説明

ラベル貼付装置及びラベル貼付方法

【課題】被着体の内周面に良好な美観を保持しつつラベルを貼り付けることができるラベル貼付装置を提供する。
【解決手段】一方の端部に底面を有する筒状の被着体の内周面にラベルを貼り付けるためのラベル貼付装置1は、被着体を保持するための被着体保持部2と、被着体保持部2に保持された被着体の内部空間に進入可能に構成され、ラベルを内周面に向かって押圧可能なスキージ板13とを備え、被着体保持部2は、一方の端部が被着体の底面と嵌合可能に形成されたシリンダ6を有し、シリンダ6及び被着体は、スキージ板13がラベルを被着体の内周面に向かって押圧しているときに、シリンダ6の一方の端部が底面と嵌合した状態で、シリンダ6の一方の端部と底面との間に発生する摩擦力によって、スキージ板13がラベルを押圧した状態を維持しつつスキージ板13に対して相対回転可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器等の内面にラベルを貼り付けることが可能なラベル貼付装置及びラベル貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内に置かれる芳香剤や消臭剤等の容器においては、内部の薬剤を視認しにくくして美観を向上させるために、表面に微細な凹凸を形成して曇りガラス調の外観を付与するマット加工が行われることがある。また、このような芳香剤等は、室内に置かれてインテリアの一部をなすという性格から、更なる美観の向上が要請されており、多様化するデザインパターンに対応するために、当該デザインが施されたラベルを容器に貼り付けることが考えられている。
【0003】
しかしながら、マット加工を施した容器の表面にラベルを貼り付けると、マット加工によって設けられた容器表面の微細凹凸の隙間にラベルの粘着剤が進入して隙間を埋めるために、容器表面の透明性が高まりマット加工の効果が損なわれることがある。
【0004】
このような場合、マット加工の効果を保持しつつ容器にラベルを貼り付けるため、マット加工の行われていない容器の内周面にラベルを貼り付けることがある。このようなラベルの貼り付けを行うことができるラベル貼付装置として、特許文献1に記載のものが知られている。
この装置は、容器等の被着体の内部に挿入可能に設けられるとともに、被着体の内周面に沿って相対移動可能に設けられた貼付ヘッドと、貼付ヘッドに設けられるとともに、粘着剤層を外側にした状態でラベルを保持するラベル保持部とを備え、被着体と貼付ヘッドとの相対移動により、ラベル保持部に保持されたラベルが被着体の内周面に貼り付けられる。
【特許文献1】特開2004−210302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のようにラベルを貼り付ける容器に高度の美観が要求される等の場合は、ラベルをスキージ板で押圧し、ラベルと被着体との間の空気を排除しながらたるみなくラベルを貼り付ける、いわゆるスキージ技術が用いられることがある。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のラベル貼付装置でスキージ技術を用いようとすると、スキージ板と容器との間に大きな力が作用するため、容器がスキージ板に対して相対回転することが困難となるため、ラベルの貼付が容易に行えないという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、被着体の内周面に良好な美観を保持しつつラベルを貼り付けることができるラベル貼付装置及びラベル貼付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様であるラベル貼付装置は、一方の端部に底面を有する筒状の被着体の内周面にラベルを貼り付けるためのラベル貼付装置であって、前記被着体を保持するための被着体保持部と、前記被着体保持部に保持された前記被着体の内部空間に進入可能に構成され、前記ラベルを前記内周面に向かって押圧可能なスキージ板とを備え、前記被着体保持部は、一方の端部が前記被着体の前記底面と嵌合可能に形成された嵌合部材を有し、前記嵌合部材及び前記被着体は、前記スキージ板が前記ラベルを前記被着体の前記内周面に向かって押圧しているときに、前記嵌合部材の前記一方の端部が前記底面と嵌合した状態で、前記嵌合部材の前記一方の端部と前記底面との間に発生する摩擦力によって、前記スキージ板が前記ラベルを押圧した状態を維持しつつ前記スキージ板に対して相対回転可能であることを特徴とする。
【0009】
本発明のラベル貼付装置によれば、嵌合部材と被着体の底面との間に発生する摩擦力によって、スキージ板の押圧力に抗して被着体が相対回転され、スキージを行いつつ被着体の内周面にラベルが貼り付けられる。
【0010】
本発明のラベル貼付装置は、前記被着体の前記底面と反対側の端面と当接可能に形成され、前記被着体の軸線方向への移動を規制するストッパをさらに備えてもよい。この場合、ラベル貼付時の被着体の軸線方向のぶれが防止されるとともに、被着体がストッパに当接することで、嵌合部材と被着体の底面とが密着しやすくなり、より大きな摩擦力を発生させることができる。
【0011】
また、本発明の第一の態様であるラベル貼付装置は、筒状の被着体の内周面にラベルを貼り付けるためのラベル貼付装置であって、前記被着体を保持するための被着体保持部と、前記被着体保持部に保持された前記被着体の内部空間に進入可能に構成され、前記ラベルを前記内周面に向かって押圧するためのスキージ板とを備え、前記被着体保持部は、前記被着体の一方の端面と当接可能に形成され、前記被着体の軸線方向への移動を規制するストッパと、前記被着体の他方の端部を前記被着体の軸線方向に押圧し、前記ストッパとの間に前記被着体を挟持して保持可能な押圧部材とを有し、前記被着体保持部及び前記被着体は、前記スキージ板が前記ラベルを前記被着体の内周面に向かって押圧しているときに、前記被着体が前記ストッパと前記押圧部材との間に狭持固定された状態で、前記スキージ板が前記ラベルを押圧した状態を維持しつつ前記スキージ板に対して相対回転可能であることを特徴とする。
【0012】
上述のラベル貼付装置においても、スキージ板の押圧力に抗して押圧部材とストッパとの間に挟持固定された被着体が、被着体保持部とともにスキージ板に対して相対回転され、スキージを行いつつ被着体の内周面にラベルが貼り付けられる。
【0013】
本発明の第二の態様であるラベル貼付方法は、一方の端部に底面を有する筒状の被着体の内周面に粘着層を有するラベルを貼り付けるためのラベル貼付方法であって、前記被着体を所定の力で保持する被着体保持工程と、前記被着体の内部に前記ラベルを進入させるラベル進入工程と、前記ラベルをスキージ板で前記内周面に向かって押圧しつつ、前記被着体をその軸線回りに前記スキージ板に対して相対回転させ、前記ラベルを前記内周面に貼り付けるラベル貼付工程とを備え、前記所定の力は、前記ラベル貼付工程において、前記スキージ板の押圧力に抗して前記被着体を相対回転させることができる程度の大きさであることを特徴とする。
【0014】
上述のラベル貼付装置及びラベル貼付方法においては、被着体として外周面にマット加工によって微細な凹凸が形成されたものが用いられてもよい。この場合、外周面のマット加工の効果を損なうことなく内周面にラベルを貼り付けることによって、被着体の美観を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のラベル貼付装置及びラベル貼付方法によれば、被着体の内周面に良好な美観を保持しつつラベルを貼り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るラベル貼付装置について、図1から図7を参照して説明する。図1は本実施形態のラベル貼付装置1の全体斜視図である。ラベル貼付装置1は、ラベルが貼り付けられる被着体を保持する被着体保持部2と、被着体の内部に進入してない周面にラベルを貼り付けるためのラベル貼付部3と、ラベル貼付部3にラベルを供給するためのラベラー4とを備えて構成されている。
【0017】
図2は、被着体の一例である容器100を示す図である。容器100は、芳香剤101を収容するためのものであり、底面100Aを有する略円筒状に形成されている。底面100Aは、容器100の軸線方向反対側の開口100Bに向かって緩やかに凸となる曲面状に形成されている。
【0018】
容器100は、底面100Aを上にして基台102にかぶせられており、容器100に設けられた図示しない孔から芳香剤101の発する香りが外部に拡散される。容器100の外周面100Cには、収容された芳香剤101が明瞭に視認できないように、全面にわたってマット加工が施されており、微細な凹凸によって曇りガラス調の外観を呈している。
なお、以下の説明においては、被着体として容器100が用いられる例として、被着体を容器100に置き換えて説明する。
【0019】
図1に示すように、被着体保持部2は、容器100が収容される収容部5と、収容部5に収容された容器100の底面と嵌合可能なシリンダ(嵌合部材)6と、シリンダ6を軸線まわりに回転させるためのシリンダ回転機構7とを備えている。
【0020】
図3は、収容部5及びシリンダ6を示す拡大図である。収容部5は、容器100が載置されるベース8と、ベース8の一方の端部に設けられたストッパ9と、ベース8の他方の端部に設けられた嵌合部10とを備えている。
【0021】
ベース8は、円筒を軸線方向に半分に割った略半円筒状に形成された部材であり、容器100がその軸線を水平にした状態で安定して設置可能である。
ストッパ9はベース8の軸線方向の、シリンダ6と反対側の端部に円環状に形成されている。ストッパ9はベース8に載置された容器100の開口100B側の端面と当接して容器100の軸線方向への移動を規制し、容器のベース8からの落下等を防止する。ストッパ9の径方向の厚みは、容器100の端面と良好に当接させる観点からは、容器100の外周面100Cの厚み以上に設定されるのが好ましい。
【0022】
嵌合部10は、ベース8の軸線方向のシリンダ6側の端部に設けられており、略円形の端面10Aと、端面10Aの周縁からベース8側に向かって延びる側壁10Bとを備えている。嵌合部10は、ベース8に載置された容器100のシリンダ側への移動を規制する。端面10Aには貫通孔10Cが形成されており、シリンダ6は、貫通孔10Cを通って収容部5側に進入することが可能である。
【0023】
シリンダ6は、棒状の部材であり、その先端は容器100の底面100Aに対応した凸状の曲面に形成されている。したがって、収容部5側に進入したシリンダが容器100の底面100Aと当接すると、両者は嵌合し、両者の間に大きな摩擦力が発生しうる状態となる。
シリンダ回転機構7は、モータ等の駆動機構を有し、シリンダ6を軸線回りに回転させることが可能である。そして、被着体保持部2全体は、図示しない移動機構によって図1に示すレール11に沿って移動することができ、収容部5に載置された容器100の内部にラベル貼付部3を進入させることができる。
【0024】
ラベル貼付部3は、ラベラー4からラベルを受け取るドラム12と、ラベルを容器100の内面に押し付けてスキージを行うスキージ板13とを備えている。
ドラム12は、円柱の一部を切り欠いた略円柱状に形成されており、モータ等からなるドラム回転機構14によって軸線回りに回転可能である。ドラム12及びドラム回転機構14は、図示しないレールに沿ってラベラー4の方向へ移動可能であり、ラベラー4に接近してラベラー4からラベルを受け取り、自身の外周面に巻き取る。この動作については後述する。
【0025】
スキージ板13は、板状の部材であり、シリンダ等を含んで構成されるスキージ板移動機構15によって上下方向に移動可能である。ラベルを容器100の内面に押し付けることによってラベルと容器100との間の空気を除去するスキージを行い、美観を保持しつつラベルの貼付を行うことを可能にする。スキージ板13は、容器100の内面形状に追随して隙間なく接触できるよう、シリコンゴム等のある程度変形可能な材料で形成されるのが好ましい。
【0026】
ラベラー4は、公知の構成を有し、図示しないロールから供給されるラベルの裏紙を剥離してラベルの粘着層を露出させながら、ラベルを連続供給することができる。
【0027】
上記のように構成されたラベル貼付装置1の使用時の動作について説明する。
図4は、ラベル貼付装置1を用いたラベル貼付方法の流れを示すフローチャートである。まずステップS1において、ユーザは被着体である容器100を、図5(a)に示すように開口100Bをストッパ9側に向けてベース8上に設置する。このとき、必要に応じて嵌合部10に容器100の底面側を嵌合させて、側壁10Bで容器100を保持させ、内周面の所定の位置からラベルの貼付が開始されるように容器100の周方向の位置決めを行ってもよい。
【0028】
次に、ステップS2において、シリンダ6が貫通孔10Cを通って収容部5側に進入し、図5(b)に示すように容器100の底面100Aと当接する。さらにシリンダ6が収容部5側に移動すると、図5(c)に示すように、容器100の開口100B側の端面がストッパ9と当接する。この状態において、シリンダ6の先端面と容器100の底面100Aとが略同軸となるように嵌合して所定の力で容器100が保持されるとともに、シリンダ6及びストッパ9によって容器100の軸線X1方向への移動が規制され、位置決めされる(被着体保持工程)。
【0029】
続くステップS3において、ラベル貼付部3にラベルが供給される。まず、ラベルを受け取るために、図6(a)に示す初期状態から、図6(b)に示すように、ドラム12がラベラー4付近に移動する。そして、ラベル105の端部を、例えば吸引口12Aからの吸引等の手段でドラム12の外周面に保持する。
【0030】
ラベル105を保持したまま、ドラム回転機構14がドラム12を回転させると、図6(c)に示すように、ドラムの外周面にラベル105が巻き取られる。巻き取られたラベルは、順次吸引口12Aからの吸引等によって保持される。このとき、ラベル105の裏紙(不図示)は、ラベラー4に回収され、ドラム12の外側にラベル105の粘着層が露出する。ラベル105の巻取りが終了したら、ドラム12は、スキージ板13の付近に戻り、続く工程の準備を整える。この後、ラベル貼付の工程に移行するが、上述のステップS1及びS2と、ステップS3とは、この順で行われる必要はなく、逆の順番で行われても構わない。
【0031】
続いて、ステップS4において、容器100が位置決めされた状態で設置された被着体保持部2がレール11に沿ってラベル貼付部3に向かって移動する。そして、ラベル貼付部3及び巻き取られたラベル105が容器100の内部の空間に進入し、図7(a)に示すように、容器100の内周面にラベル貼付可能な状態となる(ラベル進入工程)。
【0032】
そして、ラベル105の周方向の一端の粘着層と容器100の内周面とを接着させてからシリンダ6及び容器100を回転させて、接着されたラベル105の一端がスキージ板13と容器100との間に位置するように容器100の周方向の位置を調節する。ラベル105の容器100に対する粘着力はドラム12の吸引力よりも強いので、このような位置調節が可能である。この位置調節によって、スキージ板13でラベル105を押圧する準備が整い、工程はステップS5に移行する。
【0033】
ステップS5において、図7(b)に示すように、スキージ板移動機構15によってスキージ板13が下方に移動され、ラベル105の端部を容器100の内周面に押し付ける。すると、ラベル105の粘着層が容器100の内周面と接触し、ラベル105の端部が容器100の内周面に接着される。
【0034】
さらにステップS6において、ドラム12によるラベル105の吸引保持が解除されつつ、シリンダ回転機構7が、図7(b)に示す矢印Aの方向にシリンダ6を回転させる。上述のように、シリンダ6と容器100の底面100Aとは嵌合しているため、両者の間に大きな摩擦力が発生し、シリンダ6と共に容器100が矢印Aの方向、すなわち容器100の軸線X1回りに回転する。
このとき、スキージ板13がラベル105を容器100の内面に押し付けているため、容器100の回転に伴い、ラベル105と容器100との間の空気が順次除去されながら粘着層が容器100に貼り付けられる。こうして、図7(c)及び図7(d)に示すように、ラベル105がスキージされつつ容器100の内面に貼り付けられる(ラベル貼付工程)。
【0035】
スキージ板13が容器100に押し付けられる力は、シリンダ6が容器100を回転させる際の抵抗となるが、シリンダ6は上述の大きな摩擦力によって、この抵抗に打ち勝って容器100を軸線X1回りにスキージ板13に対して相対回転させることができる。
ラベル105の貼付完了後、被着体保持部2は、レール11に沿ってラベル貼付部3から遠ざかるように移動し、一連の作業が終了する。
【0036】
ラベル貼付部3の構造上、一回の貼付工程で容器100の内周面の全周にわたってラベル105を貼り付けることはできないが、同様の貼付工程を貼り付け開始位置を変えながら複数回行うことによって、容器の内周面全周にわたってスキージを行いながらラベルを貼り付けることができる。また、略円筒状のドラムの切り欠き領域の回転角を調節することによって、一回の貼付作業でラベルを貼り付けることができる容器内周面の範囲を適宜設定することができる。
【0037】
本実施形態のラベル貼付装置1によれば、シリンダ6の先端が容器100の底面Aと嵌合することによって、両者の間に大きな摩擦力が生じる。その結果、スキージ板13が容器100に押し付けられてもその抵抗に打ち勝って容器100を軸線X1回りに相対回転させることができ、良好にスキージを行いつつ、容器100の内周面に高い美観を保持してラベル105を貼り付けることができる。
したがって、外周面100Cにマット加工が施された容器100のような被着体であっても、マット加工がかもし出す曇りガラス調の外観を損なうことなく、内側からデザインの施されたラベルを貼り付けて、容器100の美観を高めることができる。
【0038】
また、収容部5の一方の端部にストッパ9が設けられているので、シリンダ6とストッパ9とによって容器100が挟まれるようにして軸線方向における位置決めがされる。したがって、ラベル105の貼付中に容器100が軸線方向にぶれたり、ベース8から落下したりすることがなく、安定してラベルの貼付を行うことができるとともに、シリンダ6の先端側の面と容器の底面100Aとがより密着しやすくなり、両者の間に発生する摩擦力を大きくすることができる。
【0039】
さらに、収容部5に容器100の外周面100Cと嵌合可能な嵌合部10がもうけられているので、嵌合部10と外周面100Cとを嵌合させることによって、容器100の周方向の位置決めをしながら被着体保持部2に設置することができる。したがって、周方向の特定の位置からラベル貼付を開始する必要があるような被着体であっても、好適に設置してラベルの貼付を行うことができる。
なお、図5(a)ないし図5(c)には、シリンダ6の収容部5側への移動に伴い、嵌合部10と容器100との嵌合が外れるように示しているが、シリンダ6は回転せずに移動しているので、この動作によって周方向の位置決めが損なわれることはない。また、必要に応じて側壁10Bのストッパ9側への突出長さを適宜調整することによって、シリンダ6が移動しても嵌合部10と容器100との嵌合が外れないように収容部が構成されてもよい。このようにするとさらに容器100の周方向における位置決めを安定させることができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0041】
例えば、上述の実施形態においては、被着体が軸線回りに回転することでスキージ板に対して相対回転される例を説明したが、これに代えて、スキージ板を回転させることによって、両者の相対回転が行われるように本発明のラベル貼付装置が構成されてもよい。
【0042】
また、上述の実施形態においては、被着体の底面が開口に向かって緩やかな凸状となる曲面であり、シリンダの先端が当該曲面に対応した凸状の曲面に形成された例を説明したが、これは一例に過ぎず、互いが嵌合可能に構成されれば、他のどのような形状でもかまわない。
【0043】
具体例を挙げると、被着体の底面の周縁が陶磁器の糸底状に突出し、シリンダが当該糸底の内部に嵌合するようにしてもよいし、互いに嵌合可能な凹凸形状を被着体の底面及びシリンダにそれぞれ形成してもよい。このとき、当該凹凸形状を被着体の中心軸上に設ける場合は、円形よりも三角形や四角形等の多角形状にしたほうが、被着体を良好に回転させることができる。
【0044】
また、シリンダと被着体との間に発生する摩擦力をより大きくするために、シリンダの表面をプラズマ処理等によって粗く加工してもよい。このとき、被着体が傷つきやすい材料で形成されている場合は、スポンジ等の軟性の部材をシリンダの先端面に固定し、摩擦力を大きくしつつ、被着体の傷付きを防ぐように構成されてもよい。
【0045】
さらに、スキージ板の押圧力に抗して被着体を相対回転させるための保持方法は、上記実施形態のような嵌合に限定されない。一例として、収容部5を軸線回りに回転可能に構成し、被着体を軸線方向両端から(例えば、ストッパ9と底面側から押圧する押圧部材とによって)挟持して収容部5に保持し、収容部5及び保持された被着体をスキージ板13に対して相対回転させてもよい。その他、底面以外の部位、例えば被着体の外周面を保持あるいは挟持して被着体を相対回転させるように本発明のラベル貼付装置が構成されてもよい。
【0046】
さらに、上述の実施形態では、被着体の例として外周面にマット加工の施された容器100を用いて説明したが、被着体はこれに限定されるものではなく、一端に底面を有し、多端が開口した略円筒状のものであれば、どのような被着体が用いられてもよい。また、上述のように収容部に被着体を挟持して保持する構成を採用すれば、底面を有さず両端が開口した筒状の被着体であっても、良好にスキージを行ってラベル貼付を行うことができる。
加えて、サーボモータ等を用いてスキージ板を小刻みに上下移動可能に構成すれば、外形が三角柱や四角柱状等の他の筒状の被着体の内周面にスキージしつつラベルを貼り付けることも可能である。この場合は、筒状の当該被着体の高さ方向に直交する断面形状の中心を通って高さ方向に延びる線を上述の軸線として、当該軸線回りに当該被着体を回転させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベル貼付装置を示す全体斜視図である。
【図2】同ラベル貼付装置の被着体の一例である容器を示す図である。
【図3】同ラベル貼付装置の被着体保持部の要部拡大図である。
【図4】同ラベル貼付装置を用いたラベル貼付方法の流れを示すフローチャートである。
【図5】(a)ないし(c)は、いずれも同被着体保持部に被着体が設置された後の動作を示す図である。
【図6】(a)ないし(d)は、いずれも同ラベル貼付装置のラベル貼付部がラベルを受け取るときの動作を示す図である。
【図7】(a)ないし(d)は、いずれも同ラベル貼付装置のラベル貼付動作を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ラベル貼付装置
2 被着体保持部
6 シリンダ(嵌合部材)
9 ストッパ
13 スキージ板
100 容器(被着体)
100A 底面
100C 外周面
105 ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に底面を有する筒状の被着体の内周面にラベルを貼り付けるためのラベル貼付装置であって、
前記被着体を保持するための被着体保持部と、
前記被着体保持部に保持された前記被着体の内部空間に進入可能に構成され、前記ラベルを前記内周面に向かって押圧可能なスキージ板と、
を備え、
前記被着体保持部は、
一方の端部が前記被着体の前記底面と嵌合可能に形成された嵌合部材を有し、
前記嵌合部材及び前記被着体は、前記スキージ板が前記ラベルを前記被着体の前記内周面に向かって押圧しているときに、前記嵌合部材の前記一方の端部が前記底面と嵌合した状態で、前記嵌合部材の前記一方の端部と前記底面との間に発生する摩擦力によって、前記スキージ板が前記ラベルを押圧した状態を維持しつつ前記スキージ板に対して相対回転可能であることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記被着体の前記底面と反対側の端面と当接可能に形成され、前記被着体の軸線方向への移動を規制するストッパをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
筒状の被着体の内周面にラベルを貼り付けるためのラベル貼付装置であって、
前記被着体を保持するための被着体保持部と、
前記被着体保持部に保持された前記被着体の内部空間に進入可能に構成され、前記ラベルを前記内周面に向かって押圧するためのスキージ板と、
を備え、
前記被着体保持部は、
前記被着体の一方の端面と当接可能に形成され、前記被着体の軸線方向への移動を規制するストッパと、
前記被着体の他方の端部を前記被着体の軸線方向に押圧し、前記ストッパとの間に前記被着体を挟持して保持可能な押圧部材と、を有し、
前記被着体保持部及び前記被着体は、前記スキージ板が前記ラベルを前記被着体の内周面に向かって押圧しているときに、前記被着体が前記ストッパと前記押圧部材との間に狭持固定された状態で、前記スキージ板が前記ラベルを押圧した状態を維持しつつ前記スキージ板に対して相対回転可能であることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項4】
前記被着体は、その外周面にマット加工によって微細な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のラベル貼付装置
【請求項5】
一方の端部に底面を有する筒状の被着体の内周面に粘着層を有するラベルを貼り付けるためのラベル貼付方法であって、
前記被着体を所定の力で保持する被着体保持工程と、
前記被着体の内部に前記ラベルを進入させるラベル進入工程と、
前記ラベルをスキージ板で前記内周面に向かって押圧しつつ、前記被着体をその軸線回りに前記スキージ板に対して相対回転させ、前記ラベルを前記内周面に貼り付けるラベル貼付工程と、
を備え、
前記所定の力は、前記ラベル貼付工程において、前記スキージ板の押圧力に抗して前記被着体を相対回転させることができる程度の大きさであることを特徴とするラベル貼付方法。
【請求項6】
前記被着体は、その外周面にマット加工によって微細な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のラベル貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−111430(P2010−111430A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287683(P2008−287683)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(591186888)株式会社トッパンTDKレーベル (46)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】