説明

ラベル剥離機構、ラベル剥離機構の制御方法およびラベル印刷装置

【課題】ラベル紙の先端側の1枚目のラベルから所定の処理を行って剥離することが可能で、かつ、剥離されたラベルが構成部品に粘着するのを防止することが可能なラベル剥離機構を提案する。
【解決手段】ラベル剥離機構6は、複数のラベル3と複数のラベル3が所定間隔で貼り付けられる台紙2とを有するラベル紙7を、ラベル紙7が通過する紙経路8の上流側および下流側へ搬送する搬送機構13と、紙経路8を所定の折り曲げ位置Pで折り曲げる折り曲げ機構14と、を有している。このラベル剥離機構6では、折り曲げ機構14は、搬送機構13が紙経路8の下流側へラベル紙7を所定量搬送すると、紙経路8を折り曲げ、搬送機構13は、折り曲げ機構14が紙経路8を折り曲げると、紙経路8の上流側へラベル紙7を搬送して、台紙2からラベル3を剥離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙からラベルを剥離するラベル剥離機構、および、ラベル剥離機構の制御方法に関する。また、本発明は、かかるラベル剥離機構、または、かかるラベル剥離機構の制御方法で制御されるラベル剥離機構を有するラベル印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の台紙に複数のラベルが貼り付けられたラベル紙からラベルを剥離するラベル剥離機構を備えるラベルプリンターが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のラベルプリンターは、ラベル紙を供給する供給部と、ラベルが剥離された後の台紙を巻き取る巻取り軸とを備えている。供給部と巻取り軸との間には、ラベルに印刷を行うサーマルヘッドと、台紙からラベルを剥離するための剥離用転向部材とが、ラベル紙が通過する紙経路の上流側からこの順番で配置されている。紙経路は、剥離用転向部材を境にして、鋭角に折り曲げられている。供給部から供給されたラベル紙は、紙経路の下流側へ搬送され、サーマルヘッドで印刷が行われた後のラベルは、剥離用転向部材で台紙から剥離される。すなわち、印刷後のラベルは、その先端側から剥離される。また、ラベルが剥離された後の台紙は巻取り軸に巻き取られる。
【0003】
特許文献1に記載のラベルプリンターのように、紙経路の下流側へラベル紙を搬送し、剥離用転向部材でラベル紙が折れ曲がるようにラベル紙の搬送方向を変えることで、台紙からラベルを剥離する場合には、ラベルを適切に剥離するため、また、剥離用転向部材よりも紙経路の下流側でラベル紙を適切に搬送するため、剥離用転向部材よりも紙経路の下流側にラベル紙を搬送するための機構が必要となる。特許文献1に記載のラベルプリンターでは、剥離用転向部材よりも紙経路の下流側に剥離用ローラーと巻取り軸とが設けられている。したがって、このラベルプリンターでは、ラベルプリンターにラベル紙をセットする際に、ラベル紙の先端側を巻取り軸にセットする必要があり、ラベル紙の先端側の少なくとも1枚目のラベルに印刷を行うことができない。すなわち、このラベルプリンターでは、ラベル紙の先端側の少なくとも1枚目のラベルが無駄になる。
【0004】
そこで、ラベル紙の先端側の1枚目のラベルから印刷を行うことができるラベルプリンターが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のラベルプリンターでは、印刷前のラベル紙がロール状に巻かれて形成されたラベルロール紙がプリンターの内部に配置されており、ラベル紙の紙経路に沿って、プリンターの外部までラベル紙が案内されている。紙経路は、緩やかな曲線状となっている。また、紙経路には、ラベルに印刷を行う印刷ヘッドと、台紙からラベルを剥離するための剥離刃部材とが、紙経路の上流側からこの順番で配置されている。印刷ヘッドには、プラテンローラーが対向配置されており、このプラテンローラーによって、ラベル紙が搬送される。剥離刃部材は、紙経路の下流側へラベル紙が搬送されるときには、台紙からラベルを剥離せず、かつ、紙経路の上流側へラベル紙が搬送されるときには、台紙からラベルを剥離するように構成されている。すなわち、このラベルプリンターでは、印刷後のラベルは、その後端側から剥離される。また、剥離刃部材は、紙経路の上流側へラベル紙が搬送されるときであっても、台紙からラベルが剥離されないようにするため、紙経路から退避可能となっている。
【0005】
特許文献2に記載のラベルプリンターでは、紙経路の上流側へラベル紙を搬送しながら、剥離刃部材を用いて、台紙からラベルを剥離しているため、また、紙経路が緩やかな曲線状となっているため、剥離刃部材よりも紙経路の下流側にラベル紙を搬送するための機構を設けなくても、ラベルを適切に剥離し、かつ、剥離刃部材よりも紙経路の下流側でラベル紙を適切に搬送することが可能である。すなわち、このラベルプリンターでは、ラベルプリンターにラベル紙をセットする際に、特許文献1に記載のラベルプリンターのように、剥離用転向部材よりも紙経路の下流側に配置される巻取り軸にラベル紙の先端側をセットする必要がなく、そのため、印刷ヘッドの位置にラベル紙の先端側をセットすることが可能である。したがって、このラベルプリンターでは、ラベル紙の先端側の1枚目のラベルから印刷を行うことができる。なお、このラベルプリンターでは、ラベルプリンターにラベル紙をセットする際に、まず、ラベルロール紙をプリンター内部の収納部にセットしてから、ラベル紙を引き出して紙経路にセットする。その後、印刷ヘッドの位置までラベル紙の先端側が戻るように、紙経路の上流側へラベル紙を搬送する。このときには、台紙からラベルが剥離されないように、剥離刃部材を紙経路から退避させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−312936号公報
【特許文献2】特開2005−219342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、特許文献2に記載のラベルプリンターでは、ラベル紙の先端側の1枚目のラベルから印刷を行うことができる。しかしながら、このラベルプリンターでは、剥離刃部材を用いて台紙からラベルを剥離しているため、台紙から剥離されたラベルが剥離刃部材に粘着する。特許文献2に記載のラベルプリンターでは、剥離刃部材にシリコンコーティング等の非粘着処理が施されているものの、剥離刃部材にラベルが粘着するため、ラベルの粘着力や非粘着処理の能力が低下するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、ラベル紙の先端側の1枚目のラベルから所定の処理を行って剥離することが可能で、かつ、剥離されたラベルが構成部品に粘着するのを防止することが可能なラベル剥離機構、および、ラベル剥離機構の制御方法を提案することにある。また、本発明の課題は、かかるラベル剥離機構、または、かかるラベル剥離機構の制御方法で制御されるラベル剥離機構を有するラベル印刷装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のラベル剥離機構は、複数のラベルと複数の前記ラベルが所定間隔で貼り付けられる台紙とを有するラベル紙を、前記ラベル紙が通過する紙経路の上流側および下流側へ搬送する搬送機構と、前記紙経路を所定の折り曲げ位置で折り曲げる折り曲げ機構と、を有し、前記折り曲げ機構は、前記搬送機構が前記紙経路の下流側へ前記ラベル紙を所定量搬送すると、前記紙経路を折り曲げ、前記搬送機構は、前記折り曲げ機構が前記紙経路を折り曲げると、前記紙経路の上流側へ前記ラベル紙を搬送して、前記台紙から前記ラベルを剥離することを特徴とする。
【0010】
本発明のラベル剥離機構では、折り曲げ機構は、搬送機構が紙経路の下流側へラベル紙を所定量搬送すると、紙経路を折り曲げ、搬送機構は、折り曲げ機構が紙経路を折り曲げると、紙経路の上流側へラベル紙を搬送して、台紙からラベルを剥離している。そのため、紙経路の折り曲げ位置よりも下流側にラベル紙を搬送するための機構を設けなくても、ラベルを適切に剥離することが可能となる。また、紙経路の下流側へラベル紙を搬送する際には、紙経路が折り曲げられていないため、紙経路の折り曲げ位置よりも下流側にラベル紙を搬送するための機構を設けなくても、紙経路の折り曲げ位置よりも下流側でラベル紙を適切に搬送することが可能となる。すなわち、本発明では、ラベル剥離機構にラベル紙をセットする際に、特許文献1に記載のラベルプリンターのように、剥離用転向部材よりも紙経路の下流側に配置される巻取り軸にラベル紙の先端側をセットする必要がなく、そのため、たとえば、ラベル剥離機構がラベル印刷装置に搭載される場合には、印刷ヘッドの位置にラベル紙の先端側をセットすることが可能となる。したがって、本発明では、ラベル紙の先端側の1枚目のラベルから所定の処理を行って剥離することが可能になる。
【0011】
また、本発明では、折り曲げ機構が紙経路を折り曲げることで、ラベル紙を折り曲げ、その状態で、紙経路の上流側へラベル紙を搬送することで、台紙からラベルを剥離している。すなわち、本発明では、特許文献2に記載のラベルプリンターのように、剥離刃部材を用いなくても、台紙からラベルを剥離することが可能である。したがって、本発明では、剥離されたラベルがラベル剥離機構の構成部品に粘着するのを防止することが可能になる。
【0012】
本発明において、前記折り曲げ機構によって折れ曲げられた前記紙経路の前記折り曲げ位置から上流側へ伸びる部分と、前記紙経路の前記折り曲げ位置から下流側へ伸びる部分とがなす角度は、鋭角であることが好ましい。このように構成すると、紙経路が折れ曲がると、ラベル紙が鋭角に折れ曲がるため、台紙からラベルを剥離しやすくなる。
【0013】
本発明において、ラベル剥離機構は、前記折り曲げ位置よりも前記紙経路の下流側に、前記ラベルが剥離された前記台紙を切断する切断機構を有することが好ましい。このように構成すると、ラベルが剥離された後の台紙を切断機構によって切断することができるため、紙経路の上流側へラベル紙を搬送するときに、搬送機構にかかる負荷を低減することができる。
【0014】
本発明において、前記折り曲げ機構は、前記台紙から剥離された前記ラベルを前記ラベル剥離機構から取り出すための取出機構を有し、前記取出機構の動作によって、前記紙経路を折り曲げることが好ましい。このように構成すると、紙経路を折り曲げるための専用の機構を設けなくても、取出機構を用いて紙経路を折り曲げることができる。したがって、折り曲げ機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0015】
本発明において、前記取出機構は、前記台紙から剥離された前記ラベルの非粘着面を吸引して吸着する吸着機構を有することが好ましい。このように構成すると、台紙から剥離されたラベルを吸着機構で保持することが可能になる。
【0016】
本発明において、ラベル剥離機構は、前記折り曲げ機構による前記紙経路の折り曲げタイミングを検出するための検出機構を有することが好ましい。このように構成すると、検出機構の検出結果に基づいて、台紙からラベルを適切に剥離することが可能な位置でラベル紙を折り曲げることが可能になる。
【0017】
また、上記の課題を解決するため、本発明のラベル剥離機構の制御方法は、複数のラベルと複数の前記ラベルが所定間隔で貼り付けられる台紙とを有するラベル紙が通過するとともに所定の折り曲げ位置で折り曲げ可能な紙経路を備えるラベル剥離機構の制御方法であって、前記紙経路の下流側へ前記ラベル紙を所定量搬送した後に、前記紙経路を折り曲げ、その後、前記紙経路の上流側へ前記ラベル紙を搬送して、前記台紙から前記ラベルを剥離することを特徴とする。
【0018】
本発明のラベル剥離機構の制御方法では、紙経路の下流側へラベル紙を所定量搬送した後に、紙経路を折り曲げ、その後、紙経路の上流側へラベル紙を搬送して、台紙からラベルを剥離している。そのため、紙経路の折り曲げ位置よりも下流側にラベル紙を搬送するための機構を設けなくても、ラベルを適切に剥離することが可能となる。また、紙経路の下流側へラベル紙を搬送する際には、紙経路が折り曲げられていないため、紙経路の折り曲げ位置よりも下流側にラベル紙を搬送するための機構を設けなくても、紙経路の折り曲げ位置よりも下流側でラベル紙を適切に搬送することが可能となる。すなわち、本発明では、ラベル剥離機構にラベル紙をセットする際に、特許文献1に記載のラベルプリンターのように、剥離用転向部材よりも紙経路の下流側に配置される巻取り軸にラベル紙の先端側をセットする必要がなく、たとえば、ラベル剥離機構がラベル印刷装置に搭載される場合には、印刷ヘッドの位置にラベル紙の先端側をセットすることが可能となる。したがって、本発明では、ラベル紙の先端側の1枚目のラベルから所定の処理を行って剥離することが可能になる。
【0019】
また、本発明では、紙経路を折り曲げることで、ラベル紙を折り曲げ、その状態で、紙経路の上流側へラベル紙を搬送することで、台紙からラベルを剥離している。すなわち、本発明では、特許文献2に記載のラベルプリンターのように、剥離刃部材を用いなくても、台紙からラベルを剥離することが可能である。したがって、本発明では、剥離されたラベルがラベル剥離機構の構成部品に粘着するのを防止することが可能になる。
【0020】
本発明のラベル剥離機構、または、本発明のラベル剥離機構の制御方法で制御されるラベル剥離機構は、前記折り曲げ位置よりも前記紙経路の上流側に配置され前記ラベルに印刷を行う印刷ヘッド有するラベル印刷装置に用いることができる。このラベル印刷装置では、ラベル紙の先端側の1枚目のラベルから印刷を行うことが可能になる。また、このラベル印刷装置では、剥離されたラベルがラベル剥離機構の構成部品に粘着するのを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態にかかるラベル印刷装置の概略図。
【図2】本発明の実施の形態にかかるラベル印刷装置の他の状態の概略図。
【図3】本発明の他の実施の形態にかかるラベル印刷装置の概略図。
【図4】本発明の他の実施の形態にかかるラベル印刷装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明を適用したラベル剥離機構、ラベル剥離機構の制御方法およびラベル印刷装置を説明する。
【0023】
(ラベル印刷装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるラベル印刷装置1の概略図であり、(A)はラベル印刷装置1にラベル紙7がセットされたときの状態を示す図、(B)は紙経路8の下流側へラベル紙7が搬送された後の状態を示す図である。図2は、ラベル印刷装置1の概略図であり、(A)は紙経路8が折り曲げられた後の状態を示す図、(B)は紙経路8の上流側へラベル紙7が搬送されて台紙2からラベル3が剥離された後の状態を示す図である。
【0024】
本形態のラベル印刷装置1は、台紙(剥離紙)2に貼り付けられたラベル3に印刷を行い、印刷後のラベル3を台紙2から剥離するための装置である。このラベル印刷装置1は、ラベル3に印刷を行う印刷ヘッド5と、台紙2からラベル3を剥離するラベル剥離機構6とを備えている。ラベル印刷装置1の内部には、台紙2と複数のラベル3とから構成されるラベル紙7が通過する紙経路8が形成されている。ラベル紙7では、複数のラベル3が一定間隔で帯状に形成された台紙2に貼り付けられている。
【0025】
紙経路8は、所定の折り曲げ位置Pで折り曲げ可能となっている。具体的には、紙経路8の折り曲げ位置Pから下流側へ伸びる部分(下流側部分)8aが折り曲げ位置Pを支点にして回動可能となっている。本形態では、下流側部分8aは、図1に示すように、紙経路8の折り曲げ位置Pから上流側へ伸びる部分(上流側部分)8bおよび下流側部分8aを通過するラベル紙7が直線状となる位置と、図2に示すように、上流側部分8bと下流側部分8aとのなす角度(すなわち、下流側部分8aを通過するラベル紙7と上流側部分8bを通過するラベル紙7とのなす角度)が鋭角となる位置との間で回動可能となっている。
【0026】
紙経路8の上流端には、ラベル紙7がロール状に巻かれて形成されたラベルロール紙9が収容されている。紙経路8の下流側部分8aは、ラベル紙7の一方の面(図1の下面)を案内(ガイド)するガイド部材10と、ガイド部材10に向かってラベル紙7を押し付けるための押さえローラー11とによって形成されている。押さえローラー11は、紙経路8を挟んで、ガイド部材10に対向配置されており、ラベル紙7は、ガイド部材10と押さえローラー11との間を通過する。また、押さえローラー11は、図示を省略する付勢部材によってガイド部材10に向かって付勢されている。この押さえローラー11は、モーター等の駆動源に連結されていない従動ローラーである。
【0027】
印刷ヘッド5は、サーマルヘッドである。この印刷ヘッド5は、折り曲げ位置Pよりも紙経路8の上流側に配置されている。ラベル剥離機構6は、紙経路8の下流側および上流側へラベル紙7を搬送する搬送機構13と、折り曲げ位置Pで紙経路8を折り曲げる折り曲げ機構14とを備えている。また、ラベル剥離機構6は、折り曲げ機構14による紙経路8の折り曲げタイミングを検出するための検出機構15を備えている。なお、図2では、検出機構15の図示を省略している。
【0028】
搬送機構13は、印刷ヘッド5に対向配置されるプラテンローラー16を備えている。プラテンローラー16は、紙経路8を挟んで印刷ヘッド5に対向している。ラベル紙7は、プラテンローラー16によって紙経路8の下流側および上流側へ搬送されるときに、印刷ヘッド5とプラテンローラー16との間を通過する。プラテンローラー16には、図示を省略する駆動機構が連結されている。この駆動機構は、たとえば、駆動源となるモーターと、モーターの動力をプラテンローラー16に伝達する動力伝達機構とを備えている。モーターは、たとえば、ステッピングモーターである。
【0029】
折り曲げ機構14は、折り曲げ位置Pに配置される支点軸17を中心にして、紙経路8の下流側部分8aを回動させる回動機構(図示省略)を備えている。この回動機構は、たとえば、駆動源となるモーターと、モーターの動力を下流側部分8aに伝達する動力伝達機構とを備えている。また、折り曲げ機構14は、支点軸17を中心にして下流側部分8aを図1の時計回りの方向(上流側部分8bおよび下流側部分8aを通過するラベル紙7が直線状となる方向)へ付勢するバネ等の付勢部材(図示省略)を備えている。図1に示すように、上流側部分8bおよび下流側部分8aを通過するラベル紙7が直線状となる位置では、下流側部分8aは、時計方向への下流側部分8aの回動を規制するストッパー部材(図示省略)に当接しており、ストッパー部材によって位置決めされている。なお、下流側部分8aを回動させる回動機構の駆動源は、シリンダー等であっても良い。
【0030】
検出機構15は、たとえば、発光素子と受光素子とを備える光学式のセンサーである。この検出機構15は、たとえば、印刷ヘッド5と折り曲げ位置Pとの間に配置されている。また、発光素子と受光素子とが紙経路8を挟んで対向するように、検出機構15が配置されている。本形態では、検出機構15によって、ラベル3の後端(紙経路8の上流側端)3aが検出されると、ラベル紙7が所定量、下流側へ搬送されて停止し、その状態で、紙経路8が折り曲げられる。たとえば、検出機構15によって、ラベル3の後端3aが検出されると、図1(B)に示すように、ラベル3の後端3aが折り曲げ位置Pに到達するまでラベル紙7が搬送されて停止し、その状態で、図2に示すように、紙経路8が折り曲げられる。検出機構15でラベル3の後端3aが検出された後のラベル紙7の搬送量は、たとえば、プラテンローラー16を駆動するステッピングモーターのステップ数等に基づいて設定される。なお、ラベル3の後端3aが折り曲げ位置Pを通り過ぎるまでラベル紙7が搬送されて停止し、その状態で、紙経路8が折り曲げられても良い。
【0031】
(ラベル印刷装置の動作)
以上のように構成されたラベル印刷装置1では、以下のように、ラベル3に印刷が行われ、また、台紙2からラベル3が剥離される。まず、図1(A)に示すように、たとえば、ラベル紙7の先端側の1枚目のラベル3(以下、このラベル3を「ラベル3A」とする)の先端(紙経路8の下流側端)3bが印刷ヘッド5とプラテンローラー16との間に挟まれるように、ラベル印刷装置1に、ラベル紙7をセットする。このときには、紙経路8の上流側部分8bおよび下流側部分8aを通過するラベル紙7が直線状となる位置に下流側部分8aが配置されている。
【0032】
その後、プラテンローラー16によってラベル紙7を紙経路8の下流側へ搬送しながら、印刷ヘッド5によってラベル3Aに印刷を行う。また、ラベル3Aの印刷が終了した後も、図1(B)に示すように、ラベル3Aの後端3aが折り曲げ位置Pに到達するまで、プラテンローラー16によってラベル紙7を紙経路8の下流側へ搬送して停止する。ラベル3Aの後端3aが折り曲げ位置Pに到達するときには、ラベル紙7の先端から2枚目のラベル3(以下、このラベル3を「ラベル3B」とする)は、印刷ヘッド5とプラテンローラー16とによって挟まれる位置まで搬送されているが、このときには、ラベル3Bへの印刷は行われない。また、このときには、検出機構15の検出結果に基づいて、ラベル3Aの後端3aが折り曲げ位置Pに到達すると、ラベル紙7が停止する。
【0033】
その後、図2(A)に示すように、紙経路8を折り曲げる。すなわち、回動機構によって、支点軸17を中心にして、紙経路8の下流側部分8a(具体的には、ガイド部材10および押さえローラー11)を図2の反時計回りの方向へ回動させる。紙経路8が折れ曲がると、ラベル3Aの後端3aとラベル3Bの先端3bとの間で台紙2が折れ曲がる。その後、プラテンローラー16によってラベル紙7を紙経路8の上流側へ搬送する。たとえば、ラベル3Aの先端3bが折り曲げ位置Pに到達するまで、ラベル紙7を搬送して停止する。このときには、図2(B)に示すように、ラベル3Bの先端3bは、印刷ヘッド5よりも紙経路8の上流側に配置されている。また、紙経路8の上流側へラベル紙7が搬送されると、台紙2からラベル3が剥離される。
【0034】
その後、回動機構によって、上流側部分8bおよび下流側部分8aを通過するラベル紙7が直線状となる位置まで、紙経路8の下流側部分8aを図2の時計方向へ回動させてから、再び、上述の動作を行って、ラベル3Bの印刷を行うとともに、台紙2からラベル3Bを剥離する。また、以下、同様の動作を行って、ラベル紙7の先端から3枚目以降のラベル3の印刷を行うとともに、印刷されたラベル3を台紙2から剥離する。なお、台紙2から剥離されたラベル3は、たとえば、ラベル印刷装置1のユーザーが摘んで取り出して、所定の商品等に貼り付ける。また、ラベル3が剥離された後の台紙2は、たとえば、台紙2の回収部(図示省略)にそのまま回収される。
【0035】
(本実施の形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ラベル3の後端3aが折り曲げ位置Pに到達するまで、プラテンローラー16によってラベル紙7を紙経路8の下流側へ搬送して停止し、その状態で、紙経路8を折り曲げている。また、本形態では、紙経路8を折り曲げた後に、プラテンローラー16によってラベル紙7を紙経路8の上流側へ搬送して、台紙2からラベル3を剥離している。そのため、折り曲げ位置Pよりも紙経路8の下流側にラベル紙7を搬送するための機構を設けなくても、ラベル3を適切に剥離することができる。また、本形態では、紙経路8の下流側へラベル紙7を搬送する際に、上流側部分8bおよび下流側部分8aを通過するラベル紙7が直線状となる位置に下流側部分8aが配置されているため、折り曲げ位置Pよりも紙経路8の下流側にラベル紙7を搬送するための機構を設けなくても、折り曲げ位置Pよりも下流側でラベル紙7を適切に搬送することができる。したがって、本形態では、特許文献1に記載のラベルプリンターのように、剥離用転向部材よりも紙経路の下流側に配置される巻取り軸にラベル紙の先端側をセットする必要がなく、ラベル3Aの先端3bを印刷ヘッド5の位置にセットすることができる。その結果、本形態では、ラベル紙7の先端側の1枚目のラベル3Aから印刷を行って、このラベル3Aを台紙2から剥離することができる。
【0036】
本形態では、紙経路8を折り曲げた後に、プラテンローラー16によってラベル紙7を紙経路8の上流側へ搬送して、台紙2からラベル3を剥離しており、特許文献2に記載のラベルプリンターのように、剥離刃部材を用いなくても、台紙2からラベル3を剥離することができる。したがって、本形態では、剥離されたラベル3がラベル印刷装置1の構成部品に粘着するのを防止することが可能になる。
【0037】
本形態では、紙経路8の下流側部分8aを通過するラベル紙7と上流側部分8bを通過するラベル紙7とのなす角度が鋭角となる位置まで、下流側部分8aが回動可能となっている。そのため、台紙2からラベル3を剥離しやすくなる。また、本形態では、検出機構15の検出結果に基づいて、ラベル紙7を停止させて、紙経路8を折り曲げている。そのため、台紙2からラベル3を適切に剥離することができる位置でラベル紙7を折り曲げることができる。
【0038】
(他の実施の形態)
上述した形態では、ラベル3が剥離された後の台紙2は、そのまま回収部に回収されているが、ラベル3が剥離された後の台紙2は、切断された後に回収部に回収されても良い。すなわち、図3に示すように、折り曲げ位置Pよりも紙経路8の下流側に、ラベル3が剥離された台紙2を切断する切断機構21が配置されても良い。切断機構21は、たとえば、カッターであり、図3に示す例では、ガイド部材10の直後に配置されている。また、切断機構21は、たとえば、ラベル紙7の先端側の1枚目のラベル3Aが剥離された以降であって、かつ、ラベル紙7の先端から2枚目以降のラベル3の後端3aが折り曲げ位置Pに到達して紙経路8が折り曲がった状態で、台紙2を切断する。この場合には、紙経路8の上流側へラベル紙7を搬送するときに搬送機構13にかかる負荷を低減することができる。
【0039】
上述した形態では、ラベル印刷装置1のユーザーが台紙2から剥離されたラベル3を摘んで取り上げているが、ラベル剥離機構6は、図4に示すように、台紙2から剥離されたラベル3を取り上げるためのロボット等の取出機構23を備えていても良い。この場合には、取出機構23の動作によって、紙経路8を折り曲げることが好ましい。たとえば、取出機構23によって、押さえローラー11を回転可能に支持する固定軸を押すことで、紙経路8を折り曲げることが好ましい。このようにすると、紙経路8を回動させる回動機構を別途、設ける必要がなくなる。したがって、折り曲げ機構14の構成を簡素化することが可能になる。また、この場合には、取出機構23は、台紙2から剥離されたラベル3の非粘着面(台紙2に粘着していた面と反対側の面)を吸引して吸着する吸着機構24を備えることが好ましい。このようにすると、台紙2から剥離されたラベル3を吸着機構24で保持することができる。
【0040】
上述した形態では、折り曲げられる前の紙経路8において、上流側部分8bおよび下流側部分8aを通過するラベル紙7が直線状となっているが、折り曲げられる前の紙経路8において、上流側部分8bおよび下流側部分8aを通過するラベル紙7が緩やかに湾曲する曲線状となるように、紙経路8が構成されても良い。また、上述した形態では、ラベル剥離機構6は、ラベル印刷装置1に搭載されているが、ラベル剥離機構6は、ラベル印刷装置1以外の装置に搭載されても良い。たとえば、ラベル剥離機構6は、台紙2からラベル3を剥離する機能のみを有するラベル剥離装置に搭載されても良い。
【符号の説明】
【0041】
1・・・ラベル印刷装置、2・・・台紙、3・・・ラベル、5・・・印刷ヘッド、6・・・ラベル剥離機構、7・・・ラベル紙、8・・・紙経路、8a・・・下流側部分(紙経路の折り曲げ位置から下流側へ伸びる部分)、8b・・・上流側部分(紙経路の折り曲げ位置から上流側へ伸びる部分)、13・・・搬送機構、14・・・折り曲げ機構、15・・・検出機構、21・・・切断機構、23・・・取出機構、24・・・吸着機構、P・・・折り曲げ位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のラベルと複数の前記ラベルが所定間隔で貼り付けられる台紙とを有するラベル紙を、前記ラベル紙が通過する紙経路の上流側および下流側へ搬送する搬送機構と、
前記紙経路を所定の折り曲げ位置で折り曲げる折り曲げ機構と、を有し、
前記折り曲げ機構は、前記搬送機構が前記紙経路の下流側へ前記ラベル紙を所定量搬送すると、前記紙経路を折り曲げ、
前記搬送機構は、前記折り曲げ機構が前記紙経路を折り曲げると、前記紙経路の上流側へ前記ラベル紙を搬送して、前記台紙から前記ラベルを剥離することを特徴とするラベル剥離機構。
【請求項2】
前記折り曲げ機構によって折れ曲げられた前記紙経路の前記折り曲げ位置から上流側へ伸びる部分と、前記紙経路の前記折り曲げ位置から下流側へ伸びる部分とがなす角度は、鋭角であることを特徴とする請求項1に記載のラベル剥離機構。
【請求項3】
前記折り曲げ位置よりも前記紙経路の下流側に、前記ラベルが剥離された前記台紙を切断する切断機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載のラベル剥離機構。
【請求項4】
前記折り曲げ機構は、前記台紙から剥離された前記ラベルを前記ラベル剥離機構から取り出すための取出機構を有し、前記取出機構の動作によって、前記紙経路を折り曲げることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のラベル剥離機構。
【請求項5】
前記取出機構は、前記台紙から剥離された前記ラベルの非粘着面を吸引して吸着する吸着機構を有することを特徴とする請求項4に記載のラベル剥離機構。
【請求項6】
前記折り曲げ機構による前記紙経路の折り曲げタイミングを検出するための検出機構を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のラベル剥離機構。
【請求項7】
複数のラベルと複数の前記ラベルが所定間隔で貼り付けられる台紙とを有するラベル紙が通過するとともに所定の折り曲げ位置で折り曲げ可能な紙経路を備えるラベル剥離機構の制御方法であって、
前記紙経路の下流側へ前記ラベル紙を所定量搬送した後に、前記紙経路を折り曲げ、その後、前記紙経路の上流側へ前記ラベル紙を搬送して、前記台紙から前記ラベルを剥離することを特徴とするラベル剥離機構の制御方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載のラベル剥離機構、または、請求項7に記載のラベル剥離機構の制御方法で制御されるラベル剥離機構と、前記折り曲げ位置よりも前記紙経路の上流側に配置され前記ラベルに印刷を行う印刷ヘッドと、を有することを特徴とするラベル印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−95499(P2013−95499A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241980(P2011−241980)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】