説明

ラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構

【課題】本発明の課題は、ラジコン模型の送信機におけるステアリングユニット及びグリップユニットのようなユニット部材を送信機本体に着脱自在に取り付ける着脱機構を提供することである。
【解決手段】ステアリングユニットの背面側には複数個のガイド突起を突設し、このガイド突起を受け入れることができるガイド溝を上部本体におけるステアリングユニット取り付け面に刻設し、ステアリングユニットが上部本体に取り付けられた際に、前記ガイド突起がガイド溝から抜け出すことを防止するための抜け止めシャッターを上部本体に形成し、この抜け止めシャッターをロック状態と開放状態とに切り換えることができる切り換えレバーを上部本体に備えたことを特徴とするラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジコン(ラジオコントロール)模型自動車などをはじめとする各種のラジコン模型に制御信号を送信する送信機(コントローラー)におけるステアリングユニット及びグリップユニットのようなユニット部材を送信機本体に着脱自在に取り付けることができる着脱機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラジコン模型用の送信機のタイプとして、一つは棒体状のグリップユニットを手のひらで握って全体を保持し、そのグリップユニットの上方に上部本体を備え、その上部本体に自動車のハンドル型のステアリングユニットを取り付けたステアリングタイプ送信機と、他の一つとしては、全体が薄い箱型状の送信機であって、その送信機の両サイドに両手をあてがって送信機の保持を行い、前面に設けられたスティックレバーの転動操作でラジコン模型の方向変換を行うようにしたスティックタイプ送信機とが知られている。
【0003】
またステアリングタイプ送信機では、ラジコン模型の走行スピードをコントロールするためのスイッチとしてトリガー部が備えられており、一方スティックタイプ送信機では、トリガー部の代わりにスティックレバーが備えられているのが一般的である。
さらにステアリングタイプ送信機及びスティックタイプ送信機には、前記以外に各種の拡張子を搭載したエクステンションユニットとか、バッテリーを収納保持したバッテリーユニットなどが備えられている。
【0004】
前記したステアリングタイプ送信機及びスティックタイプ送信機には、いずれも各構成要素である、グリップユニット、上部本体、ステアリングユニット、トリガー部、スティックレバー、エクステンションユニット、バッテリーユニットの各部が、全体としてまとまりよく分離分割困難な状態に一体的に組み立てられており、当然のことながら各ユニット部材の一部のみを自由に交換することは困難な状況であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−107588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した従来の送信機は、工場での製造段階でステアリングタイプ送信機かあるいはスティックタイプ送信機のいずれかの形態の送信機に仕上げられ、そのようにして製造された送信機は、送信機の使用者にとっては簡単に分解できるようなものではなかった。
したがって、送信機の使用者が、各ユニット部材の一部のみを他のユニット部材に交換したいというような要望があっても、その要望には応えられないという問題点があった。
【0007】
特に、ステアリングタイプ送信機を希望する使用者と、スティックタイプ送信機を希望する使用者とは、送信機の基本形態が相違するため、それぞれのタイプに慣れてしまった使用者が多いため、一部ユニット部材の交換のみを要望するということは、大変切実な問題となっていた。
【0008】
しかしながら、ステアリングタイプ送信機を希望する使用者(約95%)は圧倒的多数であり、スティックタイプ送信機を希望する使用者(約5%)は圧倒的少数であるという現実があるため、送信機を製造する生産者、販売店にとっては、両タイプの送信機を顧客ニーズに応えるべく過不足なく、品揃えをすることは投資効率から言っても無理な状況があった。
【0009】
さらに、圧倒的多数の使用者がいるステアリングタイプ送信機においても、各ユニット部材に対する使用者の要望は多種にわたるため、その全ての要望に応える品揃えをすることも同様に困難な状況にあった。
【0010】
本発明は、送信機の前記した各ユニット部材のうち、ステアリングユニットとグリップユニットを、それぞれ別個にワンタッチで上部本体と分離自在、かつ結合自在に構成することで、使用者の好みによって、各ユニット部材を別個に自由に簡単に交換できるようにして、使用者にとって希望する最適の送信機がカスタマイズできるようにして、前記の全ての課題を解決できるようにしたラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構の請求項1のものは、上部本体に対してステアリングユニットを分離自在、かつ結合自在に構成したラジコン模型用送信機において、ステアリングユニットの背面側にコネクタを位置させ、このコネクタと電気的な導通状態を確保できる受けコネクタを上部本体におけるステアリングユニット取り付け面に位置させ、ステアリングユニットの背面側には複数個のガイド突起を突設し、このガイド突起を受け入れることができるガイド溝を上部本体におけるステアリングユニット取り付け面に刻設し、ステアリングユニットが上部本体に取り付けられた際に、前記ガイド突起がガイド溝から抜け出すことを防止するための抜け止めシャッターを上部本体に形成し、この抜け止めシャッターをロック状態と開放状態とに切り換えることができる切り換えレバーを上部本体に備えたことを特徴とするラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構である。
【0012】
また請求項2は、切り換えレバーの動きを許可するための解除ボタンを備えたことを特徴とする請求項1記載のラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構である。
【0013】
ついで請求項3は、上部本体に対してグリップユニットを分離自在、かつ結合自在に構成したラジコン模型用送信機において、グリップユニットの先端側にコネクタを位置させ、このコネクタと電気的な導通状態を確保する受けコネクタを上部本体におけるグリップユニット取り付け面に位置させ、グリップユニットにガイド溝を形成し、このガイド溝にスライド嵌入することができるガイドプレートを上部本体におけるグリップユニット取り付け面に突設し、グリップユニットが上部本体に取り付けられた際に、前記ガイドプレートがガイド溝から抜け出すことを防止するための位置固定レバーを上部本体に形成したことを特徴とするラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構である。
【0014】
また請求項4は、グリップユニットと上部本体との結合を解除するための押上げボタンを備えたことを特徴とする請求項3記載のラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び請求項3記載のラジコン模型用の送信機は、ネジなどの固定手段を用いることなく、ワンタッチの状態で各ユニット部材を簡単に上部本体に取り付けたり、あるいは簡単に取り外したりすることができるという優れた効果を発揮する。
ステアリングユニットやグリップユニットは、各人の好みでコダワリの部分が高く、特にグリップ部の大きさや太さ寸法、その素材などは、使用者からみると特に要求のレベルが高く、その要望はきめ細かく、そのため多種の要望が出るところであり、その要望にきめ細かく対応できるという優れた効果を発揮する。
【0016】
請求項2及び請求項4記載のラジコン模型用の送信機は、解除ボタンや押上げボタンの存在により、各ユニット部材の脱着時以外は、各ユニット部材と上部部材との結合状態がガタツキが無く完璧であるため、送信機として安定的な使用が可能であり、また各ユニット部材の脱着時には解除ボタンや押上げボタンを操作することで簡単かつ確実に切り換えレバーや位置固定レバーの操作が行えるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のラジコン模型用の送信機において、ステアリングユニットを上部本体に取り付ける前の状態の斜視図である。
【図2】Aは前図のステアリングユニットの背面図、Bは同背面側斜視図である。
【図3】図1におけるステアリングユニットを上部本体に取り付けた際の、上部本体をステアリングユニット側から見た図であり、Aはロック状態、Bは半開放状態、Cは開放状態を示している。
【図4】本発明のラジコン模型用の送信機において、グリップユニットを上部本体に取り付ける前の状態の斜視図である。
【図5】同グリップユニットの正面側斜視図である。
【図6】図4におけるグリップユニットを上部本体に取り付けた際の、上部本体を背面側から見た図であり、Aはロック状態、Bは開放状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明のラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構の実施の形態を説明する。
図1乃至図3に示す送信機1は、ステアリングユニット2を送信機1の上部本体3に脱着するようにした例を示し、符号4はグリップユニット、5はグリップユニットに取り付けられたトリガー部、6は液晶ディスプレー、7はアンテナを示している。
【0019】
ステアリングユニット2の背面側にはコネクタ(オス)10が形成され、上部本体3の正面側には受けコネクタ(メス)11が形成され、コネクタ(オス)10側のピンは背部に設けたバネ(図示しない)で伸縮するように構成されている。
このコネクタ(オス)10と受けコネクタ(メス)11とを電気信号の受け渡しが可能な状態で接合し、ステアリングユニット2と送信機1の上部本体3との電気的な接合が完成する。
【0020】
この電気的な接合状態を確実なものとするために、ステアリングユニット2の背面側には、奥行き方向に伸びる複数のガイド突起12(図では、3個の例を示す)を突設している。このガイド突起12には、切り欠き部13が形成されている。
また上部本体3の正面側には、ガイド突起12を受け入れることができるガイド溝14が刻設されているため、ステアリングユニット2はガイド突起12とガイド溝14との嵌合案内により、取り付け方向にスムーズにスライド移動できる。
ステアリングユニット2が上部本体3内の奥まで進入して所定位置で停止すると、ステアリングユニット2と上部本体3との結合は完了するが、そのままではステアリングユニット2が抜け出るおそれがある。
【0021】
そこでこの抜け出しを防止するために、上部本体3には、図3で説明するような抜け止めシャッター15が形成されており、一例として抜け止めシャッター15は回動自在な歯車状板などで形成され、抜け止めシャッター15の歯車部をガイド突起12の切り欠き部13内に入り込ませることでステアリングユニット2の抜け出しが防止され(図3のAで示すロック状態)、反対に抜け止めシャッター15の歯車部をガイド突起12の切り欠き部13から移動させることでステアリングユニット2の取り外しが行える(図3のCで示す開放状態)ように構成した。
【0022】
符号16は切り換えレバーで、この切り換えレバー16を図3において上下動させることで、抜け止めシャッター15がロック状態→半開放状態→開放状態のように変化することができるようになる。
【0023】
なお切り換えレバー16が不用意に上下動することが無いように、解除ボタン17を備えておき、切り換えレバー16の上下動を行うためには、解除ボタン17を押しながら操作をするように構成しておくことが安全性の見地より好ましいことである。切り換えレバー16は、解除ボタン17が押されない限り、誤って触れても上下動することが無く、そのため不用意にステアリングユニット2が上部本体3から意に反して外れてしまうような事故は起こらない。
このようにして、ステアリングユニット2の送信機1への取り付け、取り外しを行うことができ、かつ取り付け状態はガタツキなどの無い安定状態が確保できるなどの効果を発揮する。
【0024】
ついで図4乃至図6に示す送信機1は、グリップユニット4を送信機1の上部本体3に脱着するようにした例を示している。
グリップユニット4の先端側にはコネクタ(オス)10が形成され、上部本体3のグリップユニット取り付け面には受けコネクタ(メス)11が形成され、コネクタ(オス)10側のピンは背部に設けたバネ(図示しない)で伸縮するように構成されている。
このコネクタ(オス)10と受けコネクタ(メス)11とを電気信号の受け渡しが可能な状態で接合し、グリップユニット4と送信機1の上部本体3との電気的な接合が完成する。
【0025】
この電気的な接合状態を確実なものとするために、グリップユニット4の上面側にはガイド溝20を形成している。このガイド溝20は、グリップユニット4の上部本体3への差込方向に延伸する状態で形成されている。
また上部本体3のグリップユニット取り付け面には、前記のガイド溝20にスライド嵌入することができるガイドプレート21が突設されている。
このため、グリップユニット4はガイドプレート21とガイド溝20との嵌合案内により、差込方向にスムーズにスライド移動できる。
【0026】
グリップユニット4が上部本体3内の奥まで進入して所定位置で停止すると、グリップユニット4と上部本体3との結合は完了するが、そのままではグリップユニット4が抜け出るおそれがある。図面には示さないが、上部本体3の下面には、常時下方に向かって弾発力が付勢された係止爪が備えられており、この係止爪がグリップユニット4の係止穴24に引っ掛かることで、グリップユニット4の抜け出しが防止されることとなる。
【0027】
さらにこの抜け出しを防止するために、上部本体3には、図6で説明するような位置固定レバー22と押上げボタン23が形成されている。
押上げボタン23が押し上げられると、前記の係止穴24に引っ掛かっている係止爪を、係止穴24から外して係合状態(結合状態)を解除することができるので、押上げボタン23を押し上げた状態でグリップユニット4を引き抜くと、グリップユニット4は上部本体3から簡単に取り外すことが可能となる。
また押上げボタン23の押し上げ操作を解除すると、係止爪は元の状態に戻る。
【0028】
ついで位置固定レバー22を説明する。
位置固定レバー22は図6Aの状態でロック状態となり、Bの状態で開放状態となる。すなわち、図6Aのロック状態のときは、押上げボタン23が位置固定レバー22で隠されるため押し上げ操作が不能となる。一方、位置固定レバー22が図6Bの開放状態となると押上げボタン23が露出して押し上げ操作が可能となる。
【0029】
さらに、位置固定レバー22を開放状態(図6B)からロック状態(図6A)に変化させると、前記のガイドプレート21が全体的に上方に引き上げられる構成となっているため、ガイドプレート21がガイド溝20に嵌合している状態でガイドプレート21が上方に引き上げられるため、グリップユニット4のガイド溝20の上部にある蟻溝上部板25がガイドプレート21で押し上げられ、グリップユニット4が上部本体3に強く押圧されるようになって両者の結合状態はガタツキの無い完璧な状態となる。
【0030】
また位置固定レバー22をロック状態(図6A)から開放状態(図6B)に戻すと、前記のガイドプレート21を全体的に上方に引き上げる力が解除されるため、グリップユニット4が上部本体3に強く押圧される状態も解除され、グリップユニット4の上部本体3からの離脱が可能となる。すなわち、ガイドプレート21とガイド溝20との嵌合状態を簡単に解除できるようになる。
このようにして、ワンタッチでグリップユニット4の送信機1への取り付け、取り外しを行うことができ、かつ取り付け状態はガタツキなどの無い安定状態が確保できるなどの効果を発揮する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、ラジコン模型用の送信機を製造する現場、それを販売する現場、それを利用する現場で幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 ラジコン模型用の送信機
2 ステアリングユニット
3 上部本体
4 グリップユニット
5 トリガー部
6 液晶ディスプレー
7 アンテナ
10 コネクタ(オス)
11 受けコネクタ(メス)
12 ガイド突起
13 切り欠き部
14 ガイド溝
15 抜け止めシャッター
16 切り換えレバー
17 解除ボタン
20 ガイド溝
21 ガイドプレート
22 位置固定レバー
23 押上げボタン
24 係止穴
25 蟻溝上部板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部本体に対してステアリングユニットを分離自在、かつ結合自在に構成したラジコン模型用送信機において、ステアリングユニットの背面側にコネクタを位置させ、このコネクタと電気的な導通状態を確保できる受けコネクタを上部本体におけるステアリングユニット取り付け面に位置させ、ステアリングユニットの背面側には複数個のガイド突起を突設し、このガイド突起を受け入れることができるガイド溝を上部本体におけるステアリングユニット取り付け面に刻設し、ステアリングユニットが上部本体に取り付けられた際に、前記ガイド突起がガイド溝から抜け出すことを防止するための抜け止めシャッターを上部本体に形成し、この抜け止めシャッターをロック状態と開放状態とに切り換えることができる切り換えレバーを上部本体に備えたことを特徴とするラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構。
【請求項2】
切り換えレバーの動きを許可するための解除ボタンを備えたことを特徴とする請求項1記載のラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構。
【請求項3】
上部本体に対してグリップユニットを分離自在、かつ結合自在に構成したラジコン模型用送信機において、グリップユニットの先端側にコネクタを位置させ、このコネクタと電気的な導通状態を確保する受けコネクタを上部本体におけるグリップユニット取り付け面に位置させ、グリップユニットにガイド溝を形成し、このガイド溝にスライド嵌入することができるガイドプレートを上部本体におけるグリップユニット取り付け面に突設し、グリップユニットが上部本体に取り付けられた際に、前記ガイドプレートがガイド溝から抜け出すことを防止するための位置固定レバーを上部本体に形成したことを特徴とするラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構。
【請求項4】
グリップユニットと上部本体との結合を解除するための押上げボタンを備えたことを特徴とする請求項3記載のラジコン模型用送信機におけるユニット部材の着脱機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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