説明

ラベリングマシン

【課題】ラベルコストとマシンコストを抑えつつ、円筒容器の転がり防止効果の高いラベルの貼付を実現できること。
【解決手段】ラベル供給手段と、円筒容器をラベル貼付位置を通過させて移送する容器移送手段と、外周面に複数の吸引孔を有し、ラベル供給手段から受取ったラベルを円筒容器へ貼付する負圧吸引式の貼付ドラムと、を具備するラベリングマシンであって、前記貼付ドラムの外周面に成形溝を形成し、前記貼付ドラムの周囲に、ラベル本体の一部を折り曲げて回転ストッパを成形する成形突起体を具備した成形手段を配置し、前記成形溝の通過タイミングに合わせて成形突起体を進退可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンプル容器やバイアル瓶等の転がり易い円筒容器へ転がり防止機能を付与したラベルを貼付するラベリングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
アンプル容器等の円筒容器は断面形状が円形を呈するため、取り扱い中に円筒容器が倒れると転がり落ちて破損し易い。
円筒容器の転がりを防止する方法として、ラベルそのものに転がり防止要素を持たせることが特許文献1,2により知られている。
【0003】
特許文献1には、ラベル本体の一部を切り起こして転がり防止用の翼状片を形成したラベルを貼付し、円筒容器の胴部から左右に張り出した一対の翼状片により円筒容器の転がりを防止することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、ラベル本体の表面側に転がり防止用の小突起部を形成したラベルを貼付し、円筒容器が倒れたときに小突起部が円筒容器の転がりを防止することが開示されている。
【0005】
特許文献3には、ラベル本体の裏面に巻付方向に対し直交方向に沿って接着性を有しない非接着部を形成するとともに、該非接着部の中央に線状の角折部を設けた特殊ラベルを使用し、ラベル本体の角折部が円筒容器の外周面から離隔して角張るようにして貼付し、角張った角折部により円筒容器の転がりを防止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−222224号公報
【特許文献2】特開2004−302042号公報
【特許文献3】特開2002−278452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に開示された円筒容器の転がり防止技術にはつぎのような問題点がある。
(1)特許文献1のラベルは予めラベル本体に切込み加工を施す必要があり、同様に特許文献2のラベルも予めラベル本体に小突起部を形成するための特殊加工を施す必要がある。
そのため特許文献1,2に開示された円筒容器の転がり防止技術は、ラベルの形態が非常に特殊なものとなってラベルコストが嵩む問題がある。
(2)ラベリングマシンでラベルを貼付する際、負圧吸引式ドラムの外周面にラベルを吸着して搬送することが技術的に難い。
具体的には特許文献1のラベルはヒラヒラした翼状片が折れ曲がったり千切れたりし、また特許文献2のラベルは小突起部がドラムの外周面に当たってラベルの吸着を困難にする。
このように特許文献1,2に開示された円筒容器の転がり防止技術は、通常のラベリングマシンを使用できないといった共通の問題がある。
【0008】
特許文献3に開示された円筒容器の転がり防止技術にはつぎのような問題点がある。
(1)特許文献3の特殊ラベルは、ラベル本体に角折部の形成範囲に一致させてラベル本体の裏面を非接着帯として形成するだけでなく、折り目加工も施す必要があるため、ラベルコストが非常に嵩むという問題がある。
(2)一般にラベルを円筒容器の胴部に貼付する場合には、ラベルの傾きや不用意なシワの発生を回避するため、貼付を終えるまでラベル本体に張力を作用させ続けなければならない。
そのため、特許文献3にあっては、通常のラベリングマシンを使用して特殊ラベルの貼付を試みると、ラベル本体の角折部が伸びきってしまい、角折部に弛みを持たせて貼付することが技術的に難しい。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、少なくともつぎのラベリングマシンを提供することを目的とする。
(1)ラベルコストとマシンコストを抑えつつ、円筒容器の転がり防止効果の高いラベルの貼付を実現できること。
(2)既存のラベリングマシンへの適用が容易であること。
(3)ラベル成形の高速化が可能であること。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、ラベル供給手段と、円筒容器をラベル貼付位置を通過させて移送する容器移送手段と、外周面に複数の吸引孔を有し、ラベル供給手段から受取ったラベルを円筒容器へ貼付する負圧吸引式の貼付ドラムと、を具備するラベリングマシンであって、前記貼付ドラムの外周面に成形溝を形成し、前記貼付ドラムの周囲に、ラベル本体の一部を折り曲げて回転ストッパを成形する成形突起体を具備した成形手段を配置し、前記成形溝の通過タイミングに合わせて成形突起体を進退可能に構成したことを特徴とする。
さらに本願発明は、前記ラベリングマシンにおいて、前記貼付ドラムの成形溝の内面に、回転ストッパを吸着可能な吸引孔を形成したことを特徴とする。
さらに本願発明は、前記した何れかのラベリングマシンにおいて、前記成形手段が回転軸と、回転軸を中心に回転する成形突起体とにより構成することを特徴とする。
さらに本願発明は、前記した何れかのラベリングマシンにおいて、前記成形手段が回転軸と回転軸に軸支した回転体と、回転体に付設した成形突起体とにより構成し、回転軸に対して前記回転体を交換可能に構成したことを特徴とする。
前記した円筒容器が断面円形のアンプル容器やバイアル瓶を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明はつぎの何れかひとつの効果を奏する。
(1)従来ラベルのように特殊形態のラベルを使用する必要がなく、通常形態のラベルを使用して回転ストッパを簡易にしかも正確な形状に成形することができる。
さらに、ラベリングマシンに小型の回転ストッパの成形手段を設けるとともに、貼付ドラムに成形溝を形成するだけであるから、マシンコストも低く抑えることが可能である。
したがって、ラベルコストとマシンコストを抑えつつ、円筒容器の転がり防止効果の高いラベルの貼付を実現することができる。
(2)既存のラベリングマシンに対して貼付ドラムの交換と回転ストッパを成形する成形手段を設置するだけで、転がり防止機能を有するラベルを貼付できるので、既存のラベリングマシンへの適用が容易である。
(3)成形溝内に設けた吸引孔の吸引力によって、成形突起体が後退したときにも回転ストッパの成形形状を維持することができる。
したがって、貼付ドラムを高速回転しても回転ストッパを確実に成形できるとともに、回転ストッパの成形形状を維持したまま貼付することができる。
(4)一台のラベリングマシンで以って、転がり防止機能を有するラベルの貼付作業だけでなく、ラベル本体に折り曲げ成形を要しない通常のラベリングマシンとしても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る一部を省略したラベリングマシンの平面図
【図2】回転ストッパの成形手段を説明するための斜視図
【図3】ラベル本体の一部に回転ストッパを成形する工程の説明図で、成形突起体が成形溝へ進入する前における回転ストッパの成形手段と貼付ドラムの断面図
【図4】ラベル本体の一部に回転ストッパを成形する工程の説明図で、成形突起体が成形溝へ進入したときにおける回転ストッパの成形手段と貼付ドラムの断面図
【図5】ラベル本体を円筒容器に貼付する工程の説明図
【図6】ラベル本体を貼付した円筒容器の斜視図
【図7】実施例2に係る回転ストッパの成形手段のモデル図
【図8】実施例2に係る他の回転ストッパの成形手段のモデル図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照しながら本発明に係るラベリングマシンについて説明する。
【実施例1】
【0014】
<1>ラベリングマシンの概要
図1に本発明に係るラベリングマシンの一例を示す。
本発明に係るラベリングマシンは、ラベルを貼付する直前においてラベル本体の一部を折り曲げて回転ストッパを成形し、回転ストッパの成形形状を維持したまま円筒容器の胴部にラベルを貼付するように構成した。
【0015】
すなわち本発明は、アンプル容器やバイアル瓶等の転がり易い断面形状を呈する円筒容器10の胴部に転がり防止機能を有するラベルを貼付するためのラベリングマシンであり、ラベル供給手段と、円筒容器10をラベル貼付位置を通過させて移送する容器移送手段と、ラベル供給手段から受取ったラベルを円筒容器10の胴部へ貼付する貼付ドラム20と、貼付ドラム20の周囲に配置し、ラベル本体の一部を折り曲げて回転ストッパを成形する成形手段30とを具備する。
以降にラベリングマシンの主要な構成要素について詳述する。
【0016】
<2>ラベルの供給手段
貼付ドラム20へラベルを供給する手段としては、例えばテープ台紙に予めラベルを積層させたタックラベル供給方式、複数のラベルを収容したラベルマガジンからラベルを供給する枚葉ラベル供給方式、またはロールラベルから引き出したテープを切断してラベルを製造しながら供給するロールラベル供給方式等の公知の供給方式が適用可能である。
【0017】
従来は円筒容器の転がり防止方法として、ラベル本体の一部に切込みや折り曲げ線を形成する等の特殊ラベルを使用する必要があった。
これに対して本発明では通常形態のラベルを使用できるので、従来ラベルのような特殊形態のラベルを使用する必要がない。
【0018】
また従来のラベル(例えば特許文献3)はラベル本体の一部を円筒容器から離隔して角折部を形成するためにラベル裏面に非接着部を形成しなければならなかったが、本発明では角折部の形成位置に一致させて非接着部を設けることが必須ではなく、ラベル裏面は全面接着、或いは部分接着の何れの形態であってもよい。ラベル本体に対する接着範囲は特に制約を受けない。
【0019】
<3>容器の移送手段
図1に示すように容器移送手段は、円筒容器10を貼付ドラム20に外接可能に移送する手段で、本例では搬入路41と搬出路42の間に設けたロータリー搬送装置40で構成する場合を示す。
【0020】
ロータリー搬送装置40は鉛直の回転軸43を中心に円筒容器10を公転搬送する装置で、搬入路41に設けたスター44を通じて円筒容器10を取り込み、ラベルの貼付を完了した円筒容器10を、スター45を通じて搬出路42へ排出する。
ロータリー搬送装置40は円筒容器10の胴部を収容保持可能であり、貼付ドラム20の箇所を通過する際に、円筒容器10の胴部の所定位置にラベルを貼付し得るようになっている。
容器移送手段はロータリー搬送装置40以外に公知の移送手段を適用可能である。
【0021】
<4>貼付ドラム
貼付ドラム20は鉛直の回転軸21を中心に回転し、外周面に複数の吸引孔を有する公知の負圧吸引式の回転ドラムである。
本発明は貼付ドラム20と回転ストッパの成形手段30との協働によりラベル本体に回転ストッパを成形するものである。
【0022】
<4.1>成形溝
貼付ドラム20はその外周面に回転軸21に沿った成形溝22を有する。
成形溝22は貼付ドラム20の径に応じて単数または間隔を隔てて複数設けられている。
図2に示した貼付ドラム20の斜視図に基づいて成形溝22について詳しく説明する。
成形溝22は水平断面形状が山形を呈する成形用の溝であり、後述する成形突起体31の進入を許容する。
成形溝22の水平断面形状は、山形形状以外にラベル本体に成形する回転ストッパの形状に合わせて任意の形状を選択することができる。
【0023】
<4.2>吸引孔
図2に拡大して示すように貼付ドラム20の外周面には、二種類の吸引孔23,24を形成している。
成形溝22を除いた貼付ドラム20の外周面に間隔を隔てて形成した複数の吸引孔23はラベル本体を吸着するために機能し、成形溝22の内面に形成した吸引孔24は回転ストッパの成形形状を維持するために機能する。
【0024】
<4.3>吸着区間
吸引孔23,24はラベルの移送区間(ラベルの受取り位置からラベルの貼付を完了するまでの区間)に亘って負圧を発生し、それ以外の区間では負圧が切れる構成となっている。
尚、図1に破線で示した符号25はラベルの移送区間に亘って吸引孔23,24に負圧を発生させるための公知の負圧溝で、貼付ドラム20の底部に配置されている。各吸引孔23,24の負圧のオンオフ機構は周知であるからその説明を省略する。
【0025】
<5>回転ストッパの成形手段
図2に基づいて回転ストッパの成形手段30について説明する。
回転ストッパの成形手段は貼付ドラム20に形成した成形溝22の通過タイミングに合わせて該成形溝22内に向けて進出及び後退するように配置した成形突起体31を具備する。
【0026】
本例では回転ストッパの成形手段30が鉛直の回転軸32と、回転軸32に着脱自在に装着した回転体33と、回転体33の側面に回転軸32と平行に植設した成形突起体31とを具備していて、回転軸32を中心に回転することで成形突起体31が成形溝22内への進出及び後退可能に構成されている。本例の回転ストッパの成形手段30をより詳細に説明する。
【0027】
<5.1>成形突起体
成形突起体31はラベル本体に回転ストッパを成形するための押圧具である。
回転体33の外周面から突出した成形突起体31の先端部はラベル本体の裏面側を押圧成形することから、成形突起体31の先端部を尖鋭に形成してラベル裏面の接着面との接触面積を小さくたり、成形突起体31の先端部を難接着性のコーティング層で被覆する等の非接着対策を講じておくことが望ましい。
【0028】
また成形突起体31の先端部は連続した直線状に形成することの他に、曲線形状に形成してもよく、或いは間欠した凹凸形状に形成してもよい。
【0029】
<5.2>回転軸
回転軸31の一部にはテーブル34を形成していて、テーブル34が回転軸31に貫挿した回転体33を所定の高さに支持している。
回転軸31および回転体33は、互いに回転力を伝達可能で、かつ回転体33の着脱を許容するように凸凹嵌合している。
【0030】
<5.3>回転体
回転体33は成形突起体31の支持部材であり、回転軸32に対して着脱自在である。
回転体33を着脱式に構成したのは、回転ストッパの成形数や成形間隔等が変更になった場合、成形突起体31を対応して形成した回転体33と交換するだけで対応するためと、回転体33の取り外しによりラベル本体の折り曲げ成形を要しない通常のラベリングマシンへの切り替えに対応するためである。
【0031】
回転体33と貼付ドラム20の回転は、成形溝22が通過するときに成形突起体31が成形溝22内に進退するように関係付けられている。
【0032】
以上説明したように本発明に係るラベリングマシンは、貼付ドラム20に成形溝22を設けるとともに、小型の回転ストッパの成形手段30を追加するだけであるからマシンコストを低廉に抑制することができる。
【0033】
つぎにラベリングマシンによるラベルの貼付方法について説明する。
【0034】
<1>円筒容器の供給
図1において、搬入路41に縦列に位置する円筒容器10がスター44を通じてロータリー搬送装置40へ順次供給される。
ロータリー搬送装置40は鉛直の回転軸43を中心に円筒容器10を貼付ドラム20へ向けて搬送する。
【0035】
<2>ラベルの供給
図外のラベル供給手段を通じて貼付ドラム20の外周面へラベルを供給する。
貼付ドラム20はその外周面にラベル表面側を吸着し、ラベル裏面側を表に露出した状態でロータリー搬送装置40へ向けて移送する。
使用するラベルは複雑な形状や形態を有するものではなく、通常のラベルを使用する。
【0036】
<3>回転ストッパの成形工程
図3,4に基づきラベル本体50の一部に回転ストッパ51を成形する工程について詳しく説明する。
【0037】
<3.1>成形前
図3は成形前のラベル本体50を示す。
成形前において、ラベル本体50は成形溝22を跨いだ状態にあり、複数の吸引孔23を通じて貼付ドラム20の外周面に吸着されている。
【0038】
このとき、成形溝22内の吸引孔24にも吸引力を生じているが、成形溝22の上下が開放されているため、ラベル本体50へ吸引孔24による吸引力が作用せず、ラベル本体50は成形溝22の内面から離れた状態にある。
【0039】
<3.2>成形突起体の進入
貼付ドラム20の成形溝22の通過タイミングに合わせて成形突起体31が回転軸32を中心に反時計回り方向へ回転すると、図4に示すように成形突起体31が成形溝22内へ入り込む。
このとき、成形突起体31の尖鋭な先端部がラベル本体50の裏面側を押圧して成形溝22内へ押し込み、ラベル本体50の一部に回転ストッパ51を成形する。
【0040】
回転ストッパ51を成形する際、ラベル本体50が成形溝22内へ引き込まれるが、貼付ドラム20の外周面に吸着されたラベル本体50が引き摺られて滑動するので、ラベル本体50の素材が伸びたり破断したりするおそれがない。
【0041】
<3.3>回転ストッパの吸着
図4に示すようにラベル本体50の一部に成形した回転ストッパ51は、成形溝22内の吸引孔24に吸着される。
そのため、ラベル素材の自己復元力によりラベル本体50が成形前の形状に戻ろうとしても回転ストッパ51の成形形状は維持される。
本発明では貼付ドラム20で通常ラベルの移送中に転がり防止用の回転ストッパを成形できるので、従来の特殊形態のラベルと比較してラベルコストを大幅に低減することができて経済的である。
【0042】
<3.4>成形突起体の後退
成形溝22内の吸引孔24の負圧吸引力が、回転ストッパ51とラベル裏面の接触部の接着力に卓越するように設定されている。
そのため、ラベル裏面が全面接着タイプであっても、成形突起体31が成形溝22から後退する際に成形を終えたラベル本体50の回転ストッパ51が引き出されることがない。
【0043】
殊に成形突起体31の先端部が尖鋭でありラベル本体50の裏面との接触面積が線接触に近い形態となるため、成形溝22内の吸引孔24に極端に大きな負圧吸着力を生じさせる必要はない。
また成形突起体31の先端部に付着し難い公知の表面処理を予め施しておくことにより、ラベルの付着防止効果がさらに増す。
したがって、貼付ドラム20を高速回転してもラベル本体50の一部に回転ストッパ51を確実に成形できるから、毎分900枚(BPM)以上の超高速貼付を実現することができる。
【0044】
<3.5>ラベルの移送
既述したように貼付ドラム20は複数の吸引孔23を通じてラベル本体50を貼付ドラム20の外周面に吸着し、吸引孔24を通じて回転ストッパ51を成形溝22の内面に吸着した状態でラベルを円筒容器10へ向けて搬送する。
【0045】
<4>ラベルの貼付
円筒容器10が貼付ドラム20の外周面と出会うことにより、円筒容器10の胴部にラベル本体50が巻き付けられる。
【0046】
図5に基づいてラベル本体50を円筒容器10に巻き付けて貼付する工程について詳しく説明する。
ラベル本体50の先端が円筒容器10の胴部に接着すると、ラベル本体50に所定の張力が作用しつつ円筒容器10に巻き付いていく。
貼付前の回転ストッパ51にも張力が作用するが、回転ストッパ51は引き延ばされずに成形溝22の内面に吸着され続けるためその成形形状が維持される。
そのため、回転ストッパ51の成形形状を維持したまま、ラベル本体50を円筒容器10の胴部へ貼付することができる。
【0047】
<5>円筒容器の転がり防止作用
図6はラベル本体50を貼付を終えた円筒容器10の一例を示す。
円筒容器10の胴部には転がり防止機能を有する山形の回転ストッパ51が突出している。
【0048】
これにより、円筒容器10が倒れた場合でも回転ストッパ51が円筒容器10の転がりを阻止し、円筒容器10の落下を確実に防止することができる。
殊に、貼付ドラム20の成形溝22の深さと成形突起体31の突出長を長くするだけで、回転ストッパ51の突出長を長くできる。さらに成形溝22の断面形状を変更することで、円筒容器10の種類に応じて回転ストッパ51の突出形状と裾幅を最適に選択することができる。
したがって、通常のラベルを使用していながら、円筒容器10の種類、重量、サイズ等の条件に応じて転がり防止効果の高い最適な回転ストッパ51を成形して貼付することができる。
【0049】
ラベルを貼付した複数の円筒容器10をまとめて包装箱や保管箱に収容する場合に、各回転ストッパ51の向きを揃えておけば円筒容器10の胴部から突出した回転ストッパ51が邪魔にならずに包装箱や保管箱に収容することができる。
また回転ストッパ51は、円筒容器10の軸方向に沿って形成されるため、円筒容器10を包装箱や保管箱に出し入れ作業を妨げることもない。
【0050】
しかも本発明は一台のラベリングマシンで以って、転がり防止機能を有するラベルの貼付作業だけでなく、簡易な対応で以ってラベル本体50に折り曲げ成形を要しない通常のラベリングマシンとしても使用することができる。
通常のラベリングマシンとして使用する場合は、回転ストッパの成形手段30を構成する回転体33の取り外し、回転体33の回転停止、或いは成形手段30の貼付ドラム20からの離隔等の簡単な方法で切換えできる。
【0051】
さらに既存のラベリングマシンに対して貼付ドラム20の交換と回転ストッパを成形する成形手段30を設置するだけで、転がり防止機能を有するラベルを貼付することができる。
【0052】
<6>複数の回転ストッパの成形方法
ラベル本体50に複数の回転ストッパ51を成形する方法は二つある。
そのひとつは図2に示した回転体33を、複数の成形突起体31を具備した別途の回転体33と交換する方法である。
もうひとつの方法は、図1に示した貼付ドラム20の周囲に回転ストッパを成形する成形手段30を複数組配置する方法である。
上記した何れかひとつの方法を採用することで、一枚のラベル本体50に複数の回転ストッパ51を成形することができる。
【実施例2】
【0053】
図7,8に他の回転ストッパの成形手段30を示す。
図7は成形突起体31を一体に付設したスライド体35を、貼付ドラム20の成形溝22へ向けてスライド自在に配置して回転ストッパの成形手段30を構成する形態を示すものである。
スライド体35のスライド手段としては電磁式、シリンダ式等の公知のスライド手段を適用する。
本例にあっては、成形溝22の通過タイミングに合わせてスライド体35と一体の成形突起体31を前後にスライドさせることで、ラベル本体50の一部に回転ストッパ51を成形することができる。
【0054】
図8は圧縮空気等の高圧流体を間欠的に噴射するノズル36で回転ストッパの成形手段30を構成する形態を示すものである。
本例は貼付ドラム20の近傍に貼付ドラム20の外周面へ向けてノズル36を配置し、成形溝22の通過タイミングに合わせてノズル36から高圧流体を噴射することで、ラベル本体50の一部に回転ストッパ51を成形することができる。
本例にあっては、ラベル本体50の裏面に触れずにラベル本体50に回転ストッパ51を成形できるので、回転ストッパ51の成形中における付着の問題がまったく生じない。
【符号の説明】
【0055】
10・・・・・円筒容器
20・・・・・貼付ドラム
22・・・・・成形溝
30・・・・・回転ストッパの成形手段
31・・・・・成形突起体
40・・・・・ロータリー搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル供給手段と、円筒容器をラベル貼付位置を通過させて移送する容器移送手段と、外周面に複数の吸引孔を有し、ラベル供給手段から受取ったラベルを円筒容器へ貼付する負圧吸引式の貼付ドラムと、を具備するラベリングマシンであって、
前記貼付ドラムの外周面に成形溝を形成し、
前記貼付ドラムの周囲に、ラベル本体の一部を折り曲げて回転ストッパを成形する成形突起体を具備した成形手段を配置し、
前記成形溝の通過タイミングに合わせて成形突起体を進退可能に構成したことを特徴とする、
ラベリングマシン。
【請求項2】
請求項1において、前記貼付ドラムの成形溝の内面に、回転ストッパを吸着可能な吸引孔を形成したことを特徴とする、ラベリングマシン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記成形手段が回転軸と、回転軸を中心に回転する成形突起体とにより構成することを特徴とる、ラベリングマシン。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、前記成形手段が回転軸と回転軸に軸支した回転体と、回転体に付設した成形突起体とにより構成し、回転軸に対して前記回転体を交換可能に構成したことを特徴とる、ラベリングマシン。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項において、前記円筒容器が断面円形のアンプル容器やバイアル瓶であることを特徴とる、ラベリングマシン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−121619(P2011−121619A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281624(P2009−281624)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(391005949)光洋自動機株式会社 (39)
【Fターム(参考)】