説明

ラインインクジェットプリンター

【課題】ラインインクジェットヘッドをホーム位置、印刷位置に位置決めする動作制御を簡単かつ精度良く行うラインインクジェットプリンターを提案すること。
【解決手段】ラインインクジェットプリンター1では、ヘッドキャリッジ22の第1ヘッド側当接部22fとプリンター本体側の第1位置決め部48の当接によりホーム位置22Aが規定され、ヘッドキャリッジ22の第2ヘッド側当接部22dとプリンター本体側の第2位置決め部45の当接により印刷位置22Bが規定される。ヘッドキャリッジ22がホーム位置22Aに向けて旋回する場合には、ヘッドキャリッジ22がホーム位置22Aに到達した後はバネクラッチ41が作動し、それ以上、ヘッドキャリッジ22が旋回しない。紙詰まり後などの初期化動作では、ヘッドキャリッジ22をホーム位置22Aの方向に所定量旋回させるだけでよく、位置決め制御が簡単になり、位置検出用のセンサーも不要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインインクジェットヘッドをヘッドメンテナンス機構が配置されているホーム位置に待機させ、印刷時にはラインインクジェットヘッドを旋回させて印刷位置に位置決めして印刷動作を行わせるラインインクジェットプリンターに関し、特に、ラインインクジェットヘッドの旋回位置決め機構および制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ラインインクジェットプリンターとしては、印刷位置にあるラインインクジェットヘッドを所定方向に回転あるいは旋回させてヘッドキャップに対峙させたホーム位置(メンテナンス位置)に位置決めして、各インクノズルからインク液滴を吐出するフラッシングなどのヘッドメンテナンス動作を行うものが知られている。特許文献1、2にはこの種のラインインクジェットプリンターが開示されている。
【0003】
この種のラインインクジェットプリンターでは、ラインインクジェットヘッドがホーム位置にあるか否かをセンサーによって検出し、ホーム位置を基準としてラインインクジェットヘッドの位置を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−178526号公報
【特許文献2】特開2003−34037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、センサー出力に基づきラインインクジェットヘッドの位置決め制御を行う場合には、位置決め制御において常にセンサー出力が得られるまでラインインクジェットヘッドを旋回させる必要がある。例えば、紙詰まりなどの異常が発生した場合に、その回復後の初期化処理においてはセンサー出力が得られるまでラインインクジェットヘッドを旋回させる必要があり、正常動作時とは異なる動作シーケンスが必要になる。
【0006】
本発明の課題は、ラインインクジェットヘッドを旋回させてホーム位置および印刷位置に位置決めする動作制御を、位置検出用のセンサーを用いることなく、しかも、簡単な動作制御によって行い得るようにしたラインインクジェットプリンターを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のラインインクジェットプリンターは、
ラインインクジェットヘッドと、
前記ラインインクジェットヘッドを所定角度離れた印刷位置およびホーム位置に旋回させるヘッド旋回機構と、
前記印刷位置から前記ホーム位置に向けて旋回する前記ラインインクジェットヘッドの側の第1ヘッド側当接部に当接して、当該ラインインクジェットヘッドを前記ホーム位置に位置決めする第1位置決め部と、
前記ホーム位置から前記印刷位置に向けて旋回する前記ラインインクジェットヘッドの側の第2ヘッド側当接部に当接して、当該ラインインクジェットヘッドを前記印刷位置に位置決めする第2位置決め部とを有し、
前記ヘッド旋回機構は、前記ラインインクジェットヘッドを旋回させるための旋回力を伝達する動力伝達経路に介挿したトルクリミッターを備え、
当該トルクリミッターは、前記印刷位置から前記ホーム位置に向かう前記ラインインクジェットヘッドの旋回時の伝達トルクが設定トルクを超えると前記動力伝達経路を遮断状態に切り替えることを特徴としている。
【0008】
本発明の前記ヘッド旋回機構としては、ラインインクジェットヘッドのノズル面の向きを変えることなく、ラインインクジェットヘッドを旋回させる機構を採用することができる。この場合には、ラインインクジェットヘッドは印刷位置を規定するプラテンにノズル面が対峙した姿勢を保持したまま旋回する。
【0009】
また、本発明の前記トルクリミッターとしては小型で廉価なバネクラッチを用いることができる。
【0010】
本発明のラインインクジェットプリンターにおいては、第1ヘッド側当接部を第1位置決め部に当接させることによりラインインクジェットヘッドがホーム位置に位置決めされ、第2ヘッド側当接部を第2位置決め部に当接させることによりラインインクジェットヘッドが印刷位置に位置決めされる。また、ラインインクジェットヘッドがホーム位置に向けて旋回する場合には、第1ヘッド側当接部が第1位置決め部に当接した後はトルクリミッターによって旋回力を伝達する動力伝達経路が遮断され、それ以上、ラインインクジェットヘッドが旋回することはない。よって、電源オン時、紙詰まり後などの初期化動作においては、ラインインクジェットヘッドをホーム位置に向かう方向に旋回させて、上記の当接状態を形成すれば、ラインインクジェットヘッドをホーム位置に位置決めでき、ラインインクジェットヘッドの位置決め制御のためのセンサーが不要になる。
【0011】
したがって、本発明のラインインクジェットプリンターにおいて、前記ヘッド旋回機構を駆動して前記ラインインクジェットヘッドを前記印刷位置および前記ホーム位置に位置決めする位置決め制御手段は、前記ラインインクジェットヘッドを前記ホーム位置に位置決めする位置決め動作において、前記印刷位置にある前記ラインインクジェットヘッドが前記ホーム位置を超えた旋回位置まで旋回可能な旋回量となるように前記ヘッド旋回機構を駆動制御すればよい。
【0012】
すなわち、ラインインクジェットヘッドをホーム位置に戻す場合には、ラインインクジェットヘッドの旋回位置の如何に拘わりなく、印刷位置からホーム位置に戻るために必要な旋回量を超える旋回量となるようにヘッド旋回機構が駆動される。よって、確実にラインインクジェットヘッドをホーム位置に戻すことができる。また、例えば、紙詰まりの回復処理後の初期化処理において、ラインインクジェットヘッドがホーム位置近傍にある場合であっても、印刷位置からホーム位置に戻すために必要な旋回量を超える旋回量となるようにヘッド旋回機構が駆動されるが、トルクリミッターが作用するので、ラインインクジェットヘッドなどに過剰な力が作用して、これらの部位が破損するなどの弊害は発生しない。
【0013】
一方、前記位置決め制御手段は、前記ホーム位置にある前記ラインインクジェットヘッドを前記印刷位置に位置決めする位置決め動作においても、前記ホーム位置にある前記ラインインクジェットヘッドが前記印刷位置を超えた旋回位置まで旋回可能な旋回量となるように前記ヘッド旋回機構を駆動する。
【0014】
この場合には、ラインインクジェットヘッドがホーム位置にあることが分かっているので、旋回量としては、ホーム位置から印刷位置に旋回するために必要な旋回量を僅かに超える旋回量となるようにヘッド旋回機構を駆動することにより、ラインインクジェットヘッドを印刷位置に確実に位置決めすることができる。
【0015】
ここで、印刷位置に位置決めされたラインインクジェットヘッドを当該印刷位置に保持するために、前記印刷位置に位置決めされた前記ラインインクジェットヘッドの側の前記第2ヘッド側当接部を前記第2位置決め部に付勢する付勢部材を有していることが望ましい。
【0016】
このための付勢部材としては、弾性部材によって常に突出方向に付勢されているボールを備えたボールプランジャーを用いることができる。この場合には、前記ラインインクジェットヘッドの側に、当該ラインインクジェットヘッドが前記印刷位置に至ると前記ボールが押しつけられるボール当接面を形成しておけばよい。
【0017】
次に、本発明において、前記印刷位置および前記ホーム位置の間の前記ラインインクジェットヘッドの旋回角度を90度に設定することができる。例えば、ホーム位置が記録紙搬送路から側方に外れた位置に設定され、当該ホーム位置において、ラインインクジェットヘッド(インクノズル列)が記録紙搬送方向に平行となるように位置決めされる。このホーム位置から90度旋回した印刷位置においては、ラインインクジェットヘッド(インクノズル列)は記録紙搬送路の幅方向に平行となるように位置決めされる。
【0018】
また、前記ラインインクジェットヘッドは一般的にはヘッドキャリッジに搭載される。この場合には、前記ヘッド旋回機構は前記ヘッドキャリッジを旋回するように構成され、前記第1ヘッド側当接部および前記第2ヘッド側当接部は前記ヘッドキャリッジに形成しておけばよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のラインインクジェットプリンターにおいては、第1ヘッド側当接部を第1位置決め部に当接させることによりラインインクジェットヘッドがホーム位置に位置決めされ、第2ヘッド側当接部を第2位置決め部に当接させることによりラインインクジェットヘッドが印刷位置に位置決めされる。また、ラインインクジェットヘッドがホーム位置に向けて旋回する場合には、第1ヘッド側当接部が第1位置決め部に当接した後はトルクリミッターによって旋回力を伝達する動力伝達経路が遮断され、それ以上、ラインインクジェットヘッドが旋回することはない。よって、印刷位置からホーム位置に戻すために必要な旋回量を超える旋回量となるようにヘッド旋回機構を駆動すれば、ラインインクジェットヘッドを常にホーム位置に戻すことができる。したがって、本発明によれば、ラインインクジェットヘッドの位置決め制御のためにラインインクジェットヘッドの位置検出用のセンサーが不要になる。また、ラインインクジェットヘッドの旋回位置の如何に拘わりなく、常に同一の旋回制御動作によって、ラインインクジェットヘッドをホーム位置に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用したロール紙プリンターを示す外観斜視図である。
【図2】ロール紙プリンターの開閉蓋を開けた状態の外観斜視図である。
【図3】ロール紙プリンターの内部構造を示す概略縦断面図である。
【図4】ロール紙プリンターの内部のプリンター機構部を示す斜視図である。
【図5】ロール紙プリンターの一部を取り出して示す斜視図である。
【図6】ロール紙プリンターのラインインクジェットヘッドを示す説明図である。
【図7】ロール紙プリンターの基本動作を示すフローチャートである。
【図8】ロール紙プリンターのヘッド位置決め動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したラインインクジェットプリンターの実施の形態を説明する。
【0022】
[全体構成]
図1は本発明を適用したロール紙プリンターを示す外観斜視図であり、図2は開閉蓋を開けた状態の外観斜視図である。図示のロール紙プリンター1は、複数種類のカラーインクを用いてロール紙から繰り出される長尺状の記録紙にカラー印刷を行うものであり、全体として直方体形状をしたプリンターケース2を備え、このプリンターケース2の前面中央部分にはロール紙装着用の開口部3が形成されている。開口部3には開閉蓋4が取り付けられており、開閉蓋4の上端には記録紙排出ガイド5が配置されている。記録紙排出ガイド5とプリンターケース2の開口部3の上縁部分との間に記録紙排出口6が形成されている。
【0023】
記録紙排出ガイド5の前端下側の部位には、プリンター幅方向の中央部に下方に突出した操作片5aが取り付けられている。この操作片5aに指を掛けてプリンター前方に引くと、当該操作片5aが前方に回動して不図示のロックが解除され、開閉蓋4をプリンター前方に開けることが可能になる。この状態で操作片5aを更に手前に引くと、開閉蓋4を図1に示す開閉蓋閉じ位置4Aから、下端を中心として前方に倒れた図2に示す開閉蓋開き位置4Bまで開けることができる。開閉蓋4が開くと、プリンター本体内部に形成されているロール紙収納部7が開口し、ロール紙の交換作業などを行うことができる。
【0024】
プリンターケース2の前面における開閉蓋4の右側部分には電源スイッチ8a、紙送りスイッチ8b、複数個の動作状態表示ランプ8cなどが配列されている。プリンターケース2の前面における開閉蓋4の左側部分には、プリンター前後方向に延びる縦長の長方形断面のインクカートリッジ装着部9の装着口9aが開口しており、このインクカートリッジ装着部9にインクカートリッジ10が装着されている。
【0025】
図3はロール紙プリンター1の内部構造を示す縦断面図であり、図4は、ロール紙プリンター1におけるプリンターケース2を取り外した状態の内部構造を示す斜視図である。これらの図を参照して説明すると、ロール紙プリンター1の内部において、ロール紙収納部7は上方に開口している湾曲状断面のロール紙受け皿11を備えており、ここに、ロール紙12が転動可能な状態で収納される。
【0026】
収納されたロール紙12におけるプリンター後側の部位から巻き出される長尺状の記録紙13は、繰り出しローラー14および、これよりもプリンター後方および上方に位置しているテンションローラー15を介して、ロール紙収納部7の上方および後方側の部位からプリンター前方に向けて引き出される。テンションローラー15から前方に向けて引き出される記録紙13は、ロール紙収納部7の真上に位置するプラテン16の上面に沿って前方に引き出され、記録紙排出口6からプリンター前方に引き出される。
【0027】
プラテン16の後側には、紙送り駆動ローラー17が配置されており、この紙送り駆動ローラー17には、紙送り従動ローラー18が下側から圧接されている。プラテン16の前側には、排紙駆動ローラー19が配置されており、この排紙駆動ローラー19には上側から排紙従動ローラー20が圧接されている。
【0028】
プラテン16の上側には、ラインインクジェットヘッド21が搭載されたヘッドキャリッジ22が配置されている。ラインインクジェットヘッド21は、そのノズル面21aが下向きとなるようにヘッドキャリッジ22に搭載されており、ノズル面21aとプラテン16の間は所定のキャップに設定されている。
【0029】
ヘッドキャリッジ22はヘッドキャリッジ旋回機構30(ヘッド旋回機構)によってホーム位置22Aおよび印刷位置22Bに旋回可能となっている。ホーム位置22Aは、図3、図4において実線で示すように、プラテン16によって規定される記録紙搬送路からプリンター幅方向の側方(本例では右側)に外れた位置である。ホーム位置22Aにおいて、ラインインクジェットヘッド21は記録紙搬送方向に平行に保持され、その下向きのノズル面21aが下側に配置されているヘッドメンテナンス機構50(図5、図6参照)のヘッドキャップに対峙した状態になる。
【0030】
これに対して、印刷位置22Bは、図3、図4において想像線で示すように、プラテン16によって規定される記録紙搬送路の真上の位置である。印刷位置22Bにおいては、ラインインクジェットヘッド21が記録紙搬送方向に直交する方向(プリンター幅方向)に平行に保持される。すなわち、そのインクノズル列(図示せず)が記録紙搬送方向に直交する方向となるように保持される。
【0031】
ヘッドキャリジ旋回機構30は、ヘッドキャリッジ22におけるプリンター後側の右端側の位置においてプリンター上下方向に延びる状態に配置されている旋回中心軸31を中心として、ヘッドキャリッジ22をホーム位置22Aおよび印刷位置22Bに旋回する。本例では、ホーム位置22Aから印刷位置22Bまでの旋回角度は90度に設定されている。90度以外の角度にすることも可能であり、例えば、印刷位置22Bにおいて、ラインインクジェットヘッド21のインクノズル列が記録紙搬送方向に直交する方向(幅方向)に対して僅かに傾斜する方向となるように、90度未満の角度、あるいは90度を超える角度にすることも可能である。ヘッドキャリッジ旋回機構30の詳細は図5、図6を参照して後述する。
【0032】
記録紙13は、図3に示すように、紙送り駆動ローラー17および紙送り従動ローラー18の間を通ってプラテン16の上面によって規定される印刷位置を経由して搬送され、排紙駆動ローラー19および排紙従動ローラー20の間を通って記録紙排出口6に向けて送り出される。印刷位置を通る記録紙13の表面には、印刷位置22Bに位置決めされているヘッドキャリッジ22に搭載されているラインインクジェットヘッド21によって印刷が施される。排紙駆動ローラー19、排紙従動ローラー20の間から送り出された記録紙13は、記録紙排出口6の近傍に配置されている記録紙切断機構25の固定刃25aおよび可動刃25bの間の位置において、その幅方向に切断される。切断により得られた一定長さの記録紙片(図示せず)がレシートなどとして発行される。
【0033】
[ヘッドキャリッジ旋回機構]
図5(A)はヘッドキャリッジ旋回機構を示す斜視図であり、図5(B)はその構成部品の一つであるバネクラッチを示す分解斜視図である。図6(A)はヘッドキャリッジ22がホーム位置22Aに位置している状態を示す説明図であり、図6(B)はヘッドキャリッジ22が印刷位置22Bに位置している状態を示す説明図であり、図6(C)は図6(B)のC−C線で切断した部分を示す部分断面図であり、ヘッドキャリッジ22を印刷位置22Bに保持するボールプランジャーを示している。
【0034】
図5、図6を参照して説明すると、ヘッドキャリッジ旋回機構30は板金製のプリンター本体フレーム26に搭載されており、回転駆動源としてステッピングモーター32を備えている。ステッピングモーター32の出力回転は減速歯車列からなる動力伝達機構33に伝達される。動力伝達機構33は、その動力伝達方向の上流側から下流側に向けて第1〜第5複合歯車34〜38が順次に噛み合った構成となっている。第1複合歯車34の小径歯車34aは、ステッピングモーター32の出力軸32aに取り付けたピニオン39に噛み合っており、第5複合歯車38の大径歯車38bは最終段歯車40に噛み合っている。最終段歯車40は、旋回中心軸31によって、当該旋回中心軸回りに回転自在の状態で支持されているヘッドキャリッジ22の円筒腕22aに同軸状態に固定されており、最終段歯車40が回転すると、ヘッドキャリッジ22が旋回中心軸31を中心として旋回する。
【0035】
図5(B)に示すように、動力伝達機構33の第3複合歯車36には、当該動力伝達機構の伝達経路を切断可能なトルクリミッターが組み込まれている。本例ではトルクリミッターとして機能するバネクラッチ41が組み込まれているが、設置スペースなどに余裕がある場合などには異なる形式のトルクリミッターを組み込むことも可能である。バネクラッチ41は、入力側円筒42と、この内側に同軸状態に配置されている小径の出力側円筒43と、これらの間に同軸状態に配置されている円筒状に巻かれた捩りコイルバネ44とを備えている。捩りコイルバネ44の両側の端部44a、44bは、入力側円筒42に形成した係合溝42a、42bに装着固定されている。入力側円筒42には、第3複合歯車36の小径歯車36aが同軸状態に固定されており、出力側円筒43には第3複合歯車36の大径歯車36bが同軸状態に固定されている。捩りコイルバネ44は出力側円筒43に係合しており、入力側円筒42が捩りコイルバネ44の巻き方向とは逆方向に回転する場合には、これらの間の伝達トルクが所定値を超えると、捩りコイルバネ44が拡径状態になり、動力伝達経路が遮断される。
【0036】
[ヘッドキャリッジの位置決め機構]
ここで、ヘッドキャリッジ22のキャリッジケース22bは全体として上側が開口した直方体形状をしており、印刷位置22Bに位置決めされた状態においてプリンター後方に面する後側の側面22cの右端側の部位に円筒腕22aが一体形成されている。また、側面22cにおける左端側の部位は、位置決め用の第2ヘッド側当接面22dが形成されている。プリンター本体フレーム26の側には、ヘッドキャリッジ22を印刷位置22Bに向けて旋回させた場合に、当該第2ヘッド側当接面22dが当接可能な位置に、第2位置決め部45が配置されている。第2位置決め部45は、図6(A)、(C)から分かるように、一定厚さの金属板45aにおけるプリンター前方に面するプリンター幅方向に延びる端面によって規定されている。第2ヘッド側当接面22dが第2位置決め部45に当接することにより、ヘッドキャリッジ22が印刷位置22Bに位置決めされた状態が形成される。
【0037】
本例では、第2位置決め部45を規定している金属板45aには、ラインインクジェットヘッド21を印刷位置22Bに保持するための付勢部材として機能するボールプランジャー46がプリンター上下方向に延びる状態に取り付けられている。ボールプランジャー以外の付勢部材あるいは付勢機構を取り付けることも可能である。図6(C)から分かるように、ボールプランジャー46の上端からは、不図示のバネ部材によって上方に付勢されているボール46aの一部が上方に突出した状態となっている。これに対して、ヘッドキャリッジ22のキャリッジケース22bの左端部には一定厚さの金属板47が取り付けられており、この金属板47におけるプリンター下側に面する下面47aには円錘状内周面47bを備えた凹部47cが形成されている。
【0038】
ヘッドキャリッジ22が印刷位置22Bに向けて旋回すると、金属板47の下面47aによってボールプランジャー46のボール46aは押し込まれ、ヘッドキャリッジ22が印刷位置22Bに位置決めされた状態においては、ボール46aが凹部47cに嵌り込むようになっている。より詳細に説明すると、凹部47cに嵌り込んだボール46aは、図6(C)に示すように、凹部47cの円錘状内周面47bにおけるプリンター後方側の部位を付勢した状態が形成されるようになっている。この結果、ヘッドキャリッジ22は印刷位置22Bにおいて、ボールプランジャー46によって、第2ヘッド側当接面22dが第2位置決め部45に押し付けられた状態が形成されるので、ヘッドキャリッジ22は印刷位置22Bに正確に位置決めされると共に、当該印刷位置22Bから外れないように保持される。
【0039】
一方、図6を参照して説明すると、ヘッドキャリッジ22における側面22cとは反対側の側面22e(印刷位置22Bにおいてプリンター前方に面する側面)には、その左端側の部位に第1ヘッド側当接面22fが形成されている。プリンター本体フレーム26の側には、印刷位置22Bからホーム位置22Aに旋回する際に第2ヘッド側当接面22dに当接可能な部位に、第1位置決め部48が形成されている。本例の第1位置決め部48は、プリンター本体フレーム26におけるプリンター右端において前後方向に延びている側板部分26bの内側面部分に形成されている。第1ヘッド側当接面22fが第1位置決め部48に当接することにより、ヘッドキャリッジ22がホーム位置22Aに正確に位置決めされる。なお、本例では、ヘッドキャリッジ22をホーム位置22Aに保持する保持力として、ヘッドキャリッジ旋回機構30のステッピングモーター32のデテントトルクを利用している。
【0040】
[ヘッドメンテナンス機構]
図5および図6を参照して、ホーム位置22Aに位置決めされたヘッドキャリッジ22の下側に配置されているヘッドメンテナンス機構50について説明する。ヘッドキャリッジ22に搭載されているラインインクジェットヘッド21のノズル面21aは、ホーム位置22Aにおいて、ヘッドメンテナンス機構50のヘッドキャップ51に対峙する。この状態で、インクノズルの目詰まり防止などのために印刷に関与しないインク液滴の吐出動作(フラッシング)、各インクノズルからのインク吸引動作(ノズルクリーニング)などのヘッドメンテナンス動作が行われる。
【0041】
ラインインクジェットヘッド21から排出された廃インク液はヘッドメンテナンス機構50から不図示の廃インク液回収路を経由して、インクカートリッジ装着部9に装着されているインクカートリッジ10の側に回収される。ヘッドメンテナンス機構50は、フラッシング時にはラインインクジェットヘッド21のノズル面に対峙して、吐出された廃インクを回収する。また、ノズルクリーニング時にはラインインクジェットヘッド21のノズル面をキャッピングした状態において吸引ポンプを駆動し、吸引ポンプからの負圧によって各ノズルからインクを強制的に吸引して排出させる。
【0042】
なお、本例のラインインクジェットヘッド21のノズル面には、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各インクをそれぞれ吐出する4列のインクノズル列が形成されている。図6(B)から分かるように、ヘッドメンテナンス機構50のヘッドキャップ51として2個のヘッドキャップ51a、51bが配置されており、それぞれが2列分のインクノズル列を包含するノズル面部分をキャッピングするようになっている。
【0043】
[インク供給系]
図5、図6を参照して、ラインインクジェットヘッド21のインク供給系の概略構成を説明する。本例では、ヘッドキャリッジ22には、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のインクのそれぞれを貯留するサブタンク61a〜61dを備えたダイヤフラムポンプユニット62が搭載されている。インクカートリッジ装着部9に装着されているインクカートリッジ10から供給される各色のインクは、ダイヤフラムポンプユニット62の各サブタンク61a〜61dに供給され、これらからラインインクジェットヘッド21の各ノズルに供給される。各サブタンク61a〜61dとラインインクジェットヘッド21の間は各色のインクを供給する4本の可撓性インクチューブ63a〜63dを介して接続されている。
【0044】
ダイヤフラムポンプユニット62には、各サブタンク61a〜61dの上部に、直角に折り曲げられた形状の揺動可能な吸引用レバー64a〜64dが取り付けられている。各吸引用レバー64a〜64dは、それらの一端が、ヘッドキャリッジ22の側面22eから突出しており、それらの他端が各サブタンク61a〜61dの内周面の一部を規定している不図示のダイヤフラムに連結されている。
【0045】
ヘッドキャリッジ22がホーム位置22Aに戻ると、そこに搭載されているダイヤフラムポンプユニット62の各吸引用レバー64a〜64dの一端が、プリンター本体フレーム26の側板部分26bの内側面に押し付けられて強制的に揺動させられる。これにより、各サブタンク61a〜61dの内容積が増加して、その内圧が負圧状態になり、インクカートリッジ10の側から各サブタンク内にインクが吸引される。各吸引用レバー64a〜64dを側板部分26bに押し付ける力はヘッドキャリッジ旋回機構30によって与えられる。ヘッドキャリッジ旋回機構30のステッピングモーター32が回転している間は、バネクラッチ41によって規定される伝達トルクによって押しつけ力が与えられ、ステッピングモーター32の回転が停止した後は、当該ステッピングモーター32のデテントトルクによって押しつけ力が与えられる。
【0046】
[動作説明]
図7はロール紙プリンター1の基本動作を示す概略フローチャートである。ロール紙プリンター1にはCPU、ROM、RAMなどを含むコンピューターシステムを中心として構成された駆動制御装置(図示せず)が搭載されている。駆動制御装置は、上位のコンピューターから印刷指令および印刷データを受信すると、以下に示す手順に従って各部を駆動して、ラインインクジェットヘッド21を印刷位置22Bに位置決めして、ロール紙12から繰り出される記録紙13に印刷を行う印刷動作を行わせる。印刷終了後は、ラインインクジェットヘッド21をホーム位置22Aに戻して待機させる。
【0047】
まず、電源オフ状態においては、ヘッドキャリッジ22はホーム位置22Aに位置しており、ラインインクジェットヘッド21のノズル面21aはヘッドキャップ51によってキャッピングされている。電源がオンされると(ステップST1)、ヘッドキャップ51を降下させてキャッピングを解除し(ステップST2)、しかる後に、ヘッドキャリッジ22をホーム位置22Aに位置決めする位置決め動作を行う(ステップST3)。
【0048】
この位置決め動作においては、ヘッドキャリッジ22を確実にホーム位置22Aに位置決めするために、ヘッドキャリッジ22を印刷位置22Bからホーム位置22Aに戻すために必要な旋回量(90度の旋回角度)を超える旋回量となるようにヘッドキャリッジ旋回機構30を駆動する。すなわち、ステッピングモーター32の駆動ステップ数を、90度の旋回角度が得られるモーター回転量よりも多い駆動ステップ数に設定する。
【0049】
ここで、ヘッドキャリッジ22をホーム位置22Aの側に旋回させる場合には、動力伝達機構33に組み込まれているバネクラッチ41が作動し、伝達トルクが所定の設定トルクを超えると動力伝達経路が遮断状態に切り替わる。したがって、ヘッドキャリッジ22の第1ヘッド側当接面22fがプリンター本体フレーム26の側の第1位置決め部48に当接した後は、バネクラッチ41が切断状態に切り替わり、ステッピングモーター32の側が空転して、ヘッドキャリッジ22の側に過剰な力が作用するなどの弊害は発生しない。これにより、ヘッドキャリッジ22の位置検出用のセンサーを搭載することなく、ヘッドキャリッジ22を常に一定の旋回量だけ旋回させるという簡単な制御動作によって、ヘッドキャリッジ22を常に精度良くホーム位置22Aに位置決めすることができる。また、印刷待機状態においては、ステッピングモーター32のデテントトルクによって、ヘッドキャリッジ22はホーム位置22Aに保持される。
【0050】
この後は、再びヘッドキャップ51を上昇させてラインインクジェットヘッド21のノズル面21aをキャッピングし(ステップST4)、この状態で、上位からの印刷指令を待つ(ステップST5、ST6)。印刷指令および印刷データを受信すると、キャッピングを解除した後にフラッシング動作を行い(ステップST7)、ヘッドキャリッジ22をホーム位置22Aから印刷位置22Bに旋回させ、印刷位置22Bに位置決めする(ステップST8)。
【0051】
ヘッドキャリッジ22をホーム位置22Aから印刷位置22Bまで旋回させて、印刷位置22Bに位置決めする動作においても、ヘッドキャリッジ22が90度よりも僅かに大きな旋回角度だけ旋回するようにヘッドキャリッジ旋回機構30を駆動する。ヘッドキャリッジ22を印刷位置22Bに旋回させる際には、ヘッドキャリッジ22が常にホーム位置22Aに位置している。したがって、90度よりも僅かに大きな旋回角度だけ旋回させるようにヘッドキャリッジ旋回機構30のステッピングモーター32を駆動すれば、ヘッドキャリッジ22の第2ヘッド側当接面22dをプリンター本体フレーム26の側の第2位置決め部45に確実に当接させることができる。これらが当接する状態になるまでヘッドキャリッジ22を旋回させると、プリンター本体フレーム26の側のボールプランジャー46のボール46aがヘッドキャリッジ22の側の凹部47cに嵌り込み、その円錐状内周面47bを印刷位置22Bに向かう方向に付勢した状態になる。これにより、ヘッドキャリッジ22が精度良く印刷位置22Bに位置決めされると共に、ボールプランジャー46によって印刷位置22Bから外れないように保持される。
【0052】
ヘッドキャリッジ22を印刷位置22Bに位置決めした後、すなわち、そこに搭載されているラインインクジェットヘッド21を印刷位置に位置決めした後は、印刷動作を開始する(ステップST9)。一連の印刷ジョブが終了した後は、次の印刷データがある場合には、前回のフラッシングが行われた時刻からの経過時間Tfが予め設定した設定経過時間T1以下である場合には、継続して次の印刷データの印刷動作を行う(ステップST10→ST11→ST9)。
【0053】
これに対して、経過時間Tfが設定経過時間T1を超える場合には、ヘッドキャリッジ22をホーム位置22Aに戻し(ステップST12)、フラッシングを行わせる(ステップST13)。ヘッドキャリッジ22をホーム位置22Aに戻す制御動作は、先に述べたステップST3における位置決め動作と同一である。フラッシング後に次の印刷データの印刷動作を行う(ステップST13→ST9)。
【0054】
印刷動作が終了した後は(次の印刷データが無い場合には)ステップST10からステップST3に戻り、ヘッドキャリッジ22を印刷位置22Bからホーム位置22Aに戻し、ステップST4においてラインインクジェットヘッド21のキャッピングを行わせ、しかる後にステップST5に移行して印刷待機状態に戻る。
【0055】
次に、図8は、紙詰まり等の回復処理後などのように、ヘッドキャリッジ22の位置が不明な場合における初期化動作を示す概略フローチャートである。例えば、紙詰まりが発生して印刷動作が強制停止した後には、電源をオフし、あるいは、電源がオンのまま、開閉蓋を開けて紙詰まり状態を解消する。かかる処理の後に、電源がオンされ、あるいは、開閉蓋が閉じられる(ステップST21)。この場合には、ヘッドキャップ51を降下させてキャッピングを解除する動作をまず行う(ステップST22)。次に、ヘッドキャップ22をホーム位置22Aに向けて旋回させて、ホーム位置22Aに位置決めする位置決め動作を行う(ステップST23)。この位置決め動作においては、図7における位置決め動作(ステップST3、ST12)と同様に、90度を超える旋回角度となるようにステッピングモーター32を回転駆動させる。これにより、ヘッドキャリッジ22を確実にホーム位置22Aに戻すことができる。
【0056】
この後は、フラッシングを含むヘッドクリーニング動作を行い(ステップST24)、しかる後に、ラインインクジェットヘッド21のノズル面21aをキャッピングして(ステップST25)、印刷待ちの待機状態に移行する(ステップST26)。
【0057】
このように、紙詰まりなどのような異常が発生した後において、ヘッドキャリッジ22の旋回位置が不明な場合においても、通常の動作における初期化処理などにおいてヘッドキャリッジ22をホーム位置22Aに位置決めする動作制御と同一の制御を行うことにより、ヘッドキャリッジ22を確実にホーム位置22Aに戻すことができる。したがって、ヘッドキャリッジ22の旋回位置を検出するための位置検出用のセンサーを用いることなく、しかも、常に同一の旋回制御動作によってヘッドキャリッジ22をホーム位置22Aに位置決めすることができる。
【0058】
[その他の実施の形態]
上記の実施の形態は、本発明をロール紙収納部を備えたロール紙プリンターに適用した例である。本発明は、ロール紙収納部が備わっていないロール紙プリンター、ロール紙以外の記録紙に印刷を行うラインインクジェットプリンターにも適用可能である。
【0059】
また、上記の実施の形態では、ラインインクジェットヘッドを、そのノズル面がプラテンに対峙した姿勢のまま旋回中心軸線を中心として、ホーム位置および印刷位置に旋回させるようにしている。この代わりに、特許文献1、2に示すように、ラインインクジェットヘッドを、そのノズル面の向きがプラテンに対峙した印刷位置およびプラテンとは異なる方向を向くホーム位置に旋回させるようにしたラインインクジェットプリンターに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 ロール紙プリンター、2 プリンターケース、3 開口部、4 開閉蓋、4A 開閉蓋閉じ位置、4B 開閉蓋開き位置、5 記録紙排出ガイド、5a 操作片、6 記録紙排出口、7 ロール紙収納部 8a 電源スイッチ、8b 紙送りスイッチ、8c 動作状態表示ランプ、9 インクカートリッジ装着部、9a 装着口、10 インクカートリッジ、11 ロール紙受け皿、12 ロール紙、13 記録紙、14 繰り出しローラー、15 テンションローラー、16 プラテン、17 紙送り駆動ローラー、18 紙送り従動ローラー、19 排紙駆動ローラー、20 排紙従動ローラー、21 ラインインクジェットヘッド、21a ノズル面、22 ヘッドキャリッジ、22A ホーム位置、22B 印刷位置、22a 円筒腕、22b キャリッジケース、22c 側面、22d 第2ヘッド側当接面、22e 側面、22f 第1ヘッド側当接面、25 記録紙切断機構、25a 固定刃、25b 可動刃、26 プリンター本体フレーム、26b 側板部分、30 ヘッドキャリッジ旋回機構、31 旋回中心軸、32 ステッピングモーター、32a 出力軸、33 動力伝達機構、34 第1複合歯車、35 第2複合歯車、36 第3複合歯車、36b 大径歯車、37 第4複合歯車、38 第5複合歯車、38b 大径歯車、39 ピニオン、40 最終段歯車、41 バネクラッチ、42 入力側円筒、42a,42b 係合溝、43 出力側円筒、44 捩りコイルバネ、44a,44b 端部、45 第2位置決め部、45a 金属板、45b 端面、46 ボールプランジャー、46a ボール、47 金属板、47a 下面、47b 円錐状内周面、47c 凹部、48 第1位置決め部、50 ヘッドメンテナンス機構、51,51a,51b ヘッドキャップ、61a〜61d サブタンク、62 ダイヤフラムポンプユニット、63a〜63d 可撓性インクチューブ、64a〜64d 吸引用レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインインクジェットヘッドと、
前記ラインインクジェットヘッドを、所定角度離れた印刷位置およびホーム位置に旋回させるヘッド旋回機構と、
前記印刷位置から前記ホーム位置に向けて旋回する前記ラインインクジェットヘッドの側の第1ヘッド側当接部に当接して、当該ラインインクジェットヘッドを前記ホーム位置に位置決めする第1位置決め部と、
前記ホーム位置から前記印刷位置に向けて旋回する前記ラインインクジェットヘッドの側の第2ヘッド側当接部に当接して、当該ラインインクジェットヘッドを前記印刷位置に位置決めする第2位置決め部とを有し、
前記ヘッド旋回機構は、前記ラインインクジェットヘッドを旋回させるための旋回力を伝達する動力伝達経路に介挿したトルクリミッターを備え、
当該トルクリミッターは、前記印刷位置から前記ホーム位置に向かう前記ラインインクジェットヘッドの旋回時の伝達トルクが設定トルクを超えると前記動力伝達経路を遮断状態に切り替えることを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項2】
請求項1において、
前記ヘッド旋回機構は、前記ラインインクジェットヘッドのノズル面の向きを変えることなく、当該ラインインクジェットヘッドを旋回させる機構であることを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項3】
請求項2において、
前記ヘッド旋回機構を駆動して前記ラインインクジェットヘッドを前記印刷位置および前記ホーム位置に位置決めする位置決め制御手段を有し、
当該位置決め制御手段は、前記ラインインクジェットヘッドを前記ホーム位置に位置決めする位置決め動作においては、前記印刷位置にある前記ラインインクジェットヘッドが前記ホーム位置を超えた旋回位置まで旋回可能な旋回量となるように前記ヘッド旋回機構を駆動することを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項4】
請求項3において、
前記位置決め制御手段は、前記ホーム位置にある前記ラインインクジェットヘッドを前記印刷位置に位置決めする位置決め動作においては、前記ホーム位置にある前記ラインインクジェットヘッドが前記印刷位置を超えた旋回位置まで旋回可能な旋回量となるように前記ヘッド旋回機構を駆動することを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項5】
請求項4において、
前記印刷位置に位置決めされた前記ラインインクジェットヘッドの側の前記第2ヘッド側当接部を前記第2位置決め部に付勢する付勢部材を有していることを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項6】
請求項5において、
前記付勢部材は弾性部材によって常に突出方向に付勢されているボールを備えたボールプランジャーであり、
前記ラインインクジェットヘッドの側には、当該ラインインクジェットヘッドが前記印刷位置に至ると前記ボールが押しつけられるボール当接面が形成されていることを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項において、
前記トルクリミッターはバネクラッチであることを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項において、
前記印刷位置および前記ホーム位置の間の前記ラインインクジェットヘッドの旋回角度は90度であることを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちのいずれかの項において、
前記ラインインクジェットヘッドはヘッドキャリッジに搭載されており、
前記ヘッド旋回機構は前記ヘッドキャリッジを旋回し、
前記第1ヘッド側当接部および前記第2ヘッド側当接部は前記ヘッドキャリッジに形成されていることを特徴とするラインインクジェットプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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