説明

ラック

【課題】左右一対の支柱ユニット間に荷台が架設されたラックの構造をシンプルにし、コストダウンを図る。
【解決手段】左右一対の支柱ユニット2A,2B間に荷台3が架設されたラックであって、前記荷台3は、荷台長さ方向と平行な前後一対のビーム8a,8bと、互いに逆方向に傾斜する向きで両ビーム8a,8bを連結する少なくとも2本のサブビーム9,10とから、トラス構造体に構成され、前記左右一対の支柱ユニット2A,2Bどうしが、前記荷台3の後ろ側で垂直面に沿って互いに逆方向に傾斜する少なくとも2本のブレース4によって連結された構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の支柱ユニット間に荷台が架設されたラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のラックにおける前記支柱ユニットは、前後一対の支柱部材を連結材で連結して構成され、前記荷台は、両端が前記支柱部材にそれぞれ係止される荷台長さ方向と平行な前後一対のビームを備えている。而して従来のこの種のラックでは、特許文献1にも記載されるように、荷台の前後一対のビームの端部には、支柱ユニット側の支柱部材に横から嵌合してピン止めされる特殊形状のブラケットが溶接により固着されていた。
【特許文献1】特開平5−178425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来のラックにおける荷台と支柱ユニットとの結合構造では、荷材の四隅に特殊形状のブラケットを溶接する必要があり、この各ブラケットを支柱部材に係止するピンを含めて構成部品点数が多くなり、非常にコスト高になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得るラックを提供することを目的とするものであって、請求項1に記載のラックは、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、左右一対の支柱ユニット2A,2B間に荷台3が架設されたラックであって、前記荷台3は、荷台長さ方向と平行な前後一対のビーム8a,8bと、互いに逆方向に傾斜する向きで両ビーム8a,8bを連結する少なくとも2本のサブビーム9,10とから、トラス構造体に構成され、前記左右一対の支柱ユニット2A,2Bどうしが、前記荷台3の後ろ側で垂直面に沿って互いに逆方向に傾斜する少なくとも2本のブレース4によって連結された構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、前記荷台3の前後一対のビーム8a,8bの両端には、当該ビーム8a,8bの長さ方向に連続する垂直板部17の端部から突出する係止爪片20a,35aを設け、前記各支柱ユニット2A,2Bを構成する前後一対の支柱部材5a,5bの荷台3に隣接する側面板部29aには、前記係止爪片20a,35aが挿入係止される係止孔16,34を支柱部材高さ方向適当間隔おきに設け、前記ビーム8a,8bの両端が前記支柱部材5a,5bの側面板部11a,29aに直接当接する状態で当該ビーム8a,8bの端部を前記支柱部材5a,5bに、前記係止爪片20a,35aと係止孔16,34との係合により支持させることができる。
【0006】
又、上記請求項2に記載の構成を採用する場合、請求項3に記載のように、各係止爪片20aは、ビーム8a,8bの長さ方向と平行に突出させ、その下側辺の付け根位置には、前記係止孔16の下側辺を形成する支柱部材5a,5bの側面板部11aが嵌入できる切込みを形成して、鉤形の係止爪片とすることができるし、請求項4に記載のように、前後一対のビーム8a,8bの同一側の端部から突出する前後一対の前記係止爪片35aは、先端が互いに対向接近する内向きに付け根近傍位置で直角に折り曲げ、前記支柱部材5a,5bの側面板部29aには、前記係止爪片35aの直角内向きの先端に対向する段部30をこの支柱部材5a,5bの高さ方向に連続して設け、この段部30に前記係止孔34を設け、前後一対のビーム8a,8bを前後一対の前記支柱部材5a,5bに前記係止爪片35aと係止孔34とで係合させた状態でこの前後一対のビーム8a,8bを互いに連結一体化することができる連結手段(サブビーム9,10)を設けることができる。
【0007】
尚、前記係止爪片20a,35aは、前記ビーム8a,8bの長さ方向に連続する垂直板部17の端部に溶接した別の板材で構成することもできるが、請求項5に記載のように、前記垂直板部17の一部を延出させて当該垂直板部17と一体に形成するのが望ましい。この場合、請求項6に記載のように、荷台3の前後一対のビーム8a,8bは、前記垂直板部17の上下両側辺から荷台3の外側へ外開き状に折曲連設された傾斜板部18a,19aと、これら傾斜板部18a,19aをほぼ水平に折り返して形成された天板部18及び底板部19を備えたものとし、その天板部18の下側に前記サブビーム9,10の端部をボルトナット24により結合することができる。
【発明の効果】
【0008】
上記請求項1に記載の本発明に係るラックによれば、荷台は、前後一対のビームとこの両ビームを連結するサブビームとから成る枠組み構造でありながら、換言すれば棚板を両ビーム間に固着する版構造でないにもかかわらず、トラス構造体に構成されているので、荷台の前後水平方向の変形を確実に防止し、安全に荷を支持できる安定性のあるラックとして活用できる。又、荷台の両端を支持する左右一対の支柱ユニットどうしを連結するブレースによって、両支柱ユニットを、直角四辺形の左右両平行側辺の相当位置に確実に保持することができ、ラック全体の形態保持機能(正常姿勢での自立機能)を高め、安全に利用できる。換言すれば、上記請求項1に記載の本発明の構成を採用すれば、荷台側のビームの両端に、支柱ユニットの支柱部材に対し横から嵌合する大きなブラケットを溶接し、このブラケットと支柱部材とをピンで結合するような構成、即ち、支柱部材に対する荷台側のビームの上下垂直方向の直角度や前後水平方向の直角度を確保できる構成を採用する必要がなくなり、請求項2に記載したような、荷台を構成する前後一対のビームの端部と支柱ユニット側の支柱部材との結合手段として、前記ビーム側に係止爪片を突設させるだけの、荷台に作用する垂直荷重のみを支柱部材に係止爪片を介して伝達する簡単な構成を採用して、ラック全体の構成部品点数を少なくし、大幅なコスト削減を図ることができるのである。
【0009】
又、請求項3に記載の構成によれば、荷台全体を支柱ユニット側に移動させて、前後一対のビームの端部から突出している係止爪片を支柱部材側の係止孔に差し込み、その後、荷台全体を下げて係止爪片を前記係止孔の下側辺に係合させることにより、荷台と支柱ユニットとが互いに水平方向に離間移動することも前記係止爪片で阻止できる状態に荷台と支柱ユニットとを結合することができる。即ち、荷台全体を組み立てた状態で支柱ユニットに極めて簡単な操作で結合することができ、ラック全体の組立てを容易に行える。
【0010】
これに対して請求項4に記載の構成によれば、荷台を構成する前後一対のビームを、支柱ユニット側の支柱部材に対し前後水平方向で互いに逆向きに移動させて、ビーム側の係止爪片を支柱部材側の係止孔に差し込み、この後、前後一対のビームを連結手段(サブビームや棚板など)で互いに連結一体化することにより、荷台の組立てと当該荷台の支柱ユニットへの結合とが完了するので、請求項3に記載の構成と比較して、ラック全体の組立てに若干手間がかかるが、支柱ユニットに対する荷台の上下位置が係止爪片と係止孔との係合により確定し、請求項3に記載の構成のように、荷台に上向きに外力が作用しても当該荷台が持ち上げられることがなく、ガタツキのないしっかりとしたラックを組み立てることができる。
【0011】
又、請求項5に記載の構成によれば、ビームの垂直板部に当て付けて固着した別の板材で係止爪片を構成する場合と比較して、ビームと支柱部材以外に全く別部品を使用せずに荷台と支柱ユニットとを結合させることができ、一層のコストダウンを図ることができる。
【0012】
更に、請求項6に記載の構成によれば、ビームを1枚の板材の曲げ加工で構成できるだけでなく、サブビームとの連結も容易な構造とすることができるので、軽量化とコストダウンを図ることができる。
【0013】
又、上記のように請求項1〜4に記載の本発明の構成によれば、支柱部材に対するビームの上下垂直方向の直角度を確保できる、支柱部材に対し横から嵌合する大きなブラケットがビーム側に設けられていないので、荷台の両端に結合された左右一対の支柱ユニットを、直角四辺形の左右両平行側辺の相当位置に当該荷台によって確実に保持することができない。換言すれば、外力を受けることによりラック全体が左右横方向に平行揺動する恐れがあるが、請求項7に記載の構成によれば、左右一対の支柱ユニットのラック背面側の支柱部材どうしを連結するブレースによって、左右一対の支柱ユニットを、直角四辺形の左右両平行側辺の相当位置に確実に保持することができ、ラック全体の形態保持機能(正常姿勢での自立機能)を高め、安全に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、図1及び図2に示すラック1は、左右一対の支柱ユニット2A,2Bと、両支柱ユニット2A,2B間に架設された上下複数段(図示例は2段)の荷台3と、このラックの背面側で両支柱ユニット2A,2Bを連結する2本の交叉状に配置されたブレース4とから構成されている。各支柱ユニット2A,2Bは同一構造のもので、前後一対の支柱部材5a,5bを水平連結材6及び斜め連結材7とで連結一体化して成るトラス構造体である。各荷台3は同一構造のもので、荷台3の左右長さ方向と平行な前後一対のビーム8a,8bを連結手段であるサブビーム9,10により連結一体化して成るトラス構造体である。
【0015】
図3〜図5に示すように、支柱ユニット2A,2Bを構成する支柱部材5a,5bは、1枚の板材の折り曲げ加工により構成された同一構造のもので、横断面がほぼコの字形であって、左右両側面板部11a,11bの幅方向の中間位置に形成された段部12より正面板部13側が広幅部14、当該段部12より両側面板部11a,11bの遊端側が開放狭幅部15となっており、広幅部14の左右両側板部11a,11bには、支柱部材5a,5bの長さ方向等間隔おきに、当該支柱部材5a,5bの長さ方向と平行なスリット状で長さが一定の係止孔16が穿設されている。この支柱部材5a,5bが、その正面板部13がラック1の外側に面する向き、即ち、両支柱部材5a,5bの開放狭幅部15が互いに対向する向きに並列され、両支柱部材5a,5bの開放狭幅部15と当該開放狭幅部15内に嵌合された前記水平連結材6及び斜め連結材7の端部とをボルトナットで締結することにより、支柱ユニット2A,2Bが組み立てられている。
【0016】
荷台3を構成するビーム8a,8bは、図3〜図6に示すように、1枚の板材の折り曲げ加工により構成された同一構造のもので、垂直板部17の上下両側辺から同一側へ外開き状に傾斜板部18a,19aを折曲連設し、これら傾斜板部18a,19aをほぼ水平に折り返して天板部18と底板部19とを形成し、垂直板部17の真上位置より反対側へ張り出す天板部18の先端部分は、一段低くしてサブビーム取付け部18bとすると共に、垂直板部17の真下位置より反対側へ張り出す底板部19の先端からは、傾斜板部18bと対称形の折り返し傾斜板部19bを折曲連設し、更に、ビーム8a,8bの両端には、垂直板部17を部分的に延出させて、上下一対の係止爪片20a,20bを形成している。この実施形態における係止爪片20a,20bは、前記支柱部材5a,5bに設けられている係止孔16に挿入可能な上下高さを有するもので、その付け根位置には、支柱部材5a,5bの構成板材の板厚より若干幅広の切り込みを係止爪片20a,20bの底板部19側の下側辺から上向きに設けて、係止爪片20a,20bそれぞれを鉤形に形成している。又、上下一対の係止爪片20a,20bの間隔は、支柱部材5a,5b側の上下に隣り合う2つの係止孔16にこれら上下一対の係止爪片20a,20bを同時に挿入できる間隔としている。
【0017】
荷台3を構成するサブビーム9,10は、図3B、図4、及び図6に示すように、1枚の板材の折り曲げ加工により構成された同一構造のもので、天板部21の左右両側辺から同一側へ左右両側面板部22a,22bを折曲連設すると共に、これら側面板部22a,22bの下側辺から外側へ水平張出板部23a,23bを折曲連設して成る、断面ハット形のものであって、長さ方向の両端では、天板部21が水平張出板部23a,23bより長く突出するように、側面板部22a,22bを斜めに切除している。
【0018】
各荷台3は、上記構成のビーム8a,8bを、そのサブビーム取付け部18bが互いに対向する向きで並列させ、各サブビーム9,10の天板部21の両端部を各ビーム8a,8bのサブビーム取付け部18bの下側にボルトナット24で締結することにより、組み立てられている。このとき、サブビーム取付け部18bの上側に位置するボルトナット24のボルト頭部が、当該サブビーム取付け部18bより一段高い天板部18の表面とほぼ面一になるように構成している。又、図2に示すように、サブビーム9,10は、ビーム8a,8bに対して直角向きに結合されるのではなく、各サブビーム9は一方向へ一定角度傾斜し、各サブビーム10はサブビーム9とは反対方向へ同一角度傾斜するものであって、これら互いに反対方向に傾斜するサブビーム9とサブビーム10とが荷台3の長さ方向において交互に配置されて、互いに平行に並列するビーム8a,8bどうしを連結することにより、荷台3をトラス構造体に構成している。
【0019】
上記荷台3は、この荷台3上に載置される1つの荷(パレット)の支持エリア内に、荷台3の長さ方向に隣り合って対称形に傾斜配置された少なくとも一組(各1本)のサブビーム9,10が配置されるように構成するのが望ましい。従って、図示例の荷台3は、荷台3の長さ方向に2つの荷(パレット)を支持できるように構成したものであるが、支持する荷の個数(荷台3の長さ)に応じてサブビーム9,10の本数と配置を決定すれば良い。勿論、載置される荷のサイズが一定しないなど、荷台3の使用形態によっては、サブビーム9,10の傾斜角度を小さくし、交互に配置されるサブビーム9,10間の間隔を適当に狭めて数多くのサブビーム9,10を配設することもできる。
【0020】
組み立てられた各荷台3は、その前後一対のビーム8a,8bの一端側に突出する上下一対の鉤形係止爪片20a,20bを、図5に示すように、一方の支柱ユニット2Aの前後一対の支柱部材5a,5bに設けられている係止孔16の内、各荷台3を架設すべき高さにある上下2つの係止孔16に挿入し、ビーム8a,8bの長さ方向の端面を支柱部材5a,5bにおける広幅部14の左右両側板部11a,11bの外側面に当接させた状態で荷台3を下げることにより、鉤形係止爪片20a,20bを上下2つの係止孔16の下側辺に係合させる。このようにして各荷台3の長さ方向の一端を一方の支柱ユニット2Aに係止させたならば、他方の支柱ユニット2Bと各荷台3の長さ方向の他端とを、ビーム8a,8bの他端側に突出する上下一対の鉤形係止爪片20a,20bと他方の支柱ユニット2Bの前後一対の支柱部材5a,5bに設けられている上下2つの係止孔16とを利用して、上記の要領で係合させる。
【0021】
このようにして左右一対の支柱ユニット2A,2B間に所定高さで水平に各荷台3を架設したならば、両支柱ユニット2A,2Bのラック背面側の支柱部材5bどうしを2本の交叉状に配置されたブレース4により、当該2本の支柱部材5bが直角四辺形の平行両側辺と一致するように連結一体化する。この実施形態での2本のブレース4は、一方の支柱部材5bの下端近傍位置と他方の支柱部材5bの上端近傍位置とを連結するもので、図7にも示すように、両端には、支柱部材5bの正面板部13に当接させてボルトナット25で結合するための連結用板部26が設けられている。図示のブレース4は、両端の連結用板部26それぞれに設けられた互いに逆ねじのナット部27に、ロッド28の両端の互いに逆ねじの螺軸部28aを螺合させたもので、ロッド28の回転操作により全長を調整することができるものである。勿論、ブレース4としては、この図示のブレース4に限定されるものではなく、従来周知の種々の長さ調整自在なブレース、又は長さ調整できない一定長さのロッド若しくは帯状板から成るブレースを利用することができる。又、ブレース4の本数も2本に限られるものではないし、互いに逆方向に傾斜する2本のブレース4を互いに交叉させないで、支柱部材5bの長さ方向(高さ方向)に交互に配置することも可能である。
【0022】
図8〜図11は、本発明の第二の実施形態を示している。図3〜図7に示した第一実施形態とこの第二実施形態との異なる点は、支柱ユニット2A,2Bに使用されている支柱部材5a,5bと、荷台3に使用されている前後一対のビーム8a,8bの両端の構造である。即ち、この第二実施形態に使用されている支柱部材5a,5bは、横断面がほぼコの字形であって、左右両側面板部29a,29bの幅方向の中間位置に形成された段部30より正面板部31側が狭幅部32、当該段部30より両側面板部29a,29bの遊端側が開放広幅部33となっており、段部30には、支柱部材5a,5bの長さ方向等間隔おきに、当該支柱部材5a,5bの長さ方向と平行なスリット状で長さが一定の係止孔34が穿設されている。この支柱部材5a,5bが、その正面板部31がラック1の外側に面する向き、即ち、両支柱部材5a,5bの開放広幅部33が互いに対向する向きに並列され、両支柱部材5a,5bの開放広幅部33と当該開放広幅部33内に嵌合された前記水平連結材6及び斜め連結材7の端部とをボルトナットで締結することにより、支柱ユニット2A,2Bが組み立てられる。
【0023】
一方、前後一対のビーム8a,8bの両端には、垂直板部16を部分的に延出させて上下一対の係止爪片35a,35bが設けられているが、これら上下一対の係止爪片35a,35bは、その先端が互いに対向接近する向きとなるように、付け根近傍位置で直角に折曲されている。これら上下一対の係止爪片35a,35bは、第一実施形態での係止爪片20a,20bと同様に、前記支柱部材5a,5bに設けられている係止孔34に挿入可能な上下高さを有するもので、上下に隣り合う2つの係止孔34にこれら上下一対の係止爪片35a,35bを同時に挿入できる間隔で突設されている。
【0024】
而してこの第二実施形態では、前後一対のビーム8a,8bをサブビーム9,10で連結一体化して荷台3を完成させる前に、各ビーム8a,8bの両端を左右一対の支柱ユニット2A,2Bにおける前後一対の支柱部材5a,5bに係止させる必要がある。即ち、前側のビーム8aは、その両端の係止爪片35a,35bを、左右一対の前側支柱部材5aのラック正面側に面する段部30に設けられている係止孔34の内、荷台架設高さにある上下2つの係止孔34に、前から後方へ水平にビーム8aを移動させながら差し込み、後ろ側のビーム8bは、その両端の係止爪片35a,35bを、左右一対の後側支柱部材5bのラック背面側に面する段部30に設けられている係止孔34の内、荷台架設高さにある上下2つの係止孔34に、後ろから前方へ水平にビーム8bを移動させながら差し込む。このようにして前後一対のビーム8a,8bを互いに平行状態で限界位置まで接近させた状態で、当該前後一対のビーム8a,8bを第一実施形態で説明したようにサブビーム9,10により互いに連結一体化して、トラス構造の荷台3を完成させることができる。
【0025】
尚、図9及び図10に示すように、ビーム8a,8bの端面は、係止爪片35a,35bを支柱部材5a,5b側の係止孔34に差し込んだとき、支柱部材5a,5bの狭幅部32における両側面板部29a,29bと開放広幅部33における両側面板部29a,29bとの同時に隣接し得るように、支柱部材5a,5bの狭幅部32に隣接する部分(垂直板部17より傾斜板部18a,19aのある側)を、支柱部材5a,5bの開放広幅部33に隣接する部分を突出させている。
【0026】
上記のようにして左右一対の支柱ユニット2A,2B間に架設された荷台3は、第一実施形態の荷台3と違って、係止爪片35a,35bの上下高さと支柱部材5a,5b側の係止孔34の上下幅の間の僅かな差分の範囲内でのみ上下動できるだけであって、実質的に支柱ユニット2A,2Bの所定高さに位置決めされた状態で支持されていることになる。勿論、荷台3に対して左右両支柱ユニット2A,2Bが水平に離れる方向に移動することも、荷台3側の係止爪片35a,35bにより確実に阻止されている。そして荷台3が前記のようにトラス構造に構成されていること、両支柱ユニット2A,2Bがブレース4により連結されることにより、形態の安定した、安全に使用できるラック1として活用できる。
【0027】
尚、図1に示すラック1は、本発明によって構成されるラックの一例に過ぎず、3つ又はそれ以上の数の支柱ユニットを並列させ、隣り合う支柱ユニット間それぞれに荷台3を架設して、左右横方向に長いラックを組み立てることもできるし、左右一対の支柱ユニット2A,2B間に架設する荷台3の段数も図示の2段に限定されない。又、荷台3を構成する前後一対のビーム8a,8bの端部から突設される係止爪片20a,20b(35a,35b)の数は、上下高さを大きくして1つにしても良いし、上下高さを小さくして3つ又はそれ以上にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ラック全体の斜視図である。
【図2】ラックの平面図である。
【図3】A図は第一実施形態に使用される荷台のビーム端部と支柱部材の一部分とを示す斜視図、B図は第一実施形態の要部を示す一部切欠き縦断正面図である。
【図4】第一実施形態の要部を示す一部切欠き横断平面図である。
【図5】第一実施形態での荷台のビーム端部と支柱部材との結合作業を説明する縦断正面図である。
【図6】荷台のビームとサブビームとの連結構造を示す縦断側面図である。
【図7】支柱部材とブレースとの連結構造を示す横断平面図である。
【図8】第二実施形態に使用される荷台のビーム端部と支柱部材の一部分とを示す斜視図である。
【図9】第二実施形態での荷台のビーム端部と支柱部材との結合作業を説明する一部切欠き横断平面図である。
【図10】第二実施形態の要部を示す一部切欠き横断平面図である。
【図11】第二実施形態の要部を示す一部切欠き縦断正面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ラック
2A,2B 支柱ユニット
3 荷台
4 ブレース
5a,5b 支柱部材
6 水平連結材
7 斜め連結材
8a,8b ビーム
9,10 サブビーム
11a,11b,29a,29b 左右両側面板部(支柱部材)
12,30 段部(支柱部材)
13,31 正面板部(支柱部材)
14,33 広幅部(支柱部材)
15,32 狭幅部(支柱部材)
16,34 係止孔
17 垂直板部(ビーム)
18a,19a 傾斜板部(ビーム)
18 天板部(ビーム)
19 底板部(ビーム)
20a,20b,35a,35b 係止爪片
24,25 ボルトナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の支柱ユニット間に荷台が架設されたラックであって、前記荷台は、荷台長さ方向と平行な前後一対のビームと、互いに逆方向に傾斜する向きで両ビームを連結する少なくとも2本のサブビームとから、トラス構造体に構成され、前記左右一対の支柱ユニットどうしが、前記荷台の後ろ側で垂直面に沿って互いに逆方向に傾斜する少なくとも2本のブレースによって連結されている、ラック。
【請求項2】
前記荷台の前後一対のビームの両端には、当該ビームの長さ方向に連続する垂直板部の端部から突出する係止爪片が設けられ、前記各支柱ユニットを構成する前後一対の支柱部材の荷台に隣接する側面板部には、前記係止爪片が挿入係止される係止孔が支柱部材高さ方向適当間隔おきに設けられ、前記ビームの両端が前記支柱部材の側面板部に直接当接する状態で当該ビームの端部が前記支柱部材に、前記係止爪片と係止孔との係合により支持されている、請求項1に記載のラック。
【請求項3】
各係止爪片は、ビームの長さ方向と平行に突出するものであって、その下側辺の付け根位置に、前記係止孔の下側辺を形成する支柱部材の側面板部が嵌入できる切込みが形成されることにより、鉤形の係止爪片となっている、請求項2に記載のラック。
【請求項4】
前後一対のビームの同一側の端部から突出する前後一対の前記係止爪片は、先端が互いに対向接近する向きに付け根近傍位置で直角に折曲され、前記支柱部材の側面板部には、前記係止爪片の直角内向きの先端に対向する段部がこの支柱部材の高さ方向に連続して設けられ、この段部に前記係止孔が設けられ、前後一対のビームを前後一対の前記支柱部材に前記係止爪片と係止孔とで係合させた状態でこの前後一対のビームを互いに連結一体化することができる連結手段が設けられている、請求項2に記載のラック。
【請求項5】
前記係止爪片は、前記ビームの長さ方向に連続する垂直板部の一部を延出させて当該垂直板部と一体に形成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載のラック。
【請求項6】
前記荷台の前後一対のビームは、前記垂直板部の上下両側辺から荷台の外側へ外開き状に折曲連設された傾斜板部と、これら傾斜板部をほぼ水平に折り返して形成された天板部及び底板部を備えたもので、その天板部の下側に前記サブビームの端部がボルトナットにより結合されている、請求項1〜5の何れか1項に記載のラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−136596(P2009−136596A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317885(P2007−317885)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】