説明

ラベル押さえ部材、それを備えたラベル搬送体及びそれを備えたラベル貼付装置

【課題】接着力が高い場合でも、ラベルの破れが防止されるラベル押さえ部材を提供する。
【解決手段】本発明のラベル押さえ部材は、接着剤が塗着された接着剤転送面5と接触しているラベル6の端部をラベル受け部材15との間に挟持し、ラベル6を前記接着剤転送面5から離れる方向に引っ張ることにより、前記接着剤転送面5からラベル6を剥離させるラベル押さえ部材26であって、前記ラベル6を挟持する挟持部28のラベル側に、その挟持部28よりも弾性率の低い材料で製造されたラベル当接部材29を取り付けることにより上述した課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品にラベル貼付するラベル貼付装置に備えられているラベル押さえ部材、それを備えたラベル搬送体及びそれを備えたラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や医薬品等の容器には、その商品名等が表示されたラベルが貼り付けられており、この貼り付けはラベル貼付装置によって行われている。このようなラベル貼付装置は、接着剤が供給される接着剤塗布ローラと、接着剤塗布ローラと接触することにより表面に接着剤が塗布されるパレットと、パレットにラベルを供給するラベルマガジンと、パレットに貼付されたラベルを、ラベル押さえ爪と爪受け台との間に挟んでパレットから剥離させて容器に貼付させるラベル搬送体とを備える。そして接着剤塗布ローラに供給された接着剤がパレットに塗布され、そのパレット表面にラベルが供給され、そのラベルの端部がラベル押さえ爪と爪受け台との間に挟まれてパレット表面から剥離されて容器に貼付される。そして、このようなラベル貼付装置においてラベル押さえ爪は、十分な挟持力を確保するために、全体が硬い金属等の材質で形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平06−099958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように全体が金属等の硬い材質で形成されたラベル押さえ爪は、挟持部の爪受け台と対向する面を平坦な面として製造したとしても、わずかな表面の凹凸や傾きによって面全体にわたって均一な力でラベルを挟持することができず、点接触の状態でラベルを挟持することになる。そしてラベルをパレットから引っ張って剥離する際の力は、この挟持されている点に集中する。ラベルとパレットとの接着力は、気温や湿度等の影響によって強くなる場合もあり、接着力が強い場合、このように点で挟持されていると、その挟持部でラベルが破れることがある。このような場合、ラインを停止し、破れたラベルの排除等を手作業で行う必要があり、稼働率の低下や作業の煩雑化といった問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、接着力が高い場合でも、ラベルの破れを防止するラベル押さえ部材、それを備えたラベル搬送体及びそれを備えたラベル貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のラベル押さえ部材は、接着剤が塗着された接着剤転送面(5)に貼付されたラベル(6)の端部をラベル受け部材(15)との間に挟持し、前記ラベル(6)を前記接着剤転送面(5)から離れる方向に引っ張ることにより、前記接着剤転送面(5)から前記ラベル(6)を剥離させるラベル押さえ部材(26)であって、前記ラベル(6)を挟持する挟持部(28)のラベル側に、該挟持部(28)よりも弾性率の低い材料で製造されたラベル当接部材(29)を取り付けることにより上述した課題を解決する。
【0006】
本発明のラベル押さえ部材によると、挟持部のラベル側に弾性率の低いラベル当接部材が取り付けられている。従って、挟持部に微小な凹凸がある場合や、わずかに傾いてラベル押さえ部材と平行とならない場合であっても、挟持力が加わることによりラベル当接部材が弾性変形して、ラベルが面接触で挟持される。故に、ラベルに加わる引っ張り力が分散され、一点に大きな力が加わることがなく、ラベルが破れる可能性が小さくなる。また、挟持部自体の弾性率は高いため、ラベルを挟持する際に、その剛性によって十分な挟持力が与えられる。
【0007】
また、本発明のラベル押さえ部材(26)の一形態において、前記挟持部は、前記ラベル側に前記ラベル受け部材(15)との対向面(27)を有し、前記ラベル当接部材(29)を、前記対向面(27)にのみ取り付けてもよい。これによると、挟持部の対向面にのみ弾性率の低いラベル当接部材が設けられているため、低コストで、上述のラベルの破損防止という効果を得ることができる。
【0008】
本発明のラベル押さえ部材(26)の一形態において、前記ラベル当接部材(29)の摩擦係数は、前記挟持部(28)よりも高くてもよい。これによるとラベル当接部材の摩擦係数が高いため、その摩擦力によりラベルを保持する保持力を向上できる。
【0009】
また、本発明のラベル押さえ部材(26)の一形態において、前記ラベル当接部材(29)は、前記挟持部(28)よりも弾性率が低く且つ摩擦係数が高い材料で製造されているため、前記ラベル押さえ部材(26)との間で直接前記挟持部(28)によりラベル(6)を挟持した場合と比べ、前記ラベル(6)に加わる挟持力が前記ラベル当接部材(29)の弾性により均等化され、前記ラベル(6)の保持力が前記ラベル当接部材(29)の摩擦力により向上している。
【0010】
また、本発明は、上記ラベル押さえ部材(26)を備えたラベル搬送体を提供することにより上記課題を解決する。これによると、ラベルが破れる可能性低いラベル搬送体を提供することができる。
【0011】
更に、本発明のラベル搬送体の一形態において、前記ラベル押さえ部材(26)を一以上備えてもよい。これによると、複数のラベル押さえ部材を備えることによりラベルが大きい場合でもラベルを保持することができる。
【0012】
また、本発明は、上記ラベル搬送体を備えたラベル貼付装置を提供することにより上記課題を解決する。これによると、ラベルが破れる可能性低いラベル貼付装置を提供することができる。
【0013】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、本発明のラベル押さえ部材、それを備えたラベル搬送体及びそれらを備えたラベル貼付装置によれば、ラベルが面接触により挟持されるため、剥離の際の力が一点に集中せずに破れにくくなる。従って、ラインを停止し、破れたラベルの排除等を手作業で行う必要がなくなり、稼働率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の一形態のラベル押さえ部材であるラベル押さえ爪が使用されるラベル貼付装置1の平面図である。図示したようにラベル貼付装置1は、不図示の駆動機構により回転される接着剤塗布ローラ2と、接着剤塗布ローラ2の外周面に接着剤を供給する接着剤供給チューブ3と、接着剤塗布ローラ2に隣接して回転自在に配置されたターンテーブル4と、ターンテーブル4の外周に等間隔で配置され且つ接着剤転送面5aを有する複数のパレット5と、各パレット5にラベル6を一枚ずつ供給するラベルマガジン7と、ターンテーブル4に隣接して配置された、ラベルを剥離し且つ貼付するラベル搬送体8とを備える。そして接着剤供給チューブ3から、接着剤塗布ローラ2に供給された接着剤がターンテーブル4のパレット5の接着剤転送面5aに塗布され、その接着剤転送面5aにラベルマガジン7からラベル6が送られる。そして接着剤転送面5aに貼付されたラベル6はラベル搬送体8まで搬送されて接着剤転送面5aから剥離され、搬送された後、搬送コンベア10上の容器Bに貼付される。
【0016】
ラベル搬送体8は、図2に拡大して示したように、中心軸11の周りに回転している回転台12と、中心軸11に対して不動の軌道面を提供するカム壁13と、回転台12の外周に沿って配置され且つ外面14aにラベル6を載せて搬送するパッド14と、同様に回転台12の外周に沿って配置され且つ外周面にラベル6の先端を載せ、後述するラベル押さえ爪26とでラベル6を挟持するための、ラベル受け部材である爪受け台15とを備える。また、同じく回転台12の外周には、回転台12に固定された固定軸20を中心として枢動するラベル押さえ機構21が設けられている。
【0017】
ここでカム壁13は、このラベル搬送体8が、ターンテーブル4のパレット5からラベル6を受け取る位置Pから、搬送コンベア10の容器Bにラベル6を貼り付ける貼付位置Qまでの範囲において径が大きく、貼付位置Qから上記ラベル受け取り位置Pまでの範囲において径が小さくなっている(受け取り位置Pの周囲のみ図示)。
【0018】
パッド14は、中心軸11から等距離の位置に円周に沿って等間隔で設けられており、円周に沿って滑かに湾曲した外面14aを備えている。
【0019】
爪受け台15は、その外周面にはゴム部材15aが取り付けられており、回転台12の外周の、パッド14に隣接して設けられている。
【0020】
ラベル押さえ機構21は、上述した固定軸20と、その固定軸20に一端が連結された連結部22と、連結部22の他端が連結され且つ固定軸20よりも内方に位置する移動軸23と、移動軸23を中心として回転可能な円板状のカムフォロア24とを備える。また連結部22の中央部は、回転台12の周縁部の所定位置とばね部材30により連結されている。そして、更に固定軸20には当該固定軸20を中心として回動可能な爪取付部25が備えられている。そして爪取付部25には、上述したラベル押さえ爪26が固定されている。このラベル押さえ爪26は、先端に挟持部28を備え、その挟持部28のラベル側には、ラベル6を把持する際に爪受け台15と対向する対向面27が設けられ、この対向面27にはラベル当接部材29が取り付けられている。
【0021】
図3はラベル押さえ爪26の正面図、図4はラベル押さえ爪26の側面図である。図示したように、ラベル押さえ爪26の挟持部28のラベル側の対向面27には、ラベル当接部材29が貼付されている。また、ラベル押さえ爪26は、ラベル当接部材29を除いて金属等の硬い材料で一体形成されたものであって、図示しないねじを穴30に挿入して爪取付部25にねじ止めするようになっている。そしてラベル当接部材29は、これに限定されないが、例えば、高純度天然ゴムであるライナテックス(登録商標)等の、挟持部28よりも弾性率が低く、柔軟で且つ摩擦係数の高いゴム等の材料で製造される。
【0022】
次に、本形態の作用について説明する。まず、図1を参照すると、接着剤が接着剤供給チューブ3から、回転する接着剤塗布ローラ2に提供され、接着剤塗布ローラ2の表面に接着剤が供給される。この接着剤塗布ローラ2の速度に合わせて、ターンテーブル4も回転しており、ターンテーブル4上のパレット5の接着剤転送面5aが接着剤塗布ローラ2の表面と接触することによって接着剤塗布ローラ2の接着剤がパレット5の接着剤転送面5aに塗布される。パレット5はターンテーブル4の回転に伴って回転し、ラベルマガジン7の位置までくると、ラベルマガジン7の最前列に収納されたラベル6がパレット5の表面に貼付されて、ラベルマガジン7からパレット5にラベル6が移動される。その後、更にパレット5はラベル6と共にターンテーブル4の回転に伴って回転する。
【0023】
そして図2を参照すると、パレット5がラベル搬送体8と接する所定の位置Pまで移動すると、パレット5上のラベル6の先端は爪受け台15の位置に来る。この位置においてラベル搬送体8のカム壁13の径が大きくなり、カムフォロア24がばね部材30の力に抗して外周側に押し出される。そうすると、固定軸20を中心としてラベル押さえ爪26の挟持部28が爪受け台15の方向に移動し、ラベル6の先端がラベル押さえ爪26と爪受け台15との間に挟持される。そして更なるターンテーブル4及び回転台12の回転に伴い、先端がラベル押さえ爪26と爪受け台15との間に挟持されたラベル6が引っ張られ、パレット5から剥離される。ラベル6は、接着剤の塗布された面を外周側にして先端がラベル押さえ爪26と爪受け台15との間に挟持され、その他の部分がパッド14に載せられた状態で回転台12の回転に伴って搬送される。
【0024】
ここで、本形態によると、カムフォロア24がカム壁13によって回転台12の外周側に押し出されることによって、固定軸20を中心としてラベル押さえ爪26を爪受け台15の方向に押し付ける挟持力が生じる。そして挟持部28の対向面27には弾性率の低いラベル当接部材29が取り付けられている。従って、ラベル当接部材29のラベル6と接触する面に微小な凹凸がある場合や、爪受け台15と対向面27とがわずかに平行でない場合であっても、挟持力によってラベル当接部材29が弾性変形し、ラベル6はラベル当接部材29と爪受け台15のゴム部材15aとの間において面接触で挟持される。このように面全体で接触しているため、パレット5からラベル6を剥離する際にラベル6に加わる引っ張り力は、面全体にかかることになり、力が分散される。故に一点に大きな力が加わることがなく、ラベル6の破れが防止される。また、挟持部28は弾性率が高いため、ラベル6を挟持する際に、その剛性によって十分な挟持力を与えることができる。
【0025】
次に、ラベル6が搬送コンベア10との接点Qまで搬送されると、カム壁13の径が小さくなり、カムフォロア24がばね部材30の力によって引っ張られ、カム壁13に沿って内周側に移動する。そうすると、固定軸20を中心としてラベル押さえ爪26が爪受け台15から離れる方向に回転し、ラベル6の一端がラベル押さえ爪26と爪受け台15との間の挟持から解放される。そして回転台12及び搬送コンベア10の移動に伴い、ラベル6が容器Bの側面に貼付される。この時、パッド14が容器Bにラベルを押し付ける構成でもよい。同時に、例えばパッド14と爪受け台15との間に配置したエアブラストノズル(不図示)からの圧縮エアにより容器Bにラベル6を吹き付けてもよい。
【0026】
なお、ラベルをラベル押さえ爪と爪受け台との間に挟持してラベルを引っ張り、どの程度の力でラベルが破れるかを測定したところ、ラベル当接部材が取り付けられていない従来のラベル押さえ爪の場合、ラベル押さえ爪が1本のものは3N、2本のものは6N、3本のものは9Nの力でラベルが破れた。一方、本形態のラベル当接部材が取り付けられているラベル押さえ爪の場合、ラベル押さえ爪が1本であっても8Nまで破れなかった。このことから、本発明によると、ラベルを引っ張る力が強くても、その力が分散されるため、一点に集中的に加わることがなく、ラベルが破れる可能性が低いことが証明された。
【0027】
以上、本形態のラベル押さえ部材、それを備えたラベル搬送体及びそれを備えたラベル貼付装置によれば、ラベルが面によって挟持されるため、剥離の際の力が一点に集中せずに破れにくくなる。従って、ラインを停止し、破れたラベルの排除等を手作業で行う必要がなくなり、稼働率を向上することができる。
【0028】
以上、本発明の好適な形態について説明したが、本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、ラベル搬送体は、軸線を中心として回転する機構を有するものではなく、接着剤が塗布されたラベルを剥がして容器に取り付けるまで搬送するものであれば、例えば、直線的にラベルを搬送するようなものであっても良い。また、ラベル押さえ爪は1本に限定されず、種々のラベルに応じて変更することができる。この場合、ラベルの大きさや形状等に応じて複数本有するものであってもよい。例えば、容器としてビール壜を使用する場合、肩ラベル(ネックラベル)にはラベル押さえ爪1本のラベル搬送体、丸型の表ラベル(メインラベル)や裏ラベル(バックラベル)にはラベル押さえ爪2本のラベル搬送体、角型の表ラベル(メインラベル)にはラベル押さえ爪3本のラベル搬送体を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一形態にかかるラベル押さえ爪が使用されるラベル貼付装置の平面図。
【図2】ラベル搬送体の拡大図。
【図3】ラベル押さえ爪の正面図。
【図4】ラベル押さえ爪の側面図。
【符号の説明】
【0030】
1 ラベル貼付装置
5 接着剤転送面
6 ラベル
8 ラベル搬送体
15 ラベル受け部材
26 ラベル押さえ部材
27 対向面
28 挟持部
29 ラベル当接部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤が塗着された接着剤転送面に貼付されたラベルの端部をラベル受け部材との間に挟持し、前記ラベルを前記接着剤転送面から離れる方向に引っ張ることにより、前記接着剤転送面から前記ラベルを剥離させるラベル押さえ部材であって、
前記ラベルを挟持する挟持部のラベル側に、該挟持部よりも弾性率の低い材料で製造されたラベル当接部材が取り付けられていることを特徴とするラベル押さえ部材。
【請求項2】
前記挟持部が、前記ラベル側に前記ラベル受け部材との対向面を有し、前記ラベル当接部材が、前記対向面にのみ取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のラベル押さえ部材。
【請求項3】
前記ラベル当接部材の摩擦係数が、前記挟持部よりも高いことを特徴とする請求項1又は2に記載のラベル押さえ部材。
【請求項4】
前記ラベル当接部材が、前記挟持部よりも弾性率が低く且つ摩擦係数が高い材料で製造されているため、前記ラベル押さえ部材との間で直接前記挟持部によりラベルを挟持した場合と比べ、前記ラベルに加わる挟持力が前記ラベル当接部材の弾性により均等化され、前記ラベルの保持力が前記ラベル当接部材の摩擦力により向上していることを特徴とする請求項3に記載のラベル押さえ部材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のラベル押さえ部材を備えたことを特徴とするラベル搬送体。
【請求項6】
前記ラベル押さえ部材が、一以上備えられていることを特徴とする請求項5に記載のラベル搬送体。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のラベル搬送体を備えたことを特徴とするラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−145400(P2007−145400A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345322(P2005−345322)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000253503)麒麟麦酒株式会社 (247)
【Fターム(参考)】