説明

ライブラリ装置

【課題】ライブラリ装置の背面側にマガジンを拡張するスペースを確保できるライブラリ装置を提供する。
【解決手段】ライブラリ装置に電気を供給する電源手段3と、コンピュータが読み取り可能な媒体を複数収容可能な媒体収容手段6と、媒体に対して読み出し及び書き込みを行う媒体読み書き手段1と、媒体収容手段と媒体読み書き手段の間で媒体の移送を行う媒体移送手段5と、ライブラリ装置の動作を制御する制御手段2と、電源手段及び制御手段のそれぞれを押し込むことで電気的に接続でき、引き出すことでその接続を解除できる第1の接続手段4,12と、を有し、ライブラリ装置の側面のいずれかに沿って、電源手段、第1の接続手段及び制御手段が配置され、第1の接続手段は、電源手段と制御手段の間に1つ配置され、電源手段及び制御手段に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体を複数収容するとともに、収容した記録媒体の読み出しや書き込みを行うライブラリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータが読み取り可能な記録媒体を複数収容するとともに、収容した記録媒体の読み出しや書き込みを行うライブラリ装置として、例えば特許文献1に開示されているものがある。この特許文献1にも示されている、本発明に関連するライブラリ装置の構成例を図3に示す。図3は、ライブラリ装置を上方から見た図(上面図)である。
【0003】
図3に示すライブラリ装置では、背面側に、バックボード4を介して電気的に接続されたドライブ装置1、制御装置2及び電源装置3が配置されている。これらの装置1〜3はバックボード4に直接接続されており、背面側からの着脱が自在となっている。図3では、各装置1〜3を図中の矢印方向へ抜き出すことができる。制御装置1は1つのバックボード4に接続されているが、ドライブ装置1と電源装置3は1つのバックボード4を共有している。
【0004】
また、図3に示すライブラリ装置では、両側の側面(第1の側面と第2の側面)に、マガジン6がそれぞれ装着される。マガジン6は、複数のセル(破線で区切られた部分)を有しており、1つのセル毎に媒体7(例えば磁気テープを包装したカートリッジ)を1つ収容している。これらの媒体はマガジン6に対して着脱自在であり、また、マガジン6はライブラリ装置に対して着脱自在である。マガジン6は前面側からの着脱が自在となっている。
【0005】
また、図3に示すライブラリ装置では、2つのマガジン6の間にアクセッサ機構5が設けられている。アクセッサ機構5は、2つのマガジン6の間において、前面(正面)側から背面側へ又は背面側から前面側へ(図中の矢印方向)の移動が可能である。アクセッサ機構5は、例えば所定の媒体について読み出し又は書き込みの指示があった場合、その媒体の移送を行う。すなわち、アクセッサ機構5は、制御装置2からの指示に従って、指定された媒体7をマガジン6から抜き出し、ドライブ装置1へ移送し、そのスロット10へ差し込む。媒体7の読み出し又は書き込みが終わると、アクセッサ機構5は、ドライブ装置1から媒体7を抜き出し、収容元のマガジン6へ移送し、収容元のセルへ差し込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−217938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図3に示すライブラリ装置の構成では、背面側において、ドライブ装置1、制御装置2、電源装置3が並んで配置され、かつ、それら3つの装置で使用するためのバックボード4が2つ配置されているため、背面側にスペースがない。背面側にスペースがないと、以下の問題がある。
【0008】
まず、マガジン6は、ライブラリ装置の奥行き方向(前面側から背面側への方向)においてその長さが制限される。図3の例では、マガジン6の長さはライブラリ装置の奥行き方向の長さのほぼ半分となっており、それ以上の長さのマガジンは利用できない。つまり、マガジン6の長さが制限されるため、収容できる媒体7の数も制限されてしまい、それ以上収容数を増やすことができないという問題がある。
【0009】
また、アクセッサ機構5の可動範囲も、ライブラリ装置の奥行き方向において制限される。図3の例では、アクセッサ機構5の可動範囲も、ライブラリ装置の奥行き方向の長さのほぼ半分となっており、それ以上背面側方向へは可動できない。つまり、アクセッサ機構5の可動範囲が制限されるため、アクセッサ機構5が背面側まで移動することはできず、前面側から背面側までの可動範囲を必要とするディープセル方式(マガジンにおいて1つのセルに複数の媒体を収容する方式)を採用しても、媒体の収容数を増やすことができないという問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ライブラリ装置の背面側にマガジンを拡張するスペースを確保できるライブラリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明のライブラリ装置は、ライブラリ装置に電気を供給する電源手段と、コンピュータが読み取り可能な媒体を複数収容可能な媒体収容手段と、媒体に対して読み出し及び書き込みを行う媒体読み書き手段と、媒体収容手段と媒体読み書き手段の間で媒体の移送を行う媒体移送手段と、ライブラリ装置の動作を制御する制御手段と、電源手段及び制御手段のそれぞれを押し込むことで電気的に接続でき、引き出すことでその接続を解除できる第1の接続手段と、を有し、ライブラリ装置の側面のいずれかに沿って、電源手段、第1の接続手段及び制御手段が配置され、第1の接続手段は、電源手段と制御手段の間に1つ配置され、電源手段及び制御手段に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ライブラリ装置の背面側にマガジンを拡張するスペースを確保できるライブラリ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るライブラリ装置の構成例を示す上面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るライブラリ装置の構成例を示す側面図及び背面図である。
【図3】本発明に関連するライブラリ装置の構成例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態であるライブラリ装置を上方から見た図(上面図)である。図2は、本発明の一実施形態であるライブラリ装置を側面及び背面から見た図(側面図)であり、(a)は図1に示す第1の側面から見た図であり、(b)は図1に示す第2の側面から見た図であり、(c)は図1に示す背面から見た図である。なお、図2(b)ではアクセッサ機構5の図示を省略している。
【0015】
本実施形態のライブラリ装置は、ドライブ装置1、制御装置2、電源装置3、バックボード4、アクセッサ機構5、マガジン6、媒体7、LANコネクタ8、フロントパネル9を有する。
【0016】
マガジン6は、媒体収容手段の一例である。このマガジン6は、複数のセル(破線で区切られた部分)を有しており、1つのセル毎に媒体7を2つ収容している。すなわち本実施形態では、ディープセル方式が採用されている。本実施形態では、マガジン6は、図2(b)に示すように、ライブラリ装置の上下方向に3段のディープセルを備え、ライブラリ装置の奥行き方向に5列のディープセルを備えている。また、マガジン6はライブラリ装置に対して着脱自在である。着脱はライブラリ装置の前面(正面)側から行われる。
【0017】
媒体7は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、例としては、磁気テープを包装したカートリッジが挙げられる。この媒体7は、マガジン6に対して着脱自在である。
【0018】
アクセッサ機構5は、媒体移送手段の一例である。このアクセッサ機構5は、前面側から背面側へ又は背面側から前面側への移動(ライブラリ装置の奥行き方向での移動。図1中の両矢印方向)が可能である。ライブラリ装置の奥行き方向におけるアクセッサ機構5の可動範囲は、図1に示すように前面と背面の間となっている。また、アクセッサ機構5は、ライブラリ装置の上部側から下部側へ又は下部側から上部側への移動(ライブラリ装置の上下方向での移動。図2(b)中の両矢印方向)が可能である。ライブラリ装置の上下方向におけるアクセッサ機構5の可動範囲は、ライブラリ装置の上面と底面の間となっている。アクセッサ機構5は、例えば所定の媒体について読み出し又は書き込みの指示があった場合、その媒体の移送を行う。すなわち、アクセッサ機構5は、制御装置2からの指示に従って、指定された媒体7をマガジン6から抜き出し、ドライブ装置1へ移送し、そのスロット10へ差し込む。媒体7の読み出し又は書き込みが終わると、アクセッサ機構5は、ドライブ装置1のスロット10から媒体7を抜き出し、収容元のマガジン6へ移送し、収容元のセルへ差し込む。なお、ディープセル方式では、指定された媒体7がセルの奥側に収容されている場合、そのセルの手前に収容されている媒体を空きセルに一時的に退避させる退避動作が必要となるが、アクセッサ機構5はその退避動作も行う。
【0019】
ドライブ装置1は、媒体読み書き手段の一例である。このドライブ装置1は、スロット10に差し込まれた媒体7に対し、データの読み出し又はデータの書き込みを行う。本実施形態では、図2(b)及び(c)に示すように、2つのドライブ装置1が上下に重なって配置されている。
【0020】
制御装置2は、制御手段の一例である。この制御装置2は、ライブラリ装置の動作を制御する。例えば、ユーザにより媒体7の読み出し指示を受けた場合、アクセッサ機構5に対しては媒体7の移送を行うように制御し、ドライブ装置1に対しては移送された媒体7の読み出しを行うように制御する。
【0021】
電源装置3は、電源手段の一例である。この電源装置3は、ライブラリ装置を動作させるための電気を供給する。
【0022】
バックボード4は、第1の接続手段の一例である。このバックボード4は、ライブラリ装置内の各装置(デバイス)を電気的に接続するコネクタである。制御装置2及び電源装置3は、バックボード4に対し、押し込まれることで直接接続され、また、引き出されることでその接続を解除できるようになっている。一方、後述するLANコネクタ8及びフロントパネル9のそれぞれはケーブルを介してバックボード4に接続されるようになっている。また、アクセッサ機構5は、フロントパネル9とケーブルで接続されるので、結果的にフロントパネル9を介してバックボード4に接続されることになる。また、バックボード4は、コネクタ11を介して、後述するバックボード12と電気的に接続されている。
【0023】
バックボード12は、第2の接続手段の一例である。このバックボード12も、ライブラリ装置内の各装置(デバイス)を電気的に接続するコネクタである。ドライブ装置1は、バックボード12に対し、押し込まれることで直接接続され、また、引き出されることでその接続を解除できるようになっている。また、バックボード12は、コネクタ11を介して、上述したバックボード4と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、バックボード4とバックボード12の2つに分けたが、それらをまとめて1つにしてもよい。
【0024】
LANコネクタ8は、ライブラリ装置をローカルエリアネットワークに接続可能なコネクタである。
【0025】
フロントパネル9は、ユーザに対して、各種操作を受け付けたり、各種情報を表示したりする。
【0026】
本実施形態のライブラリ装置は、図1及び図2(a)に示すように、制御装置2と電源装置3とが、2つある側面のうちの第1の側面に沿って配置されている。また、制御装置2と電源装置3の間にはバックボード4が配置されている。バックボード4の配置位置は、ライブラリ装置の奥行き方向において、ほぼ中央部分となっている。
【0027】
また、図1に示すように、第1の側面に沿って配置された制御装置2、バックボード4及び電源装置3の隣には、マガジン6が装着され、ドライブ装置1が配置されている。マガジン6と、電源装置3及びバックボード4との間には、バックボード12が配置されている。バックボード12とバックボード4は隣接して並列に配置されており、コネクタ11を介して電気的に接続されている。
【0028】
ドライブ装置1は、その背面が電源装置3の隣に位置するように配置されている。すなわち、ドライブ装置1は、スロット10における媒体7の出入口(抜き差し口)が第2の側面の方向を向くように設置される。また、マガジン6も、各ディープセルにおける媒体7の出入口(抜き差し口)が第2の側面の方向を向くように装着される。そして、スロット10における媒体7の出入口と各ディープセルにおける媒体7の出入口は、並列となっている。
【0029】
また、図1に示すように、第2の側面側にはアクセッサ機構5が設けられている。また、第2の側面に沿って、アクセッサ機構5の可動範囲(ライブラリ装置の奥行き方向における可動範囲)である空間が設けられている。上述したスロット10における媒体7の出入口と各ディープセルにおける媒体7の出入口はこの空間の方を向いており、アクセッサ機構5はそれらの出入口から媒体7の抜き差しを行う。
【0030】
また、図1において、バックボード4には制御装置2と電源装置3が電気的に接続されている。制御装置2と電源装置3は、バックボード4に対して着脱(押し込み、引き出し)自在であり、バックボード4に直接接続される。制御装置1は、ライブラリ装置の前面から、バックボード4に押し込まれることで接続される。また、接続されている制御装置1を前面方向(図1中の矢印方向)へ引き出すことができる。これにより接続が解除される。また、電源装置3は、ライブラリ装置の背面から、バックボード4に押し込まれることで接続される。また、接続されている電源装置3を背面方向(図1中の矢印方向)へ引き出すことができる。これにより接続が解除される。
【0031】
また、図1において、バックボード12にはドライブ装置1が電気的に接続されている。ドライブ装置1は、バックボード12に対して着脱(押し込み、引き出し)自在であり、バックボード12に直接接続される。ドライブ装置1は、ライブラリ装置の背面から、バックボード12に押し込まれることで接続される。また、接続されているドライブ装置1を背面方向(図1中の矢印方向)へ引き出すことができる。これにより接続が解除される。
【0032】
なお、本実施形態では、制御装置2と電源装置3とを、第1の側面に沿うように配置したが、第2の側面に沿うように配置してもよい。また、本実施形態では、制御装置2を前面側、電源装置3を背面側に配置したが、これらを逆にして、電源装置3を前面側、制御装置2を背面側に配置してもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、従来ライブラリ装置の背面側に設置されていた制御装置2及び電源装置3を、ライブラリ装置の側面に沿って配置するとともに、制御装置2及び電源装置3に共通のバックボード4を設け、そのバックボード4を制御装置2と電源装置3との間に設ける構成を特徴とする。この構成により、ライブラリ装置の奥行き方向において、従来の構成(例えば図3)よりも、マガジンを拡張するスペースを確保できる。そのため、収容するマガジンの長さを長くできるので、収容する媒体の数を増やすことができる。また、アクセッサ機構を前面から背面まで可動するようにできるので、ディープセル方式を採用して、収容する媒体の数を増やすことができる。
【0034】
また、図3のような構成では複数のバックボードを別々に離れて設けることでそれらを繋ぐケーブルが必要であったが、本実施形態では複数のバックボードを隣接するように設けているので、そのケーブルを備える必要がない。
【0035】
また、本実施形態では、ライブラリ装置の前面と背面から、内蔵する装置を着脱可能としているので、保守の利便性が高まる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ドライブ装置
2 制御装置
3 電源装置
4 バックボード
5 アクセッサ機構
6 マガジン
7 媒体
8 LANコネクタ
9 フロントパネル
10 スロット
11 コネクタ
12 バックボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライブラリ装置に電気を供給する電源手段と、
コンピュータが読み取り可能な媒体を複数収容可能な媒体収容手段と、
前記媒体に対して読み出し及び書き込みを行う媒体読み書き手段と、
前記媒体収容手段と前記媒体読み書き手段の間で前記媒体の移送を行う媒体移送手段と、
前記ライブラリ装置の動作を制御する制御手段と、
前記電源手段及び前記制御手段のそれぞれを押し込むことで電気的に接続でき、引き出すことでその接続を解除できる第1の接続手段と、を有し、
前記ライブラリ装置の側面のいずれかに沿って、前記電源手段、前記第1の接続手段及び前記制御手段が配置され、
前記第1の接続手段は、前記電源手段と前記制御手段の間に1つ配置され、前記電源手段及び前記制御手段に接続されることを特徴とするライブラリ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ライブラリ装置の前面から前記第1の接続手段に押し込まれ、また、引き出されることを特徴とする請求項1記載のライブラリ装置。
【請求項3】
前記電源手段は、前記ライブラリ装置の背面から前記第1の接続手段に押し込まれ、また、引き出されることを特徴とする請求項1又は2記載のライブラリ装置。
【請求項4】
前記媒体読み書き手段を押し込むことで電気的に接続でき、引き出すことでその接続を解除でき、前記第1の接続手段と電気的に接続される第2の接続手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のライブラリ装置。
【請求項5】
前記媒体読み書き手段は、前記ライブラリ装置の背面から前記第2の接続手段に押し込まれ、また、引き出されることを特徴とする請求項4記載のライブラリ装置。
【請求項6】
前記電源手段、前記第1の接続手段及び前記制御手段が配置された側面に相対するもう1つの側面側には、前記媒体移送手段が前記ライブラリ装置の前面から背面まで移動可能な空間が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のライブラリ装置。
【請求項7】
前記媒体読み書き手段と前記媒体収容手段は、それぞれの媒体の抜き差し口が前記空間を向くように並んで配置され、
前記媒体収容手段は、一のセルに複数の媒体を収容可能なディープセル方式であることを特徴とする請求項6記載のライブラリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−204294(P2011−204294A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68052(P2010−68052)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】