ラベルプリンタ
【課題】 ラベル仕様又はピーラ仕様の印刷仕様を選択できるラベルプリンタにおいて、使用者が意図した用紙経路と間違った用紙経路にラベル用紙を配置した場合でもそのまま印字されてしまいラベルの無駄となる。
【解決手段】 印刷仕様をピーラ仕様とラベル仕様とで選択可能なラベルプリンタであって、実行する印刷仕様を選択する印刷仕様選択部23と、ピーラ仕様時にラベル用紙が挿入される経路A及びラベル仕様時にラベル用紙が挿入される経路Bと、開閉自在なカバー部2であって、その開放時にラベル用紙を経路A又は経路Bへ挿入可能とするカバー部2とを備え、印刷仕様切換え用スイッチ19がカバー部2内に設けられており、このスイッチ19を操作することにより印刷仕様選択部23は印刷仕様を切り替える。
【解決手段】 印刷仕様をピーラ仕様とラベル仕様とで選択可能なラベルプリンタであって、実行する印刷仕様を選択する印刷仕様選択部23と、ピーラ仕様時にラベル用紙が挿入される経路A及びラベル仕様時にラベル用紙が挿入される経路Bと、開閉自在なカバー部2であって、その開放時にラベル用紙を経路A又は経路Bへ挿入可能とするカバー部2とを備え、印刷仕様切換え用スイッチ19がカバー部2内に設けられており、このスイッチ19を操作することにより印刷仕様選択部23は印刷仕様を切り替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルプリンタによるラベルの発行は、印字したラベルをラベル用紙ごと連続して発行させるラベル仕様と、ラベル用紙上に貼付されているラベルに印字後、ラベル用紙を曲げることでラベルを一枚ずつ剥離させ発行口から発行させるピーラ仕様とがある。
【0003】
ラベル仕様でのラベル用紙のセッティングはラベル用紙の先端を引き出し印字部に最初のラベルを配置し印字を行い、ラベルを剥離することはせずラベル用紙ごと排出する。すなわち、印字した後はそのまま排出口から外部に排出する方法をとる。一方、ピーラ仕様ではラベル用紙の先端を引き出し、印字部に最初のラベルを配置し印字した後は、鋭角で構成される剥離部により、ラベルがラベル用紙からわずかに剥離するまで折り曲げる。その後、余分な用紙は折り曲げた方向に排出する。
このように、ラベル仕様とピーラ仕様とではラベル用紙を別の用紙経路へ通し排出することになるため、プリンタに求められる印刷仕様に応じた用紙経路でラベル用紙をセッティングすることになる。
【0004】
また、ラベル仕様とピーラ仕様とでは用紙送り動作も異なる。すなわち、ラベル仕様の場合はラベル用紙も連続的に送るが、ピーラ仕様では印字した後、ラベルをラベル用紙から剥離させる必要があるため、間欠的な用紙送りとなる。そのため、ラベル仕様かピーラ仕様かにより単に用紙経路を変更すればよいだけではなく、それに対応した用紙送り制御、更には用紙送りに同期した印刷制御も行う必要がある。
【0005】
ところで、従来ではラベル仕様又はピーラ仕様のいずれかの用紙経路にラベル用紙をセッティングしたとしてもプリンタはこれを認識することができなかった。そのため、例えば、ホストからプリンタへプリンタ指令を行う場合、送られてくる発行コマンドにいずれかの印刷仕様を特定するサブコマンドを付加することにより印刷仕様変換を行っていた。
【0006】
しかし、これでは現場で印刷仕様変換が必要となった場合にその対処が煩雑となる。そこで、ラベル仕様とピーラ仕様とではラベル用紙がセットされる用紙経路が異なることに着目し、いずれかの用紙経路におけるラベル用紙の有無を検出し、当該検出結果に基づいて印刷仕様判断を行う技術が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−295323
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の技術では使用者が間違ってラベル用紙を用紙経路に配置した場合も間違ったまま印字されてしまい、印字されてしまったラベルは無駄になる。そこで、使用時においても間違いが判明した時点で、使用者が任意に印刷仕様を変更できるラベルプリンタを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記課題を少なくとも一つを解決するためになされたものである。即ち、
この発明の第1の局面によれば、印刷仕様をピーラ仕様とラベル仕様とで選択可能なラベルプリンタであって、
実行する印刷仕様を選択する印刷仕様選択部と、
ピーラ仕様時にラベル用紙が挿入される第1の用紙経路及びラベル仕様時に前記ラベル用紙が挿入される第2の用紙経路と、
開閉自在なカバー部であって、その開放時に前記ラベルプリンタをオフラインとするとともに前記ラベル用紙を操作可能とするカバー部、とを備え、
印刷仕様切換え用スイッチであって、前記カバー部の開放時に操作可能となり、このスイッチを操作することにより前記印刷仕様選択部は印刷仕様を切り替えることができるラベルプリンタを提供する。
【発明の効果】
【0009】
このように構成されたラベルプリンタによれば、ラベルプリンタ動作時においても使用者の任意のタイミングで印刷仕様変更が可能となるため、使用者が間違ってラベル用紙を配置した場合でもすぐに印刷仕様変更ができ、ラベルの無駄な印刷を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施例のラベルプリンタを示す。
【0011】
図1は実施例のラベルプリンタの外観図を示す。
ラベルプリンタは本体ケース1の前面にカバー部2が設置され、本体ケース前方に開放可能なように連結されている。本体ケース表面には電源スイッチ3、カバーオープンスイッチ4、FEEDスイッチ5が配置されている。また、ラベルプリンタの使用状況を把握するため、PAPER OUT LED、ERROR LED,POWER LEDの表示部6が配置されている。
カバー部2はピーラカバー21とロール紙カバー25からなる。
ピーラカバー21はロール紙カバー25の上縁に傾動可能に軸支されている。ピーラカバー21は図1のようにロール紙カバー25から前面方向に引き出し可能である。ピーラ仕様の用紙経路にラベル用紙を配置する場合は図1のようにラベル用紙を外部へ引き出し、次に図2のように用紙の部分のみを所定の経路に通す。最後に図3のようにピーラカバー21を閉じることで、ラベル8と用紙9とは別々の経路から外部に排出されることになる。
なお、ラベル仕様では排出口10からラベルが用紙に張り付いた状態で排出される。
このようにカバー部2はこれを開放したときにラベル用紙が操作可能となる。即ち、ピーラカバー21を開放することにより所望の用紙経路へラベル用紙を通すことができ、またロール紙カバー25を開放することによりロール紙の交換が可能となる。
【0012】
図4はラベルプリンタ内の構造及びそのブロック図を示す。
本体ケース1内には収納部12が形成され、この収納部12内にはロール状のラベル用紙11が収納される。ラベル用紙の先端を引っ張り出し、印字部へ向けてラベル用紙を搬送するローラ13を経て、印字部14により印字する。ラベル仕様であれば、排出口10からラベル用紙が排出される(経路A)。一方、ピーラ仕様ではラベルの剥離部15によりラベル用紙は折り曲げられ、用紙とラベルは分離し、用紙は用紙検出器17を経て排出口16から排出される(経路B)。剥離したラベルは排出口10から排出される。
また、ロール紙カバー25を開いた内部には印刷仕様切替えのためのスイッチ19が備えられており、ロール紙カバー25を開けなければスイッチ19を押せない構造となっている。
この実施例ではスイッチ19としてプッシュボタン式のものを採用したが、図5のようにスライドスイッチ191を採用することもできる。
【0013】
スイッチ19が押されると制御部26へ信号が送られて現在の印刷仕様が他の印刷仕様に切り替えられる。この実施例ではカバー開放検出部18によりカバー部2、特にロール紙カバー25が開状態であることをカバー開放検出部18が検出したとき、制御部26はラベルプリンタ1をオフラインの状態としてスイッチ19からの切り替え信号を有効にする。また、当該オフラインの状態においてスイッチ19により切り替え信号が入力されて印刷仕様が切り替えられるとその後の切り替え信号は無効となる。すなわち、カバー開放時の1度のスイッチ操作のみ有効であり、この1度目のスイッチ操作によって印刷仕様選択部は印刷仕様を切り替える。カバー開閉検出部18から閉状態の信号が制御部26へ入力されると、この状態はリセットされる。
なお、一回のスイッチ操作のみが有効となる場合の他に、スイッチを押すごとに印刷仕様を変更することも可能である。その場合は、表示部6のLEDを点灯又は消灯させることで印刷仕様を目視により判断できる。
【0014】
印刷仕様切替スイッチとして、図5に示すようにスライドスイッチ191を用いることもできる。このスライドスイッチ191の位置は制御部26における印刷仕様選択部27と同期しており、このスライドスイッチ191により印刷仕様を択一的に選択することができる。
このスライドスイッチ191に対向するカバー部には窓24を設けることが好ましい。これにより、スライドスイッチ191の位置、すなわち、ラベルプリンタの印刷仕様を目視により確認することができる。
このスライドスイッチ191もカバー部2が開状態となりラベルプリンタがオフラインのときのみ有効に動作するものとする。すなわち、スライドスイッチ191が変更されると制御部26へ信号が送られて現在の印刷仕様が他の印刷仕様に切り替えられる。
【0015】
上記ラベルプリンタは入力系(17、18、19、20)、制御部26、出力系(6、13、14)から構成され、制御部26によりラベルプリンタ全体を管理している。
用紙交換の際にはカバー部2を開けることにより、カバー開閉検出部18が開状態を検出してラベルプリンタをオフラインにするとともに、制御部26が用紙送り及び印字動作を停止させる。次に経路A又は経路Bにラベル用紙を配置し、カバー部2を閉じることで停止状態は解除される。この場合、経路Bに用紙を配置するピーラ仕様であれば、用紙検出器17により用紙の存在を検出し、それにより制御部26はピーラ仕様に応じた用紙送り及び印字動作を行うことになる。一方経路Aに用紙を配置したのであれば、用紙検出器17は用紙を検出しないため、制御部26はラベル仕様に応じた用紙送り及び印字動作を行う。
ラベルプリンタの動作中に印刷仕様を変更したい場合にはスイッチ19を押すことで変更する。このスイッチ19は本体ケース1内にあるため、カバー部2を開けた後でないとスイッチ19を押すことができない。これは、スイッチ19をカバー部2の内側に置くことでプリンタ動作中の間違いによるスイッチ押下を回避するためである。
また、ラベルプリンタには通信インターフェース20が備えられており、外部にあるホストコンピュータ21からの制御信号により制御部26を管理することができ、その制御信号に応じた用紙送り及び印字動作を行うこともできる。
本体ケース表面には表示部6が配置されており、制御部26が用紙の有無、エラーの表示、電源の投入状況を判断し表示する。エラー表示は、例えば、ホストコンピュータ21からの指令がラベル仕様であるにもかかわらず、ラベル用紙がピーラ仕様の用紙経路に存在するときに表示される。
【0016】
図6にラベルプリンタの制御系のブロック図を示す。
制御を行うCPU30はバス31を介して各々の処理を行う。バス31には読書き不可であるROM32及び読書き可能なRAM33が接続されており、印刷仕様変更による情報はRAM33に一時保存され、それをCPU30が読み出し、各処理部を制御することになる。
その他バス31を介して、印刷仕様に応じてローラー及び印字部の動作をさせるモータドライバー34及び印字ドライバー36、用紙の有無の情報を取り込むセンサー回路38、電源投入の有無、印刷仕様変更の判断、カバー開閉により用紙送り及び印字動作を停止又は動作させる機能を果たすスイッチ回路40が接続されており、これらはCPU30により制御される。また、表示部45は各処理部の状況を判断してCPU30により点灯又は消灯を行うことになる。
外部から通信インターフェース44へ接続することも可能であり、メモリへアクセスし、遠隔によるラベルプリンタの制御が可能である。
【0017】
図7(a)は用紙交換時のフローチャートを示す。動作中にカバーを開け(ステップ1)、ラベル用紙を収納部に設置する(ステップ2)。この場合は印刷仕様変更をする必要がないためスイッチを押さずにそのままカバーを閉じることで元の印刷仕様での動作を再開できる(ステップ3)。
【0018】
図7(b)はプリンタ動作中に印刷仕様変更を行う場合のフローチャートを示す。印刷仕様を変更する場合、カバーを開放する(ステップ11)。カバーを開放中にスイッチが押下されたとき(ステップ12)は、印刷仕様の変更を行う。すなわち、スイッチ押下前の印刷仕様がピーラ仕様のとき(ステップ13)は、RAM33内の印刷仕様情報がピーラ仕様からラベル仕様に変更される。その後、ステップ15においてラベル用紙がピーラ仕様に対応する経路Bからラベル仕様に対応する経路Aに差し替えることとなる。
次に、ステップ13においてスイッチ押下前の印刷仕様がピーラ仕様でなかったとき、すなわちラベル仕様であった場合は、RAM33内の印刷仕様情報がピーラ仕様からラベル仕様に変更される。その後、ステップ17においてラベル用紙がラベル仕様に対応する経路Aからピーラ仕様に対応する経路Bに差し替えられることとなる。
以上の作業が終了したらカバーを閉じることにより(ステップ18)、変更された印刷仕様での印刷が可能となる。
なお、ステップ12でスイッチを押下しなければ印刷仕様の変更はされず、カバーを閉じて印刷を再開することとなる。
【0019】
図8はエラー発生時(印刷仕様選択部とラベル用紙の配置が異なる場合)のフローチャートを示す。制御部には印刷仕様選択部としてメモリスイッチが備えられており、あらかじめ初期印刷仕様を設定することができる。そのメモリに書き込まれた印刷仕様と実際にラベル用紙を配置した印刷仕様とを比較し(ステップ31)、異なる場合はエラーとして(ステップ32)、表示部6に表示される。次に、カバーを開けて(ステップ33)、用紙を正しい用紙経路に配置し直し(ステップ34、35)、カバーを閉じて(ステップ37)動作を再開することができる。
他方、ラベル用紙の配置に間違いのない場合、すなわち、印刷仕様選択部により選択される印刷仕様を変更させる場合は、カバーを開け、スイッチを押す(ステップ36)。これによりメモリスイッチの内容が書き替えられる。その後、カバーを閉じて(ステップ37)動作を再開させることができる。なお、カバーが開いている間はスイッチは何回押してもメモリスイッチの切り替えは1回とする。カバーを閉じることにより印刷仕様が確定し、メモリスイッチに仕様を書き込む。このときに、初期値を変えたくない場合などは、必ずしもメモリスイッチに仕様を書き込む必要がない。
以上のように、エラーが表示されることにより使用者は、該当エラーの状態を簡易かつ、迅速に修復することができる。よって、ラベルの無駄を低減していくことができる。
【0020】
図9は他の実施例のラベルプリンタ101を示す。前の実施例と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施例のラベルプリンタは101はスライドスイッチ119を有する。カバー部102においてロール紙カバー125の上縁には窓124が形成され、カバー部102を閉じた状態でスライドスイッチ110の位置を目視により確認可能としている。他方、カバー部102を閉じた状態ではこのスライドスイッチ119は操作不能である。
この実施例では、ピーラカバー121を開放した後、ロール紙カバー125が開放可能となる。また、ロール紙カバー125の開放時にラベルプリンタ101自体がオフラインとなるよう制御される。
この実施例のラベルプリンタ101も前の実施例のラベルプリンタ1と同様に制御される。即ち、図11にスライドスイッチを用いた場合での印刷仕様変更を行うフローチャートを示す。図7(b)のフローチャートと同一のステップには同一の参照番号を付して其の説明を省略する。
図8のフローチャートではスライドスイッチの位置に応じて印刷仕様が決定される。スライドスイッチを用いることにより(ステップ22)、設定された印刷仕様が目視により確認可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1はラベルプリンタの外観図である。
【図2】図2はラベルプリンタの外観図である。
【図3】図3はラベルプリンタの外観図である。
【図4】図4はラベルプリンタ内の構造及びそのブロック図である。
【図5】図5は印刷仕様変更スイッチをスライドスイッチにした場合の外観図である。
【図6】図6はラベルプリンタの制御系のブロック図である。
【図7】図7は(a) 用紙交換時、(b)印刷仕様変更のフローチャートである。
【図8】図8はエラー発生時のフローチャートである。
【図9】図9は他の実施例のラベルプリンタの斜視図である。
【図10】図10は同じく他の実施例のラベルプリンタのカバー部を開放した状態を示す斜視図である。
【図11】図11はスライドスイッチにより印刷仕様変更のフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0022】
2、102 カバー部
19、119 印刷仕様変更用スイッチ
27 印刷仕様選択部
【技術分野】
【0001】
この発明はラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルプリンタによるラベルの発行は、印字したラベルをラベル用紙ごと連続して発行させるラベル仕様と、ラベル用紙上に貼付されているラベルに印字後、ラベル用紙を曲げることでラベルを一枚ずつ剥離させ発行口から発行させるピーラ仕様とがある。
【0003】
ラベル仕様でのラベル用紙のセッティングはラベル用紙の先端を引き出し印字部に最初のラベルを配置し印字を行い、ラベルを剥離することはせずラベル用紙ごと排出する。すなわち、印字した後はそのまま排出口から外部に排出する方法をとる。一方、ピーラ仕様ではラベル用紙の先端を引き出し、印字部に最初のラベルを配置し印字した後は、鋭角で構成される剥離部により、ラベルがラベル用紙からわずかに剥離するまで折り曲げる。その後、余分な用紙は折り曲げた方向に排出する。
このように、ラベル仕様とピーラ仕様とではラベル用紙を別の用紙経路へ通し排出することになるため、プリンタに求められる印刷仕様に応じた用紙経路でラベル用紙をセッティングすることになる。
【0004】
また、ラベル仕様とピーラ仕様とでは用紙送り動作も異なる。すなわち、ラベル仕様の場合はラベル用紙も連続的に送るが、ピーラ仕様では印字した後、ラベルをラベル用紙から剥離させる必要があるため、間欠的な用紙送りとなる。そのため、ラベル仕様かピーラ仕様かにより単に用紙経路を変更すればよいだけではなく、それに対応した用紙送り制御、更には用紙送りに同期した印刷制御も行う必要がある。
【0005】
ところで、従来ではラベル仕様又はピーラ仕様のいずれかの用紙経路にラベル用紙をセッティングしたとしてもプリンタはこれを認識することができなかった。そのため、例えば、ホストからプリンタへプリンタ指令を行う場合、送られてくる発行コマンドにいずれかの印刷仕様を特定するサブコマンドを付加することにより印刷仕様変換を行っていた。
【0006】
しかし、これでは現場で印刷仕様変換が必要となった場合にその対処が煩雑となる。そこで、ラベル仕様とピーラ仕様とではラベル用紙がセットされる用紙経路が異なることに着目し、いずれかの用紙経路におけるラベル用紙の有無を検出し、当該検出結果に基づいて印刷仕様判断を行う技術が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−295323
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の技術では使用者が間違ってラベル用紙を用紙経路に配置した場合も間違ったまま印字されてしまい、印字されてしまったラベルは無駄になる。そこで、使用時においても間違いが判明した時点で、使用者が任意に印刷仕様を変更できるラベルプリンタを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記課題を少なくとも一つを解決するためになされたものである。即ち、
この発明の第1の局面によれば、印刷仕様をピーラ仕様とラベル仕様とで選択可能なラベルプリンタであって、
実行する印刷仕様を選択する印刷仕様選択部と、
ピーラ仕様時にラベル用紙が挿入される第1の用紙経路及びラベル仕様時に前記ラベル用紙が挿入される第2の用紙経路と、
開閉自在なカバー部であって、その開放時に前記ラベルプリンタをオフラインとするとともに前記ラベル用紙を操作可能とするカバー部、とを備え、
印刷仕様切換え用スイッチであって、前記カバー部の開放時に操作可能となり、このスイッチを操作することにより前記印刷仕様選択部は印刷仕様を切り替えることができるラベルプリンタを提供する。
【発明の効果】
【0009】
このように構成されたラベルプリンタによれば、ラベルプリンタ動作時においても使用者の任意のタイミングで印刷仕様変更が可能となるため、使用者が間違ってラベル用紙を配置した場合でもすぐに印刷仕様変更ができ、ラベルの無駄な印刷を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施例のラベルプリンタを示す。
【0011】
図1は実施例のラベルプリンタの外観図を示す。
ラベルプリンタは本体ケース1の前面にカバー部2が設置され、本体ケース前方に開放可能なように連結されている。本体ケース表面には電源スイッチ3、カバーオープンスイッチ4、FEEDスイッチ5が配置されている。また、ラベルプリンタの使用状況を把握するため、PAPER OUT LED、ERROR LED,POWER LEDの表示部6が配置されている。
カバー部2はピーラカバー21とロール紙カバー25からなる。
ピーラカバー21はロール紙カバー25の上縁に傾動可能に軸支されている。ピーラカバー21は図1のようにロール紙カバー25から前面方向に引き出し可能である。ピーラ仕様の用紙経路にラベル用紙を配置する場合は図1のようにラベル用紙を外部へ引き出し、次に図2のように用紙の部分のみを所定の経路に通す。最後に図3のようにピーラカバー21を閉じることで、ラベル8と用紙9とは別々の経路から外部に排出されることになる。
なお、ラベル仕様では排出口10からラベルが用紙に張り付いた状態で排出される。
このようにカバー部2はこれを開放したときにラベル用紙が操作可能となる。即ち、ピーラカバー21を開放することにより所望の用紙経路へラベル用紙を通すことができ、またロール紙カバー25を開放することによりロール紙の交換が可能となる。
【0012】
図4はラベルプリンタ内の構造及びそのブロック図を示す。
本体ケース1内には収納部12が形成され、この収納部12内にはロール状のラベル用紙11が収納される。ラベル用紙の先端を引っ張り出し、印字部へ向けてラベル用紙を搬送するローラ13を経て、印字部14により印字する。ラベル仕様であれば、排出口10からラベル用紙が排出される(経路A)。一方、ピーラ仕様ではラベルの剥離部15によりラベル用紙は折り曲げられ、用紙とラベルは分離し、用紙は用紙検出器17を経て排出口16から排出される(経路B)。剥離したラベルは排出口10から排出される。
また、ロール紙カバー25を開いた内部には印刷仕様切替えのためのスイッチ19が備えられており、ロール紙カバー25を開けなければスイッチ19を押せない構造となっている。
この実施例ではスイッチ19としてプッシュボタン式のものを採用したが、図5のようにスライドスイッチ191を採用することもできる。
【0013】
スイッチ19が押されると制御部26へ信号が送られて現在の印刷仕様が他の印刷仕様に切り替えられる。この実施例ではカバー開放検出部18によりカバー部2、特にロール紙カバー25が開状態であることをカバー開放検出部18が検出したとき、制御部26はラベルプリンタ1をオフラインの状態としてスイッチ19からの切り替え信号を有効にする。また、当該オフラインの状態においてスイッチ19により切り替え信号が入力されて印刷仕様が切り替えられるとその後の切り替え信号は無効となる。すなわち、カバー開放時の1度のスイッチ操作のみ有効であり、この1度目のスイッチ操作によって印刷仕様選択部は印刷仕様を切り替える。カバー開閉検出部18から閉状態の信号が制御部26へ入力されると、この状態はリセットされる。
なお、一回のスイッチ操作のみが有効となる場合の他に、スイッチを押すごとに印刷仕様を変更することも可能である。その場合は、表示部6のLEDを点灯又は消灯させることで印刷仕様を目視により判断できる。
【0014】
印刷仕様切替スイッチとして、図5に示すようにスライドスイッチ191を用いることもできる。このスライドスイッチ191の位置は制御部26における印刷仕様選択部27と同期しており、このスライドスイッチ191により印刷仕様を択一的に選択することができる。
このスライドスイッチ191に対向するカバー部には窓24を設けることが好ましい。これにより、スライドスイッチ191の位置、すなわち、ラベルプリンタの印刷仕様を目視により確認することができる。
このスライドスイッチ191もカバー部2が開状態となりラベルプリンタがオフラインのときのみ有効に動作するものとする。すなわち、スライドスイッチ191が変更されると制御部26へ信号が送られて現在の印刷仕様が他の印刷仕様に切り替えられる。
【0015】
上記ラベルプリンタは入力系(17、18、19、20)、制御部26、出力系(6、13、14)から構成され、制御部26によりラベルプリンタ全体を管理している。
用紙交換の際にはカバー部2を開けることにより、カバー開閉検出部18が開状態を検出してラベルプリンタをオフラインにするとともに、制御部26が用紙送り及び印字動作を停止させる。次に経路A又は経路Bにラベル用紙を配置し、カバー部2を閉じることで停止状態は解除される。この場合、経路Bに用紙を配置するピーラ仕様であれば、用紙検出器17により用紙の存在を検出し、それにより制御部26はピーラ仕様に応じた用紙送り及び印字動作を行うことになる。一方経路Aに用紙を配置したのであれば、用紙検出器17は用紙を検出しないため、制御部26はラベル仕様に応じた用紙送り及び印字動作を行う。
ラベルプリンタの動作中に印刷仕様を変更したい場合にはスイッチ19を押すことで変更する。このスイッチ19は本体ケース1内にあるため、カバー部2を開けた後でないとスイッチ19を押すことができない。これは、スイッチ19をカバー部2の内側に置くことでプリンタ動作中の間違いによるスイッチ押下を回避するためである。
また、ラベルプリンタには通信インターフェース20が備えられており、外部にあるホストコンピュータ21からの制御信号により制御部26を管理することができ、その制御信号に応じた用紙送り及び印字動作を行うこともできる。
本体ケース表面には表示部6が配置されており、制御部26が用紙の有無、エラーの表示、電源の投入状況を判断し表示する。エラー表示は、例えば、ホストコンピュータ21からの指令がラベル仕様であるにもかかわらず、ラベル用紙がピーラ仕様の用紙経路に存在するときに表示される。
【0016】
図6にラベルプリンタの制御系のブロック図を示す。
制御を行うCPU30はバス31を介して各々の処理を行う。バス31には読書き不可であるROM32及び読書き可能なRAM33が接続されており、印刷仕様変更による情報はRAM33に一時保存され、それをCPU30が読み出し、各処理部を制御することになる。
その他バス31を介して、印刷仕様に応じてローラー及び印字部の動作をさせるモータドライバー34及び印字ドライバー36、用紙の有無の情報を取り込むセンサー回路38、電源投入の有無、印刷仕様変更の判断、カバー開閉により用紙送り及び印字動作を停止又は動作させる機能を果たすスイッチ回路40が接続されており、これらはCPU30により制御される。また、表示部45は各処理部の状況を判断してCPU30により点灯又は消灯を行うことになる。
外部から通信インターフェース44へ接続することも可能であり、メモリへアクセスし、遠隔によるラベルプリンタの制御が可能である。
【0017】
図7(a)は用紙交換時のフローチャートを示す。動作中にカバーを開け(ステップ1)、ラベル用紙を収納部に設置する(ステップ2)。この場合は印刷仕様変更をする必要がないためスイッチを押さずにそのままカバーを閉じることで元の印刷仕様での動作を再開できる(ステップ3)。
【0018】
図7(b)はプリンタ動作中に印刷仕様変更を行う場合のフローチャートを示す。印刷仕様を変更する場合、カバーを開放する(ステップ11)。カバーを開放中にスイッチが押下されたとき(ステップ12)は、印刷仕様の変更を行う。すなわち、スイッチ押下前の印刷仕様がピーラ仕様のとき(ステップ13)は、RAM33内の印刷仕様情報がピーラ仕様からラベル仕様に変更される。その後、ステップ15においてラベル用紙がピーラ仕様に対応する経路Bからラベル仕様に対応する経路Aに差し替えることとなる。
次に、ステップ13においてスイッチ押下前の印刷仕様がピーラ仕様でなかったとき、すなわちラベル仕様であった場合は、RAM33内の印刷仕様情報がピーラ仕様からラベル仕様に変更される。その後、ステップ17においてラベル用紙がラベル仕様に対応する経路Aからピーラ仕様に対応する経路Bに差し替えられることとなる。
以上の作業が終了したらカバーを閉じることにより(ステップ18)、変更された印刷仕様での印刷が可能となる。
なお、ステップ12でスイッチを押下しなければ印刷仕様の変更はされず、カバーを閉じて印刷を再開することとなる。
【0019】
図8はエラー発生時(印刷仕様選択部とラベル用紙の配置が異なる場合)のフローチャートを示す。制御部には印刷仕様選択部としてメモリスイッチが備えられており、あらかじめ初期印刷仕様を設定することができる。そのメモリに書き込まれた印刷仕様と実際にラベル用紙を配置した印刷仕様とを比較し(ステップ31)、異なる場合はエラーとして(ステップ32)、表示部6に表示される。次に、カバーを開けて(ステップ33)、用紙を正しい用紙経路に配置し直し(ステップ34、35)、カバーを閉じて(ステップ37)動作を再開することができる。
他方、ラベル用紙の配置に間違いのない場合、すなわち、印刷仕様選択部により選択される印刷仕様を変更させる場合は、カバーを開け、スイッチを押す(ステップ36)。これによりメモリスイッチの内容が書き替えられる。その後、カバーを閉じて(ステップ37)動作を再開させることができる。なお、カバーが開いている間はスイッチは何回押してもメモリスイッチの切り替えは1回とする。カバーを閉じることにより印刷仕様が確定し、メモリスイッチに仕様を書き込む。このときに、初期値を変えたくない場合などは、必ずしもメモリスイッチに仕様を書き込む必要がない。
以上のように、エラーが表示されることにより使用者は、該当エラーの状態を簡易かつ、迅速に修復することができる。よって、ラベルの無駄を低減していくことができる。
【0020】
図9は他の実施例のラベルプリンタ101を示す。前の実施例と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施例のラベルプリンタは101はスライドスイッチ119を有する。カバー部102においてロール紙カバー125の上縁には窓124が形成され、カバー部102を閉じた状態でスライドスイッチ110の位置を目視により確認可能としている。他方、カバー部102を閉じた状態ではこのスライドスイッチ119は操作不能である。
この実施例では、ピーラカバー121を開放した後、ロール紙カバー125が開放可能となる。また、ロール紙カバー125の開放時にラベルプリンタ101自体がオフラインとなるよう制御される。
この実施例のラベルプリンタ101も前の実施例のラベルプリンタ1と同様に制御される。即ち、図11にスライドスイッチを用いた場合での印刷仕様変更を行うフローチャートを示す。図7(b)のフローチャートと同一のステップには同一の参照番号を付して其の説明を省略する。
図8のフローチャートではスライドスイッチの位置に応じて印刷仕様が決定される。スライドスイッチを用いることにより(ステップ22)、設定された印刷仕様が目視により確認可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1はラベルプリンタの外観図である。
【図2】図2はラベルプリンタの外観図である。
【図3】図3はラベルプリンタの外観図である。
【図4】図4はラベルプリンタ内の構造及びそのブロック図である。
【図5】図5は印刷仕様変更スイッチをスライドスイッチにした場合の外観図である。
【図6】図6はラベルプリンタの制御系のブロック図である。
【図7】図7は(a) 用紙交換時、(b)印刷仕様変更のフローチャートである。
【図8】図8はエラー発生時のフローチャートである。
【図9】図9は他の実施例のラベルプリンタの斜視図である。
【図10】図10は同じく他の実施例のラベルプリンタのカバー部を開放した状態を示す斜視図である。
【図11】図11はスライドスイッチにより印刷仕様変更のフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0022】
2、102 カバー部
19、119 印刷仕様変更用スイッチ
27 印刷仕様選択部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷仕様をピーラ仕様とラベル仕様とで選択可能なラベルプリンタであって、
実行する印刷仕様を選択する印刷仕様選択部と、
ピーラ仕様時にラベル用紙が挿入される第1の用紙経路及びラベル仕様時に前記ラベル用紙が挿入される第2の用紙経路と、
開閉自在なカバー部であって、その開放時に前記ラベルプリンタをオフラインとするとともに前記ラベル用紙を操作可能とするカバー部、とを備え、
印刷仕様切換え用スイッチであって、前記カバー部の開放時に操作可能となり、このスイッチを操作することにより前記印刷仕様選択部は印刷仕様を切り替える、ことを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記スイッチはスライド式であり、該スイッチの位置が外部より目視可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記スイッチはプッシュボタン式であり、前記カバーの開放時の1度目の操作のみ有効であり、この1度目の操作によって前記印刷仕様選択部は印刷仕様を切り替える、ことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記印刷仕様選択部により選択されている印刷仕様と前記ラベル用紙が通されている用紙経路とが対応していないとき、エラー表示がなされる、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラベルプリンタ。
【請求項1】
印刷仕様をピーラ仕様とラベル仕様とで選択可能なラベルプリンタであって、
実行する印刷仕様を選択する印刷仕様選択部と、
ピーラ仕様時にラベル用紙が挿入される第1の用紙経路及びラベル仕様時に前記ラベル用紙が挿入される第2の用紙経路と、
開閉自在なカバー部であって、その開放時に前記ラベルプリンタをオフラインとするとともに前記ラベル用紙を操作可能とするカバー部、とを備え、
印刷仕様切換え用スイッチであって、前記カバー部の開放時に操作可能となり、このスイッチを操作することにより前記印刷仕様選択部は印刷仕様を切り替える、ことを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記スイッチはスライド式であり、該スイッチの位置が外部より目視可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記スイッチはプッシュボタン式であり、前記カバーの開放時の1度目の操作のみ有効であり、この1度目の操作によって前記印刷仕様選択部は印刷仕様を切り替える、ことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記印刷仕様選択部により選択されている印刷仕様と前記ラベル用紙が通されている用紙経路とが対応していないとき、エラー表示がなされる、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラベルプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−21439(P2006−21439A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201880(P2004−201880)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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