説明

ラック用対流誘導装置

【課題】光通信機器と対流誘導装置を上下方向に交互に収容するラックにおいて、光通信機器の後方から前方へ光ケーブルを引き出す際に、光通信機器とその直下の対流誘導装置との間に光ケーブル挿通用のスペースを形成することなく、光ケーブルを引き出すことを可能とする。
【解決手段】側板21と、側板間に差渡し配置されて直下に位置する設置空間4内の光通信機器10からの空気流を斜め上方へ導いてラック外へ排出させる対流誘導板22と、を備え、少なくとも一方の側板には、前後方向へ貫通する中空部25が形成されており、中空部の開口25bは光通信機器の前方の空間S1と連通しており、中空部の後部開口25aは光通信機器の後方の空間S2と連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光通信装置等に使用されるラックに装備される対流誘導装置の改良に関し、例えばラック内に光通信機器を上下方向に収容した場合に、光通信機器内の部品からの発熱をラック外に放熱するために配置される対流誘導装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電気通信設備、光通信設備は、通信機器用キャビネット筐体内に、機能ブロック単位に応じて多段状に機器を積層収容した架構成をとる(特許文献1:特開平09−36579号公報、特許文献2:特開平11−68373号公報、特許文献3:特開2001−127479公報)。
図8に示した光通信装置100は、ラック101内に所定の上下方向間隔を隔てて形成された収容部102内に光通信機器110を収容した構成をとる。各収容部102内に収容された光通信機器110間には設置空所105が設けられており、これらの設置空所内には対流誘導装置106が配置される。
光通信機器110は、収容部102内に収容された状態でラックに設けたネジ穴を利用してネジ止め固定される。
【0003】
対流誘導装置106は、設置空所105内の対向し合う2つの側壁105aに夫々添設固定される2つの側板106aと、両側板106a間に差渡し配置されて直下に位置する収容部102内の光通信機器からの空気流を後方(斜め上方)へ導いて最後にラック201上面から外部へ排出する大面積の対流誘導板106bと、を有する。対流誘導装置106は、両側板の前部をネジによってラック本体適所に固定される。
対流誘導装置106は直下に位置する光通信機器110からの発熱をラック外へ排出するための空気流を生成する手段である。
【0004】
図9(a)及び(b)はラック内に光通信機器と対流誘導装置を交互に配置した状態を示す側部縦断面図であり、ラックの背面側から導入された光ケーブル120aは個々の光通信機器110の背面に設けた光コネクタ125aに対して接続される。
一方、光通信機器110の前面に設けた光コネクタ125bと光ケーブル120bを接続する場合には、背面側から前面側に光ケーブルを引き出す必要がある。従来は接続対象となる光コネクタ125bを有した光通信機器110の直下に、光ケーブルを前方に引き出すための挿通スペースSを形成していた。そのため、この光通信きき110の直下に設置される筈の対流誘導装置106を本来の位置よりも一段下げた位置に固定することにより、挿通スペースを確保していた。このため、当該対流誘導装置より下段の光通信機器110、対流誘導装置106も順次取付け位置を下げて設置されることとなる。
【0005】
ところで、ラックには各光通信機器、及び各対流誘導装置を夫々所定の高さ位置に固定するためのネジ穴が設けられており、これらのネジ穴を利用して各光通信機器、及び対流誘導装置をラックにネジ止め固定している。このため、光ケーブルを前方へ引き出すためのスペースSを形成するために対流誘導装置や光通信機器の取付け位置を順次下げるとすれば、ネジ穴の個数、及び収容スペースが本来設置される筈の光通信機器、及び対流誘導装置の台数と見合わなくなり、収容台数を減らさざるを得なくなる。また、対流誘導装置は、光通信機器と可能な限り接近して配置されることにより、初めて光通信機器下面と対流誘導板106bとの間で送風路を形成することが可能となる。しかし、光ケーブル挿通用のスペースが光通信機器と対流誘導装置との間に形成されると連続した空気流の形成が困難となり、冷却効果が著しく低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−36579号公報
【特許文献2】特開平11−68373号公報
【特許文献3】特開2001−127479公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、光通信機器と対流誘導装置を上下方向に交互に収容するラックにおいて、光通信機器の後方から前方へ光ケーブルを引き出す際に、光通信機器と対流誘導装置との間に光ケーブル挿通用のスペースを形成することなく、光ケーブルを引き出すことができる対流誘導装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、光通信機器を支持する収容部を上下方向に配列したラックの前記各収容部間に配置される設置空所内に装備される対流誘導装置であって、前記設置空所内の対向し合う2つの側壁と夫々対向する2つの側板と、前記両側板間に差渡し配置されて直下に位置する前記収容部内の前記光通信機器からの空気流を斜め上方へ導いてラック外へ排出させる対流誘導板と、を備え、前記2つの側板の少なくとも一方には、前後方向へ貫通する中空部が形成されており、前記中空部の前部開口は前記光通信機器の前方の空間と連通しており、前記中空部の後部開口は前記光通信機器の後方の空間と連通していることを特徴とする。
光通信機器を収容する収容部と、対流誘導装置を収容する設置空間は、ラックの上下方向の予め規定された位置に設けられている。このため、ラックの後部空間内の光ケーブルを前方へ引き出すために、光通信機器と対流誘導装置の上下位置をずらすとすれば、ラック内の本来のレイアウトが崩れて、光通信機器や対流誘導装置の収容個数が減少し、本来の機能を損なう虞がある。
本発明では、対流誘導装置を構成する2つの側板のうちの少なくとも一方に光ケーブルを挿通する中空部を設けたので、収容部、及び設置空間の高さ位置をずらすことなく、光ケーブルを後方から前方へ挿通することが可能となる。
【0009】
請求項2の発明は、前記中空部の内壁、或いは前記側板には、リング部を有した支持部材が複数個配置されており、前記各支持部材のリング部に無端状の誘導用線材を挿通して該誘導用線材が無端状に走行するように構成し、且つ該誘導用線材の一部を前記中空部の前部開口、及び後部開口から外部に引出し可能に構成したことを特徴とする。
中空部内に光ケーブルを挿通する際に挿通用の治具が既配線の光ケーブルを損傷することがないように、既配線の光ケーブルを回避した経路に沿って無端状に循環移動する誘導用線材を中空部内に配線しておき、既配線の光ケーブルを損傷させずに新たな光ケーブルを通線することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光通信機器と対流誘導装置を上下方向に交互に収容するラックにおいて、光通信機器の後方から前方へ光ケーブルを引き出す際に、光通信機器とその直下の対流誘導装置との間に光ケーブル挿通用のスペースを形成することなく、光ケーブルを引き出すことが可能となる。
また、既配線の光ケーブルを回避した経路に沿って無端状に循環移動する誘導用線材を中空部内に配線することにより、既配線の光ケーブルを損傷させずに新たな光ケーブルを通線することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る対流誘導装置、及び光通信機器をラック内に交互に上下方向に配列した状態で収容した光通信装置の側部縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る対流誘導装置の構成を示す斜視図である。
【図3】中空部を利用して光ケーブル50aを前方に通線する方法を示した図である。
【図4】(a)及び(b)はこのような不具合に対処するための光ケーブル引出し機構の構成例を示す説明図である。
【図5】(a)は支持部材の変形例を示した図であり、(b)はこの支持部材を中空部内に取り付けた状態を示す前方からの斜視図である。
【図6】(a)及び(b)は支持部材の他の構成例の正面図、及び側面図である。
【図7】中空部の他の利用方法を示す図である。
【図8】従来の光通信装置の構成を示す分解斜視図である。
【図9】(a)及び(b)はラック内に光通信機器と対流誘導装置を交互に配置した状態を示す側部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は対流誘導装置、及び光通信機器をラック内に交互に上下方向に配列した状態で収容した光通信装置の側部縦断面図であり、図2は本発明の一実施形態に係る対流誘導装置の構成を示す斜視図である。
光通信装置1は、本発明のラックの一例としてのラック2と、ラック2内に上下方向に交互に積層して収容された光通信機器10及び対流誘導装置20と、を備えている。
即ち、ラック2内には、所定の上下方向間隔を隔てて光通信機器用の収容部3と、対流誘導装置用の設置空所4とが交互に設けられている。収容部3内には、光通信機器10がラック2の後方(或いは前方)に設けた開口部から装着されて、ラックに設けたネジ穴を利用してネジ止め固定される。設置空所4内には、対流誘導装置20がラック2の後方(或いは前方)に設けた開口部から装着されて、ラックに設けたネジ穴を利用してネジ止め固定される。
【0013】
対流誘導装置20は、設置空所4内の対向し合う2つの側壁に夫々添設固定される2つの側板21と、両側板21間に差渡し配置されて直下に位置する収容部3内の光通信機器10からの空気流を後方(斜め上方)へ導いて最後にラック上面から外部へ排出する対流誘導板22と、を有する。対流誘導装置20は、両側板の前部をネジによってラック本体適所に固定される。
対流誘導装置20は直下に位置する光通信機器10からの発熱をラック外へ排出するための空気流を生成する手段である。
本発明に係る対流誘導装置20の特徴的な構成は、2つの側板21の少なくとも一方に、前後方向へ貫通する光ケーブル挿通用の中空部25を形成した点にある。側板21は、板金加工によってその内部に光ケーブル50を挿通するのに十分な内部スペースを有した中空部25を形成することにより、光ケーブル挿通用に利用することができる。
【0014】
中空部の前部開口25bは光通信機器の前方の空間S1と連通しており、中空部の後部開口25aは光通信機器の後方の空間S2と連通している。
従って、ラック内に設置された特定の光通信機器10の後方から前方に光ケーブル50を配線する必要がある場合に、中空部25を介して光ケーブルを前方に引き出すことが可能となるため、従来のように光通信機器の直下に設置される対流誘導装置の取り付け位置を下げる必要がなくなる。このため、配線作業が容易となるばかりでなく、光通信機器と対流誘導装置を本来の設置位置から下降させる必要がなくなるため、設置のやり直し等が不要となる。また、光通信機器とその直下の対流誘導装置との間に大きなスペースが形成されることがなくなるため、光通信機器とその直下の対流誘導装置との間に最適の通風用の空間を形成することができ、放熱効率を維持することができる。
【0015】
なお、図3は中空部25を利用して光ケーブル50aを前方に通線する実際の方法を示している。この方法では、新たに配線する光ケーブル50aの先端に腰のある太いワイヤ30等を接着テープ等によって仮固定し、ワイヤ30を中空部25の後部開口25aから内部に挿通してから前部開口25bから引き出す。この操作により光ケーブルを対流誘導装置の前方に引き出すことができる。その後、接着テープを剥がしてワイヤ30を取り外してから、光ケーブル先端のコネクタを直上、或いは直下に位置する光通信機器10の前面に設けた光コネクタ10aに接続する。
【0016】
ところで、このように腰のあるワイヤ30を用いて光ケーブル50aを中空部内に通線する場合には、中空部25内に配線済みの光ケーブルをワイヤが損傷する虞がある。即ち、腰の強いワイヤ30を後部開口25aから中空部内に差し込んで前部開口25bから引き出す際に、既配線の光ケーブルと接触すると、光ケーブルの被覆が傷ついたり、芯線である光ファイバに傷が付く虞がある。
図4(a)及び(b)はこのような不具合に対処するための光ケーブル引出し機構の構成例を示す説明図である。
即ち、本例の光ケーブル引出し機構40は、光ケーブル挿通用の中空部25の内壁にリング状の支持部材(ケーブルクランプ)41を複数個突設すると共に、各支持部材41のリング部41a内に柔軟性を有した樹脂、その他の材料から成る無端状の誘導用線材45を循環移動自在に挿通した構成を備えている。
【0017】
このように各支持部材のリング部41aに無端状の誘導用線材45を挿通して該誘導用線材が無端状に走行するように構成し、且つ誘導用線材の一部を中空部の前部開口25b、及び後部開口25aから外部に引出しできるようにした。
誘導用線材45としては、光ケーブルに接触してもこれを損傷させることがない柔軟な材質(例えば、ポリウレタン樹脂のように抗張力、耐摩耗性を兼ね備えた樹脂)を用いる。
支持部材41は、少なくとも中空部25の後部開口25aに近い内壁と、前部開口25bに近い内壁に夫々突設する。支持部材41は、図示のように側板21側に突設してもよいし、側板と対向する中空部の内壁に突設してもよい。リング部41aは(b)に示すように一部を切り欠くことにより、誘導用線材45を切欠き部から着脱できるようにしてもよいし、切欠きを設けなくても良い。切欠きを設けない場合には、非無端状の誘導用線材45を各支持部材のリング部41a間に挿通してから、誘導用線材の端部間を縛るなどの手法により無端状にすればよい。
無端状の誘導用線材45は、各支持部材41のリング部41a内に移動自在に挿通されているため、図示のように任意の方向へエンドレスに移動(走行)することができる。
【0018】
中空部の後部開口25aから光ケーブル50aを挿通する際には、まず誘導用線材45の一部を後部開口から外部に引き出して接着テープを用いて光ケーブルを仮固定する。次いで、手作業によって誘導用線材45を矢印方向に移動させることにより、光ケーブルを仮固定した部位を前部開口25b側に移動させ、前部開口から仮固定部を外部に引き出してから接着テープを剥がして光ケーブルを前部開口から引き出す。
光ケーブル引出し機構40による光ケーブルの引出し作業においては、中空部25内に既配線の光ケーブル50bと誘導用線材45が接触しても光ケーブルを損傷させることがないため、新たな光ケーブルを作業性よく通線することができる。
また、誘導用線材45を常設しておくことにより、いつでも新たな光ケーブルの配線が可能となる。
【0019】
従来技術で説明したように、光通信機器を収容する収容部と、対流誘導装置を収容する設置空間は、ラックの上下方向の予め規定された位置に設けられている。このため、ラックの後部空間内の光ケーブルを前方へ引き出すために、光通信機器と対流誘導装置の上下位置をずらすとすれば、ラック内の本来のレイアウトが崩れて、光通信機器や対流誘導装置の収容個数が減少し、本来の機能を損なう虞がある。
本発明では、対流誘導装置を構成する2つの側板のうちの少なくとも一方に光ケーブルを挿通する中空部を設けたので、収容部、及び設置空間の高さ位置をずらすことなく、光ケーブルを後方から前方へ挿通することが可能となる。
また、中空部内に光ケーブルを挿通する際に挿通用の治具が既配線の光ケーブルを損傷することがないように、既配線の光ケーブルを回避した経路に沿って無端状に循環移動する誘導用線材を中空部内に配線しておくので、既配線の光ケーブルを損傷させずに新たな光ケーブルを通線することが可能となる。
【0020】
次に、図5(a)は支持部材の変形例を示した図であり、(b)はこの支持部材を中空部内に取り付けた状態を示す前方からの斜視図である。
この支持部材60は、例えばナイロン等の耐久性(特に、冬季の低温低湿環境での割れにくさ)に優れた材料から構成されており、中空部25の内壁25cに設けた3つの取付穴26a、26b、26bに夫々差込むことにより係止される3つの被係止片61a、61b、61bを有した被係止部61と、被係止部61の頂部に連接一体化されたケーブル支持部63と、を備えている。ケーブル支持部63は、ベース片64と、ベース片によって矢印方向へ開閉自在に支持された開閉ロック片65と、を備えている。ベース片64の一端には開閉ロック片65の先端に設けたロック部65aを嵌合させる嵌合ロック部64aが設けられ、他端には開閉ロック片65の基端部を開閉自在に支持するヒンジ部64bが設けられている。
【0021】
被係止部61を内壁25cに取り付ける場合には、中央のL字形の被係止片61aをその先端から中央の取付穴26aに差し込むとともに、他の2つの被係止片61b、61bを他の二つの取付穴26b、26bに圧入する。取り外す際には、取付け時と逆の操作を行えばよい。
開閉ロック片65は、ヒンジ部64bを中心として矢印方向へ開閉可能であり、先端のロック部65aを嵌合ロック部64aに圧入することにより、ロック部65aの先端が嵌合ロック部64a内に弾性的に係止される。このため、開閉ロック片65を閉止した状態に保持することができる。
複数個の支持部材60を、(b)に示したように対流誘導装置20の側板21に沿って形成した中空部25の一方の内壁25cに取り付けることにより、図4の実施形態と同様に誘導用線材45を挿通してエンドレスに循環移動させることができる。誘導用線材45に光ケーブルを止着することにより、後部開口25aから挿通した光ケーブル50aを前部開口25bから引き出すことができる。
【0022】
なお、図5(b)の例では、側板21の内側に断面コの字状の部材21Aを固定することによって中空部25を形成しているが、部材21Aの先端縁を側板21の先端縁よりも後方に退避させた位置で終端させているので、側板21の先端側には部材21Aによって覆われていない領域Aが形成される。本例では、この領域Aを利用して中空部内に設けた取付穴26a、26b、26bに対して支持部材60を取り付ける作業を容易化することができる。なお、部材21Aによって覆われていない側板21の領域Aに支持部材60を取り付けても良い。
中空部25の後方に配置される他の支持部材60についても同様の手法により取り付ける。
本実施形態の支持部材60は、対流誘導装置に対して着脱自在であり、交換が用意である。また、開閉ロック片65をベース片64に対して閉止状態でロックしたり、ロックを解除して開放することができる。ロック状態では、開閉ロック片とベース片との間にリング部が形成されるので、このリング部内に誘導用線材45を挿通させることができる。誘導用線材45の耐久性が低下した場合には、開閉ロック片65を開放状態にして新たな誘導用線材と容易に交換することができる。
なお、取付穴を部材21A側に設けることにより、支持部材60を部材21A側に取り付けるようにしても良い。
【0023】
次に、図6(a)及び(b)は支持部材の他の構成例であり、被係止部61の形状が図5の支持部材と異なっている。他の部位の構成は同様であるため、同一部分には同一符号を付して重複した説明は省略する。
図5の支持部材の被係止部における中央の被係止片61aはL字状であるが、本実施形態の中央の被係止片61aは錨形、或いは矢印形である。このため、取付穴26aに差し込んだ時の安定性に優れている。
被係止部61を内壁25cに取り付ける場合には、中央の被係止片61aを中央の取付穴26aに圧入するとともに、他の2つの被係止片61b、61bを他の二つの取付穴26b、26bに圧入する。
次に、図7は中空部の他の利用方法を示す図であり、中空部25を経由してラックの後部空間内の光ケーブル50aを前方へ引き出した場合に、光ケーブル50aに余剰部分がある場合には、この余剰部分を図示のように環状に束ねた状態とし、中空部25内に納めておくことができ、便利である。
【符号の説明】
【0024】
1…光通信装置、2…ラック、3…収容部、4…設置空所、10…光通信機器、10a…光コネクタ、20…対流誘導装置、21…側板、22…対流誘導板、25…中空部、25a…後部開口、25b…前部開口、25c…内壁、26a、26b、26b…取付穴、30…ワイヤ、40…光ケーブル引出し機構、41…支持部材、41a…リング部、45…誘導用線材、50…光ケーブル、50a…光ケーブル、50b…光ケーブル、60…支持部材、61…被係止部、61a、61b、61b…被係止片、63…ケーブル支持部、64…ベース片、64a…嵌合ロック部、64b…ヒンジ部、65…開閉ロック片、65a…ロック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信機器を支持する収容部を上下方向に配列したラックの前記各収容部間に配置される設置空所内に装備される対流誘導装置であって、
前記設置空所内の対向し合う2つの側壁と夫々対向する2つの側板と、前記両側板間に差渡し配置されて直下に位置する前記収容部内の前記光通信機器からの空気流を斜め上方へ導いてラック外へ排出させる対流誘導板と、を備え、
前記2つの側板の少なくとも一方には、前後方向へ貫通する中空部が形成されており、
前記中空部の前部開口は前記光通信機器の前方の空間と連通しており、前記中空部の後部開口は前記光通信機器の後方の空間と連通していることを特徴とするラック用対流誘導装置。
【請求項2】
前記中空部の内壁、或いは前記側板には、リング部を有した支持部材が複数個配置されており、前記各支持部材のリング部に無端状の誘導用線材を挿通して該誘導用線材が無端状に走行するように構成し、且つ該誘導用線材の一部を前記中空部の前部開口、及び後部開口から外部に引出し可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のラック用対流誘導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−98223(P2013−98223A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237222(P2011−237222)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(305027456)ネッツエスアイ東洋株式会社 (200)
【Fターム(参考)】