名変換テーブル114b1と同様に構成されたドライブ名変換テーブルに記憶される。このドライブ名変換テーブルについては説明を省略する。
【0054】
図6は、第2の実施の形態のドライブ処理テーブルを示す図である。図6に示すドライブ処理テーブル114c1は、ライブラリ制御部110が有するドライブ処理情報記憶部114cに記憶されており、ライブラリ装置100が有するドライブ120に対するテープ141のマウント等に基づきライブラリ制御部110のボリューム管理部111によって作成および管理されている。ドライブ処理テーブル114c1は、ドライブ120にマウントされデータの読み書き処理が行われるテープ141の仮想媒体名および実媒体名を示すドライブ処理情報を記憶するテーブルである。
【0055】
ドライブ処理テーブル114c1には、項目として“仮想媒体名”、“実媒体名”が設けられている。ドライブ処理テーブル114c1において、各項目の横方向に並べられた情報同士がドライブ処理情報として互いに関連付けられている。
【0056】
仮想媒体名は、現在ドライブ120にマウントされているテープ141の仮想媒体名である。実媒体名は、現在ドライブ120にマウントされているテープ141の実想媒体名である。
【0057】
ドライブ処理情報は、テープ141のドライブ120へのマウントにより、媒体名変換情報に基づいて取得された仮想媒体名および実媒体名が設定される。また、ドライブ処理情報は、テープ141がドライブ120から排出されると削除される。
【0058】
次に、ホストコンピュータ200が仮想媒体名により行ったテープの搬送の要求に基づくライブラリ装置100における搬送処理を説明する。
図7は、第2の実施の形態のライブラリ装置の動作を示す図である。図8は、第2の実施の形態のホストコンピュータの搬送指示および実際の搬送処理におけるテープおよびドライブの対応関係を示す図である。本実施の形態のライブラリ装置100の動作を図7および図8に従って説明する。
【0059】
ここで、本実施の形態のライブラリ装置100では、ライブラリ装置100で使用されるテープ141は、LTO1、LTO2、LTO3の3世代が併用されるものとする。ライブラリ装置100で使用されるドライブ120は、LTO1、LTO2、LTO3の3世代とし、世代毎にドライブを2台ずつ使用するものとする。
【0060】
また、管理者により、ホストコンピュータ200側において認識されるテープ141の仮想媒体名ならびに仮想ドライブの台数および仮想ドライブ名が設定されているものとする。ホストコンピュータ200で設定されている仮想テープ202は、すべてLTO1であるものとする。また、ホストコンピュータ200において設定されている仮想ドライブ201は、LTO1の1世代のもの2台であるものとする。
【0061】
なお、仮想テープ202の世代は実テープの世代と一致している必要はなく、任意で設定することができる。同様に、仮想ドライブ201の世代は実ドライブの世代と一致している必要はなく、任意で設定することができる。
【0062】
図7に示すように、ライブラリ装置100の管理者は、管理用端末装置300を使用して、ライブラリ装置100で使用されるドライブ120について、ライブラリ装置100において特定に使用される実ドライブ名およびホストコンピュータ200において特定に使用される仮想ドライブ名を、ドライブ名変換情報に登録する。また、管理者は、ライブラリ装置100で特定に使用されるテープの実媒体名およびホストコンピュータ200で特定に使用される仮想媒体名を媒体名変換情報に登録すると共に、テープの交換が行われる場合等、必要に応じて媒体名変換情報に登録されているテープの仮想媒体名を更新する。
【0063】
本実施の形態では、図8に示すように、ホストコンピュータ200の要求で示されるテープが既にデータが記憶されている既存テープであるか、データが書き込まれていない新規テープであるかにより、実際に行われる搬送処理が異なる。
【0064】
本実施の形態のライブラリ制御部110は、ホストコンピュータ200から既存テープの読み書きの要求があった場合には、要求で示されている既存テープに対する読み書きに使用可能なドライブのうち最新世代のドライブを、テープの読み書きに使用するドライブとして決定する。また、ライブラリ制御部110は、ホストコンピュータ200から新規テープを使用する要求や、テープを特定しない要求があった場合には、最新世代の空きテープを読み書きに使用するテープとして決定すると共に、決定したテープの読み書きに使用可能な最新世代のドライブを読み書きに使用するドライブとして決定する。
【0065】
まず、既存テープの読み書きが要求された場合について説明する。例えば、テープ141aは、仮想テープ202に対応する実テープであってLTO2の既存テープであったものとする。また、ホストコンピュータ200から、仮想上はLTO1である仮想テープ202の読み書きについてLTO1の仮想ドライブ201を使用して行う旨の要求が送信されたものとする。この要求に対してライブラリ装置100は、媒体名変換情報に基づいて仮想テープ202を示す仮想媒体名を実媒体名に変換する。そして、実媒体名で示されるテープ141aを、上記のように決定した使用する世代のドライブに搬送するように搬送機構部130を制御する。ここで、テープ141aはLTO2であるため、読み書き使用可能であるドライブのうち最新世代のドライブは、世代互換性情報に基づいてLTO2のドライブとなる。
【0066】
次に、新規テープの読み書きが要求された場合について説明する。例えば、テープ141bは、仮想テープ202に対応する実テープであってLTO3の新規テープであったものとする。また、ホストコンピュータ200から、仮想上はLTO1である仮想テープ202の読み書きについてLTO1の仮想ドライブ201を使用して行う旨の要求が送信されたものとする。この要求に対してライブラリ装置100は、媒体名変換情報に基づいて仮想テープ202を示す仮想媒体名を実媒体名に変換する。ここで、上記のように新規に使用するテープには最新の世代のテープが決定される。この決定において、最新世代であるLTO3のテープ141bが、読み書きに使用するテープに決定されたものとする。そして、実媒体名で示されるテープ141bを、上記のように新規テープを使用するドライブとして決定した世代のドライブに搬送するように搬送機構部130を制御する。ここで、テープ141bはLTO3であるため、読み書き使用可能であるドライブのうち最新世代のドライブは、世代互換性情報に基づいてLTO3のドライブとなる。
【0067】
これらに基づき、ライブラリ制御部110は、各テープに応じた実媒体名で搬送機構部130を制御して、テープの読み書きに使用する世代のドライブにテープを搬送させる。搬送されたテープは搬送先のドライブでホストコンピュータ200の要求に応じた読み書きが行われる。
【0068】
図9は、第2の実施の形態の処理の流れを示すシーケンス図である。以下では、図9に示す本実施の形態のライブラリ装置100においてホストコンピュータ200からの要求に応じてデータの読み書きを行う場合に、テープのマウント時に実行される処理手順について、シーケンス図のステップ番号に沿って説明する。
【0069】
[ステップS11]ホストコンピュータ200は、ライブラリ装置100に対して、読み書きを行うテープを仮想媒体名で示したマウント要求を送信する。
[ステップS12]I/F変換部113は、ステップS11でホストコンピュータ200から送信されたマウント要求を受信する。
【0070】
[ステップS13]I/F変換部113は、ステップS12で受信したマウント要求で示されたテープが新規であるかまたは既存であるかを判定する。マウント要求で示されたテープが新規であれば(ステップS13 YES)、処理はステップS14に進められる。一方、マウント要求で示されたテープが既存であれば(ステップS13 NO)、処理はステップS18に進められる。
【0071】
ここで、テープが新規であるかまたは既存であるかは、例えば、媒体名変換テーブル114b1に、要求された仮想媒体名が設定されているか否かに基づいて判定する。要求された仮想媒体名が媒体名変換テーブル114b1に設定されていなければ、テープは新規と判定することができる。一方、要求された仮想媒体名が設定されていれば、テープは既存であると判定することができる。また、要求に仮想媒体名が含まれていない場合には、テープは新規であると判定してもよい。
【0072】
[ステップS14]I/F変換部113は、テープの読み書きに使用するドライブを決定する。本実施の形態では、新規テープとして、図7および図8において前述したように、最新世代のテープ(例えば、LTO3)が使用される。また、テープの読み書きに使用するドライブは、前述したようにテープの世代に基づいて、読み書き可能な最新世代のドライブ(例えば、LTO3)が使用するドライブに決定される。
【0073】
[ステップS15]搬送機構制御部112は、搬送機構部130がテープをステップS14で決定されたドライブにマウントするように、搬送機構部130を制御する。これに基づいて、搬送機構部130によりテープが決定されたドライブにマウントされる。
【0074】
[ステップS16]ボリューム管理部111は、マウントされたテープの実媒体名を取得し、取得したテープの実媒体名とテープの仮想媒体名とに基づいて媒体名変換情報を生成して、媒体名変換テーブル114b1に追加する。
【0075】
[ステップS17]ボリューム管理部111は、マウントされたテープの実媒体名を取得し、取得したテープの実媒体名とテープの仮想媒体名とに基づいてドライブ処理情報を生成して、ドライブ処理テーブル114c1に追加する。
【0076】
[ステップS18]I/F変換部113は、ステップS12で受信したマウント要求に示されている仮想媒体名を、媒体名変換情報に基づいて実媒体名に変換する。
[ステップS19]I/F変換部113は、ステップS13で既存であると判定されたテープの読み書きに使用するドライブを決定する。既存であるテープの世代は、ステップS18で変換された実媒体名が示すテープの世代(例えば、LTO1)となる。また、テープの読み書きに使用するドライブについては、図7および図8において前述したようにテープの世代に基づいて、既存テープに対する読み書きが可能な最新世代のドライブ(例えば、LTO2)が使用するドライブに決定される。
【0077】
[ステップS20]搬送機構制御部112は、搬送機構部130がテープをステップS19で決定されたドライブにマウントするように、搬送機構部130を制御する。これに基づいて、搬送機構部130によりテープが決定されたドライブにマウントされる。
【0078】
[ステップS21]ボリューム管理部111は、マウントされたテープの実媒体名を取得し、取得したテープの実媒体名とテープの仮想媒体名とに基づいてドライブ処理情報を生成してドライブ処理テーブル114c1に追加する。
【0079】
[ステップS22]搬送機構制御部112は、テープのドライブへのマウントの完了を確認すると、I/F変換部113を介してマウント完了報告をホストコンピュータ200に送信する。このとき、マウント完了報告は、I/F変換部113により、媒体名変換情報に基づいて実媒体名は仮想媒体名に変換され、実ドライブ名は仮想ドライブ名に変換される。その後、マウント完了報告は、I/F変換部113により、ホストコンピュータ200に転送される。その後、ライブラリ装置100におけるマウント時の処理を終了する。
【0080】
[ステップS23]ホストコンピュータ200は、ライブラリ装置100からマウント完了報告を受信する。その後、ホストコンピュータ200におけるマウント時の処理を終了する。これにより、ホストコンピュータ200は、ドライブにマウントされたテープについて読み書きの処理を要求することが可能になる。
【0081】
その後、ホストコンピュータ200によるデータの読み書きが終了すると、ライブラリ制御部110は、ドライブからテープを排出させ、搬送機構部130を制御してテープをカートリッジテープ収納棚140の所定の位置に収納させる。
【0082】
図10は、第2の実施の形態の移行処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態のライブラリ装置100は、データが記憶されている古い世代のテープのすべてのデータを、新しい世代のテープにコピーして移行するデータ移行を図る場合、管理者の指示や一定期間の経過、新しい世代のテープの投入等の契機により移行処理を実行する。以下では、図10に示す移行処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0083】
[ステップS31]I/F変換部113は、データが記憶されている古い世代のテープである移行元テープおよびデータがコピーされる未使用の新しい世代のテープである移行先テープを決定する。このとき、移行元テープは一例として、ドライブが旧式であり廃棄の予定がある、または同世代のテープの入手が困難である等の理由により世代交代の対象となった世代のテープが選択される。また、移行元テープは管理者が指定し、ライブラリ装置100は指定に基づいて移行元テープを決定してもよい。また、移行先テープについては、最新世代のテープが使用されるテープに決定される。
【0084】
[ステップS32]I/F変換部113は、移行元テープの読み書きに使用するドライブおよび移行先テープの読み書きに使用するドライブを決定する。この移行元テープおよび移行先テープの読み書きに使用するドライブについては、それぞれ各テープの読み書き可能な最新世代のドライブが決定される。
【0085】
[ステップS33]搬送機構制御部112は、搬送機構部130が移行元テープをステップS32で決定された移行元テープの読み書きに使用するドライブにマウントするように、搬送機構部130を制御する。これに基づいて、搬送機構部130により移行元テープが、移行元テープの読み書きに使用するドライブにマウントされる。
【0086】
[ステップS34]搬送機構制御部112は、搬送機構部130が移行先テープをステップS32で決定された移行先テープの読み書きに使用するドライブにマウントするように、搬送機構部130を制御する。これに基づいて、搬送機構部130により移行先テープが、移行先テープの読み書きに使用するドライブにマウントされる。
【0087】
[ステップS35]ドライブ120は、移行元テープから移行先テープにデータをコピーする。このとき、移行元テープの読み書きに使用するドライブにステップS33でマウントされた移行元テープからデータが読み出され、読み出されたデータが移行先テープの読み書きに使用するドライブにステップS34でマウントされた移行先テープに書き込まれる。
【0088】
[ステップS36]搬送機構制御部112は、ステップS35のデータのコピーが完了すると、移行元テープが格納されていたカートリッジテープ収納棚140の位置に移行先テープを搬送する。これにより、移行先テープが移行元テープの位置に格納される。なお、移行元テープは、廃棄してもよく、カートリッジテープ収納棚140の他の位置に格納してもよい。
【0089】
[ステップS37]ボリューム管理部111は、媒体名変換情報に示されている移行先テープの実媒体名を、移行先テープの実媒体名で書き換えて更新する。その後、移行処理を終了する。これにより、以後、ホストコンピュータ200から移行元テープの要求があった場合、ライブラリ装置100では移行先テープを使用して要求に応じた処理が実行されると共に、移行元テープと同一の仮想媒体名でホストコンピュータ200に応答する。このため、ライブラリ装置100でテープの世代交代を行った後も、ホストコンピュータ200側でテープの世代交代の影響やデータの更新処理を行うことなく要求や応答の確認を行うことができる。
【0090】
なお、本実施の形態では、単一の規格(LTO方式)の複数の世代の磁気テープおよびドライブを使用する場合について説明しているが、これに限らず、他のDLT(Digital Linear Tape)、DDS(Digital Data Storage)等の他の規格の磁気テープを使用してもよく、これらを混在して使用してもよい。また、異なる規格について、または異なる規格の世代間で優先順位を設定することにより、移行処理においてこれらの異なる規格間で、または異なる規格の異なる世代の磁気テープの間でデータを移行させてもよい。
【0091】
また、本実施の形態では、磁気テープおよび磁気テープ用のドライブを使用する場合について説明しているが、これに限らず、CD−R/W、DVD−R/W、DVD−RAM等の光ディスク、HDD等の磁気ディスク、大容量半導体メモリ等の記憶媒体を用いてもよく、さらにこれらを混在して使用してもよい。また、移行処理においてこれらの異なる記憶媒体の間でデータを移行させてもよい。
【0092】
このように、第2の実施の形態のライブラリ装置100では、I/F変換部113がホストコンピュータ200の要求を受け付け、媒体名変換情報に基づいて要求で示された仮想媒体名を実媒体名に変換する。そして、搬送機構制御部112は、実媒体名でテープの搬送を制御する。これにより、古い世代のテープのデータを新しい世代のテープに移行させた等により、ライブラリ装置100でテープの実媒体名が変更された場合にも、ホストコンピュータ200ではテープの仮想媒体名を変更する必要がない。このため、テープの世代管理の負担の増加を抑制することができる。
【0093】
また、ボリューム管理部111が移行元のテープに記憶されているすべてのデータを移行先のテープに移行するデータ移行を実行する場合には、媒体名変換情報により移行元のテープの仮想媒体名を移行先のテープの仮想媒体名と関連付ける。これにより、ライブラリ装置100で古い世代のテープのデータを新しい世代のテープに移行させた場合に、媒体名変換情報においてライブラリ装置100で使用される仮想媒体名が更新されるので、テープの世代管理の負担の増加を抑制することができる。
【0094】
また、搬送機構制御部112は、データ移行を実行する場合には、搬送機構部130が最新の世代のテープを移行先のテープとしてドライブ120に搬送するように制御する。これにより、データ移行の際にテープの世代交代を図ることができる。
【0095】
また、搬送機構制御部112は、データ移行の終了後にカートリッジテープ収納棚140において移行元のテープが収納されていた位置に移行後のテープを収納するように搬送機構部130を制御する。これにより、データ移行の際にカートリッジテープ収納棚140におけるテープの位置を入れ替えることができる。
【0096】
また、搬送機構制御部112は、テープに読み書きを行う場合には、搬送機構部130が、読み書きに使用可能なドライブのうちの最新の世代のドライブにテープを搬送するように制御する。これにより、ライブラリ装置100において古い世代のドライブの使用頻度を低下させ、ドライブの世代交代を促進することができる。
【0097】
また、I/F変換部113は、媒体名変換情報に基づいてホストコンピュータ200からの要求で読み書きを行ったテープの実媒体名を仮想媒体名に変換して要求に対する報告を送信する。これにより、ライブラリ装置100で古い世代のテープのデータを新しい世代のテープに移行させた場合にも、ホストコンピュータ200ではテープの仮想媒体名を変更する必要がないため、テープの世代管理の負担の増加を抑制することができる。
【0098】
また、I/F変換部113は、ホストコンピュータ200からの要求を受け付け、ドライブ名変換情報に基づいて要求で示されたドライブ名をドライブの実ドライブ名に変換する。これにより、ライブラリ装置100でドライブの実ドライブが変更された場合にも、ホストコンピュータ200ではテープの仮想ドライブ名を変更する必要がないため、ドライブの世代管理の負担の増加を抑制することができる。
【0099】
以上説明した第1の実施の形態および第2の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 記憶媒体のデータの読み書きの要求を受け付け、前記記憶媒体に対して前記データの読み書きを実行するライブラリ装置において、
読み書きの要求において記憶媒体を特定する仮想媒体名と、当該ライブラリ装置で記憶媒体を特定する実媒体名とを関連付ける媒体名変換情報を記憶する媒体名変換情報記憶部と、
記憶媒体を搬送する搬送機構部と、
受け付けた読み書きの要求に応じて前記搬送機構部により搬送された記憶媒体に対してデータの読み書きを行うドライブと、
前記読み書きの要求を受け付け、前記媒体名変換情報記憶部に記憶されている前記媒体名変換情報に基づいて前記受け付けた読み書きの要求で示された仮想媒体名を実媒体名に変換する変換部と、
前記変換部により変換された実媒体名に従って、前記搬送機構部が前記記憶媒体を前記ドライブに搬送するように制御する搬送機構制御部と、
を有することを特徴とするライブラリ装置。
【0100】
(付記2) 移行元の記憶媒体に記憶されているデータを移行先の記憶媒体に移行するデータ移行を実行する場合には、前記移行元の記憶媒体の仮想媒体名を前記移行先の記憶媒体の仮想媒体名と関連付けるように、前記媒体名変換情報記憶部に記憶されている前記媒体名変換情報を更新する管理部を有することを特徴とする付記1記載のライブラリ装置。
【0101】
(付記3) 複数の世代の記憶媒体を使用可能であり、
前記搬送機構制御部は、前記データ移行を実行する場合には、前記搬送機構部が最新の世代の記憶媒体を前記移行先の記憶媒体として前記ドライブに搬送するように前記搬送機後部を制御することを特徴とする付記2記載のライブラリ装置。
【0102】
(付記4) 記憶媒体がそれぞれ所定の位置に収納される収納部を有し、
前記搬送機構制御部は、前記データ移行の終了後に、前記移行元の記憶媒体が収納されていた前記収納部の位置に前記移行後の記憶媒体を収納するように前記搬送機構部を制御することを特徴とする付記2記載のライブラリ装置。
【0103】
(付記5) 複数の世代の記憶媒体を使用可能であり、
複数の世代の記憶媒体に応じた複数の世代のドライブを有しており、
各世代のドライブをどの世代の記憶媒体の読み書きに使用可能であるか否かを示す世代互換性情報を記憶する世代互換性情報記憶部を有し、
前記搬送機構制御部は、記憶媒体に読み書きを行う場合には、世代互換性情報に応じて、前記搬送機構部が当該記憶媒体の読み書きに使用可能なドライブのうちの最新の世代のドライブに前記記憶媒体を搬送するように制御し、
前記最新の世代のドライブは、前記要求に応じて前記搬送機構部により搬送された記憶媒体に対してデータの読み書きを行うことを特徴とする付記1記載のライブラリ装置。
【0104】
(付記6) 前記変換部は、前記媒体名変換情報記憶部に記憶されている前記媒体名変換情報に基づいて前記要求で読み書きを行った前記記憶媒体の前記実媒体名を前記仮想媒体名に変換して前記読み書きの要求に対する報告を送信することを特徴とする付記1記載のライブラリ装置。
【0105】
(付記7) 前記読み書きの要求においてドライブを特定する仮想ドライブ名と当該ライブラリ装置でドライブを特定する実ドライブ名とを関連付けるドライブ名変換情報を記憶するドライブ名変換情報記憶部を有し、
前記変換部は、前記読み書きの要求を受け付け、前記ドライブ名変換情報記憶部に記憶されている前記ドライブ名変換情報に基づいて前記読み書きの要求で示されたドライブ名を実ドライブ名に変換し、
前記搬送機構制御部は、前記搬送機構部が前記記憶媒体を、前記変換部により変換された実ドライブ名で特定されるドライブに搬送するように制御することを特徴とする付記1記載のライブラリ装置。
【0106】
(付記8) 記憶媒体のデータの読み書きの要求を受け付け、前記記憶媒体に対して前記データの読み書きを実行するライブラリ装置を制御するライブラリ装置制御方法において、
変換部が、読み書きの要求を受け付け、媒体名変換情報記憶部に記憶されている読み書きの要求において記憶媒体を特定する仮想媒体名と、当該ライブラリ装置で記憶媒体を特定する実媒体名とを関連付ける媒体名変換情報を記憶する媒体名変換情報記憶部に基づいて前記読み書きの要求で示された仮想媒体名を実媒体名に変換し、
搬送機構制御部が、前記変換部により変換された実媒体名に従って、搬送機構部が前記記憶媒体をドライブに搬送するように制御し、
前記ドライブが、前記受け付けた要求に応じて前記搬送機構部により搬送された記憶媒体に対してデータの読み書きを行う、
ことを特徴とするライブラリ装置制御方法。
【符号の説明】
【0107】
1 ライブラリ装置
1a 変換部
1b 搬送機構制御部
1c 搬送機構部
1d 媒体名変換情報記憶部
1e ドライブ
1f 記憶媒体
2 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体のデータの読み書きの要求を受け付け、前記記憶媒体に対して前記データの読み書きを実行するライブラリ装置において、
読み書きの要求において記憶媒体を特定する仮想媒体名と、当該ライブラリ装置で記憶媒体を特定する実媒体名とを関連付ける媒体名変換情報を記憶する媒体名変換情報記憶部と、
記憶媒体を搬送する搬送機構部と、
受け付けた読み書きの要求に応じて前記搬送機構部により搬送された記憶媒体に対してデータの読み書きを行うドライブと、
前記読み書きの要求を受け付け、前記媒体名変換情報記憶部に記憶されている前記媒体名変換情報に基づいて前記受け付けた読み書きの要求で示された仮想媒体名を実媒体名に変換する変換部と、
前記変換部により変換された実媒体名に従って、前記搬送機構部が前記記憶媒体を前記ドライブに搬送するように制御する搬送機構制御部と、
を有することを特徴とするライブラリ装置。
【請求項2】
移行元の記憶媒体に記憶されているデータを移行先の記憶媒体に移行するデータ移行を実行する場合には、前記移行元の記憶媒体の仮想媒体名を前記移行先の記憶媒体の仮想媒体名と関連付けるように、前記媒体名変換情報記憶部に記憶されている前記媒体名変換情報を更新する管理部を有することを特徴とする請求項1記載のライブラリ装置。
【請求項3】
複数の世代の記憶媒体を使用可能であり、
前記搬送機構制御部は、前記データ移行を実行する場合には、前記搬送機構部が最新の世代の記憶媒体を前記移行先の記憶媒体として前記ドライブに搬送するように前記搬送機後部を制御することを特徴とする請求項2記載のライブラリ装置。
【請求項4】
記憶媒体がそれぞれ所定の位置に収納される収納部を有し、
前記搬送機構制御部は、前記データ移行の終了後に、前記移行元の記憶媒体が収納されていた前記収納部の位置に前記移行後の記憶媒体を収納するように前記搬送機構部を制御することを特徴とする請求項2記載のライブラリ装置。
【請求項5】
複数の世代の記憶媒体を使用可能であり、
複数の世代の記憶媒体に応じた複数の世代のドライブを有しており、
各世代のドライブをどの世代の記憶媒体の読み書きに使用可能であるか否かを示す世代互換性情報を記憶する世代互換性情報記憶部を有し、
前記搬送機構制御部は、記憶媒体に読み書きを行う場合には、世代互換性情報に応じて、前記搬送機構部が当該記憶媒体の読み書きに使用可能なドライブのうちの最新の世代のドライブに前記記憶媒体を搬送するように制御し、
前記最新の世代のドライブは、前記要求に応じて前記搬送機構部により搬送された記憶媒体に対してデータの読み書きを行うことを特徴とする請求項1記載のライブラリ装置。
【請求項6】
記憶媒体のデータの読み書きの要求を受け付け、前記記憶媒体に対して前記データの読み書きを実行するライブラリ装置を制御するライブラリ装置制御方法において、
変換部が、読み書きの要求を受け付け、媒体名変換情報記憶部に記憶されている読み書きの要求において記憶媒体を特定する仮想媒体名と、当該ライブラリ装置で記憶媒体を特定する実媒体名とを関連付ける媒体名変換情報を記憶する媒体名変換情報記憶部に基づいて前記読み書きの要求で示された仮想媒体名を実媒体名に変換し、
搬送機構制御部が、前記変換部により変換された実媒体名に従って、搬送機構部が前記記憶媒体をドライブに搬送するように制御し、
前記ドライブが、前記受け付けた要求に応じて前記搬送機構部により搬送された記憶媒体に対してデータの読み書きを行う、
ことを特徴とするライブラリ装置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−209901(P2011−209901A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75769(P2010−75769)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】