説明

ラップトップコンピュータ搬送ケース及びバネ保護システム

軽量コンピュータ搬送ケース(1)は、発泡体の二層間に挟まれた波形板バネ(17)を有する。帯板状発泡体と板バネは互いに接着され、この結合されバネ保護システム(15)は、布製の見た目も美しい層によって被覆され、主要収納仕切板内部に取り付けられる。バネ保護装置の中心にぴったり合わせて収納された時、コンピュータ(23)は、ストラップで固定され、優れた安全性によって、搬送ケースのコーナーへ掛かる衝撃力から保護される。発泡体はEVA構成であり、板バネは、ポリプロピレン又はABSを含む。曲線デザインのジッパー付属品(29)付きの独創的で目にも美しい外部ポケットが貴重品を保持し、ケースの外部前面の袖ポケットは、コンピュータ周辺の付属品などを容易に収納できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、ラップトップコンピュータ搬送ケースとして知られている、ラップトップコンピュータを搬送し保護するために特別に設計されたケースに関する。より詳細には、本発明の開示技術は、搬送ケースが応力や衝撃を受けた時にエネルギーを吸収するために、平坦な表面に沿って湾曲可能なバネ、即ち、リーフバネ(板バネ)を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
ラップトップコンピュータの保護の一つの形態は、一枚又は二枚の略平坦な壁面又はパネルを使用する。これらの壁面又はパネルは、ラップトップコンピュータの広い面に隣接して位置しているか又はこの広い面と平行であり、場合によっては、ケースを側部やコーナーから落下した時でも、衝撃時にラップトップコンピュータの縁部及びコーナーをレールから離間させて、衝撃がレールに直接掛からないように、ラップトップコンピュータを保持するための補助をするマジックテープ(登録商標)のストラップを含んでいた。このようなパネルベースの防振システムは、衝撃に抵抗して、衝撃によるエネルギーの多くを吸収するために、ケース自体の相当な部分を使用していた。これにより、コンピュータ自体を保護するための衝撃エネルギーの吸収量が少なかった。このようなシステムの例は、本明細書中に参照することによって組み込まれている“Laptop computer carrying case and impact isolating insert”(「ラップトップコンピュータ搬送ケース及び衝撃防振インサート」)と題されたSamsonite Corporation(サムソナイト社)のWilliam King(ウィリアム、キング)、Elliot Younessian(エリオット、ユネッシャン)、 Carlo Zezza(カルロ、ツェッザ)らに与えられた米国特許第6,655,528号に開示されている。
【0003】
コンピュータ保護を提供するラップトップコンピュータ搬送ケースの他の例としては、本明細書中に参照することによって組み込まれている、“Laptop computer carrying case and impact isolating system therefore”(「ラップトップコンピュータ搬送ケース及び衝撃防振システム」)と題されたSamsonite Corporation(サムソナイト社)のWilliam King(ウィリアム、キング)、Elliot Younessian(エリオット、ユネッシャン)、 Carlo Zezza(カルロ、ツェッザ)による国際特許出願公開WO002/27728号が挙げられる。この国際特許出願公開WO002/27728号に開示されている防振システムは、側面パネルに取り付けられた可動コーナーサポートを含む。マジックテープ(登録商標)式の固着要素は、ユーザが、側面パネルの中心近傍にコーナーサポートを位置決めし、コンピュータをケースのあらゆる方向からの衝撃から保護することを可能にする。
【0004】
従来の技術をもっと遡ってみると、ラップトップケースの構成は、平坦な壁面やパネルに相互接続されているレール又は周囲壁のいくつか又は全ての内部周辺で、緩衝器(バンパー)又は支え壁(バットレス)部材を使用していた。緩衝器は、合成発泡ゴム単独からなる一層又は複数の層を含むこともあったし、布材料から作られた管内部に収容されることもあった。また、緩衝器は、加圧ガスが充填されたガス不浸透性布から成る密封管(チューブ)から構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,655,528号
【特許文献2】国際特許出願公開WO002/27728号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コンピュータ搬送用鞄の衝撃抵抗は改良する必要性は引き続き残っている。軽量化され、簡単な構成で、衝撃時にエネルギーをケース全体へより均一に有効に、且つコンピュータ本体から離間させて拡散させることによって、より強力で多方向に掛かる衝撃力に抵抗できるような衝撃抵抗を達成することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明の目的は、多方向における衝撃からケースに収納されているラップトップコンピュータを多方向における衝撃から保護するために極めて有効なラップトップコンピュータ搬送ケースのための、見た目も美しく、軽量化された衝撃吸収システムを提供することにある。従って、本発明は、ラップトップコンピュータなどの貴重品を搬送するための搬送ケースであって、この搬送ケースは、側面、前面、及び裏面を含み、厚さ寸法が前面と裏面の間で展開され、最大寸法が厚さ寸法に対して略直角に展開され、側面が最大寸法を画定している、ラップトップコンピュータ搬送ケースを開示している。ラップトップコンピュータ搬送ケースは、ラップトップコンピュータ等を保持する主要収納仕切板を含む。主要収納仕切板は、ラップトップコンピュータを受容するように寸法決定され、衝撃吸収装置として作用するように発泡体に格納されたバネを有し、バネは波形である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ラップトップコンピュータ搬送ケースを示す斜視図である。
【図2】ラップトップコンピュータが搬送される際に収納される図1のケースの内部において、主要収納仕切板及びバネ保護システムを示す図である。
【図3】図2の主要収納仕切板であって、一般的なラップトップコンピュータの周囲を囲むバネ保護システムを示す断面図である。
【図4】システムを見せるためにレールと被包体布地パネルを取り去った状態の図3のバネ保護システムを示している側面図である。
【図5】図2のバネ保護システムを示す拡大概略図である。
【図6】バネ保護システムの細部を見せるために被包体層が引き剥がされた状態の図5のバネ保護システムを示す拡大図である。
【図7】外部フラップポケットが開口保持され、前面のジッパー付き収納ポケット及びコンピュータの周辺付属品等を収納するためのスリーブパネルが見えている状態の図1のケースを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
所望の課題は以下の記載によって説明されるように達成される。ラップトップ搬送ケース1は、独創的で非常に有効なバネ保護システム15を提供することによって、ケースに収納されて搬送されるコンピュータへ衝撃吸収を提供する。バネ保護システム15は、発泡体21から成る二つの層間に介在される波形板バネ17を含む。このシステムは、主要収納仕切板2の内部側面22上に配置され、ラップトップコンピュータ23をすっぽり包んで保護する。
【0010】
或いは、以下に詳述されていること、及び、本発明の衝撃吸収特性を提供するために必要なことを満たしていれば、ラップトップコンピュータ搬送ケース1は、一般に、従来の構成を有するものでもよい。図1〜図7は、好ましいケース1の斜視図及びその内部を示す図である。図示されているように、アクセスリッド14、取外し可能な肩掛けストラップ25、及び引出し式搬送用取っ手26を有するスマートなラップトップケース1は、有効なバネ保護システム15のみならず独創的な前面パネルのデザインに優れた特徴を有している。いうまでもなく、本実施の形態の独特な特徴及びデザインは、その用途に応じて変更可能である。ケース1の外部は布地及び皮の風合いをもつ構造から成り、内部には一般的な布及び内張り(ライナー)が使用されている。
【0011】
図2を参照すると、好ましいケース1の主要収納仕切板2が、ケース1の底縁部30に沿って終端する周囲ジッパー29を丁番開口することによって、あらわにねっている。図3に示されているように、バネ保護システム15の断面は、二層の発泡体21によって取り囲まれた波形板バネ17として画定されている。バネ17は、衝撃吸収に優れ、熱成形されたABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンポリマー)樹脂から作られてもよい。いうまでもなく、バネは、開示されているようなケース1に適合していれば、成形又は熱成形に好適とされる任意の材料から作られてもよい。本発明の実施の形態において、ABS製のバネは、衝撃時に、材料に固有の弾性によって本来の熱成形された形状にバネを復元させる「形状記憶」を有している。出願人は、大部分の用途に向けて、ABSプラスチックの固体帯板が、0.5mm〜6mm、最も好ましくは、1mm〜3mmの厚さを有することが理想的であることを発見した。同様の弾性と形状記憶を有し、熱成形されたポリプロピレン又はポリエチレン等の他のポリマー材料も使用可能である。
【0012】
発泡体21から成る周囲層は、厚さが3mm〜15mm、好ましくは4mm〜12mmのEVA(エチレン酢酸ビニル)によって形成されている。板バネ部分はもっと細くてもよいが、帯板状発泡体21の幅は、少なくとも波形のABSバネ17の幅以上に展開され、好ましくは、ラップトップコンピュータ仕切板2の全幅にわたって展開される必要がある。図4は、エッジビード8からエッジビード8までのレール3の深さを完全に跨いでいるEVA発泡層21を示す。EVAの層は、接着剤又は接着システム(図示なし)を用いてABSバネの両面(上部平面及び底部平面)に積層される。EVA層が任意の接着システムによって接着又は結合され得ること、及びこれらの層の適切な接着が衝撃抵抗を改善することが当業者によって理解されよう。
【0013】
上述のように、発泡21はEVA(エチレン酢酸ビニル)を含む。EVAは、酢酸ビニルとエチレンのランダムな共重合によって得られるポリオレフィンファミリー共重合体である。EVAには、ホッケー、ボクシング、及び混合武術などの様々なスポーツ用品の詰め物、可撓性収縮包装、履物の靴底、及び可撓性玩具等の多数の用途がある。酢酸ビニルの含量が大きくなるほど、透明性、可撓性、強靭性、及び溶剤溶解性が高まる。EVAは殆ど無臭である。柔軟性および可撓性において弾性(エラストマー)材料に近いポリマーであるが、他の熱可塑材と同様に処理されてもよい。この材料は、良好な透明度及び光沢、バリア特性、低温強靭性、応力亀裂抵抗、ホットメルト(熱溶融性)接着及びホットシール(加熱密封)特性、及び紫外線抵抗を有している。
【0014】
EVA帯板状発泡体の濃度は20kg/m3〜約60kg/m3、最も好ましくは約22kg/m3である。EVAに代わるものとして、架橋ポリエチレン発泡、発泡合成ゴム、発泡ゴムポリマーミックスなどの他の弾性発泡材料が挙げられ、好ましい衝撃防振システムと同様の防振、緩衝、アセンブリ、コスト、及び重量の制約を達成することができる。
【0015】
EVA発泡体/ABSバネ/EVA発泡体の層は、主要収納仕切板2の上下内部側面22に沿って6個の波形又はうねりを含み、主要収納仕切板2の左右の短い辺5に沿って5個の波形又はうねりを含む。本実施の形態は、幅が広い即ち長い上下辺4が連続した長さの発泡体21によって囲まれ、単一の、連続した、長い、相対的に平坦な波形バネ17としてバネ保護システム15を図示しているが、システムは、図5に示されるような部分を複数含んでいてもよく、その場合、これらの部分が互いに固定されなくてもよいし、ケース1自体に固定されなくてもよい。
【0016】
例えば、分離した個々のバネシステム15が、鞄の異なる部分に対して、及び、異なる用途に対して存在し得る。例えば、ケース1の左右辺と底辺が本発明のバネシステムを享受できると共に、例えば、ケース1の上部に何も設けず空けたままにして、ここに、例えば、レール3の上部を介してラップトップケース1の開口を設けてもよい。バネシステムは、鞄の形状及び/またはユーザのニーズに応じて、任意の寸法と全体的な形状を含むことができる。例えば、寸法が異なる鞄に対して、より幅の広いバネシステムを用いてもよい。
【0017】
バネの寸法及び/または発泡部分の寸法を含むバネ保護システム15の寸法は、用途によって変更され得る。これらの寸法は、鞄一個の内部で変更され得る。例えば、コンピュータケースの底部に沿ってより幅の広いバネシステムが想定できる一方、ケースの側部及び上部でより短いバネシステムを支持することが想定できる。取り外し可能なバネ保護システムを提供すること以外に、いくつかの用途においては、バネ保護システム15を、ケースのある部分により確実にぴったりと接着することが所望される場合もある。例えば、ケースの床部にバネ保護システム15又はその部分(発泡体21、被包体16、バネ17など)を非常に確実に固着させることが有利な場合もある。ケース床部へバネ保護システム15をより確実に取り付けることによって、ケース運搬中にバネ保護システムに対してコンピュータの位置がずれた場合でも、コンピュータ保護をより良好に補助することができる。これは、マジックテープ(登録商標)、リベット、接着剤、縫製方法、及び任意の他の装着方法によって達成され得る。コンピュータのコーナーへの衝撃を抑制する他の方法としては、バネ保護システム15の幅方向遠位縁に内部に延出するリップを設けることが提供されている。リップは、ラップトップコンピュータ23のコーナー又はコンピュータの周囲全体に沿って湾曲し、発泡体及び/またはバネ保護システム内にコンピュータを入れ子にする。
【0018】
発泡体の性質(密度、厚み、深さ、長さ、成分等)は、ケースやキャリーバッグの要求される機能に応じて変更され得る。発泡体の密度が高ければ、他の用途においてもっと効果的な衝撃吸収が提供される。例えば、バネ保護システムがより大きな鞄に使用され、同量のうねり(波形)が必要とされる時、より強靭な発泡体が所望される場合もある。
【0019】
ケース1のコーナー7の周りに連続する板バネ17を提供することも構造的に重要である。この場合、バネの湾曲部分は、ケースのコーナー7において外側18に突き出ている(図2及び図3参照)。ケース1が、コーナー7で落下した場合、コーナーにおけるバネの波形又はうねりは外側に突出する。角張ったコーナーとは対照的に、これらの突出コーナー18は、あたかも、ラップトップのコーナー領域24のクレードル(受け台)のように作用する。クレードルの効果は、ラップトップのコーナーの各側部24に少なくとも二つの接触点を提供することによって達成される。即ち、クレードルの効果によって、これら二つの接触点は、衝撃がラップトップのコーナーへ直接に掛からないように、衝撃をラップトップのコーナーから離間させ、保護システム15の側部長さと底部長さに沿った側方方向に分散され易くする。
【0020】
バネ保護システムの構成部品、重量、密度、及び寸法の組み合わせによって、コスト、軽量化、衝撃抵抗において最適な比率が提供される。バネ保護システムと、バネシステムの簡潔さによって可能とされるきれいでスマートなデザインと、の組み合わせによって、極めて優れた独創的なコンピュータ搬送ケースが得られる。
【0021】
本発明の実施の形態は、ラップトップコンピュータの搬送ケースについてのみ記載しているが、独創的なバネ保護システム15が、リュック(バックパック)、書類鞄(ブリーフケース)、PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)、MP3(MPEG Audio Layer−3)プレーヤーの搬送体、財布、スーツケース等を含む任意のトートバッグ、格納容器、又はケースに適用可能であることが、当業者によって理解されよう。
【0022】
好ましい構成のサンプルとして、バネ保護システムが提供され、ケースの落下試験では、かなり望ましい結果(最適な衝撃保護対重量)が得られた。落下試験を受けたケースは、上記のように構成されており、上下辺、即ち、長辺4に沿って6個の波形又はうねりを有し、左右辺、即ち、短い辺5に沿って5個の波形又はうねりを有していた。厚さは1.7mm、幅は19mm、波高さ、即ち、振幅は、約3cmであった。従来の寸法を有するラップトップコンピュータの周りにぴったりとフィットし、さらに、最も重要であるが、ケースと、対象となるバネ保護システム15のコーナーがぴったり合ったという結果が得られた。図3に示されているように、コーナーにおいて、バネ保護システムの左右辺の遠位波20とバネ保護システムの上下辺の遠位波が略一致しており、殆ど接触していることがわかった。
【0023】
この配向によって、バネ保護システム15とラップトップコンピュータのコーナー領域24との間に大きな接触表面積が提供される。このように、以下の表にまとめられているように(「レールコーナーでの落下」参照)、本実施携帯に基づいて組み立てられた試験用ケース(原型)において、コーナー落下試験時に測定されたコンピュータコーナーが受ける衝撃は、同様の価格及び同様の寸法の市販のラップトップコンピュータ用ケースA、B、Cと比較して非常に少なかった。
【0024】
【表1】

【0025】
比較試験において、各ケースは、試験されたサンプルのようなラップトップコンピュータケースにおいて普通に搬送される一般的なラップトップの質量と寸法を有する擬似ラップトップコンピュータを収容した。特に、擬似ラップトップコンピュータには、重量が3150グラムの固体木片を入れた。木片には、木片の幅広い裏面の幾何学的中心にしっかりと固定された加速度計セルを搭載した。加速度計セルは、ショック又は衝撃を測定し、その出力信号がセルに配線された計装によって変換された。木片が受ける衝撃力は、「g’s」(地球上の海抜における複数の重力加速度)で表された。
【0026】
試験用ケースの重量は、ケースA=1580g、ケースB=1360g、ケースC=1380g、及び本発明=1900gであった。各ケースは、レールの内部周囲に隣接する市販の衝撃吸収システムを所有していた。このシステムを、落下試験のために擬似ラップトップケースに入れた。ケースAは、衝撃吸収システムとして、低密度の発泡体、平坦なポリプロピレン帯板、低密度の発泡体を重ねた層を用いた。ケースBは、低密度発泡体の厚い層を用いた。ケースCは、ペリメータの周の空気入りクッションを気密性にするために密封された二重PVD管を用いた。このように搭載され計装されたケースを、擬似床面に向けて、測定された高さから、ケースの所定部分に衝撃を与えるように、自由落下させた。コーナー落下試験については、一つのケースの落下高さは約60cmであり、他の3つのケースの落下高さは約80cmであった。波形板バネに組み合わされたEVA発泡体が半剛性であるため、コンピュータにより均一な圧縮が付与し保持することを明確に補助することができると共に、特に、ケースのコーナーが衝撃を受けた時に、より良好なエネルギーの吸収方法が提供され得る。他の実施の形態において、内部収納仕切板2の壁面の幅より広い幅を有するバネ保護システムは、周囲ジッパーと組み合わされて、コンピュータが収納される適合度が高まる。
【0027】
図5に示されるように、バネ保護システムの外形がぴったり合ったシステム保護用の布製被包体16から透けて見えている。バネ保護システムを被覆する見た目に美しい布製被包体16は、図6においては引きはがされ、波形板バネと二つの層の発泡体21の組み合わせが露呈している。被包用布地は、本実施の形態の目的に適った任意の繊維、例えば、耐水性、独特な織物または装飾的なデザインなどのデザイン特性、更なるストラップ収納部、ポケット、袋組織などの機能的特性などを有する布地を含んでいてよい。バネの保護は、主要収納仕切板2のレール内部に被包布を取付けることによって、主要収納仕切板2に固着される。これは、主要収納仕切板の外周に沿った主要収納仕切板の壁面全体の内部表面に装着されて横切るポリプロピレンシートに、保護用被包体を縫い付けることによって実行される。いうまでもなく、バネ保護システムを取付ける他の手段も想定され得る。例えば、ポリプロピレンのシートの代わりに、半剛性の繊維、布地、又は他の繊維を含む任意の材料を用いることもできる。被包体は、接着剤、スナップ、リベット、摺動ファスナ(ジッパー)等の任意の手段によって、ケースに装着され得る。
【0028】
本実施の形態において、被包体が主要収納仕切板に取り付けられているが、更なる変更がなされてもよい。バネ保護システム自体が、本発明のケースの内部表面部分に固定されてもよい。その布製被包体16を鞄に取り付けて単純にシステムを取り付けるのとは対照的に、発泡体自体が収納仕切板に取り付けられてもよい。例えば、発泡体は、それを取り囲む被包体を鞄に取り付ける以外に、ホチキス止め、接着、縫付け、リベット留め、又は任意の他の手段によって取り付けられてもよい。
【0029】
逆に、バネ保護システムは、ケースの他の部分から完全に又は部分的に独立した状態のままでもよい。例えば、好ましい実施の形態は、保護されているラップトップの仕切板へ蓋を開けてアクセスすることが採用しているが、開示されている衝撃防振システムの他の用途も容易に構成することができる。一つのこのような用途には、上部搭載型のラップトップ仕切板を有する書類鞄の構成を用いることができ、鞄の上縁部を介して、又は、鞄の上縁部において、搬送用取っ手又は肩掛けストラップの近くで、仕切板へアクセスすることができる。周囲防振システムは、U字型で底部と側部を内張りした仕切板のレール部にぴったり合っている。レール部分は、鞄の前面パネルと裏面パネル28の間の深さ寸法を画定する細い繊維(及び金属製又はポリマー製フレーム)構成を含み得る。この防振システムは、レール構造に組み込まれてもよいし、アフターマーケットの付属品として作成されてもよい。防振システムは、マジックテープ(登録商標)ファスナー、スナップ、ストラップ等の任意の装着手段を使って、レール部の内部表面に取付けられてもよい。
【0030】
いうまでもなく、接着発泡体、取っ手、本体布地等を含むケースの任意の構成部品の材料は、より剛性のEVA、半剛性又は剛性の材料、又は任意の他の材料から成る布地、ポリマー、EVAなどの任意の材料を含むことができる。形状記憶の発泡体を含む任意の発泡体がケース部品の構成において使用され、例えば、形状記憶の発泡体の更なる帯板は、主要収納仕切板の底部に沿って適用されて、ラップトップの底縁を強化する。
【0031】
図3を参照すると、ラップトップコンピュータ23を適所にしっかりと保持し、コンピュータが左右又は前後の移動することを防止するための固着ストラップ6が示されている。いうまでもなく、バンジーポケット、予備ストラップ、又は十字ストラップなどの、他の更なる固着手段を用いることもできる。
【0032】
前面パネルは独創的な構成を有する。図1及び図7を参照すると、ジッパー12によって固着される、ポーチ9への下方湾曲アクセスが示されている。その内部において、ポーチ9は、複数の必要なアイテム(携帯、鍵、財布など)を格納することができ、適切に寸法決定されたポケット11にこのようなアイテムを素早く収納するために直ぐ目に入るタブ10が提供されている。また、前面パネルは、開口した「スリーブ」ポケット13の形態のフルサイズのポーチを提供している。この前面パネルは、マジックテープ(登録商標)や他の固着機構によって固着されている蓋部を開いて、手を滑り込ませるだけで、簡単にアクセスすることができる。
【0033】
本発明の実施の形態は、ある程度の特殊性をもって説明されているが、本開示は、例を用いることによって説明されているが、添付の請求の範囲によって限定されている本発明の精神を逸脱しない限り、その細部や構造において、変更が可能であることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップトップコンピュータ等を含む貴重品を搬送するための搬送ケースであって、
前記搬送ケースが、
側面、前面、及び裏面を含み、厚さ寸法が前記前面と前記裏面の間で展開され、最大寸法が前記厚さ寸法に対して略直角に展開され、前記側面が前記最大寸法を画定し、
前記搬送ケースが、前記ラップトップコンピュータを保持するための主要収納仕切板を含み、
前記主要収納仕切板が、ラップトップコンピュータを受容するように寸法決定され、衝撃吸収装置として作用するように発泡体に収納されたバネを有しており、前記バネが波形を有している、
搬送ケース。
【請求項2】
前記バネが前記主要収納仕切板の周囲に沿って延びている、請求項1に記載の搬送ケース。
【請求項3】
前記バネが一連の弾性片である、請求項1に記載の搬送ケース。
【請求項4】
前記バネが板バネを含む、請求項1に記載の搬送ケース。
【請求項5】
前記バネが、発泡体の二つの連続層の間に挟まれている、請求項1に記載の搬送ケース。
【請求項6】
前記バネと発泡体の機構が取り外し可能である、請求項5に記載の搬送ケース。
【請求項7】
前記バネの波形が前記ラップトップケースのコーナーで外側に突出し、更なる衝撃吸収を付与する、請求項1に記載の搬送ケース。
【請求項8】
前記バネが、前記主要収納仕切板の上下内縁部に沿って6個の波形を含む、請求項1に記載の搬送ケース。
【請求項9】
前記バネが、前記主要収納仕切板の左右側縁部に沿って5個の波形を含む、請求項1に記載の搬送ケース。
【請求項10】
前記発泡体が、EVAから成る、請求項1に記載の搬送ケース。
【請求項11】
前記発泡体が、各々の厚さが3mm〜15mmである二つの層の発泡体から成る、請求項1に記載の搬送ケース。
【請求項12】
前記バネが、ポリプロピレン又はABSを含む群から選択されたポリマーから成る、請求項1に記載の搬送ケース。
【請求項13】
前記バネの厚さが、0.5mm〜6mmである、請求項1に記載の搬送ケース。
【請求項14】
前記バネと前記発泡が、布製被包体によって被覆されている、請求項1に記載の搬送ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−515627(P2010−515627A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544988(P2009−544988)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/050241
【国際公開番号】WO2008/086186
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(500097496)サムソナイト リミテッド ライアビリティー カンパニー (5)
【Fターム(参考)】