説明

ラベル、ラベルの製造方法及び印刷装置

【課題】有害生物の忌避効果を適切に発揮させるラベル、ラベルの製造方法及び印刷装置を提供する。
【解決手段】第1ラベル100−1は、台紙102の上部に形成される、忌避剤を封入したマイクロカプセル114を混合した粘着層110と、当該粘着層110の上部に形成される印刷層116からなる。この第1ラベル100−1は、印刷時に加熱又は押圧されることで、マイクロカプセル114が破壊されて、忌避剤の発散を開始する。従って、印刷後に速やかに第1ラベル100−1を樹脂フィルム等の対象物に貼付する、換言すれば、印刷後速やかに第1ラベル100−1の使用を開始するようにすれば、第1ラベル100−1の使用開始時という適切なタイミングから長い期間にわたって有害生物の忌避効果を発揮することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を包装する包装材、食品を梱包する箱、有害生物を寄せ付けたくない物や場所等の対象物に貼付されるラベル、当該ラベルの製造方法及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を包装する樹脂フィルム等には、その食品の名称や重量、金額等の様々な情報が印刷されたラベルが貼付される。このようなラベルには、害虫等の有害生物が近寄ることを防止すべく、有害生物の忌避剤を含有したものが存在する(例えば、特許文献1参照)。また、近年、マイクロカプセルの実用化に伴い、服に取り付けられるタグ等の布製のラベルに耐水溶性の樹脂被膜を設けるとともに、当該樹脂被膜にダニ忌避剤等の薬剤を封入したマイクロカプセルを混入したものも存在する(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−168717号公報
【特許文献2】特開平9−274437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のラベルでは、忌避剤が外部に晒された状態であるため、ラベルの製造時から当該ラベルを貼付するまでの間、換言すれば、ラベルの製造時から当該ラベルの使用開始時までの間に、当該忌避剤が発散し、有害生物の忌避効果が弱まるという問題がある。また、特許文献2に記載のラベルでは、マイクロカプセルに薬剤を封入しているため、当該薬剤が発散することは防止されるものの、反対に、薬剤がマイクロカプセルで保護されていることによって、ラベルを使用している間にも当該薬剤が発散されずに、有害生物の忌避効果が発揮されにくいという問題が生じる。
【0005】
本発明は、前述したような従来の問題を解決するためになされたもので、有害生物の忌避効果を適切に発揮させるラベル、ラベルの製造方法及び印刷装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、対象物に貼付されるラベルは、有害生物の忌避剤を封入し、加熱又は押圧により破壊されるマイクロカプセルを含有してなるマイクロカプセル層と、前記マイクロカプセル層の上部に形成され、上面が印刷面となる印刷層とを有する。
【0007】
この構成によれば、貼付時や印刷時にラベルが加熱又は押圧される際に、その加熱又は押圧によって忌避剤を封入したマイクロカプセルが破壊され、忌避剤の発散が開始される。従って、貼付時にラベルが加熱又は押圧される場合には、その貼付時、換言すれば、ラベルの使用開始時という適切なタイミングから長い期間にわたって有害生物の忌避効果を発揮することが可能となる。また、印刷時にラベルが加熱又は押圧される場合には、その印刷後に速やかにラベルを対象物に貼付させる、換言すれば、印刷後に速やかにラベルを使用すれば、ラベルの使用開始時という適切なタイミングから長い期間にわたって有害生物の忌避効果を発揮することが可能となる。
【0008】
同様の観点から、本発明に係るラベルは、前記マイクロカプセル層が、前記マイクロカプセルと、前記対象物に接着する粘着性部材とを混合してなるようにしてもよい。
【0009】
同様の観点から、本発明に係るラベルは、前記粘着性部材が、熱活性型であるようにしてもよい。
【0010】
同様の観点から、本発明に係るラベルは、前記マイクロカプセル層の下部に形成され、前記対象物に接着する粘着性部材からなる粘着層を有するようにしてもよい。
【0011】
同様の観点から、本発明に係るラベルは、上面が前記マイクロカプセル層の形成面となるベース層と、前記ベース層の下部に形成され、前記対象物に接着する粘着性部材からなる粘着層を有するようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る、加熱又は押圧により対象物に貼付されるラベルの製造方法は、有害生物の忌避剤を封入し、加熱又は押圧により破壊されるマイクロカプセルを含有してなるマイクロカプセル層を形成する工程と、前記マイクロカプセル層の上部に、上面が印刷面となる印刷層を形成する工程とを有する。
【0013】
この構成によれば、貼付時や印刷時にラベルが加熱又は押圧される際に、その加熱又は押圧によって忌避剤を封入したマイクロカプセルが破壊され、忌避剤の発散が開始される。従って、貼付時にラベルが加熱又は押圧される場合には、その貼付時、換言すれば、ラベルの使用開始時という適切なタイミングから長い期間にわたって有害生物の忌避効果を発揮することが可能となる。また、印刷時にラベルが加熱又は押圧される場合には、その印刷後に速やかにラベルを対象物に貼付させる、換言すれば、印刷後に速やかにラベルを使用すれば、ラベルの使用開始時という適切なタイミングから長い期間にわたって有害生物の忌避効果を発揮することが可能となる。
【0014】
同様の観点から、本発明に係るラベル製造方法は、前記マイクロカプセル層を形成する工程が、前記マイクロカプセルと、前記対象物に接着する粘着性部材とを混合してなる前記マイクロカプセル層を形成するようにしてもよい。
【0015】
同様の観点から、本発明に係るラベルの製造方法は、前記粘着性部材が、熱活性型であるようにしてもよい。
【0016】
同様の観点から、本発明に係るラベル製造方法は、前記マイクロカプセル層の下部に、前記対象物に接着する粘着性部材からなる粘着層を形成する工程を有するようにしてもよい。
【0017】
同様の観点から、本発明に係るラベル製造方法は、上面が前記マイクロカプセル層の形成面となるベース層を形成する工程と、前記ベース層の下部に、前記対象物に接着する粘着性部材からなる粘着層を形成する工程と有するようにしてもよい。
【0018】
本発明に係る印刷装置は、上述したラベルに印刷を行う際に、前記マイクロカプセルを加熱又は押圧により破壊する処理手段を有する。
【0019】
この構成によれば、印刷装置によって印刷がなされたラベルを速やかに対象物に貼付させる、換言すれば、印刷装置によって印刷がなされたラベルを速やかに使用すれば、ラベルの使用開始時という適切なタイミングから長い期間にわたって有害生物の忌避効果を発揮することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ラベルの使用開始時という適切なタイミングから長い期間にわたって有害生物の忌避効果を発揮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態のラベルについて、図面を用いて説明する。本実施形態において、ラベルは、食品を包装する樹脂フィルム等の包装材、食品を梱包するダンボール等の箱、有害生物を寄せ付けたくない物や場所等の対象物に貼付されるものである。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態における第1のラベルの製造工程を示す図である。図1(a)に示す第1の工程では、台紙102の上面に粘着層110が形成される。この粘着層110は、粘着性部材112と、有害生物の忌避剤を封入したマイクロカプセル114とを混合してなるものであり、マイクロカプセル層に対応する。忌避剤は、例えば、レモンや唐辛子等の植物性由来の成分を含有するものである。
【0023】
図1(b)に示す第2の工程では、粘着層110の上部に紙やシリコン等を部材とする印刷層116が形成される。この印刷層116の上面は印刷面117であり、当該印刷面117には、食品の名称、重量、金額等の文字や、バーコード、2次元コード等の情報が印刷されるようになっている。このような第1及び第2の工程を経て、粘着層110と印刷層116とからなる第1ラベル100−1が製造される。
【0024】
図2は、プリンタ200−1による第1ラベル100−1の印刷工程を示す図である。第1ラベル100−1は、帯状の台紙102に等間隔で仮着されている。図2におけるプリンタ200−1では、台紙102及び第1ラベル100−1の搬送路にサーマルヘッド206及びプラテンローラ208が配置されている。
【0025】
サーマルヘッド206は、搬送路の上部に配置され、プラテンローラ208は、搬送路の下部におけるサーマルヘッド206と対向する位置に配置されている。サーマルヘッド206は、図示しない制御部からの印刷データを入力する。そして、サーマルヘッド206は、第1ラベル100−1が直下に搬送されたタイミングで、当該第1ラベル100−1の印刷層116における印刷面117に、印刷データに対応する情報、例えば、食品の名称、重量、金額等の文字や、バーコード、2次元コード等を印刷する。
【0026】
先ず、第1ラベル100−1の粘着層110に混合されたマイクロカプセル114を、押圧力により破壊する処理手段を説明する。第1ラベル100−1は、プリンタ200−1のサーマルヘッド206とプラテンローラ208とによって上下方向に押圧されるが、この押圧力によって粘着層110に混合されたマイクロカプセル114を破壊し、内部の忌避剤を発散させる。
【0027】
また、プリンタ200−1は、図2の点線で示すように、搬送路におけるサーマルヘッド206及びプラテンローラ208の下流側あるいは上流側に押圧ローラ202及び204を配置した構成でもよい。ここで、押圧ローラ202は、搬送路の上部に配置され、押圧ローラ204は、搬送路の下部における押圧ローラ202と対向する位置に配置されている。第1ラベル100−1は、これら押圧ローラ202及び204によって上下方向に押圧される。粘着層110に混合されたマイクロカプセル114は、この押圧力によって破壊され、内部の忌避剤が発散される。サーマルヘッド206及びプラテンローラ208による押圧力が小さい場合には、マイクロカプセル114が十分に破壊されない場合がある。しかし、プリンタ200−1に押圧ローラ202及び204を設け、その押圧力を大きくすることで、当該押圧ローラ202及び204により、マイクロカプセル114を確実に破壊することが可能となる。
【0028】
次に、第1ラベル100−1の粘着層110に混合されたマイクロカプセル114を、加熱により破壊する処理手段を説明する。サーマルヘッド206は、印刷用素子としての図示しない複数の発熱素子を有する。これら発熱素子は、印刷データに応じて選択的に発熱し、第1ラベル100−1の印刷層116における印刷面117を感熱発色させる。この際、粘着層110に混合されたマイクロカプセル114は、加熱、溶解によって破壊され、内部の忌避剤が発散される。なお、サーマルヘッド206の印刷方式は、感熱発色式に限定されるものではなく、マイクロカプセル114を加熱して溶解させることが可能な方式であればよく、例えば、熱転写式であってもよい。
【0029】
また、押圧ローラ202及び204の内部に電熱ヒータ等の熱源を設けるようにしてもよい。この場合、これら押圧ローラ202及び204が、内部の熱源によって、第1ラベル100−1におけるマイクロカプセル114を加熱、溶解させることで破壊し、当該マイクロカプセル114内部の忌避剤を発散させる。このように、押圧ローラ202及び204の内部に熱源を設けることにより、サーマルヘッド206内の発熱素子による発熱では、マイクロカプセル114が十分に破壊されないことがあっても、当該マイクロカプセル114を確実に破壊することが可能となる。
【0030】
印刷データに対応する情報が印刷された第1ラベル100−1は、台紙102から剥がされて、食品を包装する樹脂フィルム等の対象物に粘着層110の側が押し当てられる。これにより、粘着層110に混合された粘着性部材112が樹脂フィルム等の対象物に接着し、貼付される。
【0031】
このように、第1ラベル100−1は、忌避剤を封入したマイクロカプセル114を混合した粘着層110と、当該粘着層110の上部に形成される印刷層116からなる。この第1ラベル100−1は、印刷時に加熱又は押圧されることで、マイクロカプセル114が破壊されて、忌避剤の発散を開始する。従って、印刷後に速やかに第1ラベル100−1を樹脂フィルム等の対象物に貼付する、換言すれば、印刷後に速やかに第1ラベル100−1の使用を開始するようにすれば、第1ラベル100−1の使用開始時という適切なタイミングから長い期間にわたって有害生物の忌避効果を発揮することが可能となる。
【0032】
ところで、上述した第1ラベル100−1以外にも様々な構造のラベルが考えられる。以下、説明する。
【0033】
図3は、本発明の実施の形態における第2のラベルの製造工程を示す図である。図3(a)に示す第1の工程では、まず、粘着層120が形成される。この粘着層120は、熱活性型の粘着性部材122と、有害生物の忌避剤を封入したマイクロカプセル124とを混合してなるものであり、マイクロカプセル層に対応する。忌避剤は、例えば、第1ラベル100−1の場合と同様、レモンや唐辛子等の植物性由来の成分を含有するものである。
【0034】
図3(b)に示す第2の工程では、第1ラベル100−1の製造工程の場合と同様、粘着層120の上部に紙やシリコン等を部材とする印刷層126が形成される。この印刷層126の上面は印刷面127であり、各種情報が印刷されるようになっている。このような第1及び第2の工程を経て、粘着層120と印刷層126とからなる第2ラベル100−2が製造される。
【0035】
図4は、プリンタ200−2による第2ラベル100−2の印刷工程を示す図である。図4におけるプリンタ200−2を図2におけるプリンタ200−1と比較すると、新たに、搬送路におけるサーマルヘッド206及びプラテンローラ208よりも下流側の下部に熱活性用のサーマルヘッド210が配置され、搬送路の上部におけるサーマルヘッド210と対向する位置にプラテンローラ212が配置されている。
【0036】
先ず、第2ラベル100−2の粘着層120に混合されたマイクロカプセル124を、押圧力により破壊する手法を説明する。第2ラベル100−2は、プリンタ200−2のサーマルヘッド206とプラテンローラ208とによって上下方向に押圧される。また、第2ラベル100−2の粘着層120を加熱により活性させるためのサーマルヘッド210とプラテンローラ212とによっても上下方向に押圧される。この押圧力によって粘着層120に混合されたマイクロカプセル114を破壊し、内部の忌避剤を発散させる。
【0037】
更に、プリンタ200−2は、図4の点線で示すように、搬送路におけるサーマルヘッド206及びプラテンローラ208の下流側あるいは上流側に押圧ローラ202及び204を配置した構成でもよい。ここで、押圧ローラ202は、搬送路の上部に配置され、押圧ローラ204は、搬送路の下部における押圧ローラ202と対向する位置に配置されている。第2ラベル100−2は、これら押圧ローラ202及び204によって上下方向に押圧される。粘着層120に混合されたマイクロカプセル124は、この押圧力によって破壊され、内部の忌避剤が発散される。サーマルヘッド206及びプラテンローラ208、または、サーマルヘッド210とプラテンローラ212による押圧力が小さい場合には、マイクロカプセル124が十分に破壊されない場合がある。しかし、プリンタ200−2に押圧ローラ202及び204を設け、その押圧力を大きくすることで、当該押圧ローラ202及び204により、マイクロカプセル124を確実に破壊することが可能となる。
【0038】
次に、第2ラベル100−2の粘着層120に混合されたマイクロカプセル124を、加熱により破壊する処理手段を説明する。サーマルヘッド206は、印刷用素子としての図示しない複数の発熱素子を有する。これら発熱素子は、印刷データに応じて選択的に発熱し、第2ラベル100−2の印刷層126における印刷面127を感熱発色させる。この際、粘着層120に混合されたマイクロカプセル124は、加熱、溶解によって破壊され、内部の忌避剤が発散される。なお、サーマルヘッド206の印刷方式は、感熱発色式に限定されるものではなく、マイクロカプセル114を加熱して溶解させることが可能な方式であればよく、例えば、熱転写式であってもよい。また、サーマルヘッド210が、第2ラベル100−2の粘着層120を加熱することにより、マイクロカプセル124を確実に破壊することが可能となる。
【0039】
更に、押圧ローラ202及び204を設け、押圧ローラ202及び204の内部に電熱ヒータ等の熱源を設けるようにしてもよい。この場合、これら押圧ローラ202及び204が、内部の熱源によって、第2ラベル100−2におけるマイクロカプセル124を加熱、溶解させることで破壊し、当該マイクロカプセル124内部の忌避剤を発散させる。このように、押圧ローラ202及び204の内部に熱源を設けることにより、サーマルヘッド206およびサーマルヘッド210の発熱素子による発熱では、マイクロカプセル124が十分に破壊されないことがあっても、当該マイクロカプセル124を確実に破壊することが可能となる。
【0040】
印刷データに対応する情報が印刷された第2ラベル100−2は、食品を包装する樹脂フィルム等の対象物に粘着層120の側が押し当てられる。これにより、粘着層120に混合された粘着性部材126が樹脂フィルム等の対象物に接着し、貼付される。従って、印刷及び熱活性化後に速やかに第2ラベル100−2を樹脂フィルム等の対象物に貼付する、換言すれば、速やかに第2ラベル100−2の使用を開始するようにすれば、第2ラベル100−2の使用開始時という適切なタイミングから長い期間にわたって有害生物の忌避効果を発揮することが可能となる。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態における第3のラベルの製造工程を示す図である。図5(a)に示す第1の工程では、台紙102の上面に粘着性部材からなる粘着層138が形成される。次に、図5(b)に示す第2の工程では、粘着層138の上部に保護層130が形成される。この保護層130は、基材132と、有害生物の忌避剤を封入したマイクロカプセル134とを混合してなるものであり、マイクロカプセル層に対応する。忌避剤は、第1ラベル100−1の場合と同様、レモンや唐辛子等の植物性由来の成分を含有するものである。
【0042】
図5(c)に示す第3の工程では、保護層130の上部に紙やシリコン等を部材とする印刷層136が形成される。この印刷層136の上面は印刷面137であり、各種情報が印刷されるようになっている。このような第1乃至第3の工程を経て、粘着層138、保護層130及び印刷層136からなる第3ラベル100−3が製造される。
【0043】
この第3ラベル100−3は、図2に示すプリンタ200−1を用いることで、マイクロカプセル134を加熱又は押圧により確実に破壊し、内部の忌避剤が発散される。
【0044】
印刷データに対応する情報が印刷された第3ラベル100−3は、プリンタ200−1で印刷されマイクロカプセル134が加熱又は押圧により破壊された後、食品を包装する樹脂フィルム等の対象物に粘着層138が押し当てられる。これにより、保護層130を構成する粘着性部材が樹脂フィルム等の対象物に接着し、第3ラベル100−3が樹脂フィルム等の対象物に貼付される。
【0045】
このように、第3ラベル100−3は、粘着層138と、当該粘着層138の上部に形成される、忌避剤を封入したマイクロカプセル134を混合した保護層130と、当該保護層130の上部に形成される印刷層136とからなる。この第3ラベル100−3は、第1ラベル100−1と同様、印刷時に加熱又は押圧されることで、マイクロカプセル134が破壊されて、忌避剤の発散を開始する。従って、印刷後に速やかに第3ラベル100−3を樹脂フィルム等の対象物に貼付する、換言すれば、印刷後に速やかに第3ラベル100−3の使用を開始するようにすれば、第3ラベル100−3の使用開始時という適切なタイミングから長い期間にわたって有害生物の忌避効果を発揮することが可能となる。
【0046】
図6は、本発明の実施の形態における第4のラベルの製造工程を示す図である。図6(a)に示す第1の工程では、まず、粘着層148が形成される。次に、図6(b)に示す第2の工程では、上面が後述する保護層140の形成面となるベース層149が形成される。
【0047】
図6(c)に示す第3の工程では、ベース層149の上部に保護層140が形成される。この保護層140は、基材142と、有害生物の忌避剤を封入したマイクロカプセル144とを混合してなるものであり、マイクロカプセル層に対応する。忌避剤は、第1ラベル100−1の場合と同様、レモンや唐辛子等の植物性由来の成分を含有するものである。
【0048】
図6(d)に示す第3の工程では、保護層140の上部に紙やシリコン等を部材とする印刷層146が形成される。この印刷層146の上面は印刷面147であり、各種情報が印刷されるようになっている。このような第1乃至第4の工程を経て、粘着層148、ベース層149、保護層140及び印刷層146からなる第4ラベル100−4が製造される。
【0049】
この第4ラベル100−4は、図2に示すプリンタ200−1を用いることで、マイクロカプセル144を加熱又は押圧により確実に破壊し、内部の忌避剤が発散される。
【0050】
印刷データに対応する情報が印刷された第4ラベル100−4は、プリンタ200−1で印刷されマイクロカプセル144が加熱又は押圧により破壊された後、食品を包装する樹脂フィルム等の対象物に粘着層148が押し当てられる。これにより、粘着層148を構成する粘着性部材が樹脂フィルム等の対象物に接着し、第4ラベル100−4が樹脂フィルム等の対象物に貼付される。
【0051】
このように、第4ラベル100−4は、粘着層148と、当該粘着層148の上部に形成されるベース層149と、当該ベース層149の上部に形成される、忌避剤を封入したマイクロカプセル144を混合した保護層140と、当該保護層140の上部に形成される印刷層146とからなる。この第4ラベル100−4は、第1ラベル100−1と同様、印刷時に加熱又は押圧されることで、マイクロカプセル144が破壊されて、忌避剤の発散を開始する。従って、印刷後に速やかに第4ラベル100−4を樹脂フィルム等の対象物に貼付する、換言すれば、印刷後に速やかに第4ラベル100−4の使用を開始するようにすれば、第4ラベル100−4の使用開始時という適切なタイミングから長い期間にわたって有害生物の忌避効果を発揮することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上、説明したように、本発明に係るラベル、ラベルの製造方法及び印刷装置は、有害生物の忌避効果を適切に発揮させることができ、ラベル等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1ラベルの製造工程を示す図である。
【図2】プリンタによる第1ラベルの印刷工程を示す図である。
【図3】第2ラベルの製造工程を示す図である。
【図4】プリンタによる第2ラベルの印刷工程を示す図である。
【図5】第3ラベルの製造工程を示す図である。
【図6】第4ラベルの製造工程を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
100−1 第1ラベル
100−2 第2ラベル
100−3 第3ラベル
100−4 第4ラベル
102 台紙
110、120、138、148 粘着層
112 粘着性部材
114、124、134、144 マイクロカプセル
116、126、136、146 印刷層
117、127、137、147 印刷面
122 熱活性型の粘着性部材
130、140 保護層
132、142 基材
149 ベース層
200−1、200−2 プリンタ
202、204 押圧ローラ
206、210 サーマルヘッド
208、212 プラテンローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に貼付されるラベルであって、
有害生物の忌避剤を封入し、加熱又は押圧により破壊されるマイクロカプセルを含有してなるマイクロカプセル層と、
前記マイクロカプセル層の上部に形成され、上面が印刷面となる印刷層とを有するラベル。
【請求項2】
前記マイクロカプセル層は、前記マイクロカプセルと、前記対象物に接着する粘着性部材とを混合してなる請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記粘着性部材は、熱活性型である請求項2に記載のラベル。
【請求項4】
前記マイクロカプセル層の下部に形成され、前記対象物に接着する粘着性部材からなる粘着層を有する請求項1に記載のラベル。
【請求項5】
上面が前記マイクロカプセル層の形成面となるベース層と、
前記ベース層の下部に形成され、前記対象物に接着する粘着性部材からなる粘着層を有する請求項1に記載のラベル。
【請求項6】
対象物に貼付されるラベルの製造方法であって、
有害生物の忌避剤を封入し、加熱又は押圧により破壊されるマイクロカプセルを含有してなるマイクロカプセル層を形成する工程と、
前記マイクロカプセル層の上部に、上面が印刷面となる印刷層を形成する工程とを有するラベルの製造方法。
【請求項7】
前記マイクロカプセル層を形成する工程は、前記マイクロカプセルと、前記対象物に接着する粘着性部材とを混合してなる前記マイクロカプセル層を形成する請求項6に記載のラベルの製造方法。
【請求項8】
前記粘着性部材は、熱活性型である請求項7に記載のラベルの製造方法。
【請求項9】
前記マイクロカプセル層の下部に、前記対象物に接着する粘着性部材からなる粘着層を形成する工程を有する請求項6に記載のラベルの製造方法。
【請求項10】
上面が前記マイクロカプセル層の形成面となるベース層を形成する工程と、
前記ベース層の下部に、前記対象物に接着する粘着性部材からなる粘着層を形成する工程と有する請求項6に記載のラベルの製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至5に記載のラベルに印刷を行う際に、前記マイクロカプセルを加熱又は押圧により破壊する処理手段を有する印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−204919(P2009−204919A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47513(P2008−47513)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】