説明

ラベルプリンタ

【課題】ラベル用紙をバックフィードさせても、ラベルがサーマルヘッドの角に引っ掛ることなく、正確な印字位置から印字を行うラベルプリンタのサーマルヘッド機構を提供することにある。
【解決手段】印字部を有し、ラベルに印字を行うサーマルヘッドと、長尺状の台紙に複数の前記ラベルが貼着されたラベル用紙を前記サーマルヘッドでラベルに印字を行う正方向及び正方向と反対の逆方向に搬送するラベル用紙搬送手段と、少なくとも前記ラベル用紙搬送手段によりラベル用紙が逆方向に搬送されているときに、前記印字部より突出した位置にあり、前記ラベル用紙を前記突出した位置から前記印字部に向けて搬送するガイド部材と、を備えることを特徴とするラベルプリンタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルに所定の印字をさせるラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、長尺状の台紙に等間隔に貼着されたラベル上にサーマルヘッドを用いて各商品の情報の印字を行い、ラベルを発行するラベルプリンタが用いられている。このようなラベルプリンタでは、ラベル剥離部によって台紙を急激に屈曲させることで、印字後のラベルを台紙から剥離し、発行するようにしている。屈曲させた台紙は台紙巻取軸で巻き取られる。一方同じラベルプリンタで、台紙を台紙巻取軸に巻き取ることをなくすことで剥離部により、剥離せずにラベル用紙(ラベル+台紙)を発行する方法も知られている。
【0003】
このようなラベルプリンタでは、ラベルプリンタのサーマルヘッドはラベルの搬送経路に臨ませて設けられている。そしてラベルを台紙に巻き取ることなく印字する場合は、一定方向にラベルを搬送(正方向搬送)しながら複数毎のラベルを連続印字し、発行する。しかしながら、最後のラベルの印字を行った後該ラベルを停止位置まで搬送すると、台紙に貼着された次のラベル(未印字ラベル)が印字を行うサーマルヘッドの印字部402を完全に通過してしまうことがある。そのため、未印字のラベルの先端から印字したいとき、印字部402とラベルの先端位置が一致するように台紙及びラベルがバックフィード(逆方向搬送)することになる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図9は従来のサーマルヘッドを示す概略的な断面図である。サーマルヘッド125は、印字の制御を行うヘッド基板400、自身が発熱することでラベルの表面に熱を印加し、ラベルの表面に文字や図形を印字する印字部402及びこれらを支持固定するヘッドブラケット403を備える。ラベル用紙(ラベル+台紙)112を搬送するプラテン118は印字部402に対向した位置に設けられており、サーマルヘッド125がプラテン118に付勢されていることから、プラテン118の回転によりラベル用紙112が搬送される。
【0005】
このような状態でラベルを正方向に搬送して印字する場合は、プラテンを正転させる。一方、ラベルの印字を行うべき先端位置が印字を行う印字部402を通過してしまい、逆方向に搬送させる場合は、プラテン108を逆転させる。
【0006】
上述したラベルプリンタのサーマルヘッド125の印字部402は、ラベルに的確に接触して効率よく熱を印加できるよう、周りより多少突出して形成されている。また、ラベルは台紙に並ぶように貼着されており、台紙から上方にわずかに突出している。そのため、バックフィードの際にサーマルヘッドの下端部に位置するヘッド基板の角406にラベルの端が引っ掛ってしまうことがある。
【0007】
特にラベル用紙側に向かったまき癖が付いている場合は、引っ掛りやすい。サーマルヘッドの下端部に位置するヘッド基板の角406にラベルが引っ掛ると、ラベル用紙112はバックフィードすることが不可能となり、印字位置不良を起こしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ラベル用紙112を逆搬送させても、ラベルがサーマルヘッドの角に引っ掛ることなく、正確な印字位置から印字を行うラベルプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のラベルプリンタは、長尺状の台紙に列状に貼着された複数のラベルに対して順次印字を行なうラベルプリンタであって、印字部と、前記台紙に前記複数のラベルが貼着されたラベル用紙を正方向及び正方向と反対の逆方向に搬送するラベル用紙搬送手段と、前記正方向の搬送方向において前記印字部よりも下流に設けられ、前記正方向の搬送方向において前記印字部よりも下流に位置した前記ラベルが前記ラベル用紙搬送手段により前記逆方向の搬送方向に搬送されているときに、前記印字部より突出した位置又は前記印字部の端面と同一の高さの位置で前記ラベルに当接するガイド部材と、前記ガイド部材を回動可能に支持するバネと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上記述したように本発明のラベルプリンタによれば、印字部とラベルの端が一致するように台紙及びラベルをバックフィードさせる際、ラベルの端が、サーマルヘッドの角などに引っ掛る事を抑制し、正常な位置までバックフィードすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の実施の一形態にかかるラベルプリンタの概観を示す斜視図である。
【図2】プリンタユニットがハウジングに収納された状態のラベルプリンタの概略的な断面図である。
【図3】プリンタユニットがハウジングから引き出された状態を示す斜視図である。
【図4】本実施形態におけるサーマルヘッド付近を拡大して示す概略的な断面図である。
【図5】本実施形態におけるサーマルヘッド付近を拡大して示す概略的な斜視図である。
【図6】本実施形態においてバネをガイド部材に用い、正転させた時の概略的な断面図である。
【図7】本実施形態においてバネをガイド部材に用い、バックフィードさせた時の概略的な断面図である。
【図8】本実施形態においてバネ及び複数箇所に突起物を設けたガイド部材を用いた時の概略的な斜視図である。
【図9】従来機構のバックフィード時のサーマルヘッド付近を拡大して示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるラベルプリンタの最良な実施の形態を詳細に説明する。
(第一の実施形態)
【0013】
図1は、本実施形態の実施の一形態にかかるラベルプリンタ100の外観を示す斜視図である。ラベルプリンタ100は、略直方体形状のハウジング102を有する。このハウジング102の上面には、テンキー等の各種のキーを含んで構成される操作パネル103と、液晶ディスプレイ104とが設けられている。ハウジング102の正面側には開口部が形成されており、その内部には、二つのプリンタユニット105、106が横並びに、収納されている。いずれのプリンタユニット105、106も、正面方向に引出収納可能にハウジング102に支持されて取り付けられている。
【0014】
いずれのプリンタユニット105、106にも、その正面にはフロントパネル105a、106aが取り付けられている。フロントパネル105a、106aの上部には、ラベルを発行する発行口105b、106bが開口されている。フロントパネル105a、106aの下部には、把持部105c、106cが形成されている。作業者は把持部105c、106cを把持してプリンタユニット105、106をハウジング102から引き出すことができる。
【0015】
図2は、プリンタユニット105がハウジング102に収納された状態のラベルプリンタ100の概略的な断面図である。図2では、二つのプリンタユニット105、106のうち、ラベルプリンタ100の正面側から見て右側に位置する一方のプリンタユニット105について示している。左側に位置する他方のプリンタユニット106は、図2に示すプリンタユニット105と左右対称となる構造を有している。以下、右側に位置するプリンタユニット105についてのみ説明し、左側に位置するプリンタユニット106については、説明を省略する。
【0016】
本実施の形態において、プリンタユニット105にはラベル用紙112が、ロール状に巻回されて装填されている。ラベル用紙112は、複数枚のラベル113を長尺状の台紙114に列状に貼着している。ラベル113は、1列で台紙114に貼着しているが、複数列であっても良い。これを芯のような構成を持つ紙管115に巻き付けてロール状に巻回したものである。ラベル113には、加熱によって発色する感熱ラベルが用いられている。プリンタユニット105は、用紙保持軸117とプラテン118を備える。用紙保持軸117は、紙管115を挿入させてラベル用紙112を保持する。
【0017】
プリンタユニット105では、後述するプラテン118によって、ラベル用紙112は案内経路122に沿って引き出されて搬送される。案内経路122の途中には、プラテン118、サーマルヘッド125、ラベル剥離部121などが配置されている。最終的には、台紙巻取軸119が、ラベル用紙112が有する台紙114を巻き取る。用紙保持軸117、プラテン118、台紙巻取軸119はいずれも、プリンタユニット105が有する側壁120から突出して片持ち状態に維持されている。この用紙保持軸117とプラテン118と、後述するラベル剥離部121と台紙巻取軸119によって、プリンタユニット105には、ラベル用紙112の案内経路122が形成されている。
【0018】
ラベル剥離部121は、案内経路122におけるプラテンローラ118の用紙搬送方向下流側近傍に配置され、後述するサーマルヘッド125で印字されたラベル113を台紙114から剥離する。印字されたラベル113及び台紙114はほぼ水平方向に搬送されてラベル剥離部121に達する。このラベル剥離部121は、発行口105b付近に設けられ、ラベル用紙112の台紙114のみをラベル113から離反させる方向に鋭角に下方に屈曲させる。このラベル剥離部121より印字済みのラベル113は台紙114から剥離されて、発行口105bから発行され、台紙114は下方に屈曲されて台紙巻取軸119に導かれる。
【0019】
用紙保持軸117は、上述のようにプリンタユニット105の側壁120に片持ち状態で水平に維持され、ラベル用紙112の紙管115に挿入した状態でラベル用紙112を保持する。すなわち、側壁120は、ラベル用紙112の一方の端面である第1端面112aを位置決めし、印字の基準面として機能する位置決め部である。また、用紙保持軸117は、この基準面となる側壁120による端面基準でロール状に巻回されたラベル用紙112を回転可能に保持する用紙保持部として機能する。
【0020】
紙管115を挿入して用紙保持軸117に保持されたラベル用紙112は、側壁120側(図2における奥側)と、側壁120と反対側(図2における手前側)の第2端面112bを、側壁120側に付勢する支持部材302とで挟持されている。これにより、ラベル用紙112の幅方向(用紙保持軸117の軸心方向)に押し込まれる。一方、ラベル用紙112の第1端面112aは、印字の基準面となる側壁120に当接する。このようにして、ラベル用紙112が側壁120と支持部材302とに挟まれることで、案内経路122に沿って引き出される際に幅方向に動こうとするロール紙の動きが規制される。
【0021】
プラテン118は、案内経路122を挟んで後述するサーマルヘッド125に対向して下側に配置されている。このプラテン118は、プラテン用モータ204からギア列205を介して駆動力を受けて回転し、案内経路122上のラベル用紙112に搬送力を付与する。プラテン用モータ204が一方向に回転したときは、プラテン118の正回転により、ラベル用紙112は用紙保持軸117から引き出され、サーマルヘッド125でラベルを印字して発行する正方向に搬送される。一方、プラテン用モータ204が前記一方向とは逆方向に回転したときは、プラテン118の逆回転によりラベル用紙112を発行口105bからサーマルヘッド125に引き戻す逆方向に搬送される。
【0022】
ハウジング102の内側下方には、一対のレール111が設けられている。レール111は、ハウジング102の正面側に設けられた開口部から奥側に向けて水平に延びており、プリンタユニット105をスライド自在に支持している。
【0023】
ハウジング102の内側上方には、サーマルヘッド125が配置されている。このサーマルヘッド125は、ライン型のサーマルヘッドで、プリンタユニット105がハウジング102に収納された状態においてプラテン118と対向する位置に取り付けられており、ラベル113に印字する時にはプラテン118に付勢される。
【0024】
図3は、プリンタユニット105がハウジング102から引き出された状態を示す斜視図である。プリンタユニット105の骨格は、前述した側壁120を有する側部フレーム130と、底部をなす底部フレーム131とを中心に構成されている。底部フレーム131の一方の側部には、側部フレーム130が固定的に取り付けられており、他方の側部は開放されている。そのため、プリンタユニット105は、正面側から見て略L字形状をなしている。側部フレーム130の側壁120は、底部フレーム131に対して平行に、用紙保持軸117、プラテンローラ118、ラベル剥離部121および台紙巻取軸119を片持ち状態に支持している。底部フレーム131の両側部分は、レール111を介して、ハウジング102にスライド自在に支持されている。
【0025】
支持部材302は、ロール紙保持機構301の一部をなすアーム主部303の先端に取り付けられており、回動軸307を中心にアーム主部303が回動しラベル用紙112の第2端面112bに干渉することによってラベル用紙112を挟持している。
【0026】
上記説明で、印字済みのラベル113は台紙114から剥離されて、発行口105bから発行され、台紙114は屈曲されて台紙巻取軸119に導かれるラベル剥離部121の存在について説明した。しかしながら、上記実施の最適な形態は、ラベル剥離部121と台紙巻取軸119によってラベル用紙112からラベル113と台紙114とを分離・剥離するのではなく、印字されたラベル113が貼着されたままのラベル用紙112をそのままの状態で、発行口105bから排出させるようにしている。
【0027】
次に、サーマルヘッド125について詳述する。図4は、本実施形態におけるサーマルヘッド付近を拡大して示す概略的な断面図である。サーマルヘッド125は、印字の制御を行うヘッド基板400、熱を放熱する放熱板401、ラベル113に熱を印加して印字を行うライン上の発熱体を備えた印字部402、及びこれらを支持固定するヘッドブラケット403で構成される。
【0028】
従来技術と異なるのは、ヘッドブラケット403にガイド部材404を固定的に設けることにより、逆方向への搬送時、ラベル用紙112を下方向に屈曲させる点である。または、ガイド部材404の下端面が印字部402の下端面と同一の高さに位置させる点である(図示せず)。ガイド部材404を用いて、ラベル用紙112を下方向に屈曲させなくとも、ガイド部材404の下端面が印字部402の下端面と同一の高さに位置させることで本発明の効果は得られる。
【0029】
印字部402はヘッド基板400に併設して設けられ、ヘッド基板400によって制御されて発熱し、その熱をラベル113に印加することにより、ラベル113の印刷箇所を黒色とし、印字する。印字部402は、プラテン118と接触する位置に設けられている。したがって、印字部402で発熱した熱を効率よくラベル113に印加することができる。この印字部402は、放熱板401の下方に設けられている。また印字部402は、ヘッド基板400と面一に設けられているが、ヘッド基板400よりさらにプラテン118側に突出させてもよい。このようにすることより印字部402で発生した熱が効率よくラベル113に伝えることが可能となる。ヘッドブラケット403はヘッド基板400及び放熱板401を支持固定している。
【0030】
続いて、ガイド部材404について詳述する。ガイド部材404はラベル剥離部121近傍のヘッドブラケット403に固定的に設けられており、ラベル用紙112の略幅方向に1枚の板状部材で構成されている。このガイド部材404は、印字部402より下方に突出している、または、ガイド部材404の下端面と印字部402の下端面と同一の高さに位置する。ガイド部材404を下方へ突出させる場合、突出するのは数ミリ程度が好ましい。図45は、本実施形態におけるサーマルヘッド付近を拡大して示す概略的な斜視図である。ガイド部材404の表面は、摩擦が少なくなめらかな表面であることが好ましい。例えば摩擦が少ない材料として、POM(ポリアセタール)が挙げられる。また、金属表面にテフロン(登録商標)などのコーティングを施しても良い。
【0031】
ラベル113A及びラベル113Bは印字されたラベルであり、ラベル113Cは未印字のラベルである。未印字のラベル113Cにおいて、印字を行うべき先端位置113C−aは、印字部402を通過している。ラベル113Cの端から印刷したいとき、この印字を行うべき先端位置113C−aを印字部402の下端に来るよう、逆方向に搬送させる。
【0032】
以下、図4、図5のように、ガイド部材404が下方に突出させる場合の説明をする。ガイド部材404が下方に突出している場合、ラベル剥離部121と印字部402間のラベル用紙112は下方に屈曲した状態となっている。
【0033】
ラベル用紙112を正搬送させたときのラベル113の動作について詳述する。長尺状の台紙114に列状に複数枚のラベル113を貼付けたラベル用紙112は、紙管115にロール状に巻きつけられている。正搬送すると、プラテン用モータ204が正転方向に作動し、ギア列205がプラテン用モータ204の動きに伴い、プラテン118が正回転する。プラテン118の正回転に伴い、案内経路122に沿ってラベル用紙112が正方向へ搬送される。ラベル用紙112が印字位置までほぼ水平方向に搬送されると、印字部402の発熱体からの熱により、ラベル113に印字される。
【0034】
印字されたラベル用紙112は、発行口105bに向かって搬送される。このとき、図4に示したガイド部材404が下方に突出していることにより、ラベル用紙112は下方に屈曲した状態で搬送される。下方へ屈曲したラベル用紙112は発行部105bから排出される。この場合、印字されたラベル113を発行口105bまで搬送すると、台紙114に貼着された次の未印字ラベルが印字部を完全に通過してしまうことがある。よって、未印字ラベルの先端から印字したいとき、印字部402と未印字のラベル113の先端位置が一致するよう、以下に詳述する逆搬送が必要になる。
【0035】
ラベル用紙112を逆搬送させたときのラベル113の動きについて詳述する。逆搬送すると、プラテン用モータ204が正転時とは逆に作動し、ギア列205がプラテン用モータ204の動きに伴い、プラテン118が逆回転する。プラテン118の逆回転に伴い、紙管115にロール状に巻きつけられたラベル用紙112が印字位置に戻るまで、逆方向へ搬送される。
【0036】
逆方向に搬送されると、印字部402を完全に通過してしまった未印字ラベルが貼着されたラベル用紙112は、逆搬送の際、下方に突出しているガイド部材404により下方に屈曲する。屈曲したラベル用紙112は、印字部とラベル113の先端位置が一致する位置まで、ヘッド基板の角406に引っ掛ることなく逆搬送される。印字部402とラベル113の先端位置が一致すると、ラベル用紙112は、印字が再開され、正方向へ搬送される。
【0037】
図4に示すように、本実施形態は、正転方向への搬送時、ラベル用紙112は用紙保持軸117から引き出され、斜め下方向からサーマルヘッド125とプラテン118の間に搬送される。そのため、ラベル用紙112はロールに多少は引っ張られており、サーマルヘッド125とラベル用紙112の接触時に引っ掛る恐れはない。よって、課題は、逆方向への搬送時のサーマルヘッドの角406とラベル用紙112の引っ掛りを防止することを考えれば良い。
【0038】
上記実施形態では、ガイド部材404は印字部402より下方向に突出した形状をとっているが、これに限らない。例えば、図4を上下逆転させて、プラテン118がサーマルヘッド125の上部に位置し、ガイド部材404が上方向に突出した形態をとっても良い。
【0039】
上記実施形態では、ガイド部材404は、ラベル用紙112の略幅方向に1枚の板状部材で構成されているが、これに限らない。例えば、1枚の板状部材ではなく、複数の突起物をガイド部材404としても良い。また、下方に突出させたガイド部材404は回動可能であっても良い。
(第二の実施形態)
【0040】
図6は本実施形態においてバネ405をガイド部材404に用い、正方向に搬送させた時の概略的な断面図である。それに対し、図7は逆方向に搬送させた時の概略的な断面図である。第二の実施形態では、ガイド部材404が下方に突出、及び回動可能とし、ガイド部材404にバネ405を用いて、積極的にラベル用紙112を屈曲させる例を示している。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0041】
ガイド部材404を回動可能としたとき、ガイド部材404の自重でラベル用紙112を屈曲させることが可能であると考えられる。しかし、正転時は、ガイド部材404を退避位置に位置させ、逆転時は、ガイド部材404の突出により、ラベル用紙112を屈曲させ、安定した可動を実現させるため、バネ405を用いる。
【0042】
バネ405のメカニズムを説明する。ここでは、トーションバネを想定した説明をする。バネ405は、力を加えられていなければ、伸びた状態であり、力が加えられれば、屈曲する。正転時、バネ405は、ラベル用紙112の発行により、ラベル用紙112にガイド部材404が押し出され、力が加えられ、バネ405は、屈曲する。逆転時、ラベル用紙112が逆向きに搬送されるため、正転時に屈曲していたバネ405は、元の状態、すなわち伸びた状態となり、ガイド部材404は突出する。
【0043】
第二の実施形態では、ヘッドブラケット403とガイド部材404の接する面の両側にバネ405を設ける。図6ではトーションバネを用いているが、板バネ等でも良い。
【0044】
正方向への搬送中、すなわち印字中は、ラベル113に正確に美しく印字されるよう、印字部402付近が屈曲しない方が良い。そのため、図6のように印字中はガイド部材404は下方向に突出せず、退避位置に位置する方が良い。すなわち、正転時は、印刷に伴うラベル用紙112の排出により、ガイド部材404は押し出される。さらに、ガイド部材404がバネ405によって減勢され、突出位置から退避位置に回動する。よって、ラベル用紙112は下方向に屈曲することなく、ラベル剥離部121を介して発行される。
【0045】
図7は、本実施形態においてバネ405をガイド部材404に用い、バックフィードさせた時の概略的な断面図である。
【0046】
逆方向への搬送中、すなわちラベル用紙のバックフィード中は、スムーズにラベル用紙112を印字位置まで搬送させるために、ラベル用紙112を下方向に屈折させたい。そのため、図7のように、ガイド部材404は印字部402に比べて、下方向の突出位置に位置した方が良い。逆転時は、ラベル用紙112が逆方向に搬送されるが、それに伴いガイド部材404は印字中と逆方向に力が加えられる。ガイド部材404は逆方向に力が加えられると、バネ405によって付勢され、下方向に突出する。ガイド部材404が下方向に突出すると、ラベル用紙112は下方向に屈曲し、ヘッド基板の角406に引っ掛ることなく、印字位置まで搬送される。
【0047】
ガイド部材404の両側にバネ405を設けているが、ラベル用紙112を屈曲させることが可能ならば、バネ405はガイド部材404の両側ではなく、片側等でも構わない。
【0048】
図8は、本実施形態においてバネ405及び複数箇所に突起物を設けたガイド部材404を用いた時の概略的な斜視図である。図6及び図7では一枚の板の両側にバネ405を設けた実施形態であるが、図8のようにガイド部材404としての突起物が複数備えられ、各突起物の両側にバネ405が備えられていても良い。
【0049】
突起を複数個設けた時、ラベル用紙112の幅によって可動させる突起の個数を変更するように制御してもよい。例えば、図8において、ラベル用紙112の幅が、サーマルヘッド125のガイド部材404が設けられた面の幅の半分未満の場合、ガイド部材404は1つ可動する。ラベル用紙112の幅が、サーマルヘッド125のガイド部材404が設けられた面の幅の半分より幅広、かつ全面幅未満の場合、ガイド部材404は2つ可動する。ラベル用紙112の幅が、サーマルヘッド125のガイド部材404が設けられた面の全面幅の場合、ガイド部材404は3つすべて可動する。
【0050】
上記実施形態の図8では、ガイド部材404として、突起物を3つ設けているが、これに限らず、突起物はいくつ設けても良い。また、図8の実施形態は、第一の実施形態及び第二の実施形態のどちらの形態をとっても良い。
【符号の説明】
【0051】
100…ラベルプリンタ
105b…発行口
112…ラベル用紙
113…ラベル
114…台紙
118…プラテン
119…台紙巻取軸
121…ラベル剥離部
122…案内経路
125…サーマルヘッド
126…印字部
204…プラテン用モータ
205…ギア列
400…ヘッド基板
401…放熱板
402…印字部(発熱体)
403…ヘッドブラケット
404…ガイド部材
405…バネ
406…サーマルヘッドの角
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2002-255139公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の台紙に列状に貼着された複数のラベルに対して順次印字を行なうラベルプリン
タであって、
印字部と、
前記台紙に前記複数のラベルが貼着されたラベル用紙を正方向及び正方向と反対の逆方
向に搬送するラベル用紙搬送手段と、
前記正方向の搬送方向において前記印字部よりも下流に設けられ、前記正方向の搬送方
向において前記印字部よりも下流に位置した前記ラベルが前記ラベル用紙搬送手段により
前記逆方向の搬送方向に搬送されているときに、前記印字部より突出した位置又は前記印
字部の端面と同一の高さの位置で前記ラベルに当接するガイド部材と、
前記ガイド部材を回動可能に支持するバネと、
を備えたラベルプリンタ。
【請求項2】
前記正方向の搬送方向において、前記バネは前記ガイド部材を退避位置に退避させ、前記逆方向の搬送方向において、前記バネは前記ガイド部材を前記突出位置に位置するように付勢する、請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記バネは前記ガイド部材の長手方向両端部のうち少なくとも一端に設けられる請求項2に記載のラベルプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−49284(P2013−49284A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250257(P2012−250257)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2009−263286(P2009−263286)の分割
【原出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】