説明

ラップフィルム巻取り構造

【課題】 ラップフィルムの取出しが容易で、巻芯の逆転によるラップフィルムの切り端の貼付きも有効に防止できるラップフィルム巻取り構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 ラップフィルム4が巻き取られた巻芯3が収納ケース1内に浮動状態にて回転自在に収納されたラップフィルム巻取り構造において、前記収納ケース1に対して回転が規制されかつ巻芯3に対して摩擦力を付与する回止め部材5を前記巻芯3に装着したことにより、後付けにて回止め部材5を巻芯3に装着するだけで、ラップフィルムが巻き付けられた巻芯3が妄りに逆転することがないので、カッター2により切断された切り端が巻芯上のラップフィルム4に貼り付くことがなく、再使用の際にはラップフィルム4の切り端を迅速に摘むことができるし、巻芯3は回止め部材5に対して摩擦力が付与されているだけなので、巻芯3を容易に回転させてラップフィルム4の取出しを行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラップフィルムが巻き取られた巻芯が収納ケース内に浮動状態にて回転自在に収納されたラップフィルム巻取り構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品の荷造りのためのラッピングや家庭での食品の調理、保存のためにラップフィルムが多用されている。通常、ラップフィルム巻取り構造としては、構造が簡素なことから、ラップフィルムが巻き取られた巻芯が収納ケース内に浮動状態にて回転自在に収納されて構成されている。ところが、浮動状態に置かれた巻芯は収納ケース内において軸が振れ、巻芯が回転することなく浮いて収納ケースから飛び出したり、巻芯が逆回転して切断されたラップフィルムの切り端が巻芯に貼り付き、再使用の際の切り端の摘み出しに手間を要して面倒であった。そのようなことから、補強を兼ねて巻芯の軸振れを解消した巻体(巻芯)支持具を備えるラップフィルム収納箱が提案された(例えば下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−150828号公報(請求項1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に開示されたラップフィルム収納箱は、図5(B)に示すように、収納箱30内にラップフィルム巻体22を収納するに際して、ラップフィルム巻体22を回転自在に支持する支持具21を介して行うもので、軸振れを解消して巻体22の円滑な回転を可能にするとともに、図5(A)に示すように、展開厚紙を組み立てて門型に形成したA面の前縁に補強用のF面を形成し、ラップフィルム23の巻体22からの取出し時におけるA面の撓みを抑止して、支持具21における巻体22の両端部22a、22bの軸支面であるBC、DE面の変形をも防止し、巻体22の円滑な回転が可能となった。
【0004】
しかしながら、前記従来のラップフィルム収納箱では、支持具21におけるA面の面積が広大であり、ラップフィルム23の最初の取出しに手間を要する上、使用時には広大な面積のA面への貼付きや摩擦によってラップフィルム23が損傷する虞れがあった。
【0005】
そこで、本発明では、前記従来のラップフィルム収納箱の課題を解決して、ラップフィルムの取出しが容易で、巻芯の逆転によるラップフィルムの切り端の貼付きも有効に防止できるラップフィルム巻取り構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明は、ラップフィルムが巻き取られた巻芯が収納ケース内に浮動状態にて回転自在に収納されたラップフィルム巻取り構造において、前記収納ケースに対して回転が規制されかつ巻芯に対して摩擦力を付与する回止め部材を前記巻芯に装着したことを特徴とする。また本発明は、前記回止め部材の収納ケースに対する回転規制が、収納ケースの方形断面形状に適合する方形の回止め板によりなされることを特徴とする。また本発明は、前記回止め部材の収納ケースに対する回転規制が、収納ケースへの回止め部材の接着あるいは係止等によりなされることを特徴とする。また本発明は、前記巻芯に対する回止め部材の摩擦力の付与が、巻芯内に収納される紡錘状弾性摩擦体によりなされることを特徴とする。また本発明は、前記紡錘状弾性摩擦体の軸方向長さを調節することで該摩擦体の径を調節し、巻芯に対する摩擦力を調節可能に構成したことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、ラップフィルムが巻き取られた巻芯が収納ケース内に浮動状態にて回転自在に収納されたラップフィルム巻取り構造において、前記収納ケースに対して回転が規制されかつ巻芯に対して摩擦力を付与する回止め部材を前記巻芯に装着したことにより、後付けにて回止め部材を巻芯に装着するだけで、ラップフィルムが巻き付けられた巻芯が妄りに逆転することがないので、カッターにより切断された切り端が巻芯上のラップフィルムに貼り付くことがなく、再使用の際にはラップフィルムの切り端を迅速に摘むことができるし、巻芯は回止め部材に対して摩擦力が付与されているだけなので、巻芯を容易に回転させてラップフィルムの取出しを行うことができる。
【0008】
また、前記回止め部材の収納ケースに対する回転規制が、収納ケースの方形断面形状に適合する方形の回止め板によりなされる場合は、方形断面を利用して収納ケースに対する回止め部材の回転を確実に規制することが可能となる。さらに、前記回止め部材の収納ケースに対する回転規制が、収納ケースへの回止め部材の接着あるいは係止等によりなされる場合は、収納ケースがいかなる断面形状を呈するといえども、回止め部材の収納ケースに対する回転規制が行える。
【0009】
さらにまた、前記巻芯に対する回止め部材の摩擦力の付与が、巻芯内に収納される紡錘状弾性摩擦体によりなされる場合は、ある程度の異径サイズの巻芯に適応が可能となる他、巻芯に対する摩擦体の装着が容易となる。しかも、部分密着により適度の弾性力により巻芯内周面に過度の摩擦力を発生させることがなく、ラップフィルムの取出しのための回転を可能にしつつ、適度の制動力により巻芯を逆転させることがない。また、前記紡錘状弾性摩擦体の軸方向長さを調節することで該摩擦体の径を調節し、巻芯に対する摩擦力を調節可能に構成した場合は、異径サイズの巻芯に広範囲で適応が可能となる他、巻芯内周面に対する摩擦体の摩擦力を広範囲で調節することが可能となり、ラップフィルムの取出しのための巻芯の回転力の調節等も容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のラップフィルム巻取り構造の第1実施例で、図1(A)はラップフィルム巻芯への回止め部材の装着状態を示す一部断面の側面図、図1(B)はラップフィルム巻芯に回止め部材が装着されて収納ケースに収納される状態を示す斜視図である。図2は本発明のラップフィルム巻取り構造の第2実施例で、図2(A)は側面図、図2(B)はその断面図、図2(C)は図2(B)のA矢視図である。図3は本発明のラップフィルム巻取り構造の第3実施例で、回止め部材における回止め板の正面図である。図4は本発明のラップフィルム巻取り構造の第4実施例で、回止め部材の摩擦力の調節状態を示す断面図である。
【実施例1】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明のラップフィルム巻取り構造を詳述する。図1は本発明のラップフィルム巻取り構造の第1実施例である。図1(A)はラップフィルム4が巻き取られた巻芯3の右端面の内周面に、回止め部材5が装着される状態を示している。回止め部材5は、外側端部に配設された方形の回止め板6と、そのすぐ内側に固定された筒部7と、先端内側に配設された浮動板部9と、これら筒部7と浮動板部9との間に張設された紡錘状弾性摩擦体8とから構成される。前記紡錘状弾性摩擦体8は、多数の弓状線材からなる竹籠状摩擦体により構成される。材質としては、金属や竹、プラスチック等の弾性線材から構成される。装着時には、適度の弾性を有して巻芯3の内周面に接触する。適度の弾性により、ある程度のサイズの異なる異径巻芯の内周面に制動力を付与すべく対応が可能である。
【0012】
図1(B)に示すように、かく構成した回止め部材5を巻芯3の両側に装着して、さらにラップフィルム収納ケース1に収納する。収納ケース1は紙等により組み立てられ、方形断面を有しており、前記回止め部材5における回止め板6の方形形状と適合する。つまり、収納ケース1に対して回止め板6はその回転が規制されている。これにより、巻芯3の軸心が振れることがなく回転が円滑となる他、紡錘状弾性摩擦体8による適度の摩擦力により巻心3が妄りに逆回転して、カッター2により切断された切り端が巻芯上のラップフィルムに貼り付くことがないので、再使用の際にはラップフィルムの切り端を迅速に摘むことができるし、巻芯は回止め部材に対して摩擦力が付与されているだけなので、巻芯を容易に回転させてラップフィルムの取出しを行うことができる。
【実施例2】
【0013】
図2は本発明のラップフィルム巻取り構造の第2実施例で、本実施例のものも、図2(A)に示すように、回止め部材5が、外側端部に配設された方形の回止め板6と、そのすぐ内側に固定された筒部7と、先端内側に配設された浮動板部9と、これら筒部7と浮動板部9との間に張設された紡錘状弾性摩擦体8とから構成される点で前記第1実施例のものと同様であるが、本実施例のものの浮動板部9は、多数の弓状線材からなる竹籠状摩擦体の内端部が折り返された部位に配設される。このように構成されることによって、図2(B)の断面図に示すように、紡錘状弾性摩擦体8の軸方向長さを調節することで該摩擦体8の径を調節し、巻芯3に対する摩擦力を調節可能に構成したものである。
【0014】
方形の回止め板6の軸方向内側には軸方向に充分な長さを有する筒部7が延設され、該筒部7内に回転自在に調節内筒10が配設される。前記浮動板部9からは軸方向外側に向けてロッド部材11が接続され、該ロッド部材11の外側半分には螺子部12が刻設される。螺子部12は前記調節内筒10の内側端部に刻設された螺子筒部13に螺合され、調節内筒10を回転させることによって、紡錘状弾性摩擦体8を介して回止め板6と一体化して回転不能なロッド部材11が軸方向に移動可能に構成される。前記調節内筒10の外側端部には、図2(C)に示すように、略十字状に摘み部材14が設置される。該摘み部材14により前記調節内筒10を回転調節して、浮動板部9を回止め板6の方に寄せることで、前記弓状線材からなる竹籠状摩擦体8を径方向に拡大させることによって、巻芯3(図1参照)内周面に対する摩擦力を増大させることができるので、異径サイズの巻芯3に広範囲で適応が可能となる他、巻芯3の内周面に対する摩擦体8の摩擦力を広範囲で調節して、ラップフィルムの取出しのための巻芯3の回転力の調節等が容易に行える。
【実施例3】
【0015】
図3は本発明のラップフィルム巻取り構造の第3実施例で、回止め部材における回止め板の正面図である。本実施例では、回止め部材5が収納ケース1から抜け出ないように、図3(B)に示すように、収納ケース1の方形断面に適合する方形の回止め板6の側面に抜止め部材15、15を形成したものである。抜止め部材15の収納ケース側(外側)には複数の爪部16が形成される。図示の例の他、爪部16に代えて接着剤により抜止め部を構成してもよいし、回止め板6の外側端面(図3の紙面手前側)に接着剤あるいは係止部を形成してもよい。接着は接着層と剥離紙とから構成される接着部によりなされてもよい。爪部16の収納ケース1の内面へのエッジ効果により、回止め部材5が上方へ抜け出ることが抑止される。
【実施例4】
【0016】
図4は本発明のラップフィルム巻取り構造の第4実施例で、回止め部材の摩擦力の調節状態を示す断面図である。本実施例は、前記第1および第2実施例のものの弓状線材からなる竹籠状摩擦体8に代えて、紡錘状弾性摩擦体8として、ゴム製のダイヤフラム部材18を用いた例である。図4(A)に示すように、回止め部材5は、回止め板6と浮動板部9との間の全周にゴム製のダイヤフラム部材18が固定され、さらに、これらの間には、径大部17を内端部に形成し摘み部14を外端部に形成したロッド部材11が回転自在に配設される。
【0017】
ロッド部材11の外側半分には螺子部12が刻設され、回止め板6の螺子筒部13に螺合される。ダイヤフラム部材18を介して回止め板6とともに回転不能な浮動板部9に対して、ロッド部材11を回転させることで、浮動板部9を回止め板6側に寄せることで、図4(B)に示すように、ダイヤフラム部材18の径を拡大させることができる。これにより、回止め部材5における摩擦体であるダイヤフラム部材18の巻芯3の内周面に対する摩擦力を増大させることが可能となる。
【0018】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内にて、ラップフィルムの形状、材質、巻芯の形状(好適には円筒形)、形式および材質(紙、木、プラスチック等)、収納ケースの形状(方形に限定されずに、円形、多角形等でもよい)、形式および材質(紙、木、プラスチック等)、回止め部材の形状、形式および材質、回止め板の形状、形式および材質ならびに収納ケースに対する回転規制形態(収納ケースの方形断面形状に適合する方形の回止め板のセット、収納ケースへの回止め部材の接着あるいは係止等)、回止め部材における紡錘状弾性摩擦体の形状(弓状線材の断面形状)、形式(多数の弓状線材からなる竹籠状摩擦体の他、複数の円弧状の板体、螺旋状ばね材の径の拡大縮小等)および材質(所定の摩擦力が得られる弾性材)ならびに摩擦力の付与形態(面による摩擦の他、エッジを効かせて制動力を得る形式でもよい)、紡錘状弾性摩擦体の径の調節形態(浮動板部の軸方向移動に伴う紡錘状弾性摩擦体の拡大縮小等)等については適宜選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のラップフィルム巻取り構造の第1実施例で、図1(A)はラップフィルム巻芯への回止め部材の装着状態を示す一部断面の側面図、図1(B)はラップフィルム巻芯に回止め部材が装着されて収納ケースに収納される状態を示す斜視図である。
【図2】本発明のラップフィルム巻取り構造の第2実施例で、図2(A)は側面図、図2(B)はその断面図、図2(C)は図2(B)のA矢視図である。
【図3】本発明のラップフィルム巻取り構造の第3実施例で、回止め部材における回止め板の正面図である。
【図4】本発明のラップフィルム巻取り構造の第4実施例で、回止め部材の摩擦力の調節状態を示す断面図である。
【図5】従来のラップフィルム収納箱の説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 ラップフィルム収納ケース
2 カッター
3 ラップフィルム巻芯
4 ラップフィルム
5 回止め部材
6 回止め板
6A 摘み部材収容凹部
7 筒部
8 竹籠状摩擦体(紡錘状弾性摩擦体)
9 浮動板部
10 調節内筒
11 ロッド部材
12 螺子部
13 螺子筒部
14 摘み部材
15 抜止め部材
16 爪部
17 径大部
18 ダイヤフラム部材(紡錘状弾性摩擦体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップフィルムが巻き取られた巻芯が収納ケース内に浮動状態にて回転自在に収納されたラップフィルム巻取り構造において、前記収納ケースに対して回転が規制されかつ巻芯に対して摩擦力を付与する回止め部材を前記巻芯に装着したことを特徴とするラップフィルム巻取り構造。
【請求項2】
前記回止め部材の収納ケースに対する回転規制が、収納ケースの方形断面形状に適合する方形の回止め板によりなされることを特徴とする請求項1に記載のラップフィルム巻取り構造。
【請求項3】
前記回止め部材の収納ケースに対する回転規制が、収納ケースへの回止め部材の接着あるいは係止等によりなされることを特徴とする請求項1に記載のラップフィルム巻取り構造。
【請求項4】
前記巻芯に対する回止め部材の摩擦力の付与が、巻芯内に収納される紡錘状弾性摩擦体によりなされることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のラップフィルム巻取り構造。
【請求項5】
前記紡錘状弾性摩擦体の軸方向長さを調節することで該摩擦体の径を調節し、巻芯に対する摩擦力を調節可能に構成したことを特徴とする請求項4に記載のラップフィルム巻取り構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−44699(P2006−44699A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225241(P2004−225241)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(504042317)
【Fターム(参考)】