ラッピングマシン
【課題】簡易な構造で迅速かつ十分な確度でロールベールを起立できるラッピングマシンを提供する。
【解決手段】ラッピングマシン本体4に取り付けられる固定フレーム22と、固定フレーム22に、ロールベール2の排出口に臨む位置から排出方向に延びると共にロールベール2の一端側に偏心して、かつ、上下回動自在に設けられ、ロールベール2を受ける起立用フレーム23と、起立用フレーム23の基端部に設けられロールベール2の他端側を受けるガイド部24と、起立用フレーム23の先端部に設けられロールベール2を止めるストッパ33と、起立用フレーム23に設けられ、常時に起立用フレーム23を上方回動させるように弾発付勢し、ラッピングマシン本体4からロールベール2を受けたとき起立用フレーム23の下方回動を許容し、ロールベール2の他端側外周が接地したとき起立用フレーム23を跳ね上げるスプリング25とを備えたものである。
【解決手段】ラッピングマシン本体4に取り付けられる固定フレーム22と、固定フレーム22に、ロールベール2の排出口に臨む位置から排出方向に延びると共にロールベール2の一端側に偏心して、かつ、上下回動自在に設けられ、ロールベール2を受ける起立用フレーム23と、起立用フレーム23の基端部に設けられロールベール2の他端側を受けるガイド部24と、起立用フレーム23の先端部に設けられロールベール2を止めるストッパ33と、起立用フレーム23に設けられ、常時に起立用フレーム23を上方回動させるように弾発付勢し、ラッピングマシン本体4からロールベール2を受けたとき起立用フレーム23の下方回動を許容し、ロールベール2の他端側外周が接地したとき起立用フレーム23を跳ね上げるスプリング25とを備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールベールをフィルムで包装するラッピングマシンに係り、特にロールベールを排出するときにロールベールの円形平面部を底面として起立させるラッピングマシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロールベールにラップフイルムを巻回するラッピングマシンは、ラッピング作業終了ののち、ロールベールを周面方向に転がして排出していた。
【0003】
しかしながら、ラップ巻回作業を行う場所は、牧草の堅い切り株が剣山の如く残る牧草地であったり、砂利が敷かれた農家の庭先であったり、傾斜地であったりと必ずしも平滑ではなく、また、ラップを巻回されたロールベールの周面は、円形平面部と比べてラップフイルムの重なりが少なく、被覆が薄いため、周面を接地して転がるとラップフィルムが破れる可能性が高いという問題があり、ラップフィルムが破れると、良質な嫌気性発酵が行われず腐敗の原因となるという問題があった。また、傾斜地においては、最大重量約1トンものロールベールがコントロールされずに転がるおそれがあった。
【0004】
かかる問題を解決する装置としては、特許文献1〜4記載のものが知られている。特許文献1〜3記載の装置は、ロールベールを排出する際に油圧装置でロールベールを円形平面部を下にして起立させるものであり、特許文献4記載の装置は、ロールベールの排出口に臨む位置にロッド状の案内具を左右の一方に傾けて設けたものである。
【0005】
【特許文献1】特開平06−070631号公報
【特許文献2】英国特許出願公開第2305648A号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1097627A1号明細書
【特許文献4】特開平01−240116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1〜3記載の装置のように油圧装置でロールベールを起立させるものは、頑強なフレームと油圧アクチュエータとを用い、ロールベールの起立放出までの一連の動作をマイコンによる制御、または油圧回路による制御により行うため、油圧回路及び電気回路などの構造が複雑になると共に、重たいものとなり、動作が遅く、制御のタイミング調整が難しいものになるという課題があった。
【0007】
また、特許文献4記載の装置のように、排出されるロールベールに左右方向に傾く案内具を当ててロールベールの姿勢を変えるものは、排出時の高低差によりロールベールに勢いがついているため、案内具に衝突したあと起立せずに更に反動で転がってしまう場合が多々あり、ロールベールを十分な確度で起立できないという課題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、簡易な構造で迅速かつ十分な確度でロールベールを起立できるラッピングマシンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、ロールベールを軸を水平に寝かせた姿勢で下方に転がして排出するラッピングマシン本体に取り付けられラッピングマシン本体から排出されるロールベールを軸を立てるように姿勢を変えて地上に置く縦置機構を備えたラッピングマシンにおいて、上記縦置機構が、ラッピングマシン本体に取り付けられる固定フレームと、該固定フレームに、ロールベールの排出口に臨む位置から排出方向に延びると共にロールベールの一端側に偏心して、かつ、上下回動自在に設けられ、排出されたロールベールを受ける起立用フレームと、該起立用フレームの基端部に設けられラッピングマシン本体から排出されるロールベールの他端側を受けて起立用フレームに沿って転がすためのガイド部と、上記起立用フレームの先端部に設けられ起立用フレームに沿って転がるロールベールを止めるストッパと、上記起立用フレームに設けられ、常時に起立用フレームを上方に回動させるように弾発付勢すると共に、ラッピングマシン本体からロールベールを受けたとき起立用フレームの下方への回動を許容し、かつ、ロールベールの他端側外周が接地したとき起立用フレームを跳ね上げてロールベールの起立を補助するスプリングとを備えたものである。
【0010】
また、上記スプリングのバネ固さを調節するバネ調節手段を備えるとよい。
【0011】
上記固定フレームは、ラッピングマシン本体にロールベールに対する偏心量を調節自在に取り付けられるとよい。
【0012】
上記ストッパは、起立用フレームに長手方向に位置調節自在に設けられるとよい。
【0013】
また、上記ストッパは、ロールベールを受ける球面状の受け面を有するディスクを起立用フレームに縦軸回り回動自在、かつ、横軸回り回動自在に設けて構成されるとよい。
【0014】
或いはまた、上記ストッパは、起立用フレームにローラを縦軸回り回動自在に設けて構成されるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構造で迅速かつ十分な確度でロールベールを起立できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の好適実施の形態を添付図面を用いて説明する。
【0017】
図1、図3及び図4に示すように、ラッピングマシン1は、ロールベール2にラップフィルム3を巻き付け包装するラッピングマシン本体4と、ラッピングマシン本体4に取り付けられラッピングマシン本体4から排出されるロールベール2を軸を立てるように姿勢を変えて地上に置く縦置機構5とを備えて構成されている。ラッピングマシン1は、牽引手段たるトラクタ(図示せず)に連結されるようになっており、トラクタを動力源として駆動するようになっている。
【0018】
ラッピングマシン本体4は、走行車輪6を有する台車部7と、台車部7上に支持柱(図示せず)を介して設けられ円柱状のロールベール2を軸を水平に寝かせた姿勢で載置する載置台8と、上記支持柱回りに回転自在に設けられ載置台8上のロールベール2にラップフィルム3を巻き付けるべくフィルムロール9を繰出し可能に支持するフィルム繰出し装置10と、ラップフィルム3がロールベール2に所定の巻き数巻かれたときにラップフィルム3を切断するフィルム切断装置11とを備える。
【0019】
台車部7は、機体の骨格を形成するメインフレーム12と、メインフレーム12の前端に設けられトラクタに連結されるドローバー13と、メインフレーム12の前部に昇降自在に設けられラッピング作業時に接地される補助脚14と、メインフレーム12の車軸パイプ15に回転自在に枢支された左右一対の走行車輪6とを有する。車軸パイプ15は、メインフレーム12の最後部に車幅方向に延びて形成されており、走行車輪6の車軸(図示せず)を回転自在に収容するようになっている。
【0020】
載置台8は、上記支持柱上に設けられた前部支持フレーム17と、前部支持フレーム17に回転自在に支持され車幅方向に延びる第1ローラ16と、前部支持フレーム17の後端に車幅方向に延びる軸18を介して回動自在に設けられた後部支持フレーム20と、後部支持フレーム20に回転自在に支持され第1ローラ16と平行に延びる第2ローラ19と、第1ローラ16と第2ローラ19に掛け回して設けられ常時はカテナリ状に弛むと共にロールベール2を載置したときにロールベール2の外周に密着する無端ベルト21とを備えて構成されている。そして、載置台8は、第1ローラ16又は第2ローラ19の回転駆動により無端ベルト21を循環させ、無端ベルト21上に載置したロールベール2を回転させるようになっている。また、載置台8は、ロールベール2の包装が完了したのち、後部支持フレーム20を下方に回動させることでロールベール2を姿勢を変えることなく後方に転がして排出するようになっている。
【0021】
縦置機構5は、ラッピングマシン本体4の後部に取り付けられる固定フレーム22と、固定フレーム22に、ロールベール2の排出口に臨む位置から排出方向(後方)に延びると共にロールベール2の一端側に偏心して、かつ、上下回動自在に設けられ、排出されたロールベール2を受ける起立用フレーム23と、起立用フレーム23の基端部に設けられラッピングマシン本体4から排出されるロールベール2の他端側を受けて起立用フレーム23に沿って転がすためのガイド部24と、起立用フレーム23の先端部に設けられ起立用フレーム23に沿って転がるロールベール2を止めるストッパ33と、起立用フレーム23に設けられ、常時に起立用フレーム23を上方に回動させるように弾発付勢すると共に、ラッピングマシン本体4からロールベール2を受けたとき起立用フレーム23の下方への回動を許容し、かつ、ロールベール2の他端側外周が接地したとき起立用フレーム23を跳ね上げてロールベール2の起立を補助するスプリング25とを備えて構成されている。
【0022】
図2、図5及び図6に示すように、固定フレーム22は、メインフレーム12及び車軸パイプ15に連結固定され前後方向に延びる2本の角フレーム26と、これら角フレーム26の後部を繋ぐ横桁27とにより平面視略コの字状に形成されている。角フレーム26は、メインフレーム12の後部横桁28に略S字状の固定金具29を介して前端を留められると共に、車軸パイプ15にU字型ボルト30及びナット31を介して前後方向の中央を固定されている。そして、固定フレーム22は、U字型ボルト30、ナット31及び固定金具29を緩めることで取付け位置を左右に無段階に調節できるようになっている。それぞれの角フレーム26には、起立用フレーム23を上下回動自在に支持するための軸受32が設けられている。
【0023】
起立用フレーム23は、左右一対の軸受32間に支軸34を介して回動自在に支持される基端パイプ35と、基端パイプ35の一端近傍に径方向に延びて設けられた起立用パイプ36と、起立用パイプ36の先端に設けられストッパ33を取り付けるためのストッパベース37とからなる。ストッパベース37は、ロールベール2の直径または起立状況に応じてストッパ33の取り付け位置を前後に調節できるよう、ストッパ33を締結するためのネジ穴38を前後方向に複数有する。
【0024】
また、起立用パイプ36には、起立用フレーム23の先端側を支えるためのスタンド39が設けられている。スタンド39は、起立用パイプ36に水平軸回り回動自在に設けられた脚フレーム40と、脚フレーム40の先端部にブラケット41及びピン42を介して回転自在に設けられ接地される転動輪43とからなる。図7に示すように、脚フレーム40は、先端部をスプリング25及びそのバネ調節手段44を介して起立用パイプ36に連結されており、下方に回動するように弾発付勢されている。そしてこれにより、起立用パイプ36の先端側を弾発的に上方に付勢するようになっている。図6及び図7に示すように、脚フレーム40の基端には起立用パイプ36から延びるピン45に回転自在に支持されるボス46が設けられている。ピン45は、起立用パイプ36の中央部近傍に基端パイプ35の一端側(後述するガードパイプ47の反対側)に延びて設けられている。ピン45先端に形成されたネジ部(図示せず)には、ナット48が螺合されボス46の脱落を防止している。スプリング25は、引張されて伸びるコイル状の引張スプリングからなり、起立用パイプ36の中央部近傍に下方に延びて設けられた第1チャンネル49に一端を上下回動可能に取り付けられると共に、脚フレーム40の先端部に設けられたブラケット41に他端をバネ調節手段44たるボルト部材50及びナット部材51を介して上下回動可能に取り付けられている。ブラケット41は、転動輪43をピン42を介して回転自在に軸支するための軸受部52と、バネ調節手段44のボルト部材50を掛け止める掛合部53とからなる。バネ調節手段44のナット部材51は、スプリング25の他端に一体に設けられると共にボルト部材50に螺合されており、ボルト部材50の締め込み量を調整することで張力を調整し、ロールベール2の重量に対応した反力を設定できるようになっている。
【0025】
図8(a)、(b)に示すように、起立用フレーム23は、支軸34回りに上方に回動させることにより、ラッピングマシン本体4側に起立させることができるようになっており、作業前後の移動を容易にできるようになっている。
【0026】
図6に示すように、ガイド部24は、起立用パイプ36の中央部近傍から基端パイプ35の他端側に延び、起立用パイプ36及び基端パイプ35で形成する平面上に位置するガードパイプ47と、基端パイプ35の他端部とガードパイプ47との間に設けられる第2チャンネル54とからなる。ガードパイプ47は、先端側を前方に向けるように湾曲して形成されており、ロールベール2の一端側が起立用パイプ36上に落下したとき、一時的にロールベール2の他端側を支え、ストッパ33に当たった後のロールベール2に干渉しないようになっている。第2チャンネル54は、板状に形成されており、ガードパイプ47を補強すると共に、ロールベール2を受けるときにガードパイプ47がロールベール2に食い込んでラップフィルム3が破れるのを防止するようになっている。
【0027】
ストッパ33は、ストッパベース37にボルト55を介して締結される取付基部56と、取付基部56に設けられ起立用フレーム23に沿って延びるベール載置部57と、ベール載置部57から斜め上方に立ち上がりつつ後方に延びて形成されロールベール2を受け止めるベール止め部58とを有する。
【0028】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0029】
図9(a)、(b)に示すように、ロールベール2のラッピング作業が終了したら、載置台8の後部支持フレーム20を下方に回動させ、載置台8上のロールベール2を後方に転がして排出する。載置台8から排出されたロールベール2は、後端側を上げるように傾斜される起立用パイプ36の基端部、第2チャンネル54及びガードパイプ47の上に衝突する。これにより、起立用パイプ36とガードパイプ47はロールベール2の重さを受け、支軸34回りに下方に回動される。このとき、脚フレーム40は先端を転動輪43を介して接地されているため、スプリング25をその弾発力に逆らって伸長させつつピン45回りに回動してロールベール2から受ける衝突力を減衰する。脚フレーム40がピン45回りに回動するとき、転動輪43が地面に沿って後方に走行するため、脚フレーム40が地面に引っかかることはなく、円滑に回動する。そして、ロールベール2の一端側と他端側を起立用パイプ36とガードパイプ47とで略同時に受けるため、ロールベール2は起立用パイプ36上に載ったとき跳ねたり姿勢を崩すことなく安定して衝突の勢いを吸収される。
【0030】
この後、ロールベール2は略水平となった起立用パイプ36に沿って後方に転がり、ストッパ33に当たって止まる。このとき、起立用パイプ36の先端側にはガードパイプ47はなく、ロールベール2の他端側は浮いた状態となるが、ロールベール2は起立用パイプ36の基端側で姿勢を安定化されているため、極端に傾いたり起立用パイプ36から脱落することはない。図10(a)、(b)、(c)に示すように、ロールベール2は、ストッパ33に当たって止まると他端側に傾き、他端側の外周面を接地させる。ロールベール2の荷重は、地面に分散され、起立用パイプ36に作用する荷重が減る。これによりスプリング25は、ロールベール2から吸収した衝突力を解放するように縮退(復帰)を始め、図11(a)、(b)、(c)に示すように起立用パイプ36を支軸34回りに上方に回動させる。傾いたロールベール2はストッパ33のベール載置部57とベール止め部58とに下部を押し上げられ、起立する方向の転動を補助され、図12(a)、(b)に示すように安定して地上に縦置きされることとなる。
【0031】
また、縦置機構5をロールベール2の直径、幅又は重さ等に対応させるときは、図5に示すU字型ボルト30、ナット31及び固定金具29を一旦ゆるめてラッピングマシン本体4に対する固定フレーム22の取付位置を大まかに調整したのち、ストッパ33の取付位置を前後方向に調節してロールベール2の起立を補助するときの起立用パイプ36の回動速度と力とのバランスを調整し、バネ調節手段44でスプリング25のバネ固さを調整することにより最終的な微調整を行う。
【0032】
このように、ラッピングマシン本体4に取り付けられる固定フレーム22と、固定フレーム22に、ロールベール2の排出口に臨む位置から排出方向に延びると共にロールベール2の一端側に偏心して、かつ、上下回動自在に設けられ、排出されたロールベール2を受ける起立用フレーム23と、起立用フレーム23の基端部に設けられラッピングマシン本体4から排出されるロールベール2の他端側を受けて起立用フレーム23に沿って転がすためのガイド部24と、起立用フレーム23の先端部に設けられ起立用フレーム23に沿って転がるロールベール2を止めるストッパ33と、起立用フレーム23に設けられ、常時に起立用フレーム23を上方に回動させるように弾発付勢すると共に、ラッピングマシン本体4からロールベール2を受けたとき起立用フレーム23の下方への回動を許容し、かつ、ロールベール2の他端側外周が接地したとき起立用フレーム23を跳ね上げてロールベール2の起立を補助するスプリング25とを備えて縦置機構5を構成したため、簡易な構造でロールベール2排出時の落下衝突力を良好に減衰でき、ロールベール2が転がり続けるのを防止でき、ストッパ33に当たって止まったロールベール2が起立する方向に傾くときスプリング25の力でタイミングよく補助でき、迅速かつ十分な確度でロールベール2を起立できる。
【0033】
また、スプリング25のバネ固さを調節するバネ調節手段44を備えるものとしたため、ロールベール2の径や重さに応じたきめ細かな調整ができ、ロールベール2が起立する確度を容易に高めることができる。
【0034】
固定フレーム22は、ラッピングマシン本体4にロールベール2に対する偏心量を調節自在に取り付けられるものとしたため、ロールベール2の幅等に応じて大まかな調整ができ、種々のロールベール2に対応することができる。
【0035】
ストッパ33は、起立用フレーム23に長手方向に位置調節自在に設けられるものとしたため、ロールベール2の起立を補助するときの起立用パイプ36の回動速度と力とのバランスを容易に調節でき、ロールベール2が起立する確度を更に高めることができる。
【0036】
なお、ガードパイプ47は、起立用パイプ36から基端パイプ35の他端側に延びるものとしたが、ガードパイプ47の延出方向はこれに限るものではない。ガードパイプ47は、ロールベール2の一端側が起立用パイプ36上に落下したとき、一時的にロールベール2の他端側を支え、ストッパ33に当たった後のロールベール2に干渉しないものであればよい。
【0037】
また、脚フレーム40の先端に転動輪43を設けるものとしたが、転動輪43に代えてソリ(図示せず)等の他の滑走手段を設けてもよい。
【0038】
スプリング25は、引張スプリングからなるものとしたが、図13(a)、(b)に示すように、脚フレーム40と起立用パイプ36との間に取り付けられる圧縮スプリング60であってもよい。このようにしても、ロールベール2を受けたときの落下衝突力を圧縮スプリング60の収縮により吸収でき、圧縮スプリング60が伸長するときに起立用パイプ36を押し上げてロールベール2の起立を補助できる。
【0039】
また、図14(a)、(b)に示すように、起立用パイプ36の下部に略U字型の板バネ61を介して転動輪43を取付け、板バネ61の反発力により落下衝突力を吸収し、また、板バネ61の反力で起立用パイプ36を上方に押し上げる作用を生み、ロールベール2の起立を補助するようにしてもよい。
【0040】
またさらに、図15(a)、(b)に示すように、上述の起立用パイプ36の先端部、具体的には、ガードパイプ47の基端とストッパベース37との間を屈曲可能な密着スプリング62とした起立用パイプ63を形成し、起立用パイプ63の先端部に転動輪43を回転自在に取り付けたものとしてもよい。これによれば、ロールベール2を受けたときに密着スプリング62が撓んで落下衝突力を吸収でき、また、密着スプリング62が直線状に復帰するときの力でロールベール2の起立を補助できる。このとき、転動輪43は地表面に対するストッパの役目をする。
【0041】
また、ストッパ33は、上述のものに限るものではない。図16に示すように、ストッパ70は、ロールベール2を受ける球面状の受け面71を有するディスク72をストッパベース37上に縦軸回り回動自在、かつ、横軸回り回動自在に設けるものであってもよい。具体的には、ストッパ70は、ストッパベース37にボルト55を介して締結され、上方に延出する第1支軸73を有する取付部材74と、第1支軸73に回動自在に軸支され、前方に延出する第2支軸75を有する軸付きボス76と、第2支軸75に回転自在に軸支されるディスク72と、ディスク72を前方に向けるように弾発的に付勢する付勢手段(図示せず)とを備えて構成されている。これによれば、ロールベール2がディスク72の受け面71に当たったとき、軸付きボス76が第1支軸73回りに回動してディスク72の首振り回動を許容できると共に、ディスク72が第2支軸75回りに回転でき、ロールベール2を包装しているフィルム3に摩擦力が作用するのを防ぐことができる。また、スプリング25の復元力でロールベール2の起立を補助するとき、ディスク72が第1支軸73及び第2支軸75回りに回動することでロールベール2を包装しているフィルム3に加わる外力を逃がすことができ、フィルム3が引き裂かれるのを防止できる。ロールベール2の起立を補助した後は、ディスク72がロールベール2から離れることで付勢手段がディスク72を定位置、すなわち受け面71を前方に向ける姿勢に復帰させ、次のロールベール2を受ける準備を自動的にする。
【0042】
また、図17に示すように、ストッパ80は、ストッパベース37上にローラ81を縦軸回り回動自在に設けたものであってもよい。具体的には、ストッパ80は、ストッパベース37にボルト55を介して締結され、上方に延出する支軸82を有する取付部材83と、支軸82に回動自在に軸支され先端に向かうにつれて縮径するように形成されたローラ81とを備えて構成されている。これによれば、ロールベール2がローラ81に当たったとき、ローラ81が支軸82回りに回動してロールベール2を包装しているフィルム3に摩擦力が作用するのを防ぐことができる。また、スプリング25の復元力でロールベール2の起立を補助するとき、ローラ81が支軸82回りに回動することでロールベール2を包装しているフィルム3に加わる外力を逃がすことができ、フィルム3が引き裂かれるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の好適実施の形態を示すラッピングマシンを後方左側から視た斜視図である。
【図2】ラッピングマシンを後方右側から視た斜視図である。
【図3】ラッピングマシンの平面図である。
【図4】ラッピングマシンの側面図である。
【図5】図2の要部拡大図である。
【図6】図3の要部拡大図である。
【図7】ラッピングマシンの縦置機構の側断面図である。
【図8】(a)は縦置機構を折り畳んだラッピングマシンを後方左側から視た斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの側面図である。
【図9】(a)は載置台上にロールベールを載置したラッピングマシンの斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの背面図である。
【図10】(a)はロールベールを排出した直後のラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの要部拡大側面図であり、(c)は同ラッピングマシンの背面図である。
【図11】(a)はロールベールの起立を補助しているラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの要部拡大側面図であり、(c)は同ラッピングマシンの背面図である。
【図12】(a)はロールベールの起立を完了したラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの背面図である。
【図13】(a)は他の実施の形態を示すラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの要部拡大側面図である。
【図14】(a)は他の実施の形態を示すラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの要部拡大側面図である。
【図15】(a)は他の実施の形態を示すラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの要部拡大側面図である。
【図16】他の実施の形態を示すラッピングマシンの要部拡大斜視図である。
【図17】他の実施の形態を示すラッピングマシンの要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ラッピングマシン
2 ロールベール
4 ラッピングマシン本体
5 縦置機構
22 固定フレーム
23 起立用フレーム
24 ガイド部
25 スプリング
33 ストッパ
44 バネ調節手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールベールをフィルムで包装するラッピングマシンに係り、特にロールベールを排出するときにロールベールの円形平面部を底面として起立させるラッピングマシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロールベールにラップフイルムを巻回するラッピングマシンは、ラッピング作業終了ののち、ロールベールを周面方向に転がして排出していた。
【0003】
しかしながら、ラップ巻回作業を行う場所は、牧草の堅い切り株が剣山の如く残る牧草地であったり、砂利が敷かれた農家の庭先であったり、傾斜地であったりと必ずしも平滑ではなく、また、ラップを巻回されたロールベールの周面は、円形平面部と比べてラップフイルムの重なりが少なく、被覆が薄いため、周面を接地して転がるとラップフィルムが破れる可能性が高いという問題があり、ラップフィルムが破れると、良質な嫌気性発酵が行われず腐敗の原因となるという問題があった。また、傾斜地においては、最大重量約1トンものロールベールがコントロールされずに転がるおそれがあった。
【0004】
かかる問題を解決する装置としては、特許文献1〜4記載のものが知られている。特許文献1〜3記載の装置は、ロールベールを排出する際に油圧装置でロールベールを円形平面部を下にして起立させるものであり、特許文献4記載の装置は、ロールベールの排出口に臨む位置にロッド状の案内具を左右の一方に傾けて設けたものである。
【0005】
【特許文献1】特開平06−070631号公報
【特許文献2】英国特許出願公開第2305648A号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1097627A1号明細書
【特許文献4】特開平01−240116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1〜3記載の装置のように油圧装置でロールベールを起立させるものは、頑強なフレームと油圧アクチュエータとを用い、ロールベールの起立放出までの一連の動作をマイコンによる制御、または油圧回路による制御により行うため、油圧回路及び電気回路などの構造が複雑になると共に、重たいものとなり、動作が遅く、制御のタイミング調整が難しいものになるという課題があった。
【0007】
また、特許文献4記載の装置のように、排出されるロールベールに左右方向に傾く案内具を当ててロールベールの姿勢を変えるものは、排出時の高低差によりロールベールに勢いがついているため、案内具に衝突したあと起立せずに更に反動で転がってしまう場合が多々あり、ロールベールを十分な確度で起立できないという課題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、簡易な構造で迅速かつ十分な確度でロールベールを起立できるラッピングマシンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、ロールベールを軸を水平に寝かせた姿勢で下方に転がして排出するラッピングマシン本体に取り付けられラッピングマシン本体から排出されるロールベールを軸を立てるように姿勢を変えて地上に置く縦置機構を備えたラッピングマシンにおいて、上記縦置機構が、ラッピングマシン本体に取り付けられる固定フレームと、該固定フレームに、ロールベールの排出口に臨む位置から排出方向に延びると共にロールベールの一端側に偏心して、かつ、上下回動自在に設けられ、排出されたロールベールを受ける起立用フレームと、該起立用フレームの基端部に設けられラッピングマシン本体から排出されるロールベールの他端側を受けて起立用フレームに沿って転がすためのガイド部と、上記起立用フレームの先端部に設けられ起立用フレームに沿って転がるロールベールを止めるストッパと、上記起立用フレームに設けられ、常時に起立用フレームを上方に回動させるように弾発付勢すると共に、ラッピングマシン本体からロールベールを受けたとき起立用フレームの下方への回動を許容し、かつ、ロールベールの他端側外周が接地したとき起立用フレームを跳ね上げてロールベールの起立を補助するスプリングとを備えたものである。
【0010】
また、上記スプリングのバネ固さを調節するバネ調節手段を備えるとよい。
【0011】
上記固定フレームは、ラッピングマシン本体にロールベールに対する偏心量を調節自在に取り付けられるとよい。
【0012】
上記ストッパは、起立用フレームに長手方向に位置調節自在に設けられるとよい。
【0013】
また、上記ストッパは、ロールベールを受ける球面状の受け面を有するディスクを起立用フレームに縦軸回り回動自在、かつ、横軸回り回動自在に設けて構成されるとよい。
【0014】
或いはまた、上記ストッパは、起立用フレームにローラを縦軸回り回動自在に設けて構成されるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構造で迅速かつ十分な確度でロールベールを起立できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の好適実施の形態を添付図面を用いて説明する。
【0017】
図1、図3及び図4に示すように、ラッピングマシン1は、ロールベール2にラップフィルム3を巻き付け包装するラッピングマシン本体4と、ラッピングマシン本体4に取り付けられラッピングマシン本体4から排出されるロールベール2を軸を立てるように姿勢を変えて地上に置く縦置機構5とを備えて構成されている。ラッピングマシン1は、牽引手段たるトラクタ(図示せず)に連結されるようになっており、トラクタを動力源として駆動するようになっている。
【0018】
ラッピングマシン本体4は、走行車輪6を有する台車部7と、台車部7上に支持柱(図示せず)を介して設けられ円柱状のロールベール2を軸を水平に寝かせた姿勢で載置する載置台8と、上記支持柱回りに回転自在に設けられ載置台8上のロールベール2にラップフィルム3を巻き付けるべくフィルムロール9を繰出し可能に支持するフィルム繰出し装置10と、ラップフィルム3がロールベール2に所定の巻き数巻かれたときにラップフィルム3を切断するフィルム切断装置11とを備える。
【0019】
台車部7は、機体の骨格を形成するメインフレーム12と、メインフレーム12の前端に設けられトラクタに連結されるドローバー13と、メインフレーム12の前部に昇降自在に設けられラッピング作業時に接地される補助脚14と、メインフレーム12の車軸パイプ15に回転自在に枢支された左右一対の走行車輪6とを有する。車軸パイプ15は、メインフレーム12の最後部に車幅方向に延びて形成されており、走行車輪6の車軸(図示せず)を回転自在に収容するようになっている。
【0020】
載置台8は、上記支持柱上に設けられた前部支持フレーム17と、前部支持フレーム17に回転自在に支持され車幅方向に延びる第1ローラ16と、前部支持フレーム17の後端に車幅方向に延びる軸18を介して回動自在に設けられた後部支持フレーム20と、後部支持フレーム20に回転自在に支持され第1ローラ16と平行に延びる第2ローラ19と、第1ローラ16と第2ローラ19に掛け回して設けられ常時はカテナリ状に弛むと共にロールベール2を載置したときにロールベール2の外周に密着する無端ベルト21とを備えて構成されている。そして、載置台8は、第1ローラ16又は第2ローラ19の回転駆動により無端ベルト21を循環させ、無端ベルト21上に載置したロールベール2を回転させるようになっている。また、載置台8は、ロールベール2の包装が完了したのち、後部支持フレーム20を下方に回動させることでロールベール2を姿勢を変えることなく後方に転がして排出するようになっている。
【0021】
縦置機構5は、ラッピングマシン本体4の後部に取り付けられる固定フレーム22と、固定フレーム22に、ロールベール2の排出口に臨む位置から排出方向(後方)に延びると共にロールベール2の一端側に偏心して、かつ、上下回動自在に設けられ、排出されたロールベール2を受ける起立用フレーム23と、起立用フレーム23の基端部に設けられラッピングマシン本体4から排出されるロールベール2の他端側を受けて起立用フレーム23に沿って転がすためのガイド部24と、起立用フレーム23の先端部に設けられ起立用フレーム23に沿って転がるロールベール2を止めるストッパ33と、起立用フレーム23に設けられ、常時に起立用フレーム23を上方に回動させるように弾発付勢すると共に、ラッピングマシン本体4からロールベール2を受けたとき起立用フレーム23の下方への回動を許容し、かつ、ロールベール2の他端側外周が接地したとき起立用フレーム23を跳ね上げてロールベール2の起立を補助するスプリング25とを備えて構成されている。
【0022】
図2、図5及び図6に示すように、固定フレーム22は、メインフレーム12及び車軸パイプ15に連結固定され前後方向に延びる2本の角フレーム26と、これら角フレーム26の後部を繋ぐ横桁27とにより平面視略コの字状に形成されている。角フレーム26は、メインフレーム12の後部横桁28に略S字状の固定金具29を介して前端を留められると共に、車軸パイプ15にU字型ボルト30及びナット31を介して前後方向の中央を固定されている。そして、固定フレーム22は、U字型ボルト30、ナット31及び固定金具29を緩めることで取付け位置を左右に無段階に調節できるようになっている。それぞれの角フレーム26には、起立用フレーム23を上下回動自在に支持するための軸受32が設けられている。
【0023】
起立用フレーム23は、左右一対の軸受32間に支軸34を介して回動自在に支持される基端パイプ35と、基端パイプ35の一端近傍に径方向に延びて設けられた起立用パイプ36と、起立用パイプ36の先端に設けられストッパ33を取り付けるためのストッパベース37とからなる。ストッパベース37は、ロールベール2の直径または起立状況に応じてストッパ33の取り付け位置を前後に調節できるよう、ストッパ33を締結するためのネジ穴38を前後方向に複数有する。
【0024】
また、起立用パイプ36には、起立用フレーム23の先端側を支えるためのスタンド39が設けられている。スタンド39は、起立用パイプ36に水平軸回り回動自在に設けられた脚フレーム40と、脚フレーム40の先端部にブラケット41及びピン42を介して回転自在に設けられ接地される転動輪43とからなる。図7に示すように、脚フレーム40は、先端部をスプリング25及びそのバネ調節手段44を介して起立用パイプ36に連結されており、下方に回動するように弾発付勢されている。そしてこれにより、起立用パイプ36の先端側を弾発的に上方に付勢するようになっている。図6及び図7に示すように、脚フレーム40の基端には起立用パイプ36から延びるピン45に回転自在に支持されるボス46が設けられている。ピン45は、起立用パイプ36の中央部近傍に基端パイプ35の一端側(後述するガードパイプ47の反対側)に延びて設けられている。ピン45先端に形成されたネジ部(図示せず)には、ナット48が螺合されボス46の脱落を防止している。スプリング25は、引張されて伸びるコイル状の引張スプリングからなり、起立用パイプ36の中央部近傍に下方に延びて設けられた第1チャンネル49に一端を上下回動可能に取り付けられると共に、脚フレーム40の先端部に設けられたブラケット41に他端をバネ調節手段44たるボルト部材50及びナット部材51を介して上下回動可能に取り付けられている。ブラケット41は、転動輪43をピン42を介して回転自在に軸支するための軸受部52と、バネ調節手段44のボルト部材50を掛け止める掛合部53とからなる。バネ調節手段44のナット部材51は、スプリング25の他端に一体に設けられると共にボルト部材50に螺合されており、ボルト部材50の締め込み量を調整することで張力を調整し、ロールベール2の重量に対応した反力を設定できるようになっている。
【0025】
図8(a)、(b)に示すように、起立用フレーム23は、支軸34回りに上方に回動させることにより、ラッピングマシン本体4側に起立させることができるようになっており、作業前後の移動を容易にできるようになっている。
【0026】
図6に示すように、ガイド部24は、起立用パイプ36の中央部近傍から基端パイプ35の他端側に延び、起立用パイプ36及び基端パイプ35で形成する平面上に位置するガードパイプ47と、基端パイプ35の他端部とガードパイプ47との間に設けられる第2チャンネル54とからなる。ガードパイプ47は、先端側を前方に向けるように湾曲して形成されており、ロールベール2の一端側が起立用パイプ36上に落下したとき、一時的にロールベール2の他端側を支え、ストッパ33に当たった後のロールベール2に干渉しないようになっている。第2チャンネル54は、板状に形成されており、ガードパイプ47を補強すると共に、ロールベール2を受けるときにガードパイプ47がロールベール2に食い込んでラップフィルム3が破れるのを防止するようになっている。
【0027】
ストッパ33は、ストッパベース37にボルト55を介して締結される取付基部56と、取付基部56に設けられ起立用フレーム23に沿って延びるベール載置部57と、ベール載置部57から斜め上方に立ち上がりつつ後方に延びて形成されロールベール2を受け止めるベール止め部58とを有する。
【0028】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0029】
図9(a)、(b)に示すように、ロールベール2のラッピング作業が終了したら、載置台8の後部支持フレーム20を下方に回動させ、載置台8上のロールベール2を後方に転がして排出する。載置台8から排出されたロールベール2は、後端側を上げるように傾斜される起立用パイプ36の基端部、第2チャンネル54及びガードパイプ47の上に衝突する。これにより、起立用パイプ36とガードパイプ47はロールベール2の重さを受け、支軸34回りに下方に回動される。このとき、脚フレーム40は先端を転動輪43を介して接地されているため、スプリング25をその弾発力に逆らって伸長させつつピン45回りに回動してロールベール2から受ける衝突力を減衰する。脚フレーム40がピン45回りに回動するとき、転動輪43が地面に沿って後方に走行するため、脚フレーム40が地面に引っかかることはなく、円滑に回動する。そして、ロールベール2の一端側と他端側を起立用パイプ36とガードパイプ47とで略同時に受けるため、ロールベール2は起立用パイプ36上に載ったとき跳ねたり姿勢を崩すことなく安定して衝突の勢いを吸収される。
【0030】
この後、ロールベール2は略水平となった起立用パイプ36に沿って後方に転がり、ストッパ33に当たって止まる。このとき、起立用パイプ36の先端側にはガードパイプ47はなく、ロールベール2の他端側は浮いた状態となるが、ロールベール2は起立用パイプ36の基端側で姿勢を安定化されているため、極端に傾いたり起立用パイプ36から脱落することはない。図10(a)、(b)、(c)に示すように、ロールベール2は、ストッパ33に当たって止まると他端側に傾き、他端側の外周面を接地させる。ロールベール2の荷重は、地面に分散され、起立用パイプ36に作用する荷重が減る。これによりスプリング25は、ロールベール2から吸収した衝突力を解放するように縮退(復帰)を始め、図11(a)、(b)、(c)に示すように起立用パイプ36を支軸34回りに上方に回動させる。傾いたロールベール2はストッパ33のベール載置部57とベール止め部58とに下部を押し上げられ、起立する方向の転動を補助され、図12(a)、(b)に示すように安定して地上に縦置きされることとなる。
【0031】
また、縦置機構5をロールベール2の直径、幅又は重さ等に対応させるときは、図5に示すU字型ボルト30、ナット31及び固定金具29を一旦ゆるめてラッピングマシン本体4に対する固定フレーム22の取付位置を大まかに調整したのち、ストッパ33の取付位置を前後方向に調節してロールベール2の起立を補助するときの起立用パイプ36の回動速度と力とのバランスを調整し、バネ調節手段44でスプリング25のバネ固さを調整することにより最終的な微調整を行う。
【0032】
このように、ラッピングマシン本体4に取り付けられる固定フレーム22と、固定フレーム22に、ロールベール2の排出口に臨む位置から排出方向に延びると共にロールベール2の一端側に偏心して、かつ、上下回動自在に設けられ、排出されたロールベール2を受ける起立用フレーム23と、起立用フレーム23の基端部に設けられラッピングマシン本体4から排出されるロールベール2の他端側を受けて起立用フレーム23に沿って転がすためのガイド部24と、起立用フレーム23の先端部に設けられ起立用フレーム23に沿って転がるロールベール2を止めるストッパ33と、起立用フレーム23に設けられ、常時に起立用フレーム23を上方に回動させるように弾発付勢すると共に、ラッピングマシン本体4からロールベール2を受けたとき起立用フレーム23の下方への回動を許容し、かつ、ロールベール2の他端側外周が接地したとき起立用フレーム23を跳ね上げてロールベール2の起立を補助するスプリング25とを備えて縦置機構5を構成したため、簡易な構造でロールベール2排出時の落下衝突力を良好に減衰でき、ロールベール2が転がり続けるのを防止でき、ストッパ33に当たって止まったロールベール2が起立する方向に傾くときスプリング25の力でタイミングよく補助でき、迅速かつ十分な確度でロールベール2を起立できる。
【0033】
また、スプリング25のバネ固さを調節するバネ調節手段44を備えるものとしたため、ロールベール2の径や重さに応じたきめ細かな調整ができ、ロールベール2が起立する確度を容易に高めることができる。
【0034】
固定フレーム22は、ラッピングマシン本体4にロールベール2に対する偏心量を調節自在に取り付けられるものとしたため、ロールベール2の幅等に応じて大まかな調整ができ、種々のロールベール2に対応することができる。
【0035】
ストッパ33は、起立用フレーム23に長手方向に位置調節自在に設けられるものとしたため、ロールベール2の起立を補助するときの起立用パイプ36の回動速度と力とのバランスを容易に調節でき、ロールベール2が起立する確度を更に高めることができる。
【0036】
なお、ガードパイプ47は、起立用パイプ36から基端パイプ35の他端側に延びるものとしたが、ガードパイプ47の延出方向はこれに限るものではない。ガードパイプ47は、ロールベール2の一端側が起立用パイプ36上に落下したとき、一時的にロールベール2の他端側を支え、ストッパ33に当たった後のロールベール2に干渉しないものであればよい。
【0037】
また、脚フレーム40の先端に転動輪43を設けるものとしたが、転動輪43に代えてソリ(図示せず)等の他の滑走手段を設けてもよい。
【0038】
スプリング25は、引張スプリングからなるものとしたが、図13(a)、(b)に示すように、脚フレーム40と起立用パイプ36との間に取り付けられる圧縮スプリング60であってもよい。このようにしても、ロールベール2を受けたときの落下衝突力を圧縮スプリング60の収縮により吸収でき、圧縮スプリング60が伸長するときに起立用パイプ36を押し上げてロールベール2の起立を補助できる。
【0039】
また、図14(a)、(b)に示すように、起立用パイプ36の下部に略U字型の板バネ61を介して転動輪43を取付け、板バネ61の反発力により落下衝突力を吸収し、また、板バネ61の反力で起立用パイプ36を上方に押し上げる作用を生み、ロールベール2の起立を補助するようにしてもよい。
【0040】
またさらに、図15(a)、(b)に示すように、上述の起立用パイプ36の先端部、具体的には、ガードパイプ47の基端とストッパベース37との間を屈曲可能な密着スプリング62とした起立用パイプ63を形成し、起立用パイプ63の先端部に転動輪43を回転自在に取り付けたものとしてもよい。これによれば、ロールベール2を受けたときに密着スプリング62が撓んで落下衝突力を吸収でき、また、密着スプリング62が直線状に復帰するときの力でロールベール2の起立を補助できる。このとき、転動輪43は地表面に対するストッパの役目をする。
【0041】
また、ストッパ33は、上述のものに限るものではない。図16に示すように、ストッパ70は、ロールベール2を受ける球面状の受け面71を有するディスク72をストッパベース37上に縦軸回り回動自在、かつ、横軸回り回動自在に設けるものであってもよい。具体的には、ストッパ70は、ストッパベース37にボルト55を介して締結され、上方に延出する第1支軸73を有する取付部材74と、第1支軸73に回動自在に軸支され、前方に延出する第2支軸75を有する軸付きボス76と、第2支軸75に回転自在に軸支されるディスク72と、ディスク72を前方に向けるように弾発的に付勢する付勢手段(図示せず)とを備えて構成されている。これによれば、ロールベール2がディスク72の受け面71に当たったとき、軸付きボス76が第1支軸73回りに回動してディスク72の首振り回動を許容できると共に、ディスク72が第2支軸75回りに回転でき、ロールベール2を包装しているフィルム3に摩擦力が作用するのを防ぐことができる。また、スプリング25の復元力でロールベール2の起立を補助するとき、ディスク72が第1支軸73及び第2支軸75回りに回動することでロールベール2を包装しているフィルム3に加わる外力を逃がすことができ、フィルム3が引き裂かれるのを防止できる。ロールベール2の起立を補助した後は、ディスク72がロールベール2から離れることで付勢手段がディスク72を定位置、すなわち受け面71を前方に向ける姿勢に復帰させ、次のロールベール2を受ける準備を自動的にする。
【0042】
また、図17に示すように、ストッパ80は、ストッパベース37上にローラ81を縦軸回り回動自在に設けたものであってもよい。具体的には、ストッパ80は、ストッパベース37にボルト55を介して締結され、上方に延出する支軸82を有する取付部材83と、支軸82に回動自在に軸支され先端に向かうにつれて縮径するように形成されたローラ81とを備えて構成されている。これによれば、ロールベール2がローラ81に当たったとき、ローラ81が支軸82回りに回動してロールベール2を包装しているフィルム3に摩擦力が作用するのを防ぐことができる。また、スプリング25の復元力でロールベール2の起立を補助するとき、ローラ81が支軸82回りに回動することでロールベール2を包装しているフィルム3に加わる外力を逃がすことができ、フィルム3が引き裂かれるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の好適実施の形態を示すラッピングマシンを後方左側から視た斜視図である。
【図2】ラッピングマシンを後方右側から視た斜視図である。
【図3】ラッピングマシンの平面図である。
【図4】ラッピングマシンの側面図である。
【図5】図2の要部拡大図である。
【図6】図3の要部拡大図である。
【図7】ラッピングマシンの縦置機構の側断面図である。
【図8】(a)は縦置機構を折り畳んだラッピングマシンを後方左側から視た斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの側面図である。
【図9】(a)は載置台上にロールベールを載置したラッピングマシンの斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの背面図である。
【図10】(a)はロールベールを排出した直後のラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの要部拡大側面図であり、(c)は同ラッピングマシンの背面図である。
【図11】(a)はロールベールの起立を補助しているラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの要部拡大側面図であり、(c)は同ラッピングマシンの背面図である。
【図12】(a)はロールベールの起立を完了したラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの背面図である。
【図13】(a)は他の実施の形態を示すラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの要部拡大側面図である。
【図14】(a)は他の実施の形態を示すラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの要部拡大側面図である。
【図15】(a)は他の実施の形態を示すラッピングマシンの要部拡大斜視図であり、(b)は同ラッピングマシンの要部拡大側面図である。
【図16】他の実施の形態を示すラッピングマシンの要部拡大斜視図である。
【図17】他の実施の形態を示すラッピングマシンの要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ラッピングマシン
2 ロールベール
4 ラッピングマシン本体
5 縦置機構
22 固定フレーム
23 起立用フレーム
24 ガイド部
25 スプリング
33 ストッパ
44 バネ調節手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールベールを軸を水平に寝かせた姿勢で下方に転がして排出するラッピングマシン本体に取り付けられラッピングマシン本体から排出されるロールベールを軸を立てるように姿勢を変えて地上に置く縦置機構を備えたラッピングマシンにおいて、上記縦置機構が、ラッピングマシン本体に取り付けられる固定フレームと、該固定フレームに、ロールベールの排出口に臨む位置から排出方向に延びると共にロールベールの一端側に偏心して、かつ、上下回動自在に設けられ、排出されたロールベールを受ける起立用フレームと、該起立用フレームの基端部に設けられラッピングマシン本体から排出されるロールベールの他端側を受けて起立用フレームに沿って転がすためのガイド部と、上記起立用フレームの先端部に設けられ起立用フレームに沿って転がるロールベールを止めるストッパと、上記起立用フレームに設けられ、常時に起立用フレームを上方に回動させるように弾発付勢すると共に、ラッピングマシン本体からロールベールを受けたとき起立用フレームの下方への回動を許容し、かつ、ロールベールの他端側外周が接地したとき起立用フレームを跳ね上げてロールベールの起立を補助するスプリングとを備えたことを特徴とするラッピングマシン。
【請求項2】
上記スプリングのバネ固さを調節するバネ調節手段を備えた請求項1記載のラッピングマシン。
【請求項3】
上記固定フレームは、ラッピングマシン本体にロールベールに対する偏心量を調節自在に取り付けられた請求項1又は2記載のラッピングマシン。
【請求項4】
上記ストッパは、起立用フレームに長手方向に位置調節自在に設けられた請求項1〜3いずれかに記載のラッピングマシン。
【請求項5】
上記ストッパは、ロールベールを受ける球面状の受け面を有するディスクを起立用フレームに縦軸回り回動自在、かつ、横軸回り回動自在に設けて構成される請求項1〜4いずれかに記載のラッピングマシン。
【請求項6】
上記ストッパは、起立用フレームにローラを縦軸回り回動自在に設けて構成される請求項1〜4いずれかに記載のラッピングマシン。
【請求項1】
ロールベールを軸を水平に寝かせた姿勢で下方に転がして排出するラッピングマシン本体に取り付けられラッピングマシン本体から排出されるロールベールを軸を立てるように姿勢を変えて地上に置く縦置機構を備えたラッピングマシンにおいて、上記縦置機構が、ラッピングマシン本体に取り付けられる固定フレームと、該固定フレームに、ロールベールの排出口に臨む位置から排出方向に延びると共にロールベールの一端側に偏心して、かつ、上下回動自在に設けられ、排出されたロールベールを受ける起立用フレームと、該起立用フレームの基端部に設けられラッピングマシン本体から排出されるロールベールの他端側を受けて起立用フレームに沿って転がすためのガイド部と、上記起立用フレームの先端部に設けられ起立用フレームに沿って転がるロールベールを止めるストッパと、上記起立用フレームに設けられ、常時に起立用フレームを上方に回動させるように弾発付勢すると共に、ラッピングマシン本体からロールベールを受けたとき起立用フレームの下方への回動を許容し、かつ、ロールベールの他端側外周が接地したとき起立用フレームを跳ね上げてロールベールの起立を補助するスプリングとを備えたことを特徴とするラッピングマシン。
【請求項2】
上記スプリングのバネ固さを調節するバネ調節手段を備えた請求項1記載のラッピングマシン。
【請求項3】
上記固定フレームは、ラッピングマシン本体にロールベールに対する偏心量を調節自在に取り付けられた請求項1又は2記載のラッピングマシン。
【請求項4】
上記ストッパは、起立用フレームに長手方向に位置調節自在に設けられた請求項1〜3いずれかに記載のラッピングマシン。
【請求項5】
上記ストッパは、ロールベールを受ける球面状の受け面を有するディスクを起立用フレームに縦軸回り回動自在、かつ、横軸回り回動自在に設けて構成される請求項1〜4いずれかに記載のラッピングマシン。
【請求項6】
上記ストッパは、起立用フレームにローラを縦軸回り回動自在に設けて構成される請求項1〜4いずれかに記載のラッピングマシン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−189918(P2007−189918A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9021(P2006−9021)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【特許番号】特許第3801618号(P3801618)
【特許公報発行日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000107653)スター農機株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【特許番号】特許第3801618号(P3801618)
【特許公報発行日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000107653)スター農機株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
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