説明

ラベル発行装置およびプログラム

【課題】商品を構成する要素について、不足しているものや余計なものがあることを報知する。
【解決手段】ラベルに対して印字して発行するラベル発行装置において、撮像手段と、撮像手段が撮像した画像を出力する画像出力手段1013と、出力された画像の特徴量を読み取ることによって特定の物体を認識する物体認識手段611と、認識された物体の集合体が認識対象のアイテムである場合、当該アイテムについての構成が正しいか否かを、複数の物体をセットにするアイテムについて当該アイテムを構成する物体情報を設定するセットファイルに基づいて確認する確認手段612と、を備え、確認手段612は構成が正しくないと判定した場合、過不足のある構成について報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ラベル発行装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の店舗では、商品に貼付して商品名や価格等を表示したラベルを印刷するラベルプリンタが用いられている。ラベルプリンタは、商品マスタから商品名や価格などの商品情報を読み込んでラベルに印刷する印字データを生成し、生成した印字データに基づいてラベルを印刷する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年におけるアルバイト従業員の増加に伴い、例えば各種の惣菜等を盛り付ける弁当などをバックヤードでパック詰めしてラベルを付する場合に、惣菜の盛り付け忘れや箸・スプーン等の食器の付け忘れが起きることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態のラベル発行装置は、ラベルに対して印字して発行するラベル発行装置において、撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像を出力する画像出力手段と、出力された前記画像の特徴量を読み取ることによって特定の物体を認識する物体認識手段と、を備える。また、実施形態のラベル発行装置は、認識された前記物体の集合体が認識対象のアイテムである場合、当該アイテムについての構成が正しいか否かを、複数の物体をセットにするアイテムについて当該アイテムを構成する物体情報を設定するセットファイルに基づいて確認する確認手段を備え、前記確認手段は構成が正しくないと判定した場合、過不足のある構成について報知する。
【0005】
実施形態のプログラムは、ラベルに対して印字して発行するラベル発行装置を制御するコンピュータを、撮像手段が撮像した画像の特徴量を読み取ることによって特定の物体を認識する物体認識手段して機能させる。また、実施形態のプログラムは、ラベルに対して印字して発行するラベル発行装置を制御するコンピュータを、認識された前記物体の集合体が認識対象のアイテムである場合、当該アイテムについての構成が正しいか否かを、複数の物体をセットにするアイテムについて当該アイテムを構成する物体情報を設定するセットファイルに基づいて確認する確認手段として機能させ、前記確認手段は構成が正しくないと判定した場合、過不足のある構成について報知する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本実施形態にかかるラベルプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、第1プリンタが本体から引き出された状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、ラベルプリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、PLUファイルのデータ構成を例示する概念図である。
【図5】図5は、CPUの機能構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、ラベルプリンタの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、読取窓における読取領域の例を示す概念図である。
【図8】図8は、表示デバイスへの画面表示例を示す正面図である。
【図9】図9は、処理の具体例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下では、ラベルプリンタを例に本実施形態にかかるラベル発行装置およびプログラムについて、図面を参照して説明する。本実施形態のラベル発行装置は、スーパーマーケットや食品加工工場などにおいて、商品の商品名や価格などの商品情報を印刷したラベルを発行するラベルプリンタに適用したものである。
【0008】
図1は、本実施形態にかかるラベルプリンタ1の外観を示す斜視図である。ラベルプリンタ1は、商品に関連する情報をラベルに印刷し、印刷したラベルを発行するものである。ラベルプリンタ1の本体2の上部には表示デバイス3などの表示器が設けられている。表示デバイス3は、ラベルに印刷する商品情報などを編集するラベル登録画面を表示する。また、表示デバイス3の表面にはタッチパネル4が設けられている。また、ラベルプリンタ1の本体2の上面にはキーボード5が設けられている。また、ラベルプリンタ1の本体2の正面下部には、商品を載置して商品の重量を秤量する計量秤8が設けられている。
【0009】
また、ラベルプリンタ1の本体2には、第1プリンタ6と、第2プリンタ7との2つのプリンタユニットが並設されて収容されている。第1プリンタ6および第2プリンタ7は同様の構成であるので、以下では第1プリンタ6について説明する。第1プリンタ6は、第1プリンタ6の前面パネル下部に設けられた溝部6aに指を掛けてA方向に引っ張ることで、図2に示すように本体2から引き出すことができる。
【0010】
図2は、第1プリンタ6が本体2から引き出された状態を示す斜視図である。第1プリンタ6の内部には、ラベルを台紙に貼付したロール状のラベル用紙Pが図示しない保持軸に着脱自在に保持されている。また、第1プリンタ6は、サーマルヘッド等のプリンタヘッド16を備えている。プリンタヘッド16はラベル用紙Pに文字や記号、バーコードや2次元コード等を印刷する。このように印刷されたラベルは、第1プリンタ6の前面パネル上部に設けられたラベル発行口6bから排出される。尚、第2プリンタ7も同様に、ラベル発行口7bと、プリンタヘッド17(図3参照)とを備えている。
【0011】
このようなラベルプリンタ1は、PLUファイルF1(詳細は後述する。図4参照)から商品名や価格などの商品情報を読み込んでラベルに印刷する印字データを生成し、生成した印字データに基づいてラベルを印刷する。
【0012】
加えて、このようなラベルプリンタ1は、商品読取部10(図3参照)を備えている。商品読取部10は、読取窓9の奥側に撮像部104(図3参照)を配置している。
【0013】
オペレータ(店員)によって商品(例えば、各種の惣菜等を盛り付けられた弁当)が持ち込まれ、オペレータの手によって計量秤8へと移動される。この移動過程で、商品がラベルプリンタ1の読取窓9に向けられる。この際、読取窓9の奥側に配置された撮像部104(図3参照)は商品を撮像する。商品読取部10では、撮像部104により撮像された画像に含まれる商品の全部または一部を検出する。ラベルプリンタ1では、撮像部104により撮像された画像に商品の全部または一部が含まれることを検出した場合、その撮像された画像に含まれる商品の各々について、商品の画像が関連付けられたPLUファイルF1(詳細は後述する。図4参照)を参照して、商品読取部10の撮像部104により撮像された商品の全部または一部の画像から特定の物体である商品を認識することで商品を特定する。
【0014】
図3は、ラベルプリンタ1のハードウェア構成を示すブロック図である。ラベルプリンタ1は、情報処理を実行する情報処理部としてのマイクロコンピュータ60を備える。マイクロコンピュータ60は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU61(Central Processing Unit)に、ROM62(Read Only Memory)とRAM63(Random Access Memory)とがバス接続されて構成されている。
【0015】
ラベルプリンタ1のCPU61には、前述した表示デバイス3、タッチパネル4、キーボード5、計量秤8がいずれも各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。これらは、CPU61による制御を受ける。
【0016】
ラベルプリンタ1のCPU61には、HDD64(Hard Disk Drive)が接続されている。HDD64には、プログラムや各種ファイルが記憶されている。HDD64に記憶されているプログラムや各種ファイルは、ラベルプリンタ1の起動時に、その全部又は一部がRAM63にコピーされてCPU61により順次実行される。HDD64に記憶されているプログラムの一例は、ラベル印刷用のプログラムPRである。HDD64に記憶されているファイルの一例は、ストアコンピュータSCから配信されて格納されているPLUファイルF1やセットファイルF2である。
【0017】
PLUファイルF1は、店舗に陳列して販売する商品の各々について、商品の売上登録にかかる情報と、その商品の画像との関連付けが設定されたファイルである。図4は、PLUファイルF1のデータ構成を例示する概念図である。図4に示すように、PLUファイルF1は、商品ごとに、ユニークに割り当てられた商品ID、商品が属する商品分類、商品名、単価などの商品に関する情報と、その商品を撮像した商品画像と、「類似度:0.XX」という閾値と、を格納するファイルである。詳細は後述するが、この「類似度:0.XX」という閾値は、商品が果物や生鮮品などであり、鮮度が落ち変色した場合などは、予めPLUファイルF1に記憶していた商品の商品画像と比較することで、正規の状態とは異なった物品であると判断することが可能となる。
【0018】
セットファイルF2は、例えば、各種の惣菜等を盛り付ける弁当のように、複数の商品をセットにするアイテムについて、当該アイテムを構成する商品情報(例えば、ハンバーグ、白米、梅干など)を設定するものである。
【0019】
図3に戻り、ラベルプリンタ1のCPU61には、ストアコンピュータSCとデータ通信を実行するための通信インターフェース25が入出力回路(図示せず)を介して接続されている。ストアコンピュータSCは、店舗のバックヤード等に設置されている。ストアコンピュータSCのHDD(図示せず)には、ラベルプリンタ1に配信されるPLUファイルF1が格納されている。
【0020】
さらに、ラベルプリンタ1のCPU61には、商品読取部10が接続されている。また、ラベルプリンタ1のCPU61には、ラベル印字を行う第1プリンタ6および第2プリンタ7の2つのプリンタユニットが接続されている。ラベルプリンタ1は、CPU61の制御のもと、ラベル印字を実行する。
【0021】
商品読取部10も、マイクロコンピュータ110を備えている。マイクロコンピュータ110は、CPU101にROM102とRAM103とがバス接続されて構成されている。ROM102には、CPU101によって実行されるプログラムが記憶されている。CPU101には、撮像部104、音声出力部105が各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。撮像部104、音声出力部105は、CPU101によって動作が制御される。
【0022】
撮像部104は、カラーCCDイメージセンサやカラーCOMSイメージセンサなどであり、CPU101の制御の下で読取窓9からの撮像を行う撮像手段である。例えば撮像部104では30fpsの動画像の撮像を行う。撮像部104が所定のフレームレートで順次撮像したフレーム画像はRAM103に保存される。
【0023】
音声出力部105は、予め設定された警告音などを発生するための音声回路とスピーカなどである。音声出力部105は、CPU101の制御の下で警告音などの音声による報知を行う。
【0024】
そして、CPU101の制御の下、商品読取部10の撮像部104によって撮像された画像(商品の全部または一部を含む画像)は、ラベルプリンタ1のCPU61に入力される。
【0025】
次に、CPU101、CPU61がプログラムを順次実行することで実現されるCPU101、CPU61の機能部について、図5を参照して説明する。図5は、CPU101、CPU61の機能構成を示すブロック図である。図5に示すように、CPU101は、プログラムを順次実行することにより、撮像画像取込部1011、商品検出部1012、画像出力手段である画像出力部1013としての機能を備える。同様に、CPU61は、物体認識手段である物体認識部611、確認手段である商品確認部612、類似度判定手段である類似度判定部613、不良品報知手段である不良品報知部614としての機能を備える。
【0026】
撮像画像取込部1011は、撮像部104に撮像オン信号を出力して撮像部104に撮像動作を開始させる。撮像画像取込部1011は、撮像動作開始後に撮像部104が撮像してRAM103に保存されたフレーム画像を順次取り込む。撮像画像取込部1011によるフレーム画像の取り込みは、RAM103に保存された順に行われる。
【0027】
商品検出部1012は、撮像画像取込部1011により取り込まれたフレーム画像に含まれる商品の全部または一部を、パターンマッチング技術などを用いて検出する。具体的には、取り込まれたフレーム画像を2値化した画像から輪郭線などを抽出する。次いで、直近のフレーム画像から抽出された輪郭線と、今回のフレーム画像から抽出された輪郭線とを比較し、変更があった部分、すなわち、売上登録のために読取窓9に向けられた商品の写り込みを検出する。なお、商品を検出する別の方法としては、取り込まれたフレーム画像から肌色領域の有無を検出する。次いで、肌色領域が検出された場合、すなわち、店員の手の写り込みが検出された場合は、上述した輪郭線の検出を行うことで、店員の手が把持していると想定される商品の輪郭抽出を試みる。この時、手の形状を示す輪郭と、それ以外の輪郭とが検出された場合は、店員の手が商品を把持していることから、商品の写り込みを検出する。
【0028】
画像出力部1013は、撮像画像取込部1011が取り込んだフレーム画像をラベルプリンタ1のCPU61へ出力する。画像出力部1013は撮像画像取込部1011が取り込んだフレーム画像を逐次ラベルプリンタ1のCPU61へ出力してもよいが、本実施形態では、商品検出部1012により商品の全部または一部が検出されたフレーム画像をラベルプリンタ1のCPU61へ出力するものとする。このように、商品検出部1012により商品の全部または一部が検出されたフレーム画像をラベルプリンタ1のCPU61へ出力することで、商品の全部または一部が含まれていないフレーム画像によってPLUファイルF1を参照して実行する物体認識がラベルプリンタ1のCPU61で行われることを防止できる。特定の物体の認識処理は処理時間を要することから、特定の物体の認識の見込みのない、商品の全部または一部が含まれていないフレーム画像での処理を防止することで、処理時間の短縮を図ることができる。
【0029】
物体認識部611は、PLUファイルF1の商品画像を参照して、商品読取部10の撮像部104により撮像された商品の全部または一部の画像から、特徴量として色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を読み取ることによって特定の物体として商品を認識する。なお、物体認識部611は、処理時間の短縮を図るため、商品の輪郭や大きさは考慮しないものとする。ラベルプリンタ1のCPU61では、物体認識部611の認識結果により、PLUファイルF1に予め登録されている商品の中から商品読取部10が読み取った商品を特定できる。
【0030】
類似度判定部613は、物体認識部611が認識した商品について類似度を算出し、類似度がPLUファイルF1において予め定められた閾値を超えているか否かを判定する。
【0031】
このように画像中に含まれる物体を認識することは一般物体認識(generic object recognition)と呼ばれている。このような一般物体認識については、下記の文献において各種認識技術が解説されている。
柳井 啓司,“一般物体認識の現状と今後”,情報処理学会論文誌,Vol.48,No.SIG16 [平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://mm.cs.uec.ac.jp/IPSJ-TCVIM-Yanai.pdf >
【0032】
また、画像をオブジェクトごとに領域分割することによって一般物体認識を行う技術が、下記の文献において解説されている。
Jamie Shottonら,“Semantic Texton Forests for Image Categorization and Segmentation”,[平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.145.3036&rep=rep1&type=pdf >
【0033】
商品確認部612は、物体認識部611により認識された商品に基づき、商品(例えば、各種の惣菜等を盛り付けられた弁当)の構成(すなわち盛り付け)が正しいか否かを判定し、商品(例えば、各種の惣菜等を盛り付けられた弁当)の構成(すなわち盛り付け)が正しくないと判定した場合、不足しているものや余計なものを表示デバイス3に表示することによって、不足しているものや余計なものがあることをオペレータ(店員)に報知する。
【0034】
次に、ラベルプリンタ1の動作について詳細に説明する。図6は、本実施形態にかかるラベルプリンタ1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0035】
図6に示すように、例えばキーボード5からの商品IDの入力によりラベル発行処理が開始されると、撮像画像取込部1011は、撮像部104に撮像オン信号を出力して撮像部104による撮像を開始する(ステップS1)。次いで、撮像画像取込部1011は、撮像部104が撮像してRAM103に保存されたフレーム画像(撮像画像)を取り込む(ステップS2)。次いで、商品検出部1012は、撮像画像取込部1011が取り込んだフレーム画像から全ての商品の全部または一部の検出を行う(ステップS3)。次いで、画像出力部1013は、商品検出部1012により全ての商品の全部または一部が検出されたフレーム画像をCPU61側へ出力する(ステップS4)。
【0036】
図7は、読取窓9における読取領域Rの例を示す概念図である。具体的には、図7は商品Aを読み取る際の読取領域Rを例示する概念図である。図7に示すように、前述した商品Aの移動過程において読取領域Rに商品Aが映り込んだ場合は、その読取領域Rを撮像したフレーム画像からステップS3で全ての商品Aの全部または一部が検出される。全ての商品Aの全部または一部の検出により、ステップS4では読取領域Rを撮像したフレーム画像がCPU61へ出力されることとなる。
【0037】
次に、図6に示すように、CPU61は、商品読取部10から出力された、全ての商品Aの全部または一部を検出したフレーム画像を受信する(ステップS11)。次いで、物体認識部611は、PLUファイルF1の商品画像を参照して、商品読取部10から出力された全ての商品Aの全部または一部の画像から特定の物体として商品Aを順に認識する(ステップS12)。
【0038】
次いで、類似度判定部613は、物体認識部611が認識した商品Aについて、類似度を算出する(ステップS13)。類似度は、PLUファイルF1に記憶されている各商品の商品画像を100%=「類似度:1.0」とした場合に、商品読取部10から出力された商品Aの全部または一部の画像がどの程度類似しているかを示すものである。上述したように、例えば色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態に応じて類似度を算出する。なお、例えば、色合いと表面の凹凸状況とでは、重み付けを変えるようにしても良い。
【0039】
次いで、類似度判定部613は、ステップS13で算出した類似度が予め定められた閾値(「類似度:0.XX」)を超えているか否かを判定する(ステップS14)。
【0040】
類似度判定部613が、ステップS13で算出した類似度が予め定められた閾値(「類似度:0.XX」)を超えていると判定した場合(ステップS14:Yes)、CPU61は、物体認識部611により認識された特定の物体である商品Aの商品画像と関連する情報(商品ID、商品分類、商品名、単価など)をPLUファイルF1から読み出してRAM63に一時的に記憶する(ステップS15)。
【0041】
次いで、CPU61は、全ての物体を認識したか否かを判定する(ステップS16)。CPU61は、全ての物体を認識したと判定した場合は(ステップS16:Yes)、ステップS17に進み、全ての物体を認識していないと判定した場合は(ステップS16:No)、ステップS12へ処理を戻して次の物体の認識処理を継続させる。
【0042】
ステップS17では、商品確認部612が、商品(例えば、各種の惣菜等を盛り付けられた弁当)の構成(すなわち盛り付け)が正しいか否かを判定する。具体的には、RAM63に記憶されている認識された特定の物体である各商品Aの情報(商品ID、商品分類、商品名、単価など)と、予め用意されているセットファイルF2に設定されている商品情報とを比較して、欠落があるかどうかを判定する。
【0043】
CPU61は、商品確認部612が商品(例えば、各種の惣菜等を盛り付けられた弁当)の構成(すなわち盛り付け)が正しいと判定した場合(ステップS17:Yes)、ラベル発行処理を実行して(ステップS18)、処理を終了する。
【0044】
このように本実施形態のラベルプリンタ1によれば、バックヤードや厨房で行う定食・弁当等のセット商品の盛り付け作業で、画像情報を使って、セットの一部になっている料理の盛り付け忘れや、箸・スプーン等の食器の付け忘れを防止することができる。また、盛り付けが多い場合にも対応可能である。
【0045】
一方、商品確認部612は、商品(例えば、各種の惣菜等を盛り付けられた弁当)の構成(すなわち盛り付け)が正しくないと判定した場合(ステップS17:No)、図8に示すように、不足しているものや余計なものを表示デバイス3に表示することによって(ステップS19)、不足しているものや余計なものがあることをオペレータ(店員)に報知することができる。このように報知された場合、オペレータ(店員)は、不足しているものを追加した後、または余計なものを取り去った後、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0046】
なお、類似度判定部613が、ステップS13で算出した類似度が予め定められた閾値(「類似度:0.XX」)を超えていないと判定した場合(ステップS14:No)、不良品報知部614は、正規品と認識されなかった商品であることを店員に報知し(ステップS20)、販売中止するなどの措置を店舗側に促す。具体的には、不良品報知部614は、表示デバイス3への画面表示や、音声出力部105による警告音の出力などでエラーを店員に報知する。この報知を行うことで、ラベルプリンタ1は、別の商品Aを読み取らせるなどの、適切な操作を店員に促すことができる。
【0047】
図9に示すように、物体認識部611が認識した商品Aが「バナナ」であった場合、閾値が「類似度:0.50」としてPLUファイルF1に記憶されていると、(a)で示す商品については類似度が0.717であることから、算出した類似度が予め定められた閾値を超えていると判定される。一方、(b)で示す商品については類似度が0.252であることから、算出した類似度が予め定められた閾値を超えていないと判定される。したがって、(a)で示す商品については、「バナナ」として通常通りに売上登録される。一方、(b)で示す商品については、「バナナ」として一応認識されるものの、古くなり変色したもの、傷んだもの、変形したもの、すなわち色合いや表面の凹凸状況等が正常でないものとして、不良品として売上登録されない。同様に、惣菜なども、正規の焼き具合や揚げ具合による商品画像をPLUファイルF1に記憶しておき、焼き不足/過ぎや揚げ不足/過ぎなどが閾値を外れた場合、不良品であると判断することができる。
【0048】
このように本実施形態のラベルプリンタ1によれば、生鮮品や惣菜などが、古くなり変色したもの、傷んだもの、変形したもの、調理不良により色合いが異なるものなどであった場合、PLUファイルF1に記憶されている商品画像と比較することで、基準を外れたものを不良品であると判断することができる。
【0049】
特に、繁忙店など商品の鮮度をチェックする時間に制約がある店舗や、多数の店員を抱え惣菜の調理に個人差がある店舗などでも、正規の商品と数値的な判断で比較することが可能となる。
【0050】
本実施形態のラベルプリンタ1で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態のラベルプリンタ1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0051】
さらに、本実施形態のラベルプリンタ1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のラベルプリンタ1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0052】
本実施形態のラベルプリンタ1で実行されるプログラムは、上述した各部(物体認識部611、商品確認部612、類似度判定部613、不良品報知部614、撮像画像取込部1011、商品検出部1012、画像出力部1013)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、物体認識部611、商品確認部612、類似度判定部613、不良品報知部614、撮像画像取込部1011、商品検出部1012、画像出力部1013が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0053】
1 ラベル発行装置
104 撮像手段
611 物体認識手段
612 確認手段
613 類似度判定手段
614 不良品報知手段
1013 画像出力手段
F2 セットファイル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特許第2630256号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルに対して印字して発行するラベル発行装置において、
撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像を出力する画像出力手段と、
出力された前記画像の特徴量を読み取ることによって特定の物体を認識する物体認識手段と、
認識された前記物体の集合体が認識対象のアイテムである場合、当該アイテムについての構成が正しいか否かを、複数の物体をセットにするアイテムについて当該アイテムを構成する物体情報を設定するセットファイルに基づいて確認する確認手段と、
を備え、
前記確認手段は構成が正しくないと判定した場合、過不足のある構成について報知する、
ことを特徴とするラベル発行装置。
【請求項2】
認識された前記物体について予め決められた当該物体の基準画像に対してどの程度類似しているかを示す類似度を算出し、算出した前記類似度が予め定められた閾値を超えているか否かを判定する類似度判定手段と、
算出した前記類似度が予め定められた閾値を超えていないと判定した場合、前記物体が正規品と認識されないものであることを報知する不良品報知手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のラベル発行装置。
【請求項3】
前記物体認識手段は、前記画像の特徴量として前記物体の表面の状態を用い、前記物体の表面の状態に応じて類似度を算出する、
ことを特徴とする請求項2記載のラベル発行装置。
【請求項4】
ラベルに対して印字して発行するラベル発行装置を制御するコンピュータを、
撮像手段が撮像した画像の特徴量を読み取ることによって特定の物体を認識する物体認識手段と、
認識された前記物体の集合体が認識対象のアイテムである場合、当該アイテムについての構成が正しいか否かを、複数の物体をセットにするアイテムについて当該アイテムを構成する物体情報を設定するセットファイルに基づいて確認する確認手段と、
として機能させ、
前記確認手段は構成が正しくないと判定した場合、過不足のある構成について報知する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
認識された前記物体について予め決められた当該物体の基準画像に対してどの程度類似しているかを示す類似度を算出し、算出した前記類似度が予め定められた閾値を超えているか否かを判定する類似度判定手段と、
算出した前記類似度が予め定められた閾値を超えていないと判定した場合、前記物体が正規品と認識されないものであることを報知する不良品報知手段と、
として前記コンピュータを機能させることを特徴とする請求項4記載のプログラム。
【請求項6】
前記物体認識手段は、前記画像の特徴量として前記物体の表面の状態を用い、前記物体の表面の状態に応じて類似度を算出する、
ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−41083(P2012−41083A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186544(P2010−186544)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】