説明

ラベル、隆起構造特徴の使用、注射用デバイス、およびラベルを生産するための方法

【課題】ラベル、隆起構造特徴の使用、注射用デバイス、およびラベルを生産するための方法を提供すること。
【解決手段】ラベル(10)は、1つの面(18)に少なくとも部分的に少なくとも1つの隆起構造要素(20)を備える可撓性支持層(12)を備え、構造要素(20)は、ラベルを容器(40)に貼り付けたときに、隆起構造要素(20)が容器(40)から離れる方向を向くように設計され、構造要素(20)は、他の構造要素(67)と嵌合による接続を確立することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル、隆起構造特徴の使用、注射用デバイス、およびラベルを生産するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルは、医療用容器、例えば、注射用ペンの薬剤アンプルをラベル付けるために使用されることが多い。すでに知られているラベルは、医療用容器内に収納されている活性物質を識別するだけのために使用されてきた。医療用容器は、注射用ペン内に固定される。薬剤アンプルは、通常、ガラスでできている、アンプルを固定する可能性がもしあったとしてもごくわずかである、滑らかな側壁を有し、したがって、ときには、医療デバイス、例えば、注射用ペン内に医療用容器を固定することは困難である。
【0003】
したがって、容器を固定する他の可能な方法を用意する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この目的は、本発明の第1の態様において、1つの面に少なくとも部分的に少なくとも1つの隆起構造要素が設けられた可撓性支持層を備える、容器にラベル付けするためのラベルによって達成され、この構造要素は、ラベルを容器に貼り付けたときに、構造要素が容器から離れる方向を向くように設計され、この構造要素は、他の構造要素と嵌合による接続を確立することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ラベルを使うことにより、ラベルを容器に貼り付けるときに、ラベルとともにその容器の保持要素を形成し、これにより、保持される可能性がほかにない容器であっても、ハウジング、例えば、いくつかの他の固定構造内に装着することができる。隆起構造要素は、単独の保持可能性または追加の保持可能性を表しうる。全体としてみると、保持要素を形成する追加機能を有するラベルが得られ、これにより、安価でしかも簡単な方法ではあるが、ラベルを生成するプロセスを著しく複雑にすることなく、複数の機能が1つのラベル内に組み込まれる。
【0006】
ラベルの他の実施形態によれば、構造要素は、支持層の4倍を超える高さ、好ましくは、支持層の20倍を超える高さを有する。構造要素は、例えば、0.4mmを超える高さ、好ましくは、0.4mmから2.0mmまでの範囲の高さを有することができる。構造要素を有するラベルが、容器に、例えば、薬剤アンプルに貼り付けられ、容器が、同様にさらに構造要素を有する、他の容器内に、例えば、注射器の中空本体部内に押し込まれる場合、ラベルの構造要素が、さらなる構造要素との安定した接合部を形成し、これにより、嵌合による接続を確立することが確実になる。構造要素は、構造要素の側面によって画定される面を介して支持層に施されうる。この実施形態では、構造要素は、面の短い方の辺の少なくとも2倍である高さを有することができる。
【0007】
他の実施形態では、多くの構造要素が支持層の面に施され、ラベルが容器に貼り付けられたときに、この結果、多くの保持要素が容器から離れる方向を向く。保持要素は、例えば、突起物として設計することができる。これにより、ラベルの保持機能がさらに高まるが、これは、ラベルが容器に貼り付けられるときに後者が相当な力に曝される場合に特に望ましい。
【0008】
他の実施形態によれば、多数の構造要素のうちの構造要素のそれぞれが、側面を有する。構造要素は、構造要素の各側面が1つの平面内に配置されるように支持層上に配置される。構造要素を有するラベルが本体部、例えば、円筒状容器に貼り付けられたとき、構造要素の各側面は、1つの平面内に置かれる接合表面を形成する。同様に構造要素を有する他の本体部は、さらなる構造要素が側面が含まれる平面内のラベルの構造要素上にのしかかるように配置されうる。そこで、ラベルが貼り付けられる本体部とさらなる構造要素が配置される本体部との間に嵌合による接続が確立される。
【0009】
例えば接着剤層を使って、構造要素を支持層に接着することができる。接着剤層は、熱または放射線の作用を受けて硬化する層とすることができる。
【0010】
他の実施形態では、構造要素はプラスチックウェブとして支持層に施される。プラスチックウェブは、隆起構造要素を形成する簡単で安価な手段であり、このアプローチでは、ラベル生産用の既存の製造設備に組み込むことも可能である。
【0011】
他の実施形態では、プラスチックウェブは、支持層に接着剤で接着される。この接着により、プラスチックウェブと支持層との間を安価に、また簡単に接続することができ、これも同様に、ラベル生産用の既存の製造設備に組み込むことができる。
【0012】
他の実施形態によれば、構造要素は構造化カラー層として支持層に施される。構造化カラー層は、例えば、塗料を使って支持層上に印刷することができる。印刷は、ラベル生産における標準的なステップであり、したがって、プロセスの複雑度は、最小限度に抑えられ、安価で、簡単なラベル生産の可能な方法が提供される。
【0013】
他の実施形態では、塗料は、ブライユの印刷用インクに対応する。印刷され、硬化した後、ブライユの印刷用インクは、その背景からはっきりと突き出る構造要素を形成し、これにより、隆起構造要素を形成する安価で、簡単な手段が利用可能になる。
【0014】
他の実施形態によれば、構造要素は構造化フィルム層として支持層に施される。フィルム層を施すことは、同様にラベル生産における標準的なステップであり、したがって、プロセスの複雑度は、最小限度に抑えられ、安価で、簡単なラベル生産の可能な方法が提供される。
【0015】
他の実施形態では、構造化フィルム層は、支持層に貼り付けられる。この接着により、フィルム層と支持層との間を安価に、また簡単に接続することができ、これも同様に、ラベル生産用の既存の製造設備に組み込むことができる。
【0016】
他の実施形態では、可撓性支持層は、容器の内容物、使用法、またはメーカーからの取扱説明に関する情報を表す記号をさらに含む。他の実施形態では、これらの記号は、可撓性支持層上に印刷される。印刷は、ラベル生産における標準的なステップであり、したがって、プロセスの複雑度は、最小限度に抑えられ、安価で、簡単なラベル生産の可能な方法が提供される。
【0017】
他の実施形態では、支持層の面の反対側にある他の面に施された接着剤層を使ってラベルを容器に固定することができる。
【0018】
他の実施形態では、ラベルを容器に貼り付ける際に、隆起構造要素が、ハウジング内に容器を固定するための接合部として適している。
【0019】
他の実施形態では、いくつかの構造要素は、支持層上で互いに平行になるように施される。他の実施形態では、平行な構造要素はそれぞれ、始点を有し、これらの始点は、直線に沿って配置される。
【0020】
他の実施形態によれば、容器は、円筒状であり、構造要素は、容器の軸方向に沿って配置される。
【0021】
他の実施形態では、構造要素は、ラベルが容器に貼り付けられるときにネジ山を形成する。
【0022】
他の実施形態では、ラベルが容器に貼り付けられるときに、構造要素の間隙がネジ山を形成する。
【0023】
他の実施形態では、ラベルの外のり寸法は、容器の外周に対応する。
【0024】
他の実施形態によれば、多数の構造要素が、多数のボール状要素によって形成され、ボール状要素は、ラベルが容器に貼り付けられるときに、ボール状要素がネジ山を形成するように支持層の面上に配置される。
【0025】
他の態様によれば、ラベル上で少なくとも1つの隆起構造要素を使用することができ、ラベルは、構造要素が容器の外面から離れる方向を向き、他の構造要素との嵌合による接続を確立することができるように円筒状容器の外面上に配置される。構造要素は、ラベル上で、構造要素がハウジング内の円筒状容器に対する接合部またはネジ山の形で保持機能を発揮するように使用されうる。
【0026】
この目的は、本発明の他の態様において、薬剤注射用デバイスによって達成され、これは、
1つの面上で、少なくとも部分的に少なくとも1つの隆起構造要素を備える可撓性支持層を有するラベルと、
医薬品を収容し、ラベルを備え、このラベルが面と反対の側に置かれている面を介して容器上に配置され、構造要素が容器から離れる方向を向く突起部を形成する、円筒状容器と、
構造要素が他の構造要素との嵌合による接続を確立することができる、容器が中に配置されているハウジングと、を備える。
【0027】
他の実施形態によれば、構造要素は、ハウジング内の円筒状容器に対する接合部またはネジ山の形で保持機能を発揮する。
【0028】
他の実施形態によれば、構造要素は、支持層の4倍を超える高さを有する。例えば、構造要素は、0.4mmを超える高さを有することができ、これは、好ましくは、0.4mmから2mmまでの範囲である。構造要素は、構造要素の側面によって画定される面を介して支持層に施されうる。この実施形態では、構造要素は、面の短い方の辺の少なくとも2倍である高さを有する。
【0029】
他の実施形態によれば、多くの構造要素が支持層の面に施され、ラベルが容器に貼り付けられたときに、この結果、多くの保持要素が容器から離れる方向を向く。
【0030】
薬剤注射用デバイスの他の実施形態によれば、構造要素は、接着剤層を使って支持層に接着される。円筒状容器は、例えば、薬剤アンプルまたは薬剤カートリッジとすることができる。他の実施形態によれば、ハウジングは、注射用ペンまたは注射器の一部としてよい。容器は、遠位端では、針受けデバイスによって囲まれている針を有することができる。
【0031】
ラベルを生産するための方法を以下に示す。前記方法は、
可撓性支持層を形成するステップと、少なくとも1つの隆起構造要素を支持層の1つの面に施すステップであって、構造要素は、ラベルを容器に貼り付けたときに構造要素が容器から離れる方向を向くように設計され、さらに構造要素は他の構造要素と嵌合による接続を確立することができるステップを含む。
【0032】
この方法によれば、構造要素が、支持層の4倍を超える高さで支持層に施されるという構成をさらにとる。構造要素は、例えば、0.4mmを超える高さ、好ましくは、0.4mmから2mmまでの範囲の高さで支持層に施すことができる。この方法の発展によれば、構造要素は、構造要素の側面によって画定される面を介して支持層に施されうる。構造要素は、面の短い方の辺の少なくとも2倍である高さで支持層に施すことができる。例えば、接着剤層を使って、構造要素を支持層に接着することができる。
【0033】
本発明の他の利点および特徴は、以下の説明および図面内の各図から明らかになるであろう。
【0034】
本発明は、例示的な実施形態を基に、図面を参照しつつ、以下でさらに詳しく説明される。同じ機能または作用を有する要素、領域、および構造は、同じ参照記号を備える。要素、領域、または構造がその機能に関して対応している場合、その記述は、それぞれの例示的な実施形態において繰り返されない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態によるラベルの概略斜視側面図である。
【図2】本発明の他の実施形態によるラベルの概略平面図である。
【図3A】本発明の他の実施形態によるラベルの概略平面図である。
【図3B】本発明の他の実施形態によるラベルの概略平面図である。
【図3C】本発明の他の実施形態によるラベルの概略平面図である。
【図4】本発明の一実施形態による容器の概略断面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるラベル付きの容器の概略断面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるラベル付きの容器の他の概略断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による薬剤注射用デバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1を参照しつつ、斜視側面図に示されている本発明によるラベル10の第1の実施形態について以下で説明する。ラベル10は、可撓性支持層12を備える。支持層12は、多数の材料から作製することができる。例えば、支持層12は、紙層またはプラスチック層として形成されることが考えられる。本発明の文脈において、支持層12を多層構造、例えば、ラミネートとして構成することも同様に可能である。
【0037】
可撓性支持層12の一方の面14、例えば、下側に、接着剤層16が配置される。接着剤層16は、可撓性支持層12の面14を部分的にまたは完全に覆うことができる。可撓性支持層12の一方の面18、例えば、上面に、いくつかの隆起構造要素20が配置される。この文脈において、隆起とは、構造要素20が支持層12の厚さ25をかなり超えている高さ22を有することを意味する。したがって、隆起構造要素20は、例えば、印刷用インクをラベル10に塗布するか、または例えば、ブライユ記号をラベルに付けることによって得られるであろうように、支持層12のわずかに凹凸のある表面を単に構成するわけではない。
【0038】
ラベル10が、容器、例えば、薬剤用の円筒状アンプルに貼り付けられると、隆起構造要素20は、ラベル10が接着剤層16を使って容器に固定されるときに容器から離れる方向を向く。構造要素20は、例えば、他の接合要素内で係合するか、または他の接合要素上に簡単にのしかかる接合要素を形成しうる。例えば、他の接合要素は、例えば注射器ハウジングの、中空円筒の内壁上に配置されうる。容器が中空円筒内に挿入されると、ラベルの構造要素と他の構造要素との間に機械的な嵌合がなされる。その結果、隆起構造要素20を使って、容器と注射器ハウジングとの間で保持機能を発揮しうるラベル10が得られる。
【0039】
構造要素の高さ22は、支持層12の4倍を超えるものとしてもよい。例えば、支持層が100μmの厚さを有している場合、構造要素は、0.4mmを超える高さを有することができる。構造要素の高さが、好ましくは、支持層の4倍から20倍までの範囲内である場合に、良好な保持機能が達成される。例えば、構造要素は、特に支持層が100μmの高さを有している場合に、0.4mmから2mmまでの範囲の高さ分だけ支持層の表面から突き出ることができる。したがって、高い確率で、ラベルが固定される薬剤アンプルが注射用デバイス、例えば、注射器のハウジングから力ずくで押し出されることのないことを確実にすることが可能である。
【0040】
図1において、隆起構造要素20が矩形断面を持つように概略として示されている。しかし、他の断面、例えば、正方形または丸形の断面を持つ隆起構造要素20を設計することも考えられる。
【0041】
構造要素は、例えば支持層12の面18から突き出る、ブロック状または円筒状の突起部であってもよい。図1に示されている実施形態では、構造要素20は、構造要素の縦方向側面23および横方向側面24によって画定される面を介して支持層に施される。ラベルの構造要素と他の構造要素との間に機械的な嵌合が確実になされるように、ラベル10の支持層12に施される構造要素は、例えば、各構造要素20の縦方向側面23および横方向側面24のうちの短い方の少なくとも2倍の高さを有することができる。
【0042】
突起部は、例えば、支持層から離れる方向に延在する端部のところで太くなるようにできる。可能な一実施形態において、構造要素は、例えば、支持層から離れる方向のところにある端部において太いマッシュルーム形状とすることができる。支持層から離れる方向にある構造要素のその端部を太くすることで、ラベルの構造要素に関して逆になるように形成されている他の構造要素内で係合しやすくなり、両方の構造要素の間に嵌合による接続を確立できる。
【0043】
接続は、例えば、一方の構造要素を他方の構造要素の中にロックすることによって行うことができる。さらに、構造要素は、ラベルの支持層上に配置されている構造要素が他の物品上に形成されている他の構造要素と銃剣式差込継手を形成するように設計することができる。したがって、ラベル、またはラベルが配置される本体部と他の物品との間に嵌合による、安定した接続を形成することができる。
【0044】
隆起構造要素20は、側面部のところで面取りするかまたは丸みを付けることができる。構造要素は、好ましくは、鋭利な縁を有し、これを使って、一方の構造要素を他方の構造要素内に確実に係合させることが可能になる。
【0045】
上述の保持機能を発揮できるようにするために、隆起構造要素20を、例えば、プラスチックウェブとして支持層12に施すことができる。これは、例えば、接着によって行うこともできる。しかし、隆起構造要素20を単層または多層のフィルム層として設計することも可能である。隆起構造要素20の形状は、例えば、スタンピング工程を用いて事前に画定しておくことができる。フィルム層の打ち抜き輪郭を、例えば、支持層12に接着剤で接着することによって、支持層12に移すことができる。
【0046】
他の実施形態では、塗料の層を使って隆起構造要素20を印刷する構成がとられる。所望の隆起構造要素20を作製するために、例えば、ブライユの印刷用インクとして知られている塗料を使用することが可能である。ブライユとは対照的に、ブライユの記号を施す場合よりも分厚く支持層にこの塗料を塗布する。ブライユとは対照的に、構造要素は、支持層から突き出て、支持層12の表面に対し直角をなすスタンプ形突起部とすることができる。
【0047】
さらに、ラベル10は、例えば、容器の内容物、使用法に関する情報、またはメーカーからの他の情報を表す記号26を入れることができる。これらの記号は、可撓性支持層12上に通常は印刷される。図1からわかるように、文字列「xyz」は、ラベル10上の記号26を表す。
【0048】
図2を参照しつつ、平面図に示されている本発明によるラベル10の他の実施形態について以下でさらに詳しく説明する。ラベル10は、図1に示されているように、可撓性支持層12の上面18に配置されている多数の隆起構造要素20を有する。
【0049】
支持層12に施される構造要素20はすべて、同じ形状を持つことができる。構造要素は、それぞれの場合における構造要素の各側面27が1つの平面内に配置されるように支持層上に配置されうる。これらの側面27は、嵌合によって他の構造要素がのしかかる構造要素20の接合面を形成することができる。図2の実施形態によれば、構造要素20は、例えば、互いに平行になるように配置される。平行な構造要素20は、それぞれ、直線30に沿って配置されている始点を有する。その結果、ラベル10が付けられている容器では、隆起構造要素20を接合部として使用することができ、接合部の接触表面は直線30に沿って画定される。
【0050】
図2は、ラベル10が実質的に矩形である外形を有することも示している。もちろん、ラベル10に対し他の形状を使用することも可能である。
【0051】
しかし、ラベル10を容器に貼り付けることができるようにするために、ラベル10が、直線30に沿って、例えば、ラベル付けされる容器の外周に対応する外のり寸法を有すると有利である。したがって、ラベル10が貼り付けられるときに、確実に構造要素20が重なり合わないようにすることが可能である。
【0052】
以下では、図3Aを参照しつつ、ラベル10の他の実施形態を開示する。図3Aに示されている実施形態は、多数の隆起構造要素20が、ラベルを円筒状容器に貼り付けたときに、これらの隆起構造要素20が補い合って容器の外側にネジ山を形成するように配置されるという点で、図2に示されているものと異なる。
【0053】
したがって、図3Aに示されている例示的な実施形態は、一巻きのネジ山を表している。しかし、複数のネジ山ターンが形成されるように複数の構造要素20を配置することも同様に考えうる。図3Aに示されている実施形態では、構造要素は、互いから短い距離だけオフセットされている、個別の突起部として設計されている。この距離は、突起部がネジ山ターンを形成するように選ばれている。
【0054】
図3Bに示されている実施形態では、ウェブ形状構造要素29が、支持層12の上面18に施されている。ネジ山の個別のネジ山ターンは、ウェブ形状構造要素29のうちのいくつかを支持層に配置し、短い距離だけ互いからオフセットすることによって得られる。個別のウェブ形状構造要素29は、ラベルの側縁28の方向に関して斜めになるように支持層上に配置される。ラベルが円筒状容器に貼り付けられるときに、個別のウェブ形状構造要素はネジ山を形成する。
【0055】
図3Cは、構造要素がボール状である一実施形態を示している。多数のこれらのボール状構造要素21は、これらのボール状構造要素が側縁28の方向に関して斜めに延在するように配置することができる。互いに隣接するボール状構造要素は、ネジ山ターンを形成する。個別のネジ山ターンのボール状構造要素は、支持層上に配置され、互いにわずかな距離だけオフセットされている。ラベルが円筒状物品に貼り付けられるときに、ネジ山がボール状構造要素によって形成される。ボール状構造要素は、ガラスまたはプラスチック、例えば、ポリマーから選ばれた材料で作られたボールとして構成されうる。ボール21は、それぞれ、2mm未満の直径を有する。
【0056】
図1、2、3A、3B、および3Cに示されている実施形態の構造要素は、例えば、接着剤層11を使用して、支持層12に施すことができる。接着剤は、熱または放射線の作用の下で、例えば、UV光を使って、硬化する材料を含んでいてもよい。
【0057】
図2または図3に示されていない、他の実施形態では、隆起構造要素20の上面は、構造要素20の上面同士がつながってネジ山を形成するような構造を備えることができる。この目的のため、例えば、構造要素20の上面に構造化を施すことも考えうる。
【0058】
ラベル10上で隆起構造要素20を使用することについて、以下でさらに詳しく説明する。図4を参照すると、ラベル10が配置されうる円筒状容器40が示されている。容器40は、例えば、薬剤注射用デバイス、例えば、注射用ペンまたは同様のもののカートリッジである。この目的のために、容器40は、その遠位端42に針44を有している。
【0059】
針44は、持針器として設計されているフランジ46を介して容器40に結合する。フィンガーフランジ50は、例えば、容器40の近位端48に配置される。容器40は、実質的に円筒状であり、この円筒軸52は図4において破線で示されている。フィンガーフランジ50は、通常、半径方向に、つまり、円筒軸52に対し垂直の方向に延在する。
【0060】
図5を参照すると、図2による一実施形態におけるラベル10を備えた後の容器40が示されている。容器40の遠位端42に向かう方向にあるラベル10の端部に配置されている、隆起構造要素20は、半径方向に外を指している。したがって、構造要素20は、容器40から離れる方向を向いている。
【0061】
図5からわかるように、本発明によるラベル10を備える容器40は、フィンガーフランジおよび持針器46だけでなく、ハウジング内に容器40を固定するための接合部として使用されうる構造要素20も有している。しかし、本発明は、図5に示されている使用に限られないことは言うまでもない。例えば、ラベル10は、フィンガーフランジを有していない容器40上でも使用できる。
【0062】
簡単に言うと、隆起構造要素20によって単独で、または他の保持点と組み合わせて発揮される保持機能は、ハウジング内に容器40を固定する簡単な手段をもたらす。ラベル10は、すでに存在している保持器を支持するものとすることができるか、あるいは、単独の保持手段として備えることができる。
【0063】
次に、図6を参照しつつ、図3による実施形態に類似しているラベル10を備える容器40について説明する。図5に示されている実施形態とは対照的に、この場合の隆起構造要素20は、容器40の外側にネジ山を形成する。その結果、容器40は、例えば、ハウジング内に位置決め、または固定されうる。この目的のために、ハウジング上に対応する穿孔を形成し、これが雌ネジを形成しなければならない。
【0064】
次に、図7を参照しつつ、本発明を利用する薬剤注射用デバイスについて説明する。注射用デバイス60は、例えば、通常は自己治療に使用される、注射用ペンである。しかし、薬剤注射用デバイス60は、他の用途の注射器であることも考えうる。注射用デバイス60は、薬剤カートリッジの形態の容器40を備える。
【0065】
図4から6を参照しつつすでに説明されている特徴に加えて、ピストン62およびピストンロッド64が図7に示されており、これらは容器40に収納されている薬剤を投与するために使用される。当技術分野で一般に知られているように、ピストンロッド64は、投薬するための好適なメカニズムを備えることができる。投薬するためのメカニズムは、本発明の主題の一部でないので、以下ではこれ以上詳しく説明しない。
【0066】
針を遠位端に備える薬剤注射用デバイス60は、通常は、うっかり接触することのないように、針受けデバイス66によって保護されている。図7からわかるように、針受けデバイス66は、容器40の外壁と持針器46との間に形成される段部のところに届くものとしてよい。容器40をハウジング68内に安全に固定できるように、隆起構造要素20の形態の接合部がラベル10上に設けられる。その結果、ピストン62がピストンロッド64を介して前方に押されても、容器40はハウジング68から外へ滑って出ることはありえない。
【0067】
図5に関してすでに説明されているように、フィンガーフランジは、ハウジング68上に容器40を固定するのに役立ちうる。しかし、ラベル10は、フィンガーフランジを有していない容器上でも使用できる。フィンガーフランジを他のラベルで置き換えることも考えうる(図7に示されていない)。簡単に言うと、本発明を用いると、医療用容器を、例えば、嵌合によりハウジング内に保持することができる。
【0068】
特に、針受けデバイスを使用する場合、たまたま、後者の直径が容器40の直径よりも大きいこともありうる。その結果、容器と針との間の変わり目に存在する段部は、もはや接合部としては使えない。フィンガーフランジを単独使用すると、注射用ペンの生産時に公差が大きくなる。最悪の場合、注射用ペンを作動させたときに、注射器全体が、例えば、重大な欠陥のせいで、ハウジングから強制的に押し出される状況も生じうる。
【0069】
これは、本発明によって回避され、位置決めおよび/または固定は、画定された接合部またはネジ山を使って達成される。医療用容器は、通常、その内容物を識別できるようにラベルを備えているので、本発明が、注射用ペンを生産する複雑さを増すことはない。
【0070】
本発明は、例示的な実施形態に基づく説明によって制限されない。その代わりに、本発明は、すべての新規性のある特徴を包含し、また特徴のすべての組合せも包含し、これは、特に、前記特徴または前記組合せがそれ自体、特許請求項または例示的な実施形態において明確に言及されていないとしても、特許請求項に記載の特徴のすべての組合せを含む。
【符号の説明】
【0071】
10 ラベル
12 可撓性支持層
14 下側
16 接着剤層
18 上面
20 隆起構造要素
21 ボール状構造要素
22 高さ
23 幅
24 長さ
25 厚さ
26 記号
27 構造要素の側面
28 側縁
29 ウェブ形状構造要素
30 始点の直線
40 容器
42 遠位端
44 針
46 持針器
48 近位端
50 フィンガーフランジ
52 円筒軸
60 注射用デバイス
62 ピストン
64 ピストンロッド
66 針受けデバイス
68 ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの面(18)に少なくとも部分的に少なくとも1つの隆起構造要素(20)が設けられた可撓性支持層(12)を備える、容器(40)にラベル付けするためのラベル(10)であって、前記構造要素(20)は、前記ラベルを前記容器(40)に貼り付けたときに、前記構造要素(20)が前記容器(40)から離れる方向を向くように設計され、前記構造要素(20)は、他の構造要素(67)と嵌合による接続を確立することができるラベル。
【請求項2】
前記構造要素(20)は、支持層(12)の4倍を超える高さ(22)を有する請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記構造要素(20)は、0.4mmを超える高さ(22)を有する請求項1または2に記載のラベル。
【請求項4】
前記構造要素(20)は、前記構造要素の側面(23、24)によって画定される面を介して前記支持層(12)に施され、
前記構造要素(20)は、前記側面(23、24)の短い方の辺の少なくとも2倍である高さ(22)を有する請求項1から3のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項5】
多数の構造要素(20)が、前記支持層(12)の前記面(18)に施され、前記ラベルが前記容器(40)に貼り付けられたときに、この結果、多数の保持要素が前記容器(40)から離れる方向を向く請求項1から4のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項6】
前記多数の構造要素のうちの前記構造要素(20)のそれぞれが、側面(27)を有し、
前記構造要素(20)は、前記構造要素の各前記側面(27)が1つの平面内に配置されるように前記支持層(12)上に配置される、請求項5に記載のラベル。
【請求項7】
前記構造要素は、接着剤層(11)を使って前記支持層(12)に接着される請求項1から6のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項8】
前記構造要素(20)は、プラスチックウェブ(29)として前記支持層に施される請求項1から7のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項9】
前記プラスチックウェブ(29)は、前記支持層(12)に接着剤で接着される請求項8に記載のラベル。
【請求項10】
前記構造要素(20)は、構造化されたカラー層として前記支持層に施される請求項1から3のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項11】
前記構造化されたカラー層は、塗料を使って前記支持層上に印刷される請求項10に記載のラベル。
【請求項12】
前記塗料は、ブライユの印刷用インクに対応する請求項11に記載のラベル。
【請求項13】
前記構造要素(20)は、構造化されたフィルム層として前記支持層(12)に施される請求項1から3のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項14】
前記構造化されたフィルム層(20)は、前記支持層(12)に貼り付けられる請求項13に記載のラベル。
【請求項15】
前記可撓性支持層(12)は、前記容器(40)の内容物、使用法、またはメーカーからの取扱説明に関する情報を表す記号をさらに含む請求項1から14のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項16】
前記記号は、前記可撓性支持層(12)上に印刷される請求項15に記載のラベル。
【請求項17】
前記支持層(12)の前記面(18)の反対側にある他の面(14)に施された接着剤層(16)を使って前記容器(40)に固定されうる請求項1から16のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項18】
前記ラベルが前記容器(40)に貼り付けられるときに、前記構造要素(20)は、前記容器(40)をハウジング(68)内に固定するための接合部として適している請求項1から17のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項19】
複数の構造要素(20)が、前記支持層(12)上に互いに平行になるように施される請求項1から18のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項20】
前記平行な構造要素(20)はそれぞれ、始点を有し、前記始点は、直線(30)に沿って配置される請求項19に記載のラベル。
【請求項21】
前記容器(40)は、円筒状であり、前記構造要素(20)は、前記容器の軸方向(52)に沿って配置される請求項1から20のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項22】
前記構造要素(20)は、前記ラベルが前記容器(40)に貼り付けられるとネジ山を形成する請求項1から21のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項23】
前記ラベルが前記容器に貼り付けられると、前記構造要素(20)の間隙が前記ネジ山を形成する請求項22に記載のラベル。
【請求項24】
前記ラベル(10)の外のり寸法は、前記容器(40)の外周に対応する請求項1から23のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項25】
前記多数の構造要素(20)は、多数のボール状要素(21)から形成され、前記ボール状要素は、前記ラベルが前記容器に貼り付けられたときに、前記ボール状要素(21)が前記ネジ山を形成するように前記支持層(12)の前記面(18)上に配置される請求項5から24のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項26】
ラベル(10)上での少なくとも1つの隆起構造要素(20)の使用であって、前記ラベル(10)は、円筒状容器(40)の外面上に、前記構造要素(20)が前記容器の前記外面から離れる方向を向き、他の構造要素(67)との嵌合による接続を確立することができるように配置される、使用。
【請求項27】
前記構造要素(20)は、ハウジング(68)内の前記円筒状容器(40)に対する接合部またはネジ山の形で保持機能を発揮する、請求項26に記載の、ラベル(10)上での少なくとも1つの隆起構造要素(20)の使用。
【請求項28】
1つの面(18)上で、少なくとも部分的に少なくとも1つの隆起構造要素(20)を備える可撓性支持層(12)を有するラベル(10)と、
医薬品を収容し、ラベル(10)を備える円筒状容器(40)であって、前記構造要素(20)が、前記容器(40)から離れる方向を向く突起部を形成する、円筒状容器(40)と、
前記構造要素(20)が他の構造要素(67)との嵌合による接続を確立することができる、前記容器(40)が中に配置されているハウジング(68)とを備える薬剤注射用デバイス。
【請求項29】
前記ラベルは、前記面(18)の反対側にある面(16)を介して前記容器上に配置される請求項28に記載の薬剤注射用デバイス。
【請求項30】
前記構造要素(20)は、前記ハウジング(68)内の前記円筒状容器(40)に対する接合部またはネジ山の形で保持機能を発揮する請求項29に記載の薬剤注射用デバイス。
【請求項31】
前記構造要素(20)は、前記支持層(12)の4倍を超える高さ(22)を有する請求項28から30のいずれか一項に記載の薬剤注射用デバイス。
【請求項32】
前記構造要素(20)は、0.4mmを超える高さ(22)を有する請求項28から31のいずれか一項に記載の薬剤注射用デバイス。
【請求項33】
前記構造要素(20)は、前記構造要素の側面(23、24)によって画定される面を介して前記支持層(12)に施され、
前記構造要素(20)は、前記側面(23、24)の短い方の辺の少なくとも2倍である高さ(22)を有する請求項28から32のいずれか一項に記載の薬剤注射用デバイス。
【請求項34】
多数の構造要素(20)が、前記支持層(12)の前記面(18)に施され、前記ラベルが前記容器(40)に貼り付けられたときに、この結果、多数の保持要素が前記容器(40)から離れる方向を向く請求項28から33のいずれか一項に記載の薬剤注射用デバイス。
【請求項35】
前記構造要素は、接着剤層(11)を使って前記支持層(12)に接着される請求項28から34のいずれか一項に記載の薬剤注射用デバイス。
【請求項36】
前記円筒状容器(40)は、薬剤アンプルまたは薬剤カートリッジである請求項28から35のいずれか一項に記載の薬剤注射用デバイス。
【請求項37】
前記ハウジング(68)は、注射用ペンまたは注射器の一部である請求項28から36のいずれか一項に記載の薬剤注射用デバイス。
【請求項38】
前記容器(40)は、遠位端において、針受けデバイス(66)によって囲まれている針(44)を有する請求項28から37のいずれか一項に記載の薬剤注射用デバイス。
【請求項39】
ラベルを生産するための方法であって、
可撓性支持層(12)を形成するステップと、
少なくとも1つの隆起構造要素(20)を前記支持層(12)の1つの面(18)に施すステップであって、前記構造要素(20)は、前記ラベルを前記容器(40)に貼り付けたときに前記構造要素(20)が前記容器(40)から離れる方向を向くように設計され、前記構造要素(20)は他の構造要素(67)と嵌合による接続を確立することができるステップを含む、ラベルを生産するための方法。
【請求項40】
前記構造要素(20)は、前記支持層(12)の4倍を超える高さ(22)で前記支持層(12)に施される請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記構造要素(20)は、0.4mmを超える高さ(22)で前記支持層(12)に施される請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
前記構造要素(20)は、前記構造要素の側面(23、24)によって画定される面を介して前記支持層(12)に施され、
前記構造要素(20)は、前記側面(23、24)の短い方の辺の少なくとも2倍である高さ(22)で前記支持層(12)に施される請求項39から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記構造要素は、接着剤層(11)を使って前記支持層(12)に接着される請求項39から42のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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